(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
品温230℃で3分間加熱する前と後のCIELab表色系における色差値を、以下の式(1)に代入して得られる判別得点が0.62よりも低い数値を示す有色部を有する非燃焼加熱型喫煙物品用の巻紙。
判別得点(y) y=−0.18×ΔL*+0.08×Δa*+0.13×Δb*−2.36 (1)
(式(1)において、加熱する前と後のCIELab表色系における色差値とは、加熱した後のL*、a*、b*値から加熱前のL*、a*、b*値を引いた値である。ΔL*は、前記巻紙を加熱した後と加熱する前の明度L*の差を示し、Δa*は、前記巻紙を加熱した後と加熱する前の色度a*の差を示し、Δb*は、前記巻紙を加熱した後と加熱する前の色度b*の差を示す。)
たばこ刻みとエアロゾル生成基材とを含む充填物が、該充填物を巻装する第一の巻紙で巻装されてなるたばこロッド部と、該たばこロッド部とは反対側の端部を構成するマウスピース部とを有し、前記たばこロッド部と前記マウスピース部は、前記充填物を巻装する巻紙と同じ又は別の第二の巻紙を用いて連結されている非燃焼加熱型喫煙物品であって、第1の巻紙と第2の巻紙の少なくとも一方が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の巻紙である、非燃焼加熱型喫煙物品。
ヒーター部材と、該ヒーター部材からの熱を伝熱する伝熱部材と、該ヒーター部材の電力源となる電池ユニットと、該ヒーター部材を制御するための制御ユニットとを備える電気加熱型デバイスと、該伝熱部材に接触するように嵌合される、請求項7に記載の非燃焼加熱型喫煙物品と、から構成される、電気加熱型喫煙システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
【0009】
<非燃焼加熱型喫煙物品用の巻紙>
本明細書において、「非燃焼加熱型喫煙物品用の巻紙」とは、後述する非燃焼加熱型喫煙物品に用いられる巻紙である。以下、単に本発明の実施形態にかかる巻紙ともいう。本発明の実施形態にかかる巻紙の用途について、「非燃焼加熱型喫煙物品用」とは、たばこ刻みを含む充填物を巻装してたばこロッドを作製するために用いられたり、たばこロッドに隣接する部材を連結するために、それらの外周面を巻装するために用いられることを意味する。
【0010】
本発明の実施形態にかかる巻紙は、230℃で3分間加熱する前と後(単に加熱前後ともいう)でL
*、a
*、b
*をそれぞれ測定し、加熱前後の各値の差(加熱後の値から加熱前の値を引いた値)を、それぞれΔL
*、Δa
*、Δb
*と表現し、それらの値を以下の式(1)に代入して得られるy(判別得点)が、0.62よりも小さい値を有する有色部を有するものである。
y(判別得点)=−0.18×ΔL
*+0.08×Δa
*+0.13×Δb
*−2.36 (1)
本発明の実施形態にかかる巻紙は、ΔL
*、Δa
*、Δb
*の各値を上記の式(1)に代入して得られる判別得点が0.62よりも小さい値を示す有色部を有していれば、加熱前のL
*、a
*、b
*の各値には特に制限はない。
なお、上記の有色部は、本発明の実施形態にかかる巻紙の全面に存在してもよいし、少なくとも加熱を受ける部分(後述する電気加熱型デバイスによる加熱)に存在する態様であってもよい。
上記有色部は、加熱前のL
*値が低いもの(暗く色の濃いもの)が、加熱後の外観が良い傾向がある。一形態の巻紙では、有色部の加熱前のL
*値として、90以下であるものを挙げることができる。
上記式(1)により得られるy(判別得点)が0.62よりも小さければ、加熱によって発生し得る見た目に関する不快感が生じないことは、後の実施例で示されている。なお、上記式(1)により得られるy(判別得点)が0未満であると、加熱前後で外観が損なわれないものがより確実に含まれるようになる。
【0011】
なお、本発明の実施形態にかかる巻紙において、加熱前後のL
*、a
*、b
*の各値は、試料とする紙の有色部の5点について測定し、その単純平均の値を採用する。測定の対象とするのは紙の有色部の任意の点であるが、紙にロゴなどの文字や模様が存在する場合には、そのような文字やロゴの存在しない有色部の箇所を対象とする。L
*、a
*、b
*の各値は分光光度計を用いることで測定できる。
具体的には、分光光度計(X−Rite社製、品名SpectroEye)を用いる。計測は、光源D65、光源フィルタなし、視野角2°の条件下、ISO白色度92%の紙の上に試料1枚を置き、その上に分光光度計の測定部を押し当てて実施する。
【0012】
上記の式(1)により得られる判別得点が0.62より小さい値を示す有色部を有する紙(上記の特性を有する紙ともいう)を得るための手段については特に制限なく公知の方法を用いることができる。
例えば、上記のような従来から用いられている巻紙、またはその他の適当な紙に印刷を施すことで、所望の色相を示す有色部を有する巻紙を得てもよい。つまり、本発明の実施形態にかかる巻紙に存在する有色部が、印刷により付されたものであってもよい。印刷により有色部を巻紙に付与する場合、簡便に上記の特性を巻紙に付与することができる。
印刷の方法は特に制限はなく、例えばグラビア印刷およびオフセット印刷を挙げることができる。印刷により、有色部のL
*値を例えば90以下に変色することができる。
印刷は原紙となる紙全面に行う態様、または原紙の表面のうち、後述する電気加熱型デバイスにより加熱を受ける部分が少なくとも有色部として印刷されている態様を挙げることができる。また、その有色部となる印刷面を上記式(1)による判別分析を行う対象とすることができる。一方で、印刷により有色部としてロゴや部分的な模様を原紙に対して付す場合は、その印刷面(印刷箇所)は、分光光度計による測色の対象にはしない。
巻紙の表面において、少なくとも加熱される部分(電気加熱型デバイスによる加熱を受ける部分)が上記の式(1)による判別得点が0.62よりも小さい有色部であることが好ましい。巻紙の表面の中でも、後述する電気加熱型デバイスにより加熱を受ける部分が上記の特性を有することで、加熱後の外観の印象の悪化を防ぐことができる。
また、後述する巻紙の原料の組成を変えることで、上記の式(1)による判別得点が0.62よりも小さい有色部を有するようにしてもよい。具体的には、後述する填料の含有量を調整したり、パルプにたばこ刻みを加えたり、未晒しパルプを含有させた上でその含有量を増やしたりすることを挙げることができる。
【0013】
本発明の実施形態にかかる巻紙原紙の坪量は、例えば通常20g/m
2以上であり、好ましくは35g/m
2以上であり、より好ましくは40g/m
2以上である。一方、坪量は通常65g/m
2以下、好ましくは50g/m
2以下、である。
上記の特性を有する巻紙の厚みは、特に限定されず、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、通常10μm以上であり、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上であり、また、通常100μm以下であり、好ましくは75μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。
非燃焼型喫煙物品用の巻紙として、その形状は正方形又は長方形を挙げることができる。たばこ刻みを巻装するため(たばこロッドを作製するため)の巻紙として利用する場合、一辺の長さとして15〜70mm程度を挙げることができ、もう一辺の長さとして15〜26.5mm、もう一辺の好ましい長さとして24mmを挙げることができる。
チップペーパーのように、たばこロッドとたばこロッドに隣接するその他の部材を連結して巻装するものである場合、一辺の長さとして20〜60mm、もう一辺の長さとして15〜26.5mmを挙げることができる。
【0014】
上記の特性を有する巻紙としては、パルプが主成分のものを挙げることができる。パルプとしては、針葉樹パルプや広葉樹パルプなどの木材パルプで抄造される以外にも、亜麻パルプ、大麻パルプ、サイザル麻パルプ、エスパルトなど一般的に喫煙物品用の巻紙に使用される非木材パルプを混抄して製造して得たものでもよい。
パルプの種類としては、クラフト蒸解法、酸性・中性・アルカリ亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用できる。
【0015】
また、パルプとしては、例えば晒パルプと未晒パルプの混合パルプから構成されているものを用いてもよい。
晒パルプのみから構成されている場合でも、印刷により色が付されている紙を用いることもできる。
晒パルプとして針葉樹であるトウヒと広葉樹であるポプラ、未晒パルプとしてマツを用意する。所望割合の晒パルプと未晒パルプをパルパーに投入し、これらパルプを離解させる。次いで、離解したパルプをリファイナへ移し、リファイナにて叩解する。別途、填料として炭酸カルシウム、製造助剤として凝集剤を用意し、これらを叩解したパルプと混合させる。なお、晒パルプと、未晒パルプとを複数のパルパーを用いてそれぞれ単独に離解し、リファイナで叩解し、ミキシングボックスにて、それぞれ叩解した晒パルプ及び未晒パルプ、填料、製造助剤を混合させてもよい。
【0016】
次に、当該混合したパルプを用いて長網抄紙機、円網抄紙機、円短複合抄紙機等による抄紙工程の中で、地合いを整え均一化して巻紙を製造する。なお、必要に応じて、上述した湿潤紙力増強剤を添加して巻紙に耐水性を付与したり、サイズ剤を添加して巻紙の印刷具合の調整を行ったりすることができる。さらに、硫酸バンド、各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性或いは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、及び紙力増強剤等の抄紙用内添助剤、並びに、染料、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、及びスライムコントロール剤等の製紙用添加剤を添加することができる。
晒パルプと未晒パルプを混合して用いる場合、巻紙における未晒パルプの割合は、例えば1重量%以上90重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以上86重量%未満、さらに好ましくは5重量%以上60重量%以下である。
【0017】
上記のパルプの他に、本発明の実施形態にかかる巻紙には填料が含まれていてもよい。填料の含有量は、本発明の実施形態にかかる巻紙の全重量に対して30重量%以上60重量%未満を挙げることができる。
填料としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができるが、喫味等から炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
このような填料を含む紙は、通常は白色系の明るい色を呈するが、上記の式(1)により得られる判別得点が0.62よりも小さくなるようにするために、例えば、明度を下げるための染料、例えば、黒色系、茶色系、暗赤色系、暗緑色系、暗青色系などの染料及び/又は染料を含んでもよい。加熱による変色が少ない顔料を用いることがより好ましい。
なお、混合パルプから構成される巻紙は、通常、未晒パルプに起因する色を有している。混合パルプから構成される巻紙に対して上記で例示した印刷を行い、さらに色を付与してもよい。
【0018】
再生たばこから構成されるシートたばこを、本発明の実施形態にかかる巻紙として使用してもよい。
シートたばことして、抄造法により得られる抄造シートたばこ、スラリーを乾燥して得られるスラリーシートたばこを挙げることができる。
抄造シートたばこの一般的な製法は、天然のたばこ材料(葉、刻み、中骨、茎、根等)を、水などの抽出溶媒を用いて抽出操作を行う工程と、抽出操作により得られた抽出液と残渣を分離する工程と、残渣を抄紙して再生たばこウェブを作製する工程と、必要に応じて分画処理が行われた抽出液を再生ウェブにかけ戻す工程を含むことができる。このような製法は、湿式抄紙法として、例えば国際公開第2004/098323号に記載されている。
【0019】
スラリーシートたばこは例えば特開平11−266851号公報に記載の方法で作製できる。原料スラリーは、水中にて混合解繊した木材パルプと、たばこ粉末とバインダーを含むものである。原料スラリーは、スラリー供給機からベルトコンベアとローラの間に押し出され、ベルトコンベア上でシート状に引き伸ばされる。その後、ベルトコンベア上のシート状の原料スラリーは乾燥炉へ搬送され、乾燥炉内を通過する際に乾燥が行われて、シートたばこが形成される。
シートたばこを本発明の実施形態にかかる巻紙として用いる場合は、その坪量として30〜80g/m
2の範囲、通気度としては0〜60.0CU(コレスタユニット)を挙げることができる。
シートたばこの別の製造方法としては、例えば特開昭61−52269号公報に記載された乾式抄紙法が挙げられ、この方法により得られるシートたばこは、木材パルプの繊維と、接着剤とたばこの茎部とから構成される。
シートたばこは、たばこ材料に起因する色を通常は有するが、染料、顔料を添加したり、さらに印刷を行って色を付与したものを用いてもよい。
【0020】
本発明の実施形態にかかる巻紙には、従来のたばこロッド用巻紙に含まれる助燃剤が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。本発明の実施形態にかかる巻紙は、後述する非燃焼加熱型喫煙物品に用いる第一の巻紙として用いてもよく、第二の巻紙として用いてもよい。
【0021】
<非燃焼加熱型喫煙物品>
本発明の実施形態にかかる非燃焼加熱型喫煙物品として、例えば
図1の構成を有するものを挙げることができる。
図1の非燃焼加熱型喫煙物品10は、充填物11と、充填物11を巻装する第一の巻紙12から構成されるたばこロッド部と、該たばこロッド部とは反対側の端部を構成するマウスピース部16とを有し、前記たばこロッド部と前記マウスピース部は、前記充填物を巻装する巻紙と同じ又は別の第二の巻紙13(
図1ではチップペーパー)を用いて連結されている。
第一の巻紙及び第二の巻紙の少なくとも一方は、上記で説明した本発明の実施形態にかかる巻紙である。少なくとも第一の巻紙が、本発明の実施形態にかかる巻紙であることが好ましい。また、第一の巻紙12及び第二の巻紙の両方が上記で説明した本発明の実施形態にかかる巻紙であることも好ましい。
図1に示す態様では、マウスピース部16は、紙管部14及びフィルター部15とを備える。また、これらを連結するための第二の巻紙としてチップペーパー13を備える。なお、
図1ではマウスピース部16は2つのセグメントから構成されているが、マウスピース部16は単一のセグメントから構成されていてもよく、3つ以上のセグメントから構成されていてもよい。また、マウスピース部を構成するセグメントは、紙管部とフィルター部の両方が含まれるように構成されていてもよいし、どちらかのみから構成されていてもよい。
【0022】
前記たばこロッドが加熱されることで生じるエアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気が、紙管部14を通過するのに従って、紙管内の空気と触れ合って冷却されることで液化してエアロゾルが生成する。
また、非燃焼加熱型喫煙物品10は、紙管部14と、紙管部14の周囲を覆う第二の巻紙13(チップペーパー)の一部に、外部からの空気を取り入れるための微小孔を有してもよい(図示せず)。そのような微小孔が存在することで、使用時に外部から紙管部14の内部に空気が流入し、前記たばこロッドが加熱されることで生じるエアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気が、外部からの空気と接触して温度が低下することで液化し、エアロゾルの生成がより確実になる。
紙管部14は、例えば厚紙を円筒状に加工したものを挙げることができる。
フィルター部15は、例えばアセテートトウを材料として用いたものを挙げることができる。アセテートトウの単糸繊度、総繊度は特に限定されない。
図1ではフィルター部15は単一のセグメントから構成されているが、複数のセグメントから構成されていてもよい。複数のセグメントから構成されている場合、例えば上流側に中空のセグメントを配置し、下流側(使用者の吸口端側)のセグメントとして吸口断面がアセテートトウで充填されている態様を挙げることもできる。このような態様によれば、生成するエアロゾルの無用な損失を防ぐとともに、非燃焼加熱型喫煙物品の外観を良好にすることできる。
また、フィルターの製造において、通気抵抗の調整や添加物(公知の吸着剤や香料、香料保持材等)の添加を適宜設計できる。
第二の巻紙13(チップペーパー)の材料は特に制限されないが、本発明の実施形態にかかる巻紙を一部または全部に用いてもよい。第二の巻紙13は、例えば酢酸ビニル系の糊を用いて、上記のたばこロッド、紙管部14、フィルター部15の周囲を巻装した後に固定する態様を挙げることができる。
【0023】
たばこロッドは、充填物11としてたばこ刻みを含み、当該たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知のものを用いることができる。たばこロッド中の充填物の含有量の範囲は、円周22mm、長さ20mmのたばこロッドの場合、200〜400mg/ロッドを挙げることができ、250〜320mg/ロッドが好ましい。充填物の水分含有量は10〜15重量%を挙げることができ、11〜13重量%であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、たばこロッドの製造時の巻上適性を良好にする。
【0024】
充填物として用いるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8〜1.2mmに刻んだものを用いてもよい。
また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20〜200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8〜1.2mmに刻んだものを用いてもよい。
さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを充填物として用いてもよい。
【0025】
充填物は、エアロゾル煙を生成するエアロゾル生成基材を含む。当該エアロゾル生成基材の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質および/またはそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル生成基材としては、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3−ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
充填物中のエアロゾル生成基材の含有量は、特に限定されず、十分にエアロゾルを生成させるとともに、良好な喫味の付与の観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
【0026】
充填物は、香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は、特に限定されず、良好な喫味の付与の観点から、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2−アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス−アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3−ブタンジオン、2−ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β−カロテン、ニンジンジュース、L−カルボン、β−カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミル油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL−シトロネロール、クラリセージエキストラクト、ココア、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ−デカラクトン、γ−デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジヒドロフラン−2−オン、3,7−ジメチル−6−オクテン酸、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、2−メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2−エチル−3,(5または6)−ジメチルピラジン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、2−エチル−3−メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ−ヘプタラクトン、γ−ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス−3−ヘキセン−1−オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4−ヒドロキシ−3−ペンテン酸ラクトン、4−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシ−1−ブテニル)−3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、4−(パラ−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、4−ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β−イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、マルトール、メープルシロップ、メンソール、メントン、酢酸L−メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル−2−ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’−メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3−メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ−ノナラクトン、ナツメグ油、δ−オクタラクトン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω−ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3−プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α−テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9−テトラメチル−13−オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6−テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2−トリデカノン、クエン酸トリエチル、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)2−ブテン−4−オン、2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1,4−ジオン、4−(2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエニル)2−ブテン−4−オン、2,3,5−トリメチルピラジン、γ−ウンデカラクトン、γ−バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュートが挙げられ、特に好ましくはメンソールである。また、これらの香料は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0027】
充填物中の香料の含有量は、特に限定されず、良好な喫味の付与の観点から、通常10000ppm以上であり、好ましくは20000ppm以上であり、より好ましくは25000ppm以上であり、また、通常50000ppm以下であり、好ましくは40000ppm以下であり、より好ましくは33000ppm以下である。
【0028】
充填物の充填密度は、特に限定されないが、非燃焼加熱型喫煙物品の性能を担保し、良好な喫味の付与の観点から、通常250mg/cm
3以上であり、好ましくは320mg/cm
3以上であり、また、通常520mg/cm
3以下であり、好ましくは420mg/cm
3以下である。
【0029】
本発明の実施形態にかかる非燃焼加熱型喫煙物品の製造において、上記の本発明の実施形態にかかる巻紙を使用することができる。具体的には、たばこ刻みとエアロゾル生成基材を含む充填物を成形し、その後、本発明の実施形態にかかる巻紙を用いて、成形された充填物を巻装することでたばこロッドを得ることができる。さらに、そのたばこロッドとマウスピース部を構成する部材とをチップペーパー(又は本発明の実施形態にかかる巻紙)で巻装することで、非燃焼加熱型喫煙物品を得ることができる。なお、巻装の際には公知の巻取装置を用いることができる。
非燃焼加熱型喫煙物品の製造時に、本発明の実施形態にかかる巻紙を、たばこロッドの巻紙として、及び/又はチップペーパーとして使用することで、使用後(加熱後)に外観の印象が損なわれない非燃焼加熱型喫煙物品を提供できる。
【0030】
本発明の一実施形態である非燃焼加熱型喫煙物品10は、充填物11と巻紙12(本発明の実施形態にかかる巻紙)から構成されるたばこロッドと、紙管部14、及びフィルター部15と、これらを連結するための第二の巻紙13を備える。また、非燃焼加熱型喫煙物品10は、紙管部14と、紙管部14の周囲を覆う第二の巻紙13の一部に、外部からの空気を取り入れるための微小孔を有してもよい(図示せず)。そのような微小孔が存在することで、使用時に外部から紙管部14の内部に空気が流入し、前記たばこロッドが加熱されることで生じるエアロゾル生成基材とたばこ香味成分とを含む蒸気が、外部からの空気と接触して温度が低下することで液化し、エアロゾルの生成がより確実になる。
【0031】
<電気加熱型喫煙システム>
電気加熱型喫煙システムの一態様を
図2に図示する。電気加熱型喫煙システム30は、電気加熱型デバイス20の内部に配置された、ヒーター24に接する伝熱部材25に、上記で説明した非燃焼加熱型喫煙物品10が接触するように嵌装されて使用される。
電気加熱型デバイス20は、例えば樹脂性の躯体23の内部に、電池ユニット21と制御ユニット22とを有する。
上記のように非燃焼加熱型喫煙物品は、充填物11と、充填物11を巻装する第一の巻紙12から構成されるたばこロッド部と、該たばこロッド部とは反対側の端部を構成するマウスピース部16とを有し、前記たばこロッド部と前記マウスピース部は、前記充填物を巻装する巻紙と同じ又は別の第二の巻紙を用いて連結されている。非燃焼加熱型喫煙物品を電気加熱型デバイスに嵌装すると、該たばこロッドの外周面と、該たばこロッドと紙管部14とを接続する第二の巻紙(チップペーパー13)から構成される外周面の一部が、電気加熱型デバイス20の内部の伝熱部材25と接触する。
電気加熱型デバイス20の内部のヒーター24は、制御ユニット22による制御により発熱する。その熱が伝熱部材25を介して非燃焼加熱型喫煙物品のたばこロッドに伝わることで、たばこロッドの充填物11に含まれるエアロゾル生成基材と香味成分とが共に揮発する。
ヒーター24による加熱により、前記たばこロッドは概ね150〜250℃にまで加熱される。
上記のL
*、a
*、b
*を測定する際の、巻紙の加熱温度を230℃とし、その時間を3分間とするのは、本発明の実施形態にかかる電気加熱型喫煙システムの使用を前提として設定されたものである。
加熱により生じるエアロゾル生成基材と香味成分を含む蒸気は、前記で説明したメカニズムにより紙管部14の内部でエアロゾル化し、非燃焼型喫煙物品10のフィルター部15を通して使用者の口腔内に到達する。
【実施例】
【0032】
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0033】
<加熱前後の紙サンプルの準備>
CIELab表色系における明度L
*、色度a
*、色度b
*について、様々な数値を有する紙を準備した。有色の紙としては、例えばグラビア印刷品、白色の通常パルプに未晒パルプを漉きこんだ混抄品、微細なたばこ葉を漉きこんだたばこシートなどを準備した。全く着色していない紙サンプルとして100%バージンパルプを使用した通常のチップペーパー原紙と巻紙を対照として準備した。全部で26種類の紙を準備した。
その内容を以下の表1に示す。
【表1】
【0034】
<加熱条件>
マッフル炉(品名:Muffle Furnace FO410型、ヤマト科学製)をあらかじめ230℃に調整した。扉を開けて紙サンプルを家庭用アルミホイル(材質:アルミニウム箔 厚さ:11μm)に載せ、マッフル炉内に入れて、扉を閉めた。前記動作は素早く行い(3秒以内)、マッフル炉内の温度低下を最小限にした。本実施例での加熱条件(マッフル炉温度設定230℃、紙サンプル加熱時間3分)においては、実際の紙の温度は扉を閉めた後遅くとも1分後にはマッフル炉設定温度と同じ230℃程度であった。これは、色変色温度試験紙(サーモラベル5E−170/サーモラベル5E−210(日油技研工業製)を用いて確認した。
<色差測定>
加熱前後の各サンプルについて分光光度計(X−Rite社製、品名SpectroEye)を用いて色相を計測した。計測は、光源D65、光源フィルタなし、視野角2°の条件下、ISO白色度92%の紙の上に試料1枚を置き、その上に分光光度計の測定部を押し当てて実施した。
測定は5か所を繰り返し行い、平均値を解析に使用した。L
*、a
*、b
*は測定をそのまま、ΔL
*、Δa
*、Δb
*は加熱変色後の値から加熱変色前の値を差し引いて求めた。
色合い評価には様々な評価、分類系があるが CIELab表色系はCIE(国際照明委員会)にて策定された表色系であり、JIS Z 8781−4、 ISO 11664−4の基となっている。人間の感覚に近似し、ごく一般的に使用され、色合いを3次元で数値化できる便利な分類系である。なお、L
*は明度、a
*は青〜黄、b
*は青緑〜赤紫を代表する軸であり、L
*は値が高いほど明るく、a
*、b
*は0に近いほど彩度が落ちる。例えば、L
*、a
*、b
*=100,0,0は白であり、0,0,0は黒である。
【0035】
<官能評価>
20名のパネル一人一人に加熱前後の紙サンプルを見せ、その色合いから受ける見た目の汚さを問い、パネル20名のうち、汚く見えて不快だと回答した人数が11人以上の場合には、そのサンプルの外観印象を×と判定し、また11人未満の場合は、そのサンプルの外観印象を○と判定し、それらの結果を解析に使用した。
【0036】
<解析>
加熱前後のΔL
*、Δa
*、Δb
*値と、外観の印象の優劣に関係性は見られなかった(
図3A〜3C)。
色相単体の値の差による単純な図からは加熱後の紙の色合いの良し悪しを推定できないことから、色差データを用いた判別分析を行うことを検討し、複数因子の関連性を知るために判別分析を行った。その結果、以下のような、判別率96.2%と高い確率で外観印象を判定可能なΔL
*a
*b
*値をパラメータとした関数を得ることができた。判別式のP値は0.001より小さく統計的に高度に有意であり、一般的に判別率は75%を超えれば推定に使えるといわれていることから、判別率が96.2%であることは、ほぼ完全に推定可能なレベルであるという事を意味する。
判別得点 y=−0.18×ΔL
*+0.08×Δa
*+0.13×Δb
*−2.36 (1)
判別得点0.62以上:×(悪い)
判別得点0.62未満:○(良い)
式(1)は、加熱後の外観印象は加熱前の紙サンプルと加熱後の紙サンプルの色差であるΔL
*a
*b
*でほぼ決定づけられることを意味しており、例えば、ΔL
*が低く、Δa
*、Δb
*の値が高くなるほど判別得点が上がる。つまり、その紙の加熱後の印象が悪い方向に位置することになる。
この結果をまとめたのが
図4である。
なお、判別分析はBell Curve社製 エクセル統計Ver.2.15 多変量解析の判別分析2群を使用し、以下の条件にて分析した。
(1)増減法P値:投入0.2除去0.2
(2)線形結合している変数を除いて分析する
【0037】
図5は、更に詳しく説明するために、今回調査した紙サンプルのΔa
*とΔb
*の関係を表したものである。
3次元的に明示することができないため、ΔL
*の値については便宜的に−10で二値化し、−10よりも値が低い(暗く変色)ものについて、黒丸または太字の×で表した。
【0038】
評価で外観印象が悪かったものは「×」で表しており、Δa
*、Δb
*の値が共に高い所に位置している。これは加熱により、赤紫や黄色、あるいはそれらが合わさった茶色方向への変色が大きいことを意味しており、また相対的にΔL
*も低いものが多く見られる。つまり、これらのサンプルは、視覚的にはいわゆる薄い焦げ色から濃い焦げ色に近づくサンプル群であり、直感的にも外観印象が悪い群であることが理解できる。
これらサンプル群は加熱前はL
*値が比較的高く、またa
*値、b
*値も低い、つまり明るく彩度の低いものが多い。こういった明るく薄い色相のサンプルは加熱による茶色の変化が目立ちやすく外観印象の悪さに結びつく。
反対に外観印象が良かった「○」のサンプルについては、Δa
*、Δb
*の値が共に低い所に位置している。これは加熱により、青や緑色、あるいはそれらが合わさった青緑の方向への変色が大きいことを意味している。中には相対的にΔL
*値が低い、即ち明度が小さく暗いにもかかわらず○のものも見られる。これらのサンプル群は、×の場合とは反対に、加熱前は比較的L
*値が低く、またa
*値とb
*値も高い、つまり暗めの彩度の高いものが多い。こういった濃いめの色相のサンプルは加熱による変化が目立ちにくいため、外観印象の良さに結びつくと考えられる。
プロットを全体的に見ると、Δa
*は±20、Δb
*は±30と幅広い範囲にプロットが分布していることから、この実験が部分的ではなく、様々な色相の変化をするサンプルを網羅していることが分かる。
【0039】
本発明では、紙の加熱前後の色の変化程度に着目し、その領域を数値として把握することで有効な範囲を規定した。
本来、こういったパラメータ化には単純に加熱前の色相で領域を規定するのが考えやすいと想像されるが、今回の統計的手法では、色差ではない加熱前の紙のL
*、a
*、b
*の値のみから有用な数式は得られなかった。それは、色に含まれる顔料や、染料、等の有色成分はそれぞれ異なる熱分解挙動を持つために、加熱後の変色程度も色成分ごとに異なるためと考えられる。従って、元の紙の色のみではなく、変色程度で正確に外観印象を推定できる本発明の考え方は合理的である。