(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、カットアンドクリンチ装置(
図3参照)34、制御装置(
図6参照)36を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0011】
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0012】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62の下端面には、
図2に示すように、吸着ノズル66が設けられており、その吸着ノズル66によって部品を吸着保持する。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。
【0013】
マークカメラ26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、マークカメラ26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。パーツカメラ28は、
図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に把持された部品を撮像する。
【0014】
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(
図6参照)80とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置80は、テープフィーダ、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0015】
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品,太陽電池の構成部品,パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品,リードを有さない部品等が有る。
【0016】
カットアンドクリンチ装置34は、搬送装置50の下方に配設されており、
図3に示すように、カットアンドクリンチユニット100とユニット移動装置102とを有している。カットアンドクリンチユニット100は、回路基材12に形成された貫通穴(
図7参照)104に挿入されたリード部品(
図7参照)106のリード(
図7参照)108を切断するとともに、屈曲させる装置である。カットアンドクリンチユニット100は、
図4に示すように、ユニット本体110と、1対のスライド体112とを含む。ユニット本体110の上端には、スライドレール116が、X方向に延びるように配設されている。そして、そのスライドレール116によって、1対のスライド体112が、スライド可能に支持されている。これにより、1対のスライド体112が、X方向において接近・離間する。また、1対のスライド体112の間の距離は、電磁モータ(
図6参照)118の駆動により、距離を制御可能に変更される。
【0017】
また、1対のスライド体112の各々は、固定部120と可動部122とを有しており、固定部120において、スライドレール116にスライド可能に保持されている。その固定部120の背面側には、X方向に延びるように、2本のスライドレール126が固定されており、それら2本のスライドレール126によって、可動部122がスライド可能に保持されている。そして、可動部122は、電磁モータ(
図6参照)128の駆動により、固定部120に対してX方向に制御可能にスライドする。
【0018】
また、固定部120の上端部は、
図5に示すように、先細形状とされており、その上端部を上下方向に貫通するように、第1挿入穴130が形成されている。なお、第1挿入穴130の上端面への開口縁は、固定刃(
図7参照)131とされている。また、第1挿入穴130の下端は、固定部120の前方側の側面に向かって開口している。そして、第1挿入穴130の下端が開口する固定部120の側面の前方側において、廃棄ボックス132が、ユニット本体110の上面に固定されており、第1挿入穴130の下端の開口と、廃棄ボックス132の開口とが向かい合っている。
【0019】
一方、可動部122の上端部も、先細形状とされており、その上端部には、L字型に屈曲された屈曲部133が形成されている。屈曲部133は、固定部120の上端面の上方に延び出している。また、固定部120の上端面に開口する第1挿入穴130は、屈曲部133によって覆われているが、屈曲部133には、第1挿入穴130と対向するように、第2挿入穴136が形成されている。なお、第2挿入穴136の屈曲部133の下端面への開口縁は、可動刃(
図7参照)138とされている。
【0020】
また、ユニット移動装置102は、
図3に示すように、X方向移動装置150とY方向移動装置152とZ方向移動装置154と自転装置156とを有している。X方向移動装置150は、スライドレール160とXスライダ162とを含む。スライドレール160は、X方向に延びるように配設されており、Xスライダ162は、スライドレール160にスライド可能に保持されている。そして、Xスライダ162は、電磁モータ(
図6参照)164の駆動により、X方向に移動する。Y方向移動装置152は、スライドレール166とYスライダ168とを含む。スライドレール166は、Y方向に延びるようにXスライダ162に配設されており、Yスライダ168は、スライドレール166にスライド可能に保持されている。そして、Yスライダ168は、電磁モータ(
図6参照)170の駆動により、Y方向に移動する。Z方向移動装置154は、スライドレール172とZスライダ174とを含む。スライドレール172は、Z方向に延びるようにYスライダ168に配設されており、Zスライダ174は、スライドレール172にスライド可能に保持されている。そして、Zスライダ174は、電磁モータ(
図6参照)176の駆動により、Z方向に移動する。
【0021】
また、自転装置156は、概して円盤状の回転テーブル178を有している。回転テーブル178は、それの軸心を中心に回転可能にZスライダ174に支持されており、電磁モータ(
図6参照)180の駆動により、回転する。そして、回転テーブル178の上に、カットアンドクリンチユニット100が配設されている。このような構造により、カットアンドクリンチユニット100は、X方向移動装置150、Y方向移動装置152、Z方向移動装置154によって、任意の位置に移動するとともに、自転装置156によって、任意の角度に自転する。これにより、カットアンドクリンチユニット100を、クランプ装置52によって保持された回路基材12の下方において、任意の位置に位置決めすることが可能となる。
【0022】
制御装置36は、
図6に示すように、コントローラ190、複数の駆動回路192、画像処理装置196を備えている。複数の駆動回路192は、上記搬送装置50、クランプ装置52、作業ヘッド60,62、作業ヘッド移動装置64、トレイ型部品供給装置78、フィーダ型部品供給装置80、ばら部品供給装置32、電磁モータ118,128,164,170,176,180に接続されている。コントローラ190は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路192に接続されている。これにより、基材搬送保持装置22、部品装着装置24等の作動が、コントローラ190によって制御される。さらに、コントローラ190は、画像処理装置196にも接続されている。画像処理装置196は、マークカメラ26およびパーツカメラ28によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ190は、画像データから各種情報を取得する。
【0023】
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。部品実装機10では、種々の部品を回路基材12に装着することが可能であるが、リード部品106を回路基材12に装着する場合について、以下に説明する。
【0024】
具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、マークカメラ26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置等に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32が、所定の供給位置において、リード部品106を供給する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって、リード部品106の部品本体部(
図7参照)180を吸着保持する。
【0025】
続いて、リード部品106を保持した作業ヘッド60,62が、パーツカメラ28の上方に移動し、パーツカメラ28によって、吸着ノズル66に保持されたリード部品106が撮像される。これにより、部品の保持位置等に関する情報が得られる。続いて、リード部品106を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12の保持位置の誤差,部品の保持位置の誤差等を補正する。そして、吸着ノズル66により吸着保持されたリード部品106のリード108が、回路基材12に形成された貫通穴104に挿入される。この際、回路基材12の下方には、カットアンドクリンチユニット100が移動している。
【0026】
具体的には、カットアンドクリンチユニット100において、1対のスライド体112の第2挿入穴136の間の距離が、回路基材12に形成された2つの貫通穴104の間の距離と同じとなるように、1対のスライド体112の間の距離が、電磁モータ118の作動により調整される。また、回路基材12の2つの貫通穴104の並ぶ方向と、1対のスライド体112の2つの第2挿入穴136の並ぶ方向とが一致するように、自転装置156の作動が制御される。
【0027】
そして、X方向移動装置150及びY方向移動装置152の作動により、第2挿入穴136のXY方向での座標と、回路基材12の貫通穴104のXY方向での座標とが一致するように、カットアンドクリンチユニット100が移動される。これにより、カットアンドクリンチユニット100が、XY方向に沿って移動されることで、スライド体112の第2挿入穴136と、回路基材12の貫通穴104とが上下方向に重なった状態となる。
【0028】
次に、カットアンドクリンチユニット100は、Z方向移動装置154の作動により、可動部122の上面が回路基材12の下面に接触、若しくは、回路基材12の下面より僅か下方に位置するように、上昇される。このように、X方向移動装置150,Y方向移動装置152,Z方向移動装置154,自転装置156の作動が制御されることで、スライド体112の第2挿入穴136と、回路基材12の貫通穴104とが重なった状態で、カットアンドクリンチユニット100が回路基材12の下方に配置される。
【0029】
そして、吸着ノズル66により吸着保持されたリード部品106のリード108が、回路基材12の貫通穴104に挿入されると、そのリード108の先端部は、
図7に示すように、カットアンドクリンチユニット100の可動部122の第2挿入穴136を経て、固定部120の第1挿入穴130に挿入される。次に、リード108の先端部が、固定部120の第1挿入穴130に挿入されると、可動部122が電磁モータ128の作動によりスライドする。
【0030】
これにより、リード108が、
図8示すように、第1挿入穴130の固定刃131と第2挿入穴136の可動刃138とによって切断される。そして、リード108の切断により分離された先端部(以下、「リード屑」と記載する)は、第1挿入穴130の内部において落下し、廃棄ボックス132に収容される。また、切断によるリード108の新たな先端部は、可動部122のスライドに伴って屈曲する。これにより、リード108の貫通穴104からの抜けが防止された状態で、リード部品106が回路基材12に装着される。
【0031】
このように、部品実装機10では、カットアンドクリンチユニット100がユニット移動装置102の作動により、回路基材12の下方において任意の位置に移動することで、回路基材12の任意の位置にリード部品106を装着することが可能となっている。しかしながら、部品実装機10では、リード屑が収容される廃棄ボックス132が、カットアンドクリンチユニット100に固定され、カットアンドクリンチユニット100とともに移動するため、廃棄ボックス132に収容されたリード屑が、廃棄ボックス132から飛び出す虞がある。
【0032】
このようなことに鑑みて、廃棄ボックス132には、開口を遮るように、内部に延び出す遮蔽板が配設されている。具体的には、廃棄ボックス132は、
図9乃至
図12に示すように、箱部材200と蓋部材202とにより構成されている。箱部材200は、概して直方体の箱形状をなし、上面が開口している。そして、その箱部材200の上面が、概して矩形の蓋部材202により塞がれている。なお、以下の説明において、蓋部材202の長辺の延びる方向を左右方向と称し、その左右方向に水平に直行する方向を前後方向と称する。
【0033】
その蓋部材202の上面には、前後方向の一方の側の縁部に沿って延びるように、概して矩形の開口206が形成されている。開口206を区画する1対の長辺のうちの、蓋部材202の上面の縁に近い側の長辺に、傾斜板208が固定されており、傾斜板208の上端は、開口206から離れる方向に向かって、斜め上方に延び出している。ちなみに、傾斜板208の傾斜角度は、約35度とされている。
【0034】
そして、傾斜板208の上方に、カットアンドクリンチユニット100の固定部120に形成された第1挿入穴130の下端側の開口が位置するように、廃棄ボックス132が配設されている。これにより、第1挿入穴130から排出されるリード屑が、傾斜板208の上に落下し、開口206を経由して、廃棄ボックス132の内部に収容される。また、廃棄ボックス132は、上述したように、カットアンドクリンチユニット100に固定されており、カットアンドクリンチユニット100とともに、移動及び回転する。このため、カットアンドクリンチユニット100と廃棄ボックス132との相対的な位置は変化せず、カットアンドクリンチユニット100から廃棄されるリード屑の廃棄ボックス132への適切な収容を担保することが可能となる。
【0035】
また、廃棄ボックス132の蓋部材202には、開口206を区画する1対の長辺のうちの、傾斜板208が固定された長辺と対向する長辺に、遮蔽板210が配設されている。遮蔽板210は、上端部において、蓋部材202に固定され、真下に向かって延び出した後に、開口206を遮る方向、つまり、廃棄ボックス132の側壁に向かって屈曲されている。ちなみに、遮蔽板210の傾斜角度は、約35度とされている。そして、遮蔽板210の屈曲された側の端部は、斜め下方に向かって傾斜し、傾斜板208の下端部の下方にまで延び出している。これにより、廃棄ボックス132の開口206は、廃棄ボックス132の内部において、遮蔽板210により遮られ、廃棄ボックス132に収容されたリード屑の廃棄ボックス132からの飛び出しが防止される。
【0036】
つまり、カットアンドクリンチユニット100の第1挿入穴130から排出されたリード屑は、廃棄ボックス132において、傾斜板208の上に落下し、傾斜板208の上を滑落する。そして、リード屑は、開口206を経由して、遮蔽板210の上に落下し、遮蔽板210の上を滑落する。これにより、リード屑は、遮蔽板210の下端と、廃棄ボックス132の側壁との間を通り、廃棄ボックス132の内部に収容される。このように、廃棄ボックス132の内部に収容されたリード屑は、廃棄ボックス132の開口206が遮蔽板210により遮られているため、廃棄ボックス132からの飛び出しが防止される。
【0037】
しかしながら、廃棄ボックス132は、カットアンドクリンチユニット100とともに、水平方向に移動するだけでなく、上下方向にも移動し、さらに、上下方向に延びる軸周りに回転するため、一旦、収容されたリード屑が廃棄ボックス132から飛び出す虞がある。例えば、リード屑を収容した状態の廃棄ボックス132が回転すると、リード屑は、廃棄ボックス132に内部において、側壁に沿って移動する。そして、廃棄ボックス132が回転しながら、若しくは、回転が停止した直後に、廃棄ボックス132が下降すると、リード屑は、廃棄ボックス132の側壁に沿って移動しながら上昇する。この際、廃棄ボックス132の内部のリード屑は、
図11に示す矢印212の方向に移動し、遮蔽板210の左右方向の両側縁から遮蔽板210の上に乗り上がり、廃棄ボックス132の開口から飛び出す虞がある。また、廃棄ボックス132の内部のリード屑が、遮蔽板210の両側縁でなく、遮蔽板210の下端から遮蔽板210の上に乗り上がり、廃棄ボックス132の開口から飛び出す虞もある。
【0038】
さらに言えば、廃棄ボックス132の回転時に、第1挿入穴130からリード屑が排出されると、廃棄ボックス132の傾斜板208の上に落下したリード屑が滑落せず、廃棄ボックス132に収容されない虞もある。詳しくは、廃棄ボックス132の回転時に、リード屑が傾斜板208の上に落下すると、廃棄ボックス132の回転に伴って、リード屑が傾斜板208の上面において、
図12に示す矢印216の方向に回転する。この際、廃棄ボックス132が下降すると、リード屑が傾斜板208から浮遊し、廃棄ボックス132の外部に飛び出す虞がある。つまり、第1挿入穴130から排出されたリード屑が、廃棄ボックス132の開口206を通過せず、廃棄ボックス132の内部に入る前に、廃棄ボックス132の外部に飛散する虞がある。
【0039】
このようなことに鑑みて、廃棄ボックス132の代わりに、
図13乃至
図15に示す廃棄ボックス220を採用することで、上記問題を解決し、廃棄ボックスへの適切なリード屑の収容を担保することが可能となる。具体的には、廃棄ボックス220は、箱部材222と蓋部材224とにより構成されており、箱部材222は、概して直方体の箱形状をなし、上面が開口している。そして、その箱部材222の上面が、蓋部材224により塞がれている。
【0040】
その蓋部材224の上面には、前後方向の一方の側の縁に沿って延びるように、概して矩形の開口226が形成されている。その開口226を区画する1対の長辺のうちの、蓋部材224の上面の縁に近い側の長辺の内壁面に、傾斜板228が上下方向に延びるように、固定されている。傾斜板228の上端は、廃棄ボックス220の側壁から離れる方向に向かって概して直角に屈曲されている。一方、傾斜板228の下端は、廃棄ボックス220の側壁から離れる方向に向かって概して20度、屈曲されている。
【0041】
また、廃棄ボックス220の蓋部材224には、開口226を区画する1対の長辺のうちの、傾斜板228が固定された長辺と対向する長辺に、遮蔽板230が配設されている。遮蔽板230は、上端部において、蓋部材224に固定され、開口226を遮る方向、つまり、廃棄ボックス220の側壁に向かって、斜め下方に約50度、屈曲されている。そして、遮蔽板230の下端は、傾斜板228の下端部の下方より、廃棄ボックス220の側壁に近い位置まで延び出している。また、遮蔽板230の左右方向の両側縁には、1対の側壁板232が固定されている。側壁板232は、概して三角形状をなし、遮蔽板230の側縁と蓋部材224の裏面との隙間を塞ぐように、遮蔽板230の側縁及び蓋部材224の裏面に固定されている。
【0042】
そして、遮蔽板230の上方に、カットアンドクリンチユニット100の固定部120に形成された第1挿入穴130の下端側の開口が位置するように、廃棄ボックス220が配設されている。これにより、第1挿入穴130から排出されたリード屑が、開口226を経由して、遮蔽板230の上に落下し、廃棄ボックス220の内部に収容される。つまり、廃棄ボックス132では、第1挿入穴130から排出されたリード屑が、傾斜板208の上に落下した後に、開口206を通過するが、廃棄ボックス220では、第1挿入穴130から排出されたリード屑が、直接的に開口226を通過する。
【0043】
また、箱部材222には、左右方向の側壁から内部に向かって延び出す1対の仕切板236が配設されている。仕切板236は、上下方向に延びた状態、つまり、廃棄ボックス220の下面から上面に向かって延び出した状態で配設されている。そして、仕切板236は、左右方向の各々の側壁の開口226に近い位置から、箱部材222の内部に向かって開口226から離れる方向に斜めに延び出している。つまり、1対の仕切板236の間の距離が、開口226から離れるほど狭くなるように、1対の仕切板236が廃棄ボックス220の内部を仕切っている。そして、1対の仕切板236の箱部材222の内部に向かって延び出す端部は、離間しており、それら1対の仕切板236の端部の間に、リード屑より大きなクリアランスが形成されている。
【0044】
廃棄ボックス220では、このような形状により、廃棄ボックス220への適切なリード屑の収容が担保されている。具体的には、上述したように、第1挿入穴130から排出されたリード屑は、直接的に開口226を通過し、廃棄ボックス220の内部に配設された遮蔽板230の上に落下する。これにより、第1挿入穴130から排出されたリード屑が、廃棄ボックス220の内部に入る前に、廃棄ボックス220の外部に飛散することを防止できる。また、遮蔽板230の上面に落下したリード屑が、廃棄ボックス220の回転に伴って、遮蔽板230の上面で移動し、廃棄ボックス220の下降に伴って、遮蔽板230から浮遊しても、傾斜板228によって、リード屑の廃棄ボックス220からの飛び出しが防止される。これは、傾斜板228が、遮蔽板230の斜め上方に配設されており、傾斜板228の上端が、開口226を遮る方向に直角に屈曲されているためである。さらに言えば、廃棄ボックス220の遮蔽板230は、廃棄ボックス132の遮蔽板210より急勾配とされており、リード屑の滑落速度が高くなるため、廃棄ボックス220からのリード屑の飛び出しが適切に防止される。
【0045】
また、廃棄ボックス132では、廃棄ボックス132の回転及び下降により、廃棄ボックス132の内部のリード屑が、
図11に示す矢印212の方向に移動し、遮蔽板210の左右方向の両側縁から遮蔽板210の上に乗り上がり、廃棄ボックス132の開口から飛び出す虞があった。一方、廃棄ボックス220では、廃棄ボックス220の回転及び下降により、廃棄ボックス220の内部のリード屑が、
図15に示す矢印238の方向に移動しても、側壁板232に遮られ、遮蔽板230の左右方向の両側縁から遮蔽板230の上に乗り上がらない。これにより、廃棄ボックス220からのリード屑の飛び出しが適切に防止される。
【0046】
また、
図9と
図13とを比較すれば解るように、廃棄ボックス220の遮蔽板230の下端と廃棄ボックス220の側壁との隙間は、廃棄ボックス132の遮蔽板210の下端と廃棄ボックス132の側壁との隙間より非常に小さくされている。これにより、遮蔽板230の下端から遮蔽板230の上への乗り上がりを防止し、廃棄ボックス220からのリード屑の飛び出しが適切に防止される。
【0047】
さらに言えば、廃棄ボックス220の内部は、1対の仕切板236により仕切られており、廃棄ボックス220が回転しても、廃棄ボックス220の内部に収容されたリード屑は、廃棄ボックス220の側壁に沿って内部を周回できないようにされている。また、1対の仕切板236の間の距離が、開口226から離れるほど狭くなるように、1対の仕切板236が廃棄ボックス220の内部を仕切っている。このため、1対の仕切板236により仕切られた廃棄ボックス220の内部の2つの空間において、開口226の無い空間にリード屑が収容されると、そのリード屑は、開口226のある空間に移動し難くされている。このように、廃棄ボックス220の内部が1対の仕切板236により仕切られることで、廃棄ボックス220からのリード屑の飛び出しが適切に防止される。
【0048】
また、部品実装機10では、上記カットアンドクリンチユニット100の代わりに、
図16に示すカットアンドクリンチユニット250を用いることも可能である。カットアンドクリンチユニット250では、スライド体252のスライド方向が、カットアンドクリンチユニット100のスライド体112のスライド方向と異なり、リード部品のリードをN字型に屈曲されることを除いて、カットアンドクリンチユニット100と略同じ構造とされている。また、カットアンドクリンチユニット250の詳しい構造については、本明細書の出願人が既に出願している「国際公開第2017/081724号」に記載されている。このため、カットアンドクリンチユニット250の構造についての詳細は省略し、以下の説明において、カットアンドクリンチユニット100と同じ構成について、カットアンドクリンチユニット100で用いられた符号を用いる。
【0049】
このカットアンドクリンチユニット250では、スライド体252のスライド方向が、カットアンドクリンチユニット100と異なっているため、上記廃棄ボックス132,220と異なる構造の廃棄ボックスが採用されている。具体的には、
図17乃至
図19に示す廃棄ボックス260が採用されている。廃棄ボックス260も、上記廃棄ボックス132と同様に、箱部材262と蓋部材264とにより構成されており、蓋部材264は、開口270,傾斜板272,遮蔽板274を有している。そして、廃棄ボックス260の開口270,傾斜板272,遮蔽板274は、廃棄ボックス132の開口206,傾斜板208,遮蔽板210と略同じ構造とされているため、それらの詳細は省略する。
【0050】
このような構造の廃棄ボックス260においても、廃棄ボックス260の内部に収容されたリード屑は、廃棄ボックス260の開口270が遮蔽板274により遮られているため、廃棄ボックス260からの飛び出しが防止される。しかしながら、廃棄ボックス260においても、廃棄ボックス132と同様に、廃棄ボックス260の内部のリード屑が、
図19に示す矢印276の方向に移動し、廃棄ボックス260の開口270から飛び出す虞がある。また、傾斜板272の上に落下したリード屑が、廃棄ボックス260の回転に伴って、傾斜板272の上面で移動し、廃棄ボックス260の下降に伴って、傾斜板272から浮遊することで、廃棄ボックス260の外部に飛散する虞がある。
【0051】
そこで、廃棄ボックス260の代わりに、
図20乃至
図22に示す廃棄ボックス280を採用することで、上記問題を解決し、廃棄ボックスへの適切なリード屑の収容を担保することが可能となる。具体的には、廃棄ボックス280も、上記廃棄ボックス220と同様に、箱部材282と蓋部材284とにより構成されている。そして、蓋部材284は、開口290,傾斜板292,遮蔽板294,1対の側壁板296を有しており、箱部材282は、1対の仕切板300を有している。また、廃棄ボックス280の開口290,傾斜板292,遮蔽板294,1対の側壁板296,1対の仕切板300は、廃棄ボックス220の開口226,傾斜板228,遮蔽板230,1対の側壁板232,1対の仕切板236と略同じ構造とされているため、それらの詳細は省略する。
【0052】
廃棄ボックス280では、このような形状により、廃棄ボックス220と同様の効果を奏することが可能とされている。具体的には、例えば、遮蔽板294の上面に落下したリード屑が、廃棄ボックス280の回転に伴って、遮蔽板294の上面で移動し、廃棄ボックス280の下降に伴って、遮蔽板294から浮遊しても、傾斜板292によって、リード屑の廃棄ボックス280からの飛び出しが防止される。
【0053】
また、廃棄ボックス280では、廃棄ボックス280の回転及び下降により、廃棄ボックス280の内部のリード屑が、
図22に示す矢印302の方向に移動しても、側壁板296に遮られ、遮蔽板294の左右方向の両側縁から遮蔽板294の上に乗り上がらない。さらに、廃棄ボックス280の内部が1対の仕切板300により仕切られることで、廃棄ボックス280の内部でのリード屑の移動が抑制され、廃棄ボックス280からのリード屑の飛び出しが適切に防止される。
【0054】
なお、廃棄ボックス280では、スライドするスライド体252との当接を避けるべく、
図21に示すように、箱部材282の角部が凹んだ形状とされている。このため、廃棄ボックス280の内部容積が左右方向において異なっている。そこで、左右方向のうちの内部容積の広い側に配設される仕切板300aは、開口290から離れる方向に向かって傾斜して配設され、左右方向のうちの内部容積の狭い側に配設される仕切板300bは、開口290から離れることなく、傾斜せずに配設されている。このため、開口290が形成されていない空間において、仕切板300aによって仕切られる廃棄ボックス280の内部容積と、仕切板300bによって仕切られる廃棄ボックス280の内部容積とが同等となる。これにより、開口290が形成されていない空間において、仕切板300aによって仕切られる箇所と、仕切板300bによって仕切られる箇所との間で、リード屑が移動し易くなり、開口290が形成されている空間へのリード屑の移動が抑制される。このことによっても、廃棄ボックス280からのリード屑の飛び出しが適切に防止される。
【0055】
また、部品実装機10は、リード部品装着システムの一例である。カットアンドクリンチ装置34は、リード切断システムの一例である。作業ヘッド60,62は、保持ヘッドの一例である。作業ヘッド移動装置64は、ヘッド移動装置の一例である。カットアンドクリンチユニット100は、切断装置の一例である。ユニット移動装置102は、移動装置の一例である。廃棄ボックス132は、収容器の一例である。自転装置156は、回転装置の一例である。回転テーブル178は、回転テーブルの一例である。開口206は、開口の一例である。遮蔽板210は、遮蔽板の一例である。廃棄ボックス220は、収容器の一例である。開口226は、開口の一例である。遮蔽板230は、遮蔽板の一例である。仕切板236は、仕切板の一例である。カットアンドクリンチユニット250は、切断装置の一例である。廃棄ボックス260は、収容器の一例である。開口270は、開口の一例である。遮蔽板274は、遮蔽板の一例である。廃棄ボックス280は、収容器の一例である。開口290は、開口の一例である。遮蔽板294は、遮蔽板の一例である。仕切板300は、仕切板の一例である。
【0056】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、廃棄ボックス132等の傾斜板208等の傾斜角度が具体的に限定されているが、任意の角度に設定することが可能である。
【0057】
また、上記実施例では、廃棄ボックス132等が回転及び下降する際に、廃棄ボックス132に収容されたリード屑が飛散する場合について説明したが、当然、廃棄ボックス132等が上昇及び、水平方向に移動する際においても、リード屑が飛散する場合もある。そして、廃棄ボックス132等では、それら全ての状況下において、リード屑の適切な廃棄ボックスへの収納を担保することが可能とされている。