特許第6943914号(P6943914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943914
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】電線カバー付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20210927BHJP
   H01R 13/56 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   H01R13/52 D
   H01R13/56
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-52469(P2019-52469)
(22)【出願日】2019年3月20日
(65)【公開番号】特開2020-155305(P2020-155305A)
(43)【公開日】2020年9月24日
【審査請求日】2020年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松村 薫
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−339114(JP,A)
【文献】 特開平10−199611(JP,A)
【文献】 特表2016−526777(JP,A)
【文献】 特開2016−035804(JP,A)
【文献】 特開2015−225771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/56−13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に接続された端子が収容される端子収容室を有し、後面から電線を引き出すハウジングと、
前記ハウジングの後面側に装着される筒状の電線カバーと、
を備えた電線カバー付きコネクタであって、
前記ハウジングの後面の前記端子収容室の開口部下側から下面の後側にかけて連通する水抜き通路が設けられ
前記ハウジングの下面の後端には、前記電線カバーを取り付けるカバー取付突起が設けられ、
前記カバー取付突起には、水抜き孔が設けられ、
前記ハウジングの下面の後側には、前記水抜き孔に連通する水抜き穴が設けられ、
前記カバー取付突起の前記水抜き孔と前記ハウジングの下面の前記水抜き穴とで前記水抜き通路が構成され、
前記カバー取付突起の前記水抜き孔は、補強リブにより分割形成され、
前記ハウジングの下面の前記水抜き穴も前記補強リブを境にして分割形成されていることを特徴とする電線カバー付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線カバー付きコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電線カバー付きコネクタとして、特許文献1に開示されたものがある。この電線カバー付きコネクタ1は、図8図9に示すように、電線7に接続された端子8が収容される端子収容室3を有し、後面2aから電線7を引き出すハウジング2と、このハウジング2の後面2a側に装着される筒状の電線カバー4と、を備えている。この電線カバー4は、筒状のカバー本体5と、このカバー本体5にヒンジ5aを介して設けられた一対の開閉部材6,6と、を有している。この一対の開閉部材6,6の内側面の後側には、蛇腹状のコルゲートチューブ9を係止する係止部6aを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−25684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の電線カバー付きコネクタ1では、電線7やコルゲートチューブ9より伝わってきた水がハウジング2の肉抜き溝2bに溜まってしまい、水を抜くことができない。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、電線等から伝わってきた水がハウジング側に浸入しようとしても外に排水することができる電線カバー付きコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電線に接続された端子が収容される端子収容室を有し、後面から電線を引き出すハウジングと、前記ハウジングの後面側に装着される筒状の電線カバーと、を備えた電線カバー付きコネクタであって、前記ハウジングの後面の前記端子収容室の開口部下側から下面の後側にかけて連通する水抜き通路が設けられ、前記ハウジングの下面の後端には、前記電線カバーを取り付けるカバー取付突起が設けられ、前記カバー取付突起には、水抜き孔が設けられ、前記ハウジングの下面の後側には、前記水抜き孔に連通する水抜き穴が設けられ、前記カバー取付突起の前記水抜き孔と前記ハウジングの下面の前記水抜き穴とで前記水抜き通路が構成され、前記カバー取付突起の前記水抜き孔は、補強リブにより分割形成され、前記ハウジングの下面の前記水抜き穴も前記補強リブを境にして分割形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電線等から伝わってきた水がハウジング側に浸入しようとしても水抜き通路を通して外に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の電線カバー付きコネクタを示す斜視図である。
図2】上記電線カバー付きコネクタの電線カバーを装着する前の状態を示す斜視図である。
図3】上記電線カバー付きコネクタのハウジングの側面図である。
図4】上記ハウジングの背面図である。
図5】上記ハウジングの底面図である。
図6】上記ハウジングの断面図である。
図7】上記電線カバー付きコネクタの断面図である。
図8】従来の電線カバー付きコネクタの分解斜視図である。
図9】上記従来の電線カバー付きコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態の電線カバー付きコネクタを示す斜視図、図2は電線カバー付きコネクタの電線カバーを装着する前の状態を示す斜視図、図3は電線カバー付きコネクタのハウジングの側面図、図4はハウジングの背面図、図5はハウジングの底面図、図6はハウジングの断面図、図7は電線カバー付きコネクタの断面図である。
【0011】
図1図2図7に示すように、電線カバー付きコネクタ10は、後面(背面)21bから電線40が引き出される合成樹脂製の雌ハウジング(ハウジング)20と、雌ハウジング20の後面21b側に装着される合成樹脂製で筒状の電線カバー30と、を備えている。
【0012】
図1図7に示すように、雌ハウジング20は、電線40に接続された雌端子(端子)41が収容される2つの端子収容室22を有したハウジング本体21と、このハウジング本体21の中央に一体突出形成され、内部に図示しない相手方の雄コネクタの雄ハウジングが嵌合される前面側と上面側が開口したフード部23と、ハウジング本体21の前側に嵌め込まれ、図示しない相手側の雄端子が差し込まれる端子挿入孔24aと雌端子41を係止するランス24bとを有する筒状のフロントホルダ24と、を備えている。
【0013】
図4図6図7に示すように、ハウジング本体21の端子収容室22には、後面21bに設けられた端子収容室22の円形の開口部22bから電線40の端末に接続された雌端子41が収容され、各端子収容室22と電線40との間は、電線40に装着されたゴム栓42によりシールされる。尚、ハウジング本体21の前面21aには、図示しない相手側の雄端子が差し込まれる端子挿入孔22aが端子収容室22に連通するように形成されている。
【0014】
また、図2に示すように、ハウジング本体21の両側面21c,21cの後端側には、カバー係止部としての凹状のカバー係止溝25,25が形成されている。また、ハウジング本体21の天井面21dには、相手方の雄ハウジングとの間を嵌合状態にロックするためのロックアーム26が設けられている。このロックアーム26の操作端26aは、フード部23の上面開口の後側に設けられている。
【0015】
さらに、ハウジング20の下面21eの後端には、カバー取付部としてのカバー取付突起27が設けられている。このカバー取付突起27の2つ端子収容室22,22の各開口部22bの下側には、水抜き孔28がカバー取付突起27を貫通するように一対設けられている。この一対の水抜き孔28,28の間には、補強リブ27aが形成されていて、この補強リブ27aを境にして水抜き孔28が分割形成されている。また、ハウジング20の下面21eの後側には、一対の水抜き孔28,28に連通する矩形で凹状の水抜き穴29が一対設けられている。即ち、ハウジング本体21の下面21eの水抜き穴29も補強リブ27aに対応する仕切壁29aを介して分割形成されている。これらカバー取付突起27の水抜き孔28とハウジング本体21の下面21eの水抜き穴29とで水抜き通路Aが構成されている。この水抜き通路Aは、ハウジング本体21の後面21bの2つ端子収容室22,22の各開口部22bの下側から下面20eの後側にかけて連通するように設けられている。
【0016】
図1図2図7に示すように、電線カバー30は、ハウジング本体21の両側面21c,21cの凹状のカバー係止溝25,25に取り付けられる略半円筒状の本体カバー31と、この本体カバー31と合体して筒状となった状態でハウジング20の下面21eのカバー取付突起27に取り付けられ、電線40が貫通したコルゲートチューブ45の前端側を覆う略半円筒状の蓋カバー35と、本体カバー31と蓋カバー35との間に設けられたヒンジ39と、を有している。
【0017】
本体カバー31の前側には、一対の取付部32,32が平行に垂直に延びるように一体形成されている。この各取付部32の内側には、ハウジング本体21の凹状のカバー係止溝25に嵌め込まれるハウジング係止部としての凸状のハウジング係止突起32aが設けられている。また、本体カバー31の内面には、コルゲートチューブ45の蛇腹状の凹部45aに係止される凸部33が設けられている。さらに、本体カバー31のヒンジ39と反対側の端部には、ロック穴34が設けられている。
【0018】
図7に示すように、蓋カバー35の内面の前側には、ハウジング本体21のカバー取付突起27に嵌め込まれるハウジング取付部としての凹状のハウジング取付溝36が設けられている。また、蓋カバー35の内面には、コルゲートチューブ45の蛇腹状の凹部45aに係止される凸部37が設けられている。さらに、図2に示すように、蓋カバー35のヒンジ39と反対側の端部には、ロック穴34にロックされるロック突起部38が設けられている。尚、本体カバー31と蓋カバー35が合体して筒状になったときに、本体カバー31の外側にある取付部32の下端側に形成された切欠き部32bに、蓋カバー35の外側の前部に形成された段差部36aが嵌め込まれるようになっている。
【0019】
以上実施形態の電線カバー付きコネクタ10によれば、コルゲートチューブ45や電線40より伝わってきた水が雌ハウジング20のハウジング本体21の後面21b側に浸入しようとしても、その水は、ハウジング本体21の後面21bの端子収容室22の開口部22bより下側から下面21eの後側にかけて連通する水抜き通路Aを通って外部へ排出される。これにより、コルゲートチューブ45や電線40からの水浸入をハウジング本体21の後面21b側で確実に防ぐことができる。
【0020】
また、ハウジング本体21のカバー取付突起27に一対の水抜き孔28,28が形成されているが、この一対の水抜き孔28,28は補強リブ27aを境にして分割形成され、補強リブ27aで補強されているため、電線カバー30が取り外す方向に引っ張られても、カバー取付突起27が破損することはなく、カバー取付突起27の強度が高められる。
【0021】
尚、前記実施形態によれば、カバー取付突起の水抜き孔とハウジング本体の下面に凹状の水抜き穴をそれぞれ2つ形成したが、それぞれ1つ形成しても良い。
【0022】
また、前記実施形態によれば、ハウジング本体の下面に凹状の水抜き穴を形成したが、ハウジング本体の下面側からカバー取付突起の水抜き孔にかけて連通する水抜き孔を形成しても良い。
【符号の説明】
【0023】
10 電線カバー付きコネクタ
20 雌ハウジング(ハウジング)
21b 後面
21e 下面
22 端子収容室
22b 開口部
27 カバー取付突起
27a 補強リブ
28 水抜き孔(水抜き通路)
29 水抜き穴(水抜き通路)
30 電線カバー
40 電線
41 雌端子(端子)
A 水抜き通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9