【実施例1】
【0012】
図1は、本発明を実施するための実施例1に係る犠牲管フランジボルト位置決めマーキング冶具を示す概略分解図であり、
図2は、組立完成図である。
図1、
図2において、符号1は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具、2は、上部治具、3は、下部治具、4は、支持ボルト、5は、座金、6は、ナット、7は、ロック治具、8は、蝶ナット、9aは、150A〜350Aフランジ中心を示す基準点、9bは、200A〜400Aフランジ中心を示す基準点であり、150A〜350A、200A〜400Aとは、フランジサイズの規格(JIS B 2200)を示すものである。
【0013】
図1、
図2に示すように、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1は、下部治具3の上に座金5を介して上部治具2を直角に配置し、その上にナット6を介してロック治具7をはめ込み、下方から支持ボルト4を挿通させ,それを一番上で蝶ナット8で組み上げた形状ないし構造とするものである。
【0014】
なお、上部治具2及び下部治具3は、治具幅50mm×厚6mmの両端が下方に傾斜する同幅の台形状金属板からなる治具であり、上部治具2と下部治具3を直角に交差させてロック金具用方形切り込み2g、2hにロック金具7を嵌合してフランジボルト孔の位置を決めマーキングするものである。このため、50mm幅の上部治具2及び下部治具3を直角に係合して、その係合幅を考慮しつつ両治具の左右にその中心からの半円状切り込み位置に50mmの差異を設け,さらに、この50mmの差異を考慮して正確なマーキングを実現するために、上部治具2についての図上左上半分のドット表示部分及び下部治具3についての左半分のドット表示部分を設け、使用に際し組立違いを避けるための赤又は青等のカラーを付し、
図1、
図2に示すように、片側に同色カラーとなるように組み上げを可能とするようにする。
【0015】
また、符号2aα、2aβ、2bα、2bβ、2cα、2cβ、2dα、2dβ、2eα、2eβ、2fα、2fβは、それぞれ上部治具2の両辺に設けられる(1)400Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2aα、2aβ、(2)300Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2bα、2bβ、(3)200Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2cα、2cβ、(4)350Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2dα、2dβ、(5)250Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2eα、2eβ、(6)150Aフランジ用半円形状マーキング切り込み2fα、2fβであり、符号3aα、3aβ、3bα、3bβ、3cα、3cβ、3dα、3dβ、3eα、3eβ、3fα、3fβは、それぞれ下部治具3の両辺に設けられる(7)400Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3aα、3aβ、(8)300Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3bα、3bβ、(9)200Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3cα、3cβ、(10)350Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3dα、3dβ、(11)250Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3eα、3eβ、(12)150Aフランジ用半円形状マーキング切り込み3fα、3fβであり、(1)と(7)等、いずれも使用するフランジサイズの中心からの距離に対応してα及びβで示している。
【0016】
そして、2g、2hは、上部治具2の両辺に設けられ、上部治具2に下部治具3を直角に組み立てるロック金具用ノッチであり、また、下部治具3の正逆が容易に判別できるように、上述する同色カラーとなるように(例えば、上部治具2及び下部治具3のいずれもが左側に白カラー表示部分となるように)配置組立をする。
【0017】
(半円形状マーキング切り込み2aα〜3fβの決定)
次に、上部治具2及び下部治具3の両辺の半円形状マーキング切り込み2aα〜3fβの切り込み位置の決定について説明する。
この決定に際し、本願発明者は、150A〜400Aサイズの各フランジについて、その中心からのボルト孔位置を決定するためにボルト孔位置について検討した。
【0018】
図3は、150A〜400Aサイズの各フランジについて、各フランジ中心からの各ボルト孔位置の配置を示す図であり、
図3において、符号2’、3’は、上部治具2、下部治具3に想定する部材、10は、その中心位置、11α、11β、12α、12β、13α、13β、14α、14β、15α、15β、16α、16βは、中心位置10から犠牲管150A〜400Aの各フランジボルト孔位置を示す円である。
【0019】
本願発明者は、
図3に示す各フランジ中心からの各ボルト孔位置の配置に基づき、上部治具2及び下部治具3の両辺に半円形状マーキング切り込み2aα〜3fβを割り振り、該当する位置で各フランジボルト孔の位置決めを可能としたものである。
すなわち、
図1、
図2に示す上部治具2及び下部治具3の両辺に配置される半円状マーキング切り込み2aα、2aβ、2bα、2bβ、2cα、2cβ、2dα、2dβ、2eα、2eβ、2fα、2fβ及び3aα、3aβ、3bα、3bβ、3cα、3cβ、3dα、3dβ、3eα、3eβ、3fα、3fβは、
図3に示す中心位置10から犠牲管150A〜400Aの各フランジボルト孔位置に該当する円11α、11β、12α、12β、13α、13β、14α、14β、15α、15β、16α、16βに基づいて、上部治具2及び下部治具3の両辺にそれぞれの距離で配置したものであり、
図1,
図2に示すように、200A、300A、400Aのフランジのボルト孔については一方の辺に、150A、250A、350Aのフランジのボルト孔については他方の辺に配置したものである。
【0020】
図4は、上部治具2及び下部治具3について、半円状切り込み位置の具体的な寸法概略を示す図であり、
図4(a)が上部治具2を、
図4(b)下部治具3である。
図4(a)(b)に示すように、上部治具2においては、
図4(a)の上方に表示される200A〜400Aフランジのボルト孔位置は、図の右側の半円状切り込み位置が左側に比し50mm長い位置に配置され、また、
図4(a)の下方に表示される150A〜350Aフランジのボルト孔位置は、図の左側の半円状切り込み位置が右側に比し50mm長い位置に配置される。
【0021】
また、
図4(b)に示すように、下部治具3においては、
図4(b)の上方に表示される200A〜400Aフランジのボルト孔位置は、図の左側の半円状切り込み位置が右側に比し50mm長い位置に配置され、また、
図4(b)の下方に表示される150A〜350Aフランジのボルト孔位置は、図の右側の半円状切り込み位置が左側に比し50mm長い位置に配置される。
なお、
図4(a)に示すように、各フランジのボルト孔の口径に対応して、半円状切り込み2aα〜3fβに関しても、その孔径にも差異を設けてマーキングしやすくしている。
【0022】
このような配置構成としたので、
図2に示すように、組立のカラー表示を合わせて上部治具2及び下部治具3を直角に係合して組立て、犠牲管の仮置き場等に仮置きする犠牲管のフランジボルト孔位置を決定(マーキング)することができることとなる。なお、仮置きには犠牲管フランジの全てのボルト孔を使用する必要はなく、せいぜい4本のボルトを立設すれば充分である。
図5は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を使用して犠牲管フランジのボルト位置マーキングの概略を示す図であり、符号17は、マーキング治具である油性ペン、18は、仮想的に示す犠牲管フランジである。
【0023】
(本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具の使用するマーキング方法)
次に、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具の使用して犠牲管仮置き場に仮置きボルトを立設する流れについて説明する。
(a)まず、上部治具2及び下部治具3について、カラー表示を合わせ(
図1、
図2では、ドット表示が治具全体の左側に位置するようにして)、直角に係合する。
(b)ついで、仮置きする犠牲管のフランジの中心位置を犠牲管配置図面に基づき仮置き場の置き棚又は床等に仮置きする犠牲管のフランジ中心の位置をマーキングする。
(c)150A〜350Aの犠牲管を仮置きする場合には、上記マーキングしたフランジ中心位置に150A〜350Aフランジ中心を示す基準点9aを重ね、200〜400Aの犠牲管を仮置きする場合には、上記マーキングしたフランジ中心位置に200A〜400Aフランジ中心を示す基準点9bを重ねて本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を配置する。
(d)仮置きする犠牲管のフランジ径に対応する数値表示箇所の半円状の切り込み2aα〜3fβのケガキ治具である油性ペン17を使い4箇所マーキングする(
図5参照)。
(e)4箇所のマーキング箇所に犠牲管固定用ボルトを配置し、溶接にて立設固定する。
【0024】
図6、
図7は、上述する(c)の工程概略を示す図であり、
図6は、150A、250A、350Aの犠牲管を仮置きする場合の基準点9aを重ね合わせる概略を、
図7は、200A、300A、400Aの犠牲管を仮置きする場合の基準点9bを重ね合わせる概略を示す図である。
図6、
図7に示すように、仮置き図面に示された犠牲管中心マーキングに重ね合わせて本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を配置し、しかる後、
図5に示すように,順次、4箇所のボルト立設位置をマーキングする。
【0025】
なお、仮置き犠牲管フランジボルト孔のマーキングが終了した後は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1は、例えば、
図8に示すように、同一方向に揃えてたたみ込み、持ち運び、保管に便宜とする。
図8は、本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1を折りたたんだ状態を示す図である。
図9は、予備犠牲管を仮置き場に仮置きする概略を示す図であり、
図9において、18a、18bは、仮置きする2本の予備犠牲管、19は、仮置き棚、20a、・・・20dは、仮止めのボルト及びナットである。
、
【0026】
上記の形状ないし構成で使用される本実施例1に係るフランジボルト位置決めマーキング冶具1によれば、150A〜400Aまでの多種の犠牲管フランジに対応でき、何よりも便利なのは、現場に予備犠牲管の現物が届く前に予備犠牲管のフランジボルト溶接作業ができることである。
そして、予備犠牲管フランジのボルト孔位置を正確にマーキングができ、難しいとされる90度の位置決めも正確に、かつ、安定的に決めることができ、さらには、使用しないときには、コンパクトに折りたたむことができ、持ち運び、保管が容易であるという効果を有する。