特許第6943956号(P6943956)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6943956
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】多層構造布帛および繊維製品
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/00 20060101AFI20210927BHJP
   D02G 3/28 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   D04B1/00 B
   D02G3/28
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-519599(P2019-519599)
(86)(22)【出願日】2018年5月16日
(86)【国際出願番号】JP2018018950
(87)【国際公開番号】WO2018216572
(87)【国際公開日】20181129
【審査請求日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】特願2017-103616(P2017-103616)
(32)【優先日】2017年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501270287
【氏名又は名称】帝人フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】原毛 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】尾形 暢亮
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−040845(JP,A)
【文献】 特開昭62−053454(JP,A)
【文献】 実開昭59−109792(JP,U)
【文献】 特開2007−119941(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097935(WO,A1)
【文献】 特開2005−105442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 1/00− 1/28
D04B 21/00−21/20
D02G 1/00−3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏の地組織部と、表裏の地組織部を連結するつなぎ糸と、挿入糸とを含む多層構造布帛であって、表裏の地組織部のうち少なくともどちらか一方に、30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維を含み、前記つなぎ糸が仮撚捲縮加工糸であり、前記挿入糸が仮撚捲縮加工糸であり、前記つなぎ糸が、表糸または裏糸に対し2/3以下の総繊度を有する多層構造布帛であり、
多層構造布帛が編物であり、
前記捲縮繊維が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを含む複合糸であり、
前記捲縮繊維が、交絡の個数1〜70個/mでインターレース加工を施された交絡糸であり、
前記捲縮繊維において、単繊維繊度が0.00002〜2.0dtexの範囲内であり、
前記捲縮繊維において、総繊度が40〜180dtexの範囲内であり、
かつ、親水化剤が付与されていることを特徴とする多層構造布帛
【請求項2】
前記のS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを含む複合糸である捲縮繊維のトルクがノントルクである、請求項1に記載の多層構造布帛。
【請求項3】
前記捲縮繊維が、ポリエステル繊維またはナイロン繊維からなる、請求項1または請求項2に記載の多層構造布帛。
【請求項4】
前記挿入糸が、表糸または裏糸より大きな総繊度を有し、かつ表糸または裏糸より小さなフィラメント数を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造布帛。
【請求項5】
多層構造布帛の目付けが150〜500g/mの範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造布帛。
【請求項6】
嵩高性が4.6cm/g以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の多層構造布帛
【請求項7】
表面または裏面において、平均摩擦係数MIUが0.28以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の多層構造布帛。
【請求項8】
圧縮剛性LCが0.45以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の多層構造布帛。
【請求項9】
圧縮回復性RCが40以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の多層構造布帛。
【請求項10】
曲げ剛性Bが0.22以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の多層構造布帛。
【請求項11】
乾燥速度が20.0%以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の多層構造布帛。
【請求項12】
表糸およびつなぎ糸が撥水性繊維で構成されている、請求項1〜11のいずれかに記載の多層構造布帛。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の多層構造布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、カーシート表皮材の群より選ばれるいずれかの繊維製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高軽量性、質感のあるソフトな風合い、高反発性、低ドレープ性、および吸汗速乾性に優れた多層構造布帛および繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多層構造布帛としては、種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
しかしながら、嵩高軽量性、質感のあるソフトな風合い、高反発性、低ドレープ性、および吸汗速乾性に優れた多層構造布帛はこれまであまり提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−80485号公報
【特許文献2】特開2009−228141号公報
【特許文献3】特開2010−180517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、嵩高軽量性、質感のあるソフトな風合い、高反発性、低ドレープ性、および吸汗速乾性に優れた多層構造布帛および繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、多層構造布帛において、用いる繊維や織編物組織を巧みに工夫することによって嵩高軽量性、質感のあるソフトな風合い、高反発性、低ドレープ性、および吸汗速乾性に優れた多層構造布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明によれば「表裏の地組織部と、表裏の地組織部を連結するつなぎ糸と、挿入糸を含む多層構造布帛であって、表裏の地組織部のうち少なくともどちらか一方に、捲縮繊維または紡績糸を含むことを特徴とする多層構造布帛。」が提供される。
【0008】
その際、前記捲縮繊維が、30T/m以下のトルクを有することが好ましい。また、多層構造布帛が編物であることが好ましい。また、前記捲縮繊維が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを含む複合糸であることが好ましい。また、前記捲縮繊維が、交絡の個数1〜70個/mでインターレース加工を施された交絡糸であることが好ましい。また、前記捲縮繊維のトルクがノントルクであることが好ましい。また、前記捲縮繊維において、単繊維繊度が0.00002〜2.0dtexの範囲内であることが好ましい。また、前記捲縮繊維において、総繊度が40〜180dtexの範囲内であることが好ましい。また、前記捲縮繊維がポリエステル繊維またはナイロン繊維からなることが好ましい。また、前記つなぎ糸が、表糸または裏糸に対し2/3以下の総繊度を有することが好ましい。また、前記挿入糸が、表糸または裏糸より大きな総繊度を有し、かつ表糸または裏糸より小さなフィラメント数を有することが好ましい。
【0009】
本発明の多層構造布帛において、多層構造布帛の目付けが150〜500g/mの範囲内であることが好ましい。また、嵩高性が4.6cm/g以上であることが好ましい。また、表面または裏面において、平均摩擦係数MIUが0.28以下であることが好ましい。また、圧縮剛性LCが0.45以上であることが好ましい。また、圧縮回復性RCが40以上であることが好ましい。また、曲げ剛性Bが0.22以上であることが好ましい。また、乾燥速度が20.0%以下であることが好ましい。また、表糸およびつなぎ糸が撥水性繊維で構成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、前記の多層構造布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、カーシート表皮材の群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、嵩高軽量性、質感のあるソフトな風合い、高反発性、低ドレープ性、および吸汗速乾性に優れた多層構造布帛および繊維製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の多層構造布帛を模式的に示す図の一例である。
図2】実施例3で用いた編組織図である。
図3】実施例4で用いた編組織図である。
図4】比較例3、比較例4で用いた編組織図である。
図5】実施例1、2で用いた編組織図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は、表側地組織部と、裏側地組織部と、表裏の地組織部を連結するつなぎ糸と、挿入糸とを含む多層構造布帛であって、表側地組織部と裏側地組織部のうち少なくともどちらか一方(好ましくは両方)に、捲縮繊維または紡績糸を含む。前記捲縮繊維としては、30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維(以下、単に「捲縮繊維」ということもある。)であることが好ましい。
【0014】
前記捲縮繊維または紡績糸が表裏の地組織部のうち少なくともどちらか一方(好ましくは両方)に含まれることにより、布帛面の摩擦係数や凹凸が小さくなり、特有の風合いが発現する。また、つなぎ糸や挿入糸が地組織部から飛び出すおそれがない。
【0015】
ここで、前記捲縮繊維が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを含む複合糸であることが好ましい。
【0016】
仮撚捲縮加工糸には第1ヒーター域で仮撚をセットした、いわゆるone heater仮撚捲縮加工糸と、該糸をさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理することによりトルクを減らした、いわゆるsecond heater仮撚捲縮加工糸とがある。また、施撚の方向により、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とがある。本発明において、これらの仮撚捲縮加工糸を用いることができる。特に、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とで複合糸を構成すると、低トルクの複合糸が得られ好ましい。
【0017】
前記の複合糸は例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、糸条を第1ローラ、セット温度が90〜220℃(より好ましくは100〜190℃)の熱処理ヒーターを経由して撚り掛け装置によって施撚することによりone heater仮撚捲縮加工糸を得てもよいし、必要に応じてさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理することによりsecond heater仮撚捲縮加工糸を得てもよい。仮撚加工時の延伸倍率は、0.8〜1.5の範囲が好ましく、仮撚数は、仮撚数(T/m)=(32500/(Dtex)1/2)×αの式においてα=0.5〜1.5が好ましく、通常は0.8〜1.2位とするのがよい。ただし、Dtexとは糸条の総繊度である。用いる撚り掛け装置としては、ディスク式あるいはベルト式の摩擦式撚り掛け装置が糸掛けしやすく、糸切れも少なくて適当であるが、ピン方式の撚り掛け装置であってもよい。また、施撚の方向により、仮撚捲縮加工糸が有するトルクをS方向かZ方向か選択することができる。次いで、2種以上の仮撚捲縮加工糸を合糸することにより前記複合糸が得られる。
【0018】
かかる複合糸には、インターレース加工により交絡が付与されていることが好ましい。交絡(インターレース)の個数は、ソフトな風合いやストレッチ性を損なわないために1〜70個/mの範囲内であることが好ましい。該個数が70個/mよりも大きいとソフトな風合いやストレッチ性が損なわれるおそれがある。逆に、該個数が1個/mよりも小さいと複合糸の集束性が不十分となり、製編性や製織性が損なわれるおそれがある。なお、交絡処理(インターレース加工)は通常のインターレースノズルを用いて処理したものでよい。
【0019】
かくして得られた複合糸においてトルクは小さいほど好ましくノントルク(0T/m)が最も好ましい。このようにノントルクとするには、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向の仮撚捲縮加工糸とを合糸する際、トルクの方向が異なること以外は同じトルクを有する2種の仮撚捲縮加工糸を使用するとよい。
【0020】
なお、前記複合糸において、互いに異なる2種以上(好ましくは2〜5種類、特に好ましくは2種類)の単繊維を含んでいてもよい。例えば、前記2種以上の単繊維が、繊維を構成する成分または単繊維横断面形状または単繊維繊度において互いに異なっていてもよい。
【0021】
ここで、「成分が異なる」とは、異種ポリマーの組合せだけでなく、同種ポリマーで第3成分や添加物が異なる組合せも含む。例えば、ナイロンとポリエステル、カチオン可染性ポリエステルとカチオン不染性ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、酸化チタンの含有量が互いに異なるポリエステルの組合せ(例えば、ブライトポリエステルとフルダルポリエステルなど)などが例示される。
【0022】
また、前記捲縮繊維(複合糸)において、捲縮率が2%以上(より好ましくは10〜30%)であることが好ましい。
【0023】
また、前記捲縮繊維(複合糸)において、単繊維繊度が4dtex以下(好ましくは0.00002〜2.0dtex、特に好ましくは0.1〜2.0dtex)であることが好ましい。また、前記捲縮繊維(複合糸)の総繊度としては33〜220dtexの範囲内であることが好ましい。さらに、前記捲縮繊維(複合糸)のフィラメント数としては50〜300本(より好ましくは100〜300本)の範囲内であることが好ましい。
【0024】
また、前記捲縮繊維(複合糸)の単繊維断面形状としては、通常の丸断面でもよいが、丸断面以外の異型断面形状であってもよい。かかる異型断面形状としては、三角、四角、十字、扁平、くびれ付扁平、H型、W型などが例示される。
【0025】
前記捲縮繊維(複合糸)を構成する繊維としては特に制限されず、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、さらには、綿、ウール、絹などの天然繊維やこれらを複合したものが使用可能である。特にポリエステル繊維が好ましい。かかるポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルが好ましい。なかでも、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)またはトリメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリトリメチレンテレフタレート)が特に好ましい。
【0026】
かかるポリエステルには、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよい。その際、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、P−オキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のごとき芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
【0027】
前記ポリエステルは任意の方法によって合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものでよい。また、前記ポリエステルは、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステル、または、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルであってもよい。さらには、ポリ乳酸やステレオコンプレックスポリ乳酸などの生分解性を有するポリエステルでもよい。
【0028】
前記ポリエステルに紫外線吸収剤がポリエステル重量対比0.1重量%以上(好ましくは0.1〜5.0重量%)含まれていると、布帛に紫外線遮蔽性が付加され好ましい。かかる紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系有機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系有機紫外線吸収剤、サリチル酸系有機紫外線吸収剤などが例示される。なかでも、紡糸の段階で分解しないという点からベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0029】
かかるベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤としては、特開昭62−11744号公報に開示されたものが好適に例示される。すなわち、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−エチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−テトラメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレンなどである。
【0030】
また、前記ポリエステルに艶消し剤(二酸化チタン)がポリエステル重量対比0.2重量%以上(好ましくは0.3〜2.0重量%)含まれていると、布帛に防透性が付加され好ましい。
【0031】
さらに前記ポリエステルには、必要に応じて、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
【0032】
また、紡績糸としては、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、さらには、綿、ウール、絹などの天然繊維やこれらを複合したものが使用可能である。
【0033】
また、かかる紡績糸は、芯部にポリエステル繊維からなる長繊維(例えば、総繊度20〜80dtex、フィラメント数10〜90本)が配され、鞘部に紡績糸(例えば、綿20〜40番)が配された芯鞘構造を有する複合紡績糸でもよい。
【0034】
また、かかる紡績糸において、また単繊維断面形状としては、通常の丸断面でもよいが、丸断面以外の異型断面形状であってもよい。かかる異型断面形状としては、三角、四角、十字、扁平、くびれ付扁平、H型、W型、中空型、特開2011−12367号公報に記載されているような、中空であるコアー部と該コアー部の外表面から放射状に突出する6枚以上のフィン部とを有する中空多フィン型などが例示される。
【0035】
本発明は、図1に示すような、表裏の地組織部と、表裏の地組織部を連結するつなぎ糸と、挿入糸とを含む多層構造布帛であって、表裏の地組織部のうち少なくともどちらか一方(好ましくは両方)に、前記捲縮繊維または紡績糸が含まれる。
【0036】
かかる多層構造布帛は、織物でもよいが、編物が好ましい。
【0037】
前記つなぎ糸において、単繊維繊度が4dtex以下(好ましくは0.00002〜2.0dtex、特に好ましくは0.1〜2.0dtex)であることが好ましい。また、つなぎ糸の総繊度としては60dtex以下(より好ましくは30〜60dtexであることが好ましい。特に、表裏の地組織部を構成する繊維より総繊度を小さくする(より好ましくは表糸の総繊度の2/3以下または裏糸の総繊度の2/3以下、特に好ましくは表糸の総繊度の2/3以下および裏糸の総繊度の2/3以下)と表裏の地組織部から飛び出すおそれがなく好ましい。さらに、つなぎ糸のフィラメント数としては12〜300本(より好ましくは12〜144本)の範囲内であることが好ましい。
【0038】
前記つなぎ糸の繊維種類としては、特に制限されず、前記のようなポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、さらには、綿、ウール、絹などの天然繊維やこれらを複合したものが使用可能である。
【0039】
ここで、表糸とは表側の地組織部を構成する糸であり、裏糸とは裏側の地組織部を構成する糸である。また、表側の地組織部とは、布帛を使用する際、外気側に位置する地組織部であり、裏側の地組織部とは、布帛を使用する際、肌側に位置する地組織部である。
【0040】
前記つなぎ糸は非捲縮糸でもよいが、DTYと称される仮撚捲縮加工糸などの捲縮繊維で構成されると、クッション性が向上し好ましい。
【0041】
また、挿入糸において、単繊維繊度が4dtex以下(好ましくは0.00002〜2.0dtex、特に好ましくは0.1〜2.0dtex)であることが好ましい。また、挿入糸の総繊度としては33〜220dtexの範囲内であることが好ましい。さらに、挿入糸のフィラメント数としては10〜300本(より好ましくは12〜150本)の範囲内であることが好ましい。特に、前記挿入糸が、表糸または裏糸より大きな総繊度を有し、かつ表糸または裏糸より小さなフィラメント数を有すると、吸水性が向上し好ましい。
【0042】
前記挿入糸の繊維種類としては、特に制限されず、前記のようなポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、さらには、綿、ウール、絹などの天然繊維やこれらを複合したものが使用可能である。
【0043】
前記挿入糸は非捲縮糸でもよいが、仮撚捲縮加工糸などの捲縮繊維で構成されると、クッション性が向上し好ましい。なかでも前記のような、30T/m以下のトルクを有する捲縮繊維からなることが好ましい。また単繊維断面形状としては、通常の丸断面でもよいが、丸断面以外の異型断面形状であってもよい。かかる異型断面形状としては、三角、四角、十字、扁平、くびれ付扁平、H型、W型、中空型、特開2011−12367号公報に記載されているような、中空であるコアー部と該コアー部の外表面から放射状に突出する6枚以上のフィン部とを有する中空多フィン型などが例示される。
【0044】
ここで、表糸およびつなぎ糸が撥水性繊維で構成されていると、布帛の外気側表面が撥水性に優れると同時に裏面(肌側面)が吸汗速乾性に優れ、好ましい。
【0045】
撥水性繊維の種類としては、撥水性ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびポリ塩化ビニル繊維などが好適である。
【0046】
撥水性ポリエステル繊維としては、シリコーン系化合物またはフッ素系化合物または炭化水素系化合物を、共重合またはブレンドしてなる撥水性ポリエステル繊維や、シリコーン系撥水剤または炭化水素系撥水剤またはフッ素系撥水剤を用いて撥水加工が施された撥水性ポリエステル繊維が好ましい。その際、共重合もしくはブレンド量としてはポリエステル重量対比5〜25wt%であることが好ましい。
【0047】
また、撥水加工が施されたポリエステル繊維において、撥水剤の含有量としては、加工前のポリエステル繊維重量対比0.4重量%以上(より好ましくは0.4〜10重量%)であることが好ましい。
【0048】
その際、環境に配慮して、非フッ素系撥水剤や、フッ素系C6撥水剤と称される、パーフルオロオクタン酸およびパーフルオロオクタンスルホン酸を合計した濃度が5ng/g以下(好ましくは0ng/g)のフッ素系撥水剤であることが好ましい。かかるフッ素系撥水剤としては、N−メチロール基を含有しないモノマーのみから構成されたパーフルオロアルキルアクリレート共重合体や市販されているものなどが例示される。市販されているものでは、旭硝子(株)製のフッ素系撥水撥油剤であるアサヒガードEシリーズAG−E061、住友スリーエム(株)製のスコッチガードPM3622、PM490、PM930などが好ましく例示される。
【0049】
なお、前記撥水性ポリエステル繊維を製造する方法としては特に限定されず公知の方法でよい。シリコーン系化合物またはフッ素系化合物を、共重合またはブレンドしてなるポリエステル繊維の製造法としては、例えば、特開2010−138507号公報に記載された方法などが例示される。一方、撥水加工の方法としては、例えば、フッ素系撥水剤に必要に応じて制電剤、メラミン樹脂、触媒などを混合して得られた加工剤を、パッド法やスプレー法などによりポリエステル繊維に付与する方法が例示される。
【0050】
ここで、繊維に撥水加工を施す方法としては布帛の段階で撥水加工を施すよりも糸条の段階で撥水加工を施すことが好ましい。糸条の段階で撥水加工を施した場合、布帛の段階で撥水加工を施した場合と比べて、単繊維が撥水剤で被覆されることにより、被覆総面積が大きくなり撥水性の耐久性が向上し好ましい。
【0051】
本発明の多層構造布帛は、例えば、20〜30ゲージのダブル丸編機を使用して、表糸、裏糸、つなぎ糸、および挿入糸を用いて、例えば、実開昭59−80485号公報の図2に記載の編方図により製造することができる。
【0052】
次いで、染色加工を施すことが好ましい。その際、前記染色加工の温度としては100〜140℃(より好ましくは110〜135℃)、時間としてはトップ温度のキープ時間が5〜40分の範囲内であることが好ましい。染色加工が施された編地には、乾熱ファイナルセットを施すことが好ましい。その際、乾熱ファイナルセットの温度としては120〜200℃(より好ましくは140〜180℃)、時間としては1〜3分の範囲内であることが好ましい。
【0053】
また、本発明の布帛には吸水加工(親水化剤の付与)が施されていることが好ましい。編地に吸水加工を施すことにより、吸水性が向上する。かかる吸水加工としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートやその誘導体、または、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体などの親水化剤(吸水加工剤)を編地に、編地重量に対して0.25〜0.50重量%付着させることなどが好ましく例示される。吸水加工の方法としては、例えば染色加工時に染液に吸水加工剤を混合する浴中加工法や、乾熱ファイナルセット前に、織編物を吸水加工液中にデイッピングしマングルで絞る方法、グラビヤコーテング法、スクリーンプリント法といった塗布による加工方法等が例示される。
【0054】
さらには、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤、撥水剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0055】
かくして得られた多層構造布帛において、目付けが150〜500g/mの範囲内であることが好ましい(より好ましくは150〜400g/m)。該目付けが150g/mより小さいとクッション性が低下するおそれがある。逆に該目付けが500g/mより大きいと軽量性が損なわれるおそれがある。
【0056】
本発明の多層構造布帛は、前記の構成により、表面摩擦や布帛表面の凹凸を極限まで小さくすることにより特有の風合いを実現し、高反発(クッション性)で高い回復性や張りのある低ドレープ性を有し、肉厚ながら軽量性を兼ね備えており、布帛表面と中間層との密度差による毛細管現象により優れた吸汗速乾性を有する。さらには、抗スナッギング性にも優れる。
【0057】
その際、嵩高性が4.6cm/g以上(より好ましくは4.6〜6.0cm/g)であることが好ましい。また、外気側表面または裏面(肌側面)において、平均摩擦係数MIUが0.28以下(より好ましくは0.20〜0.28)であることが好ましい。また、圧縮剛性LCが0.45以上(より好ましくは0.45〜0.80)であることが好ましい。また、圧縮回復性RCが40以上(より好ましくは40〜80)であることが好ましい。また、曲げ剛性Bが0.22以上(より好ましくは0.22〜0.40)であることが好ましい。また、乾燥速度が20%以下(より好ましくは0〜6.0%)であることが好ましい。
【0058】
次に、本発明の衣料は、前記の多層構造布帛を用いてなる衣料である。前記の多層構造布帛を用いて衣料を得る際、表面が外気側に位置し、裏面が肌側に位置するように配することが好ましい。
【0059】
かかる衣料は前記の多層構造布帛を用いているので、特有の風合いを実現し、高反発(クッション性)で高い回復性・張りのある低ドレープ性を有し、肉厚ながら軽量性を兼ね備えており、布帛表面と中間層との密度差による毛細管現象により優れた吸汗速乾性を有し、様々な機能を付与することが可能となる。さらには、抗スナッギング性にも優れる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)トルク
試料(捲縮糸)約70cmを横に張り、中央部に0.18mN×表示テックス(2mg/de)の初荷重を吊るした後、両端を引揃える。糸は残留トルクにより回転しはじめるが初荷重が静止するまでそのままの状態で持ち、撚糸を得る。こうして得た撚糸を17.64mN×表示テックス(0.2g/de)の荷重下で25cm長の撚数を検撚器で測定する。得られた撚数(T/25cm)を4倍にしてトルク(T/m)とする。
(2)インターレース度
交絡糸を8.82mN×表示テックス(0.1g/de)の荷重下で1mの長さをとり、除重後、室温で24時放縮後の結節点の数を読み取り、個/mで表示する。
(3)捲縮率
供試糸条を、周長が1.125mの検尺機のまわりに巻きつけて、乾繊度が3333dtexのかせを調製した。前記かせを、スケール板の吊り釘に懸垂して、その下部分に6gの初荷重を付加し、さらに600gの荷重を付加したときのかせの長さL0を測定する。その後、直ちに、前記かせから荷重を除き、スケール板の吊り釘から外し、このかせを沸騰水中に30分間浸漬して、捲縮を発現させる。沸騰水処理後のかせを沸騰水から取り出し、かせに含まれる水分をろ紙により吸収除去し、室温において24時間風乾する。この風乾されたかせを、スケール板の吊り釘に懸垂し、その下部分に、600gの荷重をかけ、1分後にかせの長さL1aを測定し、その後かせから荷重を外し、1分後にかせの長さL2aを測定する。供試フィラメント糸条の捲縮率(CP)を、下記式により算出する。
CP(%)=((L1a−L2a)/L0)×100
(4)目付け
JISL1018−1998 6.4により測定する。
(5)平均摩擦係数MIU、平均摩擦係数の変動MMD、表面粗さの平均偏差SMD
測定機器KES−FB4−A表面試験機で測定する。平均摩擦係数MIUは大きいほど滑り難い。平均摩擦係数の変動MMDは大きいほどざらつきが大きい。表面粗さの平均偏差SMDは大きいほど表面の凹凸が大きい。
(6)圧縮剛性LC、圧縮回復性RC
測定機器KES−FB3−AUTO−A圧縮試験機で測定する。圧縮剛性LCは1に近いほど圧縮硬い。圧縮回復性RCは100に近いほど回復性がよい。
(7)曲げ剛性B
測定機器KES−FB2−AUTO−A純曲げ試験機で測定する。曲げ剛性Bは大きいほど曲げ難い。
(8)拡散性残留水分率
20℃×65%RH下の雰囲気中で試料に約0.6gの水を滴下させ、各時間の質量を測定し、拡散性残留水分率を算出する。
残留水分率(%)=各時間の水分量(g)/滴下(裏面)直後の水分量(g)×100
残留水分率が10%以下になった時の時間を測定する。時間が短い方が良い(早い時間で乾く)。
(9)乾燥速度
水0.04gを滴下し30分後の水分率を測定する(基準20%以下)。水分率が小さい方が良い(早く水分が蒸発して乾く)。初期と、JIS L0217 103により5回洗濯したものについて測定する。
(10)通気度
JIS L1018−1990 6.34により通気度(cm/cm・s)を測定する。
(11)厚さ
JISL1018−1990 6.5により測定する。
(12)吸水性(吸汗性)
JIS L1096−1990 6.26吸水速度A法(滴下法)により測定する。
(13)撥水性
JIS L1092−2009 7.2スプレー試験法により撥水度(級)を測定する。
【0061】
[実施例1]
通常のポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条90dtex/72fil(単繊維の断面形状:丸断面)を得た。
【0062】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
【0063】
また、前記ポリエステル糸条を用いて延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
【0064】
次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(110dtex/144fil、捲縮率15%、トルク0T/m)を得た。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、オーバーフィード率1.0%、圧空圧0.3MPa(3kgf/cm)で50個/mの交絡を付与し、表糸および裏糸とした。
【0065】
また、つなぎ糸として、仮撚捲縮加工糸(56dtex/36fil、捲縮率28%)を用意した。
【0066】
また、挿入糸して、仮撚捲縮加工糸(167dtex/48fil、捲縮率34%)を用意した。
【0067】
次いで、丸編機(24ゲージ、ダブル編機)を使用し、図5(実開昭59−80485号公報の図2と同じ)の編方図に従い、両側結節挿入組織を有する編物を製編した後、通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施した。なお、かかる吸水加工としては、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を編物に編物重量に対して0.30重量%付着させた。評価結果を表1に示す。
【0068】
次いで、該編物を用いて衣料(編物の表面が外気側に位置し、編物の裏面が肌側に位置する。)を得たところ、嵩高軽量性、質感のあるソフトな風合い、高反発性、低ドレープ性、および吸汗速乾性に優れるものであった。
【0069】
[比較例1]
表糸および裏糸として、仮撚捲縮加工糸(110dtex/144fil、捲縮率13%)を用意した。
【0070】
また、つなぎ糸として、仮撚捲縮加工糸(167dtex/48fil、捲縮率34%)を用意した。
【0071】
次いで、丸編機(24ゲージ、ダブル編機)を使用し、両側結節組織を有する編物を製編した後、通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施した。なお、かかる吸水加工としては、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を編物に編物重量に対して0.30重量%付着させた。評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
[実施例2]
表糸として、実施例1と同じ複合糸を用意した。裏糸として、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる紡績糸(40/1)を用意した。
【0074】
また、つなぎ糸として、仮撚捲縮加工糸(56dtex/36fil、捲縮率28%)を用意した。
【0075】
また、挿入糸して、実施例1の複合糸においてフィラメント数と捲縮率を変更した複合糸(110dtex/72fil、捲縮率29%、トルク0T/m)を用意した。
【0076】
次いで、丸編機(22ゲージ、ダブル編機)を使用し、図5の編方図に従い、両側結節挿入組織を有する編物を製編した後、通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施した。なお、かかる吸水加工としては、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を編物に編物重量に対して0.30重量%付着させた。評価結果を表2に示す。
【0077】
[比較例2]
表糸として、仮撚捲縮加工糸(110dtex/72fil)を用意した。裏糸として、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる紡績糸(40/1)を用意した。
【0078】
また、つなぎ糸として、仮撚捲縮加工糸(56dtex/36fil、捲縮率28%)を用意した。
【0079】
次いで、丸編機(22ゲージ、ダブル編機)を使用し、片側結節組織を有する編物を製編した後、通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施した。なお、かかる吸水加工としては、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を編物に編物重量に対して0.30重量%付着させた。評価結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
[実施例3]
ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条90dtex/72fil(単繊維の断面形状:丸断面)を得た。
【0082】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
【0083】
また、前記ポリエステル糸条を用いて延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行った。
【0084】
次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(110dtex/144fil、捲縮率15%、トルク0T/m)を得た。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、オーバーフィード率1.0%、圧空圧0.3MPa(3kgf/cm)で50個/mの交絡を付与した。次いで得られた複合糸にシリコーン系化合物を共重合させて撥水加工したもの(捲縮率8%)を表糸、撥水加工していないものを裏糸とした。
【0085】
また、つなぎ糸(結節糸)として、表糸および裏糸と同じ糸加工で得られた複合糸(66dtex/72fil、捲縮率10%、トルク0T/m)に表糸と同じ方法で撥水加工した糸(捲縮率10%)を用意した。
【0086】
また、挿入糸して、表糸および裏糸と同じ糸加工の複合糸(110dtex/72fil、捲縮率29%、トルク0T/m)を用意した。
【0087】
次いで、丸編機(22ゲージ、ダブル編機)を使用し、図2に記載の編方図に従い、両側結節挿入組織を有する編物を製編した後、通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施した。なお、かかる吸水加工としては、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を編物に編物重量に対して0.30重量%付着させた。評価結果を表3に示す。
【0088】
次いで、該編物を用いて衣料を得たところ、嵩高軽量性、質感のあるソフトな風合い、高反発性、低ドレープ性、および表面が撥水性、裏面が吸汗速乾性に優れるものであった。
【0089】
[比較例3]
表糸として、実施例3と同じ複合糸にフッ素系C6撥水剤で撥水加工したもの(捲縮率8%)、裏糸として実施例3と同じ糸を用意した。
【0090】
また、つなぎ糸として、仮撚捲縮加工糸(56dtex/36fil、捲縮率28%、30T/m超のトルクを有する。)を用意した。
【0091】
次いで、丸編機(22ゲージ、ダブル編機)を使用し、図4に記載の両側結節組織を有する編物を製編した後、通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施した。なお、かかる吸水加工としては、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を編物に編物重量に対して0.30重量%付着させた。評価結果を表3に示す。
【0092】
[実施例4]
実施例3と同じ糸加工で複合糸(66dtex/72fil、トルク0T/m)を得て、得られた複合糸に実施例1の表糸と同じ方法で撥水加工したもの(捲縮率10%)を表糸、撥水加工していないものを裏糸として用意した。
【0093】
また、つなぎ糸として、表糸と同じ方法で撥水加工した仮撚捲縮加工糸(33dtex/36fil、捲縮率7%、30T/m超のトルクを有する。)を用意した。
【0094】
また、挿入糸して、実施例3と同じ糸加工で得られた複合糸(66dtex/48fil、捲縮率25%、トルク0T/m)を用意した。
【0095】
次いで、丸編機(28ゲージ、ダブル編機)を使用し、図3に記載の編方図に従い、両側結節挿入組織を有する編物を製編した後、通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施した。なお、かかる吸水加工としては、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を編物に編物重量に対して0.30重量%付着させた。評価結果を表3に示す。
【0096】
[比較例4]
表糸として、実施例4と同じ複合糸にフッ素系C6撥水剤で撥水加工したもの(捲縮率10%)、つなぎ糸として、実施例4と同じ複合糸に表糸と同じ方法で撥水加工したもの(捲縮率7%)、裏糸として実施例4と同じ糸を用意した。
【0097】
次いで、丸編機(28ゲージ、ダブル編機)を使用し、図4に記載の両側結節組織を有する編物を製編した後、通常の染色仕上げ加工を行い、ファイナルセット工程で吸水加工を施した。なお、かかる吸水加工としては、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を編物に編物重量に対して0.30重量%付着させた。評価結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明によれば、嵩高軽量性、質感のあるソフトな風合い、高反発性、低ドレープ性、および吸汗速乾性に優れた多層構造布帛および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
【符号の説明】
【0100】
1:表側地組織部
2:裏側地組織部
3:つなぎ糸
4:挿入糸
図1
図2
図3
図4
図5