(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の技術は、軸筒が先端側部分と後端側部分との2部材構成になっているため、各々の部材間に隙間が生じることで導電を妨げてしまうといった問題を有する。
ここで、タッチペンを形成する際に、軸からタッチペン部分(静電容量型入力装置との接触部分)までの間に部材が介在すればするほど、静電容量が減衰し、タッチペン部分への導電が妨げられてしまうこととなる。
そこで、本発明は、軸からタッチペン部分までの間に介在する部材を最小限とし、タッチペン部分へ供給される静電容量を減衰させることなく、より多くタッチペン部分へ導電を行うことで反応性に富み、スムーズな操作が可能なタッチペン付き筆記具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を備える。
(第1の発明)
本発明のうち第1の発明は、軸筒20の一端側に筆記先端61が設けられ、かつ、他端側に導電性を備えたタッチペン40が装着された筆記具10において、前記軸筒20は導電性材質を含み、前記軸筒20の側面には、軸心を挟んで対向した2つのスリット24が該軸筒20の長手方向に沿って形成され、前記タッチペン40は直接、前記軸筒20の他端側に装着され、前記筆記先端61の出没に関与するスライドノック部材50を備えており、前記スライドノック部材50は、前記スリット24の一方に沿って摺動するスライド突起51と、前記スリット24の他方に沿って摺動する解除突起52とを備え、前記スライド突起51が前記軸筒20の前方に摺動されることに起因して、前記スリット24のうちの他方から前記解除突起52が突出することを特徴とする。
【0006】
本発明における軸筒20は、少なくともその後端側の部分、すなわち、タッチペン40が位置する部分の表面が導電性を有するように、たとえば、カーボンブラック等が含まれた導電性樹脂又はステンレス鋼等の金属によって接続箇所を含まず一体的に成形されている。
なお、軸筒20は、導電性を有しない素材から一体成形することも可能であるが、この場合は軸筒20の表面に導電性塗料などの塗布や導電性フィルムを被覆することによって、軸筒20が導電性を有するように形成される。
筆記先端61とは、筆記具10において筆記面、たとえば紙面に直接接触する部分をいう。この筆記先端61としては、ボールペン61、シャープペンシル、フェルトペン、マーカーペン等、様々な筆記具10のものが想定される。
【0007】
タッチペン40とは、導電性を有する材質で筆記先端61のような形状に成形されたものをいう。この材質とは、導電性を有していれば特に限定はされない。
従って、この材質としては金属材料、表面にメッキ処理を施した材料、炭素材料を使用してもよく、液晶画面に接触させる関係上、より軟質なものとして、たとえばポリチオフェンあるいはポリピロールのような導電性の高分子材料を使用して形成してもよく、又は表面にコーティングして使用してもよい。
また、導電性を有する材質として、タッチペン40の表面に導電性繊維44を植毛してもよい。この導電性繊維44は、ゴム等の弾性素材を用いたものと比べて、操作時の滑りがよいことを特徴とするため、細かい写真の加工や製図、精密な絵を液晶画面上で描く場合などにも用いることができる。
【0008】
スリット24とは、軸筒20の側面を開口し、軸心を挟んで2つの溝が対向するように形成されており、このスリット24の長さを最大範囲として、後述するスライドノック部材50が前後方向に摺動可能となっている。
スライドノック部材50が備えるスライド突起51は、常に一方のスリット24から突出しており、このスライド突起51を軸筒20の前方に摺動させることにより、筆記先端61が軸筒20から突出するように形成されている。
スライドノック部材50が備える解除突起52は、スライド突起51が軸筒20の前方に摺動された結果、筆記先端61が軸筒20から突出すると、他方のスリット24から突出する。そして、この解除突起52を押圧することで筆記先端61が軸筒20に没入するように形成されている。
【0009】
(第2の発明)
本発明のうち第2の発明は、前記した第1の発明の特徴に加え、前記タッチペン40の一部を覆うように装着され、該タッチペン40を前記軸筒20に固定するための導電性を備えた固定部材80が設けられ、前記タッチペン40の外周には、前記固定部材80と係合するための外方段部46が形成され、前記固定部材80の内周には、前記外方段部46と係合するための内方段部81が形成されたことを特徴とする。
第2の発明は、タッチペン40と軸筒20との固定方法を特定したものである。
【0010】
すなわち、タッチペン40の外方段部46と固定部材80の内方段部81とを係合させ、タッチペン40と固定部材80とを一体とした後、固定部材80を軸筒20に固定させることで、タッチペン40についても軸筒20に固定されるように形成されている。
ここで、固定部材80と軸筒20との固定方法は特に限定されるものではなく、たとえば各々にネジを設け、それらのネジを螺合させることにより固定してもよい。
なお、第2の発明における「内方段部81」とは、後述する本発明の実施形態における「固定部材内方段部81」に、また「外方段部46」とは、「タッチペン外方段部46」に相当する。
【0011】
(第3の発明)
本発明のうち第3の発明は、前記した第1の発明の特徴に加え、前記タッチペン40と連結しており、該タッチペン40と一体となった状態で前記軸筒20への固定を行う導電性を備えた介在部材90が設けられ、前記介在部材90の表面には、前記軸筒20と係合するための鍵山91が形成され、前記軸筒20の他端には、前記鍵山91が通過可能な形状の鍵山挿入孔92が形成されており、前記鍵山挿入孔92の周囲には、前記鍵山91が該鍵山挿入孔92を通過した後、前記介在部材90を回転させることで、該鍵山91と係合する鍵受け部93が形成されたことを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、タッチペン40と軸筒20との固定方法を特定したものである。
具体的には、タッチペン40と一体になった介在部材90を軸筒20内に挿入して、鍵山挿入孔92を鍵山91が通過した後、介在部材90を回転させて、鍵山挿入孔92から鍵山91を引き離すことでタッチペン40を軸筒20に固定させるものである。すなわち、鍵山91と鍵受け部93とを接触させることにより、鍵山91及び鍵受け部93の各々が抜け止めとなるので、タッチペン40を引き抜くことができないこととなっている。
ここで、タッチペン40と介在部材90との固定方法は特に限定されるものではなく、たとえば各々に突起を設け、それらの突起を係合させることにより固定してもよい。
【0013】
(第4の発明)
本発明のうち第4の発明は、前記した第1の発明の特徴に加え、前記タッチペン40は一端が閉口し他端が開口した形状を呈しており、前記タッチペン40の他端付近の内周には、前記軸筒20と係合するための凸部47が形成され、前記軸筒20の他端には、前記凸部47と係合するための凹部71が形成され、前記凸部47又は前記凹部71は、前記タッチペン40の他端側を前記軸筒20内に圧入することで抜け止めとなることを特徴とする。
第4の発明は、タッチペン40と軸筒20との固定方法を特定したものである。
【0014】
すなわち、凸部47が凹部71に収容されるように、タッチペン40を直接、軸筒20内に圧入して、凸部47と凹部71とを抜け止めとして作用させることで、タッチペン40を軸筒20に固定するものである。
なお、第4の発明における「凸部47」とは、後述する本発明の実施形態における「タッチペン内方段部47」に、また「凹部71」とは、「係合溝71」に相当する。
【0015】
(第5の発明)
本発明のうち第5の発明は、前記した第1、第2、第3又は第4の発明の特徴に加え、前記軸筒20の後端と前記タッチペン40との間に、タッチペン40より高硬度のゴム弾性材料である介在部材90が備えられていることを特徴とする。
第5の発明は、介在部材90の材料を特定したものである。すなわち、介在部材90をタッチペン40のゴム硬度より高硬度のゴム弾性材料で形成することで、繰り返しのタッチペン40の押圧動作のたびにタッチペン40と介在部材90とが接触することになる。これにより、タッチペン40が直接軸筒20の後端と接触することがなくなるため、タッチペン40の内側からの破れを防ぐことができる。タッチペン40のゴム硬度はJIS K6250で規定されたデュロメータA硬度で50未満、介在部材90はデュロメータ硬度A70以上で、硬度差を20以上とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のように構成されているので、以下の効果を奏する。
(第1の発明の効果)
第1の発明によれば、軸筒が導電性材質を含み、軸筒からタッチペンまでの間を単一部材とすることができたため、タッチペンへより多くの静電容量が供給可能となる結果、反応性に富み、スムーズな操作が可能なタッチペン付き筆記具を提供することができる。
(第2の発明の効果)
第2の発明によれば、タッチペン自体を軸筒に固定させずに、固定部材を介して軸筒と固定するように形成したため、タッチペン交換時にタッチペンを容易に軸筒から取り外すことができるので、消耗したタッチペンを容易に交換可能なタッチペン付き筆記具を提供することができる。
【0017】
(第3の発明の効果)
第3の発明によれば、タッチペンの一部を覆うことなく一体化した介在部材を介して、タッチペンが軸筒に固定されるように形成したことにより、タッチペンの表面部分の導電経路上に他の部材が存在しないこととなるため、第2の発明と比べて、タッチペンへより多くの静電容量が供給可能なタッチペン付き筆記具を提供することができる。
(第4の発明の効果)
第4の発明によれば、タッチペンが直接、軸筒に固定されるように形成したことにより、軸筒からタッチペンまでの間を単一部材とすることができたため、タッチペンへより多くの静電容量が供給可能となる結果、第2、第3の発明と比べて、反応性に富み、スムーズな操作が可能なタッチペン付き筆記具を提供することができる。
【0018】
(第5の発明の効果)
第5の発明によれば、タッチペンと後軸との間にタッチペンより硬く、後軸より軟質の介在部材を設けることにより、タッチペンのタッチパネルへの強い押圧動作を繰り返すことによるタッチペンの内側からの破損を防ぐことができる。
さらに、軸筒からタッチペンまでの間を単一部材としたことにより、タッチペン付き筆記具に用いられる部材数を減少させることができるため、製作面及びコスト面にも優れたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る筆記具10として、軸筒20の後端に導電性を有するタッチペン40を備え、軸筒20の先端には筆記先端61としてのボールペン61を備えたタッチペン40付き筆記具10を例に説明する。なお、本発明において、筆記具10及びその構成部品についての「前方」とは筆記先端61としてのボールペン61を備えた方向を示し、「後方」とはその反対側の方向を示すものとする。
【0021】
(第1の実施の形態)
(全体構成)
本発明の実施形態に係る筆記具10は、
図1(A)に示すように、軸筒20と、この軸筒20の先端に装着された先軸30と、軸筒20の後端に装着された導電性を有するタッチペン40と、タッチペン40と軸筒20の後端側付近との間に配置されたスライドノック部材50とを備えた外観を呈している。なお、
図1(B)に示すように、筆記具10の内部には、ボールペンリフィル60が収容されており、その先端には筆記先端61としてのボールペン61を備えている。
ここで、本発明の実施形態においては、筆記具10からボールペン61が突出している状態を「突出状態」とし、ボールペン61が筆記具10内に収容されている状態を「没入状態」とする。
【0022】
(軸筒20)
図1(B)に示すように、軸筒20とは、筆記具10の外部構造として使用者に把持される中空の筒形部材であって、この筒型形状の胴部分を構成する軸筒胴部21と、この軸筒胴部21の後端に連接し、その後方にかけて外径が縮径された軸筒後部22とから構成されている。また、軸筒20の側面の一部は開口されており、2つのスリット24が軸心を挟んで対向するように形成されている。このスリット24の長さを最大範囲として、後述するスライドノック部材50が前後方向にスライド移動可能となっている。なお、軸筒胴部21の先端には、後述する先軸雄ネジ33と螺合すべく、軸筒雌ネジ25が形成されている。
【0023】
ここで、本発明の実施形態に係る軸筒20は、少なくともその後端側の部分、すなわち、タッチペン40と接する軸筒後部22の表面が導電性を有するように、たとえば、カーボンブラック等が含まれた導電性樹脂又はステンレス鋼等の金属によって一体的に成形されている。
そのため、本発明の実施形態に係る筆記具10を形成する上で、軸筒20からタッチペン40までの間に介在する部材数を少なくすることができ、静電容量を減衰させずにタッチペン40への導電を行うことが可能となっている。
【0024】
(先軸30)
先軸30とは、筆記具10の外部構造のうち、その先端は先細り形状を呈した中空の筒形部材である。
図1(B)に示すように、先軸30は、その先端側から順に、先軸30の先端面に設けられた開口部分である先端口34と、その前方にかけて外径が縮径された先軸前部31と、先軸前部31の後端付近の内周に形成された先軸雄ネジ33と、先軸雄ネジ33の後方に連接する筒形状の先軸後部32とから構成されている。
ここで、先軸30と軸筒20とは、先軸雄ネジ33と、軸筒雌ネジ25とを螺合させることにより固定される。なお、上記「雄ネジ」、「雌ネジ」の選択は特に限定されるものではなく、「先軸雌ネジ」と「軸筒雄ネジ」として形成して、これらを螺合させることにより先軸30と軸筒20とを固定することも可能である。
【0025】
また、本発明の実施形態に係る筆記具10は、先軸30は非導電性材質から形成し、軸筒20は導電性材質から形成して、この両者を結合することでその外部構造を構成している。
なお、先軸30を軸筒20と同じく導電性材質で形成してもよいが、その場合には、筆記具10の内部機構を含めた部品成形が困難となることや、筆記中にタッチペン40が予期せずに静電容量型入力装置に触れたときに、誤作動を起こす懸念が生じる。
【0026】
したがって、先軸30は、部品成形の容易性や誤作動防止の観点から、非導電性プラスチックなどの非導電性材質から形成されることで、導電性を有しないこととするのが望ましい。
一方、軸筒20及び先軸30を非導電性材質で形成し、軸筒20の表面に金属製の筒構造を被覆したり、軸筒20の表面に金属メッキや導電性フィルムを施したりすることによって、軸筒20の表面のみが導電性を有するように形成してもよい。上記のいずれの場合においても、少なくとも、軸筒20の表面は導電性を有するように形成されている。
【0027】
(タッチペン40)
図5に示すように、タッチペン40は、本発明の実施形態に係る筆記具10において、静電容量型入力装置の操作を行う部分である。
図5に示すように、タッチペン40は、軸筒後部22を覆って装着される半球状に形成されたゴム部材41と、このゴム部材41の表面に静電植毛された導電性繊維44とから構成されている。
ここで、ゴム部材41は、その半球状の開口部分付近の外径方向に円盤状に形成された平面部42と、平面部42の外周面から軸筒後部22までを覆う部材であって、軸筒後部22の外径よりも大きい内径を有するように半球状に形成されたゴム半球部43と、ゴム半球部43の外周に形成され、内方に向けて突出した段差を有するタッチペン外方段部46とから構成されている。なお、本発明の実施形態に係るゴム部材41は、導電性ゴムを用いて形成されているため、タッチペン40表面への導電経路を妨げることはない。
【0028】
また、ゴム部材41は半球状を呈するため、その内部には空間部45が形成されている。なお、このゴム部材41は、タッチペン40が静電容量型入力装置に強く押しつけられた際には、空間部45の体積分だけ弾性変形して、軸筒後部22によって受け止められることとなっているため、静電容量型入力装置の液晶画面の破損を防止することができる。
そして、本発明の実施形態に係るタッチペン40は、ゴム半球部43の表面に導電性繊維44が静電植毛された後、軸筒20に装着される。
【0029】
(スライドノック部材50)
図6に示すように、スライドノック部材50は、スリット24の一方に沿ってスライド移動するスライド突起51と、スライド突起51の後端側に連接する板状の平板部55と、平板部55の先端に連接している挿入部54と、平板部55と挿入部54との間に形成されたスプリング受け段差56と、平板部55の後端上から外方に突出している係止突起53と、他方のスリット24に沿ってスライド移動する解除突起52とから構成されている。
【0030】
(スライド突起51)
スライド突起51とは、常に一方のスリット24から突出しており(
図1〜
図4参照。)、使用者がこのスライド突起51を前方にスライド移動させることで、ボールペン61の突出に関与する部材である。
また、
図1(B)に示すように、スライド突起51はその先端に、軸筒20に向けて突出するクリップ57が設けられており、衣服のポケット等をこのクリップ57と軸筒20の外周面との間で挟持することにより、筆記具10が衣服に保持できることとなっている。
なお、スライドノック部材50は全構成部材が一体となっており、スライド突起51の前後へのスライド移動に伴って、他の部材も連動して、スライド突起51と同一方向にスライド移動するように形成されている。
【0031】
(平板部55)
平板部55とは、スライドノック部材50の胴部分を構成するものであり、その全体が軸筒20内に収容される部材である。この平板部55は、スライド突起51の前後へのスライド移動に連動して軸筒20内をスライド移動する。
(挿入部54)
挿入部54とは、平板部55の先端に連接し、ボールペンリフィル60の後端に挿入される部材である。この挿入部54は、スライド突起51の前方へのスライド移動の際には、このスライド移動に連動して、ボールペンリフィル60を前方に押し出しながら軸筒20内をスライド移動する。
【0032】
(スプリング受け段差56)
スプリング受け段差56とは、平板部55と挿入部54との間に形成された段差であって、この段差に接触するようにスプリング62が装着される(
図1(B)、
図3(B)参照。)。このスプリング受け段差56は、スライド突起51が前方へスライド移動すると、このスライド移動に連動して、スプリング62を先軸後部32の後端との間で圧縮させる。
(係止突起53)
係止突起53とは、その突起が後述するレール部23を乗り越え、かつ、スプリング62の弾性作用により係止突起53がレール部23に押圧されることで、突出状態の維持を図る部材である。なお、係止突起53の作用については後述する。
【0033】
(解除突起52)
解除突起52とは、筆記具10が没入状態から突出状態へ変化したことを契機に、他方のスリット24から突出し、その突起を押圧することでボールペン61の没入に関与する部材である。なお、解除突起52の作用については後述する。
【0034】
(レール部23)
図7に示すように、レール部23とは、軸筒20内部に形成されており、断面逆L字状を呈した部材である。
図7(A)は、没入状態における軸筒20とスライドノック部材50との断面図であり、没入状態においては、レール部23と軸筒20の内周面との間に係止突起53が位置している。
一方、
図7(B)は、突出状態における軸筒20とスライドノック部材50との断面図であり、突出状態においては、係止突起53がレール部23を乗り越えてレール部23の直前に位置している。
【0035】
(没入状態から突出状態への変遷)
以下、本発明の実施形態に係る筆記具10が没入状態から突出状態へ移動し、再び没入状態に戻るまでの流れを説明する。
(1) 没入状態から突出状態への変化
図2は筆記具10の没入状態を示した斜視図であり、
図1(B)は筆記具10の没入状態を示した断面図である。この状態からスライド突起51を前方へスライド移動させると、ボールペンリフィル60の後端に挿入された挿入部54が、スライド突起51のスライド移動に連動して、ボールペンリフィル60を前方に押し出しながら軸筒20内をスライド移動することで、先端口34からボールペン61が突出し、筆記具10が「没入状態」から「突出状態」へ移動する。
【0036】
ここで、「没入状態」から「突出状態」へ移動した場合には、
図7(B)に示すように、係止突起53がレール部23を乗り越えてレール部23の直前に位置しており、この係止突起53が前方からスプリング62にレール部23に対して押圧されることで、筆記具10の突出状態を維持している。
すなわち、突出状態に至るまでスライド突起51を前方へスライド移動させると、このスライド移動に連動してレール部23上をスライド移動していた係止突起53がレール部23上から軸心方向へ陥落して、係止突起53がレール部23の直前に位置する。
【0037】
そして、スライド突起51のスライド移動に連動して、スプリング受け段差56と先軸後部32の後端との間でスプリング62が圧縮されるため、このスプリング62の付勢力により係止突起53が前方からレール部23に押圧されることで、筆記具10の突出状態が維持されている。
なお、係止突起53がレール部23上から陥落するのと同時に、他方のスリット24から解除突起52が突出する。
【0038】
(2) 突出状態から没入状態への変化
図4は筆記具10の突出状態を示した斜視図であり、
図3(B)は筆記具10の突出状態を示した断面図である。この状態から解除突起52を押圧すると、係止突起53がスプリング62によってレール部23に押圧されている状態が解除され、係止突起53がレール部23上に復帰する。その結果、スプリング受け段差56と先軸後部32の後端との間で圧縮されていたスプリング62が開放され、このスプリング62の弾性作用によりスライドノック部材50が後方へスライド移動して、筆記具10が「突出状態」から「没入状態」へ戻ることとなる。
【0039】
(タッチペン40と軸筒20との固定方法)
本発明の第1の実施の形態におけるタッチペン40と軸筒20との固定方法は、タッチペン40を直接、軸筒20に固定するものである。以下、
図8を参照して説明する。
図8は、軸筒後部22の拡大断面図であり、タッチペン40と軸筒20との固定方法を示したものである。
図8に示すように、タッチペン40の先端側の内周面には、全周に渡って突出したタッチペン内方段部47が形成されている。
一方、軸筒後部22はその後端部分に、タッチペン40に被覆される筒型形状のタッチペンホルダー70と、タッチペン40を固定すべく、軸筒後部22の後端部分を開口して形成された圧入溝72とを備えている。なお、この圧入溝72の幅は、タッチペン40の厚みよりもやや狭くなるように形成されている。
【0040】
また、タッチペンホルダー70の先端部分には、タッチペン内方段部47と係合すべく、タッチペンホルダー70の全周に渡って係合溝71が形成されている。
このとき、タッチペン40と軸筒20との固定方法は、タッチペン内方段部47が係合溝71に収容されるまでタッチペン40を直接、軸筒後部22内に圧入するものである。すなわち、タッチペン内方段部47及び係合溝71の抜け止め作用と、圧入溝72による加圧とでタッチペン40を軸筒20に固定するものである。
【0041】
(第2の実施の形態)
以下、
図9を参照して、本発明の実施の形態に係る第2の実施の形態を説明する。また、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成要素には、第1の実施の形態において用いた符号と同一の符号を用いている。そして、第1の実施の形態と重複する部分は説明を省略し、第2の実施の形態における特徴点を中心に説明する。
【0042】
(タッチペン40と軸筒20との固定方法)
本発明の第2の実施の形態におけるタッチペン40と軸筒20との固定方法は、タッチペン40を直接、軸筒20と固定させずに、タッチペン40の軸筒20への固定を補助する筒形状の固定部材80を設け、この固定部材80を介してタッチペン40を軸筒20に固定するものである。以下、
図9を参照して説明する。
図9は、軸筒後部22の拡大断面図であり、タッチペン40と軸筒20との固定方法を示したものである。
図9に示すように、タッチペン40の先端側の外周面には、全周に渡って突出したタッチペン外方段部46が形成されている。
【0043】
一方、固定部材80は、タッチペン40と係合すべく、固定部材80の後端側に形成された固定部材内方段部81と、軸筒後部22と螺合すべく、固定部材80の内周に形成された固定部材雌ネジ82とを備えている。なお、軸筒後部22の外周には、固定部材雌ネジ82と螺号すべく、軸筒後部雄ネジ83が形成されている。
このとき、タッチペン40と軸筒20との固定方法は、タッチペン外方段部46と固定部材内方段部81とを係合させた後、固定部材雌ネジ82と軸筒後部雄ネジ83とを螺合させることにより、固定部材80を介してタッチペン40を軸筒20に固定するものである。なお、上記「雄ネジ」、「雌ネジ」の選択は特に限定されるものではなく、「軸筒後部雌ネジ」と「固定部材雄ネジ」として形成して、これらを螺合させることにより軸筒後部22と固定部材80とを固定することも可能である。
【0044】
(第3の実施の形態)
以下、
図10を参照して、本発明の実施の形態に係る第3の実施の形態を説明する。また、第3の実施の形態において、第1、第2の実施の形態と同一の構成要素には、第1、第2の実施の形態において用いた符号と同一の符号を用いている。そして、第1、第2の実施の形態と重複する部分は説明を省略し、第3の実施の形態における特徴点を中心に説明する。
(タッチペン40と軸筒20との固定方法)
本発明の第3の実施の形態におけるタッチペン40と軸筒20との固定方法は、タッチペン40を直接、軸筒20と固定させずに、タッチペン40の軸筒20への固定を補助する筒形状の介在部材90を設け、この介在部材90を介してタッチペン40を軸筒20に固定するものである。以下、
図10を参照して説明する。
【0045】
図10は、軸筒後部22の拡大断面図であり、タッチペン40と軸筒20との固定方法を示したものである。
図10(A)に示すように、タッチペン40の先端側の内周面には、全周に渡って突出したタッチペン内方段部47が形成されている。
一方、介在部材90は、
図10(A)に示すように、タッチペン内方段部47と係合すべく、介在部材90の全周に渡って形成された係合溝71と、介在部材90の先端側の一部から外方に突出した鍵山91(
図10(B)参照。)とを備えている。なお、軸筒後部22の内部には、鍵山91を通過させるべく、鍵山91が通過可能な形状に開口された鍵山挿入孔92と、この鍵山挿入孔92を鍵山91が通過した後、鍵山91と係合すべく、鍵山挿入孔92の周囲の閉塞部分である鍵受け部93とを備えている。また、介在部材90の軸心には貫通孔94が形成される。これにより、タッチペン40の操作時の押圧により空間部45の体積が減少しても貫通孔94から空気が逃げるため、タッチペン40の操作荷重が著しく増加することなく快適な操作感が得られる。
【0046】
このとき、タッチペン40と軸筒20との固定方法は、タッチペン内方段部47を係合溝71に収容させた後、タッチペン40と一体になった介在部材90を軸筒後部22に挿入して、鍵山挿入孔92を鍵山91が通過した後、介在部材90を回転させて、鍵山挿入孔92から鍵山91を引き離すものである。すなわち、鍵山91と鍵受け部93とを接触させることにより、鍵山91及び鍵受け部93の各々が抜け止めとなるので、タッチペン40を引き抜くことができないこととなっている。
【0047】
(本発明の実施の形態に係る筆記具10の作用効果)
本発明の実施の形態に係る筆記具10は、以上のように構成されているので、以下の作用効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る筆記具10は、軸筒20を導電性材質から一体的に成形したことにより、軸筒20からタッチペン40までの間を単一部材とすることができたため、タッチペン40へより多くの静電容量が供給可能となる結果、反応性に富み、スムーズな操作が可能なタッチペン40付き筆記具10を提供することができる。
【0048】
また、本発明の第1の実施の形態における筆記具10は、タッチペン40が直接、軸筒20に固定されるように形成したことで、他の部材を介さずタッチペン40を軸筒20に固定することができたため、タッチペン40へより多くの静電容量が供給可能となる結果、反応性に富み、スムーズな操作が可能なタッチペン40付き筆記具10を提供することができる。
さらに、軸筒20からタッチペン40までの間を単一部材としたことにより、タッチペン40付き筆記具10に用いられる部材数を減少させることができたため、製作面及びコスト面にも優れたものとなる。
【0049】
また、本発明の第2の実施の形態における筆記具10は、タッチペン40自体を軸筒20に固定させずに、固定部材80を介して軸筒20と固定するように形成したため、タッチペン40交換時にタッチペン40を容易に軸筒20から取り外すことができるので、消耗したタッチペン40を容易に交換可能なタッチペン40付き筆記具10を提供することができる。
さらに、本発明の第3の実施の形態における筆記具10は、タッチペン40の一部を覆うことなく一体化した介在部材90を介して、タッチペン40が軸筒20に固定されるように形成したため、タッチペン40の導電経路上に他の部材が存在しないこととなる結果、本発明の第2の実施の形態と比べて、タッチペン40へより多くの静電容量が供給可能なタッチペン40付き筆記具10を提供することができる。
【0050】
(第4の実施の形態)
以下、
図11を参照して、本発明の実施の形態に係る第4の実施の形態を説明する。なお、第4の実施の形態においては、第2の実施の形態と同一の構成要素には、第2の実施の形態において用いた符号と同一の符号を用いている。そして、第2の実施の形態と重複する部分は説明を省略し、第4の実施の形態における特徴点を中心に説明する。
第4の実施形態においては、軸筒20の後端に、該軸筒20の後端とタッチペン40の内面とを介在する介在部材90が取り付けられている。介在部材90は、表面が凸曲面に形成された曲面部95と、軸筒20への取り付け部である棒状部96とで構成される。軸筒後部22の後端に形成された挿入孔26内に棒状部96を圧入することで、介在部材90は軸筒20へ取り付けられる。介在部材90をゴム弾性を有する材料で形成することで、タッチペン40を操作してタッチパネル等へ頻繁に接触させても、タッチペン40の内側はそのたびに介在部材90と接触するので軸筒20の後端と直接接触することがない。よって、タッチペン40の内側からの破損を防ぐことができる。介在部材90は、JIS K6250に規定されたデュロメータA硬度で70以上とし、その場合のタッチペン40のゴム部材41はデュロメータA硬度で50以下の導電性シリコーンゴムとすることが好ましい。
【0051】
また、介在部材90は、導電性を有することが好ましい。
また、本実施形態の介在部材90は、前述の第1の実施形態の軸筒後部22にも装着可能であり、第3の実施形態である介在部材90のようなタッチペンユニットの構造としてもよい。
また、介在部材90でなく、軸筒後部22の後端を介在部材90と同材質としても同様の効果が得られる。
なお、タッチペン40と軸筒20との固定方法は、
図11に示された螺合による方法でなくとも固定部材80が軸筒20との着脱可能でタッチペン40が交換可能な構造であればよい。
【0052】
(その他)
上記の実施の形態の他、本発明には、以下に示すような変形例も可能である。
タッチペン40は、導電性のある材質で形成されていればペン芯形状に限定されず、ブラシ状、ハケ状、スポンジ状、球状のゴムなどで形成することもできる。
また、ボールペンリフィル60に収容されるインクを、公知である熱変色性インク又は消しゴム消去性インクとしてもよい。このとき、後端に装着されるタッチペン40部分を、上記のインクに応じて熱可塑性エラストマー又は消しゴムで形成されたゴム弾性を有する材料とすることによって感圧式タッチペンや消せるノック式ボールペン、熱変色性筆記具として形成することとしてもよい。