(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0008】
以下、一実施例である製造システムを、図を参照しつつ説明する。なお、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0009】
一実施例である製造システムの概略を、
図1に示す。本実施例の製造システムは、ワークに対して作業を行う製造装置10と、その製造装置10を管理する構成とを含むものである。その製造装置10は、ワークに対して作業を行う作業機がモジュール化された複数の作業機モジュール12(本実施例では、7つ)が1つのラインとなるように配列され、それら複数の作業機モジュール12が1つのワークに対して順次作業を行うように構成されている。製造装置10は、
図1に示すように、7つの作業機モジュール12が、ベース14に対して配列されている。詳しく言えば、7つの作業機モジュール12のうちの両端を除く5つのものが、ベース14上に載置され、両端のものが、ベース14の横に配置されており、7つの作業機モジュール12が、1つのラインとなるように、互いに近接して配列されている。
【0010】
なお、
図1に示す7つの作業機モジュール12は、右から順に、ワークを投入するワーク投入モジュール12A,切削加工を行う2つの旋盤モジュール12B,2つの旋盤モジュール12Bによって加工されたワークの寸法を測定する検測モジュール12C,孔開け加工を行うドリミルモジュール12D,歯切り加工を行うホブモジュール12E,完成した製品を収納するストックモジュール12Fである。なお、7つ作業機モジュール12のうちの作業機モジュール12である2つの旋盤モジュール12B,ドリミルモジュール12D,ホブモジュール12Eが、工作機械を含みワークに対してツールによる機械加工作業を行う加工モジュール12である。
【0011】
ベース14は、3つのベースユニット16A,16B,16Cが並べられて互いに固定されたものである。そして、ベースユニット16A上には、2つの旋盤モジュール12Bが、ベースユニット16B上には、検測モジュール12Cおよびドリミルモジュール12Dが、ベースユニット16C上には、ホブモジュール12Eが、それぞれ載置されている。
【0012】
作業機モジュール12の各々は、自身の作動を制御するモジュールコントローラ20を備えている。そのモジュールコントローラ20は、PU(プロセッシングユニット)22,ROM(リードオンメモリ)24,RAM(ランダムアクセスメモリ)26を有するコンピュータを主体とするものである(
図5参照)。ROM24には、作業機モジュール12の一般的作動を制御するためのプログラムやデータが格納され、RAM26には、後に詳しく説明するが、操作者によって入力されるワークを加工するためのプログラムや各種のデータが格納される。
【0013】
また、作業機モジュール12のうちの上述した加工モジュール12の各々は、ディスプレイ30を有する操作盤32を備えており、そのディスプレイ30に表示される画面が、モジュールコントローラ20によって制御される。
図2に、その操作盤32の正面図を示している。操作盤32は、ハード的なボタン等も有しているが、タッチパネル式のものとなっており、自身が備わる工作機械モジュール12に関する操作や表示画面の切り換え等を、ディスプレイ30に触れることで行うことが可能となっている。ROM24には、ディスプレイ30に表示する各種の画像データが格納され、RAM26には、自身が備わる加工作業モジュール12に関する情報、例えば、取り付けられている工具の情報、加工したワークの数など生産に関する情報等、ディスプレイ30に表示する各種のデータが格納されている。
【0014】
また、ベースユニット16の各々も、自身の制御を司るコントローラであるベースコントローラ40を備えている。そのベースコントローラ40は、モジュールコントローラ20と同様に、PU42,ROM44,RAM46を主体とするものである。ベースコントローラ40は、詳しい説明は省略するが、ベースユニット16に設けられた作業機モジュール12を固定するための装置や、ベースユニット16に設けられて機械加工によって発生した切屑等を処理する装置等の制御を行う。また、ベースコントローラ40は、以下に説明するワークローダ50の制御をも行うようになっている。
【0015】
製造装置10は、ワークを複数の作業モジュール12の間で移送するワーク移送装置として、
図3に示すワークローダ50を備えている。そのワークローダ50は、ベース14の前方側の側面に設けられたレールに沿って移動可能とされており、図示は省略するが、ベース14と複数の作業機モジュール12の各々の外装パネル52とによって形成された空間内を移動可能とされているのである。つまり、ワークローダ50は、複数の作業機モジュール12に渡ってワークを移送することが可能とされているのである。
【0016】
また、そのワークローダ50は、多関節型のアーム54と、そのアーム54の先端に設けられてワークを保持する保持具としての2つのチャック56,58とを有している。つまり、ワークローダ50は、そのアーム54を作業機モジュール12の作業位置まで伸ばし、ローダチャック56またはアンローダチャック58によって、作業位置にワークを装着させること、および、作業位置からワークを離脱させることが可能なものとされているのである。
【0017】
また、
図4には、作業機モジュール12のうちの1つである旋盤モジュール12Bの工作機械本体60の斜視図を示している。その旋盤モジュール12Bの工作機械本体である旋盤本体60について簡単に説明すれば、旋盤本体60は、自身の回転によってワークを回転させるためのスピンドル62と、それぞれがツール(工具)である複数のバイト64を保持するツール保持ヘッド66と、そのツール保持ヘッド66を上下および前後に移動させるヘッド移動装置68とを含んで構成され、スピンドル62の先端に設けられたチャックによってワークを保持し、そのワークを回転させつつツール保持ヘッド66に保持されたバイト64によって切削加工を行うものである。
【0018】
上述した製造装置10において、各作業機モジュール12のモジュールコントローラ20、および、各ベースユニットベースコントローラ40は、
図5のブロック図に示すように、LAN70によって接続されており、互いにデータの送受信を行うことが可能とされている。そして、本製造システムは、上述した製造装置10の管理、つまり、各作業機モジュール12が有するモジュールコントローラ20、および、各ベースユニット16が有するベースコントローラ40に対する入出力を、加工モジュール12である2つの旋盤モジュール12B,ドリミルモジュール12D,ホブモジュール12に設けられた操作盤32から行うことが可能とされ、いずれの操作盤32からも同様に行うことが可能とされているのである。
【0019】
また、本製造システムは、各コントローラ20,40に対する入出力を、加工モジュール12に設けられた操作盤32から行うだけでなく、ネットワークによって接続された他の端末からも行うことが可能に構成される。具体的には、本製造システムは、
図1および
図5に示すように、製造装置10を含む複数の製造装置を統括して制御する統括端末80がLAN70に接続されるとともに、作業者が携帯するスマートフォンあるいはタブレット型などの携帯端末84も、無線通信によって接続されている。そして、本製造システムは、それら統括端末80,携帯端末84からも、各コントローラ20,40に対する入出力を行うことが可能に構成されているのである。
【0020】
以上のような構成から、本製造システムにおいては、加工モジュール12の操作盤32,統端末80,携帯端末84が、各コントローラ20,40に対する入出力を行う操作端末として機能するようになっている。
【0021】
図6には、上述の操作端末のディスプレイに表示される画面の一例を示している。その
図6に示す画面90は、旋盤モジュール12Bの旋盤本体40を手動で動作させるための操作画面であり、旋盤本体40の各種の動作に対応する種々の操作ボタン等が表示されている。つまり、画面90は、旋盤モジュール12Bのモジュールコントローラ20に対する操作者の入力を受け付けるためのものである。
【0022】
また、
図7には、ディスプレイに表示される画面の一例をもう一つ示している。その
図7に示す画面92は、ワークローダ50を手動で動作させるための操作画面であり、ワークローダ50の各種の動作に対応する種々の操作ボタン等が表示されている。つまり、画面92は、ワークローダ50を制御するベースコントローラ40に対する操作者の入力を受け付けるためのものである。
【0023】
さらに、ディスプレイに表示される画面の一例を、
図8に示している。その
図8に示す画面94は、種々の設定を操作者に切り換えさせるための画面である。その画面94には、種々の設定に対応する複数のアイコン100(
図7においては10個:100a〜100j)が表示されている。そして、それら複数のアイコン100のうち5つのアイコン100d,100e,100f,100g,100iが、ワークローダ50の動作に関する設定を切り換えるためのものである。また、残りの5つのアイコン100a,100b,100c,100h,100jが、旋盤モジュール12Bの動作に関する設定を切り換えるためのものである。つまり、ワークローダ50の動作に関する設定を切り換えるためのアイコン100d,100e,100f,100g,100iを含んで、ベースコントローラ40に対する操作者の入力を受け付けるための第1エリアが構成されている。また、旋盤モジュール12Bの動作に関する設定を切り換えるためのアイコン100a,100b,100c,100h,100jを含んで、旋盤モジュール12Bのモジュールコントローラ20に対する設定を受け付けるための第2エリアが構成されている。
【0024】
つまり、本製造システムは、ベースコントローラ40の入出力に関する情報を表示する第1エリアと、複数の作業モジュール12のモジュールコントローラ20のうちの1つのものの入出力に関する情報を表示する第2エリアとを、一画面上に表示させるように構成されているのである。したがって、本製造システムにおいて、操作者は、いずれのコントローラに指示を出すかということを意識する必要がない。そのため、例えば、接続するコントローラを切り換えたり、操作者が指示を出したいコントローラを選択したりする必要がないため、本製造システムによれば、製造装置10の管理の簡便化を図ることができるのである。
【0025】
次に、
図9に示す画面110は、ワークローダ50を自動で動作させるために必要な複数のポイントを記憶させるための設定画面である。詳しく言えば、ワークローダ50のレール上における位置や、チャックの位置を特定するためのアーム54の各回動軸の角度などを設定するようになっている。したがって、
図9において一点鎖線で囲んだエリアが、ワークローダ50の動作に関する設定を受け付けるエリア、つまり、ベースコントローラ40に対する操作者の入力を受け付けるための第1エリアとなっている。
【0026】
また、ワークローダ50は、例えば、旋盤モジュール12Bの内に入り込んで、ワークを装着させるため、その装着位置等の確認を行う際には、その旋盤モジュール12Bを操作者によって手動で動作させる必要がある場合もある。画面110においては、その旋盤モジュール12Bの動作に関する設定を切り換えるためのアイコンを含むエリア(
図9において、二点鎖線で囲んだエリア)が、旋盤モジュール12Bのモジュールコントローラ20に対する設定を受け付けるための第2エリアとなっている。
【0027】
つまり、画面110も、画面94と同様に、ベースコントローラ40の入出力に関する情報を表示する第1エアリアと、複数の作業モジュール12のモジュールコントローラ20のうちの1つのものの入出力に関する情報を表示する第2エリアとを含む画面となっているのである。
【0028】
図10に示す画面112は、旋盤モジュール12Bによる加工作業の際におけるツールの位置を調整するための設定画面である。具体的には、その画面112には、旋盤モジュール12Bによる加工の際のバイト64の位置を調整するための調整量であるオフセット量を操作者に入力させるためのエリアが表示されている。つまり、そのバイト64のオフセット量を操作者に入力させるためのエリア(
図10において、一点鎖線で囲んだエリア)が、加工モジュールである旋盤モジュール12Bのモジュールコントローラ20に対する操作者の入力を受け付けるための第1エリアとなっている。
【0029】
なお、バイト64のオフセット量は、実際に加工したワークの寸法をフィードバックして設定されることが望ましい。そこで、画面112には、2つの旋盤モジュール12Bによって加工されたワークの寸法の測定を検測モジュール12Cに行わせるためのアイコン120a,120b,120c,120dが表示されるとともに、その検測結果が表示される。つまり、
図10において、二点鎖線で囲んだエリアが、検測モジュール12のモジュールコントローラ20に対する操作者の入力を受け付けるとともに検測モジュール12のモジュールコントローラ20からの出力された情報を表示する第2エリアとなっている。
【0030】
つまり、画面112は、複数の作業機モジュール12のうちの1つのもののモジュールコントローラ20の入出力に関する情報を表示する第1エリアと、複数の作業機モジュール12のうちの他の1つのもののモジュールコントローラ20の入出力に関する情報を、同時に表示する画面となっている。この場合も、画面94,110と同様に、接続するコントローラを切り換えたり、操作者が指示を出したいコントローラを選択したりする必要がないため、本製造システムによれば、製造装置10の管理の簡便化を図ることができるのである。