(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれ第1折曲線を介して順に連続する第1側板、第2側板、第3側板、及び第4側板を有し、前記第1側板と前記第4側板が同一平面上に配置され、前記第1側板と前記第4側板の一面側に前記第2側板と前記第3側板が同一平面上に配置された外周壁と、
前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板、及び前記第4側板の下縁にそれぞれ連続した第1フラップ、第2フラップ、第3フラップ、及び第4フラップを有し、前記第1フラップと前記第2フラップが前記第1側板と前記第2側板の間に折り曲げられて配置され、前記第3フラップと前記第4フラップが前記第3側板と前記第4側板の間に折り曲げられて配置された底壁と
を備え、
前記第1フラップの前記第4フラップとは反対側と、前記第3フラップの前記第2フラップとは反対側には、前記第1折曲線の下端からこの第1折曲線に対して離れる向きに延びる第2折曲線を介して突出する貼着部がそれぞれ連設され、
前記第1フラップに連設された前記貼着部に前記第2フラップが貼着され、前記第3フラップに連設された前記貼着部に前記第4フラップが貼着されており、
前記第1フラップと前記第3フラップには、前記第2折曲線を越えて前記貼着部内へ延びるように設けた切断線によって、前記第2折曲線に沿った折り曲げを規制する規制部が設けられている、折畳み式包装箱。
それぞれ第1折曲線を介して順に連続する第1側板、第2側板、第3側板、及び第4側板を有し、前記第1側板と前記第4側板が同一平面上に配置され、前記第1側板と前記第4側板の一面側に前記第2側板と前記第3側板が同一平面上に配置された外周壁と、
前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板、及び前記第4側板の下縁にそれぞれ連続した第1フラップ、第2フラップ、第3フラップ、及び第4フラップを有し、前記第1フラップと前記第2フラップが前記第1側板と前記第2側板の間に折り曲げられて配置され、前記第3フラップと前記第4フラップが前記第3側板と前記第4側板の間に折り曲げられて配置された底壁と
を備え、
前記第2フラップの前記第3フラップとは反対側と、前記第3フラップの前記第2フラップとは反対側には、前記第1折曲線の下端からこの第1折曲線に対して離れる向きに延びる第2折曲線を介して突出する貼着部がそれぞれ連設され、
前記第2フラップに連設された前記貼着部に前記第1フラップが貼着され、前記第3フラップに連設された前記貼着部に前記第4フラップが貼着されており、
前記第2フラップと前記第3フラップには、前記第2折曲線を越えて前記貼着部内へ延びるように設けた切断線によって、前記第2折曲線に沿った折り曲げを規制する規制部が設けられている、折畳み式包装箱。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された包装箱では、第1フラップと第3フラップに対して貼着部がそれぞれ同一平面上に位置している。よって、折畳み状態の包装箱の底側では、第1側板(第3側板)、第1フラップ(第3フラップ)、貼着部、第2フラップ(第4フラップ)、及び第2側板(第4側板)が重なり合っている。つまり、折畳み状態の包装箱は、底側が5層構造になり、反対側が2層構造になるため、バランスが悪い。
【0006】
特許文献2に開示された包装箱では、第1フラップと第3フラップの上側に貼着部が折り曲げて配置されている。よって、折畳み状態の包装箱の底側では、第1フラップと第3フラップに対して貼着部が同一平面上にそれぞれ位置する。つまり、特許文献2の包装箱の折畳み状態では、底側が4層構造になるため、特許文献1の包装箱と比べてバランスが改善されている。しかし、特許文献2では、第1フラップ及び第2フラップと貼着部との間に展開する向きの反発力が作用するため、折畳み状態の包装箱を組み立てる際の作業性が悪い。
【0007】
本発明は、折畳み状態でのバランスを改善するとともに、組立時の作業性を向上できる折畳み式包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の折畳み式包装箱は、それぞれ第1折曲線を介して順に連続する第1側板、第2側板、第3側板、及び第4側板を有する四角筒状の外周壁と、前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板、及び前記第4側板の下縁から内向きにそれぞれ突出した第1フラップ、第2フラップ、第3フラップ、及び第4フラップを有し、前記外周壁の底を塞いだ四角形状の底壁とを備える。
【0009】
第1態様では、前記第1フラップの前記第2フラップ側と、第3フラップの前記第4フラップ側には、前記底壁の角から中央に向けて延びる第2折曲線を介して、前記第1フラップと前記第3フラップの上側に折り曲げられた貼着部がそれぞれ連設され、前記第1フラップに連設された前記貼着部の上側に前記第2フラップが貼着され、前記第3フラップに連設された前記貼着部の上側に前記第4フラップが貼着されており、前記第1フラップと前記第3フラップには、前記第1フラップ又は前記第3フラップから離れる向きへの前記貼着部の回転を規制する規制部が設けられている。
【0010】
第2態様では、前記第2フラップの前記第1フラップ側と、第3フラップの前記第4フラップ側には、前記底壁の角から中央に向けて延びる第2折曲線を介して、前記第2フラップと前記第3フラップの上側に折り曲げられた貼着部がそれぞれ連設され、前記第2フラップに連設された前記貼着部の上側に前記第1フラップが貼着され、前記第3フラップに連設された前記貼着部の上側に前記第4フラップが貼着されており、前記第2フラップと前記第3フラップには、前記第2フラップ又は前記第3フラップから離れる向きへの前記貼着部の回転を規制する規制部が設けられている。
【0011】
これらの折畳み式包装箱によれば、貼着部を突設したフラップに、そのフラップから離れる向きへの貼着部の回転を規制する規制部を設けているため、組立状態の包装箱が折畳み状態に戻ることを抑制できる。また、規制部は隣接するフラップに貼着されないため、包装箱内に収容した物品の荷重による引張力が規制部に集中することはない。よって、包装箱の底壁が規制部の形成部分から引き裂けることを防止できる。
【0012】
折畳み状態の包装箱は、それぞれ第1折曲線を介して順に連続する第1側板、第2側板、第3側板、及び第4側板を有し、前記第1側板と前記第4側板が同一平面上に配置され、前記第1側板と前記第4側板の一面側に前記第2側板と前記第3側板が同一平面上に配置された外周壁と、前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板、及び前記第4側板の下縁にそれぞれ連続した第1フラップ、第2フラップ、第3フラップ、及び第4フラップを有し、前記第1フラップと前記第2フラップが前記第1側板と前記第2側板の間に折り曲げられて配置され、前記第3フラップと前記第4フラップが前記第3側板と前記第4側板の間に折り曲げられて配置された底壁とを備える。
【0013】
第1態様では、前記第1フラップの前記第4フラップとは反対側と、前記第3フラップの前記第2フラップとは反対側には、前記第1折曲線の下端からこの第1折曲線に対して離れる向きに延びる第2折曲線を介して突出する貼着部がそれぞれ連設され、前記第1フラップに連設された前記貼着部に前記第2フラップが貼着され、前記第3フラップに連設された前記貼着部に前記第4フラップが貼着されており、前記第1フラップと前記第3フラップには、
前記第2折曲線を越えて前記貼着部
内へ延びるように設けた切断線によって、前記第2折曲線に沿った折り曲げを規制する規制部が設けられている。
【0014】
第2態様では、前記第2フラップの前記第3フラップとは反対側と、前記第3フラップの前記第2フラップとは反対側には、前記第1折曲線の下端からこの第1折曲線に対して離れる向きに延びる第2折曲線を介して突出する貼着部がそれぞれ連設され、前記第2フラップに連設された前記貼着部に前記第1フラップが貼着され、前記第3フラップに連設された前記貼着部に前記第4フラップが貼着されており、前記第2フラップと前記第3フラップには、
前記第2折曲線を越えて前記貼着部
内へ延びるように設けた切断線によって、前記第2折曲線に沿った折り曲げを規制する規制部が設けられている。
【0015】
これらの包装箱によれば、フラップが連設された側板の底側は4層構造になり、側板の逆側は2層構造になる。よって、この態様の包装箱では、底側が5層構造となる包装箱と比べて、折畳み状態でのバランスを改善できる。その結果、出荷時に折畳み状態の包装箱を積み重ねて紐で縛る際の作業性を向上できる。
【0016】
前記第1フラップと前記第3フラップの前記規制部は、前記第2折曲線から突出する凸部であり、前記貼着部には、前記第2折曲線から前記凸部が突出する向きに対して逆向きに窪む凹部が形成されている。そして、前記凸部と前記凹部は相補的形状である。
【0018】
前記第1フラップに連設された前記貼着部の前記第1側板側には、前記第1側板から離れる向きに傾斜する傾斜縁が形成されるとともに、前記第3フラップに連設された前記貼着部の前記第3側板側には、前記第3側板から離れる向きに傾斜する傾斜縁が形成されている。また、前記第2フラップの前記第1側板側には、前記第1フラップに連設された前記貼着部の前記傾斜縁と
同じ傾斜角で傾斜する傾斜縁が形成されるとともに、前記第4フラップの前記第3側板側には、前記第3フラップに連設された前記貼着部の前記傾斜縁と
同じ傾斜角で傾斜する傾斜縁が形成されている。この態様によれば、外周壁を広げる際に側板への貼着部の干渉を抑制できるため、組立作業性を向上できる。また、貼着部が側板に干渉することで、他方のフラップが第2折曲線に沿って折れ曲がることを防止できる。
【0019】
前記第1フラップと前記第3フラップは、互いの先端が重なり合っており、前記第1フラップの先端と前記第3フラップの先端のうち、少なくとも一方には他方を差し込んで配置した切欠部が形成されている。この態様によれば、第1フラップと第3フラップのうち一方の切欠部に他方が差し込まれているため、収容した物品の重量で折畳み式包装箱の底壁が抜けることを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の折畳み式包装箱では、規制部によって貼着部が折畳み状態に戻ることを抑制できる。また、折畳み状態の包装箱を組み立てる際の作業性を向上できる。また、折畳み状態では貼着部がフラップに対して同一平面上に位置するため、折畳み状態での折畳み式包装箱のバランスを改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1から
図9Aは、本発明の第1実施形態に係る折畳み式包装箱(以下「包装箱」という)10を示す。
図1から
図3に示すように、包装箱10は、四角筒状の外周壁12と、外周壁12の底側の開口を塞ぐ底壁18と、外周壁12の天側の開口を塞ぐ天壁25とを備える。
図7A及び
図8を参照すると、この包装箱10は、折畳み状態の外周壁12を四角筒状に広げることで、底壁18を構成する底フラップ19A〜19Dによって外周壁12の底を塞ぐことが可能なワンアクション組立式である。
【0024】
(包装箱の概要)
包装箱10は、
図5Aに示す一枚のブランクの所定部位を折り曲げて糊付けすることで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナと裏ライナの間に波状の中しんを配設した構成である。
図5A中の一点鎖線は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。
図5A中の実線は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(縁)である。
【0025】
図1から
図3に示すように、外周壁12は、それぞれ汎用罫線からなる折曲線(第1折曲線)15a〜15cを介して順に連続する、側板(第1側板)13A、側板(第2側板)13B、側板(第3側板)13C、及び側板(第4側板)13Dを備える。
図5Aを参照すると、側板13Aの側板13Bとは反対側の端部には、折曲線(第1折曲線)15dを介して糊代板14が連設されている。糊代板14は、酢酸ビニルエマルジョン等の接着剤によって、側板13Dの側板13Cとは反対側の端部に貼着されている。これにより、側板13Dは糊代板14を介して側板13Aに連設されている。
【0026】
側板13Aと側板13Cは、概ね同一の四角形状であり、互いに対向している。側板13Bと側板13Dは、側板13Aと側板13Cよりも横幅が狭い概ね同一の四角形状である。側板13Bと側板13Dは、側板13Aと側板13Cに対して直交方向に延び、互いに対向している。
【0027】
図1から
図2Bに示すように、底壁18は、底フラップ(第1フラップ)19A、底フラップ(第2フラップ)19B、底フラップ(第3フラップ)19C、及び底フラップ(第4フラップ)19Dを備える。底フラップ19A〜19Dは、汎用罫線からなる折曲線20a〜20dを介して側板13A〜13Dの下縁に連設され、側板13A〜13Dから内向きに突出している。折曲線20a〜20dは、側板13A〜13Dの側縁である折曲線15a〜15dに対して交差する方向に延びている。
【0028】
図5Aを参照すると、底フラップ19Aと底フラップ19Cは、概ね同一の四角形状であり、互いに対向している。底フラップ19Bと底フラップ19Dは概ね同一の台形状であり、これらの横幅は底フラップ19Aと底フラップ19Cの横幅よりも狭い。底フラップ19Bと底フラップ19Dは、底フラップ19Aと底フラップ19Cに対して直交方向に突出し、互いに対向している。
【0029】
底フラップ(第1フラップ)19Aには、隣接する底フラップ(第2フラップ)19B側に折曲線(第2折曲線)22aを介して貼着部21Aが連設されている。底フラップ(第3フラップ)19Cには、隣接する底フラップ(第4フラップ)19D側に折曲線(第2折曲線)22bを介して貼着部21Bが連設されている。貼着部21A,21Bは、折曲線22a,22bを斜辺とする概ね三角形状に形成されている。
【0030】
折曲線22a,22bは、本実施形態では汎用罫線によって構成されているが、汎用罫線上に切断線を設けたリード罫によって構成してもよい。折曲線22a,22bは、底壁18の角から中央に向けて延びている。底フラップ19Aの底フラップ19B側の角C1とは、折曲線15a,20a,20bの交点である。底フラップ19Cの底フラップ19D側の角C2とは、折曲線15c,20c,20dの交点である。折曲線22aは、交点C1から折曲線20aに対して45度の傾斜角度で形成され、折曲線22bは、交点C2から折曲線20cに対して45度の傾斜角度で形成されている。
【0031】
図4を参照すると、貼着部21A,21Bは、折曲線22a,22bに沿って折り曲げられ、底フラップ19A,19Cの上側に重ねて配置されている。貼着部21Aの上側には底フラップ19Bの一部分が貼着され、貼着部21Bの上側には底フラップ19Dの一部分が貼着されている。貼着(糊付け)には、酢酸ビニルエマルジョン等の接着剤を用いることができる。
【0032】
図1及び
図3に示すように、天壁25は、天フラップ26A、天フラップ26B、天フラップ26C、及び天フラップ26Dを備える。天フラップ26A〜26Dは、汎用罫線からなる折曲線27a〜27dを介して側板13A〜13Dの上縁に連設され、側板13A〜13Dから内向きに突出している。折曲線27a〜27dは、側板13A〜13Dの側縁を構成する折曲線15a〜15dに対して交差する方向に延びるとともに、側板13A〜13Dの下縁を構成する折曲線20a〜20dに対して平行に延びている。
【0033】
図5Aを併せて参照すると、天フラップ26Bと天フラップ26Dは、概ね同一の四角形状をなす内フラップであり、互いに対向している。天フラップ26Aと天フラップ26Cは、天フラップ26Bと天フラップ26Dよりも横幅が広い概ね同一の四角形状の外フラップである。天フラップ26A,26Cは、天フラップ26B,26Dに対して直交方向に延び、天フラップ26B,26Dの上側に重ねて配置されることで、外周壁12の天側の開口を塞ぐ。折曲線27a〜27dから天フラップ26A〜26Dの先端までの天フラップ26A〜26Dの突出長さは、外周壁12の天側の開口を塞いだ状態で、天フラップ26Aの先端と天フラップ26Cの先端が突き合う寸法に設定されている。
【0034】
図5Aのブランクを製函する際には、
図6に示すように、折曲線20a〜20dに沿って、側板13A〜13Dに対して底フラップ19A〜19Dを折り曲げる。ついで、側板13Bに対して側板13Aを、折曲線15aに沿って折り曲げた後、側板13Cに対して側板13Dを、折曲線15cに沿って折り曲げる。そして、糊代板14に対して側板13Dを貼着する。また、底フラップ19Aに連設された貼着部21Aに底フラップ19Bを貼着するとともに、底フラップ19Cに連設された貼着部21Bに底フラップ19Dを貼着する。これにより、折畳み状態の包装箱10の製函が完了する。
【0035】
図7Aを参照すると、折畳み状態の包装箱10は、底フラップ19A,19Cに対して貼着部21A,21Bが同一平面上に位置している。この折畳み状態の包装箱10を組み立てる際には、
図8に示すように、折曲線15bに沿って側板13Bと側板13Cを折り曲げるとともに、折曲線15dに沿って側板13Aと側板13Dを折り曲げる。これにより、底フラップ19A〜19Dが連動して、側板13A〜13Dに対して下向きに折れ曲がる。そして、外周壁12を四角筒状に広げることで、
図1から
図2Bに示すように、底フラップ19A〜19Dによって、外周壁12の底側の開口を塞ぐことができる。
【0036】
(底壁の詳細)
折畳み状態の包装箱10を組み立てる際、貼着部21A,21Bは、底フラップ19A,19Cに対して折曲線22a,22bに沿って折り曲げられ、底フラップ19A,19Cの上側に重ね合わされる。このとき、
図7Bに示すように、貼着部21A,21Bには、段ボールシートの腰(剛度)によって展開する向きD1、つまり底フラップ19A,19Cから離れる向きD1に戻る反発力が作用する。よって、包装箱10を組み立てる際の作業性が悪い。
【0037】
よって、
図1から
図2Bに示すように、底フラップ19A,19Cには、折曲線22a,22bに沿った折り曲げと、貼着部21A,21Bの回転とを規制する凸部(規制部)30が設けられている。また、貼着部21A,21Bを含む底フラップ19A〜19Dには、側板13A,13Cとの干渉を抑えるための傾斜縁34a〜35bと、底フラップ19A,19C及び底フラップ19D,19Bの干渉を抑えるための傾斜縁36a,36bとが設けられている。さらに、底壁18には、収容した物品の重量による抜け防止を図るための切欠部37a,37bが設けられている。
【0038】
(規制部の詳細)
図1、
図2A、及び
図5Aに示すように、凸部30は、折曲線22a,22bから貼着部21A,21B内へ突出するように、底フラップ19A,19Cに設けられている。凸部30は台形状であり、底フラップ19A,19Cの突出方向の全長の概ね中央に位置するように、底フラップ19A,19Cから同一平面上に突出している。また、底フラップ19A,19Cには、折曲線22a,22bから凸部30が突出する向きに対して逆向きに窪む凹部31がそれぞれ形成されている。凸部30と凹部31は相補的形状であり、底フラップ19A,19Cと貼着部21A,21Bの間に切断線32を設け、底フラップ19A,19Cに対して貼着部21A,21Bを折り曲げることで形成されている。
【0039】
図5B及び
図5Cを参照すると、切断線32は、第1端32aと第2端32bが底フラップ19A,19C上に位置し、折曲線22a,22bを越えて貼着部21A,21B内へ延びている。展開状態で貼着部21A,21B内に位置する中間部32cは、折曲線22a,22bに沿って平行に延びている。なお、切断線32の両端32a,32b間には、折曲線22a,22bは形成されていない。
【0040】
図7B及び
図8に示すように、折畳み状態の包装箱10を組み立てる際、底フラップ19A,19Cに対して貼着部21A,21Bが折り曲げられると、底フラップ19A,19Cから突出する凸部30が、隣接する底フラップ19B,19Dに干渉する。そして、凸部30と底フラップ19B,19Dは、弾性的に撓みながら相対的に摺接することで、組立作業が行われる。
図7Bに示す状態、つまり底フラップ19A,19Cと底フラップ19B,19Dが直交方向に位置する中立状態を基準として、組み立てる向きD2へ凸部30が回転すると、逆向きD1への貼着部21A,21Bの回転が凸部30によって規制される。よって、組立時に包装箱10が折畳み状態に戻ることを抑制できるため、包装箱10の組立作業性を向上できる。
【0041】
ここで、凸部30の突出寸法P、つまり折曲線22a,22bから凸部30の先端までの突出寸法Pが小さ過ぎると、貼着部21A,21Bの回転規制効果が十分に得られない。よって、包装箱10を段ボール紙によって構成する場合、凸部30の突出寸法Pは、0.5mm以上とすることが好ましく、1mm以上とすることがより好ましい。また、包装箱10を単一の厚紙によって構成する場合、凸部30の突出寸法Pは、0.5mm以上とすることが好ましい。
【0042】
また、凸部30の突出寸法Pが大き過ぎると、底フラップ19B,19Dに過度に干渉することで、凸部30に折癖が付いたり、凸部30の基部が裂けたりするという不都合がある。よって、包装箱10を段ボール紙によって構成する場合、凸部30の突出寸法Pは、段ボール紙の厚みtに対してt×3mm以下とすることが好ましく、t√2+1mm以下とすることがより好ましい。また、包装箱10を単一の厚紙によって構成する場合、凸部30の突出寸法Pは、5mm以下とすることが好ましい。
【0043】
つまり、包装箱10を段ボール紙によって構成する場合、凸部30の突出寸法Pは、0.5mm以上t×3mm以下とすることが好ましく(0.5mm≦P≦t×3mm)、1mm以上t√2+1mm以下とすることがより好ましい(1mm≦P≦t√2+1mm)。また、包装箱10を単一の厚紙によって構成する場合、0.5mm以上5mm以下とすることが好ましい。このようにすれば、凸部30によって貼着部21A,21Bの回転規制効果を十分に得ることができるうえ、凸部30に折癖が付いたり裂けたりすることを防止できる。
【0044】
このように、本実施形態の包装箱10には、底フラップ19A,19Cに凸部30をそれぞれ設けているため、底フラップ19A,19Cから離れる向きC1への貼着部21A,21Bの回転を規制できる。よって、組立状態の包装箱10が折畳み状態に戻ることを抑制できる。また、凸部30は隣接する底フラップ19B,19Dには貼着されないため、包装箱10内に収容した物品の荷重による引張力が凸部30に集中することはない。よって、包装箱10の底壁18が凸部30の形成部分から引き裂けることを防止できる。
【0045】
(傾斜縁の詳細)
傾斜縁34aは貼着部21Aの側板13A側に形成され、傾斜縁34bは貼着部21Bの側板13C側に形成されている。傾斜縁34a,34bは、折曲線22a,22bの基端側から先端側に向けて、側板13A,13Cから離れる向きに傾斜している。
【0046】
傾斜縁35a,35bは、貼着部21A,21Bの傾斜縁34a,34bと一致するように、底フラップ19B,19Dに形成されている。傾斜縁35aは、底フラップ19Bの側板13A側に形成されており、折曲線20a,20bの交点C1から、底壁18の中央に向けて延び、側板13Aから離れる向きに傾斜している。傾斜縁35bは、底フラップ19Dの側板13C側に形成されており、折曲線20c,20dの交点C2から、底壁18の中央に向けて延び、側板13Cから離れる向きに傾斜している。
【0047】
図8に示すように、包装箱10の組立時には、貼着部21A,21Bと底フラップ19B,19Dとが側板13A,13Cに干渉する。これらが過度に干渉すると、抵抗が大きくなるため、組立作業性が悪くなるだけでなく、折曲線を形成していない底フラップ19B,19Dが、折曲線22a,22bに沿って折れ曲がる。
【0048】
図5Bに二点鎖線で示すように、貼着部21A,21Bに傾斜縁34a,34bを形成しない場合(特許文献2)、折曲線22a,22bに対して直交する方向の貼着部21A,21Bの最大の幅はW1である。この幅Wが広くなるに従って、側板13A,13Cへの貼着部21A,21B及び底フラップ19B,19Dの干渉による抵抗が大きくなる。
【0049】
本実施形態の貼着部21A,21Bと底フラップ19B,19Dには、側板13A,13Cへの干渉を抑制するための傾斜縁34a〜35bが形成されている。よって、貼着部21A,21Bの幅W2を最大幅W1よりも狭くできるため、干渉に伴う抵抗を軽減できる。よって、組立作業性を向上できるとともに、折曲線22a,22bに沿った底フラップ19B,19Dの折れ曲がりを防止できる。
【0050】
図1及び
図2Aに示すように、傾斜縁36a,36bは、底フラップ19Bの底フラップ19C側と底フラップ19Dの底フラップ19A側に形成されている。傾斜縁36aは、折曲線20bと折曲線20bの交点から、底壁18の中央に向けて延び、側板13Cに対して離れる向きに傾斜している。傾斜縁36bは、折曲線20dと折曲線20aの交点から、底壁18の中央に向けて延び、側板13Aに対して離れる向きに傾斜している。
【0051】
図8に最も明瞭に示すように、包装箱10の組立時には、底フラップ19Aと底フラップ19Dの縁が干渉し、底フラップ19Cと底フラップ19Bの縁が干渉することで、組立作業性を阻害する。しかし、本実施形態では、底フラップ19B,19Dに傾斜縁36a,36bを設けているため、包装箱10の組立作業性を向上できる。
【0052】
(切欠部の詳細)
図1から
図2Bに示すように、切欠部37a,37bは、底フラップ19A,19Cの先端中央に設けられている。底フラップ19A〜19Dの突出長さ、つまり折曲線20a〜20dから底フラップ19A〜19Dの先端までの寸法は、天フラップ26A〜26Dの突出長さよりも大きく設定されている。つまり、底フラップ19Aと底フラップ19Cの先端同士とは、互いにオーバーラップする寸法に設定されている。
【0053】
図2B及び
図5Bに示すように、切欠部37a,37bは、底フラップ19A,19Cと貼着部21A,21Bの間に形成された凹状の窪みである。この切欠部37a,37bは、底フラップ19A,19Cの突出方向におけるオーバーラップ寸法の半分の深さで形成されている。底フラップ19Aと底フラップ19Cの切欠部37a,37bを互いに噛み合わせて配置することで、底フラップ19A〜19Dが一体化されている。また、切欠部37a,37bの横(貼着部21A,21Bとは反対側)には、汎用罫線からなる折曲線38が設けられている。折曲線38は、切欠部37a,37bの縁の底フラップ19A,19Cに可撓性を付与することで、組立時及び展開時に底フラップ19A,19Cの破断を防ぐ機能を備える。
【0054】
(折畳み状態の包装箱)
図7A及び
図9Aに示すように、折畳み状態の包装箱10では、側板13Aと側板13Dが同一平面上に配置され、側板13Aと側板13Dの一面側に、側板13Bと側板13Cとが同一平面上に配置されている。また、底フラップ19Aと底フラップ19Bは、側板13Aと側板13Bの間に折り曲げられて配置され、底フラップ19Cと底フラップ19Dは、側板13Cと側板13Dの間に折り曲げられて配置されている。
【0055】
前述のように、折畳み状態の貼着部21A,21Bは、底フラップ19A,19Cに対して同一平面上に位置している。貼着部21Aは、底フラップ19Dの反対側に位置し、貼着部21Bは、底フラップ19Bの反対側に位置している。また、底フラップ19A,19Cと貼着部21A,21Bの間の折曲線22a,22bは、側板13A〜13Dの側縁である折曲線(第1折曲線)15a,15cの下端(交点C1,C2)から、折曲線15a,15cに対して離れる向きに傾斜して延びている。
【0056】
底フラップ19A〜19Dは、側板13A〜13Dの底側領域だけに位置している。よって、折畳み状態の包装箱10の底側では、側板13A,13D、底フラップ19A,19D、底フラップ19B,19C、及び側板13B,13Cが積層された4層構造になる。また、折畳み状態の包装箱10の天側では、平面上に位置する側板13A,13D及び天フラップ26A,26Dと、平面上に位置する側板13B,13C及び天フラップ26B,26Cとが積層された2層構造になる。
【0057】
図9Bは、従来例(特許文献1)の包装箱10’を示す。この包装箱10’では、底フラップ19A’,19C’に対して貼着部21A’,21B’が、組立状態では平面上に位置し、折畳み状態では折り重ねられている。つまり、折畳み状態の包装箱10’の底側は、本実施形態と同様の4層に加え、中央部分に貼着部21A’,21B’が位置することで、5層構造になっている。よって、包装箱10’の底側の厚みと天側の厚みの差は、段ボールシート3枚分になる。
【0058】
これに対して本実施形態の包装箱10では、底側の厚みと天側の厚みの差は、段ボールシート2枚分である。よって、本実施形態の包装箱10は、従来の包装箱10’と比較して、折畳み状態でのバランスを改善できる。その結果、出荷時に折畳み状態の包装箱10を積み重ねて紐で縛る際の作業性を向上できる。しかも、積み重ねた包装箱10の体積を削減できるため、輸送コストを低減できる。
【0059】
また、従来の包装箱10’では、製函時に折曲線15a’,15c’に沿って側板13A’,13D’を折り曲げた際に、側板13A’〜13D’のいずれかが、折曲線15a’,15c’以外の部分Oで折れ曲がることがある。この非対称な折れ曲がりが生じる原因は、底フラップ19A’,19B’間と底フラップ19C’,19D’間に貼着部21A’,21B’が介在することで、折曲線15a’,15c’の内側部分に空間Sが形成されるためと考えられる。
【0060】
図9Aに示すように、本実施形態の包装箱10では、底フラップ19A,19B間と底フラップ19C,19D間には何も介在していないため、折曲線15a,15cの内側部分には空間は形成されない。よって、側板13A〜13Dのうちいずれかが、折曲線15a,15c以外の部分で折れ曲がることはない。その結果、製函時に包装箱10の非対称な折れ曲がりを防止できるため、糊代板14が側板13Dに対して傾いて貼着されることを防止できる。また、組立状態の包装箱10の隅が不揃いになることを防止できる。
【0061】
以上のように、本実施形態の包装箱10では、底フラップ19A,19Cに凸部(規制部)30を設けているため、組立時と組立後に貼着部21A,21Bが折畳み状態に戻ることを抑制できる。よって、組立作業性を向上できるとともに、組立状態の安定性を向上できる。
【0062】
また、凸部30と凹部31により、折曲線22a,22bの長さ、つまり底フラップ19A,19Cに対して貼着部21A,21Bを折り曲げる部分の総折曲長を短くすることができる。よって、底フラップ19A,19Cに対する貼着部21A,21Bの折曲性を向上できる。
【0063】
また、底フラップ19A,19Cの先端には、互いに噛み合う切欠部37a,37bが形成されているため、収容した物品の重量で包装箱10の底壁18が抜け、物品が脱落することを防止できる。
【0064】
さらに、折畳み状態での包装箱10の底側と天側のバランスを改善できるため、出荷時の作業性の向上、輸送コストの低減、及び糊代板14の貼着不良を防止できる。
【0065】
(第2実施形態)
図10Aから
図12は第2実施形態の包装箱10を示す。この第2実施形態では、貼着部21Aを底フラップ19Bに形成するとともに、貼着部21Bを底フラップ19Cに形成している。つまり、貼着部21A,21Bを形成するフラップを、対向する底フラップ19A,19C又は19B,19Dではなく、隣接する底フラップ19B,19Cとした点で、第1実施形態と相違する。
【0066】
図10Aから
図11を参照すると、底フラップ19Bには、底フラップ19A側の底壁18の角C1から中央に向けて延びる折曲線(第2折曲線)22aを介して、貼着部21Aが連設されている。貼着部21Aは底フラップ19Bの上側に折り重ねられ、この貼着部21Aの上側に底フラップ19Aが貼着されている。底フラップ19Bには、貼着部21Aの回転を規制する凸部30が設けられている。貼着部21Aには、組立作業性を向上するための傾斜縁34aが形成されるとともに、凸部30に対応する形状の凹部31が形成されている。底フラップ19Aには、傾斜縁34aに一致する傾斜縁35aが設けられている。
【0067】
図12を参照すると、包装箱10の折畳み状態では、貼着部21Aは、底フラップ19Cの反対側に位置し、貼着部21Bは、底フラップ19Bの反対側に位置している。また、底フラップ19B,19Cと貼着部21A,21Bの間の折曲線22a,22bは、側板13A〜13Dの側縁である折曲線(第1折曲線)15a,15cの下端(交点C1,C2)から、折曲線15a,15cに対して離れる向きに傾斜して延びている。
【0068】
このように、凸部30は、対向する底フラップ19A,19C又は19B,19Dに限られず、隣接する底フラップ19B,19C又は19A,19Dに設けてもよい。そして、このようにした第2実施形態の包装箱10は、第1実施形態の包装箱10と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0069】
(規制部の変形例)
図13から
図17は、包装箱10の凸部(規制部)30の変形例を示す。これらの変形例のように、凸部30の形状は必要に応じて変更が可能である。
【0070】
図13の第1変形例と
図14に示す第2変形例に示すように、凸部30は、底フラップ19A,19Cに向けて窪む凹部40を設けた構成としてもよい。凹部40は、
図13の第1変形例のように円弧状に形成してもよいし、
図14の第2変形例のように三角形状に形成してもよい。また、凹部40の深さは、切断線32が折曲線22a,22bよりも底フラップ19A,19C側へ窪む寸法であってもよい。
【0071】
図15の第3変形例のように、凸部30は、円弧状に突出する構成としてもよい。また、
図16の第4変形例のように、連続した複数(図示では3個)の円弧状凸部30a〜30cによって構成してもよい。
【0072】
図17の第5変形例に示すように、底フラップ19A,19Cと貼着部21A,21Bの両方に凸部30a,30bを形成してもよい。つまり、切断線32を概ねS字状に設けることで、底フラップ19A,19Cから貼着部21A,21Bに向けて突出する凸部30aと、貼着部21A,21Bから底フラップ19A,19Cに向けて突出する凸部30bとを、形成してもよい。
【0073】
また、凸部(規制部)30は、底フラップ19A,19Cから貼着部21A,21Bへ突出する構成に限られず、必要に応じて変更が可能である。例えば
図18の
参考例に示すように、規制部は、第1切断線
43と一対の第2切断線
44によって内部に形成された一対の凸部30a,30bによって構成してもよい。第1切断線
43は、折曲線22a,22bと同一直線上に設けられている。第2切断線
44は、第1切断線
43の両端に設けられ、第1切断線
43に対して直交する方向に延びている。これらの切断線43
,44によって、底フラップ19A,19Cと貼着部21A,21Bには、凸部30a,30bが形成されている。
【0074】
このようにした凸部30a,30bは、底フラップ19A,19C及び貼着部21A,21Bのうち、一方から他方へ折曲線(第2折曲線)22a,22bを越えて突出していない。しかし、この態様では、底フラップ19A,19Cと貼着部21A,21Bの
凸部30a,30b同士が干渉することによって、折曲線22a,22bに沿った折り曲げと、底フラップ19A,19Cから離れる向きへの貼着部21A,21Bの回転とを規制できる。よって、この
参考例の規制部を設けた包装箱10では、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0075】
なお、本発明の折畳み式包装箱10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0076】
例えば、凸部(規制部)30は、前記実施形態と変形例に記載した形状と構成に限られず、必要に応じて変更が可能であり、折曲線に沿った折り曲げと、フラップから離れる向きへの貼着部の回転とを規制できる構成であればよい。
【0077】
底壁18の抜けを防止するための切欠部は、底フラップ19Aと底フラップ19Cのうちの一方のみに設けてもよい。この場合、切欠部は、底フラップの突出方向におけるオーバーラップ寸法と同じ深さで形成される。
【0078】
折畳み式包装箱10の素材は、紙製の段ボールシートに限らず、樹脂製の段ボールシートであってもよい。また、折畳み式包装箱10の素材は、段ボールシートに限られず、単一の厚紙や樹脂シートであってもよい。