特許第6944212号(P6944212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6944212
(24)【登録日】2021年9月14日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20210927BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A41D13/11 A
   A41D13/11 H
   A62B18/02 C
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-87958(P2020-87958)
(22)【出願日】2020年5月20日
【審査請求日】2020年6月5日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】520176773
【氏名又は名称】松岡 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 孝夫
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2020−84339(JP,A)
【文献】 特開2004−267694(JP,A)
【文献】 特開平7−284541(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202020102563(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性および弾力性を有する1枚の平板状の布地からなり、
前記布地は、
装着時に鼻、口およびおとがいを覆う本体部と、
耳掛け孔を有し、前記本体部の左右にそれぞれ形成された耳掛けと、
前記耳掛けよりも左右方向内側、かつ、前記布地の上下方向中間部から上端までの任意の位置に形成され、前記耳掛けを通すための左右の通し孔と、
前記布地の下側かつ前記本体部の左右方向外側部分であって装着時に下顎角部を覆う下顎角囲み部と、を備え、
前記耳掛けを前記布地の内側から外側に向かって前記通し孔に通し、前記本体部を鼻および口にあてて前記耳掛けを左右に引っ張って耳に掛けることにより、前記本体部の上側および中央が鼻および口を覆うとともに前記本体部の下側がおとがいをくるみ、かつ、前記下顎角囲み部が下顎角部をくるむよう構成されている
ことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記布地は、ポリウレタンを含むとともに、ハイテンションニットによって構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記布地は、ポリウレタンを含むとともに、ダンボールニットによって構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記布地は、ポリウレタンを7重量%〜15重量%含むとともに、ポリエステル、絹、綿、麻、羊毛、レーヨン、キュプラ、テンセル、ナイロン、ポリエチレン、トリアセテート、ジアセテートのいずれかを85重量%〜93重量%含む
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項5】
前記通し孔は、上下に延びる切込線からなる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項6】
前記通し孔は、上下に複数並んで形成されており、
前記耳掛けは、下側の前記通し孔から上側の前記通し孔に順に、前記布地の内側から外側に向かって前記通し孔を通され、
これにより、左右の前記耳掛けの左右方向内側に複数のタックが形成されるよう構成されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項7】
前記布地が左右に延びる長方形状であって、
前記耳掛けは、前記布地の左右端部から内側に間隔をおいて上下に延びる前記耳掛け孔を有し、前記耳掛け孔よりも左右方向内側に間隔をおいて、前記布地の上端から下方に向かって入れられた切込線によって形成され、
前記本体部は、前記耳掛けを形成する切込線の左右方向内側部分であり、
前記下顎角囲み部は、前記布地の下側かつ前記本体部の左右方向外側部分である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項8】
前記布地の厚みは、0.8mm〜2.0mm、好ましくは、1.0mm〜1.5mmである
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項9】
前記通し孔は、左右方向に間隔をおいて複数設けられており、
前記耳掛けは、ユーザーの顔の大きさに応じて、前記通し孔のうちのいずれかに通される
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻および口を覆うマスクに関し、特に、低コストで大量生産することができるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマスクには、口と鼻を覆う形状で、花粉、ホコリなどの粒子が体内に侵入するのを抑制し、かぜなどの咳やクシャミの飛沫の飛散を抑制することを目的に使用される衛生用マスクがある。衛生用マスク本体の素材として、ガーゼおよび不織布が主に用いられている。そして、衛生用マスクの形状として、ガーゼタイプでは平型が主に採用され、不織布タイプでは、プリーツ型、立体型が採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示のマスクは、不織布タイプのプリーツ型であって、不織布からなるマスク本体と、ノーズフィット部材と、左右一対の装着紐と、を備える。マスク本体には、プリーツ、ギャザーが上下方向に複数併設されており、これにより、マスク本体は、上下方向に拡げることができる。ノーズフィット部材は、軟質の針金などからなり、マスク本体の上部に設けられる。ノーズフィット部材は、マスク本体を着用者の鼻にフィットさせ、これにより、鼻の側方側の隙間を略閉塞させる。装着紐は、伸縮性のある素材からなり、マスク本体の左右に熱接着などによって設けられる。
【0004】
このように、衛生用マスクは、上記目的を達成するためには、マスクを顔に密着させ、マスクと顔との隙間を閉塞させるよう立体性が要求される。一方、上記マスクの場合、マスク本体、ノーズフィット部材および装着紐をそれぞれ加工した後、マスク本体にノーズフィット部材および装着紐を設けるための加工がさらに必要であり、その分、製造コストおよび製造時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019−26995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、立体的に装着することができ、しかも、縫製および接着不要により低コストで大量生産することができるマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るマスクは、
伸縮性および弾力性を有する1枚の平板状の布地からなり、
布地は、
装着時に鼻、口およびおとがいを覆う本体部と、
耳掛け孔を有し、本体部の左右にそれぞれ形成された耳掛けと、
耳掛けよりも左右方向内側、かつ、布地の上下方向中間部から上端までの任意の位置に形成され、耳掛けを通すための左右の通し孔と、
布地の下側かつ本体部の左右方向外側部分であって装着時に下顎角部を覆う下顎角囲み部と、を備え、
耳掛けを布地の内側から外側に向かって通し孔に通し、本体部を鼻および口にあてて耳掛けを左右に引っ張って耳に掛けることにより、本体部の上側および中央が鼻および口を覆うとともに本体部の下側がおとがいをくるみ、かつ、下顎角囲み部が下顎角部をくるむよう構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
上記マスクは、好ましくは、
布地が、ポリウレタンを含むとともに、ハイテンションニットによって構成されている。
【0009】
上記マスクは、好ましくは、
布地が、ポリウレタンを含むとともに、ダンボールニットによって構成されている。
【0010】
上記マスクは、好ましくは、
布地が、ポリウレタンを7重量%〜15重量%含むとともに、ポリエステル、絹、綿、麻、羊毛、レーヨン、キュプラ、テンセル、ナイロン、ポリエチレン、トリアセテート、ジアセテートのいずれかを85重量%〜93重量%含む。
【0011】
上記マスクは、好ましくは、
通し孔が、上下に延びる切込線からなる。
【0012】
上記マスクは、好ましくは、
通し孔が、上下に複数並んで形成されており、
耳掛けが、下側の通し孔から上側の通し孔に順に、布地の内側から外側に向かって通し孔を通され、
これにより、左右の耳掛けの左右方向内側に複数のタックが形成されるよう構成されている。
【0013】
上記マスクは、例えば、
布地が左右に延びる長方形状であって、
耳掛けが、布地の左右端部から内側に間隔をおいて上下に延びる耳掛け孔を有し、耳掛け孔よりも左右方向内側に間隔をおいて、布地の上端から下方に向かって入れられた切込線によって形成され、
本体部が、耳掛けを形成する切込線の左右方向内側部分であり、
下顎角囲み部が、布地の下側かつ本体部の左右方向外側部分である。
【0014】
上記マスクは、好ましくは、
布地の厚みが、0.8mm〜2.0mm、好ましくは、1.0mm〜1.5mmである。
【0015】
上記マスクは、好ましくは、
通し孔が、左右方向に間隔をおいて複数設けられており、
耳掛けは、ユーザーの顔の大きさに応じて、通し孔のうちのいずれかに通される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るマスクは、立体的に装着することができ、しかも、縫製および接着不要により低コストで大量生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施例に係るマスクの内側を示す平面図である。
図2】AおよびBは、図1の耳掛け部を通し孔に通す方法を示す平面図である。
図3図1のマスクが装着されたところを示す斜視図である。
図4】本発明の第2実施例に係るマスクの内側を示す平面図である。
図5図4の耳掛け部を通し孔に通す順序を示す平面図である。
図6図4のマスクが装着されたところを示す斜視図である。
図7】Aは本発明に係るマスクの変形例を示すマスク内側の平面図であり、BはAの耳掛け部を通し孔に通す方法を示す平面図である。
図8】本発明に係るマスクの別の変形例を示すマスク内側の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照しつつ、本発明に係るマスクの各実施例について説明する。なお、左右方向および上下方向については、図中の両矢印XおよびZを基準にしている。
【0019】
<第1実施例>
<マスク>
まず、図1を参照して、マスクMの構成について説明する。図1は、本発明の第1実施例に係るマスクMの内側を示す平面図である。マスクMは、1枚の平板状の布地1からなる。
【0020】
布地1は、ポリエステルを85重量%〜93重量%、ポリウレタンを7重量%〜15重量%含む。これにより、マスクMは、裁断部がほつれることを防止される。また、布地1は、ハイテンションニットからなり、より好ましくは、ダンボールニットからなる。さらに、布地1の厚みは、0.8mm〜2.0mm、好ましくは、1.0mm〜1.5mmで構成される。これらにより、マスクMは、伸縮性および弾力性を有する。
【0021】
布地1の輪郭は、大まかには、中央より上側が略台形と水平部分とからなるハット状に形成され、中央から下側がそれよりも幅広の略逆台形に形成されている。布地1の左右端部は、円弧状に形成され、布地1の下側の輪郭は、両円弧の下側から中央に向かって水平に延びた後、斜め下に向かって下降させられ上記逆台形の斜辺を形成している。布地1の輪郭は、油圧式裁断機によって裁断されている。
【0022】
図1に示すように、マスクMは、本体部10と、耳掛け孔12と、耳掛け14と、通し孔16と、下顎角囲み部18と、を備える。
【0023】
本体部10は、図1の中央仮想枠が示すように、布地1の左右方向中央部分であり、ユーザーの鼻、口およびおとがいを覆う。
【0024】
耳掛け孔12は、ユーザーの耳が通される孔であって、本体部10の左右方向中間部から外側に延びる切込線によって形成されている。耳掛け孔12は、例えば、楕円状にくり抜かれてもよい。
【0025】
耳掛け14は、耳掛け孔12の周囲部分からなり、ユーザーの耳に掛けられる。
【0026】
通し孔16は、耳掛け14が通される孔であって、上側台形の両端において、上下方向に延びる切込線によって形成されている。本実施例では、通し孔16は、ユーザーの顔の大きさに対応できるように、本体部10の左右に左右方向に並んで2つずつ形成されている。左右の通し孔16は、ユーザーの顔の大きさに応じて、耳掛け14を内側または外側にそれぞれ通される。具体的には、ユーザーの顔が大きい場合には外側の通し孔16に、ユーザーの顔が小さい場合には内側の通し孔16に、耳掛け14が通される。
【0027】
下顎角囲み部18は、ユーザーの下顎角部を覆う部分であって、図1の左右仮想枠が示すように、本体部10下側の左右に形成されている。
【0028】
耳掛け孔12および通し孔16を形成する切込線は、油圧式裁断機によって布地1の輪郭とともに一度に加工されている。なお、本実施例におけるマスクMは、油圧式裁断機によって加工されているが、単なる一例であって、加工方法は特に限定されない。布地1は、ポリウレタンを含むことにより断ち切り裁断によっても、伸縮および洗濯の際にほつれることを防止されている。マスクMは、1枚の平板状の生地を裁断機によって一度に裁断するだけで製造でき、追加の縫製および接着が不要であるので、低コストで大量生産することができる。
【0029】
<装着方法>
次いで、図2および図3を参照して、マスクMの装着方法について説明する。
【0030】
(1)図2Aおよび図2Bに示すように、まず、耳掛け14を布地1の内側から外側に向かって通し孔16に通す。本実施例では、耳掛け14を左右に並んだ通し孔16のうちの外側の通し孔16に通している。
【0031】
(2)次いで、本体部10をユーザーUの鼻および口にあてがうとともに、耳掛け14を左右方向に引っ張り、図3に示すように、耳掛け孔12に耳を通し、耳掛け14を耳に掛ける。これにより、本体部10の上側および中央が鼻および口を覆うとともに、図3の矢印が示すように、本体部10の下側がおとがいをくるみ、かつ、下顎角囲み部18が下顎角部をくるむ。その結果、本体部10が鼻、口、およびおとがいを適切に囲みこみ、下顎角囲み部18が下顎角を適切に囲いこむので、ユーザーUは、マスクMを立体的に装着することができる。
【0032】
また、マスクMは、ポリエステルおよびポリウレタンから構成されていることにより、さらりとした付け心地で長時間の使用であってもユーザーUに快適さを提供することができる。また、マスクMは、図2Bに示すように、耳掛け14を布地1の内側から外側に向かって通し孔16を通すことにより、下顎角囲み部18が内側に倒れ込み、かつ、弾力性を有する布地1から構成されているので、下顎角囲み部18が下顎角に適切にあてがわれる。
【0033】
<第2実施例>
次いで、図4図6を参照して、本発明の第2実施例に係るマスクMについて説明する。なお、第2実施例に係るマスクMの布地1の材質および編み方については、第1実施例と共通しているので、詳細な説明を省略する。また、第1実施例と同様の構成については、同様の参照符号を付し、その詳細な説明を省略することがある。
【0034】
<マスク>
はじめに、図4を参照して、第2実施例に係るマスクMの構成について説明する。図4は、第2実施例に係るマスクMの内側を示す。マスクMは、第1実施例と同様の1枚の平板状の布地1からなる。布地1の輪郭は、公知の裁断機によって横長の長方形状に形成されている。
【0035】
図4に示すように、マスクMは、本体部10と、耳掛け孔12と、耳掛け14と、通し孔16と、下顎角囲み部18と、を備える。
【0036】
本体部10は、図4の中央仮想枠が示すように、布地1の左右方向中央部分であり、ユーザーの鼻、口、およびおとがいを覆う。
【0037】
耳掛け孔12は、布地1の左右方向端部から内側に間隔をおいて、上下に延びる切込線によって形成されている。
【0038】
耳掛け14は、耳掛け孔12より少し内側において、布地1の上端から上下方向中央まで入れられた切込線Sによって形成されている。
【0039】
通し孔16は、複数であって、切込線Sよりさらに内側において、上下に延びる複数の切込線によってそれぞれ形成されている。より具体的には、通し孔16は、本体部10の左右において、それぞれ2列、かつ、1列当たり3つずつ上下に並んで形成されている。耳掛け14は、ユーザーの顔の大きさに応じて、内側の列かまたは外側の列の通し孔16に通される。
【0040】
図5の仮想線矢印が示すように、耳掛け14は、下側の通し孔16から上側の通し孔16に順に、布地1の内側から外側に向かって通し孔16を通され、図6に示すように、左右の耳掛け14の内側に複数(本実施例では4つ)のタック20が形成されるよう構成されている。
【0041】
下顎角囲み部18は、ユーザーの顔の下顎角部を覆う部分であって、図4の左右の仮想枠が示すように、本体部10下側の左右部分である。
【0042】
マスクMは、第1実施例と同様に、公知の裁断機によって布地1を一度に裁断されることにより加工されてもよい。布地1は、第1実施例と同様に、ポリウレタンを含むことにより断ち切り裁断によってもほつれることがない。
【0043】
<装着方法>
次いで、図5および図6を参照して、マスクMの装着方法について説明する。
【0044】
図5に示すように、まず、耳掛け14を、下側の通し孔16から上側の通し孔16に順に、布地1の内側から外側に向かって通し孔16を通す。本実施例では、耳掛け14を外側の列の通し孔16に通している。そして、耳掛け14を左右に引っ張ることにより、図6に示すように、複数のタック20を形成する。本実施例では、耳掛け14を3つの通し孔16に通すことにより、ひとかたまりになった4つのタック20を形成している。
【0045】
次いで、図6に示すように、本体部10をユーザーUの鼻および口にあてがうとともに、耳掛け14をさらに左右方向に引っ張り、耳掛け孔12に耳を通し、耳掛け14を耳に掛ける。これにより、本体部10の左右および下端がひとかたまりになったタック20に向かって引っ張られ、本体部10の上側および中央が鼻および口を覆うとともに本体部10の下側がおとがいをくるみ、かつ、下顎角囲み部18がその弾力性によって適切に下顎角部をくるむ。その結果、本体部10が鼻、口、およびおとがいを適切に囲いこみ、下顎角囲み部18が下顎角を適切に囲いこむので、ユーザーUは、マスクMを立体的に装着することができる。
【0046】
本実施例では、通し孔16が上下方向に複数形成され、耳掛け孔12が複数の通し孔16に順に通されることにより本体部10の中央上側の左右端を束ね、その結果、本体部10および下顎角囲み部18がユーザーUの顔を囲むように立体的に形成される。さらに、マスクMは、1枚の平板状の生地を裁断機によって裁断するだけで製造でき、追加の縫製および接着が不要であるので、低コストで大量生産することができることは、第1実施例と同様である。しかも、本実施例のマスクMは、長方形状の布地1から切込線のみによって形成され廃棄する部分がないので、製造における廃棄物の発生を大幅に削減することができる。
【0047】
以上、本発明に係るマスクの実施例について説明してきたが、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。本発明に係るマスクは、例えば、次のような変形例によって実施されてもよい。
【0048】
図7に示すように、マスクMの左右辺は、耳掛け14の上端よりも下方に形成され、本体部10の上辺が山状に形成されていてもよい。これにより、図7のマスクMでは、装着されたとき、本体部10の頂点が鼻の中腹辺りまでしっかりと覆うとともに、本体部10の山部分が頂点から通し孔16にかけて斜めに引っ張られるので、本体部10がよりしっかりと顔にフィットする。
【0049】
・布地1は、例えば、ポリウレタンを7重量%〜15重量%、絹、綿、麻、羊毛、レーヨン、キュプラ、テンセル、ナイロン、ポリエチレン、トリアセテート、ジアセテートのいずれかを85重量%〜93重量%含んでもよい。または、布地1は、ポリエステルを100重量%含み、細い糸番手を用いて撚り回数を多くすることにより弾性を持たせたポリエステル糸によって構成されることにより、伸縮性および弾力性を有してもよい。
【0050】
・布地1は、例えば、その構成要素の糸の撚糸回数によってほつれを防止してもよい。
【0051】
・マスクMは、例えば、図8に示す変形例のマスクMでもよい。図8に示すように、布地1は、長方形からなり、耳掛け孔12は、布地1の左右端から間隔をおいて上下に延びる切込線によって形成されている。耳掛け14は、耳掛け孔12よりも少し内側に間隔をおいて布地1の上端から上下方向中間部まで入れられた切込線Sによって形成され、通し孔16は、切込線Sから内側に間隔をおいて上下に延びる複数(本変形例では4つ)の切込線によってそれぞれ形成されている。さらに、通し孔16は、最上段の通し孔16からさらに内側に間隔をおいて1つ設けられている。本変形例では、耳掛け14は、ユーザーの顔の大きさに応じて、最上段の通し孔16のうちの外側かまたは内側の通し孔16に通される。すなわち、本変形例では、ユーザーの顔の大きさに対応させる追加の通し孔16が最上段にのみ配置されている。これにより、本変形例のマスクMは、第2実施例のマスクMに比して、密閉度が高くなっている。また、このマスクMの耳掛け孔12の上方のスペースは、第2実施例のマスクMの耳掛け孔の上方のスペースよりも大きく設けている。そのため、ユーザーは、このスペースをはさみなどで切り込みを入れることにより、耳掛け孔をさらに大きくすることができる。
【符号の説明】
【0052】
M マスク
S 切込線
U ユーザー
1 布地
10 本体部
12 耳掛け孔
14 耳掛け
16 通し孔
18 下顎角囲み部
20 タック
【要約】
【課題】立体的に装着することができ、かつ、縫製および接着不要により低コストで大量生産する。
【解決手段】マスクMは、伸縮性および弾力性を有する1枚の平板状の布地1からなり、布地1は、鼻、口およびおとがいを覆う本体部10と、耳掛け孔12を有し本体部10の左右にそれぞれ形成された耳掛け14と、耳掛け14よりも左右方向内側、かつ、布地1の上下方向中間部から上端までの任意の位置に形成され、耳掛け14を通すための左右の通し孔16と、装着時に顔の下顎角部を囲む下顎角囲み部18と、を備える。耳掛け14を布地1の内側から外側に向かって通し孔16に通し、本体部10を鼻および口にあてて耳掛け14を左右に引っ張り耳に掛けることにより、本体部10の上側および中央が鼻および口を覆うとともに本体部10の下側がおとがいをくるみ、かつ、下顎角囲み部18が下顎角部をくるむ。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8