(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、オムツ状のケーシングを装着した状態で用便をするため、例えば、横向きに寝た状態で用便をすると、オムツ状のケーシングと人体との間に隙間が生じ、用便が漏れてしまう場合がある。
【0005】
本発明の課題は、排泄物が漏れるのを抑制可能な排泄物処理装置を提供することにある。
【0006】
本発明の排泄物処理装置は、
人体から排泄される排泄物を処理する処理装置であって、
前身頃と、後身頃と、前身頃と後身頃とを接続する股部とを有し、人体の臀部側から股間を経て下腹部に向かうとともに、少なくとも人体の肛門及び外性器を覆うように広がって人体に装着され、肛門又は外性器の少なくとも一方から排出された排泄物を処理するための本体部と、
前身頃から人体に向けて隆起する弾性変形可能な略U字状の前隆起部と、前隆起部に接続するとともに、股部から人体に向けて隆起する弾性変形可能な一対の直線状の股隆起部と、股隆起部に接続するとともに、後身頃から人体に向けて隆起する弾性変形可能な略U字状の後隆起部と、を有する隆起部と、
隆起部の少なくとも一部に沿うように隣接して位置し、外部から供給される空気により膨出可能なエアークッション部と、
人体の体圧を検出する検出部と、
検出部が検出する体圧に応じてエアークッション部に供給する空気を制御する制御部と、
を備え
、
人体に本体部が装着されると、
隆起部は、
人体の右足内側の付け根部分から人体の右半身側を通って臀部側に延びた後、右半身側から人体の左半身側に延びて左半身側を通って人体の左足内側の付け根部分まで肛門の周辺部に沿って位置するとともに、
人体の右足内側の付け根部分から人体の右半身側を通って下腹部側に延びた後、右半身側から左半身側に延びて左半身側を通って左足内側の付け根部分まで外性器の周辺部に沿って位置する。
【0007】
本発明の排泄物処理装置においては、例えば、人が横向きに寝ている場合には、横向きで寝ている体圧分布が検出部により検出され、検出部により検出される体圧により本体部を装着した人の姿勢を把握できる。また、弾性変形可能
な隆起部の少なくとも一
部に沿うようにエアークッション部が隣接して位置するため、本体部を装着した人の姿勢に応じてエアークッション部に空気を供給することで、エアークッション部
が隆起部の少なくとも一
部に隣接する壁のような機能を果たす。そのため、例えば、人が横向きに寝た際
に隆起部の少なくとも一
部が変形することで
、隆起部と人との間に排泄物が漏れる隙間が仮に生じたとしても、エアークッション部により隙間を埋めることが可能となり、排泄物の漏れを抑制可能となる。
【0008】
本発明の実施態様では、
エアークッション部は、
少なくとも股隆起部及び後隆起部の外側において股隆起部及び後隆起部に沿って位置してもよい。
【0009】
これによれば、本体部を装着した人が横向きに寝て排便した際に、排泄物が漏れやすい箇所にエアークッション部が位置する。そのため、排泄物の漏れを効果的に抑制することが可能となる。
【0010】
本発明の実施態様では、
エアークッション部は、
一端部と、
他端部と、
一端部から他端部に向けて区画されて、外部から供給される空気により個別に膨出可能である複数の袋状空間と、
を有し、
制御部は、
複数の袋状空間の各袋状空間に供給する空気を個別に制御可能であり、
体圧に応じて複数の各袋状空間に供給する空気を制御してもよい。
【0011】
これによれば、エアークッション部における複数の各袋状空間に対して供給する空気を個別に制御する。エアークッション部における各袋状空間を個別に制御するため、排泄物が漏れる可能性が高い袋状空間に重点的に空気を供給することで、排泄物の漏れをより効果的に抑制可能となる。
【0012】
本発明の実施態様では、
複数の袋状空間は、
少なくとも右足内側の付け根部分から右半身側を通って臀部側に延びる部分に対応す
る隆起部の外側に沿って位置する第1袋状空間と、
少なくとも左足内側の付け根部分から左半身側を通って臀部側に延びる部分に対応す
る隆起部の外側に沿って位置する第2袋状空間と、
一端と他端を有して、一端が第1袋状空間に隣接するとともに、他端が第2袋
状空間に隣接して位置する第3袋状空間と、
を備え
、
第3袋状空間は、一端において第1袋状空間との境界が接するとともに、他端において第2袋状空間との境界が接してもよい。
【0013】
これによれば、例えば、本体部を装着した人が右脇腹を下にして寝ることで
、隆起部の少なくとも一
部が変形し
、隆起部と人との間に排泄物が漏れる隙間が仮に生じたとしても、右脇腹を下にして寝た際に隙間ができやすい箇所に対応する第1袋状空間に空気を供給することで、その隙間を塞ぐことが可能となる。よって、排泄物の漏れを抑制できる。同様に、本体部を装着した人が左脇腹を下にして寝た場合には、第2袋状空間により排泄物の漏れを抑制できる。また、第3袋状空間により、背中側からによる排泄物の漏れも抑制できる。
【0014】
本発明の実施態様では、
袋状空間は、外部から供給される空気によって、少なくとも
股隆起部又は
後隆起部が隆起する高さ以上に膨出可能としてもよい。
【0015】
これによれば、少なくとも
股隆起部又は
後隆起部が隆起する高さ以上に袋状空間が膨出するため、本体部を装着した人の姿勢により、
股隆起部や
後隆起部と人との間に排泄物が漏れる隙間が仮に生じたとしても、エアークッション部により隙間を埋めやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の一例の排泄物処理装置1を示す。排泄物処理装置1は、例えば、寝たきりの被介護者などが寝たまま用便ができ、用便した後の処理も寝たまま行うことができる装置である。排泄物処理装置1は、寝たきりの被介護者などの使用者に装着する本体部2と、本体部2を使用者に固定するための帯状部材3と、使用者が本体部2に用便した排泄物を処理等するために本体部2を制御する制御装置4と、を備える。
【0018】
本体部2は、使用者に装着される装着部材5と、装着部材5を装着した使用者の排泄物を処理する処理部6と、装着部材5を支持する支持部材7と、を備える。
【0019】
装着部材5は、おむつ状に構成される。装着部材5は、例えば、弾性変形可能なゴム等の素材により構成される。装着素材5は、前身頃5aと、後身頃5bと、前身頃5aと後身頃5bとを接続する股部5cとを有する。前身頃5a及び後身頃5bの中央、並びに、股部5cの中央には、処理部6が取り付けられる。前身頃5aの表面(
図1に図示される面)には、下記の帯状部材3における面ファスナー10aと着脱可能な面ファスナーFが取り付けられる。後身頃5bの表面(
図1に図示される面と反対側の面)には、支持部材7が取り付けられる。図示省略してあるが、後身頃5bの表面には、帯状部材3を取り付け可能な面ファスナーが備わる。装着部材5には、
図2に示すように、前身頃5a、股部5c及び後身頃5bを跨ぐように装着部材5の中央部を囲むように隆起部8が形成される。更に、装着部材5には、隆起部8の外側の一部区間に沿うようにエアークッション部材9が備わる。
【0020】
図1に戻って、処理部6は、装着部材5を装着した使用者の排泄物を処理するための機構である。処理部6は、排泄物を受ける受け皿となる収容容器6aと、男性使用者の陰茎などを収める空間かつ男性使用者などの尿を受けて収容容器6aに導く凹部6b(
図2)と、収容容器6aに繋がる吸引管6c(
図1では一部のみ図示)及びシャワー用給水管6d(
図1では一部のみ図示)などを有する。収容容器6aは、股部5cと後身頃5bに跨って股部5cの中央から後身頃5bの中央に取り付けられる略L字状の容器である。収容容器6aは、後身頃5b及び股部5cの中央部に取り付けられ、後身頃5bの裏面側(
図1に図示される面)の中央部に使用者の排泄物を受ける窪みが形成される。また、股部5cの裏面側の中央部にも使用者の排泄物を受ける窪みが形成される。そのため、収容容器6aは略L字状に窪みが形成された容器となる。また、収容容器6aには、凹部6b、吸引管6c及びシャワー用給水管6dが接続する。凹部6bは、前身頃5aと股部5cに跨って股部5cの中央から前身頃5aの中央に取り付けられる略L字状の空間である。凹部6bは、前身頃5a及び股部5cの表面側に向かって窪んだ窪み形状であり、装着部材5を装着した男性の陰茎などが収まるための空間である。凹部6bは、収容容器6aと繋がり、前身頃5aから股部5cを経て後身頃5bにかけて略U字状の窪みが形成される。吸引管6cは、収容容器6aに排出された排泄物などを吸引モーターなどの動力源(図示省略)を用いて吸引するための管である。シャワー用給水管6dは、排泄物を排出した肛門や外性器を洗浄する洗浄用水をポンプなどの動力源(図示省略)を用いて肛門や外性器に向けて注ぐための管である。図示省略してあるが、その他にも収容容器6aには、収容容器6a内に排泄された便を吸引しやすくするための洗浄水を流す管や、収容容器6a内に排泄された排泄物を検知する赤外線センサーなどが取り付けられる。
【0021】
後身頃5bの表面(
図1に図示される面と反対側の面)側には、
図3に示すように、支持部材7が取り付けられる。支持部材7は、後身頃5bに取り付けられた収容容器6aに連なるように取り付けられる。支持部材7は、支持部材7に接続する収容容器6aの下面と支持部材7との間に段差ができず、支持部材7の下面と収容容器6aの下面が面一状になるように支持部材7が取り付けられる。使用者が装着部材5を装着してベッドのマットレスに仰向けに寝る場合は、前身頃5a側ではなく、後身頃5bを下にしてマットレスに仰向けになる。支持部材7と収容容器6aの下面との間に段差がないことで、使用者が寝た際の寝心地が良くなる。
【0022】
図2に戻って、収容容器6a及び凹部6bにより形成される略U字状の窪みの縁部には、前身頃5a、後身頃5b、股部5cの各裏面(
図2に図示される面)から隆起する隆起部8が形成される。隆起部8は、例えば、弾性変形可能なクッション素材又はゴム素材として構成される。隆起部8は、前身頃5aに形成される略U字状の前隆起部8aと、股部5cに形成される一対の直線状の股隆起部8bと、後身頃5bに形成される略U字状の後隆起部8c(
図1)と、を有する。
図2に示すように前隆起部8aと股隆起部8bが接続するとともに、
図1に示すように股隆起部8bと後隆起部8cが接続し、
図2に示すように隆起部8全体として輪っか状に形成される。なお、隆起部8の横幅は、
図2の前隆起部8a及び股隆起部8bより
図1の後隆起部8cの横幅が広く設定される。
【0023】
図2に示すように隆起部8の外周の一区間を除いて、隆起部8の外側にはエアークッション部材9が配置される。エアークッション部材9は、
図2における前隆起部8aの外周右側に位置する一端部9aから、前隆起部8aの外周左側に位置する他端部9bに向けて複数(ここでは、3つ)の袋状空間S1〜S3に区画される。図示省略してあるが、各袋状空間S1〜S3は、外部から空気を供給したり、各袋状空間S1〜S3内部の空気を吸引したりするための管が接続される。図示省略する駆動源により、各袋状空間S1〜S3への空気の供給や吸引がされる。外部から供給される空気により各袋状空間S1〜S3が膨出可能である。また、各袋状空間S1〜S3内部の空気が吸引されることで、各袋状空間S1〜S3が収縮可能である。第1袋状空間S1は、
図2において、一端部9aから前隆起部8aの右側外周、股隆起部8bの右側外周を経て、後隆起部8cの右側外周の途中まで延びる袋状の空間である。第2袋状空間S2は、
図2において、他端部9bから前隆起部8aの左側外周、股隆起部8bの左側外周を経て、後隆起部8cの左側外周の途中まで延びる袋状の空間である。第3袋状空間S3は、一端E1が第1袋状空間S1に隣接するとともに、他端E2が第2袋状空間S2に隣接して位置する略U字の袋状の空間である。各袋状空間S1〜S3及び隆起部8は、装着部材5の裏面(
図2に図示される面)から隆起するように位置する。各袋状空間S1〜S2は、隆起部8が隆起する高さ以上に膨出して位置する。
【0024】
図1に戻って、本体部2には帯状部材3が取り付けられる。帯状部材3は、使用者に装着された本体部2を固定するための部材である。帯状部材3は、帯本体10と、帯本体に収容される感圧センサー11と、を有する。帯本体10は略矩形状に形成される。帯本体10は、感圧センサー11を内部に収容可能な収容部と(図示省略)、帯本体10の表裏に形成される面ファスナー10aと、を有する。面ファスナー10aは、帯本体10の両端部(一端部と他端部)の表裏と、帯本体3の中央部の表面に形成される(帯本体3の中央部の表面の面ファスナーは図示省略)。例えば、帯本体10の表面には、雄型の面ファスナー10a、帯本体の裏面には雌型の面ファスナーが形成される。帯本体10における左右の面ファスナー10aを前身頃5aの表面に形成された左右の面ファスナーFに重ねることで、帯本体10が装着部材5に重なった状態で固定される。感圧センサー11は、帯本体10の収容部に収容可能なシート状に形成された周知の圧力センサーである。感圧センサー11は、弾性変形可能なシート状に形成されたセンサシートと、一端がセンサシートに接続するとともに、制御装置4に接続されるコネクタと、を有する。センサシートは、使用者が横になった際に、センサシートに加えられた使用者の腰部周辺の体圧分布(使用者がベッドなどに横になった際に使用者の身体表面に加わる圧力の分布)を検出し、コネクタを通じて体圧分布を制御装置4に送信する。
【0025】
制御装置4は、使用者が収容容器6aに用便した排泄物の処理、エアークッション部材9への空気の供給・吸引などを制御するための装置である。制御装置4は、CPU、RAM及びROM、並びにそれらを接続するバスと、バスが接続するI/Oポートと、を備える。CPUは、データ通信等の情報処理の全般を司り、RAMは、CPUの作業領域として機能する揮発性の記憶部である。ROMは、制御装置4で必要な処理をするためのデータ及びソフトウェア(プログラム)を記憶する不揮発性の記憶部である。ROMには、外部から送信されるデータを処理するプログラムなどが格納される。例えば、収容容器6a内に排泄された排泄物を検知するセンサーから送信される信号や、収容容器6a内の排泄物の処理や、肛門・外性器の水洗浄や乾燥などを手動で操作するコントトーラーから送信される信号に応じて、シャワー用給水管6dから肛門や外性器に水を注いだり、収容容器6a内に排泄された便などを吸引しやすくするための洗浄液を流したり、吸引管6cにより収容容器6a内の排泄物や水などを吸引する洗浄プログラムが格納される。また、感圧センサー11から制御装置4に送信される使用者の体圧分布に応じて、エアークッション部材9の第1〜第3袋状空間S1〜S3に対して空気の供給や吸引をするエアークッション制御プログラムが格納される。
【0026】
以上の構成をする排泄物処理装置1により使用者が寝たまま用便ができ、用便後の処理も行うことができる。排泄物処理装置1を使用する場合には、介護者が被介護者などの使用者に本体部2及び帯状部材3を装着する。介護者は、仰向けに寝ている使用者のおむつや下着などを取り外した上で、使用者の腰を上方に浮かせ、前身頃5a側と後身頃5b側及び帯状部材3側が使用者の股と対向するように使用者の股下側に本体部2などを準備する。そして、使用者の腰の下に帯状部材3、後身頃5b及び支持部材7などを差し入れるとともに、前身頃5a及び股部5cにより使用者の外性器やその周辺を覆うように包み込む。この状態で本体部2は、使用者の臀部側から股間を経て下腹部に向かうとともに、少なくとも人体の肛門及び外性器を覆うように広がって使用者(人体)に装着される。また、本体部2における隆起部8は、使用者の右足内側の付け根部分から人体の右半身側を通って臀部側に延びた後、右半身側から人体の左半身側に延びて左半身側を通って人体の左足内側の付け根部分まで肛門の周辺部に沿って使用者に接触するように、本体部2から使用者に向けて隆起する。同様に、隆起部8は、使用者の右足内側の付け根部分から人体の右半身側を通って臀部側における下腹部側に延びた後、右半身側から下腹部側の左半身側に延びて左半身側を通って左足内側の付け根部分まで外性器の周辺部に沿って使用者に接触するように、本体部2から使用者に向けて隆起する。そして、隆起部8の外側に隆起部8に沿うようにエアークッション部材9が位置する。また、帯状部材3上の中央部に使用者の腰及びその周辺部が載せられた状態となる。介護者は使用者に装着された本体部2がずれるのを防ぐために、帯状部材3の一端部と他端部の面ファスナー10aを前身頃5aの両側にある面ファスナーFに向けて折り畳み、本体部2を使用者に固定する。この状態で、使用者の腰回りには帯状部材3が取り付けられる。また、本体部2に接続する吸引管6c、シャワー用給水管6dなどの管や帯状部材3の感圧センサー11のコネクタなどが使用者の股下側から各装置や制御装置4などに向けて延びる。
【0027】
以上のようにして介護者が使用者に対して本体部2を装着すると、使用者は適宜、排泄をする。使用者が排泄をする際には、使用者は寝たまま排泄することになるが、使用者によっては、右側又は左側を下にした横寝の状態で排泄をする等、様々な姿勢で排泄をする。排泄をする際に様々な姿勢をとる使用者の腰回りには、帯状部材3が取り付けられ、帯状部材3の感圧センサー11も使用者の腰回りに巻き付くように位置する。そのため、使用者が寝ている姿勢に応じて感圧センサー11に加えられる体圧分布が変化することになる。例えば、使用者が仰向けで寝ている場合には、
図1における感圧センサー11の中央部に重点的に体圧かかり、使用者が右側を下にして横寝している場合には、感圧センサー11の右側に重点的に体圧がかかり、使用者が左側を下にして横寝している場合には、感圧センサー11の左側に重点的に体圧がかかる。このようにし、感圧センサー11は、使用者の寝ている姿勢に応じた体圧分布を常時検出し、体圧分布データを制御装置4に送信する。制御装置4では、感圧センサー11から送信された体圧分布データに応じてエアークッション部材9の第1〜第3袋状空間S1〜S3に供給する空気を制御する。例えば、
図1における感圧センサー11の右側に重点的に体圧がかかっている場合は、使用者が右側を下にして横寝しているとして、第1袋状空間S1及び第3袋状空間S3に空気を供給する。同様に、
図1における感圧センサー11の左側に重点的に体圧がかかっている場合は、使用者が左側を下にして横寝しているとして、第2袋状空間S2及び第3袋状空間S3に空気を供給する。また、
図1における感圧センサー11の中央部に重点的に体圧がかかっている場合は、使用者が仰向けで寝ているとして、第1〜第3袋状空間S1〜S3の全てに空気を供給する。使用者の姿勢が変化した場合には、使用者に姿勢に応じて、各袋状空間S1〜S3に空気を供給したりする。使用者の姿勢が変化して空気を供給する必要がなくなった袋状空間S1〜S3については、袋状空間S1〜S3から空気を吸引する。
【0028】
使用者の寝ている姿勢に応じてエアークッション部材9に供給する空気を制御し、各袋状空間S1〜S3を膨出させる。そして、使用者が寝た状態で用便をすると、センサーにより排泄物を感知して、又は、介護者等が手動でコントローラーを制御し、排泄物の吸引や使用者の肛門・外性器の洗浄及び乾燥をする。
【0029】
介護者が使用者に本体部2や帯状部材3を装着する際、場合によっては、本体部2の装着が不十分で、装着した本体部2の隆起部8と使用者との間に隙間が生じる場合がある。また、本体部2や帯状部材3を使用者に正しく装着できたとしても、使用者が寝返りを打つなどして、使用者が寝姿勢をかえると、弾性変形可能な隆起部8が使用者の姿勢に応じて変形し、場合によっては、隆起部8と使用者との間に隙間が生じる場合がある。特に、使用者の体圧が重点的にかかる個所やその周辺における隆起部8などは他の箇所に比べて大きく変形する。そのため、例えば、使用者が右側を下にして横寝している場合には、第1袋状空間S1に沿うように延びる隆起部8が大きく変形しやすくなり、第1袋状空間S1に隣接する隆起部8と使用者との間に隙間が生じやすくなる。同様に、例えば、使用者が左側を下にして横寝している場合には、第2袋状空間S2に隣接する隆起部8と使用者との間に隙間が生じやすくなる。また、使用者が仰向けで寝ている場合には、微妙な体の傾きにより、第1〜第3袋状空間S1〜S3に沿うように延びる隆起部8と使用者との間に隙間が生じる可能性がある。したがって、例えば、
図1における感圧センサー11の右側に重点的に体圧がかかっていると感圧センサー11が検出すると、使用者との間に隙間が生じやすい隆起部8に隣接する第1袋状空間S1及び第3袋状空間S3に空気を供給する。また、
図1における感圧センサー11の左側に重点的に体圧がかかっていると感圧センサー11が検出すると、使用者との間に隙間が生じやすい隆起部8に隣接する第2袋状空間S2及び第3袋状空間S3に空気を供給する。更に、感圧センサー11の中央部分に重点的に体圧がかかっていると感圧センサー11が検出すると、使用者との間に隙間が生じやすい隆起部8に隣接する第1〜第3袋状空間S1〜S3に空気を供給する。よって、第1〜第3袋状空間S1〜S3によって、使用者と隆起部8との間の隙間を埋めることが可能となり、隙間から排泄物が漏れるのを抑制することができる。第1〜第3袋状空間S1〜S3を有するエアークッション部材9は、
図2に示すように後身頃5b及び股部5cに形成される隆起部8に沿うように位置するため、排泄物が漏れやすい箇所にエアークッション部材9が位置する。そのため、排泄物の漏れを効果的に抑制することが可能となる。また、エアークッション部材9は、第1〜第3袋状空間S1〜S3に区画され、各袋状空間S1〜S3に対して個別に空気の供給が制御される。よって、排泄物が漏れる可能性が高い隆起部8に隣接する袋状空間S1〜S3に重点的に空気を供給することで、排泄物の漏れをより効果的に抑制可能となる。また、各袋状空間S1〜S3は、供給される空気により、隆起部8が隆起する高さ以上に膨出する。そのため、本体部2を装着した使用者の姿勢により、隆起部8と使用者との間に排泄物が漏れる隙間が仮に生じたとしても、第1〜第3袋状空間S1〜S3により隙間を埋めやすくなる。
【0030】
ここで、本実施形態と特許請求の範囲に記載の文言との対応関係を説明する。本実施形態の排泄物処理装置1が排泄物処理装置に相当する。同様に本体部2が本体部、隆起部8が第1及び第2隆起部、エアークッション部がエアークッション部材9、検出部が感圧センサー11、制御部が制御装置4、に相当する。
【0031】
以上、本発明の実施の態様を説明したが、本発明はその具体的な記載に限定されることなく、例示した構成等を技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせて実施することも可能であるし、またある要素、処理を周知の形態に置き換えて実施することもできる。
【0032】
図2に示すように、上記では、隆起部8に隣接するように配置されたエアークッション部材9を例示して説明した。
図4に示すように、エアークッション部材109としては、
図4に示すように、隣接する袋状空間S1、S3に互いに引っ掛かる、又は嵌り込むように構成されてもよい。これにより、隣接する袋状空間S1、S3の境界まで空気を供給でき、隣接する袋状空間S1〜S3の境界から排泄物が漏れるのを抑制可能となる。なお、上記では、エアークッション部材9を3つの袋状空間S1〜S3に区画したが、2つに区画しても良いし、4つ以上に区画しても良い。2つに区画することで空気を供給等する制御が容易になる。4つ以上に区画することで、使用者の姿勢に細かく対応したエアークッション部材の制御が可能となる。また、使用者の寝姿勢(感圧センサー11による体圧分布に)応じて袋状空間S1〜S3毎に供給する空気量を均一にしても、不均一にしてもよい。
【0033】
上記では、
図2に示すように隆起部8の外側に沿うようにエアークッション部材9を配置する例を示した。エアークッション部材9に加えて、隆起部8の内部にエアークッション部材を設けてもよい。隆起部8の内部のエアークッション部材は、エアークッション部材9と同様に、エアークッション部材9に沿って第1〜第3袋状区画S1〜S3を形成し、エアークッション部材9と同様に空気の供給等を制御してもよい。これにより、使用者の寝姿勢による隆起部8の変形を抑制でき、エアークッション部材9との相乗効果により、排泄物の漏れを抑制できる。
【0034】
上記では、感圧センサー11が検出した体圧分布は、コネクタを通じて制御装置4に送信される例を示したが、体圧分布は無線通信装置を通じて制御装置4に送信してもよい。
【0035】
上記では、面ファスナー10aにより帯本体10の両端部を前身頃5aの面ファスナーFに固定する例を示した。長い帯本体10を用いて、帯本体10を使用者の腰に巻き付けた上で、使用者のお腹の上で、帯本体10の一端部を他端部に重ねるようにし、帯本体10の一端部と他端部が折り重なるようにして面ファスナーで本体部2を使用者に固定してもよい。また、本体部2と使用者とを固定する帯状部材3を使用者に更に固定するための固定部材を設けても良い。固定部材としては、面ファスナーを用いて帯状部材3と本体部2とを固定するものでもよい。
【0036】
上記では、帯状部材3を本体部2に取り付ける例を説明したが、帯状部材3を本体部2に一体にして形成してもよい。
【0037】
上記では、使用者の体圧を検出する検出部として、帯状部材3の感圧シート11を例示した。検出部としては、使用者が寝ているベッドなどに感圧シート11を配置してもよい。ベッドに配置した感圧シート11が検出して体圧分布に基づいて(体圧分布から使用者の寝姿を推測し)、エアークッション部材9に供給する空気を制御してもよい。
【0038】
なお、エアークッション部材9に供給する空気は、本体部2を使用者に装着した後に供給することで、エアークッション部材9により隆起部8が使用者に密着しなくなるのを抑制できる。
人体の臀部側から股間を経て下腹部に向かうとともに、肛門及び外性器を覆うように広がって装着される本体部2と、本体部2から人体に向けて隆起する隆起部8と、隆起部8の少なくとも一部に沿うように隣接して位置し、外部から供給される空気により膨出可能なエアークッション部材9と、人体の体圧を検出する感圧センサー11と、感圧センサー11が検出する体圧に応じてエアークッション部材9に供給する空気を制御する制御装置4と、を備える。