特許第6944570号(P6944570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6944570ローラー式リニアガイドおよびグリス貯蔵部材取付品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944570
(24)【登録日】2021年9月14日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】ローラー式リニアガイドおよびグリス貯蔵部材取付品
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   F16C29/06
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-114182(P2020-114182)
(22)【出願日】2020年7月1日
(65)【公開番号】特開2021-14919(P2021-14919A)
(43)【公開日】2021年2月12日
【審査請求日】2020年8月28日
(31)【優先権主張番号】108124721
(32)【優先日】2019年7月12日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512304009
【氏名又は名称】直得科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】許 明哲
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−151226(JP,A)
【文献】 特開平10−078032(JP,A)
【文献】 特開2006−105310(JP,A)
【文献】 特開2014−167348(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0292226(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/00−31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リスアップ機能を有するローラー式リニアガイドであって、
ールは、前記レールの延長方向である軸方向に伸び、
スライド台組部材は、前記レール上に架設され、前記スライド台組部材はスライド台剛体および二個の端面蓋を含み、前記二個の端面蓋は前記スライド台剛体の両端に結合し、前記スライド台剛体と前記レールの間には負荷通路が成形され、前記スライド台剛体は内部に無負荷通路を有し、前記二個の端面蓋には前記負荷通路と前記無負荷通路とが連通して循環通路を形成する回転通路を各々有し、
複数個のローラーは、前記循環通路の中に納置され、前記循環通路の中で循環回転することで前記スライド台組部材を前記レール上で動かして往復運動させ、
前記ローラーは一個の転がり面および二個の非転がり面を有し、前記スライド台剛体の前記無負荷通路は前記転がり面に向かい合う二個の第一内面と、前記二個の非転がり面に向かい合う二個の第二内面を有し、少なくとも一つの前記第一内面は前記転がり面に対向する凹部形成され、且つ前記凹部は狭い開口を有し、前記無負荷通路の前記二個の第二内面の中には納置槽がそれぞれ凹設され、
ローラー保持チェーンは、前記ローラーを直列に連結するようにされ、前記納置槽に納置される保持部を有し
グリス貯蔵部材は、前記凹部に設けられて各前記転がり面上でのみ前記ローラーに接触し、前記凹部の前記狭い開口は前記グリス貯蔵部材が前記凹部からはみ出るのを防止することを特徴とするローラー式リニアガイド。
【請求項2】
前記無負荷通路には全長にわたって前記凹部が設けられ、且つ前記グリス貯蔵部材が前記凹部内に全長にわたって設置されることを特徴とする請求項1に記載のローラー式リニアガイド。
【請求項3】
前記スライド台剛体は内部に前記スライド台剛体の一端から他端にかけて前記スライド台剛体を貫通する通孔を有し、前記通孔の中にグリス貯蔵部材取付品が設置されて前記無負荷通路を形成し、前記第一内面、前記第二内面および前記凹部は前記グリス貯蔵部材取付品の内部に成形されることを特徴とする請求項1に記載のローラー式リニアガイド。
【請求項4】
前記凹部は矩形溝であり、多数個のグリス貯蔵部材固定板が前記凹部の前記第一内面からの距離が異なる2つの位置に交互に配置され、並びに前記グリス貯蔵部材が各前記グリス貯蔵部材固定板と前記第一内面の間を通過して設置されることを特徴とする請求項1に記載のローラー式リニアガイド。
【請求項5】
前記凹部は蟻ほぞ形溝であることを特徴とする請求項1に記載のローラー式リニアガイド。
【請求項6】
前記凹部は前記凹部を前記軸方向に対して垂直に切った断面が円弧形であり、且つ前記円弧形の弧度が180度より大きい円弧形凹溝であることを特徴とする請求項1に記載のローラー式リニアガイド。
【請求項7】
少なくとも一つの前記回転通路の内面にも前記グリス貯蔵部材が設けられ、前記グリス貯蔵部材は前記ローラーの前記転がり面にも接触することを特徴とする請求項1に記載のローラー式リニアガイド。
【請求項8】
前記凹部の両側には前記第一内面の部分がそれぞれ残されることを特徴とする請求項1に記載のローラー式リニアガイド。
【請求項9】
リニアガイドのグリス貯蔵部材取付品であって、
細長形状で、レール上に架設されるスライド台剛体の一端から他端にかけて前記スライド台剛体を貫通する通孔の内部に取付けられて用いられ、前記スライド台剛体の中に無負荷通路を形成し、
前記無負荷通路は、前記レールの延長方向である軸方向に平行な面で切った断面が矩形であり、相対する二個の第一内面、および相対する二個の第二内面を有し、少なくとも一つの前記第一内面の一部に凹部が成形され、且つ前記凹部は狭い開口を有し、前記無負荷通路の前記二個の第二内面の一部には納置槽がそれぞれ凹設され
グリス貯蔵部材は、前記凹部に設けられ、前記凹部の前記狭い開口は前記グリス貯蔵部材が前記凹部からはみ出るのを防止することを特徴とするグリス貯蔵部材取付品。
【請求項10】
前記凹部は、矩形溝であり、多数個のグリス貯蔵部材固定板が前記凹部の前記第一内面からの距離が異なる2つの位置に交互に配置されることを特徴とする請求項9に記載のグリス貯蔵部材取付品。
【請求項11】
前記凹部は、蟻ほぞ形溝であることを特徴とする請求項9に記載のグリス貯蔵部材取付品。
【請求項12】
前記凹部は、前記凹部を前記軸方向に対して垂直に切った断面が円弧形であり、且つ前記円弧形の弧度が180度より大きい円弧形凹溝であることを特徴とする請求項9に記載のグリス貯蔵部材取付品。
【請求項13】
個の半ダクトが向かい合って構成されることを特徴とする請求項9に記載のグリス貯蔵部材取付品。
【請求項14】
前記凹部の両側には前記第一内面の部分がそれぞれ残されることを特徴とする請求項9に記載のグリス貯蔵部材取付品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラー式リニアガイドおよびグリス貯蔵部材取付品に関し、特に、グリスアップ機能を有し、ローラーがリニアガイドの循環通路で循環回転する時、無負荷通路または更に無負荷通路以外の回転通路でも潤滑に回転可能なローラー式リニアガイドおよびグリス貯蔵部材取付品に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアガイドは長さが延長されるレール、および当該レール上に架設されるスライド台から構成される。当該スライド台と当該スライドレールの間は回転部材の循環回転によって、当該スライド台が当該レール上で往復運動する。
【0003】
具体的には、当該レールと当該スライド台の間に負荷通路が設置され、当該スライド台は一個の台座体および二個の端面蓋を有し、当該二個の端面蓋は当該台座体の両端で結合する。当該台座体は無負荷通路を提供し、当該端面蓋は回転通路を提供する。当該回転通路は当該負荷通路と当該無負荷通路が連通し、それらが閉鎖された循環通路を形成する。当該回転部材は当該循環通路で循環回転し、当該レール上で当該スライド台を動かす。
【0004】
上記の従来技術では、当該循環通路内面と当該回転部材表面との摩擦抵抗力が影響し、当該回転部材がスムーズに回転しなくなったり、または当該スライド台が当該レール上で動く時に振動が起こったり、更には動きがスムーズでなくなったりする現象が起きるのを避けるため、当該回転部材にグリスアップして当該回転部材と当該循環通路内面の摩擦抵抗力を下げる必要がある。
【0005】
いくつかの従来技術では、当該端面蓋上にグリス貯蔵部材を設け、回転部材が回転通路を通過する時、当該グリス貯蔵部材が当該回転部材に対してグリスアップを行う仕組みにより、この問題を解決している。しかし、当該回転通路は循環通路全体に占める長さに比べて短いため、当該回転部材に付着するグリスの量が限られ、グリスの付着不足という状況が発生する。
この他にも、ローラー式スライドレールはレール接触面が直線であるため、この種のデザインのものはローラーの端面をグリスアップすることはできるが、ローラーの軌道面を効果的にグリスアップできないため、グリスアップ効果が良くないという問題がある(例として特許文献1と2を参照)。
【0006】
上記のグリス貯蔵部材は、レールの上方且つスライド台の底端に設置され、グリス貯蔵部材が負荷通路の回転部材に接触することで、負荷通路の全長にわたって回転部材に対してグリスアップを行うものである。しかし、このような構造は、レールとスライド台の間にグリス貯蔵部材を設置する空間を予め残しておかなければならないため、リニアガイドの小型化には不利である(例として特許文献3、4参照)。
【0007】
本発明の発明者が以前出願した発明は、元々、スライド台剛体の部位に切欠溝を設置し、当該切欠溝にグリス貯蔵塊を納置することで、回転部材に対してグリスアップを行うものであった。しかし、この方式でグリス貯蔵塊を設置すると、スライド台剛体の内部空間を占有するため、スライド台剛体の剛性が下がりやすくなる。更に、この方式ではグリス貯蔵塊と回転部材の接触面が少ないため、回転部材上のグリス量が少なくなりやすく、しばしばグリスが不足するという問題がある。これは、発明者が実際に使用した後に明らかとなった(例として特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】台湾特許第M491104号「グリスアップ構造を有するリニアガイド」
【特許文献2】台湾特許第I325928号「リニアガイドの潤滑装置」
【特許文献3】台湾特許第I616600号「グリスアップ装置を有するリニアガイド」
【特許文献4】台湾特許第I500859号「グリスアップシステムを有するリニアガイド」
【特許文献5】台湾特許第I285244号「リニアガイド」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の先行技術にみられる、スライド台剛体の剛性が下がりやすく、且つこの方式のグリス貯蔵塊は回転部材との接触面積が少ないために回転部材上のグリス量が少なくなり、潤滑不足の問題が起こりやすくなるという課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、グリスアップ機能を有するローラー式リニアガイドであって、以下を含む。
【0011】
レールは、当該レールの延長方向である軸方向に伸びる。
スライド台組部材は当該レール上に架設され、当該スライド台組部材はスライド台剛体および二個の端面蓋を含み、当該二個の端面蓋は当該スライド台剛体の両端に結合する。当該スライド台剛体と当該レールの間には負荷通路が成形され、当該スライド台剛体は内部に無負荷通路を有する。当該二個の端面蓋には当該負荷通路と当該無負荷通路とが連通して循環通路を形成する回転通路を各々有する。
複数個のローラーは、当該循環通路の中に納置され、当該循環通路の中で循環回転することで当該スライド台組部材を当該レール上で往復運動させる。
当該ローラーは一個の転がり面および二個の非転がり面を有し、当該スライド台剛体の当該無負荷通路は当該転がり面に向かい合う二個の第一内面と、当該二個の非転がり面に向かい合う二個の第二内面を有する。少なくとも一つの当該第一内面は当該転がり面に対向する凹部形成され、且つ当該凹部は狭い開口を有する。
グリス貯蔵部材は当該凹部に設置されて当該転がり面上でのみ当該ローラーに接触し、当該凹部の当該狭い開口は当該グリス貯蔵部材が当該凹部からはみ出るのを防止する。
【0012】
好ましくはさらに、当該無負荷通路には全長にわたって当該凹部が設けられ、且つ当該グリス貯蔵部材が当該凹部内に全長にわたって設置される。
【0013】
好ましくはさらに、当該スライド台剛体は内部に当該スライド台剛体の一端から他端にかけて当該スライド台剛体が貫通する通孔を有し、当該通孔の中にグリス貯蔵部材取付品が設置されて当該無負荷通路を形成し、当該第一内面、当該第二内面および当該凹部を当該グリス貯蔵部材の内部に成形する。
【0014】
好ましくはさらに、当該凹部は矩形溝であり、多数個のグリス貯蔵部材固定板が当該凹部の当該第一内面からの距離が異なる2つの位置に交互に配置され、更に当該グリス貯蔵部材が各当該グリス貯蔵部材固定板と当該第一内面の間を通過して設置される。
【0015】
好ましくはさらに、当該凹部は蟻ほぞ形溝であるか、または当該凹部を当該軸方向に対して垂直に切った断面が円弧形であり、且つ当該円弧形の弧度が180度より大きい円弧形凹溝である。
【0016】
さらに、ローラー保持チェーンは当該ローラーを直列に連結するようにされ、且つ保持部を有する。当該無負荷通路の当該二個の第二内面の中には当該納置それぞれ凹設され、当該ローラー保持チェーンの当該保持部を納置するのに用いられる。
【0017】
好ましくはさらに、少なくとも一つの当該回転通路の内面にも当該グリス貯蔵部材が設けられ、当該グリス貯蔵部材は当該ローラーの当該転がり面に接触する。
【0018】
好ましくはさらに、当該凹部の両側には第一内面の部分がそれぞれ残される。
【0019】
本発明は、更にグリス貯蔵部材取付品を提供する。
それは細長形状で、レール上に架設されるスライド台剛体の一端から他端にかけて当該スライド台剛体を貫通する通孔の内部に取付けられて用い、当該スライド台剛体の中に無負荷通路を形成する。
当該無負荷通路は、当該レールの延長方向である軸方向に平行な面で切った断面が矩形であり、相対する二個の第一内面、および相対する二個の第二内面を有し、少なくとも一つの当該第一内面の一部に凹部が成形され、且つ当該凹部は狭い開口を有する。当該無負荷通路の当該二個の第二内面の一部には納置槽がそれぞれ凹設される。
グリス貯蔵部材は、当該凹部に設けられ、当該凹部の当該狭い開口は当該グリス貯蔵部材が当該凹部からはみ出るのを防止する。
【0020】
好ましくはさらに、当該凹部は矩形溝であり、多数個のグリス貯蔵部材固定板が当該凹部の当該第一内面からの距離が異なる2つの位置に交互に配置される。
【0021】
好ましくはさらに、当該凹部は蟻継ぎ溝であるか、または当該凹部を当該軸方向に対して垂直に切った断面が円弧形であり、且つ当該円弧形の弧度が180度より大きい円弧形凹溝である。
【0022】
好ましくはさらに、当該凹部の両側には、当該両側に向かい合う当該第一内面の一部がそれぞれ当接して支持される。
【0023】
好ましくはさらに、該グリス貯蔵部材取付品は二個の半ダクトが向かい合って構成される。
【0024】
(発明の効果)
本発明のローラー式リニアガイドおよびグリス貯蔵部材取付品には、以下の利点がある。
【0025】
第一に、無負荷通路内全長でローラーに対してグリスアップを行える仕組みのため、ローラーの循環回転の安定性が確保される。
【0026】
第二に、グリス貯蔵部材は無負荷通路内に設置するため、スライド台組部材の体積を大きくせずに済み、リニアガイドの小型化に有利である。
【0027】
第三に、凹部が矩形溝の時、交互に配置されたグリス貯蔵部材固定板を用い、グリス貯蔵部材をグリス貯蔵部材固定板と第一内面の間を通過させて設置するため、グリス貯蔵部材を無負荷通路の第一内面の凹部内に安定して固定できる。または、直接凹部の設置形状を蟻ほぞ形溝、または断面が円弧形の凹溝にすることで、グリス貯蔵部材を凹部内に固定配置することもできる。
【0028】
第四に、当該無負荷通路中にグリス貯蔵部材を設ける他、当該回転通路の内面にも当該グリス貯蔵部材を設けることで、当該ローラーのグリスアップ効果を高めることができる。
【0029】
第五に、本発明のグリス貯蔵部材はグリス貯蔵部材取付品の中に設けられるため、スライド台剛体の体積を占有せず、スライド台剛体の剛性に影響を与えることがない。
【0030】
第六に、本発明のグリス貯蔵部材はローラー両側に接触するため、ローラーとの接触面積が大きくなり、グリスが十分にローラー上に付着し、グリスアップ効果に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明のローラー式リニアガイドをスライドレール上に取り付けた状態の外観斜視図である。
図2図1の平面部分断面図である。
図3図1の正面断面図である。
図3A図3の局所拡大図である。
図4】本発明のグリス貯蔵部材取付品の外観斜視図である。
図5】本発明の実施例において、凹部が矩形溝の時、グリス貯蔵部材を無負荷通路の第一内面の凹部に納置し、グリス貯蔵部材固定板に沿って交錯延長させる正面断面図である。
図6】本発明の実施例において、回転通路の内面にもグリス貯蔵部材を設けた平面断面図である。
図7】本発明の実施例において、凹部が蟻継ぎ溝である時、グリス貯蔵部材は直接凹部によって位置限定される正面断面図である。
図8】本発明実施例において、凹部が円弧形凹溝である時、グリス貯蔵部材が直接凹部によって位置限定される正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(一実施形態)
上述技術の特徴を総合し、本発明のローラー式リニアガイドおよびその付属品の主な効果を以下に実施例を挙げて説明する。
【0033】
図1から図3に示すとおり、本実施例は以下を含む。
【0034】
レール1は、レール1の延長方向である軸方向に伸びる。スライド台組部材2は当該レール1上に架設され、当該スライド台組部材2はスライド台剛体21および二個の端面蓋22を含み、当該二個の端面蓋22は当該スライド台剛体21の両端に結合する。当該スライド台剛体21と当該レール1の間には負荷通路Aが成形され、当該スライド台剛体21は一端から他端へ貫通する通孔211を有し、当該通孔211の中にグリス貯蔵部材取付品3が設置される。当該グリス貯蔵部材取付品3は細長形状で、内部に無負荷通路31を形成する。製造しやすくするため、本実施例の当該グリス貯蔵部材取付品3はダクトになっており、且つ二個の半ダクト3A、3Bが向かい合って当該ダクトを構成する(例として図3A参照)。当該二個の端面蓋22は当該負荷通路Aと当該無負荷通路31が連通して循環通路となるように形成された回転通路221をそれぞれ提供する。
複数個のローラー4は、当該循環通路の中に納置されて循環回転することで当該スライド台組部材2は当該レール1上を往復運動する。当該ローラー4は一個の転がり面41および二個の非転がり面42を有し、当該無負荷通路31は当該転がり面41と向かい合う二個の第一内面311と、当該二個の非転がり面42と向かい合う二個の第二内面312を有する。少なくとも一つの第一内面311内は凹部を形成して当該転がり面41に対応し、且つ当該凹部の両側には第一内面311の一部がそれぞれ当該凹部でない部分として残されており、当該凹部の両側の当該凹部でない部分がすべて当該ローラー4に接触し、当該ローラー4の回転の安定性を確保する。また当該凹部は、例えば矩形溝32であり、本実施例では当該二個の第一内面311はすべて当該矩形溝32で凹設されており、且つ更に当該無負荷通路31の全長において、当該矩形溝32として設けられる。グリス貯蔵部材5は、全長にわたって当該矩形溝32内に設置され、当該ローラー4に接触する。ローラー保持チェーン6は当該ローラー4の回転軸である保持部61に直列に接続し、且つ当該無負荷通路31の二個の第二内面312の内側には納置33が凹設され、当該ローラー保持チェーン6に接続された保持部61は当該納置33内に納置される。
【0035】
当該ローラー4が当該循環通路内を循環回転することによって、当該スライド台組部材2は当該レール1上を摺動する。当該ローラー4が当該無負荷通路31に進入すると、当該グリス貯蔵部材5から当該無負荷通路31内の全長にわたって当該ローラー4の転がり面41に対してグリスアップが行われることで、当該ローラー4の循環回転の安定性を確保できる。また当該グリス貯蔵部材5は当該無負荷通路31内に設けられるため、当該スライド台組部材2の体積を増やすことなく、リニアガイドの小型化に有利である。同時に、当該グリス貯蔵部材5は当該グリス貯蔵部材取付品3上に設けられるため、当該スライド台剛体21の体積を占有することがない。よって当該スライド台剛体21の剛性に影響を与えず、且つ当該グリス貯蔵部材5は当該ローラー4の両側で当該ローラー4に接触することから、当該ローラー4との接触面積が大きくなり、グリスアップ効果に優れている。
【0036】
図3から図5に示すとおり、当該凹部は矩形溝32であり、他に多数個のグリス貯蔵部材固定板34を当該矩形溝32の位置に交互に配置し、当該グリス貯蔵部材5を当該グリス貯蔵部材固定板34と当該凹部である矩形溝32の間を通過するように差込む。これにより、当該グリス貯蔵部材5が当該無負荷通路31の第一内面311の矩形溝32の中に安定的に固定され、当該グリス貯蔵部材5が当該矩形溝32から弾き出される事態を防止する。
【0037】
図6に示すとおり、当該無負荷通路31中に当該グリス貯蔵部材5を設ける他、当該回転通路221の内面にも当該グリス貯蔵部材5を設け、当該グリス貯蔵部材5を当該ローラー4の転がり面41に接触させる。こうして、当該ローラー4は当該無負荷通路31でグリスアップされる他、当該回転通路221でもグリスアップされる。それらによって、当該ローラー4のグリスアップ効果を高める。
【0038】
図7に示すとおり、当該凹部は蟻ほぞ形溝32Aとして成形される。当該蟻ほぞ形溝32Aが比較的狭い開口を有することによって、当該グリス貯蔵部材5が当該蟻ほぞ形溝32Aからはみ出すのを防止する。
【0039】
図8に示すとおり、当該凹は断面が円弧形であり、且つ弧度が180度より大きい円弧形凹溝32Bで成形される。当該円弧形凹溝32Bの比較的狭い開口によって当該グリス貯蔵部材5が当該円弧形凹溝32Bからはみ出るのを防止する。
【0040】
上述の実施例の説明を総合すると、本発明の操作、使用および本発明の効果が十分に理解される。但し、以上の実施例は本発明の良好な実施例に過ぎず、本発明の請求範囲を制限するものではなく、本発明に基づいて申請された特許請求の範囲および発明の詳細な説明からの簡単な置換または修正で実現可能な同等効果の変化と修飾はすべて本発明の特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0041】
1 レール
2 スライド台組部材
21 スライド台剛体
211 通孔
22 端面蓋
221 回転通路
3 グリス貯蔵部材取付品
3A 半ダクト
3B 半ダクト
31 無負荷通路
311 第一内面
312 第二内面
32 矩形溝
32A 蟻継ぎ溝
32B 円弧形凹溝
33 納置
34 グリス貯蔵部材固定板
4 ローラー
41 転がり面
42 非転がり面
5 グリス貯蔵部材
6 ローラー保持チェーン
61 保持部
A 負荷通路
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8