(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1化合物における励起状態の一重項エネルギー準位は、前記第2化合物における励起状態の一重項エネルギー準位より高く、前記第1化合物にける励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第2化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高い、請求項1に記載の有機発光ダイオード。
前記第3化合物における励起状態の一重項エネルギー準位は、前記第2化合物における励起状態の一重項エネルギー準位より高く、前記第3化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第2化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高い、請求項1に記載の有機発光ダイオード。
前記第3化合物における励起状態の一重項エネルギー準位は、前記第4化合物における励起状態の一重項エネルギー準位より高い、請求項1に記載の有機発光ダイオード。
前記第2化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第4化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高い、請求項1に記載の有機発光ダイオード。
前記第3化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第5化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高く、前記第5化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第4化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高い、請求項1に記載の有機発光ダイオード。
前記第2発光物質層は、前記第1電極と前記第1発光物質層の間に位置し、前記発光ユニットは、前記第1電極と前記第2発光物質層の間に位置する電子遮断層をさらに含む、請求項1または9に記載の有機発光ダイオード。
前記第2発光物質層は、前記第1発光物質層と前記第2電極の間に位置し、前記発光ユニットは、前記第2電極と前記第2発光物質層の間に位置する正孔遮断層をさらに含む、請求項1または9に記載の有機発光ダイオード。
前記第6化合物における励起状態の一重項エネルギー準位は、前記第7化合物における励起状態の一重項エネルギー準位より高く、前記第6化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第7化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高く、前記第7化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第8化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高い、請求項15に記載の有機発光ダイオード。
前記第2化合物における励起状態の三重項エネルギー準位および前記第7化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、それぞれ前記第1化合物における励起状態の三重項エネルギー準位、前記第3化合物における励起状態の三重項エネルギー準位、および前記第6化合物における励起状態の三重項エネルギー準位のそれぞれより低く、前記第4化合物における励起状態の三重項エネルギー準位および前記第8化合物における励起状態の三重項エネルギー準位のそれぞれより高い、請求項15に記載の有機発光ダイオード。
前記第2化合物における励起状態の一重項エネルギー準位および前記第7化合物における励起状態の一重項エネルギー準位は、それぞれ前記第4化合物における励起状態の一重項エネルギー準位、および前記第8化合物における励起状態の一重項エネルギー準位のそれぞれより高い、請求項15に記載の有機発光ダイオード。
前記第1化合物における励起状態の一重項エネルギー準位は、前記第2化合物における励起状態の一重項エネルギー準位より高く、前記第1化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第2化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高く、
前記第3化合物における励起状態の一重項エネルギー準位は、前記第4化合物における励起状態の一重項エネルギー準位より高く、
前記第6化合物における励起状態の一重項エネルギー準位は、前記第7化合物における励起状態の一重項エネルギー準位より高く、前記第6化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第7化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高く、
前記第7化合物における励起状態の三重項エネルギー準位は、前記第8化合物における励起状態の三重項エネルギー準位より高い、請求項15に記載の有機発光ダイオード。
前記第2発光物質層は、前記第1電極と前記第1発光物質層の間に位置し、前記発光ユニットは、前記第1電極と前記第2発光物質層の間に位置する電子遮断層をさらに含む、請求項14に記載の有機発光ダイオード。
前記第2発光物質層は、前記第2電極と前記第1発光物質層の間に位置し、前記発光ユニットは、前記第2電極と前記第2発光物質層の間に位置する正孔遮断層をさらに含む、請求項14に記載の有機発光ダイオード。
前記下部の発光物質層と前記上部の発光物質層のうち、少なくともいずれか1つは、前記第1発光物質層を介在して、前記第2発光物質層の反対側に位置する第3発光物質層をさらに含む、請求項28に記載の有機発光ダイオード。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明について説明する。
発光物質層に適用された発光物質の外部量子効率(External Quantum Efficiency、EQE、η
ext)は、下記の式で演算することができる。
ηe
xt=η
S/T×Γ×Φ×η
out−coupling
η
S/Tは、励起子生成効率(Singlet/Triplet ratio)であり、Γは、電荷バランス因子(Charge Balance Factor)であり、Φは、放射量子効率(Radiative Quantum Efficiency)であり、η
out−couplingは、光抽出効率(Out−Coupling Efficiency)である。
【0020】
励起子生成効率(η
S/T)とは、生成された励起子が光に変換される比率であり、蛍光物質の場合は、最大0.25という制限された値を持つ。理論上、正孔と電子が出会って励起子を形成する際、スピンの配列により、対スピンの一重項励起子(Singlet exciton)と不対スピンの三重項励起子(Triplet exciton)が1:3の割合で生成される。蛍光物質では、一重項励起子のみが発光に寄与し、残り75%の三重項励起子は発光に寄与しないため、励起子生成効率は最大0.25に過ぎない。
【0021】
電荷バランス因子(Γ)とは、励起子を形成する正孔と電子のバランスを意味するが、一般に、100%の1:1マッチングを仮定して値「1」を有する。放射量子効率(Φ)とは、実際に発光物質の発光効率に関与する値であって、ホスト-ドーパントシステムでは、ドーパントの光ルミネセンス(Photoluminescence、PL)に依存する。
【0022】
光抽出効率(η
out−coupling)とは、発光物質から発光された光のうち、外部へ抽出される光の割合である。一般に、等方性発光物質を熱蒸着して薄膜を形成する場合、個々の発光分子は、一定の方向性を持たず、無秩序な状態で存在する。かかる無秩序な配列状態における光抽出効率は、一般的に0.2であると仮定する。
【0023】
したがって、前記式で表す4つの要素を組み合わせると、蛍光物質を用いた有機発光ダイオードの最大発光効率は、約5%に過ぎない。蛍光物質による低効率を解決するため、燐光物質が開発された。燐光物質は、一重項エネルギーと三重項エネルギーを全て光に変換させる発光メカニズムを有している。
【0024】
ところが、一般に燐光材料に用いられる金属錯体化合物は、高価である上に寿命が非常に短いので、商用化するには限界があった。特に、青色燐光素材は、色純度が表示装置に適用するには難しい水準であり、また寿命も商用化のレベルに達していない。特にホストの材料は、青色燐光ドーパントの三重項エネルギーがホストへ遷移することを防止するため、燐光ドーパントの三重項エネルギーより高くなければならない。しかしながら、有機芳香族化合物は、共役が伸びたり、環が縮合したりした場合、三重項エネルギーが急激に低くなるため、青色燐光ホストに活用できる有機化合物は極めて制限される。
【0025】
また、三重項エネルギーの高い燐光ホストは、電荷注入や電荷輸送がスムーズに行われないことから高い駆動電圧を要することになり、その結果、消費電力の面で悪影響を与えることになる。さらに、高い駆動電圧を必要とするので、発光物質層を構成する物質に電気的なストレスが与えられ、ホストとドーパントの変形を引き起こし、素子の寿命にも悪影響を及ぼす。このように、特に青色の燐光物質の場合は、産業界で求められる発光効率および信頼性を満たしていない。
【0026】
最近は、従来の蛍光ドーパントと燐光ドーパントが有する問題を解決できる、いわゆる遅延蛍光物質が開発された。代表的な遅延蛍光物質に、熱活性遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence;TADF)を用いる。遅延蛍光物質は、分子内電荷移動が可能であり、発光過程において一重項エネルギーと三重項エネルギーを全て利用することができる。このように、遅延蛍光物質は、燐光物質と同様、発光過程において一重項エネルギーと三重項エネルギーを全て活用するので、発光効率が優れる。
【0027】
しかしながら、遅延蛍光物質は、三重項エネルギーも発光過程で利用するため、発光寿命が低い。それに加えて、遅延蛍光物質は、基本的に電荷移動(Charge Transfer、CT)という発光メカニズムに基づく。CT発光メカニズムに起因する発光の特徴上、遅延蛍光物質は、半値幅の非常に広い発光波長を有するため、色純度の面でディスプレイに適用するには限界がある。
【0028】
したがって、信頼性が高く、発光効率が優れて、色純度が向上した発光素子に対する開発が要求されている。本発明の有機発光ダイオードは、発光素子を構成する発光物質層を多層に構成し、発光効率と色純度を極大化することができる。本発明に係る有機発光ダイオードは、有機発光表示装置、または有機発光照明装置などの有機発光装置に適用することができる。一例に、本発明の有機発光ダイオードを適用した表示装置について説明する。
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光表示装置の概略的な断面図である。
図1に示すように、有機発光表示装置700は、薄膜トランジスタTrと、薄膜トランジスタTrに接続される有機発光ダイオード800を備える。薄膜トランジスタTrは、半導体層710と、ゲート電極730と、ソース電極752と、ドレイン電極754とを含む。
【0029】
基板702は、ガラス基板であってもよく、薄いフレキシブルな基板であってもよく、高分子プラスチック基板であってもよい。例えば、フレキシブルな基板は、ポリイミド(PI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリカーボネート(PC)のうち、いずれか1つから形成することができる。薄膜トランジスタTrと有機発光ダイオード800が位置する基板702は、アレイ基板を成す。
【0030】
基板702上にバッファー層704が形成され、バッファー層704上に薄膜トランジスタTrが形成される。バッファー層704は省略してもよい。
【0031】
バッファー層704の上部に半導体層710が形成される。例えば、半導体層710は、酸化物半導体物質から形成することができる。半導体層710が酸化物半導体物質からなる場合、半導体層710の下部に遮光パターン(不図示)を形成することができる。遮光パターンは、半導体層710へ光が入射することを防止し、半導体層710が光によって劣化することを防止する。これとは異なって、半導体層710は多結晶シリコンから形成することもでき、この場合、半導体層710の両端部に不純物をドープすることもある。
【0032】
半導体層710の上部には、絶縁物質からなるゲート絶縁膜720が基板702の全面に形成される。ゲート絶縁膜720は、シリコン酸化物(SiO
2)、またはシリコン窒化物(SiN
x)のような無機絶縁物質から形成することができる。
【0033】
ゲート絶縁膜720の上部には、金属のような導電性物質からなるゲート電極730が半導体層710の中央に対応して形成される。
図1において、ゲート絶縁膜720は、基板702の全面に形成されているが、ゲート絶縁膜720は、ゲート電極730と同じ形にパターニングしてもよい。
【0034】
ゲート電極730の上部には、絶縁物質からなる層間絶縁膜740が基板702の全面に形成される。層間絶縁膜740は、シリコン酸化物(SiO
2)やシリコン窒化物(SiN
x)のような無機絶縁物質で形成してもよく、ベンゾシクロブテンやフォトアクリルのような有機絶縁物質で形成してもよい。
【0035】
層間絶縁膜740は、半導体層710の両側上面を露出する第1および第2半導体層コンタクトホール742、744を有する。第1および第2半導体層コンタクトホール742、744は、ゲート電極730の両側でゲート電極730と離隔して位置する。ここで、第1および第2半導体層コンタクトホール742、744は、ゲート絶縁膜720内にも形成される。これとは異なって、ゲート絶縁膜720がゲート電極730と同じ形にパターニングされる場合、第1および第2半導体層コンタクトホール742、744は、層間絶縁膜740内にのみ形成される。
【0036】
層間絶縁膜740の上部には、金属のような導電性物質からなるソース電極752とドレイン電極754が形成される。ソース電極752とドレイン電極754は、ゲート電極730を中心に離隔して位置し、それぞれ第1および第2半導体層コンタクトホール742、744を介して、半導体層710の両側に接触する。
【0037】
半導体層710、ゲート電極730、ソース電極752、およびドレイン電極754は、薄膜トランジスタTrを構成し、薄膜トランジスタTrは、駆動素子として働く。
図1に示した薄膜トランジスタTrは、半導体層710の上部にゲート電極730、ソース電極752およびドレイン電極754が位置するコプラナ構造を有する。これとは異なって、薄膜トランジスタTrは、半導体層の下部にゲート電極が位置し、半導体層の上部にソース電極とドレイン電極が位置する逆スタッガード(Inverted staggered)構造を有することができる。この場合、半導体層は、非晶質シリコンからなることができる。
【0038】
図1に示していないが、ゲート配線とデータ配線が互いに交差して画素領域を定義し、ゲート配線とデータ配線に接続されるスイッチング素子がさらに形成される。前記スイッチング素子は、駆動素子である薄膜トランジスタTrに接続される。
【0039】
また、パワー配線がゲート配線またはデータ配線と平行に離隔して形成され、1フレームの間に、駆動素子である薄膜トランジスタTrのゲート電極の電圧を一定に維持するためのストレージキャパシタがさらに構成され得る。
【0040】
一方、有機発光表示装置700は、有機発光ダイオード800で生成された光を吸収するカラーフィルター(不図示)を備えることができる。例えば、カラーフィルター(不図示)は、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の光を吸収することができる。カラーフィルター(不図示)を採択することで、有機発光表示装置700は、フルカラーを具現化することができる。
【0041】
例えば、有機発光表示装置700がボトムエミッションタイプである場合、有機発光ダイオード800に対応する層間絶縁膜740の上部に、光を吸収するカラーフィルター(不図示)が位置することができる。選択的な実施形態において、有機発光表示装置700がトップエミッションタイプである場合、カラーフィルターは、有機発光ダイオード800の上部、すなわち第2電極820の上部に位置することもできる。
【0042】
ソース電極752とドレイン電極754の上部には、平坦化層760を基板702の全面に形成する。平坦化層760は、その上面が平坦であり、薄膜トランジスタTrのドレイン電極754を露出するドレインコンタクトホール762を有する。ここで、ドレインコンタクトホール762は、第2半導体層コンタクトホール744の直上に形成されたものとして示しているが、第2半導体層コンタクトホール744と離隔して形成されてもよい。
【0043】
有機発光ダイオード800は、平坦化層760上に位置し、薄膜トランジスタTrのドレイン電極754に接続される第1電極810と、第1電極810上に順次積層される発光ユニット830および第2電極820を含む。
【0044】
第1電極810は、画素領域毎に分離して形成される。第1電極810は、陽極(アノード)であり得る。また、第1電極810は、仕事関数値が比較的に大きい導電性物質からなり得る。例えば、第1電極810は、ITO、IZO、ITZO、SnO、ZnO、ICOおよびAZOなどのような透明導電性物質からなり得る。
【0045】
一方、本発明の有機発光表示装置700がトップエミッションタイプである場合、第1電極810の下部には反射電極、または反射層をさらに形成することができる。例えば、前記反射電極、または前記反射層は、アルミニウム・パラジウム・銅(Aluminum-Paladium-Copper:APC)合金からなることができる。
【0046】
また、平坦化層760上には、第1電極810の端部を覆うバンク層770が形成される。バンク層770は、前記画素領域に対応し、第1電極810の中央を露出する。
【0047】
第1電極810上には、発光ユニット830が形成される。1つの例示的な実施形態において、前記発光ユニット830は、発光物質層の単層構造を有することができる。これと異なって、発光ユニット830は、
図2、
図5、
図7および
図9に示すように、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、発光物質層、正孔遮断層、電子輸送層および/または電子注入層のような多数の有機物層からなってもよい。発光ユニット830は、2つ以上の発光物質層を含むことができる。
【0048】
例えば、発光物質層は、第1化合物と第2化合物からなる第1発光物質層と、第1発光物質層に隣接して位置し、第3化合物と第4化合物からなる第2発光物質層とを含むことができる。選択的に、発光物質層は、第1化合物と第2化合物からなる第1発光物質層と、第1発光物質層に隣接して位置し、第3化合物、第4化合物および第5化合物からなる第2発光物質層とを含む。
【0049】
他の選択的な実施形態において、発光物質層は、第1化合物と第2化合物からなる第1発光物質層と、第1発光物質層に隣接して位置し、第3化合物と第4化合物からなる第2発光物質層と、第1発光物質層に隣接して位置し、第6化合物、第7化合物および第8化合物からなる第3発光物質層とを含むことができる。
【0050】
第1化合物ないし第8化合物の具体的な種類や、それらの間におけるエネルギー準位の関係および発光物質層の構造については後述する。
【0051】
発光ユニット830の形成された基板720の上部に、第2電極820が形成される。第2電極820は、表示領域の全面に位置し、仕事関数値が比較的に小さい導電性物質からなり、陰極(カソード)として用いることができる。例えば、第2電極820は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、銀(Ag)、またはアルミニウム・マグネシウム合金(AlMg)といったこれらの合金や組み合わせのうち、いずれか1つからなり得る。
【0052】
第2電極820上には、外部の水分が有機発光ダイオード800へ浸透することを防ぐため、封止フィルム780(Encapsulation Film)が形成される。封止フィルム780は、第1無機絶縁層782と、有機絶縁層784と、第2無機絶縁層786の積層構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
後述するように、有機発光ダイオード800は、発光ユニット830にホスト、遅延蛍光ドーパントおよび/または蛍光、または燐光ドーパントからなる多数の発光物質層を有する。これらの発光物質を組み合わせることで、発光効率が極大化され、色純度が優れた超蛍光を具現化できる有機発光ダイオード800および有機発光表示装置700を製造することができる。
【0054】
続いて、本発明に係る多層の発光物質層を有する有機発光ダイオードについて、具体的に説明する。
図2は、本発明の例示的な第1実施形態に係る有機発光ダイオードの構造を概略的に示す断面図であり、
図3は、本発明の有機発光ダイオードに含まれる遅延蛍光物質の発光メカニズムを説明するための模式図であり、
図4は、本発明の第1実施形態に係る有機発光ダイオードを構成する発光物質層の構成物質間におけるエネルギー準位による発光メカニズムを説明するための模式図である。
【0055】
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る有機発光ダイオード100は、互いに対向する第1電極110および第2電極120と、第1電極110と第2電極120の間に位置する発光ユニット130を備える。例示的な実施形態において、発光ユニット130は、第1電極110から順次積層される正孔注入層140(HIL)、正孔輸送層150(HTL)、発光物質層160(EML)、電子輸送層170(ETL)および電子注入層180(EIL)を含む。必要によって、発光ユニット130は、正孔輸送層150と発光物質層160の間に位置する第1励起子遮断層である電子遮断層155(EBL)、および/または発光物質層160と電子輸送層170の間に位置する第2励起子遮断層である正孔遮断層175(HBL)をさらに含むことができる。
【0056】
第1電極110は、発光物質層160に正孔を供給する陽極(アノード)であり得る。第1電極110は、仕事関数値が比較的に大きい導電性物質、例えば透明導電性酸化物(Transparent Conductive Oxide、TCO)から形成することが好ましい。例示的な実施形態において、第1電極110は、インジウム・スズ・酸化物(Indium‐Tin‐Oxide;ITO)、インジウム・亜鉛・酸化物(Indium‐Zinc‐Oxide;IZO)、インジウム・スズ・亜鉛・酸化物(Indium‐Tin‐Zinc Oxide;ITZO)、スズ酸化物(SnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム・銅・酸化物(Indium‐Copper‐Oxide;ICO)、および/またはアルミニウム:酸化亜鉛(Al:ZnO、AZO)からなり得る。
【0057】
第2電極120は、発光物質層160に電子を供給するカソードであり得る。第2電極120は、仕事関数値が比較的に小さい導電性物質、例えばアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、銀(Ag)、またはこれらの合金や組み合わせのように、反射特性のよい素材からなり得る。
【0058】
正孔注入層140は、第1電極110と正孔輸送層150との間に位置するが、無機物である第1電極110と有機物である正孔輸送層150との間の界面特性を向上させる。1つの例示的な実施形態において、正孔注入層140は、4,4’,4”‐トリス(3‐メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン;MTDATA、4,4’,4”‐トリス(N,N‐ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン;NATA、4,4’,4”‐トリス(N‐(ナフタレン‐1‐イル)‐N‐フェニルアミノ)トリフェニルアミン;1T-NATA、4,4’,4”‐トリス(N‐(ナフタレン‐2‐イル)‐N‐フェニルアミノ)トリフェニルアミン;2T-NATA、フタロシアニン銅;CuPC、トリス(4‐カルバゾイル‐9‐イル‐フェニル)アミン;TCTA、N,N’‐ジフェニル‐N,N’‐ビス(1‐ナフチル)‐1,1’‐ビフェニル‐4,4”‐ジアミン;NPB;NPD、1,4,5,8,9,11‐ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル、ジピラジノ[2,3‐f:2’,3’‐h]キノサリン‐2,3,6,7,10,11‐ヘキサカルボニトリル;HAT-CN、1,3,5‐トリス[4‐(ジフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン;TDAPB、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸;PEDOT/PSS、および/またはN‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミンなどからなる群から、いずれか1つの化合物で構成することができる。有機発光ダイオード100の特性により、正孔注入層140は省略してもよい。
正孔輸送層150は、第1電極110と発光物質層160との間において、発光物質層160に隣接して位置する。1つの例示的な実施形態において、正孔輸送層150は、N,N’‐ジフェニル‐N,N’‐ビス(3‐メチルフェニル)‐1,1’‐ビフェニル‐4,4’‐ジアミン;TPD、NPB、4,4’‐ビス(N‐カルバゾリル)‐1,1’‐ビフェニル;CBP、ポリ[N,N’‐ビス(4‐ブチルフェニル)‐N,N’‐ビス(フェニル)‐ベンジジン];Poly-TPD、ポリ[(9,9‐ジオクチルフルオレニル‐2,7‐ジイル)‐co−(4,4’‐(N‐(4‐sec−ブチルフェニル)ジフェニルアミン))];TFB、ジ‐[4‐(N,N‐ジ‐p‐トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン;TAPC、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、および/またはN‐(ビフェニル‐4‐イル)‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)ビフェニル)‐4‐アミンなどからなる群から選択される化合物で構成することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0059】
発光物質層160は、第1発光物質層162と第2発光物質層164を含むが、それらの発光物質層162、164の構成および発光メカニズムについては、後述する。
【0060】
発光物質層160と第2電極120との間には、電子輸送層170と電子注入層180を順次積層することができる。電子輸送層170を構成する素材には、高い電子移動度が求められるが、スムーズな電子輸送により、発光物質層160に電子を安定して供給する。
【0061】
1つの例示的な実施形態において、電子輸送層170は、オキサジアゾール系、トリアゾール系、フェナントロリン系、ベンゾオキサゾール系、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、トリアジン系などの誘導体であり得る。
【0062】
一例に、電子輸送層170は、トリス(8‐ヒドロキシキノリン)アルミニウム;Alq
3、2‐ビフェニル‐4‐イル‐5‐(4‐t−ブチルフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾール;PBD、スピロ-PBD、リチウムキノラート;Liq、1,3,5‐トリス(N‐フェニルベンゾイミダゾール‐2‐イル)ベンゼン;TPBi、ビス(2‐メチル‐8‐キノリノラト‐N1,08)‐(1,1’‐ビフェニル‐4‐オラト)アルミニウム;BAlq、4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン;Bphen、2,9‐ビス(ナフタレン‐2‐イル)‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン;NBphen、2,9‐ジメチル‐4,7‐ジフェニル‐1,10‐フェナントロリン;BCP、3‐(4‐ビフェニル)‐4‐フェニル‐5‐t‐ブチルフェニル‐1,2,4‐トリアゾール;TAZ、4‐(ナフタレン‐1‐イル)‐3,5‐ジフェニル‐4H‐1,2,4‐トリアゾール;NTAZ、1,3,5‐トリス(p‐ピリド‐3‐イル‐フェニル)ベンゼン;TpPyPB、2,4,6‐トリス(3’‐(ピリジン‐3‐イル)ビフェニル‐3‐イル)‐1,3,5‐トリアジン;TmPPPyTz、ポリ[(9,9‐ビス(3’‐((N,N‐ジメチル)‐N‐エチルアンモニウム)‐プロピル)‐2,7‐フルオレン)‐アルト‐2,7‐(9,9‐ジオクチルフルオレン)];PFNBr、トリス(フェニルキノキサリン);TPQ、および/または2‐[4‐(9,10‐ジ‐2‐ナフタレニル‐2‐アントラセニル)フェニル]‐1‐フェニル‐1H‐ベンゾイミダゾールなどからなる群から選択される素材で構成することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0063】
電子注入層180は、第2電極120と電子輸送層170との間に位置するが、第2電極120の特性を改善し、素子の寿命を改善することができる。1つの例示的な実施形態において、電子注入層180の素材には、LiF、CsF、NaF、BaF
2などのアルカリハライド系物質、および/またはLiq、リチウムベンゾエイト、ステアリン酸ナトリウムなどの有機金属系の物質を用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0064】
一方、正孔が発光物質層160を通じて第2電極120へ移動したり、電子が発光物質層160を通じて第1電極110へ移動したりする場合、素子の寿命や効率の減少をもたらすことがある。これを防ぐため、本発明の例示的な第1実施形態に係る有機発光ダイオード100は、発光物質層160に隣接した、少なくとも1つの励起子遮断層を有することができる。一例に、本発明の第1実施形態に係る有機発光ダイオード100は、正孔輸送層150と発光物質層160との間に、電子の移動を制御・防止できる電子遮断層155が位置する。
【0065】
さらに具体的に、電子遮断層155は、TCTA、トリス[4‐(ジエチルアミノ)フェニル]アミン、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、TAPC、MTDATA、1,3‐ビス(カルバゾール‐9‐イル)ベンゼン;mCP、3,3’‐ビス(N‐カルバゾリル)‐1,1’‐ビフェニル;mCBP、CuPC、N,N’‐ビス[4‐[ビス(3‐メチルフェニル)アミノ]フェニル]‐N,N’‐ジフェニル‐[1,1’‐ビフェニル]‐4,4’‐ジアミン;DNTPD、および/またはTDAPBなどから構成することができる。
【0066】
また、有機発光ダイオード100は、発光物質層160と電子輸送層170との間に、第2励起子遮断層として正孔遮断層175を有し、正孔遮断層175は、発光物質層160と電子輸送層170との間における正孔の移動を防止する。1つの例示的な実施形態において、正孔遮断層175の素材に、電子輸送層170に用いられ得るオキサジアゾール系、トリアゾール系、フェナントロリン系、ベンゾオキサゾール系、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、トリアジン系などの誘導体を用いることができる。
【0067】
例えば、正孔遮断層175は、発光物質層160に用いられた素材に比較して、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital;最高被占輝度)エネルギー準位の低いBCP、BAlq、Alq
3、PBD、スピロ‐PBD、Liq、ビス‐4,6‐(3,5‐ジ‐3‐ピリジルフェニル)‐2‐メチルピリミジン;B3PYMPM、および/またはオキシビス(2,1‐フェニレン))ビス(ジフェニルホスフィンオキシド);DPEPO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物で構成することができる。
【0068】
一例に、電子遮断層155および正孔輸送層175は、それぞれ約5nmないし200nm、好ましくは約10nmないし約100nmの厚さで積層することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0069】
前述したように、本発明の第1実施形態に係る有機発光ダイオード100の発光物質層160は、2つの発光物質層162、164を含む。すなわち、発光物質層160は、第1化合物と第2化合物からなる第1発光物質層162と、第3化合物と第4化合物からなる第2発光物質層164を含む。例えば、第1化合物は第1ホストであり、第2化合物は遅延蛍光ドーパント(Tドーパント)であり得る。また、第3化合物は第2ホストであり、第4化合物は蛍光、または燐光ドーパント(Fドーパント)であり得る。
【0070】
このとき、第1発光物質層162は、電子遮断層155と正孔遮断層175との間に位置し、第2発光物質層164は、電子遮断層155と第1発光物質層162との間、または第1発光物質層162と正孔遮断層175との間に位置することができる。以下では、第2発光物質層164が、電子遮断層155と第1発光物質層162との間に位置する場合を中心に説明する。
【0071】
第1発光物質層162は、遅延蛍光物質であり得る第2化合物を含むが、この場合、ホストであり得る第1化合物と第2化合物のエネルギー準位を調節することで、発光効率が向上し、色純度が優れた有機発光ダイオード100を具現化することができるが、これについて説明する。
図3は、本発明の例示的な実施形態によって発光物質層に含まれ得る遅延蛍光物質の発光メカニズムを説明するための模式図である。
【0072】
遅延蛍光は、熱活性遅延蛍光(TADF)と、電界活性遅延蛍光(Field Activated Delayed Fluorescence;FADF)とに区分されるが、熱、または電界によって三重項励起子が活性化され、従来の蛍光物質における最大発光効率を超える優れた発光効率を具現化することができる。
【0073】
さらに具体的に説明すると、遅延蛍光物質は、素子を駆動する際に発生する熱や電界によって三重項励起子が活性化され、三重項励起子も発光に寄与する。一般に、遅延蛍光物質は、電子供与体部分と電子受容体部分を共に有しているため、分子内電荷移動(Intramolecular Charge Transfer、ICT)状態への変換が可能である。ICT可能な遅延蛍光物質をドーパントに用いると、遅延蛍光物質において一重項エネルギー準位(S
1)を持つ励起子と、三重項エネルギー準位(T
1)を持つ励起子が中間状態のICT状態へ移動し、基底状態(S
0)へ遷移する(S
1→ICT←T
1)。一重項エネルギー準位(S
1)を持つ励起子と、三重項エネルギー準位(T
1)を持つ励起子が共に発光に寄与するため、内部量子効率が向上し、その結果、発光効率が向上する。
【0074】
従来の蛍光物質は、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital;LUMO)が分子全体に広がっているため、一重項状態と三重項状態における相互変換が不可能である(選択規則)。しかしながら、ICT状態の物質は、HOMOとLUMOの軌道重畳が少ないので、HOMO状態の軌道とLUMO状態の軌道の間における相互作用が小さい。したがって、電子のスピン状態の変化が他の電子に影響を及ぼすことなく、選択規則に従わない新しい電荷移動バンド(Charge Transfer Band、CT band)が形成される。
【0075】
すなわち、遅延蛍光物質において、電子受容体部分と電子供与体部分が分子内で離隔しているので、分子内の双極子モーメントが大きな分極状態で存在する。双極子モーメントが分極した状態でHOMO状態の軌道とLUMO状態の軌道の間における相互作用が小さくなり、三重項状態と一重項状態から中間状態(ICT)への遷移が可能となる。その結果、一重項エネルギー準位(S
1)を持つ励起子はもちろん、三重項エネルギー準位(T
1)を持つ励起子が発光に寄与することになる。
【0076】
したがって、発光素子が駆動すると、熱や電界によって25%の一重項エネルギー準位(S
1)を持つ励起子と、75%の三重項エネルギー準位(T
1)を持つ励起子とが中間状態(ICT)へ遷移し、再び基底状態(S
0)へ落ちる際に発光が起きるので、内部量子効率は、理論上100%となる。
【0077】
三重項状態と一重項状態で共にエネルギー遷移が起こるためには、遅延蛍光物質は、一重項エネルギー準位(S
1)と三重項エネルギー準位(T
1)の差(ΔE
ST)が0.3eV以下、例えば0.05ないし0.3eV以下でなければならない。一重項状態と三重項状態とのエネルギー差が小さい材料は、蛍光を示すだけでなく、常温レベルの熱エネルギー、または電界により、三重項状態から、エネルギーのさらに高い一重項状態へ逆系間交差(Reverse Inter System Crossing;RISC)が起こり、一重項状態が基底状態へ遷移しながら遅延蛍光を示す。
【0078】
遅延蛍光の場合、理論上、最大100%の効率を得ることができるので、従来の重金属を含む燐光材料と同等の内部量子効率を具現化することができる。しかしながら、遅延蛍光特性を有する物質における電子供与体・電子受容体の結合構造および構造的な歪みにより、さらなる電荷移動遷移(Charge Transfer Transition、CT Transition)が引き起こされるため、発光の際に広いスペクトルを有することになり、すなわち、半値幅(Full Width at Half Maximum;FWHM)が広くて色純度を低下させるという短所がある。また、遅延蛍光物質は、三重項エネルギーも発光過程で使用するので、寿命が短い。
【0079】
ところが、同一の発光物質層内に遅延蛍光物質と蛍光物質を含む場合、遅延蛍光物質の一重項エネルギーは、主に分子間の電子交換による励起子の拡散により、隣接された分子間における波動関数の重なりに依存するエネルギー移動であるデクスターエネルギー移動を介して蛍光物質へと伝達される。この場合、遅延蛍光物質から蛍光物質へエネルギーが十分に伝達されないと、希望する水準まで発光効率や色純度を具現化できないことがある。
【0080】
一方、本発明の例示的な実施形態によって、第1発光物質層162は、第1ホストであり得る第1化合物と遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物とを含み、第2発光物質層164は、第2ホストであり得る第3化合物と第1蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4化合物とを含む。したがって、逆系間交差により、第1発光物質層162に含まれる第2化合物の三重項エネルギーが一重項エネルギーに変換されると、第2化合物の一重項エネルギーは、双極子・双極子の相互作用による電場を通じて非放射の形で伝達されるフェルスター共鳴エネルギー移動(Forster Resonance Energy Transfer、FRET)により、隣接した第2発光物質層164に含まれた第4化合物へ伝達される。
【0081】
第4化合物で最終的な発光が起こり、効率的なエネルギー遷移が可能となって、高色純度を具現化することができる。第1発光物質層162の第2化合物から、隣接した第2発光物質層164の第4化合物へのエネルギー遷移効率が向上することにより、発光素子の発光効率が向上し、超蛍光素子を具現化することができる。また、最終的な発光は、第2化合物に比べて半値幅の狭い第2発光物質層164内の第4化合物が励起状態から基底状態へと遷移する際に起こるので、色純度を向上させることができる。
【0082】
一方、
図4を参照すると、ホストで生成された励起子のエネルギーが、まず遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物へ遷移して発光するためには、第1ホストであり得る第1化合物および第2ホストであり得る第3化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H1、S
1H2)および励起状態の三重項エネルギー準位(T
1H1、T
1H2)は、それぞれ遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD)および励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD)より高くなければならない。
【0083】
例えば、第1化合物における励起状態の三重項エネルギー準位(T
1H1)が、第2化合物における励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD)より十分に高くない場合、第2化合物の三重項状態の励起子が、第1化合物における励起状態の三重項エネルギー準位(T
1H1)へ移動する。第1化合物は三重項励起子を利用できないので、第1化合物に伝達された第2化合物の三重項励起子は、非発光で消滅し、遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物の三重項状態の励起子が発光に寄与できなくなる。例示的に、第1化合物における励起状態の三重項エネルギー準位(T
1H1)は、第2化合物における励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD)より少なくとも0.2eV以上高くてもよい。
【0084】
また、ホストであり得る第1化合物および/または第3化合物と、遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物における最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位と、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位を適切に調整する必要がある。一例に、第1化合物および/または第3化合物それぞれの最高被占軌道エネルギー準位(HOMO
H)と、第2化合物の最高被占軌道エネルギー準位(HOMO
TD)との差(│HOMO
H−HOMO
TD│)、または第1化合物および/または第3化合物それぞれの最低空軌道エネルギー準位(LUMO
H)と、第2化合物の最低空軌道エネルギー準位(LUMO
TD)との差(│LUMO
H−LUMO
TD│)は、0.5eV以下、例えば0.1ないし0.5eV以下であることが好ましい。その結果、ホストであり得る第1化合物から、遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物への電荷移動効率が向上し、最終的に発光効率を向上させることができる。
【0085】
さらに、第1発光物質層162でRISCにより、ICT錯体状態へ変わった第2化合物から、第2発光物質層164の第4化合物へエネルギーを遷移させる一方、高効率、かつ高色純度を有する有機発光ダイオードを具現化する必要がある。かかる有機発光ダイオードを具現化するため、第1発光物質層162に含まれる第2化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD)および/または励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD)は、それぞれ第2発光物質層164に含まれる第4化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD)および/または励起状態の三重項エネルギー準位(T
1FD)より高くなければならない。また、遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物から、第1蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4化合物へ遷移したエネルギーが、第2ホストであり得る第3化合物へ遷移することを防止し、効率的な発光を具現化できるよう、第3化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H2)は、第4化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD)より高くなければならない。
【0086】
このように、発光物質層160において発光に寄与する物質間のエネルギー準位の関係を考慮し、効率的な発光を具現化することができる。1つの例示的な実施形態において、第1発光物質層162および第2発光物質層164に含まれる第1化合物および第3化合物は、それぞれ下記の化学式1の構造を有する有機化合物を含むことができる。
【0088】
化学式1中、 R
1ないしR
5は、それぞれ独立して、軽水素、重水素、三重水素、C
5〜C
30ホモアリル基、およびC
4〜C
30ヘテロアリール基で構成される群から選択される。Xは、CR
6または窒素原子であり、R
6は、軽水素、重水素、三重水素、またはC
1〜C
20アルキル基である。
【0089】
化学式1の構造を有する第1化合物および第3化合物における励起状態の三重項エネルギー準位および一重項エネルギー準位は、それぞれ化学式3の構造を有する第2化合物における励起状態の三重項エネルギー準位および一重項エネルギー準位より高い。したがって、化学式3の構造を有する第2化合物の三重項励起子は、化学式1の構造を有する第1化合物および第3化合物における励起状態の三重項エネルギー準位へ移動することができない。
【0090】
1つの例示的な実施形態において、第1化合物および第3化合物に用いられ得る化学式1の構造を有する有機化合物は、下記の化学式2で表される、いずれか1つの有機化合物を含むことができる。
【0092】
また、第2化合物は、下記の化学式3の構造を有する有機化合物を含むことができる。
【0094】
化学式3中、R
11は、軽水素、重水素、三重水素、C
1〜C
20アルキル基、C
5〜C
30ホモアリル基、およびC
4〜C
30ヘテロアリール基で構成される群から選択される。R
12とR
13は、それぞれ炭素であり、それぞれ独立して軽水素、重水素、三重水素に連結されたり、または直接連結されたり、または酸素(O)、硫黄(S)若しくはセレン(Se)を介して連結される。Y
1とY
2は、それぞれ独立して炭素、ケイ素、またはゲルマニウムである。mは、1ないし4の整数であり、nは、0ないし2の整数である。
【0095】
化学式3の構造を有する有機化合物は、電子供与体として働けるスピロ構造のアクリジン部分が、フェニレンリンカーを介して電子受容体であるトリアジン部分に連結されている。電子受容体であるトリアジン部分の立体障害が大きくなることにより、電子供与体であるスピロアクリジン部分と電子受容体であるトリアジン部分との間における共役構造の形成が制限され、HOMOエネルギー状態とLUMOエネルギー状態とに容易に分離される。電子供与体であるスピロアクリジン部分と電子受容体であるトリアジン部分との間における距離が増加し、HOMOとLUMOとの間のエネルギーの重畳が減少するので、励起状態の三重項エネルギー準位と一重項エネルギー準位との差(Δ
EST)が減少し、遅延蛍光特性を具現化することができる。
【0096】
一例に、化学式3の構造を有する有機化合物は、下記の化学式4ないし化学式6の構造を有する、いずれか1つの有機化合物を含むことができる。
【0100】
化学式4中、Z
1とZ
2は、それぞれ炭素、またはケイ素であり、nは、化学式1で定義されたものと同一である。また、化学式5および化学式6中、Zは炭素、またはケイ素である。
【0101】
さらに具体的に、化学式3の構造を有する有機化合物は、下記の化学式7の構造を有する、いずれか1つの有機化合物を含むことができる。
【0103】
第1発光物質層162における第1ホストであり得る第1化合物の重量比は、遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物の重量比より大きくてもよい。例えば、第1発光物質層162において、第1化合物と第2化合物は、99:1ないし70:30、好ましくは95:5ないし70:30、さらに好ましくは90:10ないし70:30の重量比で配合することができる。第2化合物の含量が、第1化合物の含量より多くなると、第2化合物の自己消光現象で、発光効率が低下され得る。
【0104】
一方、発光物質層160で優れた発光効率を具現化するためには、第2発光物質層164に含まれる第1蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD)が、第2ホストであり得る第3化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H2)および蛍光ドーパントであり得る第2化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD)より低い必要がある。一例に、第4化合物は、好ましくは半値幅の狭い蛍光、または燐光物質、例えば半値幅が40nm以内、例を挙げれば、10ないし40nmの青色蛍光物質を用いることができる。さらに、好ましくは第3化合物および/または第2化合物の発光スペクトルと大きく重なる吸収スペクトルを有し、第3化合物および/または第2化合物の波動関数と重なる波動関数を有する蛍光物質を、第4化合物に用いることができる。
【0105】
それにより、第1発光物質層162および第2発光物質層164で過度に生成された励起子‐励起子消光や、励起子を形成するためのポーラロン‐励起子消光を最小化して、発光物質層160における発光効率を極大化することができ、高色純度の青色発光を具現化することができる。
【0106】
例えば、第2発光物質層164に含まれ得る第4化合物は、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン誘導体などを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0107】
具体的に、第4化合物は、5,6‐ビス[4‐(10‐フェニル‐9‐アントリル)フェニル]‐2,2’‐ビピリジン;PAP2BPy、5,6‐ビス[4’‐(10‐フェニル‐9‐アントリル)ビフェニル‐4‐イル]‐2,2’‐ビピリジン;PAPP2BPy、N,N’‐ビス[4‐(9‐フェニル‐9H‐フルオレン‐9‐イル)フェニル]‐N,N’‐ジフェニル‐ピレン‐1,6‐ジアミン;1,6‐FLPAPrn、N,N’‐ビス[4‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)フェニル]‐N,N’‐ジフェニルスチルベン‐4,4’‐ジアミン;YGA2S、4‐(9H‐カルバゾール‐9‐イル)‐4’‐(10‐フェニル‐9‐アントリル)トリフェニルアミン;YGAPA、N,9‐ジフェニル‐N‐[4‐(10‐フェニル‐9‐アントリル)フェニル]‐9H‐カルバゾール‐3‐アミン;PCAPA、2,5,8,11‐テトラ‐t‐ブチルペリレン;TBP、4‐(10‐フェニル‐9‐アントリル)‐4’‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)トリフェニルアミン;PCBAPA、N,9‐ジフェニル‐N‐[4‐(9,10‐ジフェニル‐2‐アントリル)フェニル]‐9H‐カルバゾール‐3‐アミン;2PCAPPA、クマリン30、N‐(9,10‐ジフェニル‐2‐アントリル)‐N,9‐ジフェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐アミン;2PCAPA、N‐[9,10‐ビス(1,1’‐ビフェニル‐2‐イル)‐2‐アントリル]‐N,9‐ジフェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐アミン;2PCABPhA、9‐トリフェニルアントラセン‐9‐アミン;DPhAPhA、N,N’‐ジフェニルキナクリドン;DPQd、5,12‐ビス(1,1’‐ビフェニル‐4‐イル)‐6,11‐ジフェニルテトラセン;BPT、2‐(2‐{2‐[4‐(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}‐6‐メチル‐4H‐ピラン‐4‐イリデン)プロパンジニトリル;DCM1、2‐{2‐メチル‐6‐[2‐(2,3,6,7‐テトラヒドロ‐1H,5H‐ベンゾ[ij]‐キノリジン‐9‐イル)エテニル]‐4,H‐ピラン‐4‐イリデン}プロパンジニトリル;DCM2、N,N,N’,N’‐テトラキス(4‐メチルフェニル)テトラセン‐5,11‐ジアミン;p−mPhTD、7,14‐ジフェニル‐N,N,N’,N’‐テトラキス(4‐メチルフェニル)アセナフト[1,2‐a]フルオランテン‐3,10‐ジアミン;p−mPhAFD、2‐{2‐イソプロピル‐6‐[2‐(1,1,7,7‐テトラメチル)‐2,3,6,7‐テトラヒドロ‐1H,5H‐ベンゾ[ij]キノリジン‐9‐イル]エテニル}‐4H‐ピラン‐4‐イリデン}プロパンジニトリル;DCJTI、2‐{2‐t‐ブチル‐6‐[2‐(1,1,7,7‐テトラメチル‐2,3,6,7‐テトラヒドロ‐1H,5H‐ベンゾ[ij]キノリジン‐9‐イル)エテニル]‐4H‐ピラン‐4‐イリデン}プロパンジニトリル;DCJTB、N,N,N’,N’‐テトラフェニル‐ピレン‐1,6‐ジアミンなどを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0108】
第2発光物質層164における第3化合物の重量比は、第4化合物の重量比より大きくてもよい。1つの例示的な実施形態において、第2発光物質層164における第4化合物は、約1ないし50重量%、好ましくは1ないし30重量%、さらに好ましくは1ないし15重量%の割合でドープすることができる。
【0109】
前述した実施形態において、第1発光物質層162の第1化合物と、第2発光物質層164の第3化合物は、同一物質、例えば、化学式1ないし化学式2で表される物質が挙げられた。これとは異なって、第1化合物と第3化合物は、互いに異なる物質であってもよい。例えば、
図2に示すように、第4化合物を含有する第2発光物質層164が、第1発光物質層162に比べて第1電極110側に位置する場合、第2発光物質層164を構成する第3化合物は、電子遮断層155の物質と同一物質であり得る。このとき、第2発光物質層164は、発光機能と共に、電子遮断機能を同時に有することができる。すなわち、第2発光物質層164は、電子を遮断するためのバッファー層として働く。一方、電子遮断層155は省略してもよく、この場合、第2発光物質層164が、発光物質層および電子遮断層として利用される。
【0110】
他の例示的な実施形態によって、第2発光物質層164が第1発光物質層162に比べ、第2電極120側に位置する場合、第2発光物質層164を構成する第3化合物は、電子遮断層175の物質と同一物質であり得る。このとき、第2発光物質層164は、発光機能と共に、正孔遮断機能を同時に有することができる。すなわち、第2発光物質層164は、正孔を遮断するためのバッファー層として働く。一方、正孔遮断層175は省略してもよく、この場合、第2発光物質層164が、発光物質層および正孔遮断層として利用される。
【0111】
本発明の第1実施形態で、第2発光物質層は、第3化合物と第4化合物からなることを説明した。これとは異なって、第2発光物質層は、第2遅延蛍光ドーパントであり得る第5化合物をさらに含むことができるが、これについて説明する。
【0112】
図5は、本発明の例示的な第2実施形態に係る有機発光ダイオードの構造を概略的に示す断面図であり、
図6は、本発明の第2実施形態に係る有機発光ダイオードを構成する発光物質層の構成物質間におけるエネルギー準位による発光メカニズムを説明するための模式図である。
図5に示すように、本発明の例示的な第2実施形態に係る有機発光ダイオード200は、互いに対向する第1電極210および第2電極220と、第1電極210と第2電極220の間に位置する発光ユニット230とを含む。
【0113】
例示的な実施形態において、発光ユニット230は、第1電極210から順次積層される正孔注入層240、正孔輸送層250、発光物質層260、電子輸送層270および電子注入層280を含むことができる。また、発光ユニット230は、正孔輸送層250と発光物質層260の間に位置する第1励起子遮断層である電子遮断層255、および/または発光物質層260と電子輸送層270の間に位置する第2励起子遮断層である正孔遮断層275をさらに含むことができる。発光ユニット230において発光物質層260を除いた他層の構成は、第1実施形態と同様であり得る。
【0114】
発光物質層260は、第1ホストであり得る第1化合物と第1遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物からなる第1発光物質層262と、第2ホストであり得る第3化合物と第1蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4化合物、第2遅延蛍光ドーパントであり得る第5化合物からなる第2発光物質層264とを含む。このとき、第1発光物質層262は、電子遮断層255と正孔遮断層275の間に位置し、第2発光物質層264は、電子遮断層255と第1発光物質層262の間、または第1発光物質層262と正孔遮断層275の間に位置することができる。以下では、第2発光物質層264が、第1発光物質層262と正孔遮断層275の間に位置する場合を中心に説明する。
【0115】
第1発光物質層262と第2発光物質層264にそれぞれ含まれる第1化合物と第3化合物は、それぞれ独立して、化学式1ないし化学式2の構造を有する有機化合物を用いることができる。また、第1発光物質層262と第2発光物質層264にそれぞれ含まれる第3化合物と第5化合物は、それぞれ独立して、化学式3ないし化学式7の構造を有する有機化合物を用いることができる。
【0116】
例えば、化学式1ないし化学式2の構造を有する有機化合物を、第1および第2ホストに用いて、化学式3ないし化学式7の構造を有する有機化合物を、第1および第2遅延蛍光ドーパントに用いる場合、第1および第2ホストであり得る第1および第第3化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H1、S
1H2)、および励起状態の三重項エネルギー準位(T
1H1、T
1H2)は、それぞれ第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第5化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD1、S
1TD2)および励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD1、T
1TD2)より高い。
【0117】
また、化学式1ないし化学式2で表される有機化合物は、それぞれ第1および第2ホストに用いると、第1および第2ホストであり得る第1および第3化合物それぞれの最高被占軌道エネルギー準位(HOMO
H)と、第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第5化合物の最高被占軌道エネルギー準位(HOMO
TD)との差(│HOMO
H−HOMO
TD│)、または第1および第3化合物それぞれの最低空軌道エネルギー準位(LUMO
H)と、第2および第5化合物の最低空軌道エネルギー準位(LUMO
TD)との差(│LUMO
H−LUMO
TD│)は、0.5eV以下、例えば0.1ないし0.5eV以下を満たすことができる。
【0118】
一方、第2発光物質層264に用いられ得る第4化合物には、半値幅が狭くて高い青色発光を具現化できる物質を用いることができる。また、半値幅が狭くて、第2ホストであり得る第3化合物、並びに第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第5化合物の発光スペクトルとの重畳領域が大きい吸収スペクトルを有し、第3化合物、並びに第2および第5化合物の波動関数と重なる波動関数を有する蛍光物質を第4化合物に用いることができる。
【0119】
このとき、第1発光物質層262と第2発光物質層264にそれぞれ含まれる第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第5化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD1、S
1TD2)および/または励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD1、T
1TD2)は、それぞれ第2発光物質層264に含まれる第1蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD)および/または励起状態の三重項エネルギー準位(T
1FD)より高くなければならない。さらに、第2ホストであり得る第3化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H2)は、第1蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD)より高くなければならない。
【0120】
例えば、第4化合物は、それぞれアントラセン誘導体、テトラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン誘導体などを含むことができる。具体的に、第4化合物は、PAP2BPy、PAPP2BPy、1,6‐FLPAPrn、YGA2S、YGAPA、PCAPA、TBP、PCBAPA、2PCAPPA、クマリン30、2PCAPA、2PCABPhA、DPhAPhA、DPQd、BPT、DCM1、DCM2、p−mPhTD、p−mPhAFD、DCJTI、DCJTB、N,N,N’,N’‐テトラフェニル‐ピレン‐1,6‐ジアミンなどを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0121】
本発明の第2実施形態によると、第1発光物質層262は、第1ホストであり得る第1化合物と第1遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物からなり、第2発光物質層264は、第2ホストであり得る第3化合物と、第1蛍光または燐光ドーパントであり得る第4化合物と第2遅延蛍光ドーパントであり得る第5化合物からなる。
【0122】
したがって、逆系間交差(RISC)により、第1発光物質層262に含まれる第1遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物の三重項エネルギーが一重項エネルギーに変換され、第2化合物の一重項エネルギーは、FRET現象により、隣接した第2発光物質層264の第1蛍光または燐光ドーパントであり得る第4化合物へ伝達される。また、RISCにより、第2発光物質層264に含まれる第2遅延蛍光ドーパントであり得る第5化合物の三重項エネルギーが一重項エネルギーに変換され、第5化合物の一重項エネルギーは、分子間の電子交換による励起子の拡散により、隣接された分子間における波動関数の重なりに依存するデクスターエネルギー移動を介して、同じ発光物質層内の第4化合物へ伝達される。このように、本発明の第2実施形態によると、最終的に発光する第4化合物は、2つの遅延蛍光ドーパントである第2および第5化合物を介してエネルギーの伝達を受けるため、発光効率が極大化し、色純度の非常に優れた超蛍光を具現化することができる。
【0123】
1つの例示的な実施形態において、第1発光物質層262における第1ホストであり得る第1化合物の重量比は、第1遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物の重量比より大きい。例えば、第1発光物質層262において、第1化合物と第2化合物は、99:1ないし70:30、好ましくは95:5ないし70:30、さらに好ましくは90:10ないし70:30の重量比で配合することができる。
【0124】
一方、第2発光物質層264における第2ホストであり得る第3化合物の重量比は、第2遅延蛍光ドーパントであり得る第5化合物、および第1蛍光または燐光ドーパントであり得る第4化合物の重量比より大きくてもよい。また、第5化合物の重量比は、第4化合物の重量比より大きくてもよい。この場合、第2発光物質層264の第5化合物から第4化合物へのデクスターメカニズムによるエネルギー伝達が効率的に起こり得る。
【0125】
1つの例示的な実施形態において、第2発光物質層264における第3化合物と第5化合物は、80重量%以上にすることができる。一例に、第2発光物質層264における第3化合物は、50ないし80重量%、好ましくは60ないし80重量%で添加し、第5化合物は、10ないし40重量%、好ましくは15ないし35重量%で添加し、第4化合物は、1ないし20重量%、好ましくは1ないし5重量%で添加することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2および第5化合物の含量が、それぞれ第1および第3化合物の含量より多くなると、遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第5化合物の自己消光現象が引き起こされ、発光効率が低下され得る。
【0126】
第1実施形態と類似して、第1化合物と第3化合物は、互いに異なる物質からなることができる。例えば、
図5に示すように、第2発光物質層264が、第1発光物質層262に比べて第2電極220側に位置する場合、第2発光物質層264を構成する第3化合物は、正孔遮断層275の物質と同一物質であり得る。正孔遮断層275は省略してもよく、第2発光物質層264は、発光物質層および正孔遮断層として利用される。
【0127】
他の例示的な実施形態によって、第2発光物質層264が第1発光物質層262に比べ、第1電極220側に位置する場合、第2発光物質層264を構成する第3化合物は、電子遮断層255の物質と同一物質であり得る。電子遮断層255は省略してもよく、第2発光物質層264は、発光物質層および電子遮断層として利用される。
【0128】
前述した第1および第2実施形態では、発光物質層が2層からなる場合を例に挙げた。これとは異なって、発光物質層は、3層以上からなってもよいが、これについて説明する。
図7は、本発明の例示的な第3実施形態に係る有機発光ダイオードの構造を概略的に示す断面図であり、
図8は、本発明の例示的な第3実施形態に係る有機発光ダイオードを構成する発光物質層の構成物質間におけるエネルギー準位による発光メカニズムを説明するための模式図である。
【0129】
図7に示すように、本発明の例示的な第3実施形態に係る有機発光ダイオード300は、互いに対向する第1電極310および第2電極320と、第1電極310と第2電極320の間に位置する発光ユニット330とを備える。
【0130】
例示的な実施形態において、発光ユニット330は、第1電極310から順次積層される正孔注入層340、正孔輸送層350、発光物質層360、電子輸送層370および電子注入層380を含むことができる。また、発光ユニット330は、正孔輸送層350と発光物質層360の間に位置する第1励起子遮断層である電子遮断層355、および/または発光物質層360と電子輸送層370の間に位置する第2励起子遮断層である正孔遮断層375をさらに含むことができる。発光ユニット330において発光物質層360を除いた他層の構成は、第1および/または第2実施形態と同様であり得る。
【0131】
発光物質層360は、第1化合物と第2化合物からなる第1発光物質層362と、第3化合物と第4化合物からなる第2発光物質層364と、第6化合物と第7化合物および第8化合物からなる第3発光物質層366とを含む。第1化合物は第1ホストであり、第2化合物は第1遅延蛍光ドーパント(TD1)であり得る。第3化合物は第2ホストであり、第4化合物は第1蛍光または燐光ドーパント(FD1)であり得る。また、第6化合物は第3ホストであり、第7化合物は第2遅延蛍光ドーパント(TD2)であり、第8化合物は第2蛍光または燐光ドーパント(FD2)であり得る。
【0132】
例示的な実施形態において、第1発光物質層362は、電子遮断層355と正孔遮断層375の間に位置し、第2発光物質層364は、電子遮断層355と第1発光物質層362の間に位置して、第3発光物質層366は、第1発光物質層362と正孔遮断層375の間に位置することができる。選択的な実施形態において、第2発光物質層364は、第1発光物質層362と正孔遮断層375の間に位置し、第3発光物質層366は、電子遮断層355と第1発光物質層362の間に位置することができる。すなわち、第3発光物質層366は、第1発光物質層362を介在し、第2発光物質層364の反対側に位置する。以下では、第1電極310から第2発光物質層364、第1発光物質層362、第3発光物質層366が順次積層される場合を中心に説明する。
【0133】
第1ないし第3発光物質層362、364、366にそれぞれ含まれる第1ないし第3ホストであり得る第1、第3および第6化合物は、それぞれ独立して、化学式1ないし化学式2の構造を有する有機化合物を含むことができる。また、第1発光物質層362と第3発光物質層366にそれぞれ含まれる第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物と第7化合物には、それぞれ独立して、化学式3ないし化学式7の構造を有する有機化合物を用いることができる。
【0134】
化学式1ないし化学式2の構造を有する有機化合物を、第1ないし第3ホストに用いて、化学式3ないし化学式7の構造を有する有機化合物を、それぞれ第1および第2遅延蛍光ドーパントに用いる場合、第1ないし第3ホストにおける励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H1、S
1H2、S
1H3)、および励起状態の三重項エネルギー準位(T
1H1、T
1H2、T
1H3)は、それぞれ第1および第2遅延蛍光ドーパントにおける励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD1、S
1TD2)および励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD1、T
1TD2)より高い。
【0135】
また、化学式1ないし化学式2で表される有機化合物を、それぞれ第1ないし第3ホストに用いると、第1ないし第3ホストであり得る第1、第3および第6化合物それぞれの最高被占軌道エネルギー準位(HOMO
H)と、第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第7化合物それぞれの最高被占軌道エネルギー準位(HOMO
TD)との差(│HOMO
H−HOMO
TD│)、または第1、第3および第6化合物それぞれの最低空軌道エネルギー準位(LUMO
H)と、第2および第7化合物それぞれの最低空軌道エネルギー準位(LUMO
TD)との差(│LUMO
H−LUMO
TD│)は、0.5eV以下、例えば0.1ないし0.5eV以下を満たすことができる。
【0136】
一方、第2発光物質層364と第3発光物質層366にそれぞれ用いられ得る第4化合物と第8化合物は、それぞれ半値幅が狭くて高い青色発光を具現化できる物質を用いることができる。また、第2および第3ホストであり得る第3および第6化合物、並びに第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第7化合物の発光スペクトルとの重畳領域が大きい吸収スペクトルを有し、第3および第6化合物、並びに第2および第7化合物の波動関数と重なる波動関数を有する蛍光、または燐光物質を、それぞれ第4および第8化合物に用いることができる。
【0137】
このとき、第1発光物質層362と第3発光物質層366にそれぞれ含まれる第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第7化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD1、S
1TD2)および/または励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD1、T
1TD2)は、それぞれ第2発光物質層364と第3発光物質層366にそれぞれ含まれる第1および第2蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4および第8化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD1、S
1FD2)および/または励起状態の三重項エネルギー準位(T
1FD1、T
1FD2)より高くなければならない。さらに、第2および第3ホストであり得る第3および第6化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H2、S
1H3)は、それぞれ第1および第2蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4および第8化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD1、S
1FD2)より高くなければならない。
【0138】
例えば、第4および第8化合物は、それぞれ独立して、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン誘導体などを含むことができる。具体的に、第4および第8化合物は、それぞれ独立して、PAP2BPy、PAPP2BPy、1,6‐FLPAPrn、YGA2S、YGAPA、PCAPA、TBP、PCBAPA、2PCAPPA、クマリン30、2PCAPA、2PCABPhA、DPhAPhA、DPQd、BPT、DCM1、DCM2、p−mPhTD、p−mPhAFD、DCJTI、DCJTB、N,N,N’,N’‐テトラフェニル‐ピラン‐1,6‐ジアミンなどを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0139】
1つの例示的な実施形態において、第1発光物質層362における第1化合物と第2化合物は、99:1ないし70:30、好ましくは95:5ないし70:30、さらに好ましくは90:10ないし70:30の重量比で配合することができる。第2発光物質層364における第4化合物は、1ないし50重量%、好ましくは1ないし30重量%、さらに好ましくは1ないし15重量%の割合でドープすることができる。一方、第3発光物質層366における第6化合物と第7化合物は、80重量%以上にすることができる。一例に、第3発光物質層366における第6化合物は、50ないし80重量%、好ましくは60ないし80重量%で添加し、第7化合物は、10ないし40重量%、好ましくは15ないし35重量%で添加し、第8化合物は、1ないし20重量%、好ましくは1ないし5重量%で添加することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】
本発明の第3実施形態によると、第1発光物質層362は、第1ホストであり得る第1化合物と第1遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物からなる。第1発光物質層362にそれぞれ隣接して位置する第2発光物質層364は、第2ホストであり得る第3化合物と、第1蛍光または燐光ドーパントであり得る第4化合物からなり、第3発光物質層366は、第3ホストであり得る第6化合物と、第2遅延蛍光ドーパントであり得る第7化合物、第2蛍光または燐光ドーパントであり得る第8化合物からなる。
【0141】
したがって、逆系間交差(RISC)により、第1発光物質層362に含まれる第1遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物の三重項エネルギーが一重項エネルギーに変換され、第2化合物の一重項エネルギーは、FRET現象により、隣接した第2発光物質層364の第1蛍光または燐光ドーパントであり得る第4化合物、および第3発光物質層366の第2蛍光または燐光ドーパントであり得る第8化合物へ伝達される。さらに、RISCにより、第3発光物質層366に含まれる第2遅延蛍光ドーパントであり得る第7化合物の三重項エネルギーが一重項エネルギーに転換され、第7化合物の一重項エネルギーは、分子間の電子交換による励起子の拡散により、隣接された分子間における波動関数の重なりに依存するデクスターエネルギー移動を介して、同じ発光物質層内の第8化合物へ伝達される。
【0142】
このように、本発明の第3実施形態によると、最終的に発光する第2発光物質層364の第4化合物は、隣接した第1発光物質層362の第2化合物を介してエネルギーの伝達を受け、第3発光物質層366の第8化合物は、2つの遅延蛍光ドーパントである第2および第7化合物を介してエネルギーの伝達を受ける。このように、本発明の第3実施形態では、3つの発光物質層362、364、366を構成し、これらの発光物質層で励起子のエネルギー伝達を効率的に調節する。それにより、過度に生成された励起子‐励起子消光や、励起子を形成するためのポーラロン‐励起子消光を最小化して、発光効率が極大化される。また、第1および第2蛍光または燐光ドーパントであり得る第4および第8化合物は、半値幅が狭くて、色純度の優れた超蛍光を具現化することができる。
【0143】
他の例示的な実施形態において、第1化合物、第3化合物、および第6化合物は、互いに異なる物質からなることができる。一例に、第2発光物質層364を構成する第3化合物は、電子遮断層355と同一物質で構成することができる。電子遮断層355は省略してもよく、この場合、第2発光物質層364が、発光物質層および電子遮断層として利用される。一方、第2発光物質層364が第2電極320側に近接して形成される場合、第3化合物は、電子遮断層375の物質と同一物質であり得る。正孔遮断層375は省略してもよく、第2発光物質層364は、発光物質層および正孔遮断層として利用される。
【0144】
また、他の例示的な実施形態において、第3発光物質層366を構成する第6化合物は、正孔遮断層375の物質と同一物質であり得る。正孔遮断層375は省略してもよく、この場合、第3発光物質層366が、発光物質層および正孔遮断層として利用される。一方、第3発光物質層366が第1電極310側に近接して形成される場合、第6化合物は、正孔遮断層355の物質と同一物質で構成することができる。正孔遮断層375は省略してもよく、第3発光物質層366は、発光物質層および正孔遮断層として利用される。
【0145】
さらに他の例示的な実施形態において、第2発光物質層364を構成する第3化合物は、電子遮断層355の物質と同一物質であり、第3発光物質層366を構成する第6化合物は、正孔遮断層375の物質と同一物質であり得る。このとき、第2発光物質層364は、発光機能と共に、電子遮断機能を同時に有し、第3発光物質層366は、発光機能と共に、正孔遮断機能を同時に有することができる。すなわち、第2発光物質層364および第3発光物質層366は、それぞれ電子を遮断するためのバッファー層、正孔を遮断するためのバッファー層として働くことができる。一方、電子遮断層355および正孔遮断層375は省略してもよく、この場合、第2発光物質層364は、発光物質層および電子遮断層として利用され、第3発光物質層366は、発光物質層と正孔遮断層として利用される。
【0146】
第2発光物質層364が第2電極320側に近接して位置し、第3発光物質層366が第1電極310側に近接して位置する代案的な実施形態において、第2発光物質層364を構成する第3化合物は、正孔遮断層375の物質と同一物質であり、第3発光物質層366を構成する第6化合物は、電子遮断層355の物質と同一物質であり得る。このとき、第2発光物質層362は、発光機能と共に、正孔遮断機能を同時に有し、第3発光物質層366は、発光機能と共に、電子遮断機能を同時に有することができる。すなわち、第2発光物質層364および第3発光物質層366は、それぞれ正孔を遮断するためのバッファー層と、電子を遮断するためのバッファー層として働くことができる。一方、電子遮断層355および正孔遮断層375は省略してもよく、この場合、第2発光物質層364は、発光物質層および正孔遮断層として利用され、第3発光物質層366は、発光物質層と電子遮断層として利用される。
【0147】
一方、前述した実施形態では、発光ユニットが1つの有機発光ダイオードを説明したが、これとは異なって、タンデム構造を有する有機発光ダイオードにも本発明を適用することができるが、これについて説明する。
図9は、本発明の例示的な第4実施形態に係る有機発光ダイオードの構造を概略的に示す断面図である。
【0148】
図9に示すように、本発明の第4実施形態に係る有機発光ダイオード400は、互いに対向する第1電極410および第2電極420と、第1電極410と第2電極420の間に位置する第1発光ユニット430と、第1発光ユニット430と第2電極420の間に位置する第2発光ユニット530と、第1発光ユニット430と第2発光ユニット530の間に位置する電荷生成層600とを含む。
【0149】
第1電極410は、仕事関数値が比較的に大きい導電性物質、例えば、透明導電性酸化物(TCO)から形成されることが好ましい。例示的な実施形態において、第1電極410は、ITO、IZO、ITZO、SnO、ZnO、ICOおよび/またはAZOからなり得る。
【0150】
第2電極420は、仕事関数値が比較的に小さい導電性物質、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、銀(Ag)、またはこれらの合金や組み合わせのように、反射特性に優れた素材からなり得る。
【0151】
第1発光ユニット430は、正孔注入層440と、第1正孔輸送層(下部の正孔輸送層450)、下部の発光物質層460および第1電子輸送層(下部の電子輸送層、470)を含む。必要によって、第1発光ユニット430は、第1正孔輸送層450と下部の発光物質層460との間に第1電子遮断層(下部の電子遮断層、455)および/または下部の発光物質層460と第1電子輸送層470との間に第1正孔遮断層(下部の正孔遮断層、475)をさらに含むことができる。
【0152】
第2発光ユニット530は、第2正孔輸送層(上部の正孔輸送層、550)と、上部の発光物質層560、第2電子輸送層(上部の電子輸送層、570)および電子注入層570を含む。必要によって、第2発光ユニット530は、第2正孔輸送層550と上部の発光物質層560との間に第2電子遮断層(上部の電子遮断層、455)および/または上部の発光物質層560と第2電子輸送層470との間に第2正孔遮断層(上部の正孔遮断層、475)をさらに含むことができる。
【0153】
このとき、下部の発光物質層460および上部の発光物質層560のうち、少なくともいずれか1つは、青色(B)の発光を具現化することができる。選択的に、下部の発光物質層460および上部の発光物質層560のうち、いずれか1つは青色(B)発光を具現化し、残る1つは、これより長波長である緑色(G)、黄緑色(YG)、黄色(Y)またはオレンジ色を発光することができる。以下では、下部の発光物質層460が青色の発光を具現化し、上部の発光物質層560が緑色・黄緑色・黄色・オレンジ色の発光を具現化する場合を中心に説明する。
【0154】
正孔注入層440は、第1電極410と第1正孔輸送層450の間に位置し、無機物である第1電極410と有機物である第1正孔輸送層450との間における界面特性を向上させる。一例に、正孔注入層440は、MTDATA、NATA、1T-NATA、2T-NATA、CuPC、TCTA、NPB(NPD)、HAT-CN、TDAPB、PEDOT/PS、および/またはN‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミンなどからなる群から、いずれか1つの化合物で構成することができる。有機発光ダイオード400の特性により、正孔注入層440は省略してもよい。
【0155】
第1および第2正孔輸送層450、550は、それぞれTPD、NPB、CBP、Poly-TPD、TFB、TAPC、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、および/またはN‐(ビフェニル‐4‐イル)‐N‐(4‐(9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)ビフェニル)‐4‐アミンなどからなる群から選択される化合物で構成することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0156】
第1電子輸送層470と第2電子輸送層570は、それぞれ第1有機発光素子430と第2有機ユニット530における電子輸送をスムーズにさせる。第1および第2電子輸送層470、570は、オキサジアゾール系、トリアゾール系、フェナントロリン系、ベンゾオキサゾール系、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、トリアジン系などの誘導体であり得る。
【0157】
例えば、第1および第2電子輸送層470、570は、それぞれAlq
3、PBD、スピロ-PBD、Liq、TPBi、BAlq、Bphen、NBphen、BCP、TAZ、NTAZ、TpPyPB、TmPPPyTz、PFNBr、TPQ、および/または2‐[4‐(9,10‐ジ‐2‐ナフタレニル‐2‐アントラセニル)フェニル]‐1‐フェニル‐1H‐ベンゾイミダゾールなどからなる群から選択される素材で構成することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0158】
電子注入層580は、第2電極420と第2電子輸送層570との間に位置するが、第2電極420の特性を改善し、素子の寿命を改善することができる。1つの例示的な実施形態において、電子注入層580の素材には、LiF、CsF、NaF、BaF
2などのアルカリハライド系物質、および/またはLiq、リチウムベンゾエイト、ステアリン酸ナトリウムなどの有機金属系の物質を用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0159】
また、第1および第2電子遮断層455、555は、TCTA、トリス[4‐(ジエチルアミノ)フェニル]アミン、N‐(ビフェニル‐4‐イル)‐9,9‐ジメチル‐N‐(4‐9‐フェニル‐9H‐カルバゾール‐3‐イル)フェニル)‐9H‐フルオレン‐2‐アミン、TAPC、MTDATA、mCP、mCBP、CuPC、DNTPD、および/またはTDAPBなどから構成することができる。
【0160】
第1および第2正孔遮断層475、575は、それぞれ第1および第2電子輸送層470、570に用いられ得るオキサジアゾール系、トリアゾール系、フェナントロリン系、ベンゾオキサゾール系、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、トリアジン系などの誘導体を用いることができる。例えば、第1および第2正孔遮断層475、575は、それぞれBCP、BAlq、Alq
3、PBD、スピロ‐PBD、Liq、B3PYMPM、および/またはDPEPO、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物で構成することができる。
上部の発光物質層560が緑色(G)の発光物質層である場合、上部の発光物質層560は、CBPなどのホストとイリジウム系のドーパント(例えば、dp
2Ir(acac)、op
2Ir(acac)など)を含む燐光発光物質層であり得るが、これに限定されるものではない。選択的に、上部の発光物質層560は、Alqを含む蛍光発光物質層であってもよい。このとき、上部の発光物質層560における発光波長は、510nmないし570nmであり得る。
【0161】
上部の発光物質層560が黄色(Y)の発光物質層である場合、黄緑色(YG)の発光物質層の単層構造であってもよく、黄緑色の発光物質層と緑色(G)の発光物質層の2層構造であってもよい。一例に、上部の発光物質層560が黄色の発光物質層である場合、黄色の発光物質層は、CBP、またはBAlqのうち、選択された少なくとも1つのホストと、黄緑色を発光する黄緑色の燐光ドーパントを含むことができる。このとき、上部の発光物質層560における発光波長は、510nmないし590nmの範囲であり得る。
【0162】
選択的な実施形態において、上部の発光物質層560は、2つの発光物質層、例えば、黄緑色の発光物質層と赤色の発光物質層からなることができる。
【0163】
電荷生成層600(Charge Generation Layer;CGL)は、第1発光ユニット430と第2発光ユニット530の間に位置し、第1発光ユニット430に隣接して位置するN型電荷生成層610(N‐CGL)と、第2発光ユニット530に隣接して位置するP型電荷生成層620(P‐CGL)を含む。N型電荷生成層610は第1発光ユニット430へ電子を注入し、P型電荷生成層620は第2発光ユニット530へ正孔を注入する。
【0164】
N型電荷生成層610は、Li、Na、K、Csのようなアルカリ金属、および/またはMg、Sr、Ba、Raのようなアルカリ土類金属でドープされた有機層であり得る。例えば、N型電荷生成層610に用いられるホスト有機物は、Bphen、MTDATAといった物質であり、アルカリ金属またはアルカリ土類金属は、約0.01ないし30重量%でドープすることができる。
【0165】
一方、P型電荷生成層620は、タングステン酸化物(WO
X)、モリブデン酸化物(MoO
X)、ベリリウム酸化物(Be
2O
3)、バナジウム酸化物(V
20
5)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される無機物、および/またはNPD、HAT‐CN、F4TCNQ、TPD、TNB、TCTA、N,N’‐ジオクチル‐3,4,9,10‐ペリレンカルボキシイミド;PTCDI‐C8およびこれらの組み合わせから構成される群から選択される有機物からなり得る。
【0166】
下部の発光物質層460は、第1化合物と第2化合物からなる第1発光物質層462と、第3化合物と第4化合物からなる第2発光物質層464と、第6化合物、第7化合物および第8化合物からなる第3発光物質層466とを含む。第1化合物は第1ホストであり、第2化合物は第1遅延蛍光ドーパント(TD1)であり得る。第3化合物は第2ホストであり、第4化合物は第1蛍光または燐光ドーパント(FD1)であり得る。また、第6化合物は第3ホストであり、第7化合物は第2遅延蛍光ドーパント(TD2)であり、第8化合物は第2蛍光または燐光ドーパント(FD2)であり得る。第3発光物質層466は、第1発光物質層462を介在して第2発光物質層464の反対側に位置する。
【0167】
第1ないし第3発光物質層462、464、466にそれぞれ含まれる第1ないし第3ホストであり得る第1、第3および第6化合物は、それぞれ独立して、化学式1ないし化学式2の構造を有する有機化合物を含むことができる。また、第1および第3発光物質層462、466にそれぞれ含まれる第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第7化合物は、それぞれ独立して、化学式3ないし化学式7の構造を有する有機化合物を含むことができる。
【0168】
化学式1ないし化学式2の構造を有する有機化合物を、第1ないし第3ホストに用いて、化学式3ないし化学式7の構造を有する有機化合物を、それぞれ第1および第2遅延蛍光ドーパントに用いる場合、第1ないし第3ホストにおける励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H1、S
1H2、S
1H3)および励起状態の三重項エネルギー準位(T
1H1、T
1H2、T
1H3)は、それぞれ第1および第2遅延蛍光ドーパントにおける励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD1、S
1TD2)および励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD1、T
1TD2)より高い。
【0169】
また、化学式1ないし化学式2で表される有機化合物は、それぞれ第1ないし第3ホストに用いると、第1ないし第3ホストであり得る第1、第3および第6化合物それぞれの最高被占軌道エネルギー準位(HOMO
H)と、第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第7化合物それぞれの最高被占軌道エネルギー準位(HOMO
TD)との差(│HOMO
H−HOMO
TD│)、または第1、第3および第6化合物それぞれの最低空軌道エネルギー準位(LUMO
H)と、第2および第7化合物それぞれの最低空軌道エネルギー準位(LUMO
TD)との差(│LUMO
H−LUMO
TD│)は、0.5eV以下、例えば0.1ないし0.5eV以下を満たすことができる。
【0170】
一方、第2発光物質層464と第3発光物質層466にそれぞれ用いられ得る第4化合物と第8化合物は、それぞれ半値幅が狭くて高い青色発光を具現化できる物質を用いることができる。また、第2および第3ホストであり得る第4および第6化合物、並びに第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2および第7化合物の発光スペクトルとの重畳領域が大きい吸収スペクトルを有し、第3および第6化合物、並びに第2および第7化合物の波動関数と重なる波動関数を有する蛍光または燐光物質を第4および第8化合物に用いることができる。
このとき、第1発光物質層462と第3発光物質層464にそれぞれ含まれる第1および第2遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物と第7化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1TD1、S
1TD2)および/または励起状態の三重項エネルギー準位(T
1TD1、T
1TD2)は、それぞれ第2発光物質層464と第3発光物質層466にそれぞれ含まれる第1および第2蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4および第8化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD1、S
1FD2)および/または励起状態の三重項エネルギー準位(T
1FD1、T
1FD2)より高くなければならない。さらに、第2および第3ホストであり得る第3および第6化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1H2、S
1H3)は、それぞれ第1および第2蛍光、または燐光ドーパントであり得る第4および第8化合物における励起状態の一重項エネルギー準位(S
1FD1、S
1FD2)より高くなければならない。
【0171】
例えば、第4および第8化合物は、それぞれ独立して、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン誘導体などを含むことができる。具体的に、第4および第8化合物は、それぞれ独立して、PAP2BPy、PAPP2BPy、1,6‐FLPAPrn、YGA2S、YGAPA、PCAPA、TBP、PCBAPA、2PCAPPA、クマリン30、2PCAPA、2PCABPhA、DPhAPhA、DPQd、BPT、DCM1、DCM2、p−mPhTD、p−mPhAFD、DCJTI、DCJTB、N,N,N’,N’‐テトラフェニル‐ピレン‐1,6‐ジアミンなどを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
1つの例示的な実施形態において、第1発光物質層462における第1化合物と第2化合物は、99:1ないし70:30、好ましくは95:5ないし70:30、さらに好ましくは90:10ないし70:30の重量比で配合することができる。第2発光物質層464における第4化合物は、1ないし50重量%、好ましくは1ないし30重量%、さらに好ましくは1ないし15重量%の割合でドープすることができる。
一方、第3発光物質層466における第6化合物と第7化合物は、80重量%以上にすることができる。一例に、第3発光物質層466における第6化合物は、50ないし80重量%、好ましくは60ないし80重量%で添加し、第7化合物は10ないし40重量%、好ましくは15ないし35重量%で添加し、第8化合物は、1ないし20重量%、好ましくは1ないし5重量%で添加することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0172】
本発明の第4実施形態によると、第1発光物質層462は、第1ホストであり得る第1化合物と第1遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物からなる。第1発光物質層462にそれぞれ隣接して位置する第2発光物質層464は、第2ホストであり得る第3化合物と、第1蛍光または燐光ドーパントであり得る第4化合物からなり、第3発光物質層466は、第3ホストであり得る第6化合物と、第2遅延蛍光ドーパントであり得る第7化合物、第2蛍光ドーパントであり得る第8化合物からなる。
【0173】
したがって、逆系間交差(RISC)により、第1発光物質層462および第3発光物質層466に含まれる第1遅延蛍光ドーパントであり得る第2化合物の三重項エネルギーが一重項エネルギーに変換され、第2化合物の一重項エネルギーは、FRET現象により、隣接した第2発光物質層464の第1蛍光または燐光ドーパントであり得る第4化合物、および第3発光物質層466の第2蛍光または燐光ドーパントであり得る第8化合物へ伝達される。さらに、RISCにより、第3発光物質層466に含まれる第2遅延蛍光ドーパントであり得る第7化合物の三重項エネルギーが一重項エネルギーに変換され、第7化合物の一重項エネルギーは、デクスターエネルギー移動を介して同じ発光物質層内の第8化合物へ伝達される。
【0174】
このように、本発明の第4実施形態によると、最終的に発光する第2発光物質層464の第4化合物は、隣接した第1発光物質層462の第2化合物を介してエネルギーの伝達を受け、第3発光物質層466の第8化合物は、2つの遅延蛍光ドーパントである第2および第7化合物を介してエネルギーの伝達を受ける。このように、本発明の第4実施形態では、3つの発光物質層462、464、466を構成し、これらの発光物質層で励起子のエネルギー伝達を効率的に調節する。それにより、過度に生成された励起子‐励起子消光や、励起子を形成するためのポーラロン‐励起子消光を最小化して、発光効率が極大化される。また、第1および第2蛍光または燐光ドーパントであり得る第4および第8化合物は、半値幅が狭いため、色純度の優れた超蛍光を具現化することができる。
【0175】
他の例示的な実施形態において、第1化合物、第3化合物、および第6化合物は、互いに異なる物質からなることができる。一例に、第2発光物質層464を構成する第3化合物は、第1電子遮断層455と同一物質で構成することができる。この場合、第1電子遮断層455は省略してもよく、第2発光物質層464は、発光物質層および第1電子遮断層として利用することができる。一方、第2発光物質層464が第1電子輸送層470側に近接して形成される場合、第3化合物は、第1電子遮断層475の物質と同一物質であり得る。この場合、第1正孔遮断層475は省略してもよく、第2発光物質層464は、発光物質層および第1正孔遮断層として利用することができる。
【0176】
また、他の例示的な実施形態において、第3発光物質層466を構成する第6化合物は、第1正孔遮断層475の物質と同一物質であり得る。この場合、第1正孔遮断層475は省略してもよく、第3発光物質層466は、発光物質層および第1正孔遮断層として利用される。一方、第3発光物質層466が第1正孔輸送層450側に近接して形成される場合、第6化合物は、第1正孔遮断層455の物質と同一物質で構成することができる。第1正孔遮断層455は省略してもよく、第3発光物質層466は、発光物質層および第1正孔遮断層として利用される。
【0177】
さらに他の例示的な実施形態において、第2発光物質層464を構成する第3化合物は、第1電子遮断層455の物質と同一物質であり、第3発光物質層466を構成する第6化合物は、第2正孔遮断層475の物質と同一物質であり得る。このとき、第2発光物質層464および第3発光物質層466は、それぞれ電子を遮断するためのバッファー層、正孔を遮断するためのバッファー層として働くことができる。一方、第1電子遮断層455および第1正孔遮断層475は省略してもよく、この場合、第2発光物質層464は、発光物質層および第1電子遮断層として利用され、第3発光物質層466は、発光物質層と第1正孔遮断層として利用される。
【0178】
第2発光物質層464が第1電子輸送層470側に近接して位置し、第3発光物質層466が第1正孔輸送層450側に近接して位置する代案的な実施形態において、第2発光物質層464を構成する第3化合物は、第1正孔遮断層475の物質と同一物質であり、第3発光物質層466を構成する第6化合物は、第1電子遮断層455の物質と同一物質であり得る。このとき、第2発光物質層464および第3発光物質層466は、それぞれ正孔を遮断するためのバッファー層と、電子を遮断するためのバッファー層として働くことができる。一方、第1電子遮断層455および第1正孔遮断層475は省略してもよく、この場合、第2発光物質層464は、発光物質層および第1正孔遮断層として利用され、第3発光物質層466は、発光物質層と第1電子遮断層として利用される。
【0179】
一方、
図9では、下部の発光物質層460が3つの発光物質層462、464、466からなる場合を例に挙げているが、下部の発光物質層460は、第1化合物および第2化合物からなる第1発光物質層と、第3化合物と第4化合物、および必要によって第5化合物からなる第2発光物質層との2層からなってもよい(
図2および
図5を参照)。
以下、例示的な実施形態を用いて本発明を説明するが、本発明が下記の実施例に記載された技術思想に限定されるものではない。
【0180】
実施例1:蛍光発光物質層‐遅延蛍光発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第1電極と第2電極の間に蛍光物質を有する第2発光物質層と、遅延蛍光物質を有する第1発光物質層が順次形成された有機発光ダイオード(以下、「F/T発光素子」とする。)を次のように製造した。第1発光物質層および第2発光物質層のホストに、化学式2のH1をそれぞれ使用し、第1発光物質層の蛍光ドーパントには、ピレンコアを有するN,N,N’,N’‐テトラフェニル‐ピレン‐1,6‐ジアミンを使用して、第2発光物質層の遅延蛍光物質には、化学式7のT1を使用した。
【0181】
ITOの付着されたガラス基板の発光面積が3mm×3mmのサイズになるようパターニングした後、洗浄した。基板を真空チャンバーに装着し、ベース圧力が1×10
‐6Torrになるようにした後、有機物をITO上に次のような順番で成膜した。
【0182】
正孔注入層(HAT‐CN、50Å)、正孔輸送層(α‐NPB、500〜1500Å)、励起子遮断層である電子遮断層(TCTA、50Å)、第2発光物質層(ホストH1:蛍光ドーパント=95重量%:5重量%;50Å)、第1発光物質層(ホストH1:遅延蛍光ドーパントT1=70重量%:30重量%;300Å)、電子輸送層(2‐[4‐(9,10‐ジ‐2‐ナフタレニル‐2‐アントラセニル)フェニル]‐1‐フェニル‐1H‐ベンゾイミダゾール;300Å)、電子注入層(LiF、10Å)、陰極(Al、800〜1000Å)を蒸着した後、皮膜を形成するため、蒸着チャンバーから乾燥箱内に移し、続けてUV軽化エポキシおよび水分ゲッターを用いて封止した。
【0183】
実施例2ないし実施例12:蛍光発光物質層‐遅延蛍光発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第1発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントの種類および配合比率を、それぞれ下記の表1に記載したものに変更したことを除き、実施例1の手順を繰り返してF/T構造の有機発光ダイオードをそれぞれ製造した。
【0184】
比較例:単層の発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第2発光物質層を省略し、ホストと遅延蛍光ドーパントが配合された単層の発光物質層を形成した点を除き、実施例1の手順を繰り返して有機発光ダイオードを製造した。発光物質層の厚さは、実施例1の第1発光物質層の厚さと同一に形成し、ホストにMADN(2‐メチル‐9,10‐ビス(ナフタレン‐2‐イル)アントラセン)を、遅延蛍光ドーパントに2CzPN(4,5‐ジ(9H‐カルバゾール‐9‐イル)フタロニトリル)を用いて、それぞれ7:3の重量比で配合した。
【0185】
実験例1:有機発光ダイオードの発光特性の測定
実施例1ないし実施例12、および比較例でそれぞれ製造された有機発光ダイオードを対象に物性を測定した。9mm
2の放出領域を有するそれぞれの有機発光ダイオードを外部の電力供給源に連結し、電流供給源(KEITHLEY)および光度計(PR 650)を用いて、室温下で素子の特性を評価した。素子の特性は、10mA/cm
2で測定した。実施例1ないし実施例12でそれぞれ製造された有機発光ダイオードの駆動電圧、電力効率(1m/W)、外部量子効率(EQE)、色座標(CIE
x、CIE
y)を、表1に示す。
【0187】
表1に示すように、比較例に係る単層の発光物質層を有する発光素子に比較して、実施例1ないし実施例12で製造されたF/T発光素子は、駆動電圧が最大9.1%減少し、電力効率およびEQEは、それぞれ最大16.4%、48.5%向上して、より高色純度の青色発光を具現化することができた。特に、第1発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントを9:1または7:3の重量比で配合した場合に、発光効率がさらに向上したことが分かる。かかる現象は、遅延蛍光ドーパントを過度にドープすると、遅延蛍光ドーパントの自己消光現象により、発光効率が低下するためであると考えられる。
【0188】
実施例13ないし実施例24:蛍光発光物質層‐遅延蛍光発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第1発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントの種類および配合比率を、それぞれ下記の表2に記載したものに変更した点を除き、実施例1の手順を繰り返してF/T構造の有機発光ダイオードをそれぞれ製造した。
【0189】
実験例2:有機発光ダイオードの発光特性の測定
実施例13ないし実施例24、および比較例でそれぞれ製造された有機発光ダイオードを対象に、実験例1と同一方法で発光物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0191】
表2に示すように、比較例に係る単層の発光物質層を有する発光素子に比較して、実施例13ないし実施例24で製造されたF/T発光素子は、駆動電圧が最大4.5%減少し、電力効率およびEQEは、それぞれ最大16.4%、35.4%向上して、より高色純度の青色発光を具現化することができた。特に、第1発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントを9:1または7:3の重量比で配合した場合に、発光効率がさらに向上したことが分かる。
【0192】
実施例25:遅延蛍光発光物質層‐遅延蛍光/蛍光発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第1電極と第2電極の間に遅延蛍光物質を有する第1発光物質層と、遅延蛍光および蛍光物質を有する第2発光物質層が順次形成された有機発光ダイオード(以下、「T/A発光素子」とする。)を次のように製造した。第1発光物質層および第2発光物質層のホストに、それぞれH1を、第1発光物質層および第2発光物質層の遅延蛍光ドーパントに、T1を、第2発光物質層の蛍光物質に、実施例1で用いられたピレン系蛍光物質(N,N,N’,N’‐テトラフェニル‐ピレン‐1,6‐ジアミン)を使用した。第1発光物質層(ホストH1:遅延蛍光ドーパントT1=70重量%:30重量%;300Å)、第2発光物質層(ホストH1:遅延蛍光ドーパントT1:蛍光ドーパント=69重量%:30重量%:1重量%;50Å)を形成した点を除き、実施例1の手順を繰り返してT/A構造の有機発光ダイオードを製造した。
【0193】
実施例26ないし実施例36:遅延蛍光発光物質層‐遅延蛍光/蛍光発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第1発光物質層および第2発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントの種類および配合比率を、それぞれ下記の表3に記載したものに変更した点を除き、実施例25の手順を繰り返してT/A構造の有機発光ダイオードをそれぞれ製造した。
【0194】
実験例3:有機発光ダイオードの発光特性の測定
実施例25ないし実施例36、および比較例でそれぞれ製造された有機発光ダイオードを対象に、実験例1と同一方法で発光物性を測定した。その結果を表3に示す。
【0196】
表3に示すように、比較例に係る単層の発光物質層を有する発光素子に比較して、実施例25ないし実施例36で製造されたT/A発光素子は、駆動電圧が最大9.1%減少し、電力効率およびEQEは、それぞれ最大17.0%、46.5%向上して、より高色純度の青色発光を具現化することができた。特に、第1発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントを9:1または7:3の重量比で配合した場合に、発光効率がさらに向上したことが分かる。
【0197】
実施例37ないし実施例48:遅延蛍光発光物質層‐遅延蛍光/蛍光発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第1発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントの種類および配合比率を、それぞれ下記の表4に記載したものに変更した点を除き、実施例25の手順を繰り返してT/A構造の有機発光ダイオードをそれぞれ製造した。
【0198】
実験例4:有機発光ダイオードの発光特性の測定
実施例37ないし実施例48、および比較例でそれぞれ製造された有機発光ダイオードを対象に、実験例1と同一方法で発光物性を測定した。その結果を表4に示す。
【0200】
表4に示すように、比較例に係る単層の発光物質層を有する発光素子に比較して、実施例37ないし実施例48で製造されたT/A発光素子は、駆動電圧が最大4.5%減少し、電力効率およびEQEは、それぞれ最大16.4%、35.4%向上して、より高色純度の青色発光を具現化することができた。特に、第1発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントを9:1または7:3の重量比で配合した場合に、発光効率がさらに向上したことが分かる。
【0201】
実施例49:蛍光発光物質層‐遅延蛍光発光物質層‐遅延蛍光/蛍光発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第1電極と第2電極の間に蛍光物質を有する第2発光物質層と、遅延蛍光物質を有する第1発光物質層と、遅延蛍光および蛍光物質を有する第3発光物質層が順次形成された有機発光ダイオード(以下、「F/T/A発光素子」とする。)を次のように製造した。第1発光物質層ないし第3発光物質層のホストに、それぞれH1を、第1発光物質層および第3発光物質層の遅延蛍光ドーパントに、T1を、第2発光物質層および第3発光物質層の蛍光物質に、実施例1で用いられたピレン系蛍光物質(N,N,N’,N’‐テトラフェニル‐ピレン‐1,6‐ジアミン)を使用した。第2発光物質層(ホストH1:蛍光ドーパント=95重量%:5重量%;50Å)、第1発光物質層(ホストH1:遅延蛍光ドーパントT1=70重量%:30重量%;300Å)、第3発光物質層(ホストH1:遅延蛍光ドーパントT1:蛍光ドーパント=69重量%:30重量%:1重量%;50Å)を形成した点を除き、実施例1の手順を繰り返してF/T/A構造の有機発光ダイオードを製造した。
【0202】
実施例50ないし実施例59:蛍光発光物質層‐遅延蛍光発光物質層‐遅延蛍光/蛍光発光物質層構造の有機発光ダイオードの製造
第1発光物質層および第3発光物質層のホストと遅延蛍光ドーパントの種類を、それぞれ下記の表5に記載したものに変更した点を除き、実施例49の手順を繰り返してF/T/A構造の有機発光ダイオードをそれぞれ製造した。
【0203】
実験例5:有機発光ダイオードの発光特性の測定
実施例49ないし実施例59、および比較例でそれぞれ製造された有機発光ダイオードを対象に、実験例1と同一方法で発光物性を測定した。その結果を表5に示す。また、
図10ないし
図12は、それぞれ実施例49ないし実施例59と、比較例でそれぞれ製造された有機発光ダイオードの電圧‐電流密度、電流密度‐外部量子効率、電界発光(Electroluminescence;EL)スペクトルを測定した結果を示すグラフである。
【0205】
表5に示すように、比較例に係る単層の発光物質層を有する発光素子に比較して、実施例49ないし実施例59で製造されたF/T/A発光素子は、駆動電圧が最大11.4%減少し、電力効率およびEQEは、それぞれ最大33.3%、56.6%向上して、より高色純度の青色発光を具現化することができた。
【0206】
以上、本発明の例示的な実施形態および実施例に基づき、本発明を説明したが、本発明は、前述した実施形態および実施例に記載された技術思想に限定されるものではない。むしろ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前述した実施形態および実施例に基づき、様々な変形や変更を容易に推考することができる。しかしながら、かかる変形や変更が全て本発明の権利範囲に属するということは、請求の範囲から明らかである。