(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、第1実施形態について説明する。
【0014】
(回転コネクタ10の概要)
図1は、第1実施形態に係る回転コネクタ10(ステアリングホイール12側)の外観斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る回転コネクタ10(車両本体14側)の外観斜視図である。
【0015】
図1および
図2に示す回転コネクタ10は、自動車等の車両のステアリング装置20(
図3参照)に組み込まれて、ステアリングホイール12(
図3参照)に設けられた「ステアリング側電気部品」の一例である各種電気部品(例えば、パドルスイッチ、各種操作スイッチ、エアバッグ、各種検出センサ、振動発生装置、ヒータ等)を、車両本体14(
図3参照)に設けられた「車両側電気部品」の一例である各種電気部品(例えば、ECU等)に対して、電気的に接続するためのものである。
【0016】
図1および
図2に示すように、回転コネクタ10は、全体的に、概ね薄型の円柱形状をなしている。回転コネクタ10は、その中央において、回転中心軸AX(「回転軸」の一例)に沿って延在する、円筒形状の貫通孔10Aが形成されている。貫通孔10Aには、ステアリングシャフト16が挿通される。
【0017】
また、回転コネクタ10は、接続面10Bおよび接続面10Cを有している。接続面10Bは、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)の接続面である。接続面10Bは、平板部112の表面を成し、概ね円形状をなしており、その中央部が、上記貫通孔10Aによって円形状に開口している。接続面10Bの表面には、コネクタ10D(「第1の接続部」の一例)およびコネクタ10Eが、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)に突出して設けられている。コネクタ10Dおよびコネクタ10Eは、ステアリング側電気部品に接続される。
【0018】
接続面10Cは、車両本体14側(図中X軸負側)の接続面であり、図示しない固定部により車両本体14に固定される。接続面10Cは、概ね円形状をなしており、その中央部が、上記貫通孔10Aによって円形状に開口している。接続面10Cには、コネクタ10Fが、下方(図中Z軸負方向)に突出して設けられている。コネクタ10Fは、車両側電気部品に接続される。
【0019】
接続面10Bに設けられたコネクタ10Dおよびコネクタ10Eと、接続面10Cに設けられたコネクタ10Fとは、回転コネクタ10の内部に設けられたFPC(フレキシブルプリントサーキット)ユニット130(
図4参照)により、互いに電気的に接続されている。なお以下では、FPC(フレキシブルプリントサーキット)を単にFPCと記載する。
【0020】
(ステアリング装置20の組み立て方法)
図3Aおよび
図3Bは、第1実施形態に係るステアリング装置20の組み立て方法を説明するための図である。
図3Aおよび
図3Bに示すように、ステアリング装置20は、回転コネクタ10、ステアリングホイール12、車両本体14、およびステアリングシャフト16を備えて構成されている。ステアリングシャフト16は、車両本体14から、回転中心軸AXに沿ってステアリングホイール12に向って図中X軸正方向に延在する、丸棒状の部材である。
【0021】
ステアリング装置20において、回転コネクタ10は、貫通孔10Aの内部に対し、ステアリングシャフト16が、回転中心軸AX方向に挿通される。そして、回転コネクタ10は、接続面10Cが、車両本体14の接続面14Aと接合するように、車両本体14に対して固定的に取り付けられる。この際、接続面10Cに設けられたコネクタ10Fが、車両本体14に設けられたコネクタ14B(
図5参照)と接続される。これにより、回転コネクタ10は、車両側電気部品に対して、電気的に接続されることとなる。
【0022】
また、回転コネクタ10は、接続面10Bが、ステアリングホイール12の接続面12Aと係合するように、ステアリングホイール12が固定的に取り付けられる。この際、接続面10Bに設けられたコネクタ10D,10Eの各々が、ステアリングホイール12に設けられた2つのコネクタ12B,12C(
図5参照)の各々と接続される。これにより、回転コネクタ10は、ステアリング側電気部品に対して、電気的に接続されることとなる。
【0023】
なお、回転コネクタ10は、接続面10Bが、ケース部140の接続面10Cに対して、回転中心軸AXの周り(図中矢印A方向)に回転自在となるように構成されている。これにより、回転コネクタ10は、ステアリング装置20に組み込まれた状態において、ステアリングホイール12の回転操作がなされたとき、接続面10Cが車両本体14に固定された状態のまま、ステアリングホイール12が取り付けられた接続面10Bを、ステアリングホイール12とともに回転させることができる。これにより、回転コネクタ10は、ステアリングホイール12の回転操作を妨げることなく、ステアリング側電気部品を、車両側電気部品に電気的に接続することができるようになっている。
【0024】
(回転コネクタ10の構成)
図4は、一実施形態に係る回転コネクタ10の分解斜視図である。
図4に示すように、回転コネクタ10は、ロータ110、制御ユニット120、FPCユニット130、およびケース部140を備えて構成されている。
【0025】
ロータ110は、ステアリングホイール12が取り付けられ、ステアリングホイール12と一体的に回転する部材である。ロータ110は、平板部112および軸部114を有して構成されている。平板部112は、回転中心軸AXに垂直な方向に延在して、その表面が回転コネクタ10の接続面10Bとなる、円盤状の部分である。すなわち、平板部112は、その接続面10Bとなる表面に、コネクタ10D,10Eが設けられている。平板部112は、その中央に円形の開口部112Aが形成されている。軸部114は、平板部112の裏面側において、開口部112Aの周縁部から、車両本体14方向(図中X軸負方向)に突出して設けられた円筒状の部分である。軸部114の内筒部には、ステアリングシャフト16が挿通される。これにより、軸部114は、ロータ110の回転軸として機能する。軸部114は、ケース部140において回転自在に設けられたロータスナップ146と嵌合する。これにより、ロータ110は、平板部112によってケース部140(ケース本体142)のステアリングホイール12側(図中X軸正側)の開口を閉塞しつつ、ケース部140に対して回転自在に取り付けられる。
【0026】
制御ユニット120は、「制御部」の一例である。制御ユニット120は、制御回路122およびカバー124を有して構成されている。制御回路122は、ロータ110に設けられたコネクタ10Dと、FPCユニット130が有するFPC132との間に介在し、コネクタ10DとFPC132との間を通る電気信号(すなわち、ステアリング側電気部品に対して入出力される電気信号)に対して、所定の処理を行う。ここで、「所定の処理」は、如何なる処理であってもよいが、例えば、アナログ−デジタル変換処理、電圧変換処理、フィルタ処理、等が挙げられる。カバー124は、制御回路122を覆う底面と開口部とを有し、内部の空間に制御回路122を保持する略箱型の部材である。カバー124は、制御回路122を保持する保持空間124Aを有している。カバー124は、保持空間124A内に制御回路122を保持した状態で、ロータ110が有する平板部112の裏面(ケース部140が有する収容空間142Aと対向する側の面。以下、ロータ110の裏面」と示す場合がある)に取り付けられる。これにより、制御回路122は、カバー124によって保持された状態で、カバー124とともに、ロータ110の裏面に取り付けられることとなる。なお、制御ユニット120の具体的な構成については、
図6および
図7で説明する。
【0027】
FPCユニット130は、FPC132、端子部134、および端子部136を有して構成されている。FPC132は、帯状の導体配線(例えば、銅箔等)の両表面を、可撓性および絶縁性を有する素材(例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)等)で覆うことによって構成される、可撓性を有する帯状の配線部材である。FPC132は、ケース部140部の収容空間142A内に巻回状態で設けられ、ロータ110に設けられたコネクタ10D(「第1の接続部」の一例)およびコネクタ10Eと、ケース部140部に設けられたコネクタ10Fとを、電気的に接続する。端子部134は、FPC132の一端に設けられており、コネクタ10Dおよびコネクタ10Eの各々と接続される。但し、端子部134は、コネクタ10Dに対しては、制御ユニット120が備える制御回路122を介して接続される。端子部134が、コネクタ10Dおよびコネクタ10Eの各々と接続されることにより、FPC132は、コネクタ10Dおよびコネクタ10Eを介して、ステアリング側電気部品と電気的に接続されることとなる。端子部136は、FPC132の他端に設けられており、コネクタ10Fと接続される。端子部136が、コネクタ10Fと接続されることにより、FPC132は、端子部136およびコネクタ10Fを介して、車両側電気部品と電気的に接続されることとなる。なお、FPCユニット130の具体的な構成については、
図8および
図9で説明する。
【0028】
ケース部140は、ケース本体142、ケースカバー144、およびロータスナップ146有している。ケース本体142は、車両本体に固定され、概ね円筒状をなす部材である。ケース本体142は、収容空間142Aを有している。収容空間142Aの内部には、FPCユニット130が収容される。ケース本体142のステアリングホイール12側(図中X軸正側)の開口は、ケース部140に対して回転自在に取り付けられるロータ110の平板部112によって閉塞される。ケースカバー144は、ケース本体142の車両本体14側(図中X軸負側)の開口を閉塞する、概ね円盤状をなす蓋状の部材である。ケースカバー144の表面は、回転コネクタ10の接続面10Bとなる。ケースカバー144の周縁部には、爪状の複数の係合部144Bが設けられている。複数の係合部144Bの各々は、ケース本体142の周壁部に設けられた複数の開口部142Bの各々に嵌め込まれる。これにより、ケースカバー144は、ケース本体142に対して固定的に結合されることとなる。ケースカバー144は、その中央に円形の開口部144Aが形成されている。ロータスナップ146は、ケースカバー144の開口部144Aに対して、回転自在に設けられる。ロータスナップ146の内筒部には、ステアリングシャフト16が挿通される。また、ロータスナップ146は、ロータ110の軸部114と嵌合することにより、ロータ110と結合される。これにより、ロータスナップ146は、ケースカバー144に対して、ロータ110とともに回転自在な状態となる。なお、実際には、ケース本体142の収容空間142Aには、FPC132の他に、ステアリングホイール12の回転動作に伴う、FPC132の巻き締め動作や巻き戻し動作を案内する複数のローラと、複数のローラを回転自在に保持するローラホルダとが組み込まれているが、図示を省略する。
【0029】
(回転コネクタ10の電気的接続構成)
図5は、第1実施形態に係る回転コネクタ10の電気的接続構成を示す図である。
【0030】
図5に示すように、回転コネクタ10のロータ110には、コネクタ10D,10Eが設けられている。コネクタ10D,10Eは、「ステアリングホイール側に電気的に接続される第1の接続部」の一例である。コネクタ10Dは、ステアリングホイール12に設けられたコネクタ12Bと接続される。コネクタ10Eは、ステアリングホイール12に設けられたコネクタ12Cと接続される。コネクタ12B,12Cは、ステアリング側電気部品と電気的に接続されている。
【0031】
また、回転コネクタ10のケース部140には、コネクタ10Fが設けられている。コネクタ10Fは、「車両本体側に電気的に接続される第2の接続部」の一例である。コネクタ10Fは、車両本体14に設けられたコネクタ14Bと接続される。コネクタ14Bは、車両側電気部品と電気的に接続されている。
【0032】
また、回転コネクタ10において、コネクタ10D,10Eと、コネクタ10Fとは、FPCユニット130に設けられたFPC132によって電気的に接続される。但し、コネクタ10Dと、FPC132との間には、制御ユニット120に設けられた制御回路122が介在している。制御回路122は、コネクタ10DとFPC132との間を通る電気信号に対して、所定の処理(例えば、アナログ−デジタル変換処理、電圧変換処理、フィルタ処理、等)を行う。
【0033】
すなわち、ステアリング側電気部品のうち、入出力される電気信号に制御回路122によって所定の処理を行う必要があるものは、コネクタ10Dに接続され、それ以外のものは、コネクタ10Eに接続される。
【0034】
ここで、
図5に示すように、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御回路122が、FPC132よりも、ステアリングホイール12側に設けられている。これにより、第1実施形態の回転コネクタ10は、例えば、ステアリング側電気部品からコネクタ10Dを介して出力された電気信号(アナログ信号)を、FPC132の手前に設けられた制御回路122によって、アナログ−デジタル変換することができる。すなわち、ステアリング側電気部品から出力された電気信号を、デジタル信号に変換した状態で、FPC132を介して、車両側電気部品へ送信することができる。これにより、第1実施形態の回転コネクタ10は、ステアリング側電気部品から出力された電気信号に対する、FPC132を通過する際のノイズの影響を抑制することができる。また、すでにデジタル変換済みの信号やデジタル変換が不要なアナログ信号は、コネクタ10Eを介して入力すれば、制御回路122を通さずにそのままの信号として車両側電気部品へ送信することができる。
【0035】
(制御ユニット120の構成)
図6は、第1実施形態に係る制御ユニット120の構成(分解された状態)を示す外観斜視図である。
図7は、第1実施形態に係る制御ユニット120の構成(組み立てられた状態)を示す外観斜視図である。
【0036】
図6および
図7に示すように、制御ユニット120は、制御回路122およびカバー124を有して構成されている。
【0037】
制御回路122は、ロータ110に設けられたコネクタ10Dと、FPCユニット130が有するFPC132との間に介在し、コネクタ10DとFPC132との間を通る電気信号に対して、所定の処理(例えば、アナログ−デジタル変換処理、電圧変換処理、フィルタ処理、等)を行うことが可能な、電気回路である。
【0038】
制御回路122は、回路基板122Aを有している。第1実施形態では、回路基板122AとしてFPCを用いたことにより、制御回路122の薄型化が可能となっている。また、回路基板122Aとして、中継FPC138と同じくFPCを用いたことにより、制御回路122を中継FPC138に容易に接続できるようになっている。回路基板122Aは、平面視において、扇形状をなしている。回路基板122Aの内周縁部122Aaは、ロータ110の裏面の内周縁部(すなわち、開口部112Aの周縁部)に沿って湾曲している。また、回路基板122Aの外周縁部122Abは、ロータ110の裏面の外周縁部に沿って湾曲している。これにより、制御回路122は、ロータ110の裏面における、当該裏面の内周縁部と、当該裏面の外周縁部との間の所定の設置領域に対し、当該設置領域からはみ出すことなく、取り付けることができるようになっている。なお、回路基板122Aには、その外周縁部に沿って、複数の開口孔122Dが形成されている。
【0039】
回路基板122Aの一方の端部には、コネクタ122Bが設けられている。コネクタ122Bには、FPC132の一端に設けられた端子部134から延在する、中継FPC138が接続される。すなわち、コネクタ122Bには、端子部134および中継FPC138を介して、FPC132の一端が接続されることとなる。
【0040】
回路基板122Aの他方の端部には、接続端子122Cが設けられている。接続端子122Cは、回路基板122Aに対して垂直に立設された複数のピン端子を有しており、当該複数のピン端子が、ロータ110を貫通して、ロータ110に設けられたコネクタ10Dの内部に配設されることとなる。すなわち、接続端子122Cは、複数のピン端子がコネクタ10Dと一体化されて、ステアリングホイール12に設けられたコネクタ12Bと電気的に接続されることとなる。
【0041】
回路基板122Aにおいて、コネクタ122Bと接続端子122Cとの間には、複数の回路部品が配置されている。これにより、制御回路122は、複数の回路部品によって、コネクタ122Bと接続端子122Cとの間を通る電気信号(すなわち、コネクタ10DとFPC132との間を通る電気信号)に対して、所定の処理(例えば、アナログ−デジタル変換処理、電圧変換処理、フィルタ処理、等)を行うことが可能となっている。
【0042】
カバー124は、制御回路122の裏面および側面を覆うとともに、制御回路122をロータ110に取り付け可能とする部材である。カバー124は、制御回路122を保持する保持空間124Aを有している。保持空間124Aは、平面視において、制御回路122と略同形状である扇形状をなしている。これにより、保持空間124Aは、
図7に示すように、制御回路122を隙間なく収容することができるようになっている。保持空間124Aの内周壁部124Aaは、ロータ110の裏面の内周縁部(すなわち、開口部112Aの周縁部)に沿って湾曲している。また、保持空間124Aの外周壁部124Abは、ロータ110の裏面の外周縁部に沿って湾曲している。これにより、カバー124は、保持空間124A内に制御回路122を収容した状態で、ロータ110の裏面における、当該裏面の内周縁部と、当該裏面の外周縁部との間の所定の設置領域に対し、当該設置領域からはみ出すことなく、取り付けることができるようになっている。なお、カバー124における保持空間124Aの底面には、その外周縁部に沿って、複数の突起部124Cが形成されている。また、カバー124の内周壁部124Aaおよび外周壁部124Abには、複数の開口部124Bが形成されている。
【0043】
(FPCユニット130の構成)
図8および
図9は、第1実施形態に係るFPCユニット130の構成を示す外観斜視図である。
図8は、FPCユニット130を、ステアリングホイール12側から示す図である。
図9は、FPCユニット130を、車両本体14側から示す図である。
【0044】
図8および
図9に示すように、FPCユニット130は、FPC132、端子部134、端子部136、および中継FPC138を有して構成されている。
【0045】
FPC132は、ケース部140部の収容空間142A内に巻回状態で設けられる。FPC132は、収容空間142A内において、ステアリングホイール12の回転操作に伴って、巻き締め動作および巻き戻し動作をする。
【0046】
端子部134は、FPC132の一端(ステアリングホイール12側の端部)に設けられている。端子部134は、接続端子134Aおよびホルダ134Bを有している。
【0047】
接続端子134Aは、垂直に立設された複数のピン端子を有しており、当該複数のピン端子が、ロータ110を貫通して、ロータ110に設けられたコネクタ10Eの内部に配設されることとなる。すなわち、接続端子134Aは、複数のピン端子がコネクタ10Eと一体化されて、ロータ110に設けられたコネクタ10Eと電気的に接続されることとなる。これにより、接続端子134Aは、ステアリング側電気部品と電気的に接続されることとなる。
【0048】
ホルダ134Bは、FPC132の一端および接続端子134Aを支持する部材である。ホルダ134Bは、FPC132の一端および接続端子134Aを支持した状態で、ロータ110の裏面に固定的に取り付けられる。
【0049】
端子部136は、FPC132の他端(車両本体14側の端部)に設けられている。端子部136は、接続端子136Aおよびホルダ136Bを有している。
【0050】
接続端子136Aは、垂直に立設された複数のピン端子を有しており、当該複数のピン端子が、ケースカバー144を貫通して、ケースカバー144に設けられたコネクタ10Fの内部に配設されることとなる。すなわち、接続端子136Aは、複数のピン端子がコネクタ10Fと一体化されて、車両本体14に設けられたコネクタ14Bと電気的に接続されることとなる。これにより、接続端子136Aは、車両側電気部品と電気的に接続されることとなる。
【0051】
ホルダ136Bは、FPC132の他端および接続端子136Aを支持する部材である。ホルダ134Bは、FPC132の他端および接続端子136Aを支持した状態で、ケースカバー144の裏面(収容空間142A側の表面)に固定的に取り付けられる。
【0052】
中継FPC138は、一端が、FPC132の一端と接続され、他端が、制御回路122のコネクタ122Bに接続される。これにより、中継FPC138は、FPC132と制御回路122とを、電気的に接続する。第1実施形態では、中継FPC138としてFPCを用いたことにより、当該中継FPC138の薄型化が可能となっている。また、中継FPC138として、FPC132および制御回路122の回路基板122Aと同じくFPCを用いたことにより、中継FPC138を、FPC132および制御回路122の各々と容易に接続できるようになっている。
【0053】
(FPC132および制御回路122の接続状態)
図10は、第1実施形態に係るFPC132および制御回路122の接続状態を示す図である。
図10に示すように、制御回路122が有するコネクタ122Bには、FPC132の一端に設けられた端子部134から延在する、中継FPC138が接続される。これにより、中継FPC138を介して、FPC132が制御回路122に電気的に接続されることとなる。
【0054】
(制御ユニット120の取り付け方法)
図11〜
図13は、第1実施形態に係る制御ユニット120および端子部134のロータ110への取り付け方法を説明するための図である。
図11は、ロータ110、制御ユニット120、および端子部134を、ステアリングホイール12側から示す図である。
図12は、ロータ110、制御ユニット120、および端子部134を、車両本体14側から示す図である。
図13は、ロータ110に対して、制御ユニット120および端子部134が取り付けられた状態を示す図である。
【0055】
まず、
図11および
図12に示すように、制御ユニット120において、カバー124の保持空間124A内に、制御回路122が収容される。保持空間124Aは、回転中心軸AXの方向からの平面視において、制御回路122と略同形状である扇形状をなしている。これにより、保持空間124Aは、制御回路122を隙間なく収容することができるようになっている。
【0056】
制御回路122は、任意の固定手段によって、保持空間124A内に固定される。一例として、第1実施形態では、回路基板122Aに設けられた複数の開口孔122Dの各々に対し、保持空間124Aの底面から突出して設けられた複数の突起部124Cの各々が嵌め込まれた状態で、複数の突起部124Cの各々がカシメられることにより、制御回路122が、保持空間124A内に固定される構成を採用している。
【0057】
次に、
図11および
図12に示すように、制御回路122に設けられたコネクタ122Bに対して、端子部134に設けられた中継FPC138が接続される。なお、端子部134は、ホルダ134Bを有しており、当該ホルダ134Bによって、各構成部品(中継FPC138および接続端子134A)が支持されている。
【0058】
そして、
図13に示すように、ロータ110の裏面に対し、制御ユニット120および端子部134が取り付けられる。
【0059】
具体的には、制御回路122が収容された状態のカバー124が、ロータ110の裏面に形成された、当該カバー124と略同形状(すなわち、平面視において扇形状)の切り欠き空間112B(凹部の一例)に嵌め込まれる。ここで、切り欠き空間112Bには、爪状の複数の係合部112Cが設けられており、これら複数の係合部112Cの各々が、カバー124に形成された複数の開口部124Bの各々と係合する。これにより、制御ユニット120が、ロータ110の切り欠き空間112Bに対し固定されることとなる。この際、制御回路122に設けられた接続端子122Cが有する複数のピン端子は、ロータ110を裏側から貫通して、ロータ110の表面に設けられたコネクタ10Dの内部に配設されることとなる。
【0060】
また、端子部134に設けられたホルダ134Bが、ロータ110の裏面に形成された、当該ホルダ134Bと略同形状の切り欠き空間112Dに嵌め込まれる。ここで、切り欠き空間112Dには、複数の開口部112Eが形成されており、これら複数の開口部112Eの各々が、ホルダ134Bに形成された爪状の複数の係合部134Dの各々と係合する。これにより、端子部134が、ロータ110の切り欠き空間112Dに対し固定されることとなる。この際、端子部134に設けられた接続端子134Aが有する複数のピン端子は、ロータ110を裏側から貫通して、ロータ110の表面に設けられたコネクタ10Eの内部に配設されることとなる。
【0061】
ここで、ロータ110の裏面において、切り欠き空間112Bおよび切り欠き空間112Dを除く部分には、平滑面112Fが形成されている。また、切り欠き空間112Bに取り付けられるカバー124の裏面(収容空間142Aに対向する側の面)は、略平滑な平面となっている。また、切り欠き空間112Dに取り付けられるホルダ134Bの裏面(収容空間142Aに対向する側の面)は、略平滑な平面となっている。
【0062】
このため、
図13に示すように、切り欠き空間112Bにカバー124が取り付けられることにより、当該切り欠き空間112Bに、平滑な平面が形成されることとなる。また、そして、切り欠き空間112Dにホルダ134Bが取り付けられることにより、当該切り欠き空間112Dにおいても、平滑な平面が形成されることとなる。
【0063】
特に、カバー124の裏面は、平滑面112Fと同じ高さ位置となる。これにより、
図13に示すように、ロータ110の平板部112の裏側には、平滑面112Fとカバー124の裏面とによって、連続的な平滑面が形成されることとなる。
【0064】
すなわち、第1実施形態の回転コネクタ10は、ロータ110の裏面に、カバー124およびホルダ134Bが取り付けられることにより、全体的に平滑面が形成されることとなる。これにより、第1実施形態の回転コネクタ10は、ロータ110の裏面において、カバー124およびホルダ134Bの両方に対し、FPC132の引っ掛かり等が生じないように摺動可能となっている。
【0065】
(回転コネクタ10の断面構成)
図14は、第1実施形態に係る回転コネクタ10の断面図である。
図14に示すように、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120(制御回路122およびカバー124)が、ロータ110の裏面に対し、当該裏面からはみ出さないように取り付けられる。これにより、第1実施形態の回転コネクタ10は、当該回転コネクタ10の外形状および外形サイズに影響を及ぼすことなく、すなわち、当該回転コネクタ10を大型化することなく、制御ユニット120を回転コネクタ10内の空きスペースに設置することができる。
【0066】
また、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120(制御回路122およびカバー124)が比較的薄型である。特に、第1実施形態の回転コネクタ10は、ロータ110の裏面に切り欠き空間112Bを設け、当該切り欠き空間112Bに制御ユニット120を設けているため、制御ユニット120を設けたことによるロータ110の厚さ寸法の増加を抑制することができる。さらに、第1実施形態の回転コネクタ10は、カバー124の表面(収容空間142A側の対向面)が平滑であるため、当該表面によるFPC132への引っ掛かり等が生じないようになっている。
【0067】
このため、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120が収容空間142Aに収容されているFPC132に干渉することなく、すなわち、制御ユニット120がFPC132の巻き締め動作および巻き戻し動作に影響を及ぼすことなく、制御ユニット120を回転コネクタ10の空きスペース内に設置することができる。
【0068】
したがって、第1実施形態の回転コネクタ10によれば、ステアリング側電気部品に対するノイズの影響を抑制することが可能な、小型の回転コネクタ10を実現することができる。
【0069】
以上説明したように、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120を、ロータ110における収容空間142Aと対向する平板部112に保持し一体に回転する構成を採用している。これにより、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120を、当該回転コネクタ10内の空きスペースに設けることができる。したがって、第1実施形態の回転コネクタ10によれば、ステアリングホイール12に入出力される電気信号に対するノイズの影響を抑制することが可能な、小型の回転コネクタ10を実現することができる。
【0070】
特に、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120を、平面視において、ロータ110における収容空間142A側の表面における内周縁部および外周縁部に沿った扇形状を有する形状としている。これにより、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120をその他の形状(例えば、一般的な四角形状)とするよりも、当該制御ユニット120の半径方向のサイズを小型化することができる。したがって、第1実施形態の回転コネクタ10によれば、ロータ110を大型化することなく、当該ロータ110における収容空間142A側の表面に、制御ユニット120を設けることができる。
【0071】
また、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120に制御回路122を覆うカバー124を設け、特に、当該カバー124における収容空間142A側の表面を、平滑面としている。これにより、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御ユニット120による、FPC132への引っ掛かり等が生じないようになっている。したがって、第1実施形態の回転コネクタ10によれば、制御ユニット120による、巻き締め動作および巻き戻し動作への干渉を抑制することができる。
【0072】
また、第1実施形態の回転コネクタ10は、制御回路122の回路基板122Aとして、FPCを用いている。これにより、第1実施形態の回転コネクタ10は、回路基板122Aに他の基板(例えば、リジッド基板)を用いた構成と比較して、制御回路122を薄型化することができる。したがって、第1実施形態の回転コネクタ10によれば、制御ユニット120を薄型化することができ、これにより、制御ユニット120による、FPC132への干渉をより抑制することができる。
【0073】
〔第2実施形態〕
次に、
図16〜
図19を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態で説明した回転コネクタ10の変形例として回転コネクタ30を説明する。以降の説明では、回転コネクタ30に関し、主に、回転コネクタ10からの変更点について説明する。なお、以降の説明において、回転コネクタ10と同様の構成部材については、回転コネクタ10と同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0074】
図16は、第2実施形態に係る回転コネクタ30の外観斜視図である。
図17は、第2実施形態に係る回転コネクタ30の分解斜視図である。
図18は、第2実施形態に係る制御ユニット220の構成(分解された状態)を示す外観斜視図である。
【0075】
図16および
図17に示すように、回転コネクタ30は、ロータ110の代わりにロータ210を備える点、および、制御ユニット120の代わりに制御ユニット220を備える点で、第1実施形態の回転コネクタ10と異なる。
【0076】
ロータ210は、収容空間142Aと対向して回転コネクタ30の接続面10Bとなる平板部112に、当該平板部112を回転コネクタ30の回転中心軸に沿った方向(図中X軸方向)に貫通する開口部212が設けられている点で、第1実施形態のロータ110と異なる。
【0077】
制御ユニット220は、回路基板122Aを有する制御回路122の代わりに回路基板222Aを有する制御回路222を備える点、および、カバー124の代わりにカバー224を備える点で、第1実施形態の制御ユニット120と異なる。
【0078】
収容空間142Aと対向する回路基板222Aおよびカバー224は、回路基板222Aに実装される電子部品数の増加に伴って、第1実施形態の回路基板122Aおよびカバー124よりも、周方向(ロータ210の回転方向に沿った方向)にサイズが拡大されている。これに伴い、回路基板222Aは、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)からの平面視において、ロータ210の開口部212と重なる位置に、当該回路基板222Aを回転コネクタ30の回転中心軸に沿った方向(図中X軸方向)に貫通する、開口部222Bが設けられている。同様に、カバー224は、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)からの平面視において、開口部212および開口部222Bと重なる位置に、当該カバー224を回転コネクタ30の回転中心軸に沿った方向(図中X軸方向)に貫通する、開口部224Aが設けられている。
【0079】
開口部212,222B,224Aは、いずれも、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)からの平面視において、ケース本体142の収容空間142A内に設けられている、FPC132の動作を案内するためのローラ139と重なる位置に設けられている。
【0080】
開口部212,222B,224Aは、いずれも、「所定の視認対象物を視認可能にするための可視部」の一例であり、回転コネクタ30のステアリングホイール12側(図中X軸正側)から、ローラ139(「所定の視認対象物」の一例)の視認を可能とするために設けられている。
【0081】
なお、開口部212は、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)から透明板214で塞がれており、これにより、収容空間142A内の視認を可能としつつ、収容空間142A内への異物の混入を防ぐことができるようになっている。
【0082】
また、カバー224における開口部224Aの周縁部には、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)に突出した筒状の周壁部224Bが設けられている。周壁部224Bは、回路基板222Aの開口部222Bを貫通することにより、開口部222Bを容易に位置決めできるようになっている。
【0083】
図19は、第2実施形態に係る回転コネクタ30の一部拡大図である。
図19は、回転コネクタ30をステアリングホイール12側(図中X軸正側)から平面視したときの、開口部212の周辺部分を拡大して示すものである。
【0084】
例えば、ステアリングホイール12の取り付けを行う作業者は、
図19に示すように、回転コネクタ30のステアリングホイール12側(図中X軸正側)から、開口部212,222B,224Aを通じて、収容空間142A内に設けられているローラ139の状態を確認する。これにより、作業者は、ステアリングホイール12のセンター位置に対応する、回転コネクタ30のセンター位置を確認することができる。そして、作業者は、ステアリングホイール12のセンター位置と、回転コネクタ30のセンター位置とを一致させた状態で、回転コネクタ30にステアリングホイール12を取り付けることができる。
【0085】
なお、開口部212,222B,224Aは、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)からの平面視において、いずれも扇形状を有しているが、その他の形状(例えば、四角形状、円形状等)を有するものであってもよい。
【0086】
また、「所定の視認対象物」は、ローラ139に限らない。すなわち、「所定の視認対象物」は、収容空間142A内に設けられ、且つ、回転コネクタ30のセンター位置を確認することができることができるものであれば、如何なるものであってもよい。例えば、「所定の視認対象物」をFPC132とし、FPC132の折り返し部の位置によって、回転コネクタ30のセンター位置を確認するようにしてもよい。
【0087】
また、「所定の視認対象物を視認可能にするための可視部」は、開口部212,222B,224Aに限らない。例えば、ロータ210、回路基板222A、カバー224のいずれかにおいて、少なくともローラ139と重なる部分に、透明な素材を用いるようにしてもよい。また、例えば、回路基板222Aに透明な素材からなるFPCを使用し、可視部に相当する部分に導体が無いように配線パターンを設定することにより、別部品を用いることなく、回路基板222Aに可視部を一体的に設けることができる。また、例えば、ロータ210、回路基板222A、カバー224のいずれかにおいて、ローラ139と重なる部分を、当該回路基板222Aの縁部から切り欠くようにしてもよい。また、例えば、ロータ210、回路基板222A、カバー224のいずれかにおいて、少なくともローラ139と重なる部分に、点状または線状の複数の開口を形成するようにしてもよい。
【0088】
以上説明したように、第2実施形態に係る回転コネクタ30は、回路基板222Aを周方向に拡大し、ロータ210の平板部112、回路基板222A、およびカバー224の各々が、回転コネクタ30の回転軸の方向からの平面視において、ローラ139と重なる位置に、開口部212、開口部222B、および開口部224Aの各々を有する。これにより、第2実施形態に係る回転コネクタ30は、ロータ210を大型化することなく、回路基板222Aに実装可能な電子部品数を増加することでき、さらに、ステアリングホイール12側から、収容空間142A内のローラ139の状態を確認することができる。
【0089】
〔第3実施形態〕
次に、
図20〜
図26を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第2実施形態で説明した回転コネクタ30の変形例として回転コネクタ50を説明する。以降の説明では、回転コネクタ50に関し、主に、回転コネクタ30からの変更点について説明する。なお、以降の説明において、回転コネクタ10,30と同様の構成部材については、回転コネクタ10,30と同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0090】
図20は、第3実施形態に係る回転コネクタ50の外観斜視図である。
図21は、第3実施形態に係る回転コネクタ50の分解斜視図である。
図22は、第3実施形態に係る制御ユニット320の構成(分解された状態)を示す外観斜視図である。
【0091】
図20および
図21に示すように、回転コネクタ50は、ロータ210の代わりにロータ310を備える点、および、制御ユニット220の代わりに制御ユニット320を備える点で、第2実施形態の回転コネクタ30と異なる。制御ユニット320は、回路基板222Aを有する制御回路222の代わりに、回路基板322Aを有する制御回路322を備える点、および、カバー224の代わりにカバー324を備える点で、第2実施形態の制御ユニット220と異なる。
【0092】
これにより、回転コネクタ50は、ロータ310における収容空間142Aと対向する円盤状の平板部112の外周縁部から半径方向における外側に突出する拡張部50Aを有するものとなっている。拡張部50Aは、ロータ310に設けられた平板部拡張部312と、回路基板322Aに設けられた回路基板拡張部322Bと、カバー324に設けられたカバー拡張部324Aとが、互いに組み合わされて構成されている。
【0093】
具体的には、
図22に示すように、収容空間142Aと対向する回路基板322Aは、当該回路基板322Aに実装される電子部品数の増加に伴って、当該回路基板322Aの外周縁部から半径方向における外側に突出して、当該回路基板322Aを拡張する回路基板拡張部322Bが設けられている。
【0094】
これに伴い、収容空間142Aと対向するカバー324は、当該カバー324の外周縁部から半径方向における外側に突出して、且つ、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)からの平面視において回路基板拡張部322Bと重なる位置に、当該カバー324を拡張し、且つ、回路基板拡張部322Bの収容空間142A側(図中X軸負側)の表面を覆うカバー拡張部324Aが設けられている。
【0095】
また、ロータ310は、円盤状の平板部112の外周縁部から半径方向における外側に突出して、且つ、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)からの平面視において回路基板拡張部322Bと重なる位置に、平板部112を拡張し、且つ、回路基板拡張部322Bのステアリングホイール12側(図中X軸正側)の表面を覆う平板部拡張部312が設けられている。
【0096】
なお、
図22に示すように、回路基板322Aは、当該回路基板322Aの外周縁部と回路基板拡張部322Bとの間に、回路基板322Aの表面に対して垂直なオフセット部322Cを有することにより、回路基板拡張部322Bが、ステアリングホイール12に近づく方向(図中X軸正側)にオフセットされている。これに伴い、カバー324は、カバー拡張部324Aが、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)にオフセットされている。同様に、ロータ310は、平板部拡張部312が、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)にオフセットされている。
【0097】
図23は、第3実施形態に係るロータ310および制御ユニット320(分解された状態)を収容空間142A側から示す図である。
図24は、第3実施形態に係るロータ310および制御ユニット320(組み立てられた状態)を収容空間142A側から示す図である。
【0098】
制御ユニット320は、カバー324のステアリングホイール12側(図中X軸正側)の表面に対し、回路基板322Aが取り付けられることにより、カバー324および回路基板322Aが一体化した状態となる。この際、回路基板322Aの回路基板拡張部322Bは、カバー324のカバー拡張部324A内に配置される。カバー拡張部324Aは、回路基板拡張部322Bと略同形状を有しており、且つ、外周縁部に垂直な周壁部が設けられている。これにより、カバー拡張部324Aは、当該カバー拡張部324Aに対する回路基板拡張部322Bの位置決めおよび設置を、容易且つ確実に行うことが可能となっている。
【0099】
そして、
図24に示すように、制御ユニット320は、ロータ310の収容空間142A側(図中X軸負側)の表面に取り付けられる。具体的には、回路基板322Aが取り付けられた状態のカバー324が、ロータ310の収容空間142A側(図中X軸負側)の表面に形成された、当該カバー324と略同形状(すなわち、平面視において扇形状)の切り欠き空間112Bに嵌め込まれる。この際、カバー324のカバー拡張部324Aが、回路基板322Aの回路基板拡張部322Bを保持した状態で、ロータ310の平板部拡張部312内に嵌め込まれることにより、内部に回路基板拡張部322Bを有する容器状の拡張部50Aが形成される。平板部拡張部312は、カバー拡張部324Aと略同形状を有しており、且つ、外周縁部に垂直な周壁部が設けられている。これにより、平板部拡張部312は、当該平板部拡張部312に対するカバー拡張部324Aの位置決めおよび嵌め込みを、容易且つ確実に行うことが可能となっている。
【0100】
なお、制御ユニット320をロータ310に取り付けることにより、ロータ310の開口部212、回路基板322Aの開口部222B、および、カバー324の開口部224Aが互いに重なり合った状態となるため、第2実施形態で説明したように、ステアリングホイール12側(図中X軸正側)からの、収容空間142A内のローラ139の状態が視認可能となる。
【0101】
図25は、第3実施形態に係る回転コネクタ50およびステアリングホイール12(分解された状態)を車両本体14側から示す図である。
図26は、第3実施形態に係る回転コネクタ50およびステアリングホイール12(組み立てられた状態)を車両本体14側から示す図である。
図27は、
図26に示す回転コネクタ50およびステアリングホイール12の一部拡大断面図である。
【0102】
図25および
図26に示すように、ステアリングホイール12は、当該ステアリングホイール12の中央に設けられたハブの裏面である接続面12Aが、回転コネクタ50の接続面10Bと密着するように、回転コネクタ50に対して固定的に取り付けられる。
【0103】
接続面12Aには、当該接続面12Aの一部が凹むように形成された、凹部12Dが設けられている。車両本体14側(図中X軸負側)からの平面視において、凹部12Dは、回転コネクタ50の拡張部50Aと重なる位置に設けられており、且つ、拡張部50Aを収容可能な形状を有している。
【0104】
図26および
図27に示すように、ステアリングホイール12を回転コネクタ50に取り付けた際、拡張部50Aは、接続面12Aと干渉することなく、凹部12D内に収まる。これにより、拡張部50Aは、ステアリングホイール12の接続面12Aからの、車両本体14側(図中X軸負側)への突出量が抑制されたものとなる。その結果、ステアリングホイール12の裏側における、回転コネクタ50の周囲の空間の有効利用が可能となる。
【0105】
また、拡張部50Aは、運転席側(図中X軸正側)から視認した時に、ステアリングホイール12の中央に設けられたハブの投影面積内に、はみ出すことなく収まるため、ステアリングホイール12の周辺を運転席側から見たときの、デザイン性、計器類の視認性等に影響を及ぼすものではない。
【0106】
以上説明したように、第3実施形態に係る回転コネクタ50は、ロータ310の平板部112、回路基板322A、およびカバー324の各々が、回転コネクタ50の回転軸の方向からの平面視において、平板部112の外周縁部から半径方向における外側に突出する平板部拡張部312、回路基板拡張部322B、およびカバー拡張部324Aの各々を有する。特に、第3実施形態に係る回転コネクタ50は、平板部拡張部312、回路基板拡張部322B、およびカバー拡張部324Aの各々が、回転コネクタ50の回転軸の方向からの平面視において、ステアリングホイール12の構成部であるハブの投影面積内に収まる。これにより、第3実施形態に係る回転コネクタ50は、ロータ210を大型化することなく、且つ、ステアリングホイール12の周辺を運転席側から見たときの、デザイン性、計器類の視認性等に影響を及ぼすことなく、回路基板322Aに実装可能な電子部品数を増加することできる。
【0107】
なお、第3実施形態に係る回転コネクタ50において、拡張部50Aのステアリングホイール12側へのオフセットを有しない構成としてもよい。この場合、ステアリングホイール12に凹部12Dを設けない構成とすることができる。また、回転コネクタ50は、1つの拡張部50Aを有するものに限らず、複数の拡張部50Aが外周縁部から突出して設けられていてもよい。
【0108】
また、拡張部50Aは、ステアリングホイール12のハブの投影面積内に収まる構成に限らず、例えば、拡張部50Aは、ステアリングホイール12のスポークの投影面積内に収まる構成であってもよい。特に、ステアリングホイール12の中央に設けられたハブから、ステアリングホイール12の半径方向に延びるスポークに沿った方向に、スポークと重なるように拡張部50Aが設けられた場合には、当該拡張部50Aの突出量をより大きくした場合であっても、運転席側からは見えないため、デザイン性、計器類の視認性等に影響を及ぼすことがない。
【0109】
また、拡張部50Aは、単に実装可能な面積を増やして回路基板322Aに実装する電子部品数の増加を目的とするものに限らず、例えば、回路基板322Aに大型の電子部品を実装する目的にも利用可能である。すなわち、この回路基板拡張部322Bは、回路基板322Aの外周縁部から半径方向における外側に突出しているため、回路基板322Aの半径方向の寸法以下に制約されていたために実装することができなかった大型のIC等の電子部品も実装することが可能となる。
【0110】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0111】
例えば、本発明の「拡張部」は、「平板部」、「回路基板」、および「カバー」の各々に設けられていることが好ましいが、少なくとも「回路基板」に設けられていればよい。したがって、本発明の「拡張部」は、「カバー」を有しない回転コネクタにも適用可能である。
【0112】
また、例えば、本発明の「可視部」は、「平板部」、「回路基板」、および「カバー」の各々に設けられていることが好ましいが、少なくとも「平板部」および「回路基板」に設けられていればよい。したがって、本発明の「可視部」は、「カバー」を有しない回転コネクタにも適用可能である。
【0113】
また、上記各実施形態では、「フレキシブルケーブル」の一例としてFPCを用いているが、これに限らず、例えば、「フレキシブルケーブル」としてフラットケーブル等を用いてもよい。
【0114】
また、上記各実施形態では、「中継用基板」の一例としてFPCを用いているが、これに限らず、例えば、「中継用基板」としてPWB(Printed Wiring Board)等のリジッド基板を用いてもよい。
【0115】
また、上記各実施形態では、回路基板122A,222A,322AにFPCを用いているが、これに限らず、例えば、回路基板122A,222A,322AにPWB等のリジッド基板を用いてもよい。
【0116】
また、上記各実施形態では、制御回路122,222,322を平面視において扇形状としているが、これに限らず、制御回路122は、ロータ110に設置可能であれば、如何なる形状であってもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、制御ユニット120,220,320をロータ110,210,310の裏面、すなわち収容空間142A内のFPC132と摺動する側に設け、FPC132を平板部112とカバー124,224,324との両方に摺動させる構成を採用しているが、これに限らず、例えば、制御ユニット120,220,320をロータ110,210,310のステアリングホイール12側の表面に設ける構成を採用してよい。この場合には、FPC132は平板部112の裏面とのみ摺動し、カバー124,224,324には平滑面が不要となる。
【0118】
また、上記各実施形態では、中継FPC138と、回路基板122A,222A,322Aとをそれぞれ別個に設けているが、これに限らず、例えば、以下変形例に示すように、中継FPC138と回路基板122A,222A,322Aとが、同一のFPCに一体化されたものを用いてもよい。すなわち、制御回路122,222,322は、中継FPC138上に設けられたものであってもよい。
【0119】
(中継FPC138および制御回路122の変形例)
図15は、第1実施形態に係る中継FPC138および制御回路122の変形例を示す図である。
図15に示す例では、制御回路122は、中継FPC138と同一基板上に一体に成形されている。これにより、例えば、部品点数を抑制することができるといった効果を奏することができる。なお、FPC132とは別に、中継FPC138を設けたことにより、制御回路122との接続部分だけを、FPC132とは異なる形状とすることができる。すなわち、FPC132の全体を一定の帯状とすることができるため、FPC132の製造容易性を高めることができる。
【0120】
本国際出願は、2018年3月22日に出願した日本国特許出願第2018−055223号と、2018年7月25日に出願した日本国特許出願第2018−139548号とに基づく優先権を主張するものであり、これらの出願の全内容を本国際出願に援用する。