(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944071
(24)【登録日】2021年9月13日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】トルク駆動式リンクの能動的空力用途装置
(51)【国際特許分類】
B62D 37/02 20060101AFI20210927BHJP
F16H 21/44 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
B62D37/02
F16H21/44 Z
【請求項の数】26
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-570968(P2020-570968)
(86)(22)【出願日】2019年6月21日
(65)【公表番号】特表2021-522108(P2021-522108A)
(43)【公表日】2021年8月30日
(86)【国際出願番号】US2019038570
(87)【国際公開番号】WO2019246578
(87)【国際公開日】20191226
【審査請求日】2021年2月12日
(31)【優先権主張番号】62/688,152
(32)【優先日】2018年6月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518410146
【氏名又は名称】マグナ エクステリアーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】リンドバーグ ブレインドン アール
(72)【発明者】
【氏名】パーパート ロス ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ マーティン アール
(72)【発明者】
【氏名】スロイス ダニエル ヴァンダー
【審査官】
立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/191711(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
F16H 21/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動的空力用途トルクリンクシステムであって、
従動リンク及び被駆動リンクが回転自在に連結された固定リンクと、前記従動リンク及び前記被駆動リンクに回転自在に連結された連結器とを有する4バーリンク機構と、
4つの側面をもつ多角形断面形状のトルク伝達チューブと、
前記トルク伝達チューブを回転させてトルクを前記被駆動リンクを介して前記4バーリンク機構に伝達するアクチュエータと、
を備え、
前記被駆動リンクは、第1の駆動開口と第2の駆動開口との間で延び内部に前記トルク伝達チューブを受け入れる駆動ボアを有し、前記第1の駆動開口及び前記第2の駆動開口は、複数の駆動レリーフ区域のうちの1つによって隔てられた複数の駆動区域であり、前記複数の駆動区域のうちのいずれも前記トルク伝達チューブと前記被駆動リンクの前記駆動ボアとの間のねじり非滑動締まりばめをもたらし、前記複数の駆動レリーフ区域のうちの少なくとも1つは前記トルク伝達チューブと前記駆動ボアとの間の中立的嵌合をもたらす、能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項2】
前記複数の駆動区域のそれぞれは、所定長さの傾斜面及び前記トルク伝達チューブに当接する所定長さの平面を含む、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項3】
前記複数の駆動区域の各々は、前記駆動ボアの中を前記第1の駆動開口から前記第2の駆動開口に向かう方向に延びる所定長さの傾斜面と、前記駆動ボアの中を前記第2の駆動開口から前記第1の駆動開口に向かって延びる所定長さの平面とを有する前記複数の駆動区域のうちの第1のものを含み、前記複数の駆動区域のうちの第1のものの前記傾斜面は、前記駆動ボアの中で前記複数の駆動区域のうちの第1のものの前記平面に接続され、
前記複数の駆動区域の各々は、前記駆動ボアの中を前記第2の駆動開口から前記第1の駆動開口に向かう方向に延びる所定長さの傾斜面と、前記駆動ボアの中を前記第1の駆動開口から前記第2の駆動開口に向かって延びる所定長さの平面とを有する前記複数の駆動区域のうちの第2のものを含み、前記複数の駆動区域のうちの第2のものの前記傾斜面は、前記駆動ボアの中で前記複数の駆動区域のうちの第2のものの前記平面に接続され、前記複数の駆動区域のうちの第1のもの及び前記複数の駆動区域のうちの第2のものは、前記トルク伝達チューブが前記駆動ボアの中に設置される場合に、前記駆動ボアの反対側に整列されて位置付けられて逆の抜き勾配を作り出す、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項4】
前記トルク伝達チューブの前記駆動ボアとの結合は、ファスナーを用いることなくもたらされる、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項5】
前記トルク伝達チューブの前記4つの側面をもつ多角形断面形状は、4つの半径方向小平面を有し、前記4つの半径方向小平面の各々が、該4つの半径方向小平面の各々の間に丸い隅を有する丸い外面を有する、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項6】
前記トルク伝達チューブに連結された少なくとも1つのブッシュをさらに備え、前記少なくとも1つのブッシュは、前記トルク伝達チューブと中立的嵌合を有し、前記少なくとも1つのブッシュは、前記固定リンクに形成された被駆動リンク開口の中で前記トルク伝達チューブと共に回転するように構成されている、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項7】
前記固定リンク上に形成され、前記連結器リンク上に形成された丸い面を受け入れるように構成され、組み立て時に前記4バーリンク機構の位置を調整するのを助ける、受け面と、
前記被駆動リンクから上方に延び、前記能動的空力用途トルクリンクシステムが展開位置にある場合に前記連結器の表面に接触するように構成された、止め具と、
をさらに備える、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項8】
前記アクチュエータに連結したカラーをさらに備え、前記カラーは、前記トルク伝達チューブを受け入れて保持するボアを有し、前記ボアは、前記ボアの内面を貫通して延びる複数の施条が施された隆起部を有し、前記複数の施条が施された隆起部の各々は、ねじり角を有し、前記トルク伝達チューブと前記カラーとの間のねじり締まりばめをもたらす、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項9】
前記ねじり角は、第1の端部に対する前記複数の施条が施された隆起部のうちの1つの第2の端部の半径方向位置と比較しての、前記複数の施条が施された隆起部のうちの1つの前記第1の端部の半径方向位置で定義され、前記ねじり角は約9.5度である、請求項8に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項10】
車両に連結された基部と、
前記基部内のスロットと、
前記基部に結合された前記アクチュエータのハウジングと、
前記ハウジング上に形成され、前記基部内の前記スロットにスライド自在に係合する大きさの棚部と、
前記基部に隣接した前記ハウジングから延び、前記基部上のねじ付き開口と整列するファスナー開口を有する位置合わせタブと、
前記位置合わせタブの前記ファスナー開口を通って配置され、前記ハウジングを前記基部にしっかり固定するために前記基部のねじ付き開口に連結されるファスナーと、
をさらに備える、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項11】
車両に連結された基部と、
前記基部に結合された前記アクチュエータのハウジングと、
前記ハウジングから突出するダウエルと、
前記ハウジングの反対側の長手方向の端部で、前記ハウジング上に形成された2つのねじ付き開口と、
前記ハウジング上に形成された位置合わせ開口と、
前記ダウエルが前記位置合わせ開口に挿入された場合に、各々が前記2つのねじ付き開口のそれぞれに整列する、前記ハウジング上に形成された2つのファスナー開口と、
各々が前記ハウジングの前記ファスナー開口のそれぞれを通って配置され、前記ハウジングを前記基部にしっかり固定するために前記基部の前記2つのねじ付き開口のそれぞれに連結される2つのファスナーと、
をさらに備える、請求項1に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項12】
能動的空力用途トルクリンクシステムであって、
従動リンク及び被駆動リンクが回転自在に連結された固定リンクと、前記従動リンク及び前記被駆動リンクに回転自在に連結された連結器とを有する4バーリンク機構と、
4つの側面をもつ多角形断面形状のトルク伝達チューブであって、前記被駆動リンクが、第1の駆動開口と第2の駆動開口との間で延びる駆動ボアを有し、前記トルク伝達チューブが、前記第1の駆動開口、駆動ボア、及び第2の駆動開口を貫通して延びる、トルク伝達チューブと、
前記トルク伝達チューブを回転させてトルクを前記被駆動リンクを介して前記4バーリンク機構に伝達するアクチュエータと、
前記アクチュエータに連結されるカラーであって、前記カラーは、前記トルク伝達チューブを受け入れて保持するボアを有し、前記ボアは、前記ボアの内面を貫通して延びる複数の施条が施された隆起部を有し、前記複数の施条が施された隆起部の各々は、ねじり角を有し、前記トルク伝達チューブと前記カラーとの間のねじり締まりばめをもたらす、カラーと、
を備える、能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項13】
前記トルク伝達チューブの前記駆動ボアとの結合は、ファスナーを用いることなくもたらされる、請求項12に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項14】
前記トルク伝達チューブの前記4つの側面をもつ多角形断面形状は、4つの半径方向小平面を有し、前記4つの半径方向小平面の各々が、該4つの半径方向小平面の各々の間に丸い隅を有する丸い外面を有する、請求項12に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項15】
前記トルク伝達チューブに連結された少なくとも1つのブッシュをさらに備え、前記少なくとも1つのブッシュは、前記トルク伝達チューブと中立的嵌合を有し、前記少なくとも1つのブッシュは、前記固定リンクに形成された被駆動リンク開口の中で前記トルク伝達チューブと共に回転するように構成されている、請求項12に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項16】
前記固定リンク上に形成され、前記連結器リンク上に形成された丸い面を受け入れるように構成され、組み立て時に前記4バーリンク機構の位置を調整するのを助ける、受け面と、
前記被駆動リンクから上方に延び、前記能動的空力用途トルクリンクシステムが展開位置にある場合に前記連結器の表面に接触するように構成された、止め具と、
をさらに備える、請求項12に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項17】
前記ねじり角は、第1の端部に対する前記複数の施条が施された隆起部のうちの1つの第2の端部の半径方向位置と比較しての、前記複数の施条が施された隆起部のうちの1つの前記第1の端部の半径方向位置で定義され、前記ねじり角は約9.5度である、請求項12に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項18】
車両に連結された基部と、
前記基部内のスロットと、
前記基部に結合された前記アクチュエータのハウジングと、
前記ハウジング上に形成され、前記基部内の前記スロットにスライド自在に係合する大きさの棚部と、
前記基部に隣接したハウジングから延び、前記基部上のねじ付き開口と整列するファスナー開口を有する位置合わせタブと、
前記位置合わせタブの前記ファスナー開口を通って配置され、前記ハウジングを前記基部にしっかり固定するために前記基部のねじ付き開口に連結されるファスナーと、
をさらに備える、請求項12に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項19】
車両に連結された基部と、
前記基部に結合された前記アクチュエータのハウジングと、
前記ハウジングから突出するダウエルと、
前記ハウジングの反対側の長手方向の端部で、前記ハウジング上に形成された2つのねじ付き開口と、
前記ハウジング上に形成された位置合わせ開口と、
前記ダウエルが前記位置合わせ開口に挿入された場合に、各々が前記2つのねじ付き開口のそれぞれに整列する、前記ハウジング上に形成された2つのファスナー開口と、
各々が前記ハウジングの前記ファスナー開口のそれぞれを通って配置され、前記ハウジングを前記基部にしっかり固定するために前記基部の前記2つのねじ付き開口のそれぞれに連結される2つのファスナーと、
をさらに備える、請求項12に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項20】
能動的空力用途トルクリンクシステムであって、
従動リンク及び被駆動リンクが回転自在に連結された固定リンクと、前記従動リンク及び前記被駆動リンクに回転自在に連結された連結器とを有する4バーリンク機構と、
4つの側面をもつ多角形断面形状のトルク伝達チューブと、
前記トルク伝達チューブを回転させてトルクを前記被駆動リンクを介して前記4バーリンク機構に伝達するアクチュエータと、
を備え、
前記被駆動リンクは、第1の駆動開口と第2の駆動開口との間で延び内部に前記トルク伝達チューブを受け入れる駆動ボアを有し、前記第1の駆動開口及び前記第2の駆動開口は、複数の駆動レリーフ区域のうちの1つによって隔てられた複数の駆動区域であり、前記複数の駆動区域のうちのいずれも前記トルク伝達チューブと前記被駆動リンクの前記駆動ボアとの間のねじり非滑動締まりばめをもたらし、前記複数の駆動レリーフ区域のうちの少なくとも1つは前記トルク伝達チューブと前記駆動ボアとの間の中立的嵌合をもたらし、
前記複数の駆動区域の各々は、前記駆動ボアの中を前記第1の駆動開口から前記第2の駆動開口に向かう方向に延びる所定長さの傾斜面と、前記駆動ボアの中を前記第2の駆動開口から前記第1の駆動開口に向かって延びる所定長さの平面とを有する前記複数の駆動区域のうちの第1のものを含み、前記複数の駆動区域のうちの第1のものの前記傾斜面は、前記駆動ボアの中で前記複数の駆動区域のうちの第1のものの前記平面に接続され、
前記複数の駆動区域の各々は、前記駆動ボアの中を前記第2の駆動開口から前記第1の駆動開口に向かう方向に延びる所定長さの傾斜面と、前記駆動ボアの中を前記第1の駆動開口から前記第2の駆動開口に向かって延びる所定長さの平面とを有する前記複数の駆動区域のうちの第2のものを含み、前記複数の駆動区域のうちの第2のものの前記傾斜面は、前記駆動ボアの中で前記複数の駆動区域のうちの第2のものの前記平面に接続され、
前記複数の駆動区域のうちの第1のもの及び前記複数の駆動区域のうちの第2のものは、前記トルク伝達チューブが前記駆動ボアの中に設置される場合に、前記駆動ボアの反対側に整列されて位置付けられて逆の抜き勾配を作り出す、能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項21】
前記トルク伝達チューブの前記駆動ボアとの結合は、ファスナーを用いることなくもたらされる、請求項20に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項22】
前記トルク伝達チューブの前記4つの側面をもつ多角形断面形状は、4つの半径方向小平面を有し、前記4つの半径方向小平面の各々が、該4つの半径方向小平面の各々の間に丸い隅を有する丸い外面を有する、請求項20に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項23】
前記トルク伝達チューブに連結された少なくとも1つのブッシュをさらに備え、前記少なくとも1つのブッシュは、前記トルク伝達チューブと中立的嵌合を有し、前記少なくとも1つのブッシュは、前記固定リンクに形成された被駆動リンク開口の中で前記トルク伝達チューブと共に回転するように構成されている、請求項20に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項24】
前記固定リンク上に形成され、前記連結器リンク上に形成された丸い面を受け入れるように構成され、組み立て時に前記4バーリンク機構の位置を調整するのを助ける、受け面と、
前記被駆動リンクから上方に延び、前記能動的空力用途トルクリンクシステムが展開位置にある場合に前記連結器の表面に接触するように構成された、止め具と、
をさらに備える、請求項20に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項25】
車両に連結された基部と、
前記基部内のスロットと、
前記基部に結合された前記アクチュエータのハウジングと、
前記ハウジング上に形成され、前記基部内の前記スロットにスライド自在に係合する大きさの棚部と、
前記基部に隣接したハウジングから延び、前記基部上のねじ付き開口と整列するファスナー開口を有する位置合わせタブと、
前記位置合わせタブの前記ファスナー開口を通って配置され、前記ハウジングを前記基部にしっかり固定するために前記基部のねじ付き開口に連結されるファスナーと、
をさらに備える、請求項20に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【請求項26】
車両に連結された基部と、
前記基部に結合された前記アクチュエータのハウジングと、
前記ハウジングから突出するダウエルと、
前記ハウジングの反対側の長手方向の端部で、前記ハウジング上に形成された2つのねじ付き開口と、
前記ハウジング上に形成された位置合わせ開口と、
前記ダウエルが前記位置合わせ開口に挿入された場合に、各々が前記2つのねじ付き開口のそれぞれに整列する、前記ハウジング上に形成された2つのファスナー開口と、
各々が前記ハウジングの前記ファスナー開口のそれぞれを通って配置され、前記ハウジングを前記基部にしっかり固定するために前記基部の前記2つのねじ付き開口のそれぞれに連結される2つのファスナーと、
をさらに備える、請求項20に記載の能動的空力用途トルクリンクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多角形の4つの側面をもつトルク伝達チューブを実装するトルク駆動式リンクシステムのための拡張性のある能動的空力用途装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野において、低燃費車両に対する要求が高くなっている。燃費を向上させるために自動車メーカーが模索している1つの方法は、車両の空力を改善して空気抵抗を低減することである。このことは、多くの場合、スポイラー、エアダム、能動的グリル閉鎖システム、及びタイヤスパッツを採用することを伴う。従来、これらの特徴部は固定されているが、これらは、時として車両の審美性を損なう可能性がある。加えて、エアダム及びタイヤスパッツなどの他の構造体は、低速では利点がなく、実際には車が障害物の上を走る際に、通常、低速で運転する場合に引き起こされる問題を生じる可能性がある。従って、車両が高速で走行しているときに展開するが、車両が低速で走行しているときに非展開又は収容位置に移動するように、エアダム及びタイヤスパッツを能動的にすることが望ましい。これによって、減速バンプ、縁石又は他の物体などの障害物上を走行するためのより高い地上高が可能になる。
【0003】
一般に、既存の能動的空力用途装置は、アクチュエータ及び被駆動リンクシステムの形態の1つを実装する。既存の空力用途装置が遭遇する一部の問題点は、システムの駆動系が、複雑な複数の構成要素を実装することであり、これは、アクチュエータとエアダムなどの目的とする被駆動構成要素との間に顕著な遅延をもたらす構成要素間の公差の問題を引き起こす可能性がある。この公差の問題は、システム構成要素の摩耗及び最終的故障の一因になる可能性がある。また、既存のシステムは、異なるシステム設計に適応するモジュール性が欠けている。加えて、既存のシステムは、展開位置と収容位置との間で動かすために回転式トルクチューブに連結された複数のハブを用いることが多い。このハブは、相当に大きいことが求められるので、パッケージング能力の問題が生じる場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、被駆動リンクシステムの構成要素の数及び複雑さを低減するシステムを設計することである。本発明の別の目的は、被駆動リンク作動時の動作遅延が存在しないように、公差に対する感度を低減又は排除するシステムを設計することである。また、本発明の目的は、被駆動リンクシステムのパッケージ寸法を低減して、最大のトルク量を伝達しながら最小の実施可能な被駆動リンクを提供することである、最後に、本発明の目的は、複数の異なる設計プログラムにわたって寸法、性能、及び構成において容易に拡張可能な被駆動リンクシステムを設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
能動的空力用途トルクリンクシステムは、固定リンク、被駆動リンク、従動リンク及び連結器を有する4バーリンク機構を含む。固定リンクは、従動リンク開口及び被駆動リンク開口を有する。従動リンクは、固定リンクの従動リンク開口に回転自在に連結された第1の端部を有し、従動リンクの第2の端部は、連結器に連結される。被駆動リンクは、第1の端部で連結器に回転自在に連結され、第2の端部でトルク伝達チューブに連結され、トルク伝達チューブは、4つの半径方向小平面を備える4つの側面をもつ多角形の断面形状を有する。4つの側面をもつトルク伝達チューブは、固定リンクの被駆動リンク開口に回転自在に連結される。4バーリンク機構は、連結器を様々な構成要素に連結することで多くの異なる用途に使用される。例えば、連結器は、車両上のステップ、スポイラー、エアダム、又は他の能動的構成要素に連結することができる。
【0006】
被駆動リンクは、被駆動リンクの第2の端部を貫通して形成された駆動開口をさらに含み、駆動開口は、ねじり非滑動締まりばめを用いてトルク伝達チューブを被駆動リンクに連結するために使用される。ねじり非滑動締まりばめは、各々が所定長さの複数の傾斜面と、トルク伝達チューブの4つの側面のうちの1つに当接する所定長さの複数の平面とを含む複数の駆動区域を有する、駆動開口によってもたらされる。トルク伝達チューブの4つの側面の各々は、丸い隅によって隔てられた半径方向小平面を有する。この駆動リンクの駆動ボア形状及びアクチュエータのカラー形状を組み合わせた設計により、異なる種類の締まりばめによって組み立てること、その一方で空間的公差を低減して構成要素間の遅延を排除することが可能になる。
【0007】
能動的空力用途トルクリンクシステムの動きは、アクチュエータによってもたらされる。アクチュエータは、トルク伝達チューブに連結されてトルク伝達チューブを回転させるので、トルクが被駆動リンクを介して4バーリンク機構に伝達される。
【0008】
本発明は、以下の詳細な説明及び添付図面からより完全に理解できるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態による4バーリンク機構を備えた能動的空力トルクリンクシステムの側面斜視図を示す。
【
図2】能動的空力トルクリンクシステムに使用される4バーリンク機構の上面斜視図である。
【
図3】能動的空力トルクリンクシステムに使用される4バーリンク機構の分解図で示される側面斜視図である。
【
図4】本発明によるトルク伝達チューブの断面の平面端面図である。
【
図5】本発明によるアクチュエータのカラー部の断面の平面端面図である。
【
図6】被駆動リンクを貫通して形成された駆動開口の拡大底面斜視図である。
【
図7】被駆動リンクの駆動開口の断面側面図である。
【
図8】被駆動リンクを貫通して形成された駆動開口の拡大側面図である。
【
図9A】本発明によるカラーの第1の端部の平面端面図である。
【
図9B】本発明によるカラーの第2の端部の平面端面図である。
【
図10】アクチュエータの分解図で示される上面図である。
【
図11】本発明の代替的な実施形態によるアクチュエータの側面斜視図である。
【
図12】本発明の別の代替的な実施形態によるアクチュエータの側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例証であり、本発明、その用途又は使用を限定することが意図されていない。
【0011】
以下に用語及びその定義を提示する。本明細書で使用される場合、「ねじり締まりばめ」は、第1の部品と第2の部品との間のねじり遊びを無くすか又は低減する方法で、第1の部品の外形寸法が第2の部品の内のり寸法よりも僅かに大きい2つの部品の間の嵌合として定義される。本明細書で使用される場合、「ねじり非滑動締まりばめ」は、第1の部品と第2の部品との間のねじり遊びを無くしかつ第1の部品の部位を第2の部品上に固定する方法で、第1の部品が第2の部品の僅かに小さな穴又は開口に加圧下で押し込まれる2つの部品の間の締まりばめとして定義される。「多角形の4つ側面をもつトルクロッド」は、4つの隅の丸みと共に4つの主半径方向小平面を有するトルクロッドであり、4つの隅の丸みの各々は2つの主半径方向小平面の間に位置する。「中立的嵌合」は、第2の部品の僅かに小さな穴に加圧下で押し込まれず、むしろ有意な押圧力を利用することなく第1の部品及び第2の部品が互いに対して滑動することができる、2つの部品の間の嵌合である。
【0012】
以下、図面を参照すると、能動的空力トルクリンクシステム10が示されている。
図1に示すように、能動的空力トルクリンクシステムは拡張性をもっており、アクチュエータ12及び個別の4バーリンク14、14’は、トルク伝達チューブ16に沿って様々な箇所に位置決め可能である。
図1は、能動的空力トルクリンクシステム10を用いて利用可能な拡張性及び変形形態を示す。図示のように、単一のアクチュエータ12及び2つの4バーリンク14、14’が存在するが、特定の用途に応じて追加のアクチュエータ及び4バーリンク機構を設けることは、本発明の範囲にある。4バーリンク、特にハブ設計を伴うトルク伝達チューブ16の特有の構成要素は、
図1に示す構成要素が所望の箇所に迅速に位置決めされるのを可能にするので、複数の異なる広範囲のプラットホームに対する汎用性及び互換性がもたらされる。
【0013】
ここで
図2及び3を参照すると、4バーリンク14、14’の詳細が説明される。4バーリンク14、14’は、従動リンク開口20、20’及び被駆動リンク開口22、22’を有する固定リンク18を含む。従動リンク24は、従動リンク24の開口28及び反対側の開口29を貫通して配置されたピン26を用いて、固定リンク18の端部に回転自在に連結される。また、ピン26は、固定リンク18上の従動リンク開口20、20’を貫通して延びる。従動リンク24の第2の端部は、従動リンク24の第2の端部の開口33、33’及び連結器30の第1の端部を貫通して配置されたピン32を用いて、連結器30の開口31、31’に回転自在に連結される。連結器30は、タイヤスパッツ又はエアダム(図示せず)などの空力構造体に連結される。連結器30の第2の開口35、35’は、連結器30の第2の開口35、35’及び被駆動リンク34の第1の端部の開口37、37’を貫通するピン36を用いて、被駆動リンク34に回転自在に連結される。被駆動リンク34の第2の端部は、駆動ボア82(
図7に最良に示される)に接続されかつトルク伝達チューブ16上でねじり非滑動締まりばめをもたらすように形作られている第1の駆動開口38及び第2の駆動開口38’を含む。また、トルク伝達チューブ16は、トルク伝達チューブ16の端部が被駆動リンク34の駆動ボア82を通って、及びアクチュエータ12のカラー44(以下に説明する)を通って滑動するのを可能にする角度をもつ面取り部17表面を有する。面取り部17は、トルク伝達チューブ16上の平坦エッジを取り除く角度付き表面を有するが、この平坦エッジは組み立て時に能動的空力トルクリンクシステム10の構成要素に損傷を与える可能性がある。
【0014】
また、トルク伝達チューブ16は、固定リンク18の被駆動リンク開口22、22’を貫通して延びるので、被駆動リンク34を固定リンク18に回転自在に連結する。また、トルク伝達チューブ16は、固定リンク18の被駆動リンク開口22、22’へ滑り込むブッシュ42、42’を貫通して延びる。ブッシュ42、42’は、トルク伝達チューブ16との間で中立的嵌合を有し、被駆動リンク開口22の中でトルク伝達チューブと共に回転するように構成されている。ブッシュ42、42’は、トルク伝達チューブ16と被駆動リンク開口22、22’との間の摩耗を軽減する丸い開口を有する。ブッシュ42、42’は、随意的な構成要素であり、これは一般的にポリオキシメチレンポリマーで作られており、トルク伝達チューブ16がブッシュ42、42’を回転させる時に所望の摩擦特性及び耐久性、並びに低ノイズをもたらす。
【0015】
図4を参照すると、トルク伝達チューブ16の詳細が図示及び説明されている。トルク伝達チューブ16は、
図4の断面図に示すように、特有の断面形状を有し、4つの側面をもつ多角形トルク伝達チューブであり、4つの半径方向小平面64A、64B、64C、64Dを有し、各々は、丸い外面を有している。各半径方向小平面の間には丸い隅66A、66B、66C、66Dがある。このトルク伝達チューブ16の特有な断面形状は、被駆動リンク34上の駆動開口38の形状と組み合わさって、能動的空力用途トルクリンクシステム10を締まりばめによって組み立てるのを可能にするので、止めねじが不要になる。加えて、トルク伝達チューブ16の断面形状及び駆動開口38の内面は、空間的公差を低減して、トルク伝達チューブ16が回転する場合の被駆動リンク34とトルク伝達チューブ16との間の遅延を排除する。
【0016】
トルク伝達チューブ16は、
図5に示すカラー44を用いてアクチュエータ12に連結される。
図10を参照すると、カラー44は、アクチュエータハウジング13に連結され、カラーの表面上の特徴部によってもたらされるカラー44とトルク伝達チューブ16とのねじり締まりばめによって所定位置に保持される。シール80、80’は、カラー44の端部に位置し、ハウジングとカラー44の端部との間から水及びごみがハウジング13に入るのを防ぐように機能する。また、シール80、80’は、カラー44をハウジング13の中に保持するのを助ける。カラー44は、アクチュエータ12のハウジング13を貫通して延び、
図1の4バーリンク14、14’を単一のプッシュロッドで動かすことができるように、プッシュロッドがハウジング13を貫通して延びるのを可能にする。カラー44は、アクチュエータハウジング13内の歯車装置に連結され、歯車装置は、カラー44及びプッシュロッドを双方向に選択的に回転させる。
【0017】
図5は、カラー44を貫通して延びるボア46の内面45を有するカラー44の斜視図を示す。ボア46の内面45上には、ねじられた又は施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dがあり、これはねじり締まりばめ結合の間にカラー44をトルク伝達チューブ16上で回転させる。施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dは、トルク伝達チューブ16を被駆動リンク34並びにカラー44を含む複数の構成要素と結合する1つの特定の方法を示す。施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dは、カラー44内に形成されたボア46の長さに広がる干渉面及びレリーフ面を有する。干渉面は、トルク伝達チューブと干渉面との間でねじり締まりばめをもたらすが、レリーフ面は、トルク伝達チューブとレリーフ面との間で中立的嵌合をもたらす。
【0018】
ここで
図9A及び9Bを参照すると、施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dが示されている。
図9Aは、カラー44の第1の端部の端面図を示し、締まりばめ面の第1の端部70A、70B、70C、70D、70E、70F、70G、70H、及びレリーフ面の第1の端部71A、71B、71C、71D、71E、71F、71G、71Hを備える。施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dの各々は、レリーフ面で隔てられた2つの締まりばめ面を有し、さらにレリーフ面は、各施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dの間に配置される。各施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dの締まりばめ面は、カラー44とトルク伝達チューブ16との間のねじり締まりばめを形成する。図示のように、施条が施された隆起部48Aは、レリーフ面の第1の端部71Hで隔てられる、締まりばめ面の第1の端部70H、70Aを有する。施条が施された隆起部48Bは、レリーフ面の第1の端部71Bで隔てられる、締まりばめ面の第1の端部70B、70Cを有し、レリーフ面の第1の端部71Aは、施条が施された隆起部48A、48Bを隔てる。施条が施された隆起部48Cは、レリーフ面の第1の端部71Dで隔てられる、締まりばめ面の第1の端部70D、70Eを有し、レリーフ面の第1の端部71Cは、施条が施された隆起部48B、48Cを隔てる。施条が施された隆起部48Dは、レリーフ面の第1の端部71Fで隔てられる、締まりばめ面の第1の端部70F、70Gを有し、レリーフ面の第1の端部71Eは、施条が施された隆起部48C、48Dを隔て、レリーフ面の第1の端部71Gは、施条が施された隆起部48D、48Aを隔てる。
【0019】
図9Bは、カラー44の第2の端部72の端面図を示し、締まりばめ面の第2の端部74A、74B、74C、74D、74E、74F、74G、74H、及びレリーフ面の第2の端部73A、73B、73C、73D、73E、73F、73G、73Hを備える。各施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dは、レリーフ面で隔てられた2つの締まりばめ面を有し、レリーフ面は、各施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dの間に配置されている。各施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dの締まりばめ面は、カラー44とトルク伝達チューブ16との間のねじり締まりばめを形成する。図示のように、施条が施された隆起部48Aは、レリーフ面の第2の端部73Hで隔てられる、締まりばめ面の第2の端部74H、74Aを有する。施条が施された隆起部48Bは、レリーフ面の第2の端部73Bで隔てられる、締まりばめ面の第2の端部74B、74Cを有し、レリーフ面の第2の端部74Aは、施条が施された隆起部48A、48Bを隔てる。施条が施された隆起部48Cは、レリーフ面の第2の端部73Dで隔てられる、締まりばめ面の第2の端部74D、74Eを有し、レリーフ面の第2の端部73Cは、施条が施された隆起部48B、48Cを隔てる。施条が施された隆起部48Dは、レリーフ面の第2の端部73Fで隔てられる、締まりばめ面の第2の端部74F、74Gを有し、レリーフ面の第2の端部73Eは、施条が施された隆起部48C、48Dを隔て、レリーフ面の第2の端部73Gは、施条が施された隆起部48D、48Aを隔てる。
【0020】
図9A及び9Bを比較すると、施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dは、施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dの締まりばめ面の、締まりばめの第1の端部70A、70B、70C、70D、70E、70F、70G、70Hに対するそれぞれの第2の端部74A、74B、74C、74D、74E、74F、74G、74Hの半径方向位置と比べると、施条が施された隆起部48A、48B、48C、48Dの締まりばめ面の第1の端部70A、70B、70C、70D、70E、70F、70G、70Hの半径方向位置で定義されるねじり角を有することが分かる。本発明の本実施形態において、ねじり角は約9.5度であるが、ねじり角は、特定の用途の必要性に応じて、10度以下とすること、8度と10度の間とすること、又は9度と10度の間とすることができる。
図9Bに示す第2の端部74A、74B、74C、74D、74E、74F、74G、74Hの半径方向位置と比べた、
図9Aの端面図に示す第1の端部70A、70B、70C、70D、70E、70F、70G、70Hの半径方向位置の
図9A及び9Bの比較に示すように、各第2の端部74A、74B、74C、74D、74E、74F、74G、74Hは、
図9Aに示す第1の端部70A、70B、70C、70D、70E、70F、70G、70Hのそれぞれから僅かに半径方向にオフセットしている。トルク伝達チューブ16(
図1及び9Aに示す)がカラー44に押し進められると、トルク伝達チューブ16は、施条が施された隆起部48A、48B、48C、48のために僅かにねじれることになる。これにより、トルク伝達チューブ16を止めねじを用いることなくカラーに連結することができる。施条が施された隆起部が被駆動リンク34などの他の構成要素に使用されることになる同様のねじり幾何学的形状を有することは本発明の範囲にある。
【0021】
ここで
図6−8を参照すると、被駆動リンクの第1の駆動開口38、第2の駆動開口38’、及び駆動ボア82の詳細が示されている。第1の駆動開口38及び第2の駆動開口38’は、駆動ボア82につながり、駆動ボア82は、駆動レリーフ区域51A、51B、51C、51D、51E、51F、51G、51Hで隔てられた、複数の駆動区域50A、50B、50C、50D、50E、50F、50G、50Hを含む。駆動区域50A、50B、50C、50D、50E、50F、50G、50Hは、トルク伝達チューブ16と被駆動リンク34の駆動レリーフ区域51A、51B、51C、51D、51E、51F、51G、51Hとの間のねじり非滑動締まりばめをもたらす。駆動レリーフ区域51B、51D、51F、51Hは、トルク伝達チューブ16と被駆動リンク34の駆動レリーフ区域51A、51B、51C、51D、51E、51F、51G、51Hとの間の中立的嵌合をもたらす。
図8に示すように、駆動レリーフ区域51A、51C、51E、51Gは、トルク伝達チューブ16と全く接触しておらず、これはトルクを軽減する役割も果たす。
【0022】
図7は、第1の駆動開口38と第2の駆動開口38’との間に延びる駆動ボア82の断面図である。駆動ボア82は、長手方向軸Aを有する。
図7において、駆動区域50A、50C、50E、50Gの各々は、角度付き面であり開口38から平面52まで延びる所定長さの傾斜面56を有し、平面52は、角度のない所定の長さの面である。駆動区域50A、50Cの傾斜面56及び平面52は、長手方向軸Aに沿って同じ方向に向いている。駆動区域50B、50D、50F、50Hは、開口38’から平面52’まで延びる角度付き面の傾斜面56’を有し、平面52’は、角度のない面である。駆動区域50B、50D、50F、50Hの傾斜面56’及び平面52’は、長手方向軸Aに沿って同じ方向に向いており、駆動区域50A、50C、50E、50Gの傾斜面56及び平面52と逆であり、これらは駆動ボア82の反対側にあり、トルク伝達チューブ16が駆動ボア82の中に位置付けられると逆の抜き勾配を作り出すようになっている。これらの反対側の傾斜面は、逆の抜き勾配をもたらし、この逆の抜き勾配は、トルク伝達チューブ16に有意な大きさの力を加えることなく、トルク伝達チューブ16(
図1に示す)を保持して、これが駆動開口38を通って長手方向に沿って滑動するのを阻止するだけでなく、トルク伝達チューブ16が駆動ボア82の中で長手方向に揺動するのを阻止する。
【0023】
また、各駆動区域50A、50B、50C、50D、50E、50F、50G、50Hの配向は、使用上の利点をもたらす。トルク伝達チューブ16が回転すると、各平面54、54’の位置が各駆動区域50A、50B、50C、50D、50E、50F、50G、50Hの間で相違するので、トルク伝達チューブ16と被駆動リンク34との間のトルクの伝達は、回転により変化することになる。その結果、駆動開口38及びトルク伝達チューブ16の多角形小平面により公差補償が可能になる。加えて、トルク伝達チューブ16の駆動開口38の中へのねじり非滑動締まりばめを作り出すのに必要な力の量は約2000N又はそれ以上であり、それによって被駆動リンク34とトルク伝達チューブ16との間の有意なねじり非滑動締まりばめ保持がもたらされる。従って、トルク伝達チューブ16と駆動開口38の結合は、ファスナーを用いることなくもたらされる。ねじり非滑動締まりばめは、トルク伝達チューブ16と被駆動リンク34との間の有意な保持を可能にし、トルク伝達チューブ16と被駆動リンク34との間のクリップ又は保持リングを含むファスナーをなくす。
【0024】
図2を参照すると、本発明の図面に示された他の特徴部は、種々のリンクの間に存在する自己整合基準点(datum)を含み、これは、各リンク間の位置合わせを保証し、各リンクの過度の展開も阻止する。自己整合基準点は、固定リンク18上の受け面58を含み、これは組み立て時に連結器リンク30の丸い面60を受け入れるように構成されている。結果的に従動リンク24を固定リンク18に連結するピン26が従動リンク24を貫通して設置される場合、丸い面60は、受け面58の中に位置付けられ従動リンク24を従動リンク開口20に整列させるのを助ける。また、受け面58の使用は、トルク伝達チューブ16を連結するために駆動開口38を被駆動リンク開口22に位置合わせするのを助ける。加えて、図面に示すように、4バーリンク14、14’は、被駆動リンクから上方に延びて連結器30の表面に接触する止め具62を含む。止め具62は、能動的空力用途トルクリンクシステム10が展開位置に配置された場合に接触する。これはシステムの過度の展開を阻止するのを助ける。
【0025】
本発明の他の特徴部は、
図11及び12に示す様々なアクチュエータハウジング構成を含み、これらは、能動的空力トルクリンクシステム10の構成要素の適切な位置合わせを可能にすると同時にハウジングが回転するのを阻止するやり方でハウジングを車両に連結する。
図11は、車両の一部又は車両と結合する部品である基部115に結合するハウジング113を有するアクチュエータ112を示す。基部115は、ハウジング113の表面上に形成された棚部114を収容して保持するように構成されたスロット117を含む。棚部114及びスロット117は、ハウジング113を基部115の上に適切に整列させて保持するのを助ける。また、基部115は、表面から突出するダウエル122及びねじ付き開口124を有する。また、ハウジング113は、位置合わせ開口120を含む位置合わせタブ116及びファスナー開口118を有する。位置合わせ開口120はダウエル122を受け入れ、ダウエル122は、ファスナー126がファスナー開口118を通って適切に挿入されてねじ付き開口124に結合するように、ハウジング113を基部115に対して適切に位置決めする。
【0026】
図12は、基部214に結合するハウジング213を備えるアクチュエータ212を示す他の代替的な実施形態を図示する。基部214は、車両の一部であるか又は車両に結合する別個の構成要素である。基部214は、表面から突出するダウエル222及び基部214上の2つの反対側の箇所のねじ付き開口224、224’を含む。また、ハウジング213は、位置合わせ開口220及び2つのファスナー開口218、218’を有する。位置合わせ開口220は、ダウエル222を受け入れ、ダウエル222は、ファスナー226、226’がそれぞれのファスナー開口218、218’を通って適切に挿入され、それぞれのねじ付き開口224、224’に結合するように、ハウジング213を基部214に対して適切に位置決めする。
【0027】
本発明の説明は本質的に単なる例証であり、本発明の要点から逸脱しない変形形態は、本発明の範囲にあることが意図される。このような変形形態は、本発明の精神及び範囲から逸脱すると見なされない。
【符号の説明】
【0028】
10 能動的空力トルクリンクシステム
12 アクチュエータ
14 4バーリンク
14’ 4バーリンク
16 トルク伝達チューブ