特許第6943936号(P6943936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943936
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】フランジボルト位置決めマーキング冶具
(51)【国際特許分類】
   B25H 7/02 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   B25H7/02 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-177241(P2019-177241)
(22)【出願日】2019年9月27日
(65)【公開番号】特開2021-53719(P2021-53719A)
(43)【公開日】2021年4月8日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146814
【氏名又は名称】株式会社新来島どっく
(74)【代理人】
【識別番号】100090044
【弁理士】
【氏名又は名称】大滝 均
(72)【発明者】
【氏名】牧野 慎二
【審査官】 山内 康明
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
JISB2200規格管のフランジボルト孔の位置を決めるフランジボルト位置決めマーキング冶具であって、
同治具は、上に係合される50mm幅で一方の側部が全長に渡り所定の着色で(以下「着色側部」という)、他方の側部がこれと区別できる無着色を含む着色(以下「無着色側部」という)の上部治具と、これと直角に下に係合される50mm幅で係合中心から上記着色側部と同色の長辺(以下「着色長辺」という)と、係合中心から上記無着色側部と同色の短辺(以下「無着色短辺」という)の下部治具とからなり、
(1)上部治具の着色側部の長辺係合中心から115mm位置、170mm位置、222mm位置、同着色側部の短辺側に係合中心から165mm位置、220mm位置、272mm位置にそれぞれ順に200A、300A、400A管のフランジボルト孔に対応する複数の半円形状のマーキング切り込み、及び
(2)上部治具の無着色側部の長辺側に係合中心から140mm位置、197mm位置、243mm位置、同無着色側部の短辺側に係合中心から90mm位置、148mm位置、193mm位置にそれぞれ順に150A、250A、350Aのフランジボルト孔に対応する複数の半円形状マーキング切り込み、及び
(3)下部治具の着色長辺の一方の側部係合中心から165mm位置、220mm位置、272mm位置及び同下部治具の無着色短辺の同側部に係合中心から115mm位置、170mm位置、222mm位置にそれぞれ順に200A、300A、400A管のフランジボルト孔に対応する複数の半円形状のマーキング切り込み、及び
(4)下部治具の着色長辺の他方の側部に係合中心から90mm位置、147mm位置、192mm位置及び同下部治具の無着色短辺の同側部に係合中心から140mm位置、198mm位置、243mm位置にそれぞれ順に150A、250A、350Aのフランジボルト孔に対応する複数の半円形状マーキング切り込みを有し、
(5)上部治具の着色側部と下部治具の着色長辺とが同色となるように直交配置したとき、上部治具の着色側側部が互いに直交する直角点(9b)又は無着色側側部が互いに直交する直角点(9a)を200A〜400Aフランジ中心を示す基準点又は150A〜350Aフランジ中心を示す基準点として管のフランジ中心位置に重ねたとき、直角に係合された上部治具及び下部治具の各半円形状マーキング切り込みが、200A、300A、400A及び150A、250A、350Aのフランジボルト孔位置であることを特徴とするフランジボルト位置決めマーキング冶具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に備える予備犠牲管を所定置き場に裁置する際の予備犠牲管フランジを固定するボルト位置決めに使用するフランジボルト位置決めマーキング冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
犠牲管とは、船舶に装備されるポンプ、熱交換器等の腐食を抑制するために、防食対策の一つとして、積極的に腐食を誘発せしめ、腐食の進行に応じて適宜交換可能な所定長の消耗品としての配管部品をいう。このため、船舶においては、犠牲管の腐食の進行具合に応じて適宜交換するために、幾種類もの予備の犠牲管(スペア)を準備しておくことが求められ、船舶内の所定の仮置き場に仮置き固定される。
ところが、予備犠牲管は幾種類ものサイズ(口径)や形状のものが準備されなければならず、所定の仮置き場に固定するためには、これらの予備犠牲管のフランジ孔に合致したボルトを仮置き場の床や棚板等に立設して溶接等をして予備犠牲管のフランジを固定する必要があり、そのためにボルトの溶接前の予備犠牲管のフランジ孔に合致する位置決めをする必要があった。
この種のフランジのボルト孔合わせに関する例としては、例えば、特開2016-68244号公報に開示のものが知られている。
【0003】
特開2016-68244号公報の開示は、発明名称「フランジのボルト孔合わせ工具ホールレベラー」に係り、「配管の大小やフランジの形状を問わず使用でき、容易にフランジのボルト孔合わせが出来る」とする発明解決課題において(同公報明細書段落番号0004参照)、「フランジのボルト孔へ、ロックピン101を差し込み2点式ロックアーム102でフランジの外側から固定する。即ち3点固定となり、自動的にフランジの中心点に向ってロックされる。そこで、水平調整ボルト103を移動させ、水平を固定しプレスボルト104に、100%の力を伝達させる」構成とすることにより(同公報特許請求の範囲請求項1の記載参照)、「3点で固定するため、ホールレベラー自身のブレを無くし自動的に、フランジの中心に向って固定される。そこに水平調整ボルト103を左右に移動させ水平を、保ち固定する事ができる。容易にプレスボルト104に100%の力を伝達出来る。フランジの厚みや大小形状を問わず、支障なく使用できる。フランジのボルト孔合わせ作業を、迅速かつ正確に安全に行う事ができる。しかもロックピン101の取替不要である。」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0006参照)。
【0004】
図10は、特開2016-68244号公報に図3−2として添付される開示発明に係るホールレベラーの使用中の側面図であり、図10において、符号101は、ロックピン、102は、2点式ロックアーム、103は、水平調整ボルト、104は、プレスボルト、105は、ナット、106Aは、繋がっているフランジ、106Bは、連結するフランジ、107Aは、繋がっているボルト孔、107Bは、連結するボルト孔、108Aは、繋がっている配管、108Bは、連結する配管である(符号は先行技術であることを明らかにするために出願人において三桁に変更して表記した。)。
【0005】
しかしながら、特開2016-68244号公報に開示のホールレベラーは、現物のフランジ同士を突き合わせてボルト孔の位置決めの技術であるのに対し、予備犠牲管が現場まで搬入されるまでは仮置き作業を行うことができず、実物の犠牲管が到着して初めてそのフランジを利用して位置決めマーキングを行う必要があるなど、予備の犠牲管が現場に届くまで位置決めマーキングが出来ない等の問題に対処するために、仮置きを前提とする多種多様なサイズ等の予備犠牲管のフランジボルト孔について、予備犠牲管の現物を現場に持ち込むことなく、仮置き場所にボルト位置決めメーキングを可能とするフランジボルト位置決めマーキング冶具を提供せんとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-68244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、実物の予備犠牲管を船舶仮置き場の取付現場まで持っていき実物にフランジで溶接前のボルト位置をマーキングをする必要がなく、極めて容易に正確に予備犠牲管のフランジ孔のためのボルト位置をマーキングすることができ、150A〜400Aまでの犠牲管フランジに対応可能なフランジボルト位置決めマーキング冶具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、フランジボルト位置決めマーキング冶具において、JISB2200規格管のフランジボルト孔の位置を決めるフランジボルト位置決めマーキング冶具であって、同治具は、上に係合される50mm幅で一方の側部が全長に渡り所定の着色で(以下「着色側部」という)、他方の側部がこれと区別できる無着色を含む着色(以下「無着色側部」という)の上部治具と、これと直角に下に係合される50mm幅で係合中心から上記着色側部と同色の長辺(以下「着色長辺」という)と、係合中心から上記無着色側部と同色の短辺(以下「無着色短辺」という)の下部治具とからなり、(1)上部治具の着色側部長辺係合中心から115mm位置、170mm位置、222mm位置、同着色側部短辺側に係合中心から165mm位置、220mm位置、272mm位置にそれぞれ順に200A、300A、400A管のフランジボルト孔に対応する複数の半円形状のマーキング切り込み、及び(2)上部治具の無着色側部に係合中心から140mm位置、197mm位置、243mm位置、同無着色側部の短辺側に係合中心から90mm位置、148mm位置、193mm位置にそれぞれ順に150A、250A、350Aのフランジボルト孔に対応する複数の半円形状マーキング切り込み、及び(3)下部治具の着色長辺の一方の側部係合中心から165mm位置、220mm位置、272mm位置に、同下部治具の無着色短辺の同側部に係合中心から115mm位置、170mm位置、222mm位置にそれぞれ順に200A、300A、400A管のフランジボルト孔に対応する複数の半円形状のマーキング切り込み、及び(4)下部治具の着色長辺の他方の側部に係合中心から90mm位置、147mm位置、192mm位置に、同下部治具の無着色短辺の同側部に係合中心から140mm位置、198mm位置、243mm位置にそれぞれ順に150A、250A、350Aのフランジボルト孔に対応する複数の半円形状マーキング切り込みを有し、(5)上部治具の着色側部と下部治具の着色長辺とが同色となるように直交配置したとき、上部治具の着色側側部が互いに直交する直角点(9b)又は無着色側側部が互いに直交する直角点(9a)を200A〜400Aフランジ中心を示す基準点又は150A〜350Aフランジ中心を示す基準点として管のフランジ中心位置に重ねたとき、直角に係合された上部治具及び下部治具の各半円形状マーキング切り込みが、200A、300A、400A及び150A、250A、350Aのフランジボルト孔位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記の構成とするので、次のような効果を有する。
(1)現場に予備犠牲管が届く前に予備犠牲管のフランジボルト溶接作業ができる。
(2)150A〜400Aまでの犠牲管フランジに対応できる。
(3)フランジのボルト位置を正確にマーキングができ、難しいとされる90度の位置決めも正確に、かつ、安定的に決めることができる。
(4)コンパクトに折りたたむことができ、持ち運び、保管が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明を実施するための実施例1に係る犠牲管フランジボルト位置決めマーキング冶具を示す概略分解図である。
図2図2は、同組立完成図である。
図3図3は、150A〜400Aサイズの各フランジについて、各フランジ中心からの各ボルト孔位置の配置を示す図である。
図4図4は、上部治具2及び下部治具3について、半円状切り込み位置の具体的な寸法概略を示す図であり、図4(a)が上部治具2を、図4(b)下部治具3である。
図5図5は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を使用して犠牲管フランジのボルト位置マーキングの概略を示す図である。
図6図6は、150A、250A、350Aの犠牲管を仮置きする場合の基準点9aを重ね合わせる概略を示す図である。
図7図7は、200A、300A、400Aの犠牲管を仮置きする場合の基準点9bを重ね合わせる概略を示す図である。
図8図8は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を折りたたんだ状態を示す図である。
図9図9は、予備犠牲管を仮置き場に仮置きする概略を示す図である。
図10図10は、特開2016-68244号公報に図3−2として添付される開示発明に係るホールレベラーの使用中の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る犠牲管フランジボルト位置決めマーキング冶具を実施するための一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明を実施するための実施例1に係る犠牲管フランジボルト位置決めマーキング冶具を示す概略分解図であり、図2は、組立完成図である。図1図2において、符号1は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具、2は、上部治具、3は、下部治具、4は、支持ボルト、5は、座金、6は、ナット、7は、ロック治具、8は、蝶ナット、9aは、150A〜350Aフランジ中心を示す基準点、9bは、200A〜400Aフランジ中心を示す基準点であり、150A〜350A、200A〜400Aとは、フランジサイズの規格(JIS B 2200)を示すものである。
【0013】
図1図2に示すように、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1は、下部治具3の上に座金5を介して上部治具2を直角に配置し、その上にナット6を介してロック治具7をはめ込み、下方から支持ボルト4を挿通させ,それを一番上で蝶ナット8で組み上げた形状ないし構造とするものである。
【0014】
なお、上部治具2及び下部治具3は、治具幅50mm×厚6mmの両端が下方に傾斜する同幅の台形状金属板からなる治具であり、上部治具2と下部治具3を直角に交差させてロック金具用方形切り込み2g、2hにロック金具7を嵌合してフランジボルト孔の位置を決めマーキングするものである。このため、50mm幅の上部治具2及び下部治具3を直角に係合して、その係合幅を考慮しつつ両治具の左右にその中心からの半円状切り込み位置に50mmの差異を設け,さらに、この50mmの差異を考慮して正確なマーキングを実現するために、上部治具2についての図上左上半分のドット表示部分及び下部治具3についての左半分のドット表示部分を設け、使用に際し組立違いを避けるための赤又は青等のカラーを付し、図1図2に示すように、片側に同色カラーとなるように組み上げを可能とするようにする。
【0015】
また、符号2aα、2aβ、2bα、2bβ、2cα、2cβ、2dα、2dβ、2eα、2eβ、2fα、2fβは、それぞれ上部治具2の両辺に設けられる(1)400Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2aα、2aβ、(2)300Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2bα、2bβ、(3)200Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2cα、2cβ、(4)350Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2dα、2dβ、(5)250Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2eα、2eβ、(6)150Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2fα、2fβであり、符号3aα、3aβ、3bα、3bβ、3cα、3cβ、3dα、3dβ、3eα、3eβ、3fα、3fβは、それぞれ下部治具3の両辺に設けられる(7)400Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3aα、3aβ、(8)300Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3bα、3bβ、(9)200Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3cα、3cβ、(10)350Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3dα、3dβ、(11)250Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3eα、3eβ、(12)150Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3fα、3fβであり、(1)と(7)等、いずれも使用するフランジサイズの中心からの距離に対応してα及びβで示している。
【0016】
そして、2g、2hは、上部治具2の両辺に設けられ、上部治具2に下部治具3を直角に組み立てるロック金具用ノッチであり、また、下部治具3の正逆が容易に判別できるように、上述する同色カラーとなるように(例えば、上部治具2及び下部治具3のいずれもが左側に白カラー表示部分となるように)配置組立をする。
【0017】
(半円形状マーキング切り込み2aα〜3fβの決定)
次に、上部治具2及び下部治具3の両辺の半円形状マーキング切り込み2aα〜3fβの切り込み位置の決定について説明する。
この決定に際し、本願発明者は、150A〜400Aサイズの各フランジについて、その中心からのボルト孔位置を決定するためにボルト孔位置について検討した。
【0018】
図3は、150A〜400Aサイズの各フランジについて、各フランジ中心からの各ボルト孔位置の配置を示す図であり、図3において、符号2’、3’は、上部治具2、下部治具3に想定する部材、10は、その中心位置、11α、11β、12α、12β、13α、13β、14α、14β、15α、15β、16α、16βは、中心位置10から犠牲管150A〜400Aの各フランジボルト孔位置を示す円である。
【0019】
本願発明者は、図3に示す各フランジ中心からの各ボルト孔位置の配置に基づき、上部治具2及び下部治具3の両辺に半円形状マーキング切り込み2aα〜3fβを割り振り、該当する位置で各フランジボルト孔の位置決めを可能としたものである。
すなわち、図1図2に示す上部治具2及び下部治具3の両辺に配置される半円状マーキング切り込み2aα、2aβ、2bα、2bβ、2cα、2cβ、2dα、2dβ、2eα、2eβ、2fα、2fβ及び3aα、3aβ、3bα、3bβ、3cα、3cβ、3dα、3dβ、3eα、3eβ、3fα、3fβは、図3に示す中心位置10から犠牲管150A〜400Aの各フランジボルト孔位置に該当する円11α、11β、12α、12β、13α、13β、14α、14β、15α、15β、16α、16βに基づいて、上部治具2及び下部治具3の両辺にそれぞれの距離で配置したものであり、図1図2に示すように、200A、300A、400Aのフランジのボルト孔については一方の辺に、150A、250A、350Aのフランジのボルト孔については他方の辺に配置したものである。
【0020】
図4は、上部治具2及び下部治具3について、半円状切り込み位置の具体的な寸法概略を示す図であり、図4(a)が上部治具2を、図4(b)下部治具3である。図4(a)(b)に示すように、上部治具2においては、図4(a)の上方に表示される200A〜400Aフランジのボルト孔位置は、図の右側の半円状切り込み位置が左側に比し50mm長い位置に配置され、また、図4(a)の下方に表示される150A〜350Aフランジのボルト孔位置は、図の左側の半円状切り込み位置が右側に比し50mm長い位置に配置される。
【0021】
また、図4(b)に示すように、下部治具3においては、図4(b)の上方に表示される200A〜400Aフランジのボルト孔位置は、図の左側の半円状切り込み位置が右側に比し50mm長い位置に配置され、また、図4(b)の下方に表示される150A〜350Aフランジのボルト孔位置は、図の右側の半円状切り込み位置が左側に比し50mm長い位置に配置される。
なお、図4(a)に示すように、各フランジのボルト孔の口径に対応して、半円状切り込み2aα〜3fβに関しても、その孔径にも差異を設けてマーキングしやすくしている。
【0022】
このような配置構成としたので、図2に示すように、組立のカラー表示を合わせて上部治具2及び下部治具3を直角に係合して組立て、犠牲管の仮置き場等に仮置きする犠牲管のフランジボルト孔位置を決定(マーキング)することができることとなる。なお、仮置きには犠牲管フランジの全てのボルト孔を使用する必要はなく、せいぜい4本のボルトを立設すれば充分である。
図5は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を使用して犠牲管フランジのボルト位置マーキングの概略を示す図であり、符号17は、マーキング治具である油性ペン、18は、仮想的に示す犠牲管フランジである。
【0023】
(本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具の使用するマーキング方法)
次に、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具の使用して犠牲管仮置き場に仮置きボルトを立設する流れについて説明する。
(a)まず、上部治具2及び下部治具3について、カラー表示を合わせ(図1図2では、ドット表示が治具全体の左側に位置するようにして)、直角に係合する。
(b)ついで、仮置きする犠牲管のフランジの中心位置を犠牲管配置図面に基づき仮置き場の置き棚又は床等に仮置きする犠牲管のフランジ中心の位置をマーキングする。
(c)150A〜350Aの犠牲管を仮置きする場合には、上記マーキングしたフランジ中心位置に150A〜350Aフランジ中心を示す基準点9aを重ね、200〜400Aの犠牲管を仮置きする場合には、上記マーキングしたフランジ中心位置に200A〜400Aフランジ中心を示す基準点9bを重ねて本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を配置する。
(d)仮置きする犠牲管のフランジ径に対応する数値表示箇所の半円状の切り込み2aα〜3fβのケガキ治具である油性ペン17を使い4箇所マーキングする(図5参照)。
(e)4箇所のマーキング箇所に犠牲管固定用ボルトを配置し、溶接にて立設固定する。
【0024】
図6図7は、上述する(c)の工程概略を示す図であり、図6は、150A、250A、350Aの犠牲管を仮置きする場合の基準点9aを重ね合わせる概略を、図7は、200A、300A、400Aの犠牲管を仮置きする場合の基準点9bを重ね合わせる概略を示す図である。
図6図7に示すように、仮置き図面に示された犠牲管中心マーキングに重ね合わせて本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を配置し、しかる後、図5に示すように,順次、4箇所のボルト立設位置をマーキングする。
【0025】
なお、仮置き犠牲管フランジボルト孔のマーキングが終了した後は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1は、例えば、図8に示すように、同一方向に揃えてたたみ込み、持ち運び、保管に便宜とする。図8は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を折りたたんだ状態を示す図である。
図9は、予備犠牲管を仮置き場に仮置きする概略を示す図であり、図9において、18a、18bは、仮置きする2本の予備犠牲管、19は、仮置き棚、20a、・・・20dは、仮止めのボルト及びナットである。
【0026】
上記の形状ないし構成で使用される本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1によれば、150A〜400Aまでの多種の犠牲管フランジに対応でき、何よりも便利なのは、現場に予備犠牲管の現物が届く前に予備犠牲管のフランジボルト溶接作業ができることである。
そして、予備犠牲管フランジのボルト孔位置を正確にマーキングができ、難しいとされる90度の位置決めも正確に、かつ、安定的に決めることができ、さらには、使用しないときには、コンパクトに折りたたむことができ、持ち運び、保管が容易であるという効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、船舶に備える予備犠牲管を所定置き場に裁置する際の予備犠牲管フランジを固定するボルト位置決めに使用する犠牲管フランジボルト位置決めマーキング冶具に利用される。
【符号の説明】
【0028】
1 実施例1に係る犠牲管フランジボルト位置決めマーキング冶具
2 上部治具
2aα〜2fβ 上部治具の両辺に配置される半円形状切り込み
2g、2h ロック金具用方形切り込み
3 下部治具
3aα〜3fβ 下部治具の両辺に配置される半円形状切り込み
2’、3’ 想定部材金板
4 支持ボルト
5 座金
6 ナット
7 ロック治具
8 蝶ナット
9a 150A〜350Aフランジ中心を示す基準点
9b 200A〜400Aフランジ中心を示す基準点
10 想定部材金板2’、3’の中心位置
11α、11β〜16α、16β 中心位置10から犠牲管150A〜400Aの各フランジボルト孔位置を示す円
17 油性ペン
101 ロックピン
102 ロックアーム
103 水平調整ボルト
104 プレスボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10