特許第6944206号(P6944206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 9614206 カナダ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944206
(24)【登録日】2021年9月14日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】抵抗発生装置、運動器具及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/04 20060101AFI20210927BHJP
   A63B 21/055 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   A63B21/04
   A63B21/055
【請求項の数】24
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-509468(P2019-509468)
(86)(22)【出願日】2017年8月16日
(65)【公表番号】特表2019-524349(P2019-524349A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】CA2017050969
(87)【国際公開番号】WO2018032103
(87)【国際公開日】20180222
【審査請求日】2020年8月17日
(31)【優先権主張番号】62/375,940
(32)【優先日】2016年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518320236
【氏名又は名称】9614206 カナダ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】コリガン グレゴリー ロイド
(72)【発明者】
【氏名】ズッカーマン ベンジャミン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】フェイダー ティマ
【審査官】 槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3112700(JP,U)
【文献】 特開2013−123634(JP,A)
【文献】 特表平5−501662(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/190605(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 21/04
A63B 21/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗発生装置であって、
対向する端部を有する細長い弾性体と、
前記端部の一方に取り付けられた第1の取付部材と、
前記弾性体の他方の端部に取り付けられた第2の取付部材と、を有し、
前記第1及び第2の取付部材が非弾性材料で作られており、
前記第1及び第2の取付部材の少なくとも1つは、もう1つの抵抗発生装置の前記第1及び第2の取付部材の対応する1つに、取り外し可能に取り付け可能であり、
前記第1の取付部材は、第1の構造体に取り外し可能に取り付け可能であり、前記第2の取付部材は、前記第1の構造体に対して移動可能である第2の構造体に取り外し可能に取り付け可能であり、
前記弾性体は、前記第1の構造体に取り付けられた前記第1の取付部材に対する前記第2の構造体に取り付けられた前記第2の取付部材の移動により弾性変形されたときに抵抗を生じさせる、抵抗発生装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の取付部材のうちの少なくとも一方は、取付機構を備えた第1の表面と受入機構を備えた第2の表面を有し、各抵抗発生装置の前記取付機構は、もう1つの抵抗発生装置の前記受入機構に取り外し可能に取り付け可能である、請求項1に記載の抵抗発生装置。
【請求項3】
前記取付機構は、前記第1の表面から外向きに延びる突起であり、前記受入機構は、前記第2の表面の内部に延びる溝部である、請求項2に記載の抵抗発生装置。
【請求項4】
前記突起部と前記溝部は相補的な形状を有する、請求項3に記載の抵抗発生装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の取付部材の各々は、前記取付機構及び前記受入機構を備え、前記第1及び第2の取付部材は同じ構造を有する、請求項2乃至4の何れか1項に記載の抵抗発生装置。
【請求項6】
前記弾性体は弾性バンドである、請求項1乃至5の何れか1項に記載の抵抗発生装置。
【請求項7】
前記第1の取付部材、前記第2の取付部材、及び前記弾性体のうちの少なくとも1つは、前記抵抗発生装置の抵抗を示す視覚的なしるしを有する、請求項1乃至6の何れか1項に記載の抵抗発生装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の抵抗発生装置のセットであって、各抵抗発生装置の前記第1及び第2の取付部材のうちの少なくとも1つは、セットにより提供される抵抗を増大させるために、他の抵抗発生装置の対応する前記第1及び第2の取付部材に取り外し可能に取り付け可能となっている、抵抗発生装置のセット。
【請求項9】
前記セットの少なくとも2つの抵抗発生装置が、共通の第1又は第2の取付部材を有し、少なくとも2つの前記抵抗発生装置の他の第1又は第2の取付部材が分離している、請求項8に記載の抵抗発生装置のセット。
【請求項10】
前記セットの抵抗発生装置の1つの前記第1または第2の取付部材の一方のみが、前記セットから前記抵抗発生装置を取り外すために、もう1つの抵抗発生装置の対応する第1及び第2の取付部材から取り外し可能である、請求項8又は請求項9に記載の抵抗発生装置のセット。
【請求項11】
抵抗を発生させる方法であって、
第1の弾性体の一端を、固定された第1の構造体に接続し、
前記第1の弾性体の他端を、移動可能な第2の構造体に接続し、
少なくとももう1つの弾性体の一端を、前記第1の弾性体の両端の一方に接続し、
第2の構造体が第1の構造体に沿って移動することにより、少なくとも前記第1の弾性体の弾性変形により抵抗を発生させるために、前記第2の構造体を前記第1の構造体に対して移動させる、抵抗を発生させる方法。
【請求項12】
更に、抵抗を減少させるために、少なくとも1つの他の前記弾性体の少なくとも1つの端部を、前記第1の弾性体の対応する前記端部から切り離す、請求項11に記載の抵抗を発生させる方法。
【請求項13】
少なくとも1つの他の前記弾性体の少なくとも1つの端部を切り離すとき、前記第1の弾性体の対応する端部に接続された少なくとも1つの弾性体の他の端部を保持した状態で、少なくとも1つの他の前記弾性体の一方の端部のみを前記第1の弾性体の対応する端部から切り離す、請求項12に記載の抵抗を発生させる方法。
【請求項14】
少なくとも他の前記弾性体の1つの端部を接続するとき、複数の弾性体の前記端部を互いに接続して弾性体のセットを形成し、前記セットの抵抗は、いずれかの前記弾性体単体の抵抗よりも大きい、請求項11乃至13の何れか1項に記載の抵抗を発生させる方法。
【請求項15】
運動器具であって、
第2の構造体から間隔を空けて配置された第1の構造体と、前記第1の構造体に対して移動可能である前記第2の構造体と、少なくとも1つの抵抗発生装置を有し、
この抵抗発生装置は、対向する端部を有する細長い弾性体と、この弾性体の端部のうちの1つに取り付けられた第1の取付部材と、前記弾性体の他方の端部に取り付けられた第2の取付部材と、を有し、前記第1及び第2の取付部材が非弾性材料で作られており、前記第1及び第2の取付部材の少なくとも1つは、もう1つの抵抗発生装置の前記第1及び第2の取付部材の対応する1つに、取り外し可能に取り付け可能であり、前記第1の取付部材は、前記第1の構造体に取り外し可能に取り付け可能であり、前記第2の取付部材は、前記第1の構造体に対して移動可能である第2の構造体に取り外し可能に取り付け可能であり、前記弾性体は、前記第1の構造体に取り付けられた前記第1の取付部材に対する前記第2の構造体に取り付けられた前記第2の取付部材の移動により弾性変形されたときに抵抗を生じさせる、運動器具。
【請求項16】
前記第1及び第2の取付部材のうちの少なくとも一方は、取付機構を備えた第1の表面と受入機構を備えた第2の表面を有し、各抵抗発生装置の前記取付機構は、もう1つの抵抗発生装置の前記受入機構に取り外し可能に取り付け可能である、請求項15に記載の運動器具。
【請求項17】
前記取付機構は前記第1の表面から外向きに延びる突起であり、前記受入機構は前記第2の表面の内部に延びる溝部である、請求項16に記載の運動器具。
【請求項18】
前記突起部と前記溝部は相補的な形状を有する、請求項17に記載の運動器具。
【請求項19】
前記第1及び第2の取付部材の各々は、前記取付機構及び前記受入機構を備え、前記第1及び第2の取付部材は同じ構造を有する、請求項16乃至18の何れか1項に記載の運動器具。
【請求項20】
前記弾性体は弾性バンドである、請求項15乃至19の何れか1項に記載の運動器具。
【請求項21】
前記第1の取付部材、前記第2の取付部材、及び前記弾性体のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの前記抵抗発生装置の抵抗を示す視覚的なしるしを有する、請求項15に記載の運動器具。
【請求項22】
少なくとも1つの前記抵抗発生装置は、1セットの抵抗発生装置をを有し、各抵抗発生装置の前記第1及び第2の取付部材の少なくとも1つは、セットにより提供される抵抗を増大させるために、他の抵抗発生装置の対応する前記第1及び第2の取付部材に取り外し可能に取り付け可能となっている、請求項15に記載の運動器具。
【請求項23】
前記セットの少なくとも2つの抵抗発生装置が共通の第1又は第2の取付部材を有し、少なくとも2つの前記抵抗発生装置の他の第1又は第2の取付部材が分離している、請求項22に記載の運動器具。
【請求項24】
前記セットの抵抗発生装置の1つの前記第1又は第2の取付部材の一方のみが、前記セットから前記抵抗発生装置を取り外すために、もう1つの抵抗発生装置の対応する前記第1及び第2の取付部材から取り外し可能である、請求項22又は請求項23に記載の運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2016年8月17日に出願された米国仮特許出願第62/375,940号に基づく優先権を主張するものであり、この仮出願の全体の内容は引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、一般に力発生物体に関し、さらに詳しくは、抵抗発生装置に関する。
【背景技術】
【0003】
抵抗運動又は過重負荷運動を行うための様々な機器が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の重量負荷器具は、重くて運びにくいことが多い。多くの狭いアパート又は家庭、キャンピングカー、ホテルの部屋、ジムなどは、これらの構造を支持することができない。これらの器具の使用及び利用可能性は、サイズ、空間及び重量の制約によって妨げられる。
【0005】
さらに、効果的なウェイトトレーニングのためには、継続的に抵抗又は負荷を高める必要がある。多くの器具は、追加できる抵抗量が制限されており、これにより、有用性が制限されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、抵抗発生装置であって、対向する端部を有する細長い弾性体と、弾性体の端部の一方に取り付けられた第1の取付部材と、弾性体の他方の端部に取り付けられた第2の取付部材と、を有し、第1及び第2の取付部材が非弾性材料で作られており、第1及び第2の取付部材の少なくとも1つは、もう1つの抵抗発生装置の第1及び第2の取付部材の対応する1つに、取り外し可能に取り付け可能であり、第1の取付部材は、第1の構造体に取り外し可能に取り付け可能であり、第2の取付部材は、第1の構造体に対して移動可能である第2の構造体に取り外し可能に取り付け可能であり、弾性体は、第1の構造体に取り付けられた第1の取付部材に対する第2の構造体に取り付けられた第2の取付部材の移動により、弾性変形されたときに抵抗を生じさせる。
【0007】
1つの実施形態では、第1及び第2の取付部材の少なくとも一方は、取付機構を備えた第1の表面と受入機構を備えた第2の表面を有し、各抵抗発生装置の取付機構は、もう1つの抵抗発生装置の受入機構に取り外し可能に取り付け可能である。
【0008】
1つの実施形態では、取付機構は第1の表面から外向きに延びる突起であり、受入機構は、第2の表面の内部に延びる溝部である。
【0009】
1つの実施形態では、突起部と溝部は相補的な形状を有する。
【0010】
1つの実施形態では、第1及び第2の取付部材の各々は、取付機構及び受入機構を備え、第1及び第2の取付部材は同じ構造を有する。
【0011】
1つの実施形態では、弾性体は弾性バンドである。
【0012】
1つの実施形態では、第1の取付部材、第2の取付部材、及び弾性体のうちの少なくとも1つは、抵抗発生装置の抵抗を示す視覚的なしるしを有する。
【0013】
1つの実施形態では、抵抗発生装置のセットであって、各抵抗発生装置の第1及び第2の取付部材の少なくとも1つは、セットにより提供される抵抗を増大させるために、他の抵抗発生装置の対応する第1及び第2の取付部材に取り外し可能に取り付け可能となっている。
【0014】
1つの実施形態では、セットの少なくとも2つの抵抗発生装置が、共通の第1又は第2の取付部材を有し、その少なくとも2つの抵抗発生装置の他の第1又は第2の取付部材が分離している。
【0015】
1つの実施形態では、セットの抵抗発生装置の1つの第1又は第2の取付部材の一方のみが、セットから抵抗発生装置を取り外すために、もう1つの抵抗発生装置の対応する第1及び第2の取付部材から取り外し可能である。
【0016】
他の態様では、抵抗を発生させる方法であって、第1の弾性体の一端を、固定された第1の構造体に接続し、第1の弾性体の他端を、移動可能な第2の構造体に接続し、少なくとももう1つの弾性体の一端を、第1の弾性体の両端の一方に接続し、第2の構造体が第1の構造体に沿って移動することにより、少なくとも第1の弾性体の弾性変形により、抵抗を発生させるために、第2の構造体を第1の構造体に対して移動させる、抵抗を発生させる方法を提供する。
【0017】
1つの実施形態では、更に、抵抗を減少させるために、少なくとも1つの他の弾性体の少なくとも1つの端部を、第1の弾性体の対応する端部から切り離す、抵抗を発生させる方法を提供する。
【0018】
1つの実施形態では、少なくとも1つの他の弾性体の少なくとも1つの端部を切り離すとき、第1の弾性体の対応する端部に接続された少なくとも1つの弾性体の他の端部を保持した状態で、少なくとも1つの他の弾性体の一方の端部のみを第1の弾性体の対応する端部から切り離す。
【0019】
1つの実施形態では、少なくとも他の弾性体の1つの端部を接続するとき、複数の弾性体の端部を互いに接続して弾性体のセットを形成し、セットの抵抗は、いずれかの弾性体単体の抵抗よりも大きい。
【0020】
さらに別の態様では、運動器具であって、第2の構造体から間隔を空けて配置された第1の構造体と、第1の構造体に対して移動可能である第2の構造体と、少なくとも1つの抵抗発生装置を有し、この抵抗発生装置は、対向する端部を有する細長い弾性体と、この弾性体の端部のうちの1つに取り付けられた第1の取付部材と、弾性体の他方の端部に取り付けられた第2の取付部材と、を有し、第1及び第2の取付部材が非弾性材料で作られており、第1及び第2の取付部材の少なくとも1つは、もう1つの抵抗発生装置の第1及び第2の取付部材の対応する1つに、取り外し可能に取り付け可能であり、第1の取付部材は、第1の構造体に取り外し可能に取り付け可能であり、第2の取付部材は、第1の構造体に対して移動可能である第2の構造体に取り外し可能に取り付け可能であり、弾性体は、第1の構造体に取り付けられた第1の取付部材に対する第2の構造体に取り付けられた第2の取付部材の移動により弾性変形されたときに抵抗を生じさせる、運動器具を提供する。
【0021】
1つの実施形態では、第1及び第2の取付部材のうちの少なくとも一方は、取付機構を備えた第1の表面と受入機構を備えた第2の表面を有し、各抵抗発生装置の取付機構は、もう1つの抵抗発生装置の受入機構に取り外し可能に取り付け可能である。
【0022】
1つの実施形態では、取付機構は第1の表面から外向きに延びる突起であり、受入機構は第2の表面の内部に延びる溝部である。
【0023】
1つの実施形態では、突起部と溝部は相補的な形状を有する。
【0024】
1つの実施形態では、第1及び第2の取付部材の各々は、取付機構及び受入機構を備え、第1及び第2の取付部材は同じ構造を有する。
【0025】
1つの実施形態では、弾性体は弾性バンドである。
【0026】
1つの実施形態では、第1の取付部材、第2の取付部材、及び弾性体のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの抵抗発生装置の抵抗を示す視覚的なしるしを有する。
【0027】
1つの実施形態では、少なくとも1つの抵抗発生装置は、1セットの抵抗発生装置を有し、各抵抗発生装置の第1及び第2の取付部材の少なくとも1つは、セットにより提供される抵抗を増大させるために、他の抵抗装置の対応する第1及び第2の取付部材に取り外し可能に取り付け可能である。
【0028】
1つの実施形態では、セットの少なくとも2つの抵抗発生装置が共通の第1又は第2の取付部材を有し、少なくとも2つの抵抗発生装置の他の第1又は第2の取付部材が分離している。
【0029】
1つの実施形態では、セットの抵抗発生装置の1つの第1又は第2の取付部材の一方のみが、セットから抵抗発生装置を取り外すために、もう1つの抵抗発生装置の対応する第1及び第2の取付部材から取り外し可能である。
【0031】
ここで添付図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本開示の実施形態による、第1の構造体及び第2の構造体に取り付けられた抵抗発生装置の斜視図である。
図2A図1の抵抗発生装置の斜視図である。
図2B図1の複数の抵抗発生装置の斜視図である。
図2C図1の2つの抵抗発生装置の一部の概略側面図である。
図3図1の第1の構造体及び第2の構造体に取り付けられた複数の抵抗発生装置の斜視図である。
図4A】抵抗発生装置を受入れるための、図1の第2の構造体の斜視図である。
図4B図4Aの第2の構造体に取り付けられた抵抗発生装置の取付部材の斜視図である。
図5A】本開示の他の実施形態による、抵抗発生装置用の端部キャップの斜視図である。
図5B図5Aの端部キャップの別の斜視図である。
図5C図5Aの端部キャップの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は運動器具8を示す。運動器具8はトレーニングまたは運動を計画する者によって使用される。運動器具8は、第1の構造体11と、離間した第2の構造体12とを有する。第1の構造体11と、第2の構造体12は、互いに相対的に移動可能である。図示の実施形態では、第1の構造体11は移動しない静止物体であり、第2の構造体12は、第1構造体11に向かってまたは離れるD方向に沿って変位する移動可能な物体である。第1の構造体11に対して第2の構造体12が移動する他の構成もまた実施可能である。例えば、第1及び第2の構造体11、12の両方を移動可能とすることもできる。第1及び第2の構造体11、12は、運動器具8の上述の相対的な移動を可能とする任意の本体、物体、または部材とすることができる。図示の実施形態では、第2の構造体12は、ケーブル14が滑車を作動させる際に、支柱13に沿ってD方向に摺動自在に移動可能な滑車ハウジング本体12Aを有する。第1の構造体11は支柱13に固定的に取り付けられている。
【0034】
図1は、第1の構造体11及び第2の構造体12に取り付けられた抵抗発生装置10も示している。抵抗発生装置10は、容易に取り外すことができるように、第1及び第2の構造体11、12に取り付けられている。詳細は以下で説明されるように、第1の構造体11に対する第2の構造体12の移動は、第1及び第2の構造体11、12に取り付けられた抵抗発生装置10に抵抗を発生させる。図示の実施形態では、抵抗発生装置10(本明細書では、単に「装置10」ともいう)は、第2の構造体12が第1の構造体11から離れる方向に移動する際に、抵抗を発生する。装置10は他の方法で抵抗を発生させることもできる。例えば、第1及び第2の構造体11、12に、装置10が取り付けられた構成において、第1及び第2構造体11、12の相対的な移動によって、装置10が抵抗を発生させることを可能にする。発生した抵抗は、任意の適切な目的に使用することができる。例えば、図示の実施形態では、装置10によって生成された抵抗は、トレーニングまたはエクササイズを計画する者によって使用される。
【0035】
図1を引き続き参照すると、装置10は、細長い弾性体15を有する。弾性体15(本明細書では単に「本体15」ともいう)は、長さを有する物体であり、2つの対向する端部16の間に延在する。本体15は弾性的に変形可能であり、引き伸ばされた後にその元の形態または構成に戻る。本体15の変形による抵抗は、装置10の抵抗を生み出すものである。本体15の弾力性は、それが作られる材料から得ることができる。例えば、本体15は、弾性的変形に耐える任意の適切な重合体材料から作製することができる。本体15の材料は、天然ゴム、ブチルゴム、またはネオプレンなどの天然または合成エラストマーとすることができる。図示の実施形態では、本体15は弾性バンド15Aの形態である。本体15は他の形態も取り得る。例えば、本体15は、弾性のある細長い円筒形の形態であってもよいし、または中空の弾性のあるチューブの形態であってもよい。
【0036】
装置10は、第1の取付部材21と第2の取付部材22を有する。第1の取付部材21は、本体15の一方の端部16に配置されていて、第2の取付部22は、本体15の他方の端部に配置されている。第1及び第2取付部材21、22は本体15とは分離した部品であり、本体15の各端部16に取り付け、または連結されているか、本体15に一体化されている。図示の実施形態では、第1及び第2取付部材21、22は恒久的に本体15に取り付けられている。別の実施形態では、第1及び第2取付部材は、着脱可能に取り付けられている。
【0037】
図示の実施形態では、第1及び第2の取付部材は、第1及び第2の構造体11、12にそれぞれ着脱可能に取り付けられている。第1及び第2構造体11、12に取り付けることによって、本体15は抵抗を発生させることができる。第1構造体11に取り付けられた第1取付部材21に対して、第2構造体12に取り付けられた第2取付部材22が、相対的に移動することにより、弾性体15は、弾性的に変形して、抵抗を発生させることができる。第1及び第2の取付部材21、22が取り付けられた、第1及び第2の構造体11,12が、相対的に移動することによって、第1及び第2の取付部材が、相対的に移動することとなる。
【0038】
第1及び第2の取付部材21、22は、非弾性材料で作られている。弾性変形する本体15とは対照的に、第1及び第2の取付部材21、22は、剛体であり、柔軟性はない。したがって、例えば、張力が加えられることにより、本体15が弾性変形している場合でも、第1及び第2の取付部材21、22は、その形状が大きく延びたり、拡大することはない。第1及び第2の取付部材21、22の、非弾性あるいは剛性が、装置10の中で、本体15を主な抵抗発生器としている。第1及び第2の取付部材21、22を形成することができる材料のいくつかの非限定的な例としては、プラスチック、木材、金属、硬質エストラマー、及びそれらの複合体を含む。すなわち、第1及び第2の取付部材21、22の材料は、本体15の弾性材料と同一ではないことが、理解されるであろう。
【0039】
図2Aは、上述の装置10単体を示し、図2Bは互いに接続された装置10からなる複数の、または、一組のセット40を示す。図2Bに示すように、セット40内の各装置10は、互いに取り外し可能に取り付けられている。これにより、複数の装置10が組み合わされるか、または"積み重ねられる"ことが可能になる。このように装置10を組み合わせることにより、発生する抵抗を大きくすることができる。より詳細には、装置10のセット40は、第1及び第2の構造体に取り付けることができ、それらが発生する複合抵抗は、セット40のデバイス10のいずれかによって生成される抵抗よりも大きくなる。例として、利用者は、取り外し可能に相互に取り付けられ、もしくは積み重ねられた、装置10によって、抵抗をベースとした運動やトレーニングで必要とされる抵抗を、素早く、かつ簡単に、増加することができる。この“抵抗倍増”効果は、従来のフリーウェイトに抵抗を追加しようとする試み、すなわち、典型的には、空間を占有する支持体に追加するために、重く、あるいは扱いにくい重りを必要とすることとは、対照的である。
【0040】
取り外し可能に、相互に取り付けられた装置10は、異なる形態を取ることができる。図2Bでは、1つの装置10の第1及び第2の取付部材21、22は、もう1つの装置10’の対応する第1及び第2の取付部材21’、22’に、取り外し可能に、取り付けられている。1つの装置10をもう1つの装置10’に、取り外し可能に取り付けるための、他の構成も可能である。例えば、代替の実施形態では、二つの装置10、10’は、本体15の一方の端部16において、共通の第1及び第2の取付部材21、22を共有しており、本体15の他方の端部16において、分離した第1及び第2の取付部材21、22を有している。このような構成において、装置10、10’の抵抗は、分離した、対応する第1及び第2の取付部材21、22のみを、相互に、取り外し可能に取り付けることにより、結合することができる。同様に、このような構成において、装置10、10’の抵抗は、分離している、対応する第1及び第2の取付部材21、22を切り離すことによって、分断される。
【0041】
図2Aから2Cを参照すると、各第1及び第2の取付部材21、22は、本体15の1つの端部16に固定された端部キャップ23を含む。端部キャップ23は、成型製造工程の中で、本体15の端部16に固定された成形プラスチック片である。端部キャップ23は、第1の表面24Aと、端部キャップ23の他方側の、第1の表面24Aに対向して配置された第2の表面24Bを有する。第1の表面24Aは、取付機構25を有し、第2の表面23Bは、受入機構26を有する。1つの装置10の取付機構25は、もう1つの装置10’の受入機構26’に、取り外し可能に取り付けることができ、これにより、装置10と10’は、相互に結合される。
【0042】
図示の実施形態では、各取付機構25は、第1の表面24Aから、外向きに延びる突起部27を含む。各受入機構26は、第2の表面24Bに、溝部または溝部28を含む。図2Cに示されるように、突起部27の形態は、突起部27を溝部28に挿入し、固定することができるように、溝部28に対応している。これにより、対応する第1及び第2の取付部材21、22と、第1及び第2の装置10、10’を組み合わせることができる。突起部27と溝部28の形状は、様々である。例えば、図示された実施形態では、突起部27と溝部28は、相補的な形状を有する。突起部27は、U字状の形状を有しており、溝部28もまた、第2の表面24Bの内部に向かって広がるU字状の形状を有する。対応する第1及び第2取付部材21、22を連結するために、1つの取付部材のU字状突起部27を、対応する取付部材のU字状溝部28に滑り込ませる。取付機構25及び受入機構26の構成は、図示の構成に限定されるものではなく、様々であることが理解されるであろう。着脱構造25、26の別の実施形態を以下に説明する。他の実施形態では、取付機構25及び受容構造26は、雄雌を合わせる別の構成、フックと輪による面ファスナー、付勢された構造、磁石、または任意の他の適切な機械的接続を含むことができる。
【0043】
図2B及び2Cを参照すると、セット40によって発生する抵抗を減少させることは、1つの装置10の第1及び第2の取付部材21、22を、別の装置10’の取付部材に、取り外し可能に取り付けておくことによっても、容易に達成できる。より具体的には、ユーザがセット40によって発生した抵抗を減少させたい場合は、1つの装置10の第1及び第2の取付部材21、22の一方または両方を対応する第1及び第2の取付部材21’、22’から単に取り外すかまたは切り離すことができる。必要に応じて、装置10の他方の取付部材21、22が、他方の装置10’の対応する取付部材21’、22’と接続されたままで、一方の装置10の第1または第2の取付部材21、22の一方のみを他方の装置10’の対応する第1及び第2の取付部材21’、22’から取り外す。この切断により、ユーザは1つの装置10の一部のみをセット40から取り外すことができ、それによって装置10全体を切断する必要なしに抵抗を減少させることができる。取付部材の一つがもはやセット40の残りの装置10と接続されていないため、取り外された取付部材に対応する装置10は、そのバンド15が弾性変形したときに抵抗を発生しない。ユーザがセット40の抵抗を増加させたい場合には、取り外した取付部材を素早く再取付することができる。この機能により、セット40のユーザは、装置10からなるセットによって発生した抵抗を迅速に修正(すなわち増加及び減少)することができる。
【0044】
図3は、その装置10のうちの1つが第1及び第2の構造体11、12に取り外し可能に取り付けられているセット40を示す。より具体的には、装置10の第1の取付部材21は第1の構造体11に取り付けられ、第2の取付部材22は第2の構造体12に取り付けられる。セット40の残りの装置10’は、各装置10’の第1及び第2の取付部材21、22に相互に取り付けられることにより、相互に結合している。第2の構造体12が、第1の構造体11に対して、D方向に沿って移動するにしたがい、装置10、10’の全ての第2の取付部材22が移動する。その結果、装置10、10’の本体15に抵抗を生じさせる。ユーザがセット40によって生じる抵抗を減少させたい場合、各装置10、10’の1つ以上の取り付け部材21、22を、他の装置10、10’の対応する取り付け部材21、22から簡単に取り外すかまたは切り離すことができる。
【0045】
図示された実施形態では、装置10、10’のそれぞれは、装置10によって提供される抵抗に関する情報をユーザに提供する1つまたは複数の視覚表示15Bを有する。図示の実施形態では、視覚表示15Bは色である。これは各装置10に固有のものであり、各色は本体15の剛性、またはそれがどの程度の抵抗を発生させるかを示す。マーキング、英数字、または記号などの他の視覚的なしるしもまた、抵抗を示すために使用され得る。別の実施形態では、視標15Bは第1及び第2の取付部材21、22の一方または両方に設けられる。したがって、ユーザは、例えば10ポンドのフリーウェイトによって生じる抵抗と同じ抵抗を有する装置10を選択できることを理解することができる。ユーザは、この装置10を、その色が20ポンドのフリーウェイトによって生じる抵抗と同様の抵抗を示す別の装置10と組み合わせることができる。このセット40の装置10、10’の合成抵抗は、30ポンドのフリーウェイトを持ち上げることによって生じるものと同様である。
【0046】
図示された実施形態では、各装置10、10’の第1及び第2の取付部材21、22のそれぞれは、取付機構25及び受入機構26を有する。これにより、装置10、10’を逆にすることができる。取り付け部材21、22は、他の装置10’の取り付け部材21、22のいずれかと適合性がある。したがって、各装置10の第1及び第2の取付部材21、22は同じ構成または構造を有する。
【0047】
図4A及び図4Bを参照して、装置10の動作の一例を説明する。第2の取付部材22の端部キャップ23は、変位可能な第2の構造体12に取り付けられる。より詳細には、端部キャップ23の第1の表面24Aにあるダブテイル(あり継ぎ)形状の突起27は、第2の構造体12の似た溝溝部12Aに滑り込む。同じように、第1の取付部材21は、固定された第1の構造体11に取り付けられる。抵抗を発生させるために、ユーザは、ケーブル14及び滑車を介して第1及び第2の構造体11、12に連結されている運動器具に力を加える。これによりケーブル14に生じる張力は、第2の構造体12(及びそれに取り付けられた第2の取付部材22)をD方向に沿って第1の構造体(及びそれに取り付けられた第1の取付部材21)に対して移動させる。これにより、装置10の抵抗が発生する。
【0048】
図5Aから5Cは、第1及び第2の取付部材21、22の端部キャップ123の別の実施形態を示す。端部キャップ123は、成型製造工程の中で、本体15の端部16に固定された成形プラスチック片である。端部キャップ123は、第1の表面124Aと、端部キャップ123の反対側の、第1の表面124Aに対向して配置された、第2の表面124Bとを有する。第1の表面124Aは取付機構125を有し、第2の表面124Bは受入機構126を有する。 1つの装置10の取付機構125は、別の装置10’の受入機構126’に取り外し可能に取り付けることができ、それによって装置10、10’を互いに組み合わせることが可能になる。突起部127の形状は、突起部127を溝部128に挿入して固定することができるように溝部128の形状に対応し、それによって対応する第1及び第2の取付部材21、22と第1及び第2の装置10、10’とを組み合わせる。図示された実施形態では、突起部127と溝部128は相補的な形状をしている。突起部127はダブテイル(あり継ぎ)形状を有し、溝部128は、それが第2の表面124B内部に延びるにつれて外側に広がる。対応する第1及び第2の取付部材21、22を接続するために、1つの取付部材のダブテイル(あり継ぎ)突起部127が、対応する取付部材のハの字形溝部128に滑り込む。第1及び第2の構造体11、12は、突起部127を収容するために相補的な形状の溝部を有することができることが理解されるであろう。
【0049】
図1を参照すると、抵抗を発生させる方法も開示されている。この方法は、第1の弾性体15の1つの端部16を固定した第1の構造体11に接続することを含む。方法は、第1の弾性体16の他方の端部16を、移動可能な第2の構造体12に接続することを含む。方法は、少なくとも別の弾性体15の1つの端部16を、第1の弾性体15の端部16のうちの1つに接続することを含む。第2の構造体12を、第1の構造体11に対して移動させて、少なくとも第1の弾性体15を、弾性変形させて抵抗を発生させる。
【0050】
したがって、本明細書に開示されている装置10は、ユーザがトレーニングに必要とされる抵抗を、容易に修正することを可能にすることが理解され得る。例えば、ウェイトトレーニングのように、利用者がより多くの抵抗を経験したい場合、利用者は単に装置10を組み合わせて、装置10のセット40を第1及び第2の構造体11、12に取り付けることができる。同様に、利用者が心血管トレーニングなどのためにより少ない抵抗を経験したい場合、ユーザは単に1つまたは複数の機器10をセット40から取り外すかあるいは切り離す、または、より少ない抵抗を提供する機器10に交換することができる。
【0051】
これは、フリーウェイトを支持体に追加することを必要とする、特定の従来技術の運動器具と比較して有利である。抵抗を修正するためのそのような手法は、比較的重いおもりを操作することを必要とするので、面倒である。さらに、比較的重いおもりを操作すると、おもりが落下して怪我をする可能性や、置き換える際に、人に衝撃を与える可能性がある。構造上のストレスや故障を経験する前に、機械がどれだけの追加重量を支えることができるかにも限界がある。さらに、抵抗を修正するためのそのような技術は、ユーザがトレーニング中に利用可能な異なるフリーウェイトを有することを必要とする。運動に利用可能な適切な量のフリーウェイトを維持することは、面倒で、費用がかかり、起こりそうもない。
【0052】
対照的に、本明細書に開示される装置10は、上述の不都合及びフリーウェイトに関連する潜在的な危険性なしに、抵抗を素早く拡大または縮小することを可能にする。
【0053】
したがって、装置10は、比較的軽量で収納が容易な装置10をより多く追加することによって、ユーザが抵抗を容易に増加させることによって心血管トレーニング及び、またはウエイトトレーニングの運動を容易にする。装置10は、スペースと重量の両方が効率的であり、そして運びやすい。
【0054】
記述子「第1」及び「第2」は、本明細書では単に構成要素を互いに区別するために使用されている。記述子は逆にすることができ、「第1」として説明した構成要素は「第2」として説明することもできることが理解されよう。
【0055】
上記の説明は代表的なものにすぎず、開示された本発明の範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に変更を加えることができることを、当業者は理解するであろう。本開示を検討すれば、本発明の範囲内にある他の変更は当業者には明らかであり、そのような変更は添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
【符号の説明】
【0056】
8 運動器具
10 装置
11 第1の構造体
12 第2の構造体
15 弾性体
15A 弾性バンド
15B 視覚的なしるし
16 端部
21 第1の取付部材
22 第2の取付部材
23 端部キャップ
24A 第1の表面
24B 第2の表面
25 取付機構
27 突起部
28 溝部
40 セット
123 端部キャップ
124A 第1の表面
124B 第2の表面
125 取付機構
126 受入機構
127 突起部
128 溝部
26 受入機構
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C