【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)一実施形態に係る燃料電池モジュールは、
燃料側電極、電解質及び酸素側電極を夫々含む複数の燃料電池セルと、
前記燃料側電極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給管と、
第1ライン、及び、前記第1ラインの下流端に位置する分岐点から分岐して1以上の前記燃料電池セルに夫々接続される複数の第2ラインを含み、前記複数の燃料電池セルの前記酸素側電極に酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給管と、
前記分岐点より下流側の前記第2ラインに接続された少なくとも1本の昇温用燃料ガス供給管と、
を備える。
ここで、「下流端」とは酸化性ガスの流れ方向下流端を意味し、「下流側」とは酸化性ガスの流れ方向下流側を意味する。また、酸化性ガスとは、酸素を略15%〜30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用できる。
【0008】
上記(1)の構成において、運転中に上記昇温用燃料ガス供給管から第2ラインに燃料ガスを添加し、モジュール内に設けられた燃料電池セルの酸素側電極に燃料ガスを導入し、燃料ガスの燃焼により燃料電池セルを昇温させる。複数の第2ラインは夫々1以上の燃料電池セルに夫々接続されるため、昇温用燃料ガスは複数の燃料電池セルにバランス良く供給される。これによって、モジュール内に設けられた複数の燃料電池セルの温度分布のばらつきを抑制できる。従って、複数の燃料電池セルの発電性能のばらつきを抑制して発電性能を向上できる。
【0009】
(2)一実施形態では、前記(1)の構成において、
前記昇温用燃料ガス供給管に設けられたバルブを備える。
上記(2)の構成によれば、上記バルブによって昇温用燃料ガス供給管から第2ラインに供給される燃料ガスの流量を制御できるので、モジュール内の燃料電池セルの温度分布のばらつきをさらに抑制できる。
【0010】
(3)一実施形態では、前記(2)の構成において、
前記燃料電池セルの温度を検出するための1個以上の温度センサを備える。
上記(3)の構成によれば、上記温度センサの検出値に基づいてオペレータが上記バルブの開度を調整することで、モジュール内の燃料電池セルの温度分布のばらつきをさらに抑制できる。なお、温度センサの検出値に基づいてバルブの開度を自動調整することもできる。
【0011】
(4)一実施形態では、前記(1)〜(3)の何れかの構成において、
前記複数の燃料電池セルを収容する圧力容器を備え、
前記昇温用燃料ガス供給管は、前記圧力容器を貫通して設けられ、前記圧力容器の外部に位置する外部配管部と、前記圧力容器内部の内部に位置する内部配管部と、を含む。
上記(4)の構成によれば、昇温用燃料ガス供給管の一部を圧力容器の外部に配置することで、圧力容器を小型化できる。
【0012】
(5)一実施形態では、前記(4)の構成において、
前記昇温用燃料ガス供給管に設けられたバルブを備え、
前記バルブは前記圧力容器の外部に設けられる。
上記(5)の構成によれば、圧力容器を備える場合でも、上記バルブを圧力容器の外部に設けることで、オペレータがバルブを直接操作できる。
【0013】
(6)一実施形態では、前記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記燃料電池セルから排燃料ガスを排出する排燃料ガス排出管を備え、
前記昇温用燃料ガス供給管の上流端は前記排燃料ガス排出管に接続され、前記排燃料ガス排出管に排出された前記排燃料ガスの少なくとも一部は前記昇温用燃料ガス供給管及び前記第2ラインを介して前記燃料電池セルに供給されるように構成される。
上記(6)の構成によれば、排燃料ガス排出管から排出された未燃燃料ガスを燃料電池セルに供給することで、燃料電池セルから一旦排出された未燃燃料ガスを再利用できる。また、希釈された未燃燃料ガスを昇温用燃料ガス供給管に供給させることで、各場所に配置された複数の昇温用燃料ガス供給管内の燃料ガスの濃度を調整できる。
【0014】
(7)一実施形態では、前記(1)〜(6)の何れかの構成において、
2以上の前記燃料電池セルが各々に収容された1以上のカートリッジを備え、
各々の前記第2ラインは、前記1以上のカートリッジに接続される。
上記(7)の構成によれば、1個のカートリッジに収容された複数の燃料電池セルに対しては、第2ラインを構成する1本又は少数の配管から酸化性ガスを供給可能に構成することで、第2ラインを簡素化できる。
【0015】
(8)一実施形態では、前記(7)の構成において、
複数の前記カートリッジが列状に配置され、
前記第2ラインは、前記複数のカートリッジの配列方向に沿って配置された少なくとも1本の分岐管と、該分岐管から分岐して前記複数のカートリッジの各々に接続される枝管と、を含み、
前記少なくとも1本の昇温用燃料ガス供給管は、前記複数のカートリッジの配列方向中央部に設けられた前記1本の分岐管に接続された昇温用燃料ガス供給管を含む。
上記(8)の構成によれば、カートリッジ配列方向中央部に設けられた上記1本の分岐管に昇温用燃料ガスが供給されるため、下流側の複数のカートリッジに昇温用燃料ガスをバランス良く分配できる。
【0016】
(9)一実施形態では、前記(7)又は(8)の構成において、
複数の前記カートリッジが列状に配置され、
前記第2ラインは、前記複数のカートリッジの配列方向に沿って配置された少なくとも1本の分岐管と、該分岐管から分岐して前記複数のカートリッジの各々に接続される枝管と、を含み、
前記少なくとも1本の昇温用燃料ガス供給管は、前記複数のカートリッジの配列方向両端の少なくとも一方側に設けられた前記カートリッジに接続される前記枝管に接続される昇温用燃料ガス供給管を含む。
列状に配置された複数のカートリッジに1本又は少数本の第2ラインから酸化性ガスを供給する場合、配列方向端側のカートリッジの温度は低くなりがちである。これに対し、上記(9)の構成によれば、配列方向端側の個別カートリッジに直接昇温用燃料ガスを不足なく供給できる。
【0017】
(10)一実施形態では、前記(8)又は(9)の構成において、
各々の前記第2ラインが、カートリッジ列の側方に配置された直線配管部を含み、前記複数の第2ラインの各々の前記直線配管部が前記カートリッジ列を挟んで前記カートリッジ列の両側に位置する。
上記(10)の構成によれば、列状に配置された複数のカートリッジの両側に第2ラインの直線配管部が配置されるため、第2ラインをコンパクト化できる。また、1個のカートリッジに収容された複数の燃料電池セルに対して共通の酸化性ガス流路が形成される場合、各カートリッジの両側から昇温用燃料ガスを供給できるため、各カートリッジに収容された複数の燃料電池セルに供給される昇温用燃料ガスの流量を調整できる。
【0018】
(11)一実施形態に係る発電システムは、
前記(1)〜(10)の何れかの構成を有する燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールから排気される排燃料ガスと排酸化性ガスとを用いて回転動力を発生させる回転機器と、
を備え、
前記燃料電池モジュールには、前記回転動力を用いて圧縮された前記酸化性ガスが供給され、前記燃料電池モジュールは、前記燃料ガスと前記圧縮された酸化性ガスを用いて発電する。
上記(11)の構成によれば、本開示に係る上記目的を達成しつつ、燃料電池モジュールに圧縮された酸化性ガスを供給できるので、発電効率を向上できると共に、燃料電池モジュールから排気される排燃料ガスと排酸化性ガスとを用いて回転動力を発生させるため、発電効率を向上できると共に、発電システムの所要動力を低減できる。
【0019】
(12)一実施形態では、前記(11)の構成において、
前記回転機器は、ガスタービン又はターボチャージャで構成される。
上記(12)の構成によれば、発電効率の向上及び発電システムの所要動力低減に加えて、回転機器がガスタービンであるため、燃料電池モジュールとガスタービンとで複合発電が可能になる。
【0020】
(13)一実施形態に係る燃料電池モジュールの運転方法は、
前記(1)〜(10)の何れかの構成を備える燃料電池モジュールの運転方法であって、
前記少なくとも1本の昇温用燃料ガス供給管から前記第2ラインを流れる前記酸化性ガスに前記燃料ガスを添加し、前記酸化性ガスを昇温させる昇温ステップを備える。
上記(13)の方法によれば、第2ラインは1以上の燃料電池セルに夫々接続されるため、上記昇温ステップを行うことで、モジュール内に設けられた複数の燃料電池セルの温度分布のばらつきを抑制できる。これによって、燃料電池セルの発電性能のばらつきを抑制して発電性能を向上できる。
【0021】
(14)一実施形態では、前記(13)の方法において、
前記昇温ステップにおいて、
前記燃料電池セルから排出される前記燃料ガスの少なくとも一部を前記第2ラインを流れる前記酸化性ガスに添加する。
上記(14)の方法によれば、燃料電池セルから排出される排燃料ガスを昇温用燃料ガスとして再利用できると共に、希釈された排燃料ガスを昇温用燃料ガス供給管に供給することで、各場所に配置された複数の昇温用燃料ガス供給管内の燃料ガスの濃度を調整できる。
【0022】
(15)一実施形態では、前記(13)又は(14)の方法において、
前記昇温ステップを前記燃料電池モジュールの起動時、定格発電時又は部分負荷時に行う。
上記(15)の方法によれば、上記昇温ステップを燃料電池モジュールの起動時、定格発電時又は部分負荷時に行うことで、モジュール内の複数の燃料電池セルにおける温度分布のばらつきを抑制できる。