【実施例】
【0027】
以下の実施例では、追加のプロセス、システム及び方法が、プランク済みストリンガ及びスパーを含む強化された構造を利用した航空機翼に照らして説明される。
【0028】
図10は、例示的な実施形態における、主翼ボックスの機外区域1000のブロック図である。
図10に示されるように、機外区域1000は外板1010を含み、外板1010は、プランク済みストリンガ1020の境界となるか、プランク済みストリンガ1020を取り囲んでいる。プランク済みストリンガ1020は外板1010と共硬化されており、プランク済みストリンガ1020間には、間隙1030がある。アクセスポイント1012は、間隙1030のところで外板1010を貫通しており、それによって、プランク済みストリンガ1020の構造的完全性が何ら損なわれないことが確実になっている。スパー1040は、対応するプランク済みストリンガ1020に固定して取り付けられており、それによってプランク済みストリンガ1020が座屈しないことを確実にしている。
【0029】
図面をより具体的に参照すると、本開示の実施形態は、
図11に示す航空機の製造及び保守方法1100、及び
図12に示す航空機1102に照らして記載され得る。製造前段階では、例示の方法1100は、航空機1102の仕様及び設計1104と、材料の調達1106とを含み得る。製造段階では、航空機1102の構成要素及びサブアセンブリの製造1108と、システムインテグレーション1110とが行われる。その後、航空機1102は、認可及び納品1112を経て運航1114に供され得る。顧客により運航される間に、航空機1102は、定期的な整備及び保守1116(改造、再構成、改修なども含み得る)が予定される。
【0030】
方法1100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/またはオペレータ(例えば顧客)によって実行または実施され得る。本書の目的に関しては、システムインテグレータとは、限定しないが、任意の数の航空機製造者及び主要システムの下請業者を含んでいてもよく、第三者とは、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでいてもよく、オペレータとは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってもよい。
【0031】
図12に示すように、例示的な方法1100によって製造された航空機1102は、複数のシステム1120及び内装1122を備えた機体1118を含み得る。高次のシステム1120の例には、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、及び環境システム1130のうちの1つ以上が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてよい。航空宇宙産業の例が示されているが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用され得る。
【0032】
本書で具現化される装置及び方法は、製造及び整備方法1100中の任意の1つ以上の段階において用いられ得る。例えば、製造段階1108に対応する構成要素またはサブアセンブリは、航空機1102の運航期間中に製造される構成要素またはサブアセンブリと、類似の方法で作製または製造され得る。また、1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、またはそれらの組み合わせは、例えば、航空機1102の組立てを実質的に効率化するか、または航空機1102のコストを削減することによって、製造段階1108及び1100で利用され得る。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、或いはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を、航空機1102の運航中に、例えば限定しないが、保守及び整備1116に利用することができる。例えば、本明細書に記載される技法とシステムは、ステップ1106、1108、1110、1114、及び/または1116で使用され得、及び/または機体1118及び/または内装1122において使用され得る。これらの技法とシステムは、例えば、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、及び/または環境システム1130を含む、システム1120にも用いることが可能である。
【0033】
一実施形態では、プランク済みストリンガ240は、機体118の一部から成り、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1108中に製造される。プランク済みストリンガ240は次に、システムインテグレーション1110において航空機の中に組み立てられ、その後摩耗により航空機1118の一部が使用不能となるまで、運航1114において用いられ得る。ここで、整備及び保守1116で、機体1118の使用不能な部分と交換するため、機体1118の新たに製造された部分(例えば新しいプランク済みストリンガ)が設置され得る。
【0034】
図示された、または本書に記載された様々な制御要素(例えば、AFPマシンを管理する電気部品または電子部品)はどれも、ハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサ、ファームウェアを実行するプロセッサ、またはこれらの何らかの組み合わせとして実装され得る。例えば、ある要素は専用ハードウェアとして実装され得る。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、または同様の何らかの専門用語で称されうる。機能がプロセッサによって提供される場合、その機能を提供するものは、単一の専用プロセッサであっても、単一の共有プロセッサであっても、そのうちのいくつかが共有となり得る複数の個別のプロセッサであってもよい。更に、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語が明示的に使用される場合、ソフトウェアの実行が可能なハードウェアのみを表わすと解釈されるべきでなく、限定しないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、もしくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア記憶用の読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性ストレージ、ロジックもしくは何らかの他の物理的ハードウェアコンポーネントもしくはモジュールなどが黙示的に含まれていてよい。
【0035】
また、ある要素は、その要素の機能を実施するためにプロセッサまたはコンピュータが実行可能な、命令として実装されてよい。命令のいくつかの例は、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアである。命令は、その要素の機能を実施するようにプロセッサに指示するためにプロセッサによって実行されるときに動作可能である。命令は、プロセッサが読み取り可能な記憶デバイス上に記憶されていてよい。記憶装置のいくつかの例は、デジタルもしくはソリッドステートメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、または光学式可読デジタルデータ記憶媒体である。
【0036】
更に、本開示は以下の条項による実施形態を含む。
【0037】
条項1 翼の内部空間を取り囲み、翼に加えられるせん断応力に耐えるように並べられた繊維配向を有する炭素繊維強化ポリマー(CFRP)の層を含む外板と、
翼の内部で横方向に配向され、内部空間内で外板に接触し、外板に取り付けられ、翼で曲げに耐えるように並べられた繊維配向を有するCFRPの層を含むプランク済みストリンガと、
翼の上側部分のプランク済みストリンガと翼の下側部分のプランク済みストリンガとの間に配置され、プランク済みストリンガと位置合わせされた、スパー
を備える、航空機翼の一区域
を備えるシステム。
【0038】
条項2 プランク済みストリンガの各層は平面であり、
プランク済みストリンガの各層は外板の層と平行である、
条項1に記載のシステム。
【0039】
条項3 機首方向から機尾方向に延びる垂直面に相当する各プランク済みストリンガの断面が四辺形である、
条項1に記載のシステム。
【0040】
条項4 機首方向から機尾方向に延びる垂直面に相当する各プランク済みストリンガの断面が、プランク済みストリンガの断面が、最大で機首方向から機尾方向への大きさ45°を超える傾斜を含んでいない、
条項1に記載のシステム。
【0041】
条項5 機首方向から機尾方向に延びる垂直面に相当する各プランク済みストリンガの断面が、オーバーハングを含んでいない、
条項1に記載のシステム。
【0042】
条項6 各プランク済みストリンガの厚さが、少なくとも機首方向に2延びる間に厚さが1減るという比で、機首方向から機尾方向、及び機尾方向から機首方向へと先細になっている、
条項1に記載のシステム。
【0043】
条項7 各プランク済みストリンガの厚さが、少なくとも横方向に10延びる間に厚さが1減るという比で、プランク済みストリンガが翼端方向に延びるのにつれて先細になっている、
条項1に記載のシステム。
【0044】
条項8 各スパーの厚さが、翼端の方に行って、対応するプランク済みストリンガが先細になる量に応じて増加する、
条項7に記載のシステム。
【0045】
条項9 各プランク済みストリンガが外板に共硬化されている、
条項1に記載のシステム。
【0046】
条項10 各スパーが、固定要素を介してプランク済みストリンガに固定して取り付けられている、
条項1に記載のシステム。
【0047】
条項11 各スパーが、プランク済みストリンガに接合されている、
条項1に記載のシステム。
【0048】
条項12 各プランク済みストリンガは内部空間内に配置され、機首方向から機尾方向に延びる外板の一部を覆い、
プランク済みストリンガは、機首方向から機尾方向にかけて、間隙によって間を空けて置かれ、
翼の内部機構へのアクセスポイントが、プランク済みストリンガを貫通することなく、間隙において外板を貫通している、
条項1に記載のシステム。
【0049】
条項13 外板及びプランク済みストリンガが炭素繊維強化ポリマー(CFRP)の層を含む、
条項1に記載のシステム。
【0050】
条項14 プランク済みストリンガの幅対厚さの比は、10を超過しない、
条項1に記載のシステム。
【0051】
条項15 航空機翼の一区画の表面を画定する複合材外板と、
複合材外板に接触し、複合材外板に一体化され、航空機翼の内部で横方向に配向されている、上側の複合材製プランク済みストリンガと、
上側の複合材製プランク済みストリンガに固定して取り付けられ、上側の複合材製プランク済みストリンガの一部の下方で垂直に延び、スパーの下部に位置する下側の複合材製プランク済みストリンガに、固定して取り付けられている、スパー
を備える、システム。
【0052】
条項16 上側の複合材製プランク済みストリンガの幅対厚さの比は、10を超過しない、
条項15に記載のシステム。
【0053】
条項17 航空機翼の一部を画定する複合材外板をレイアップすることと、
翼の内部で横方向に配向され且つ外板に接触している、複合材製プランク済みストリンガをレイアップすることと、
プランク済みストリンガを外板に取り付けることと、
プランク済みストリンガを、複合材製プランク済みストリンガの下方で垂直に伸びるスパーに取り付けること
を含む、方法。
【0054】
条項18 複合材外板を、複合材製プランク済みストリンガと別の複合材製プランク済みストリンガとの間の間隙で切開し、それによって航空機翼の内部空間にアクセスするためのアクセスパネルを作製すること
を更に含む、条項17に記載の方法。
【0055】
条項19 複合材製プランク済みストリンガをスパーに取り付けることは、スパーをプランク済みストリンガに締結することを含む、
条項17に記載の方法。
【0056】
条項20 複合材製プランク済みストリンガをレイアップすることは、複合材製プランク済みストリンガの厚さを、少なくとも機首方向に2延びる間に厚さが1減るという比で、機尾方向から機首方向へと先細にすること
を含む、条項17に記載の方法。
【0057】
本明細書に記載されているのは特定の実施形態であるが、本開示の範囲は、それら特定の実施形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲及びその全ての均等物によって規定されるものである。