【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、
蒸気トラップの機種ごとの稼働コストを評価する稼働コスト評価方法であって、評価対象機種の複数の
蒸気トラップであってプラントにおいて稼働しているものの検査を行い、当該検査の結果に基づいて、前記複数の
蒸気トラップのそれぞれについて、当該
蒸気トラップの稼働状態が
、蒸気漏れおよび詰まりが生じていない状態である正常状態であるか
、蒸気漏れおよび詰まりの少なくとも一つが生じている状態である異常状態であるかの診断を行う診断工程と、前記複数の
蒸気トラップのそれぞれについて、当該
蒸気トラップが前記プラントにおいて稼働を開始した時である稼動始期に関する稼働始期情報、前記診断工程において当該
蒸気トラップに対して前記検査が行われた時である検査時期に関する検査時期情報、および、前記診断工程において診断された前記稼働状態に関する稼働状態情報、を記憶装置に蓄積する蓄積工程と、前記蓄積工程において蓄積された前記稼働始期情報、前記検査時期情報、および、前記稼働状態情報に基づいて、前記評価対象機種の装置寿命を演算する装置寿命演算工程と、前記装置寿命に基づいて、あらかじめ設定された稼働期間の間に発生する前記評価対象機種の
蒸気トラップの、設置、修理および交換、ならびに、検査および診断、の回数についての予測であるイベント予測を実行するイベント予測工程と、前記イベント予測の結果に基づいて、前記稼働期間にわたって前記評価対象機種の
蒸気トラップを稼働するために生じる通算の稼働コストである通算稼働コストを演算するコスト演算工程と、を有し、前記検査は、複数の前記
蒸気トラップのそれぞれについて、振動および温度の少なくとも一つを検出することを含み、前記装置寿命演算工程において、前記評価対象機種の生存率曲線が演算され、前記生存率曲線の横軸は、前記稼動始期からの経過時間であり、前記生存率曲線の縦軸は、前記経過時間が経過した後に
前記正常状態で稼働する前記評価対象機種の
蒸気トラップの割合を表す生存率であり、前記評価対象機種の装置寿命は、前記生存率曲線において、前記生存率があらかじめ定められた閾値になる前記経過時間であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る稼働コスト評価プログラムは、
蒸気トラップの機種ごとの稼働コストを評価する稼働コスト評価プログラムであって、評価対象機種の複数の
蒸気トラップであってプラントにおいて稼働しているものに対して行われる検査の結果、および、当該検査の結果に基づいてなされた、前記複数の
蒸気トラップのそれぞれについての、当該
蒸気トラップの稼働状態が
、蒸気漏れおよび詰まりが生じていない状態である正常状態であるか
、蒸気漏れおよび詰まりの少なくとも一つが生じている状態である異常状態であるかの診断の結果、の入力を受け付ける入力機能と、前記複数の
蒸気トラップのそれぞれについて、当該
蒸気トラップが前記プラントにおいて稼働を開始した時である稼動始期に関する稼働始期情報、当該
蒸気トラップに対して前記検査が行われた時である検査時期に関する検査時期情報、および、前記診断において診断された前記稼働状態に関する稼働状態情報、を記憶装置に蓄積する蓄積機能と、前記蓄積機能において蓄積された前記稼働始期情報、前記検査時期情報、および、前記稼働状態情報に基づいて、前記評価対象機種の装置寿命を演算する装置寿命演算機能と、前記装置寿命に基づいて、あらかじめ設定された稼働期間の間に発生する前記評価対象機種の
蒸気トラップの、設置、交換、点検、および修理の回数についての予測であるイベント予測を実行するイベント予測機能と、前記イベント予測の結果に基づいて、前記稼働期間にわたって前記評価対象機種の
蒸気トラップを稼働するために生じる通算の稼働コストである通算稼働コストを演算するコスト演算機能と、をコンピュータに実行させ、前記検査の結果は、複数の前記
蒸気トラップのそれぞれについての、振動および温度の少なくとも一つの測定値を含み、前記装置寿命演算機能によって、前記評価対象機種の生存率曲線が演算され、前記生存率曲線の横軸は、前記稼動始期からの経過時間であり、前記生存率曲線の縦軸は、前記経過時間が経過した後に
前記正常状態で稼働する前記評価対象機種の
蒸気トラップの割合を表す生存率であり、前記評価対象機種の装置寿命は、前記生存率曲線において、前記生存率があらかじめ定められた閾値になる前記経過時間であることを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、プラント機器について行われる検査を活用し、信頼性の高い稼働コストの評価方法を実現することができる。
加えて、これらの構成によれば、プラント機器に対する検査および診断の結果に基づいて精度の高い生存率曲線を演算することができる。また、評価目的に適した閾値を設定することで、目的に応じた装置寿命を演算することができ、ひいては目的に応じた稼働コストを演算することができる。
【0011】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0012】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として、
前記プラント機器は、蒸気トラップであることが好ましい。
【0014】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として、
前記イベント予測工程は、前記装置寿命および前記生存率曲線に基づいて前記イベント予測を実行することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、
生存率曲線の形状、すなわち経年による故障率の変化などを加味してイベント予測を実行できるため、装置寿命が満了する途中に発生するイベントを高い精度で予測しやすい。
【0016】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として、前記イベント予測工程は、前記装置寿命および前記生存率曲線に基づいて、前記
蒸気トラップの交換回数を予測する交換予測ステップと、前記評価対象機種に係る修理の統計情報および前記プラントに係る修理の統計情報の少なくとも一つに基づいて前記
蒸気トラップの修理回数を予測する修理予測ステップと、を含むことが好ましい。
【0017】
この構成によれば、
プラント機器の交換回数および修理回数を予測できる。
【0018】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として、前記コスト演算工程は、さらに、前記通算稼働コストを前記稼働期間で除して、前記評価対象機種の
蒸気トラップを稼働するために生じる1年あたりの稼働コストである単年稼働コストを演算することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、
数年に1回の頻度で生じる異常状態に起因して生じる突発的なコストの影響を、稼働期間の全期間にわたって平準化することができるため、プラントの安定的な維持管理を行うことができる。
【0020】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として、前記生存率曲線は、カプランマイヤー法により演算されることが好ましい。
この構成によれば、生存時間解析手法の分野における適用実績が豊富なカプランマイヤー法により、高精度の稼働コストを演算することができる。
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として、前記診断工程は複数回実行され、複数回実行される前記診断工程どうしの間隔は、あらかじめ定められた診断周期以内であることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、定期的に検査および診断が行われるため、収集される情報の質および量が向上し、より精度の高い稼働コストを演算しやすい。
【0022】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として、前記診断周期は1年以下であることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、1年以下の単位で装置寿命を演算することができ、稼働コストの演算に用いるのに適した精度の装置寿命を演算することができる。
【0024】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として、前記
蒸気トラップが使用される使用条件ごとに前記稼働コストを演算可能に構成されていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、使用条件が稼働コストに与える影響を客観的に評価しやすい。
【0026】
本発明に係る稼働コスト評価方法は、一態様として
、前記使用条件は、前記プラントにおいて前記
蒸気トラップが使用される部位、および、前記
蒸気トラップを流通する流体に係る物理量である流体物理量、の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0027】
この構成によれば、プラント機器が使用される部位、ならびに、プラント機器を流通する流体の温度、圧力、および流量、などが稼働コストに与える影響を客観的に評価しやすい。
【0028】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。