(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、血小板製剤の輸血時には、患者が輸血副作用を発症する可能性がある。この副作用は、血小板製剤に含まれる血漿が原因の1つであると考えられている。そのため、輸血現場においては、血漿含有率の低い血小板(洗浄血小板:Washed Platelet Concentrate)が要望されている。
【0006】
このような洗浄血小板を精製する場合、まず、上述した遠心分離移送装置により、血液からバフィーコートを遠心分離する。続いて、複数のバッグのバフィーコートを1つのバッグに移送して集めるバフィーコートプーリングを行う。そして、バフィーコートプーリングにより得られたバフィーコートに血小板添加溶液を添加し、バフィーコート中に残存している血漿を血小板添加溶液に置換する。その後、血小板添加溶液を含むバフィーコート(洗浄バフィーコート)を血小板成分と赤血球とに遠心分離し、この血小板成分からフィルタによって白血球を除去することにより、洗浄血小板が得られる。
【0007】
しかしながら、上記の遠心分離により得られたバフィーコート(中比重血液成分)には相当量の血漿(軽比重血液成分)が含まれている。そのため、このようなバフィーコート中の血漿を血小板添加溶液に置換する方法では、血漿含有率が充分に低い洗浄血小板を効率的に得ることができないことがある。
【0008】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、軽比重血液成分の含有率が充分に低い中比重血液成分を確実且つ効率的に得ることができる血液バッグシステム及び血液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る血液バッグシステムは、全血又は血液成分を貯留するための第1バッグと、前記第1バッグの内容液を遠心分離して得られた軽比重血液成分、中比重血液成分、重比重血液成分のうち2つの血液成分を別々に貯留するための第2バッグ及び第3バッグと、前記第1バッグと前記第2バッグとを互いに接続し、一方の前記血液成分を前記第1バッグから前記第2バッグに移送するための第1移送チューブと、前記第1バッグと前記第3バッグとを互いに接続し、他方の前記血液成分を前記第1バッグから前記第3バッグに移送するための第2移送チューブと、を備えた血液バッグシステムにおいて、添加溶液が貯留された第4バッグと、前記添加溶液を前記第4バッグから前記中比重血液成分が貯留されたバッグに移送するための第3移送チューブと、有し、2つの前記血液成分が前記第2バッグ及び前記第3バッグのそれぞれに別々に移送された移送完了状態で遠心力が作用し且つ前記中比重血液成分が収容されている前記バッグに前記第4バッグから前記第3移送チューブを介して前記添加溶液が移送されることにより、前記中比重血液成分中に残存する前記軽比重血液成分が前記バッグ外へ排出される、ことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、移送完了状態で中比重血液成分中に残存する軽比重血液成分を添加溶液によってバッグから排出することができるため、洗浄された中比重血液成分を得ることができる。これにより、軽比重血液成分の含有率が充分に低い中比重血液成分を確実且つ効率的に得ることができる。
【0011】
上記の血液バッグシステムにおいて、前記移送完了状態で、前記第1バッグには前記中比重血液成分が残され、前記第2バッグには前記軽比重血液成分が収容され、前記第3バッグには前記重比重血液成分が収容され、前記第3移送チューブは、前記添加溶液を前記第4バッグから前記第1バッグに移送するためのチューブであってもよい。
【0012】
このような構成によれば、第1バッグに軽比重血液成分の含有率が充分に低い中比重血液成分を効率的に収容することができる。
【0013】
上記の血液バッグシステムにおいて、前記第1バッグから排出された前記軽比重血液成分と前記添加溶液とを含む廃液を貯留する第5バッグと、前記第1バッグから排出された前記廃液を前記第5バッグに移送するための第4移送チューブと、を有していてもよい。
【0014】
このような構成によれば、第1バッグから排出された廃液が第5バッグに貯留されるため、廃液処理を容易に行うことができる。
【0015】
上記の血液バッグシステムにおいて、前記第3移送チューブは、前記第2移送チューブと前記第4バッグとを互いに接続し、前記第4移送チューブは、前記第1移送チューブと前記第5バッグとを互いに接続していてもよい。
【0016】
このような構成によれば、第1バッグ及びチューブの構成を簡素化することができる。
【0017】
上記の血液バッグシステムにおいて、前記第1移送チューブのうち前記第4移送チューブとの接続部よりも前記第2バッグ側を閉塞及び開放する第1クランプと、前記第2移送チューブのうち前記第3移送チューブとの接続部よりも前記第3バッグ側を閉塞及び開放する第2クランプと、前記第3移送チューブを閉塞及び開放する第3クランプと、前記第4移送チューブを閉塞及び開放する第4クランプと、を備えていてもよい。
【0018】
このような構成によれば、第1クランプを開放するとともに第4クランプを閉塞することにより、第1バッグの遠心分離により得られた軽比重血液成分を第5バッグに流入させることなく第2バッグに円滑に移送させることができる。また、第2クランプを開放するとともに第3クランプを閉塞することにより、第1バッグの遠心分離により得られた重比重血液成分を第4バッグに流入させることなく第3バッグに円滑に移送させることができる。さらに、第2クランプを閉塞するとともに第3クランプを開放することにより、第4バッグの添加溶液を第3バッグに流入させることなく第1バッグに円滑に移送させることができる。さらにまた、第1クランプを閉塞するとともに第4クランプを開放することにより、第1バッグから排出された廃液を第2バッグに流入させることなく第5バッグに移送させることができる。
【0019】
上記の血液バッグシステムにおいて、前記移送完了状態で、前記第1バッグには前記重比重血液成分が残され、前記第2バッグには前記軽比重血液成分が収容され、前記第3バッグには前記中比重血液成分が収容され、前記第3移送チューブは、前記添加溶液を前記第4バッグから前記第3バッグに移送するためのチューブであってもよい。
【0020】
このような構成によれば、第3バッグに軽比重血液成分の含有率が充分に低い中比重血液成分を効率的に収容することができる。
【0021】
上記の血液バッグシステムにおいて、前記第3バッグから排出された前記軽比重血液成分と前記添加溶液とを含む廃液を貯留する第5バッグと、前記第3バッグから排出された前記廃液を前記第5バッグに移送するための第4移送チューブと、を有してもよい。
【0022】
このよう構成によれば、第3バッグから排出された廃液が第5バッグに貯留されるため、廃液処理を容易に行うことができる。
【0023】
本発明に係る血液処理方法は、第1バッグ内で全血又は血液成分を比重毎にそれぞれ軽比重血液成分、中比重血液成分、重比重血液成分に遠心分離する遠心工程と、前記軽比重血液成分、前記中比重血液成分及び前記重比重血液成分のうち1つの血液成分を前記第1バッグから第1移送チューブを介して第2バッグに移送するとともに、他の1つの血液成分を前記第1バッグから第2移送チューブを介して第3バッグに移送する第1移送工程と、前記第1移送工程の後で、前記中比重血液成分が収容されたバッグに遠心力を与えたまま、第4バッグに貯留された添加溶液を、第3移送チューブを介して前記バッグに移送することにより、前記中比重血液成分中に残存する前記軽比重血液成分を前記バッグから排出して洗浄された中比重血液成分を得る第2移送工程と、を行う、ことを特徴とする。
【0024】
このような方法によれば、第2移送工程で中比重血液成分中に残存する軽比重血液成分を添加溶液によってバッグから排出することができるため、洗浄された中比重血液成分を得ることができる。これにより、軽比重血液成分の含有率が充分に低い中比重血液成分をより確実且つ効率的に得ることができる。
【0025】
上記の血液処理方法において、前記第1移送工程では、前記軽比重血液成分を前記第2バッグに移送し、前記重比重血液成分を前記第3バッグに移送することにより、前記中比重血液成分を前記第1バッグに残し、前記第2移送工程では、前記第4バッグに貯留された前記添加溶液を、前記第3移送チューブを介して前記第1バッグに移送してもよい。
【0026】
このような方法によれば、第1バッグに軽比重血液成分の含有率が充分に低い中比重血液成分を効率的に収容することができる。
【0027】
上記の血液処理方法において、前記第2移送工程では、前記第1バッグを前記第4バッグよりも遠心力方向に配置していてもよい。
【0028】
このような方法によれば、遠心力によって第4バッグの添加溶液を第1バッグに移送することができる。
【0029】
上記の血液処理方法において、前記第2移送工程では、前記第4バッグを押圧することにより、当該第4バッグの前記添加溶液を前記第3移送チューブを介して前記第1バッグに移送してもよい。
【0030】
このような方法によれば、第4バッグの添加溶液を第1バッグにより確実に移送することができる。
【0031】
上記の血液処理方法において、前記第2移送工程の後で、前記第1バッグから排出された前記軽比重血液成分及び前記添加溶液を含む廃液を第4移送チューブを介して第5バッグに移送する第3移送工程を行ってもよい。
【0032】
このような方法によれば、第1バッグから排出された廃液が第5バッグに貯留されるため、廃液処理を容易に行うことができる。
【0033】
上記の血液処理方法において、前記第3移送工程では、前記第3移送チューブを閉塞させた状態で前記第1バッグを押圧することにより前記第1バッグ内の前記添加溶液の一部を前記第5バッグに移送してもよい。
【0034】
このような方法によれば、第1バッグの血漿の残存量を一層低減することができる。
【0035】
上記の血液処理方法において、前記第2移送工程では、前記第1バッグの外径側に前記添加溶液を導入してもよい。
【0036】
このような方法によれば、添加溶液によって第1バッグに残存している軽比重血液成分を効率的に第1バッグから排出することができる。
【0037】
上記の血液処理方法において、数の前記バッグの前記洗浄された中比重血液成分を1つのプーリングバッグに集めるプーリング工程と、前記プーリングバッグの前記洗浄された中比重血液成分から白血球を除去する白血球除去工程と、を行ってもよい。
【0038】
このような方法によれば、白血球が除去され洗浄された中比重血液成分を得ることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、中比重血液成分中に残存する軽比重血液成分を添加溶液によってバッグから排出することができるため、軽比重血液成分の含有率が充分に低い中比重血液成分を確実且つ効率的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る血液バッグシステム及び血液処理方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0042】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る血液バッグシステム10は、血漿含有率が充分に低い洗浄血小板(血小板製剤)の精製に用いられる洗浄バフィーコートを得るためのものである。具体的には、血液バッグシステム10は、複数の血液成分を含有する血液(全血)を血漿、バフィーコート及び濃厚赤血球の3つの血液成分に遠心分離し、バフィーコートに血小板添加溶液(血小板洗浄液又は血小板保存液ともいう)を添加して洗浄バフィーコートを精製するためのものである。
【0043】
図1に示すように、血液バッグシステム10は、複数のバッグ(第1〜第6バッグ12、14、16、18、20、22)と、複数の移送チューブ(第1〜第6移送チューブ24、26、28、30、32、34)とを備える。第1〜第6バッグ12、14、16、18、20、22の各々は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものである。なお、後述する初流血バッグ54も、同様に袋状に構成されたものである。
【0044】
第1バッグ12は、ドナーから採取した血液(全血)を収容(貯留)するためのバッグである。以下、第1バッグ12を「採血バッグ12」ということがある。採血バッグ12は、採血時には全血を収容するために用いられるが、後述するように、全血を遠心分離して得られた血漿を第2バッグ14に移送し、濃厚赤血球を第3バッグ16に移送した後は、残余の血液成分であるバフィーコートに血小板添加溶液を添加して得られる洗浄バフィーコートを収容及び保存するために用いられる。すなわち、採血バッグ12は、全血収容バッグと洗浄バフィーコート収容バッグとを兼ねている。
【0045】
採血バッグ12内には、予め血液抗凝固機能を有する血液保存液が収容されている。血液保存液は、例えば、クエン酸、リン酸、ブドウ糖(CPD:Citrate Phosphate Dextrose)を含むもの等が挙げられる。血液保存液の量は、予定採血量に応じた適正な量とされる。
【0046】
また、採血バッグ12の下部には、基端側の採血チューブ36の一端が接続される。採血チューブ36の途中部位には、採血チューブ36の流路を閉塞及び開放するクランプ38が設けられる。採血チューブ36の他端には、封止部材40の一端が接続される。封止部材40は、初期状態では流路が閉塞しているが、破断操作を行うことで流路が開通するように構成されたものである。
【0047】
封止部材40の他端には、分岐コネクタ42の第1ポート42aが接続される。分岐コネクタ42の第2ポート42bには、先端側の採血チューブ44の一端が接続され、採血チューブ44の他端には、採血針46が接続される。採血針46には、使用前まではキャップ48が装着される。
【0048】
分岐コネクタ42の第3ポート42cには、分岐チューブ50の一端が接続される。分岐チューブ50の途中部位には、分岐チューブ50の流路を閉塞及び開放するクランプ52が設けられる。分岐チューブ50の他端には、初流血バッグ54が接続される。初流血バッグ54にはサンプリングポート56が接続される。なお、分岐コネクタ42の向きや配置は、
図1の構成に限られず、適宜変更可能である。
【0049】
第2バッグ14は、第1移送チューブ24を介して採血バッグ12に接続されており、遠心分離によって得られる軽比重血液成分である血漿を収容(貯留)及び保存するためのバッグである。以下、第2バッグ14を「血漿バッグ14」ということがある。第1移送チューブ24は、採血バッグ12の上部と血漿バッグ14の入口とを接続し、血漿を採血バッグ12から血漿バッグ14に移送するためのチューブである。
【0050】
第3バッグ16は、第2移送チューブ26を介して採血バッグ12に接続されており、遠心分離によって得られる重比重血液成分である濃厚赤血球を収容(貯留)及び保存するためのバッグである。以下、第3バッグ16を「第1赤血球バッグ16」ということがある。第2移送チューブ26は、採血バッグ12の下部と第1赤血球バッグ16の入口とを接続し、濃厚赤血球を採血バッグ12から第1赤血球バッグ16に移送するためのチューブである。第1赤血球バッグ16に収容及び保存される濃厚赤血球は、所定細胞(白血球)を除去する前(濾過前)の濃厚赤血球である。
【0051】
第1赤血球バッグ16には、例えば、赤血球保存液として、マンニトール、グルコース、アデニン及び塩化ナトリウムを含有する混合溶液であるSAG−M(Saline Adenine Glucose Mannitol)液が収容されている。従って、遠心分離によって得られた濃厚赤血球が第1赤血球バッグ16に移送されると、第1赤血球バッグ16には、濾過前の濃厚赤血球と、赤血球保存液との混合液(以下、「RC−SAGM」という)が収容されることになる。
【0052】
第4バッグ18は、第3移送チューブ28及び第2移送チューブ26を介して第1バッグ12に接続されており、血小板添加溶液を収容(貯留)及び保存するためのバッグである。以下、第4バッグ18を「添加溶液バッグ18」ということがある。第3移送チューブ28は、添加溶液バッグ18の入口と第2移送チューブ26の途中部位とを接続し、第2移送チューブ26を介して採血バッグ12に血小板添加溶液を移送するためのチューブである。血小板添加溶液の比重は、バフィーコートよりも小さい。
【0053】
第5バッグ20は、第4移送チューブ30及び第1移送チューブ24を介して採血バッグ12に接続されており、洗浄バフィーコートを精製する際に発生する廃液(血漿と血小板添加溶液の混合液)を収容するためのバッグである。以下、第5バッグ20を「廃液バッグ20」ということがある。第4移送チューブ30は、廃液バッグ20の入口と第1移送チューブ24の途中部位とを接続し、第1移送チューブ24を介して採血バッグ12の廃液を廃液バッグ20に移送するためのチューブである。
【0054】
第6バッグ22は、第5移送チューブ32、フィルタ58及び第6移送チューブ34を介して第3バッグ16に接続されており、白血球が除去された濃厚赤血球(具体的には、RC−SAGMから白血球が除去されたもの)を収容(貯留)及び保存するためのバッグである。以下、第6バッグ22を「第2赤血球バッグ22」ということがある。
【0055】
第5移送チューブ32は、第1赤血球バッグ16とフィルタ58とを接続し、濃厚赤血球を第1赤血球バッグ16からフィルタ58に移送するためのチューブである。フィルタ58は、所定細胞を除去する機能を有し、本実施形態では白血球除去フィルタとして構成されている。
【0056】
第6移送チューブ34は、フィルタ58と第2赤血球バッグ22とを接続し、白血球が除去された濃厚赤血球をフィルタ58から第2赤血球バッグ22に移送するためのチューブである。なお、第2赤血球バッグ22には、濃厚赤血球の一部を取り出すためのサンプリングチューブ60が接続されている。
【0057】
なお、血液バッグシステム10における各チューブは、透明で柔軟な樹脂製のチューブである。
【0058】
図2に示すように、血液バッグシステム10は、カセット62をさらに備える。本実施形態において、詳細な図示は省略するが、カセット62は、採血バッグ12を保持するとともに、第1〜第4移送チューブ24、26、28、30の各一部を保持するように構成されている。
【0059】
図1及び
図3に示すように、血液バッグシステム10は、カセット62に設けられた第1〜第4クランプ64、66、68、70を備えている。第1クランプ64は、第1移送チューブ24のうち第4移送チューブ30との接続部よりも血漿バッグ14側の流路を閉塞及び開放する。第2クランプ66は、第2移送チューブ26のうち第3移送チューブ28との接続部よりも第1赤血球バッグ16側の流路を閉塞及び開放する。第3クランプ68は、第3移送チューブ28の流路を閉塞及び開放する。第4クランプ70は、第4移送チューブ30の流路を閉塞及び開放する。第1〜第4クランプ64、66、68、70のそれぞれは、図示しないクランプ駆動手段によって開閉可能に構成されている。
【0060】
上記のように構成される血液バッグシステム10は、例えば、
図2に示す遠心分離移送装置72に装着して使用される。
図2に示すように、遠心分離移送装置72は、箱形状であって、装置本体74と、開閉可能な上面の蓋76と、内部の遠心ドラム78と、遠心ドラム78内で等角度(60°)間隔に6つ設けられたユニット挿入孔80と、各ユニット挿入孔80に挿入される6つのインサートユニット82と、中心部に設けられ、各インサートユニット82に対して回転径方向に進退可能に6つずつ設けられた第1押子84と第2押子86とを有する(
図3参照)。遠心分離移送装置72は、正面に設けられた操作部88の操作に基づいて動作し、図示しないマイクロコンピュータで制御される。
【0061】
インサートユニット82がユニット挿入孔80に挿入された状態では、
図3における矢印A方向が、遠心ドラム78の径方向に対応し、特に矢印A1方向が、遠心ドラム78の径方向内方に対応し、矢印A2方向が、遠心ドラム78の径方向外方(遠心分離時の遠心力方向)に対応する。インサートユニット82には、採血バッグ12、血漿バッグ14、第1赤血球バッグ16、添加溶液バッグ18、廃液バッグ20、第2赤血球バッグ22が収容可能な図示しない複数の室が形成されている。
【0062】
図3に示すように、本実施形態では、インサートユニット82がユニット挿入孔80に挿入された状態で、添加溶液バッグ18の矢印A2方向に採血バッグ12が位置し、採血バッグ12の矢印A2方向に血漿バッグ14、廃液バッグ20及び第1赤血球バッグ16が位置している。ただし、インサートユニット82に対する採血バッグ12、血漿バッグ14、第1赤血球バッグ16、添加溶液バッグ18及び廃液バッグ20の配置は、
図3の例に限定されず、自由に変更可能である。また、第1押子84は、採血バッグ12をインサートユニット82の回転方向(周方向)に押圧可能なように設けられていてもよいし、第2押子86は、添加溶液バッグ18をインサートユニット82の回転方向(周方向)に押圧可能なように設けられていてもよい。すなわち、第1押子84及び第2押子86は、バッグを押圧することができれば、どのように配置及び駆動してもよい。
【0063】
本実施形態に係る血液バッグシステム10は、基本的には上記のように構成されるものであり、次に、本実施形態の血液処理方法(洗浄血小板を精製する方法)について説明する。本実施形態では、洗浄バフィーコート精製工程(一次遠心分離工程)、プーリング工程、白血球除去工程(二次遠心分離工程)が順次行われる。
【0064】
洗浄バフィーコート精製工程では、採血工程、装着工程、遠心工程、第1移送工程、第2移送工程及び第3移送工程が行われる。採血工程では、採血バッグ12への血液の採取に先行して、ドナーからの血液の初流(採血初流)を所定量だけ初流血バッグ54に収容する。この場合、封止部材40を閉塞状態(初期状態)としたまま、クランプ52を開放状態とする。こうすることで、採血チューブ36側、すなわち採血バッグ12側への採血初流の流入が阻止される一方、採血チューブ36、分岐コネクタ42及び分岐チューブ50を経由して採血初流を初流血バッグ54に導入することができる。
【0065】
次に、サンプリングポートに図示しない採血管を装着することにより、当該採血管に採血初流を採取する。採取した採血初流は、検査用血液として使用される。なお、用途によっては、分岐コネクタ42からサンプリングポートまでの部分は省略されてもよい。
【0066】
採血初流を採取し終えたら、クランプ52により分岐チューブ50を閉塞し、封止部材40に対して破断操作を行って、採血チューブ36の流路を開通させる。このとき、クランプ38は開放状態としておく。すると、ドナーからの血液は、採血チューブ36を順に経由して採血バッグ12に流入する。なお、採血バッグ12に血液を採取し始める前に、採血バッグ12と第1〜第4移送チューブ24、26、28、30をカセット62により保持するとともに、図示しないクランプ駆動手段によって第1〜第4クランプ64、66、68、70を閉じて第1〜第4移送チューブ24、26、28、30の各流路を閉塞しておくとよい。
【0067】
所定量の血液を採血バッグ12に採取及び貯留したら、採血バッグ12内の血液が流出しないように、クランプ38により採血チューブ36を閉塞する。そして、チューブシーラー等によって採血チューブ36を溶着及び封止した後に採血チューブ36を封止した部分で切断する。以降の工程の説明では、
図1に示す血液バッグシステム10全体のうち、採血チューブ36の切断箇所よりも採血バッグ12側の部分についても、「血液バッグシステム10」という。
【0068】
装着工程では、血液バッグシステム10を遠心分離移送装置72(
図2参照)に装着する。遠心分離移送装置72への血液バッグシステム10の装着においては、採血バッグ12と第1〜第4移送チューブ24、26、28、30とを保持した状態のカセット62を、インサートユニット82に装着する。これにより、カセット62に吊下げ支持された採血バッグ12が、インサートユニット82の図示しない室に収容された状態となる。また、血漿バッグ14、第1赤血球バッグ16、添加溶液バッグ18、廃液バッグ20、フィルタ58及び第2赤血球バッグ22をインサートユニット82の図示しない室に収容する。
【0069】
次に、血液バッグシステム10が収容されたインサートユニット82を遠心分離移送装置72のユニット挿入孔80に挿入する。基本的に遠心分離移送装置72には6つのインサートユニット82を装着するが、バランスが取れていれば5つ以下(好ましくは、等間隔角度に3つ又は2つ)でもよい。
【0070】
続いて、遠心分離移送装置72の蓋76を閉じた後、操作部88を操作することによって遠心工程、第1移送工程、第2移送工程、第3移送工程を自動的に行う。ここで、
図3は、遠心工程を行う前(遠心力を作用させる前)の血液バッグシステム10の状態を示す概略図である。第1〜第4クランプ64、66、68、70は予め閉じられ、これにより第1〜第4移送チューブ24、26、28、30の各流路は閉塞されている。
【0071】
図4に示すように、遠心工程では、遠心分離移送装置72が遠心ドラム78を回転させる。そうすると、採血バッグ12に貯留された全血が、遠心力を受けることにより、重比重血液成分の濃厚赤血球が外径方向(矢印A2方向)に移り、軽比重血液成分の血漿が内径方向(矢印A1方向)に移り、中比重血液成分のバフィーコートがその中間に移動して、3つの層に分離する。
【0072】
続いて、遠心分離移送装置72は、第1移送工程に移る。第1移送工程では、遠心ドラム78の回転を維持することによって採血バッグ12に遠心力を与えたまま、図示しないクランプ駆動手段を動作させることにより第1クランプ64及び第2クランプ66をそれぞれ開く。これにより、第1移送チューブ24及び第2移送チューブ26の各流路を開放状態にする。
【0073】
そして、
図5に示すように、第1押子84を遠心力方向、すなわち外径方向(矢印A2方向)に変位させて採血バッグ12を押圧する。採血バッグ12は第1押子84と壁に挟まれて容積が減少する。このとき、第1移送チューブ24は内径側に指向していることから、最も内径側に位置する血漿が採血バッグ12から第1移送チューブ24へ流出し、第1移送チューブ24を経由して血漿バッグ14に流入する。
【0074】
一方、第2移送チューブ26は、採血バッグ12の外径側に接続されていることから、最も外径側に位置する濃厚赤血球が採血バッグ12から第2移送チューブ26へ流出し、第2移送チューブ26を経由して第1赤血球バッグ16に流入する。
【0075】
第2移送チューブ26から濃厚赤血球を移送し、濃厚赤血球とバフィーコートの分離面が所定位置に到達したことを図示しない光学センサが検出したら、第2クランプ66を閉じることにより第2移送チューブ26の流路を閉塞する。
【0076】
また、第1移送チューブ24から血漿を移送し、第1押子84が所定位置に到達したことを図示しないマイクロコンピュータが検出したら、第1クランプ64を閉じて第1移送チューブ24の流路を閉塞する。第1クランプ64と第2クランプ66の両方が閉じた段階で、第1押子84を停止する。
【0077】
図6に示すように、第1移送工程が終了した時点で、採血バッグ12にはバフィーコートが貯留されている。
【0078】
次に、遠心分離移送装置72は第2移送工程に移る。第2移送工程では、遠心ドラム78の回転を維持することによって添加溶液バッグ18に遠心力を与えたまま、図示しないクランプ駆動手段を動作させることにより第3クランプ68及び第4クランプ70をそれぞれ開く。これにより、第3移送チューブ28及び第4移送チューブ30の各流路を開放状態にする。
【0079】
そして、
図7に示すように、第2押子86を遠心力方向、すなわち外径方向(矢印A2方向)に変位させて添加溶液バッグ18を押圧する。添加溶液バッグ18は第2押子86と壁に挟まれて容積が減少する。これにより、血小板添加溶液が添加溶液バッグ18から第3移送チューブ28に流出し、第3移送チューブ28及び第2移送チューブ26を経由して採血バッグ12に流入する。このとき、第2クランプ66が閉じているため、第1赤血球バッグ16に貯留されている濃厚赤血球に血小板添加溶液が混入することはない。
【0080】
また、血小板添加溶液の比重がバフィーコートよりも小さいため、血小板添加溶液が第2移送チューブ26から採血バッグ12の外径側に流入すると、バフィーコート中の血漿が血小板添加溶液によって内径側(矢印A1方向)に押されて採血バッグ12から第1移送チューブ24に流出し、第1移送チューブ24及び第4移送チューブ30を経由して廃液バッグ20に流入する。このとき、第1クランプ64が閉じているため、血漿バッグ14に貯留されている血漿に血小板添加溶液が混入することはない。
【0081】
添加溶液バッグ18から血小板添加溶液を移送し、第2押子86が所定位置に到達したことを図示しないマイクロコンピュータが検出したら、第3クランプ68を閉じて第3移送チューブ28の流路を閉塞し、第2押子86を停止する。なお、第4クランプ70は開いたままの状態にする。
【0082】
その後、遠心分離移送装置72は第3移送工程に移る。第3移送工程では、遠心ドラム78の回転を維持することによって採血バッグ12に遠心力を与えたまま、
図8に示すように、第1押子84を遠心力方向に変位させて採血バッグ12を押圧する。採血バッグ12は第1押子84と壁に挟まれて容積が減少する。これにより、採血バッグ12中の余分な血小板添加溶液が採血バッグ12から第1移送チューブ24を経由して廃液バッグ20に流入する。
【0083】
第1押子84が所定位置に到達したことを図示しないマイクロコンピュータが検出したら、第4クランプ70を閉じて第4移送チューブ30の流路を閉塞し、第1押子84を停止する。
【0084】
第3移送工程が終了したら、血液バッグシステム10をインサートユニット82から取り出す。さらに、チューブシーラー等を用いて、血液バッグシステム10における第1〜第4移送チューブ24、26、28、30のそれぞれを溶着及び封止した後に切断することによって各バッグを切り離す。なお、第1赤血球バッグ16に一時的に収容された濃厚赤血球は、その後、フィルタ58に通されることで白血球が除去される。白血球が除去された濃厚赤血球は、第2赤血球バッグ22に収容及び保存される。
【0085】
以下の説明では、洗浄バフィーコート精製工程によって得られた洗浄バフィーコートが収容された採血バッグ12(第1バッグ12)を「洗浄BCバッグ90」ということがある。
【0086】
次に、プーリング工程では、まず、複数(
図9では5個)の洗浄BCバッグ90をチューブに接続することにより、血小板バッグシステム92を構成する。
図9に示すように、血小板バッグシステム92は、洗浄バフィーコート精製工程で得られた複数の洗浄BCバッグ90と、これら洗浄BCバッグ90のバフィーコートが集められるプーリングバッグ94とを備える。
【0087】
プーリングバッグ94の上部には、導入チューブ96の一端が接続されている。導入チューブ96には、導入チューブ96の流路を閉塞及び開放するクランプ98が設けられている。導入チューブ96の他端には、第1分岐コネクタ100を介して2本の第1分岐チューブ102の一端が接続されている。一方の第1分岐チューブ102の他端には、第2分岐コネクタ104を介して2本の第2分岐チューブ106の一端が接続され、他方の第1分岐チューブ102の他端には、第3分岐コネクタ108を介して3本の第2分岐チューブ106の一端が接続されている。各第2分岐チューブ106の他端には、洗浄BCバッグ90が接続されている。
【0088】
また、プーリングバッグ94の上部には、第1接続チューブ110の一端が接続されている。第1接続チューブ110の他端はフィルタ112に接続され、フィルタ112には第2接続チューブ114の一端が接続されている。第2接続チューブ114の他端は、洗浄血小板バッグ116に接続されている。洗浄血小板バッグ116には、サンプリングポート118が接続されている。なお、血小板バッグシステム92の各バッグは、上述した血液バッグシステム10のバッグと同様に構成され、血小板バッグシステム92の各チューブは、上述した血液バッグシステム10のチューブと同様に構成されている。フィルタ112は、上述したフィルタ58と同様に構成されている。
【0089】
プーリング工程では、並列に接続された複数の洗浄BCバッグ90の鉛直下方にプーリングバッグ94を配置し、クランプ98を開くことにより各洗浄BCバッグ90の洗浄バフィーコートを重力の作用によって、第2分岐チューブ106、第1分岐チューブ102及び導入チューブ96を介して1つのプーリングバッグ94に集める。その後、シーラー等によって導入チューブ96を溶着及び封止した後に導入チューブ96を封止した部分で切断する。以降の工程の説明では、
図9に示す血小板バッグシステム92全体のうち、導入チューブ96の切断箇所よりもプーリングバッグ94側の部分についても「血小板バッグシステム92」という。
【0090】
続いて、白血球除去工程では、
図10に示すように、血小板バッグシステム92のプーリングバッグ94を図示しないカセットに装着し、そのカセットを遠心分離移送装置72のインサートユニット120に装着する。この際、プーリングバッグ94の外径方向(矢印A2方向)にフィルタ112が位置し、フィルタ112の外径方向(矢印A2方向)に洗浄血小板バッグ116が位置している。なお、インサートユニット120は、ユニット挿入孔80(
図2参照)に挿入可能である。
【0091】
その後、遠心分離移送装置72が遠心ドラム78を回転させる。そうすると、
図11に示すように、プーリングバッグ94に貯留された洗浄バフィーコートが遠心力を受けることにより、濃厚赤血球が外径方向(矢印A2方向)に移り、血小板成分が内径方向(矢印A1方向)に移り、2つの層に分離する。
【0092】
続いて、遠心ドラム78の回転を維持することによってプーリングバッグ94に遠心力を与えたまま、押子122を遠心力方向、すなわち外径方向(矢印A2方向)に変位させてプーリングバッグ94を押圧する。プーリングバッグ94は押子122と壁に挟まれて容積が減少する。このとき、第1接続チューブ110は、内径側に指向していることから、内径側に位置する血小板成分がプーリングバッグ94から第1接続チューブ110へ流出し、第1接続チューブ110を経由してフィルタ112に流入する。
【0093】
そして、血小板成分がフィルタ112を通されることで白血球が除去される。白血球が除去された血小板成分である洗浄血小板は、第2接続チューブ114を経由して洗浄血小板バッグ116に収容及び保存される。
【0094】
本実施形態によれば、採血バッグ12の全血(内容液)を遠心分離して得られた血漿と濃厚赤血球が血漿バッグ14と第1赤血球バッグ16とのそれぞれに移送された移送完了状態で、添加溶液バッグ18の血小板添加溶液を遠心力が作用している採血バッグ12の外径側に移送している。これにより、バフィーコート中に残存している血漿を血小板添加溶液によって採血バッグ12から押し出す(排出する)ことができるため、洗浄バフィーコート(洗浄された中比重血液成分)を得ることができる。よって、採血バッグ12に血漿の含有率が充分に低い洗浄バフィーコートを確実且つ効率的に得ることができる。そして、このような洗浄バフィーコートを用いて洗浄血小板の精製が行われるため、血漿含有率が充分に低い洗浄血小板を確実且つ効率的に得ることができる。
【0095】
また、採血バッグ12から第4移送チューブ30に排出された血漿及び血小板添加溶液を含む廃液が廃液バッグ20に貯留されるため、廃液処理を容易に行うことができる。
【0096】
さらに、第3移送チューブ28が第2移送チューブ26と添加溶液バッグ18とを互いに接続し、第4移送チューブ30が第1移送チューブ24と廃液バッグ20とを互いに接続している。そのため、採血バッグ12及びチューブの構成を簡素化することができる。
【0097】
本実施形態では、第1クランプ64を開放するとともに第4クランプ70を閉塞した状態で廃液を採血バッグ12から廃液バッグ20に移送させているため、廃液が血漿バッグ14に流入することはない。
【0098】
また、第2クランプ66を開放するとともに第3クランプ68を閉塞した状態で濃厚赤血球を採血バッグ12から第1赤血球バッグ16に移送させているため、濃厚赤血球が添加溶液バッグ18に流入することはない。
【0099】
さらに、第2クランプ66を閉塞するとともに第3クランプ68を開放させた状態で血小板添加溶液を添加溶液バッグ18から採血バッグ12に移送させているため、血小板添加溶液が第1赤血球バッグ16に流入することはない。
【0100】
さらにまた、第1クランプ64を閉塞するとともに第4クランプ70を開放することにより、廃液を採血バッグ12から廃液バッグ20に移送させているため、廃液が血漿バッグ14に流入することはない。
【0101】
本実施形態によれば、第2移送工程において採血バッグ12を添加溶液バッグ18よりも遠心方向に配置しているため、遠心力によって血小板添加溶液を採血バッグ12に移送することができる。
【0102】
また、第2移送工程では、第2押子86によって添加溶液バッグ18を押圧しているため、血小板添加溶液を採血バッグ12により確実に移送することができる。
【0103】
さらに、第3移送工程では、第3移送チューブ28を第3クランプ68で閉塞させた状態で採血バッグ12内の血小板添加溶液の一部を廃液バッグ20に移送させているため、採血バッグ12(洗浄BCバッグ90)内の血漿の残存量を一層低減することができる。
【0104】
さらにまた、第2移送工程では、採血バッグ12の外径側に血小板添加溶液を導入しているため、血小板添加溶液によって採血バッグ12内に残存している血漿を効率的に採血バッグ12から押し出す(排出する)ことができる。
【0105】
本実施形態は、上述した構成及び方法に限定されない。例えば、第2移送工程では、第2押子86により添加溶液バッグ18を押圧することなく、遠心力のみによって血小板添加溶液を採血バッグ12に移送するようにしてもよい。
【0106】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る血液バッグシステム10A及び血液処理方法について説明する。本実施形態に係る血液バッグシステム10Aにおいて、上述した第1実施形態に係る血液バッグシステム10と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0107】
図12に示すように、血液バッグシステム10Aは、複数のバッグ(第1〜第6バッグ200、202、204、206、208、210)と、複数の移送チューブ(第1〜第6移送チューブ212、214、216、218、220、222)とを備える。第1〜第6バッグ200、202、204、206、208、210の各々は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものである。
【0108】
第1バッグ200は、ドナーから採取した血液(全血)を収容(貯留)するためのバッグである。以下、第1バッグ200を「採血バッグ200」ということがある。採血バッグ200には、後述するように、全血を遠心分離して得られた血漿を第2バッグ202に移送し、バフィーコートを第3バッグ204に移送した後は、残余の血液成分である濃厚赤血球が残される。採血バッグ200内には、上述した採血バッグ200と同様の血液保存液が収容されている。なお、採血バッグ200の上部には、基端側の採血チューブ36の一端が接続される。
【0109】
第2バッグ202は、第1移送チューブ212を介して採血バッグ200に接続されており、遠心分離によって得られる軽比重血液成分である血漿を収容(貯留)及び保存するためのバッグである。以下、第2バッグ202を「血漿バッグ202」ということがある。第1移送チューブ212は、採血バッグ200の上部と血漿バッグ202の入口とを接続し、血漿を採血バッグ200から血漿バッグ202に移送するためのチューブである。
【0110】
第3バッグ204は、第2移送チューブ214を介して採血バッグ200に接続されており、遠心分離によって得られる中比重血液成分であるバフィーコートを収容(貯留)及び保存するためのバッグである。以下、第3バッグ204を「バフィーコートバッグ204」ということがある。第2移送チューブ214は、採血バッグ200の上部とバフィーコートバッグ204の入口とを接続し、バフィーコートを採血バッグ200からバフィーコートバッグ204に移送するためのチューブである。
【0111】
第4バッグ206は、第3移送チューブ216及び第2移送チューブ214を介して第3バッグ204に接続されており、血小板添加溶液を収容(貯留)及び保存するためのバッグである。以下、第4バッグ206を「添加溶液バッグ206」ということがある。第3移送チューブ216は、添加溶液バッグ206の入口と第2移送チューブ214の途中部位とを接続し、第2移送チューブ214を介してバフィーコートバッグ204に血小板添加溶液を移送するためのチューブである。
【0112】
第5バッグ208は、第4移送チューブ218を介してバフィーコートバッグ204に接続されており、洗浄バフィーコートを精製する際に発生する廃液(血漿と血小板添加溶液の混合液)を収容するためのバッグである。以下、第5バッグ208を「廃液バッグ208」ということがある。第4移送チューブ218は、廃液バッグ208の入口とバフィーコートバッグ204の上部とを接続し、第4移送チューブ218を介してバフィーコートバッグ204の廃液を廃液バッグ208に移送するためのチューブである。
【0113】
第6バッグ210は、第2移送チューブ214、第3移送チューブ216、第5移送チューブ220、フィルタ58及び第6移送チューブ222を介して第1バッグ200に接続されており、白血球が除去された濃厚赤血球を収容(貯留)及び保存するためのバッグである。以下、第6バッグ210を「赤血球バッグ210」ということがある。
【0114】
第5移送チューブ220は、第3移送チューブ216の途中部位とフィルタ58とを接続し、濃厚赤血球を採血バッグ200から第2移送チューブ214及び第3移送チューブ216を介してフィルタ58に移送するためのチューブである。第6移送チューブ222は、上述した第6移送チューブ34と同様に構成されている。
【0115】
図12及び
図13に示すように、血液バッグシステム10Aは、図示しないカセットに設けられた第1〜第6クランプ224、226、228、230、232、234を備えている。第1クランプ224は、第1移送チューブ212の流路を閉塞及び開放する。第2クランプ226は、第2移送チューブ214のうち第3移送チューブ216との接続部よりもバフィーコートバッグ204側の流路を閉塞及び開放する。第3クランプ228は、第3移送チューブ216のうち第5移送チューブ220との接続部よりも添加溶液バッグ206側の流路を閉塞及び開放する。第4クランプ230は、第4移送チューブ218を閉塞及び開放する。第5クランプ232は、第5移送チューブ220を閉塞及び開放する。第6クランプ234は、第2移送チューブ214のうち採血バッグ200とバフィーコートバッグ204との間の流路を閉塞及び開放する。第1〜第6クランプ224、226、228、230、232、234のそれぞれは、図示しないクランプ駆動手段によって開閉可能に構成されている。
【0116】
上記のように構成される血液バッグシステム10Aは、例えば、遠心分離移送装置240に装着して使用される。遠心分離移送装置240は、
図2に示す遠心分離移送装置72と同様に構成されており、蓋76、遠心ドラム78、ユニット挿入孔80、操作部88、インサートユニット242、第1〜第3押子244、246、248を備える。インサートユニット242には、採血バッグ200、血漿バッグ202、バフィーコートバッグ204、添加溶液バッグ206、廃液バッグ208、赤血球バッグ210が収容可能な図示しない複数の室が形成されている。
【0117】
第1押子244は採血バッグ200をインサートユニット242の回転径方向に押圧し、第2押子246は添加溶液バッグ206をインサートユニット242の回転径方向に押圧し、第3押子248はバフィーコートバッグ204をインサートユニット242の回転径方向に押圧する。
【0118】
図13に示すように、本実施形態では、インサートユニット242がユニット挿入孔80に挿入された状態で、添加溶液バッグ206の矢印A2方向に採血バッグ200が位置し、採血バッグ200の矢印A2方向に血漿バッグ202、バフィーコートバッグ204及び廃液バッグ208が位置している。
【0119】
ただし、インサートユニット242に対する採血バッグ200、血漿バッグ202、バフィーコートバッグ204及び廃液バッグ208の配置は、
図13の例に限定されず、自由に変更可能である。また、第1押子244は、採血バッグ200をインサートユニット242の回転方向(周方向)に押圧可能なように設けられていてもよいし、第2押子246は、添加溶液バッグ206をインサートユニット242の回転方向(周方向)に押圧可能なように設けられていてもよいし、第3押子248は、バフィーコートバッグ204をインサートユニット242の回転方向(周方向)に押圧可能なように設けられていてもよい。すなわち、第1〜第3押子244、246、248は、バッグを押圧することができれば、どのように配置及び駆動してもよい。
【0120】
次に、本実施形態の血液処理方法(洗浄血小板を精製する方法)について説明する。本実施形態では、洗浄バフィーコート精製工程(一次遠心分離工程)、プーリング工程、白血球除去工程(二次遠心分離工程)が順次行われる。
【0121】
洗浄バフィーコート精製工程では、採血工程、装着工程、遠心工程、第1移送工程、第2移送工程及び第3移送工程が行われる。採血工程は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0122】
装着工程では、血液バッグシステム10Aを遠心分離移送装置240(
図2参照)に装着する。遠心分離移送装置240への血液バッグシステム10Aの装着においては、採血バッグ200と第1〜第5移送チューブ212、214、216、218、220とを保持した状態のカセットを、インサートユニット242に装着する。これにより、カセットに吊下げ支持された採血バッグ200が、インサートユニット242の図示しない室に収容された状態となる。また、血漿バッグ202、バフィーコートバッグ204、添加溶液バッグ206、廃液バッグ208、フィルタ58及び赤血球バッグ210をインサートユニット242の図示しない室に収容する。
【0123】
次に、血液バッグシステム10Aが収容されたインサートユニット242を遠心分離移送装置240のユニット挿入孔80に挿入し、遠心分離移送装置240の蓋76を閉じた後、操作部88を操作することによって遠心工程、第1移送工程、第2移送工程、第3移送工程を自動的に行う。ここで、
図13は、遠心工程を行う前(遠心力を作用させる前)の血液バッグシステム10Aの状態を示す模式図である。第1〜第6クランプ224、226、228、230、232、234は予め閉じられ、これにより第1〜第5移送チューブ212、214、216、218、220の各流路は閉塞されている。
【0124】
図14に示すように、遠心工程では、遠心分離移送装置240が遠心ドラム78を回転させる。そうすると、採血バッグ200に貯留された全血が、遠心力を受けることにより、重比重血液成分の濃厚赤血球が外径方向(矢印A2方向)に移り、軽比重血液成分の血漿が内径方向(矢印A1方向)に移り、中比重血液成分のバフィーコートがその中間に移動して、3つの層に分離する。
【0125】
続いて、遠心分離移送装置240は、第1移送工程に移る。第1移送工程では、遠心ドラム78の回転を維持することによって採血バッグ200に遠心力を与えたまま、図示しないクランプ駆動手段を動作させることにより第1クランプ224を開く。これにより、第1移送チューブ212の流路を開放状態にする。
【0126】
そして、
図15に示すように、第1押子244を遠心力方向、すなわち外径方向(矢印A2方向)に変位させて採血バッグ200を押圧する。採血バッグ200は第1押子244と壁に挟まれて容積が減少する。このとき、第1移送チューブ212は内径側に指向していることから、最も内径側に位置する血漿が採血バッグ200から第1移送チューブ212へ流出し、第1移送チューブ212を経由して血漿バッグ202に流入する。
【0127】
第1移送チューブ212から血漿バッグ202への血漿の移送が完了した後、第1クランプ224を閉じて第2クランプ226及び第6クランプ234を開く。これにより、第1移送チューブ212の流路を閉塞し、第2移送チューブ214の流路を開放状態にする。
【0128】
続いて、
図16に示すように、第1押子244を遠心方向にさらに変位させて採血バッグ200を押圧する。このとき、第2移送チューブ214は、採血バッグ200における濃厚赤血球とバフィーコートとの分離面よりも内径側に接続していることから、バフィーコートが採血バッグ200から第2移送チューブ214へ流出し、第2移送チューブ214を経由してバフィーコートバッグ204に流入する。第2移送チューブ214からバフィーコートバッグ204へのバフィーコートの移送が完了した後、第6クランプ234を閉じる。
【0129】
第1移送工程が終了した時点で、血漿バッグ202には血漿が収容され、バフィーコートバッグ204にはバフィーコートが収容され、採血バッグ200には濃厚赤血球が残されている。
【0130】
次に、遠心分離移送装置240は第2移送工程に移る。第2移送工程では、遠心ドラム78の回転を維持することによって添加溶液バッグ206に遠心力を与えたまま、図示しないクランプ駆動手段を動作させることにより第3クランプ228及び第4クランプ230をそれぞれ開く。これにより、第3移送チューブ216及び第4移送チューブ218の各流路を開放状態にする。
【0131】
そして、
図17に示すように、第2押子246を遠心力方向、すなわち外径方向(矢印A2方向)に変位させて添加溶液バッグ206を押圧する。添加溶液バッグ206は第2押子246と壁に挟まれて容積が減少する。これにより、血小板添加溶液が添加溶液バッグ206から第3移送チューブ216に流出し、第3移送チューブ216及び第2移送チューブ214を経由してバフィーコートバッグ204に流入する。このとき、第6クランプ234が閉じているため、採血バッグ200に貯留されている濃厚赤血球に血小板添加溶液が混入することはない。
【0132】
また、血小板添加溶液の比重がバフィーコートよりも小さいため、血小板添加溶液が第2移送チューブ214からバフィーコートバッグ204の外径側に流入すると、バフィーコート中の血漿が血小板添加溶液によって内径側(矢印A1方向)に押されてバフィーコートバッグ204から第4移送チューブ218に流出し、第4移送チューブ218を経由して廃液バッグ208に流入する。
【0133】
添加溶液バッグ206から血小板添加溶液を移送し、第2押子246が所定位置に到達したことを図示しないマイクロコンピュータが検出したら、第2クランプ226及び第3クランプ228のそれぞれを閉じて第2移送チューブ214及び第3移送チューブ216の各流路を閉塞し、第2押子246を停止する。なお、第4クランプ230は開いたままの状態にする。
【0134】
その後、遠心分離移送装置240は第3移送工程に移る。第3移送工程では、遠心ドラム78の回転を維持することによってバフィーコートバッグ204に遠心力を与えたまま、
図18に示すように、第3押子248を遠心力方向に変位させてバフィーコートバッグ204を押圧する。バフィーコートバッグ204は第3押子248と壁に挟まれて容積が減少する。これにより、バフィーコートバッグ204中の余分な血小板添加溶液がバフィーコートバッグ204から第4移送チューブ218を経由して廃液バッグ208に流入する。
【0135】
第3押子248が所定位置に到達したことを図示しないマイクロコンピュータが検出したら、第4クランプ230を閉じて第4移送チューブ218の流路を閉塞し、第3押子248を停止する。
【0136】
第3移送工程が終了したら、血液バッグシステム10Aをインサートユニット242から取り出す。さらに、チューブシーラー等を用いて、血液バッグシステム10Aにおける第1〜第4移送チューブ212、214、216、218のそれぞれを溶着及び封止した後に切断することによって各バッグを切り離す。なお、このとき、採血バッグ200とフィルタ58との間は、チューブによって連結させておく。そして、採血バッグ200に一時的に収容された濃厚赤血球は、その後、フィルタ58に通されることで白血球が除去される。白血球が除去された濃厚赤血球は、赤血球バッグ210に収容及び保存される。
【0137】
プーリング工程及び白血球除去工程は、第1実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0138】
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、採血バッグ200の全血(内容液)を遠心分離して得られた血漿とバフィーコートとが血漿バッグ202とバフィーコートバッグ204とのそれぞれに移送された移送完了状態で、添加溶液バッグ206の血小板添加溶液を遠心力が作用しているバフィーコートバッグ204の外径側に移送している。これにより、バフィーコート中に残存している血漿を血小板添加溶液によってバフィーコートバッグ204から排出することができるため、洗浄バフィーコートを得ることができる。よって、バフィーコートバッグ204に血漿の含有率が充分に低い洗浄バフィーコートを確実且つ効率的に得ることができる。
【0139】
本発明に係る血液バッグシステム及び血液処理方法は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。