特許第6943915号(P6943915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943915
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】転圧機械
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   E01C19/26
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-59220(P2019-59220)
(22)【出願日】2019年3月26日
(65)【公開番号】特開2020-159040(P2020-159040A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2020年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】池田 豊
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 貴尚
(72)【発明者】
【氏名】菅嶋 進弥
【審査官】 東 芳隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−057596(JP,A)
【文献】 特開2017−057598(JP,A)
【文献】 特開平10−266115(JP,A)
【文献】 特開2013−053462(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0113543(US,A1)
【文献】 特開2009−108697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を締め固めるローラと、
前記ローラに噴霧する液剤を貯留するタンクを含む液剤タンクユニットと、
前記液剤タンクユニットに貯留される前記液剤を該液剤タンクユニットから排出するポンプを含む液剤ポンプユニットと、
機体の骨格を形成するフレームと、
前記フレーム上に設けられた運転席と、
前記運転席の前方下側に設けられた床板と、
前記床板の機体左右方向右側または左側に形成されるステップと、を備えた転圧機械おいて、
前記ステップの上側に、機体左右方向外側及び前後方向前側に開放する機械室が形成されており、
前記フレームは、
機体上下方向及び左右方向に延び、前記機械室の前後方向後側の面を形成する第1壁部材と、
機体上下方向及び前後方向に延び、前記機械室の左右方向内側の面を形成する第2壁部材と、を有し、
前記液剤タンクユニットは、前記機械室の機体前後方向後側に位置し、前記第1壁部材に沿って配設されており、
前記液剤ポンプユニットは、前記機械室の機体前後方向前側に位置し、前記第2壁部材に脱着可能に取り付けられる
ことを特徴とする転圧機械。
【請求項2】
前記フレームは、機体左右方向及び前後方向に延び、前記機械室の上下方向下側の面を形成する第3壁部材を有し、
前記液剤タンクユニットは、前記第3壁部材に脱着可能に取り付けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の転圧機械。
【請求項3】
前記タンクにおける前記ステップの上端から第1距離までの範囲に対応する位置には、機体前後方向後方に凹む凹部が形成されており、
前記凹部の機体前後方向前側の側面は、前記ステップの前端から後方に第2距離以上離間した位置に形成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の転圧機械。
【請求項4】
前記液剤タンクユニットは、前記タンクを支持する支持部材を有しており、
前記支持部材は、前記フレームに脱着可能に取り付けられる、
ことを特徴とする、請求項3に記載の転圧機械。
【請求項5】
前記タンクと前記支持部材との間には、緩衝部材が配設される、
ことを特徴とする、請求項4に記載の転圧機械。
【請求項6】
前記ポンプは、機体上下方向に延びてなる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の転圧機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転圧機械に係り、特に液剤噴霧装置の搭載性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば搭乗型の転圧機械である振動ローラには、車輪に液剤を噴霧する液剤噴霧装置が搭載されている。この液剤噴霧装置には、液剤タンク、液剤噴霧用のポンプ(液剤ポンプ)及びノズルが備えられており、ポンプを駆動することで液剤タンク内に貯留された液剤を車輪に噴霧することが可能である。
【0003】
また、振動ローラにおいては、液剤のほか、水を車輪に噴霧することも一般的であり、機体の前後方向中央に配設された搭乗用のステップの箇所の一部に水噴霧用のポンプ(水ポンプ)を配設するための機械室を形成し、水ポンプを駆動することで機体の後部に配設された水タンクに貯留された水を車輪に噴霧することが可能である(特許文献1)。
【0004】
ところで、振動ローラにおいては、水の噴霧量よりも液剤の噴霧量の方が少ないため、水タンクと比較して小型のタンクに液剤を貯留している。そこで、機体の左右に形成されたステップの箇所の一部にそれぞれ機械室を形成することで、左右いずれか一方の機械室に水噴霧用のポンプを配設し、他方の機械室に液剤ポンプ及び液剤タンクを配設することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−57596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に開示される技術では、機械室に水ポンプが配設されているが、水タンクは機体の後部に配設されている。したがって、水ポンプと同様に液剤ポンプを配設すると、液剤タンクを配設する位置によっては液剤タンクを外さなければ液剤ポンプの脱着が困難になるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液剤ポンプの脱着を容易に行うことができる転圧機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の転圧機械は、地面を締め固めるローラと、前記ローラに噴霧する液剤を貯留するタンクを含む液剤タンクユニットと、前記液剤タンクユニットに貯留される前記液剤を該液剤タンクユニットから排出するポンプを含む液剤ポンプユニットと、機体の骨格を形成するフレームと、前記フレーム上に設けられた運転席と、前記運転席の前方下側に設けられた床板と、前記床板の機体左右方向右側または左側に形成されるステップと、を備えた転圧機械おいて、前記ステップの上側に、機体左右方向外側及び前後方向前側に開放する機械室が形成されており、前記フレームは、機体上下方向及び左右方向に延び、前記機械室の前後方向後側の面を形成する第1壁部材と、機体上下方向及び前後方向に延び、前記機械室の左右方向内側の面を形成する第2壁部材と、を有し、前記液剤タンクユニットは、前記機械室の機体前後方向後側に位置し、前記第1壁部材に沿って配設されており、前記液剤ポンプユニットは、前記機械室の機体前後方向前側に位置し、前記第2壁部材に脱着可能に取り付けられることを特徴とする。
【0009】
これにより、機体左右方向外側及び前後方向前側に開放する機械室の第1壁部材に沿うように液剤タンクユニットを配設し、機械室の機体前後方向前側に、第2壁部材に脱着可能に液剤ポンプユニットを取り付けることで、液剤タンクユニットを取り外すことなく液剤ポンプユニットを取り外すことができるので、例えば液剤ポンプユニットが故障したときに簡単に液剤ポンプユニットを交換することが可能とされる。
【0010】
その他の態様として、前記フレームは、機体左右方向及び前後方向に延び、前記機械室の上下方向下側の面を形成する第3壁部材を有し、前記液剤タンクユニットは、前記第3壁部材に脱着可能に取り付けられるのが好ましい。
【0011】
これにより、液剤タンクユニットを第3壁部材に脱着可能に取り付けることで、液剤ポンプユニットを取り外すことなく液剤タンクユニットを取り外すことが可能とされる。
【0012】
その他の態様として、前記タンクにおける前記ステップの上端から第1距離までの範囲に対応する位置には、機体前後方向後方に凹む凹部が形成されており、前記凹部の機体前後方向前側の側面は、前記ステップの前端から後方に第2距離以上離間した位置に形成されるのが好ましい。
【0013】
これにより、タンクにおけるステップの上端から第1距離までの範囲に形成された機体前後方向後方に凹む凹部の前側の側面がステップの前端から後方に第2距離以上離間した位置に形成されることで、例えば操作者が機体に搭乗する際、ステップに足をかけるときに必要な距離として第1距離及び第2距離を用い、ステップの実用範囲を確保することが可能とされる。
【0014】
その他の態様として、前記液剤タンクユニットは、前記タンクを支持する支持部材を有しており、前記支持部材は、前記フレームに脱着可能に取り付けられるのが好ましい。
【0015】
これにより、タンクを支持する支持部材がフレームに脱着可能に取り付けられることで、タンクを支持部材に支持されるよう取り付けたあと、支持部材をフレームに取り付けるようにして液剤タンクユニットをフレームに取り付けることができ、機体への液剤タンクユニットの脱着容易性を向上させることが可能とされる。
【0016】
その他の態様として、前記タンクと前記支持部材との間には、緩衝部材が配設されるのが好ましい。
これにより、タンクと支持部材との間に緩衝部材を配設することで、機体の振動等がタンクに伝達してタンクが破損することを抑制することが可能とされる。
【0017】
その他の態様として、前記ポンプは、機体上下方向に延びてなるのが好ましい。
これにより、ポンプが機体上下方向に延びるよう配設されることで、機械室における機体前後方向のスペースを良好に保つことが可能とされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の転圧機械によれば、機体左右方向外側及び前後方向前側に開放する機械室の第1壁部材に沿うように液剤タンクユニットを配設し、機械室の液剤タンクユニットを挟んで第1壁部材とは反対側に、第2壁部材に脱着可能に液剤ポンプユニットを取り付けるようにしたので、液剤タンクユニットを取り外すことなく液剤ポンプユニットを取り外すことができ、例えば液剤ポンプユニットが故障したときに簡単に液剤ポンプユニットを交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る機体の側面図である。
図2】液剤タンクユニット及び液剤ポンプユニットが配設された機械室の斜視図である。
図3】液剤タンクユニット及び液剤ポンプユニットが配設された機械室の側面図である。
図4】液剤タンクユニットの分解斜視図である。
図5】液剤ポンプユニットの分解斜視図である。
図6】機体左右方向外側から視た液剤ポンプユニットの脱着方法を説明する説明図である。
図7】機体左右方向外側から視た液剤タンクユニットの脱着方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照すると、本発明に係る機体1の側面図が示されている。
【0021】
機体1は、前部転圧輪2を備えた前部フレーム3と後部転圧輪(ローラ)4を備えた後部フレーム(フレーム)5とから構成された振動ローラである。これらの前部フレーム3と後部フレーム5とは、センタピン6を介して水平方向に屈曲可能なアーティキュレート式に連結され、相互に屈曲することで車両を旋回させるようになっている。前部転圧輪2はほぼ車幅と対応する長さを有する金属ドラムから構成され、後部転圧輪4は計4本のゴムタイヤから構成されている。
【0022】
後部フレーム5上の前側位置にはステアリング7を備えた操作台8が床板11上に設置され、操作台(操作席)8の後側には運転席9が後部フレーム5上に設置されている。運転席9に着座した操作者はステアリング7及び操作台両脇の前後進レバー10を操作し、その操作に応じて、前部フレーム3内に搭載されたエンジンで駆動されるHST(Hydro Static Transmission)を動力源として機体1が走行するようになっている。すなわち、機体1は、操作者の操作により走行することで、前部転圧輪2及び後部転圧輪4により地面100を締め固めることが可能である。
【0023】
後部フレーム5の機体前後方向前側の左右には、ステップ12が形成されている。これにより、操作者は、ステップ12によって機体1に搭乗し、運転席9に着座して操作台8を操作することが可能である。
【0024】
図2を参照すると、液剤タンクユニット22及び液剤ポンプユニット24が配設された機械室13の斜視図が示されている。また、図3を参照すると、液剤タンクユニット22及び液剤ポンプユニット24が配設された機械室13の側面図が示されている。また更に、図4、5を参照すると、液剤タンクユニット22及び液剤ポンプユニット24の分解斜視図が示されている。
【0025】
ここで、図3によると、ステップ12の上側には、機械室13が形成されている。詳しくは、機械室13は、機体上下方向及び左右方向に延び、後部転圧輪4の前方及び上方を覆うホイルハウス(第1壁部材)5a、上下方向及び前後方向に延び、後部フレーム5の左右方向中央の骨格であるセンタフレーム(第2壁部材)5b、左右方向及び前後方向に延び、ホイルハウス5aの下端から延設される下端部(第3壁部材)5c及び床板11によって形成されている。すなわち、機械室13は、ホイルハウス5aにより後面が、センタフレーム5bにより左右方向内側の面が、下端部5cにより下面が、床板11により上面がそれぞれ形成されている。
【0026】
また、機械室13は、機体左右方向外側及び前後方向前側は覆われておらず開放している。なお、機械室13の機体左右方向外側及び前後方向前側に、扉等の簡単に開放可能なカバーを設けるようにしてもよい。
【0027】
図1に戻り、後部フレーム5には、液剤噴霧装置20が搭載されている。この液剤噴霧装置20は、液剤タンクユニット22、液剤ポンプユニット24及び噴霧ノズル26を備えており、作動することで噴霧ノズル26から後部転圧輪4に液剤を噴霧することが可能である。
【0028】
図2〜4によると、液剤タンクユニット22は、タンク支持部材(支持部材)31、タンク33、キャップ35及び固定ベルト37を備えており、機械室13の機体前後方向後側に配設されている。タンク支持部材31は、ホイルハウス5aに沿う縦壁31a、下端部5cに沿う底壁31b、底壁31bから機体上下方向下方に延びるスタッドボルト31c及び固定ベルト37が取り付けられる取付部31dが形成された板状の部材である。
【0029】
タンク33は、液剤を貯留する貯留槽であり、機体前後方向後側の面及び上下方向下側の面がタンク支持部材31に沿うように形成されている。また、タンク33には、上下方向上端に液剤を補給するための補給口33a、上下方向中央に固定用凹部33b及び下部にステップ用凹部(凹部)33cが形成されている。固定用凹部33bは、タンク33をタンク支持部材31に固定する際に固定ベルト37がタンク33に接触する部分である。なお、ステップ用凹部33cについては後述する。
【0030】
キャップ35は、補給口33aを覆うことが可能な蓋部材である。このキャップ35は、床板11に設けられたカバー11aを開放することで補給口33aと脱着することが可能である。
【0031】
ここで、タンク支持部材31とタンク33との間には、緩衝部材32が配設されている。詳しくは、緩衝部材32は、タンク支持部材31における縦壁31aの機体前後方向前側の面及び底壁31bの上下方向上側の面にそれぞれ備えられており、タンク支持部材31からタンク33に伝達する機体1の振動等を緩和することができる。
【0032】
固定ベルト37は、機体上方から視て前後方向後側について開口するコの字状の部材である。この固定ベルト37は、左右方向左側の一端37aをタンク支持部材31の取付部31dに係止し、タンク33の固定用凹部33bに沿わせたあと、他端37bを取付部31dに例えばボルト37cで締め付けることで締め付け度合を調整しつつタンク33をタンク支持部材31に固定することができる。また、固定ベルト37のタンク33に接触する部分には、緩衝部材38が設けられており、固定ベルト37からタンク33に伝達する機体1の振動等を緩和することができる。なお、固定ベルト37によるタンク33をタンク支持部材31に固定する手順については一例であり、適宜順序を変更してもよい。
【0033】
したがって、液剤タンクユニット22は、タンク支持部材31に固定ベルト37を用いてタンク33を取り付けることで、一体に構成することができる。
【0034】
図2、3及び図5によると、液剤ポンプユニット24は、ポンプ支持部材41、ポンプ43、吸入配管45及び排出配管47を備えており、機械室13の機体前後方向前側に配設されている。ポンプ支持部材41は、センタフレーム5bに沿うように形成された平板部材である。このポンプ支持部材41は、機体前後方向前側の端部に吸入配管45を取り付けるための吸入取付部41a及び排出配管47を取り付けるための排出取付部41bが形成されている。
【0035】
ポンプ43は、稼働することで吸入部43aから液剤を吸入し、排出部43bから液剤を排出する例えば電動のポンプであり、機体上下方向に延びて配設されている。また、ポンプ43には、ポンプ取付部43cが設けられており、ポンプ取付部43cによってポンプ支持部材41に取り付けられている。
【0036】
吸入配管45は、一端45aがタンク33の排出口33dに接続する配管に、他端45bがポンプ43の吸入部43aに、液剤を流通可能に接続する配管部材である。この吸入配管45は、ストレーナ45cが設けられており、液剤に含まれるゴミ等を取り除くことが可能である。また、吸入配管45は、吸入取付ブラケット45dが設けられており、吸入取付ブラケット45dによってポンプ支持部材41の吸入取付部41aに取り付けられている。
【0037】
排出配管47は、一端47aが噴霧ノズル26に接続する配管に、他端47bがポンプ43の排出部43bに、液剤を流通可能に接続する配管部材である。この排出配管47には、タンク33の戻し口33eに接続する戻し部47c及び戻し部47cの開度を調整する流量制御弁47dが設けられており、流量制御弁47dにより開度を調整しつつ戻し部47cを開放することで、一端47aから排出される液剤の量を調整する、換言すると、噴霧ノズル26から噴霧される液剤の流量を調整することができる。また、排出配管47は、排出取付金具47eが設けられており、排出取付金具47eによってポンプ支持部材41の排出取付部41bに取り付けられている。
【0038】
したがって、液剤ポンプユニット24は、ポンプ支持部材41にポンプ43、吸入配管45及び排出配管47を取り付けることで、一体に構成することができる。
【0039】
図3によると、液剤タンクユニット22は、上記のように固定ベルト37によってタンク支持部材31にタンク33を固定して一体に形成されたあと、機体1における機械室13の機体前後方向後側に取り付けられる。このとき、液剤タンクユニット22は、タンク支持部材31の底壁31bが下端部5cの上側に位置するよう配設され、スタッドボルト31cに下端部5cの下方からナット31eを螺合して(例えば3か所)、下端部5cに固定される。したがって、液剤タンクユニット22は、機体上下方向下側が機体1に取り付けられて固定されている。
【0040】
また、液剤ポンプユニット24は、上記のように一体に形成されたあと、機体1における機械室13の機体前後方向前側に取り付けられる。このとき、液剤ポンプユニット24は、ポンプ支持部材41がセンタフレーム5bの機体左右方向右側、すなわち機体左右方向外側に位置するよう配設され、ボルト41c(例えば3本)によりセンタフレーム5bに固定される。したがって、液剤タンクユニット22は、機体左右方向内側が機体1に取り付けられて固定されている。
【0041】
図6を参照すると、機体左右方向外側から視た液剤ポンプユニット24の脱着方法を説明する説明図が示されている。また、図7を参照すると、機体左右方向外側から視た液剤タンクユニット22の脱着方法を説明する説明図が示されている。以下、図2、3、6及び図7に沿い、液剤タンクユニット22及び液剤ポンプユニット24を交換するための脱着方法について説明する。
【0042】
図6によると、液剤ポンプユニット24を機体1から取り外すとき、まず、タンク33の排出口33dに接続する配管及び噴霧ノズル26に接続する配管から吸入配管45の一端45a及び排出配管47の一端47aをそれぞれ取り外す。次に、ポンプ支持部材41とセンタフレーム5bとを固定するボルト41cを取り外す。これにより、液剤ポンプユニット24は、機体1と配管やボルト41cによる接続が解除される。
【0043】
そして、液剤ポンプユニット24を機械室13から取り外す。ここで、機械室13は、機体左右方向外側及び前後方向前側が開放している。したがって、液剤ポンプユニット24は、機械室13の機体前後方向前側から引き抜くようにすることで、液剤タンクユニット22を取り外すことなく機械室13から取り出すことができる。
【0044】
また、機体左右方向外側から視ると、液剤ポンプユニット24は、液剤タンクユニット22と重ならない位置に配設されている。したがって、液剤ポンプユニット24は、機械室13の機体左右方向外側から引き抜くようにして機械室13から取り出すこともできる。そして、上記液剤ポンプユニット24の取り外し態様と同様に、液剤タンクユニット22を取り外すことなく、液剤ポンプユニット24を機械室13に格納して機体1に取り付けることができる。
【0045】
図7によると、液剤タンクユニット22を機体1から取り外すとき、まず、タンク33の排出口33d及び戻し口33eに接続する配管をそれぞれ取り外す。次に、スタッドボルト31cに螺合するナット31eを取り外す。これにより、液剤タンクユニット22は、機体1と配管やナット31eによる接続が解除される。
【0046】
ところで、図3によると、タンク33のステップ用凹部33cは、ステップ12の上端から機体上下方向に第1距離L1までの範囲に対応する位置に形成されている。また、ステップ用凹部33cの側面は、ステップ12の前端から後方に第2距離L2離間した位置に形成されている。またさらに、図2によると、ステップ12の機体左右方向外側の端部から液剤ポンプユニット24の左右方向外側の端部(例えばポンプ43の左右方向外側の端部)までは、第3距離L3離間している。
【0047】
そして、図6で説明したときと同様に機体左右方向外側から視ると、液剤ポンプユニット24は、液剤タンクユニット22と重ならない位置に配設されている。また、液剤タンクユニット22は、タンク支持部材31の下側に形成されたスタッドボルト31cに、下端部5cの下方からナット31eを螺合して固定されているので、下端部5cの下方からナット31eを取り外すことで、下端部5cから液剤タンクユニット22を取り外すことができる。
【0048】
したがって、液剤ポンプユニット24を取り外すことなく、液剤タンクユニット22は、機械室13の機体左右方向外側及び前側から引き抜くようにして機械室13から取り出すことができる。そして、上記液剤ポンプユニット24の取り外し態様と同様に、液剤ポンプユニット24を機械室13に格納して機体1に取り付けることもできる。
【0049】
ここで、上記にて説明した第1距離L1、第2距離L2及び第3距離L3は、例えばISO2867に規定されるようなアクセスシステム規格の要件を満足する距離である。これにより、ステップ12の第1距離L1、第2距離L2及び第3距離L3に係る範囲に液剤タンクユニット22や液剤ポンプユニット24を位置させないようにして、ステップ12の実用範囲を確保することができる。ゆえに、操作者がステップ12により機体1に搭乗するとき、操作者は、ステップ12に容易に足を置くことができる。
【0050】
以上説明したように、本発明に係る転圧機械では、地面を締め固める後部転圧輪4と、後部転圧輪4に噴霧する液剤を貯留するタンク33を含む液剤タンクユニット22と、液剤タンクユニット22に貯留される液剤を該液剤タンクユニット22から排出するポンプ43を含む液剤ポンプユニット24と、機体1の骨格を形成する後部フレーム5と、後部フレーム5上に設けられた運転席9と、運転席9の前方下側に設けられた床板11と、床板11の機体左右方向右側または左側に形成されるステップ12と、を備えた転圧機械おいて、ステップ12の上側に、機体左右方向外側及び前後方向前側に開放する機械室13が形成されており、後部フレーム5は、機体上下方向及び左右方向に延び、機械室13の前後方向後側の面を形成するホイルハウス5aと、機体上下方向及び前後方向に延び、機械室13の左右方向内側の面を形成するセンタフレーム5bと、を有し、液剤タンクユニット22は、機械室13の機体前後方向後側に位置し、ホイルハウス5aに沿って配設されており、液剤ポンプユニット24は、機械室13の機体前後方向前側に位置し、センタフレーム5bに脱着可能に取り付けられる。
【0051】
従って、機体左右方向外側及び前後方向前側に開放する機械室13のホイルハウス5aに沿うように液剤タンクユニット22を配設し、機械室13の機体前後方向前側に、センタフレーム5bに脱着可能に液剤ポンプユニット24を取り付けるようにしたので、液剤タンクユニット22を取り外すことなく液剤ポンプユニット24を取り外すことができ、例えば液剤ポンプユニット24が故障したときに簡単に液剤ポンプユニット24を交換することができる。
【0052】
そして、後部フレーム5は、機体左右方向及び前後方向に延び、機械室13の上下方向下側の面を形成する下端部5cを有し、液剤タンクユニット22は、下端部5cに脱着可能に取り付けられたので、液剤ポンプユニット24を取り外すことなく液剤タンクユニット22を取り外すことができる。
【0053】
そして、タンク33におけるステップ12の上端から第1距離L1までの範囲に対応する位置には、機体前後方向後方に凹むステップ用凹部33cが形成されており、ステップ用凹部33cの機体前後方向前側の側面は、ステップ12の前端から後方に第2距離L2以上離間した位置に形成されたので、例えば操作者が機体1に搭乗する際、ステップ12に足をかけるときに必要な距離として第1距離L1及び第2距離L2を用い、ステップ12の実用範囲を確保することができる。
【0054】
そして、液剤タンクユニット22は、タンク33を支持するタンク支持部材31を有しており、タンク支持部材31は、後部フレーム5に脱着可能に取り付けられたので、タンク33をタンク支持部材31に支持されるよう取り付けたあと、タンク支持部材31を後部フレーム5に取り付けるようにして液剤タンクユニット22を後部フレーム5に取り付けることができ、機体1への液剤タンクユニット22の脱着容易性を向上させることができる。
【0055】
そして、タンク33とタンク支持部材31との間には、緩衝部材32が配設されたので、機体1の振動等がタンク33に伝達してタンク33が破損することを抑制することができる。
そして、ポンプ43は、機体上下方向に延びるよう配設されたので、機械室13における機体前後方向のスペースを良好に保つことができる。
【0056】
以上で本発明に係る転圧機械の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態では、機体1を振動ローラとして説明したが、マカダムローラやタイヤローラ等の締固め機械であってもよい。
【0057】
また、本実施形態では、タンク支持部材31及びポンプ支持部材41によってタンク33及びポンプ43を支持するようにしたが、タンク支持部材31とタンク33及びポンプ支持部材41とポンプ43をそれぞれ一体に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 機体
4 後部転圧輪(ローラ)
5 後部フレーム(フレーム)
5a ホイルハウス(第1壁部材)
5b センタフレーム(第2壁部材)
5c 下端部(第3壁部材)
9 運転席
11 床板
12 ステップ
13 機械室
22 液剤タンクユニット
24 液剤ポンプユニット
31 タンク支持部材(支持部材)
32 緩衝部材
33 タンク
33c ステップ用凹部(凹部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7