(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944345
(24)【登録日】2021年9月14日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】SiC繊維強化複合材用SiC繊維束及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 35/80 20060101AFI20210927BHJP
C04B 35/565 20060101ALI20210927BHJP
D06M 11/80 20060101ALI20210927BHJP
D06M 10/00 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
C04B35/80 600
C04B35/565
D06M11/80
D06M10/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-213727(P2017-213727)
(22)【出願日】2017年11月6日
(65)【公開番号】特開2019-85292(P2019-85292A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】507182807
【氏名又は名称】クアーズテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】町田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】青沼 伸一朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶朗
【審査官】
小川 武
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−014033(JP,A)
【文献】
特開2010−064945(JP,A)
【文献】
特開2016−156109(JP,A)
【文献】
特開2003−064577(JP,A)
【文献】
特開2008−248427(JP,A)
【文献】
COMPANY PROFILE MZK水島合金鉄株式会社,水島合金鉄株式会社,2017年,http://www.mizukin.co.jp/product/index.html#pamphlet
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00−35/84
D06M 11/80
D06M 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維径が5μm以上20μm以下のSiC繊維からなる繊維束と、
このSiC繊維束のSiC繊維表面を被覆し、かつ直接SiC繊維に接触する粒径0.5μm以上2μm以下の第1のBN粒子と、
この第1のBN粒子が付着したSiC繊維の表面を被覆する粒径0.05μm以上0.1μm以下の第2のBN粒子とからなることを特徴とするSiC繊維強化複合材用SiC繊維束。
【請求項2】
電解質ポリマーに浸すことで、表面電荷が正または負に帯電したSiC繊維からなる繊維束と、第1のBN粒子及び第2のBN粒子とを、正負が交互になるように接触させ吸着させるに際して、第1のBN粒子の粒径が0.5μm以上2μm以下、第2のBN粒子の粒径が0.05μm以上0.1μm以下、SiC繊維束のSiC繊維の径が5μm以上20μm以下とすることを特徴とするSiC繊維強化複合材用SiC繊維束の製造方法。
【請求項3】
正または負に帯電したSiC繊維からなるSiC繊維束の表面に、前記SiC繊維とは反対の電荷に帯電した第1のBN粒子を付着させる工程と、
前記第1のBN粒子が付着したSiC繊維の表面に、前記第1のBN粒子とは反対の電荷に帯電した第2のBN粒子を付着させ、その後、正または負に帯電した第2のBN粒子を正と負が交互になるように付着させて第2のBN粒子付着SiC繊維を得る工程と、
前記第2のBN粒子付着SiC繊維からなるSiC繊維束を加熱処理する工程と、
からなることを特徴とする、請求項2に記載のSiC繊維強化複合材用SiC繊維束の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化セラミックスは、金属材料よりも軽量であり、優れた耐熱性及び剛性に加え、通常のセラミックスに比べて靱性が高いことから、従来は金属材料が使用されていた摺動材や回転材に用いられ始めている。特に、ジェットエンジンの高温部に耐熱性の高い炭化ケイ素繊維等のセラミックス材料を用いる研究が盛んになされている。
【0003】
例えば、特許第2968477号公報(特許文献1)には、SiC、Si
3N
4またはBN等からなる緩衝層の表面に高融点金属層を付与した非酸化物系繊維強化セラミックス及びその製造方法が記載されている。この技術では、非酸化物系セラミック繊維と高融点金属層との間に化学蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)法等を用いてカーボン層やBN緩衝層などの中間層を形成させている。しかしながら、緻密な中間層では製造
または使用の際に、金属層及び繊維の間で熱膨張差による応力により中間層及び金属層に亀裂などが生じ、繊維強化セラミックス材料の靱性低下を招くという問題があった。つまり、このような繊維強化セラミックス材料は、剛性に優れるが、耐衝撃性に劣るという問題があった。また、このような多層構造体を構成する場合、耐衝撃性を向上させるためには、繊維強化セラミックス材料の厚みを増さざるを得ず、重量が増加してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2968477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記した従来技術の問題に鑑み、破壊エネルギーの高い
複合材を製造することができる
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束は、繊維径が5μm以上20μm以下のSiC繊維からなる繊維束と、このSiC繊維束のSiC繊維表面を被覆し、かつ直接SiC繊維に接触する粒径0.5μm以上2μm以下の第1のBN粒子と、この第1のBN粒子が付着したSiC繊維の表面を被覆する粒径0.05μm以上0.1μm以下の第2のBN粒子からなることを特徴とする。
【0007】
本発明の
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束の製造方法は、電解質ポリマーに浸すことで、表面電荷が正または負に帯電したSiC繊維からなる繊維束と、第1のBN粒子及び第2のBN粒子とを、正負が交互になるように接触させ吸着させるに際して、第1のBN粒子の粒径が0.5μm以上2μm以下、第2のBN粒子の粒径が0.05μm以上0.1μm以下、SiC繊維束のSiC繊維の径が5μm以上20μm以下とすることを特徴とする。
また、本発明の
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束の製造方法は、前記
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束の製造方法において、正または負に帯電したSiC繊維からなるSiC繊維束の表面に、前記SiC繊維とは反対の電荷に帯電した第1のBN粒子を付着させる
工程と、前記第1のBN粒子が付着したSiC繊維の表面に、前記第1のBN粒子とは反対の電荷に帯電した第2のBN粒子を付着させ、その後、正または負に帯電した第2のBN粒子を正と負が交互になるように付着させて第2のBN粒子付着SiC繊維を得る
工程と、前記第2のBN粒子付着SiC繊維からなるSiC繊維束を加熱処理する
工程と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、SiC繊維の繊維径よりも小さい粒径を有する第1のBN粒子と、第1のBN粒子の間に第1のBN粒子よりも小さい第2のBN粒子をSiC繊維表面に吸着させることで、SiC繊維束内にBN粒子を緻密に吸着させることができ、該BN粒子が吸着したSiC繊維束を製織したシートを複数枚積層させることで、高い破壊エネルギーを有するSiC繊維強化SiC複合材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、正電荷を持つSiC繊維に、アニオンポリマーまたはカチオンポリマーで表面帯電させたBN粒子が吸着する様子を示す模式図である。
【
図2】
図2は、SiC繊維を、BN粒子を含む電解質ポリマー水溶液中に浸して、SiC繊維にBN粒子が吸着している様子を示す模式断面図である。
【
図3】
図3は、BN被覆SiC繊維の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束は、炭化ケイ素(SiC)繊維と、前記SiC繊維の表面を被覆する、第1の窒化ホウ素(BN)粒子と第2の窒化ホウ素(BN)粒子とからなる。そして、第1のBN粒子の粒径は、SiC繊維の繊維径の1/10以下の0.5μm以上2μm以下であり、第2のBN粒子の粒径は、第1のBN粒子の粒径の1/10以下の0.05μm以上0.1μm以下である。なお、SiC繊維は、その径が5μm以上20μm以下であることが好ましい。
上記
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束は、表面電荷の正負の違いによる吸着現象を用いて第1のBN粒子及び第2のBN粒子をSiC繊維表面に吸着させることにより製造することができる。具体的には、上記
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束の製造方法は、正または負に帯電したSiC繊維の表面に、該SiC繊維とは反対の電荷に帯電した、第1のBN粒子を吸着させる
工程と、第1のBN粒子が付着したSiC繊維の表面に、前記第1のBN粒子とは反対の電荷に帯電した第2のBN粒子を吸着させ、その後、正及び負に帯電した第2のBN粒子を正負が交互になるように吸着させる
工程と、BNが付着したSiC繊維を加熱処理する
工程とからなる。
【0011】
ここで、
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束には、SiC繊維束だけでなく、SiC繊維束を織ったシート状の織物も対象となる。SiC繊維織物の織り方に特段制限はなく、平織り、綾織り、朱子織りなど、いずれでもよいが、朱子織りは平織りに比べて繊維束の間隔が広く、複合化時には原料ガスが拡散して繊維密度が緻密になるため、朱子織りが好ましい。前記SiC繊維の繊維径は、通常5μm以上20μm以下、好ましくは7μm以上15μm以下である。
【0012】
BNは、常温常圧下で六方晶系の固体の化合物である。第1のBN粒子の粒径は、SiC繊維の繊維径の1/10以下であり、第2のBN粒子は、第1のBN粒子の粒径の1/10以下である。第1のBN粒子の粒径がSiC繊維の繊維径の1/10を超えていると、SiC繊維の繊維間にBN粒子が緻密に吸着できず、得られる複合材の破壊強度が充分に得られないことがある。第1のBN粒子の粒径は、SiC繊維の繊維径の1/20以下であることが好ましい。また、第2のBN粒子の粒径が、第1のBN粒子の粒径の1/10を超えていると、SiC繊維の表面を被覆した第1のBN粒子間の隙間を、第2のBN粒子で充分に埋めることができず、得られる複合材の破壊強度が充分に得られないことがある。具体的には、第1のBN粒子の粒径は、0.5μm以上2μm以下が好ましく、0.5μm以上1μm以下がより好ましい。第2のBN粒子の粒径は、0.05μm以上0.1μm以下
が好ましい。
なお、これらのBN粒子には、必要な粒径の市販品を用いることができる。
【0013】
本発明の
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束の製造方法では、電解質ポリマーによる表面帯電が用いられる。
図1に示すように、例えば、カチオンポリマー水溶液(正電荷付与液)に浸すことによってカチオンポリマー層を形成し正に帯電したSiC繊維束に、負電荷を持つアニオンポリマー水溶液(負電荷付与液)に浸すことによってアニオンポリマー層を形成し負に帯電した第1のBN粒子を吸着させ、次いで、BN粒子付着SiC繊維を負電荷を持つアニオンポリマー水溶液(負電荷付与液)に浸すことによってアニオンポリマー層を形成し負に帯電させ、正電荷を持つカチオンポリマー水溶液(正電荷付与液)に浸すことによってカチオンポリマー層を形成した第2のBN粒子を吸着させる。さらに、第2のBN粒子を吸着させるサイクルを繰り返すことによって、
図2に示すような、SiC繊維束のSiC繊維にBN粒子が緻密に吸着した被覆層を形成させることができる。
【0014】
ここで、電解質ポリマーは、通常、カチオンポリマー
またはアニオンポリマーをいう。
カチオンポリマーには、例えば、ビニルピロリドン−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体硫酸塩液及びポリジアリルメチルアンモニウムクロライド(PDDA)などが挙げられる。これらのうち、水溶性の理由により、ポリジアリルメチルアンモニウムクロライド(PDDA)等が好ましい。
アニオンポリマーには、例えば、アクリル樹脂アルカノールアミン液及びポリスチレンスルホン酸(PSS)などが挙げられる。これらのうち、取扱いが容易で水溶性に優れる等の理由により、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等が好ましい。
【0015】
本発明では、まず、電解質ポリマー水溶液中に帯電処理した第1のBN粒子を分散させ、該帯電した第1のBN粒子を含む電解質ポリマー水溶液中に第1のBN粒子とは反対電荷を持つSiC繊維
束を浸漬することにより、
SiC繊維束を形成するSiC繊維に第1のBN粒子が吸着される。これは、表面電荷の違いによる吸着現象を利用したものである。次いで、第1のBN粒子とは反対電荷を持つ第2のBN粒子を電解質ポリマー水溶液中に分散させ、第1のBN粒子が付着したSiC繊維
束を浸漬させる。この操作を通常10回以上、好ましくは20回以上繰り返すことにより、SiC繊維の表面にBN粒子が緻密に吸着されたSiC繊維
束を形成することができる。本発明では、粒径の大きな第1のBN粒子を最初に吸着させた後、粒径の小さな第2のBN粒子を吸着させることで、第1のBN粒子の間を第2のBN粒子で隙間なく吸着することができる。
【0016】
なお、電解質ポリマーを溶解させる水系溶媒は、極性溶媒であれば水に限られず、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコールであってもよい。
また、カチオンポリマー
またはアニオンポリマーは前記溶媒に、通常0.1g/l以上10g/l以下、好ましくは0.5g/l以上2g/l以下となるように溶解させる。
【0017】
このようにして得られるBN被覆SiC繊維は、厚みが通常0.05μm以上5μm以下、好ましくは0.05μm以上2μm以下である。厚みが5μmを超えると、SiC繊維
束の内部までBN粒子が吸着せず、また、得られる複合体の重量が増加してしまうなど、取り扱い性に影響することがある。
図3に示すように、本発明のBN被覆SiC繊維では、第1のBN粒子
2’の隙間を第2のBN粒子
2が埋めるように付着している。
【0018】
本発明の
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束の製造方法の具体例を挙げる。
SiC繊維束の帯電したSiC繊維の表面に、該帯電SiC繊維とは反対の表面電荷に帯電した第1のBN粒子を、静電気力による吸着現象を用いて吸着させる。次いで、第1のBN粒子付着SiC繊維を前記反対の表面電荷に帯電させ、前記帯電した第1のBN粒子とは反対の表面電荷に帯電した第2のBN粒子を吸着させる。この時最初にSiC繊維を+に帯電し、−に帯電した第1のBN粒子を用いた場合は、第2のBN粒子を吸着させる際には第1のBN粒子付着SiC繊維を−に帯電させ、+に帯電させた第2のBN粒子を用いる。その後、BN付着SiC繊維を+に帯電させ、−に帯電させた第2のBN粒子を吸着させる。第2のBN粒子を吸着させる操作を複数回、例えば合計して20回程度繰り返して、緻密なBN被覆を有するSiC繊維からなるBN粒子付着SiC繊維を作製する。
得られたBN粒子付着SiC繊維を、金網容器に入れた状態で液体ピッチ及びポリビニルブチラール(PVB)樹脂の混合溶液に浸漬し、引き上げた後、余剰樹脂液を振り落とし、60℃で乾燥させ、PVB樹脂を固化させる。さらに、非酸化雰囲気下に1000℃で熱処理を行うことで、
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束を作製する。
【0019】
本発明の
SiC繊維強化複合材用SiC繊維束(BN被覆SiC繊維束
)を用いて、SiC繊維強化SiC複合材を製造する際は、例えば、上記BN被覆SiC繊維束を織ったBN被覆SiC繊維織物を複数積層させた構造とする。強度の観点から、具体的には、前記SiC繊維強化SiC複合材は、BN被覆SiC繊維束が体積率で30vol%以上50vol%以下になるように積層させるのが好ましい。
【実施例】
【0020】
以下、本発明
のBN被覆SiC繊維
からなる織物を用いた実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
【0021】
[実施例1]
シート状のSiC繊維織物(宇部興産(株)製、SA8朱子織 SA8−S20I16PX、元糸1600本 / ヤーン目付300g/m
2、繊維径7.5μm)を、カチオンポリマー水溶液(正電荷付与液)またはアニオンポリマー水溶液(負電荷付与液)に浸漬させてコーティングし、水洗いをして、該SiC繊維織物の表面を帯電処理した。
【0022】
第1のBN粒子(昭和電工(株)製、六方晶窒化ホウ素粉末UHP−S2、粒径0.7μm)と第2のBN粒子((株)MARUKA製、六方晶窒化ホウ素粉末 AP−170S、粒径0.05μm)を、SiC繊維織物と同様にして、
それぞれカチオンポリマー水溶液、アニオンポリマー水溶液
に浸漬
させてコーティングし、水洗いをすることで、第1のBN粒子
及び第2のBN粒子の表面を帯電処理した。
なお、正電荷付与液及び負電荷付与液に交互に浸漬させるため、最後に正電荷付与液に浸漬させた場合は、表面の極性はプラス(+)となり、最後に負電荷付与液に浸漬させた場合は、表面の極性はマイナス(−)となる。
【0023】
得られた帯電SiC繊維織物の表面に、該帯電SiC繊維織物とは反対の表面電荷を持つ第1のBN粒子(粒径0.7μm)を、静電気力による吸着現象を用いて吸着させた。すなわち、+に帯電したSiC繊維織物を用いる場合は、−に帯電した第1のBN粒子を吸着させ、−に帯電したSiC繊維織物を用いる場合は、+に帯電した第1のBN粒子を吸着させた。
次いで、第1のBN粒子付着SiC繊維織物を前記反対の表面電荷に帯電させ、前記帯電第1のBN粒子とは反対の表面電荷を持つ帯電第2のBN粒子を吸着させた。すなわち、最初にSiC繊維織物を+に帯電し、−に帯電した第1のBN粒子を用いた場合は、第2のBN粒子を吸着させる際には第1のBN粒子付着SiC繊維を−に帯電させ、+に帯電させた第2のBN粒子を用いて吸着させた。その後、BN付着SiC繊維織物を+に帯電させ、−に帯電させた第2のBN粒子を吸着させた。第2のBN粒子を吸着させる操作を合計して20回繰り返して、緻密なBN被覆を有するSiC繊維からなるBN粒子付着SiC繊維織物を作製した。
【0024】
得られたBN粒子付着SiC繊維織物を、金網容器に入れた状態で液体ピッチ及びポリビニルブチラール(PVB)樹脂の混合溶液に浸漬し、引き上げた後、余剰樹脂液を振り落とし、60℃で乾燥させ、PVB樹脂を固化させた。さらに、非酸化雰囲気下に1000℃で熱処理を行い、BN被覆SiC繊維織物を作製した。
【符号の説明】
【0025】
1 SiC繊維
2
第2のBN粒子
2’
第1のBN粒子
3 電解質ポリマー