特許第6943905号(P6943905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6943905-重合体粒子の分級方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943905
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】重合体粒子の分級方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/16 20060101AFI20210927BHJP
   B03B 5/28 20060101ALI20210927BHJP
   C08F 2/22 20060101ALN20210927BHJP
   C08F 20/18 20060101ALN20210927BHJP
   C08L 33/06 20060101ALN20210927BHJP
【FI】
   C08J3/16CER
   C08J3/16CEZ
   B03B5/28 A
   !C08F2/22
   !C08F20/18
   !C08L33/06
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-32752(P2019-32752)
(22)【出願日】2019年2月26日
(65)【公開番号】特開2019-183120(P2019-183120A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2020年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2018-68599(P2018-68599)
(32)【優先日】2018年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 智之
【審査官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−179680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00−3/28、99/00、B03B1/00−13/06、
B04B1/00 −15/12,
C08K3/00−13/08、C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積平均粒子径が1μm以下で、多分散度(体積平均粒子径/個数平均粒子径)が1.30以下である重合体粒子を含む分散液に対して、
下記式(1)における係数Kが1500以上5500以下となり、かつEが4500以下となる条件下で、ディスク式遠心分離機を用いることによって、
前記重合体粒子から粗大粒子を除去することを特徴とする重合体粒子の分級方法。
係数K={Σ×(r2)×|d1 −d2 |}/{T×(W2)×μ} 式(1)
但し、Σ=E×N×R
(式において、Σは分離沈降距離係数(G・m)、rは重合体粒子の体積平均粒子径の半径(nm)、|d1 −d2 |は固液物の比重差の絶対値(ただし、d1は重合体粒子の比重、d2は分散媒体の比重、d1 −d2 ≠0)、Tは原料フィード量(L/hr)、Wは分散液中の重合体粒子の固形分(%)、μは分散媒体の粘度(mPa・s)、Eは遠心力(G)、Rはディスク径(m)、Nはディスク枚数(枚))
【請求項2】
請求項1に記載の重合体粒子の分級方法であって、
前記式(1)におけるΣが8000以上であることを特徴とする重合体粒子の分級方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の重合体粒子の分級方法であって、
体積平均粒子径の5倍以上の粒子の濃度が100ppm未満である重合体粒子を得ることを特徴とする重合体粒子の分級方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体粒子の分級方法であって、
前記式(1)における|d1 −d2 |が0.1以上0.50以下であることを特徴とする重合体粒子の分級方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体粒子の分級方法であって、
前記分散液を濾過し、該分散液中の重合体粒子における粒子径が50μm以上の粒子の濃度を10ppm未満とした後に、
該分散液に対してディスク式遠心分離機を用いることを特徴とする重合体粒子の分級方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体粒子の分級方法であって、
前記重合体粒子が、粒子表面に反応性界面活性剤由来の親水性の官能基を有し、
前記分散液が、非反応性の界面活性剤を含まないことを特徴とする重合体粒子の分級方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体粒子の分級方法であって、
重合体粒子の回収率が70%以上であることを特徴とする重合体粒子の分級方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体粒子の分級方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学フィルム、化粧品、塗料、アンチブロッキング材、造孔材などの用途において用いられている重合体粒子は、当該粒子から粗大粒子や微小粒子を取り除いたり、精密に分級したりすることで、重合体粒子の均一性を向上させることが求められている。
【0003】
従来、このように、重合体粒子の均一性を向上させる分級技術としては、気流分級(例えば、特許文献1、2、3参照)や、遠心分離(例えば、特許文献4、5、6参照)、電荷分離(例えば、特許文献7参照)、沈降分離(例えば、特許文献8参照)、カプセルフィルター(例えば、特許文献9参照)やSPG膜(例えば特許文献10参照)等による湿式分離(例えば、特許文献11参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5478066号
【特許文献2】国際公開第2008/23648号
【特許文献3】特開2007−186721号公報
【特許文献4】特許第451796号
【特許文献5】特許第4386046号
【特許文献6】特許第5495038号
【特許文献7】特許第3076839号
【特許文献8】特開2012−206004号公報
【特許文献9】特開2012−30489号公報
【特許文献10】特開2015−62872号公報
【特許文献11】特開2001−252589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、気流分級の場合は、1μm以下の粒子の領域での分級は困難である。遠心分離の場合では、1μm以下の粒子の領域では分級することは可能ではあるものの、効率よく高精度で分級することは困難である。また、電荷分離の場合は、制御が困難であり回収効率も低く、沈降分離の場合は時間がかかり生産性に乏しく、湿式分離の場合は、粘性や濃度の高いものは分級し難くまた目詰まりを生じる為、生産性に不都合があった。
【0006】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、体積平均粒子径が1μm以下の重合体粒子中から、粗大粒子を効率よくかつ精度よく除去することができる、ディスク式遠心分離機を用いた重合体粒子の分級方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、多分散度(体積平均粒子径/個数平均粒子径)が1.30以下である重合体粒子を含む分散液を、ディスク式遠心分離機を用いて特定の条件下で分級することにより、上記課題を解決できることを見いだした。
【0008】
本発明の重合体粒子の分級方法は、体積平均粒子径が1μm以下で、多分散度(体積平均粒子径/個数平均粒子径)が1.30以下である重合体粒子を含む分散液に対して、下記式(1)における係数Kが1500以上となる条件下で、ディスク式遠心分離機を用いることによって、前記重合体粒子から粗大粒子を除去することを特徴とする。
係数K={Σ×(r2)×|d1 −d2 |}/{T×(W2)×μ} 式(1)
但し、Σ=E×N×R
(式において、Σは分離沈降距離係数(G・m)、rは重合体粒子の体積平均粒子径の半径(nm)、|d1 −d2 |は固液物の比重差の絶対値(ただし、d1は重合体粒子の比重、d2は分散媒体の比重、d1 −d2 ≠0)、Tは原料フィード量(L/hr)、Wは分散液中の重合体粒子の固形分(%)、μは分散媒体の粘度(mPa・s)、Eは遠心力(G)、Rはディスク径(m)、Nはディスク枚数(枚))
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、体積平均粒子径が1μm以下の重合体粒子中から、粗大粒子を効率よくかつ精度よく除去することができ、特に粗大粒子の存在が悪い影響を及ぼす電子部品用、精密機器用、光学フィルム用、薄膜フィルム用の添加剤や造孔材として有用な重合体粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の製造方法の一実施形態に用いるディスク式遠心分離機を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
〔重合体粒子〕
本発明の重合体粒子としては、アクリル系重合体粒子、スチレン系重合体粒子、脂肪酸ビニル系重合体粒子等のビニル系重合体粒子、ウレタン系重合体粒子、シリコン系重合体粒子、ナイロン系重合体粒子、ポリエステル系重合体粒子があげられる。
【0013】
上記ビニル系重合体粒子としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体;スチレン系単量体(芳香族ビニル系単量体);酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の飽和脂肪酸ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;無水マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸無水物;モノブチルマレイン酸等のエチレン系性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステル;上記エチレン性不飽和カルボン酸やエチレン系性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩等のエチレン性不飽和カルボン酸塩類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド類;N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチロール化ジアセトンアクリルアミド、及び、これら単量体と炭素数1〜8のアルコール類とのエーテル化物(例えば、N−イソブトキシメチルアクリルアミド)等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド類のメチロール化物及びその誘導体等を重合した重合体粒子が挙げられる。
【0014】
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル系単量体等の(メタ)アクリル酸アルキル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基(グリシジル基)を有する(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。なお、本出願書類において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを意味するものとする。
【0015】
上記スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられる。
【0016】
また、上記重合体粒子は、多官能の重合性ビニル系単量体によって架橋されていてもよい。多官能の重合性ビニル系単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら重合性ビニル系単量体は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら重合体粒子は粒子表面にスルホン酸やカルボン酸、アミノ基等やそれらの塩、水酸基等の親水性の官能基を有する場合、界面活性剤等を用いなくても分散媒体中に均一に分散するため、精度よく分級することができる。
【0017】
重合体粒子表面の親水性の官能基は、ビニル系重合体粒子の場合、ビニル系単量体を過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を用いて水性媒体中で重合する事や、親水性の官能基を有する反応性界面活性剤、具体的には、アリル基などの反応基を有する界面活性剤の存在下において水性媒体中で重合する事によって導入することができる。親水性の官能基としては、スルホン酸ナトリウムやスルホン酸アンモニウム等のスルホン酸塩、燐酸塩、カルボン酸塩が好適である。
【0018】
本発明で用いる重合体粒子の体積平均粒子径は、1μm以下で、多分散度(体積平均粒子径/個数平均粒子径)は1.30以下である。体積平均粒子径が1μm以下で多分散度(体積平均粒子径/個数平均粒子径)が1.30以下であれば、粒子径が小さく、均一となるため、高精度でかつ高効率で分級を行うことができる。高精度でかつ高効率で分級を行う観点から、体積平均粒子径は10〜500nmの範囲内であることが好ましい。同様の観点から、多分散度は、1.20以下であることが好ましく、1.10以下であることがより好ましい。重合体粒子の製造方法を選定するとともに、製造された重合体粒子をフィルター、限外濾過装置等で濾過することや、気流分級や遠心分離等で分級することにより、粒子径と多分散度(体積平均粒子径/個数平均粒子径)を上記範囲内とすることができる。
【0019】
さらに、ディスク式遠心分離機内のディスク間や機壁での粒子の飛び跳ねによる分級精度の低下を防止する点から、重合体粒子は、粒子径が500μm以上、好ましくは100μm以上、さらには50μm以上の重合体粒子を含まないことが好ましい。上記重合体粒子を除去するには、重合体粒子の分散液を開口径が100〜500μm、好ましくは50〜100μm、さらに好ましくは1〜50μmのフィルターで濾過することで除去することができる。
【0020】
また、本発明の重合体粒子は、分級精度の点から、それぞれの粒子間の比重が均一であるほうが好ましく、染料や顔料、油性成分は含まない方が好ましい。
【0021】
〔分散液〕
上記重合体粒子は、分散媒体に分散されて分級される。分散媒体としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、アセトン、イソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物等が挙げられ、この中でも、粘度が低く、安全性の点から、水、炭素数が1〜3の低級アルコールおよびそれらの混合物が好ましく用いられる。また、分散媒体は、重合体粒子との比重差が0.5以下となるように選定することにより、粗大粒子を効率よく除去することができる。この比重差は、0.4以下となるように選定することがより好ましく、0.3以下となるように選定することがさらに好ましい。また、この比重差は、0.05以上となるように選定することが好ましく、0.1以上となるように選定することがさらに好ましい。
【0022】
また、分散媒体中の重合体粒子の固形分は分級精度と分級効率の点から、固形分が5質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
【0023】
また、分散媒体中に気泡が含まれると分級精度が低くなることから、分散媒体は非反応性の界面活性剤を含まない方が好ましい。
【0024】
上記重合体粒子が分散した分散液を、係数Kが1500以上となる条件下で、ディスク式遠心分離機を用いて分級し、粗大粒子を除去する。
【0025】
〔ディスク式遠心分離機〕
本発明におけるディスク式遠心分離機は、特に限定されないが、例えば、図1に模式的に示したような構造を有するものが挙げられる。ディスク式遠心分離機Dは、遠心分離室(分級室)4を備えており、遠心分離室4には、モータ等の動力によって回転する回転軸6の周りに、下に開いた円錐台状のディスク(分離板)5が複数枚、所定の間隔をあけて積み重ねて設けられている。回転軸6の内部には処理液通路7が形成されている。また、遠心分離室4には、処理液通路7を介して処理液を供給するための処理液供給口3と、ディスク式遠心分離機Dの下部に位置する処理液出口1A、1Bと、ディスク式遠心分離機Dの上部に位置する処理液出口2A、2Bとが設けられている。
【0026】
ディスク式遠心分離機Dを用いた分級は、処理液供給口3からスラリー原液を供給した後、遠心分離室4において、スラリー原液を遠心分離することによって行われる。
【0027】
本発明において用いることができるディスク式遠心分離機としては、例えば、アルファラバル社製のAlfaPureシリーズ(固液分離タイプ)、三菱化工機社製のディスクセパレーターSJシリーズ、ウェストファリアセパレーター社製の自動排出型遠心分離機などがあげられる。 アルファラバル社製のAlfaPureシリーズの場合は、本体部の内部には、重合体粒子分散液の分級を行うための分級室が形成されており、分級室の内部には、略円錐形状(傘形状)の複数枚の分離板(ディスク)が上下方向に重ね合わされて設置されている。複数枚の分離板は、回転軸の軸方向に沿って上下方向にわずかな間隔(例えば0.5〜1.0mmの間隔)を空けて設置されており、複数枚の分離板によって、分級室に供給された重合体粒子分散液から粗大粒子を分離することを可能にするだけの大きな沈降面積が確保されている。
【0028】
回転軸は、本体部の底部に取り付けられており、本体部の底部を上下方向に貫通している。回転軸と底部との間にはメカニカルシールが設けられており、重合体粒子分散液が回転軸と底部との隙間から漏出しないようになっている。回転軸の内部にはその軸方向に沿って通路が形成されており、この通路を通って重合体粒子分散液が本体部の内部に供給されるようになっている。つまり、回転軸は中空軸となっており、この中空軸を介して本体部の内部に重合体粒子分散液を供給することができるようになっている。
【0029】
本発明におけるディスク式遠心分離機のディスク径は、特に限定されないが、一般的なディスク式遠心分離機におけるディスク径の観点から、0.1〜0.5mの範囲内であることが好ましい。また、ディスクの枚数も、特に限定されないが、一般的なディスク式遠心分離機におけるディスクの枚数の観点から、10〜50枚の範囲内であることが好ましい。
【0030】
〔分級方法〕
分級は、上記ディスク式遠心分離機の供給口に重合体粒子の分散液を供給し、下記式(1)におけるΣ、|d1 −d2 |、T、W、μを調整して、係数Kが1500以上となる条件下で行う。
係数K={Σ×(r2)×|d1 −d2 |}/{T×(W2)×μ} 式(1)
但し、Σ=E×N×R
(式において、Σは分離沈降距離係数(G・m)、rは重合体粒子の体積平均粒子径の半径(nm)、|d1 −d2 |は固液物の比重差の絶対値(ただし、d1は重合体粒子の比重、d2は分散媒体の比重、d1 −d2 ≠0)、Tは原料フィード量(L/hr)、Wは分散液中の重合体粒子の固形分(%)、μは分散媒体の粘度(mPa・s)、Eは遠心力(G)、Rはディスク径(m)、Nはディスク枚数(枚))
【0031】
係数Kが1500以上となる条件で分級することで、体積平均粒子径の5倍以上の粒子の個数を500ppm未満の個数割合にまで大幅に低減することができる。好ましくは、係数Kが2000以上となる条件で分級することで、体積平均粒子径の5倍以上の粒子の個数をより低減することができる。そして、体積平均粒子径の5倍以上の粒子の個数を、100ppm未満の個数割合にまで低減することが好ましい。上記係数Kは大きいほど、粗大粒子を除去しやすいが、分級効率(重合体粒子の回収効率)が低くなるため、係数Kは7000以下であることが好ましく、6000以下であることがより好ましく、5500以下であることが特に好ましい。
【0032】
ディスク式遠心分離機に分散液を供給した後、重合体粒子は分級され、d1 −d2 >0である場合には、処理液出口1A、B(本体部下部側面出口)から粗大粒子を含む分散液を除去して、処理液出口2A、B(本体部上部出口)から粗大粒子を除去した重合体粒子の分散液を回収し、d1 −d2 <0である場合には、処理液出口2A、Bから粗大粒子を含む分散液を除去して、処理液出口1A、Bから粗大粒子を除去した重合体粒子の分散液を回収することによって、体積平均粒子径が1μm以下で、多分散度(体積平均粒子径/個数平均粒子径)が1.30以下で、かつ前記体積平均粒子径の5倍以上の粒子個数が500ppm以下である重合体粒子が分散した分散液を得ることができる。分散液は、さらに乾燥することにより、体積平均粒子径が1μm以下で、多分散度(体積平均粒子径/個数平均粒子径)が1.30以下で、かつ前記体積平均粒子径の5倍以上の粒子個数が500ppm以下である重合体粒子の粉体とすることもできる。
【0033】
上記式(1)におけるΣ、T、μを調整するにあたっては、粗大粒子を効率よくかつ精度よく除去する観点から、Σは8000〜70000G・m、Tは10〜200L/hr、μは0.2〜2.0mPa・sの範囲内に調整することが好ましい。
【0034】
また、重合体粒子の回収率(分級効率)は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。そして、重合体粒子の回収率を70%以上とする観点から、Eが4500以下となる条件下で分級を行うことがより好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
〔重合体粒子の平均粒子径の測定方法〕
重合体粒子の平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「LS 13 320」)及びユニバーサルリキッドサンプルモジュールによって行う。
具体的には、重合体粒子分散液2.0gを0.1質量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)及び超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。
【0037】
測定は、ユニバーサルリキッドサンプルモジュール中でポンプ循環を行うことによって上記重合体粒子を分散させた状態、かつ、超音波ユニット(ULM ULTRASONIC MODULE)を起動させた状態で行い、粒子の体積平均粒子径(体積基準の
粒度分布における算術平均径)、個数平均粒子径(個数基準の粒度分布における算術平均径)を算出する。測定条件を下記に示す。
媒体=水
媒体の屈折率=1.333
固体の屈折率=粒子の屈折率
PIDS相対濃度:40〜55%程度
【0038】
なお、粒子の屈折率については、粒子を構成する重合体の屈折率を入力し測定を実施した。例えば、粒子を構成する重合体がポリメタクリル酸メチル又はポリメタクリル酸エチルである場合には、既知である屈折率1.495を入力し、粒子を構成する重合体がポリスチレンである場合には、既知である屈折率1.595を入力した。
【0039】
〔重合体粒子の分散液の分級前、分級後の固形分濃度の測定方法〕
重合体粒子を含む分散液を、ビーカーに5g精秤し、分散媒体の沸点に設定したオーブンで5時間乾燥させ、下記式にて固形分濃度を算出する。
固形分濃度(質量%)=(分散液を含む乾燥前のビーカーの質量−乾燥後のビーカー質量)÷ (分散液の質量)×100[%]
【0040】
〔遠心分級前の重合体粒子における、粒子径が50μm以上の粒子数の評価方法〕
重合によって得られた分散液の固形分を、限外濾過装置を利用して濃縮し、固形分が20%付近になるように加水によって微調整して、目開き45μmのメッシュ網にて濾過(粗分級)した後のスラリー中の重合体粒子(ディスク式遠心分離機にて分級する前のもの)を、SEM(走査電子顕微鏡)画像によって評価する。具体的には、撮影画面中に粒子がおよそ5000個となるように電子顕微鏡の倍率を調整後、SEM画像を40枚撮影する。撮影画像中の粒子総数と、粒子径が50μm以上に相当する粒子の数をカウントし、粒子総数に対する粗大粒子の濃度を算出する。
【0041】
〔体積平均粒子径の5倍以上の粒子数の評価方法〕
撮影画面中に粒子がおよそ2000個となるように電子顕微鏡の倍率を調整後、SEM画像を50枚撮影する。撮影画像中の粒子総数と体積平均粒子径の5倍以上に相当する粒子の数をカウントし、粒子総数に対する粗大粒子の濃度を算出する。
【0042】
〔実施例1〕
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコ重合器に、水性媒体としての水3000g中に反応性の界面活性剤としてのポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム32gを溶解したものと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル640gと、メタクルリル酸アリル160gとを仕込み、セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブルフラスコの内温を70℃に昇温した。さらにセパラブルフラスコの内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム4.00gを水50gに溶解させた水溶液を、セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、12時間重合反応させた。
【0043】
その後、得られた分散液の固形分は、限外濾過装置を利用して濃縮し、固形分が20%付近(20.3%)になるよう加水によって微調整して、目開き45μmのメッシュ網にて分級した後、20枚のディスクをセットしたアルファラバル社製ディスク式遠心分離機LAPX202にて、遠心力13000G、原料フィード量20L/hrの条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0044】
〔実施例2〕
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコ重合器に、水性媒体としての水3200g中に反応性の界面活性剤としてのポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム20gを溶解したものと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル680gと、メタクルリル酸アリル170gとを仕込み、セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブルフラスコの内温を650℃に昇温した。さらにセパラブルフラスコの内温を65℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム4.00gを水50gに溶解させた水溶液を、セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、12時間重合反応させた。
【0045】
その後、得られた分散液の固形分は、限外濾過装置を利用して濃縮し、固形分が20%付近(20.1%)になるよう加水によって微調整して、目開き45μmのメッシュ網にて濾過(粗分級)した後、20枚のディスクをセットしたアルファラバル社製ディスク式遠心分離機LAPX202にて、遠心力4000G、原料フィード量60L/hrの条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0046】
〔実施例3〕
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコ重合器に、水性媒体としての水1200gと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル60gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン0.60gとを仕込み、セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブルフラスコの内温を70℃に昇温した。さらにセパラブルフラスコの内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.32gを水50gに溶解させた水溶液を、セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、5時間重合反応させた。
【0047】
その後、新たにメタクリル酸メチル230gと、多官能ビニル系単量体としてのアリルメタクリレート(AMA)10gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン2.40gを予め溶解した混合液を重合反応液中に投入し、再度セパラブルフラスコの内部を窒素置換して、内温70℃の状態で後、セパラブルフラスコの内温を70℃に昇温した。セパラブルフラスコの内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム1.28gを水50gに溶解させた水溶液を、セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、12時間重合反応させ、重合体粒子分散液を得た。
【0048】
その後、得られた分散液の固形分は、限外濾過装置を利用して濃縮し、固形分が20%付近(19.8%)になるよう加水によって微調整して、目開き45μmのメッシュ網にて濾過(粗分級)した後、20枚のディスクをセットしたアルファラバル社製ディスク式遠心分離機LAPX202にて、遠心力3000G、原料フィード量100L/hrの条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0049】
〔実施例4〕
分散液の固形分を19.9%に調製し、分級条件を、遠心力4200Gに変更したこと以外は、上記実施例3と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0050】
〔実施例5〕
〈種粒子(1)の製造〉
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコ重合器に、水性媒体としての水1450gと、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてのメタクリル酸メチル250gと、分子量調整剤としてのn−オクチルメルカプタン2.5gとを仕込み、セパラブルフラスコの内容物を攪拌しながらセパラブルフラスコの内部を窒素置換し、セパラブルフラスコの内温を70℃に昇温した。さらにセパラブルフラスコの内温を70℃に保ちながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム1.50gを水50gに溶解させた水溶液を、セパラブルフラスコ内の内容物に添加した後、12時間重合反応させた。重合後の反応液を400メッシュ(目開き32μm)の金網で濾過し、固形分としてポリメタクリル酸エチルからなる種粒子(種粒子(1)という)を14質量%含有する分散液を作製した。この分散液に含まれる種粒子(1)は、体積平均粒子径が0.41μmの真球状粒子であった。
【0051】
〈重合体粒子の製造〉
攪拌機、温度計及び還流コンデンサーを備えたセパラブルフラスコ重合器に、アニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム(東邦化学株式会社製の「フォスファノール LO−529」)を純分として10g(2%/重合体粒子)添加したイオン交換水1500gを入れ、メタ(アク)リル酸エステル系単量体としてのアクリル酸ブチル(BA)350gと、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)150gと、連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカプタン5gと、重合開始剤としての2、2’-アゾビスイソブチロニトリル2.5gとを予め溶解して調整した単量体混合物を更に混合した。混合液中に高速分散・乳化機ホモミキサー(プライミクス株式会社製の「T.KホモミキサーMARK 2.5型」)を挿入し、8000rpmの回転数で10分間処理し乳化液を得た。この乳化液に、種粒子の製造例1で得られた種粒子(1)の分散液を、固形分(種粒子)として25.0g(分散液としては178.6g)となるように加え、30℃で2時間撹拌し、種粒子へ単量体混合物を吸収させた分散液を作製した。その後、その分散液の入ったセパラブルフラスコを加温し、内温が50℃の状態で5時間、次いで80℃の状態で3時間撹拌させながら重合反応を行い、重合体粒子分散液を得た。
【0052】
その後、得られた分散液の固形分は、限外濾過装置を利用して濃縮し、固形分が20%付近(20.0%)になるよう加水によって微調整して、目開き45μmのメッシュ網にて濾過(粗分級)した後、20枚のディスクをセットしたアルファラバル社製ディスク式遠心分離機LAPX202にて、遠心力1700G、原料フィード量160L/hrの条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0053】
〔実施例6〕
上記実施例5の〈重合体粒子の製造〉工程における、メタ(アク)リル酸エステル系単量体としてのアクリル酸ブチル(BA)350gと、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)150gを、スチレン450gと、多官能ビニル系単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)50gにかえ、分級条件を、遠心力1800G、原料フィード量160L/hrに変更したこと以外は、上記実施例5と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0054】
〔実施例7〕
分級条件を、原料フィード量200L/hrに変更したこと以外は、上記実施例3と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0055】
〔実施例8〕
分級条件を、遠心力1000Gに変更し、原料フィード量を130L/hrに変更したこと以外は、上記実施例5と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0056】
〔実施例9〕
分級条件を、遠心力6000Gに変更したこと以外は、上記実施例3と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0057】
〔実施例10〕
実施例3と同様にして重合体粒子分散液を得た後、得られた分散液の固形分を、限外濾過装置を利用して濃縮し、固形分が20%付近(20.0%)になるようイソプロピルアルコール(IPA)によって微調整して、目開き45μmのメッシュ網にて濾過(粗分級)した後、実施例3と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0058】
〔実施例11〕
実施例2と同様にして得られた重合体粒子分散液と、実施例3と同様にして得られた重合体粒子分散液とを、1対2の割合で混合し、混合して得られた分散液を、限外濾過装置を利用して濃縮し、固形分が20%付近(20.1%)になるよう加水によって微調整して、目開き45μmのメッシュ網にて濾過(粗分級)した。その後、実施例3と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0059】
〔実施例12〕
分散液の固形分を20.1%に調製し、分級条件を、遠心力5000Gに変更したこと以外は、上記実施例3と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0060】
〔比較例1〕
分級条件を、原料フィード量50L/hrに変更したこと以外は、上記実施例1と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0061】
〔比較例2〕
分級条件を、遠心力1000Gに変更したこと以外は、上記実施例3と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度、体積平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数を測定した。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0062】
〔比較例3〕
分散液の固形分が40.8%になるように調整し、分級条件を、遠心力1500Gに変更し、原料フィード量を130L/hrに変更し、係数Kが1090となる条件下で分級を行った以外は、上記実施例5と同じ条件で分級を行った。分級後の重合体粒子の平均粒子径、固形分濃度を測定した。また、重合体粒子10万個を3回測定し、平均粒子径の5倍以上の粗大重合体粒子の数をカウントした。分級前の物性を表1に、分級条件と分級後の物性を表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
表1及び表2に示す結果から、体積平均粒子径が1μm以下で、多分散度が1.30以下である重合体粒子を含む分散液について、係数Kが1500以上となる条件下で分級を行うことで、粗大粒子を効率よくかつ精度よく除去することができることがわかる。一方、係数Kが1500未満となる条件下で分級を行った比較例1〜3においては、分級後においても粗大粒子が多く残存していることがわかる。
【0066】
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、体積平均粒子径が1μm以下の重合体粒子中から、粗大粒子を効率よくかつ精度よく除去することができ、特に粗大粒子の存在が悪い影響を及ぼす電子部品用、精密機器用、光学フィルム用、薄膜フィルム用の添加剤や造孔材として有用な重合体粒子を得ることができる。
【符号の説明】
【0068】
1A 処理液出口1
1B 処理液出口1
2A 処理液出口2
2B 処理液出口2
3 処理液供給口
4 遠心分離室(分級室)
5 ディスク(分離板)
6 回転軸
7 処理液通路
D ディスク式遠心分離機
図1