特許第6944654号(P6944654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944654
(24)【登録日】2021年9月15日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】光学部材、液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20210927BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20210927BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   G02B5/00 B
   B32B7/023
   G02F1/13357
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-178830(P2016-178830)
(22)【出願日】2016年9月13日
(65)【公開番号】特開2018-45051(P2018-45051A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】柏 木 剛
【審査官】 沖村 美由
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−138407(JP,A)
【文献】 特開2016−151711(JP,A)
【文献】 特開2014−063106(JP,A)
【文献】 特開平08−068997(JP,A)
【文献】 特表2009−528567(JP,A)
【文献】 特開2010−008895(JP,A)
【文献】 特開2007−279424(JP,A)
【文献】 特開2014−160262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00−5/136
G02F 1/1335;1/13357
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過させる光学部材であって、
第1方向に配列され且つ各々が前記第1方向と交差する方向に線状に延びている複数の単位光学要素を有する光学要素層と、
第2方向に配列され且つ各々が前記第2方向と交差する方向に線状に延びる光吸収部及び光透過部を有し、前記光吸収部及び前記光透過部が前記第2方向に沿って交互に配置されているルーバー層と、を備え、
透過する光の入光側から出光側に、光学要素層、ルーバー層の順で配置され、
前記光吸収部の幅が、入光側より出光側で小さく、
前記光吸収部と前記光透過部の界面が反射面を形成し、
前記第1方向と前記第2方向とがなす角のうち小さい方の角度αが、1°より大きく5°以下であり、
角度α〔°〕と、前記光学要素層と前記ルーバー層との距離D〔μm〕が
(200−20×α)≦D≦500
の関係をみたし、
前記光学要素層と前記ルーバー層との間には、厚さD〔μm〕の空気層が存在する、
光学部材。
【請求項2】
前記単位光学要素は、前記第1方向に一定のピッチで配列されており、
前記光学要素層と前記ルーバー層との距離が、前記単位光学要素の前記ピッチの2倍以上である、請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学部材と、
光源と、
液晶パネルと、
を備える、液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶パネルの画素配列方向と前記第2方向とがなす角のうち最も小さい角度が、10°以下である、請求項3に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置等に用いられる光学部材、及び光学部材を備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示すべき映像光を出射する液晶パネル等の映像源を備えるとともに、当該映像源からの映像光の質を高めて観察者側に透過させる光学シートを備えている。当該光学シートは、より質の高い映像を観察者に提供するため、各種機能を有する層が積層されている場合が多い。
【0003】
特許文献1には、プリズムシートと光制御シートとを組み合わせて液晶表示装置に用いることが開示されている。光制御シートは、基材フィルム層と、基材フィルム層に積層された光学機能シート層と、を有している。光学機能シート層は、基材フィルム層の一方の面に交互に配列されたプリズム部と光吸収部とを有している。基材フィルム層の光学機能シート層が積層される側の面とは反対となる側の面に、粗面が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−217871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の液晶表示装置では、プリズムシートのプリズムの配列方向と、光学機能シート層のプリズム部と光吸収部との配列方向とは、互いに直交している。ただし、光学部材に要求される光学特性によっては、プリズムシートのプリズムの配列方向と、光学機能シート層の光透過部と光吸収部との配列方向とを一致させる必要が生じることもある。しかしながら、プリズムシートのプリズムの配列方向と、光学機能シート層のプリズム部と光吸収部との配列方向とが、略同一方向になると、それらの周期構造が互いに干渉することによってモアレ(干渉縞)が生じるといった新たな不具合が生じてしまう。本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、モアレを目立たなくさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学部材は、光を透過させる光学部材であって、
第1方向に配列され且つ各々が前記第1方向と交差する方向に線状に延びている複数の単位光学要素を有する光学要素層と、
第2方向に配列され且つ各々が前記第2方向と交差する方向に線状に延びる光吸収部及び光透過部を有し、前記光吸収部及び前記光透過部が前記第2方向に沿って交互に配置されているルーバー層と、を備え、
透過する光の入光側から出光側に、光学要素層、ルーバー層の順で配置され、
前記光吸収部の幅が、入光側より出光側で小さく、
前記光吸収部と前記光透過部の界面が反射面を形成し、
前記第1方向と第2方向とがなす角のうち小さい方の角度αが、10°以下であり、
角度α〔°〕と、前記光学要素層と前記ルーバー層との距離D〔μm〕が
(200−20×α)≦D≦500
の関係をみたす。
【0007】
本発明の光学部材において、前記単位光学要素は、前記第1方向に一定のピッチで配列されており、前記光学要素層と前記ルーバー層との距離が、前記単位光学要素の前記ピッチの2倍以上であってもよい。
【0008】
本発明の液晶表示装置は、上述したいずれかの光学部材と、光源と、液晶パネルと、を備える。
【0009】
本発明の液晶表示装置において、前記液晶パネルの画素配列方向と前記第2方向とがなす角のうち最も小さい角度が、10°以下であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モアレを目立たなくさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、光学部材を有した液晶表示装置の一例を示す断面図である。
図2図2は、光学シートの一例を示す斜視図である。
図3図3は、ルーバーフィルムの一例を示す斜視図である。
図4図4は、光学シートとルーバーフィルムとを重ね合わせた上面図である。
図5図5は、光学要素層からルーバー層に入射した光の作用を説明する図である。
図6図6は、ルーバー層を説明するための図である。
図7図7は、拡散反射率の測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0013】
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「光学シート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「光学シート」は、「光学フィルム」等と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0014】
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
【0015】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0016】
図1図6は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1は、光学部材を備える液晶表示装置の概略構成を示す断面図である。図2は光学部材に含まれた光学シートを示す斜視図であり、図3は光学部材に含まれたルーバーフィルムを示す斜視図である。図4は、光学シートとルーバーフィルムとを重ね合わせた上面図である。図5は、ルーバーフィルムの作用を説明するための図である。図6は、ルーバーフィルムのルーバー層について説明するための図である。
【0017】
図1は、本実施の形態における液晶表示装置1の一例を示している。液晶表示装置1は、光源10と、液晶パネル20と、光源10と液晶パネル20の間に設けられた光学部材30と、を備えている。液晶表示装置1は、光源10で発光し光学部材30を透過した面状の光が、液晶パネル20を所定のパターンで透過することによって、映像を形成する装置である。
【0018】
光源10は、液晶表示装置1の最背面(光を出光する面から最も離間した面)に配置され、光学部材30に光を照射する。光源10として、或る程度均一な照度で光を照射することができる装置を用いることができる。このような光源10として、本実施の形態では、反射板と、反射板上に二次元配列された複数の点状発光体と、を有する直下型の装置を用いている。しかしながら、光源10として、導光板と、導光板の側端面に対向して配置された発光体と、を有するエッジライト型の装置を用いてもよい。
【0019】
液晶パネル20は、光学部材30を透過した光について透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、表示面25に像を表示するように構成されている。液晶パネル20は、出光側に配置された上偏光板21と、入光側に配置された下偏光板23と、上偏光板21と下偏光板23との間に配置された液晶層22と、を有している。偏光板21,23は、入射した光を直交する二つの偏光成分(P波およびS波)に分解し、一方の方向(透過軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、P波)を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向(吸収軸と平行な方向)に振動する直線偏光成分(例えば、S波)を吸収する機能を有している。
【0020】
液晶層22には、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっている。そして、電界印加の有無によって液晶層22中の液晶分子の配向方向が変化するようになる。一例として、入光側に配置された下偏光板23を透過した特定方向の偏光成分は、電界印加されていない液晶層22を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、その一方で、電界印加された液晶層22を通過する際にその偏光方向を維持する。この場合、液晶層22への電界印加の有無によって、下偏光板23を透過した特定方向に振動する偏光成分が、下偏光板23の出光側に配置された上偏光板21をさらに透過するか、あるいは、上偏光板21で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
【0021】
このようにして液晶パネル(液晶表示部)20では、光源10から光学部材30を透過した光について透過または遮断を画素毎に制御し得るようになっている。なお、液晶パネル20の詳細については、種々の公知文献(例えば、「フラットパネルディスプレイ大辞典(内田龍男、内池平樹監修)」2001年工業調査会発行)に記載されており、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0022】
次に、光学部材30について説明する。光学部材30は、光学シート40と、ルーバーフィルム60と、を光源10に近い側(入光側)からこの順で有している。光学部材30は、光源10からの光を表示面25に垂直な方向に集光させて透過させる。
【0023】
光学シート40は、複数の単位光学要素41aを含む光学要素層41と、平板状の基材層42と、を有する。光学シート40は、入光した光の進行方向を変化させて透過させる機能を有した部材である。光学要素層41は、基材層42の一方の主面上に配列された複数の単位光学要素41aによって形成されている。各単位光学要素41aは、柱状に形成され、図2におけるD1方向に配列されてD1方向と交差するD2方向に線状に延びているプリズムとして構成されている。とりわけ図示された例において、各単位光学要素41aは、D2方向に直線状に延びている。また、図示された例において、単位光学要素41aの長手方向であるD2方向と、単位光学要素41aの配列方向であるD1方向は互いに直交している。
【0024】
単位光学要素41aの断面形状は、要求される機能に応じて公知の形状を適用することができる。図示された例において、各単位光学要素41aは、三角形の断面形状となっている。また、図示された例において、各単位光学要素41aは、柱状に形成され、その長手方向に沿って同一の断面形状を有するようになっている。さらに、複数の単位光学要素41aは、その長手方向に直交する方向に沿って、基材層42上に隙間無く並べられている。したがって、光学シート40の一方の主表面は、基材層42上に隙間無く配列された単位光学要素41aの表面(プリズム面)によって形成されている。
【0025】
光学シート40は、光源10の形式等に応じて、単位光学要素41aが出光側であるか、入光側(光源10の側)であるかを、適宜設計され得る。本実施の形態では、直下型の光源との組み合わせにより、図1に示すように、単位光学要素41aが出光側に設けられている。また、光学シート40に要望される光学機能に応じて、基材層42の光学要素層41が設けられた側とは逆側の面上に、拡散層がさらに設けられていてもよい。さらに、単位光学要素41aの断面形状等、光学要素層41の構成も、光学シート40に要望される光学機能に応じて、適宜変更することができる。
【0026】
光学要素層41の材料は、特に限定されないが、紫外線硬化型樹脂であることが望ましい。また、光学要素層41および基材層42の屈折率は、材料の脆弱性や光学的性能を考慮すると、1.55以上1.61以下であることが好ましく、1.58であることがより好ましい。
【0027】
基材層42は、光学要素層41を適切に支持することのできる平板状の部材である。基材層42をなす材料としては、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)やアクリル系樹脂、ポリカーボネート等の、種々の材料を使用することができる。これらのうち、コストや剛性を考慮すると、基材層42の材料としては、PETが好ましい。
【0028】
光学要素層41における単位光学要素41aの配列ピッチは、特に限定されないが、光学要素層41の機能を効果的に発揮する観点から、30μm以上100μm以下であることが好ましい。また、光学要素層41の高さ(厚さ)は、15μm以上50μm以下であることが好ましい。さらに、単位光学要素41aの頂角は90°であることが好ましい。
【0029】
なお、光学要素層41及び基材層42は、その界面で屈折率差を生じさせて光学的作用を起こさないために、同一または同様の屈折率を有する材料から形成されることが好ましく、同一の材料から形成されることがより好ましい。
【0030】
ルーバーフィルム60は、光吸収部61aおよび光透過部61bを有するルーバー層61と、基材62と、を有する。ルーバーフィルム60は、入光した光の進行方向を変化させて出光側から出射する機能を有している。具体的には、ルーバーフィルム60は、正面方向(表示面25の法線方向)の輝度を集中的に向上させる機能を有することができる。さらに、正面方向に対して大きな角度で入射した光を吸収する機能を備えている。
【0031】
ルーバー層61は、一定の方向に交互に配列された光吸収部61aおよび光透過部61bによって形成されている。光吸収部61aおよび光透過部61bは、図3に示すように、D3方向(第2方向)に配列され且つD3方向と交差するD4方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、D3方向とD4方向は互いに直交している。
【0032】
ここで、光学要素層41の単位光学要素41aの配列方向であるD1方向と、ルーバー層61の光吸収部61aおよび光透過部61bの配列方向であるD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αは、典型的には0°となる。その一方で、図4に示すように、モアレを不可視化する目的等から、単位光学要素41aの配列方向であるD1方向と、光吸収部61aおよび光透過部61bの配列方向であるD3方向を傾斜させることもある。このような場合であっても、光学要素層41での光学作用と、ルーバー層61での光学作用の組み合わせによる効果を期待する観点から、単位光学要素41aの配列方向であるD1方向と、光吸収部61aおよび光透過部61bの配列方向であるD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αは、10°以下に制限される。しかしながら、D1方向とD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αがほぼ0°である場合、ルーバーフィルム60の外形状を整えるため抜き刃を用いて抜き加工を行う際に、光吸収部61aおよび光透過部61bの配列方向であるD3方向に沿って抜き刃が入るため、割れや線状の滓が発生し得る。したがって、D1方向とD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αは、1°より大きいことが好ましい。また、視野角特性を制御する観点からは、D1方向とD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αは、5°以下であることが好ましい。
【0033】
光吸収部61aは、光を吸収する部分であり、例えば光吸収粒子をバインダー樹脂中に含んだ部分である。光吸収粒子としては、カーボンブラックを含有したアクリルビーズを例示できる。また、光透過部61bは、光を透過させる部分であり、例えば可視光透過性の樹脂からなる。光吸収部61a及び光透過部61bは、D3方向に沿って交互に配列されている。
【0034】
光吸収部61aの断面形状は、要求される機能に応じて種々の形状を採用することができる。本実施の形態において、図5に示すように、光吸収部61aの断面形状は、一方の底辺が他方の底辺に比べて十分に小さい台形形状となっており、光透過部61bの断面形状は、他方の底辺が一方の底辺に比べて十分に小さい台形形状となっている。
【0035】
光吸収部61aおよび光透過部61bの材料は、特に限定されないが、それぞれ異なる材料からなる紫外線硬化型樹脂であることが望ましい。光吸収部61aおよび光透過部61bは、その界面において反射界面を形成する観点から、異なる屈折率の材料で形成される。とりわけ、光吸収部61aおよび光透過部61bの界面での全反射を期待する観点から、光吸収部61aの屈折率が光透過部61bの屈折率よりも小さくなっていることが好ましく、この場合、光吸収部61aと光透過部61bとの界面で全反射を期待することができる。
【0036】
具体的には、光吸収部61aおよび光透過部61bの屈折率は、材料の脆弱性や入手容易性、光吸収部61aと光透過部61bとの界面で光を反射させることを考慮して、光吸収部61aの屈折率を1.47以上1.50以下、光透過部61bの屈折率を1.55以上1.61以下、光吸収部61aと光透過部61bとの屈折率差は0.05以上0.14以下とすることができる。光吸収部61aの屈折率は、1.49であることがより好ましく、光透過部61bの屈折率は、1.56であることがより好ましい。このような屈折率を有することにより、光吸収部61aと光透過部61bとの界面は、全反射面を形成することができる。特に、光吸収部61aと光透過部61bとの屈折率差を大きくすることにより、より多くの光を光吸収部61aと光透過部61bとの界面で全反射させることができる。なお、光吸収部61aと光透過部61bとの界面で反射せずに光吸収部61aに入射した光のほとんどは、光吸収部61aに吸収される。
【0037】
基材62は、ルーバー層61を適切に支持することのできる平板状の部材である。基材62をなす材料としては、種々の材料を使用することができる。ただし、液晶表示装置1に組み込まれることを考慮すると、ルーバーフィルム60の材料としては、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有し、安価に入手可能であることが好ましい。このような材料としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)やアクリル系樹脂、ポリカーボネート等が例示できる。また、ルーバー層61は、光源10と液晶パネル20の下偏光板23との間で用いられることから、基材62によって偏光状態が乱されることを避けるために、基材62は複屈折の少ないことが好ましい。さらに、車載用途等のように高い耐熱性が求められる用途では、ガラス転移点が高いポリカーボネートが好ましい。
【0038】
ルーバーフィルム60は、入光側から、ルーバー層61、基材62の順で積層されていてもよいし、基材62、ルーバー層61の順で積層されていてもよい。また、ルーバー層61において、光吸収部61aの幅は、入光側より出光側で小さくなっている。
【0039】
光吸収部61aの一方の斜面61a1および他方の斜面61a2は、基材62の面に対して垂直な方向から傾いていてもよい。この傾斜角は、0°より大きく10°以下であることが好ましい。また、斜面61a1、61a2は、直線であってもよいし、曲線であってもよいし、段差を構成するような折れ線であってもよい。さらに、斜面61a1、61a2は、光吸収部61aごとに異なる形状であってもよい。本実施の形態では、図6に示すように、斜面61a1、61a2は、直線であり、基材62の面に対して垂直な方向からそれぞれ角度θ、θだけ傾いている。なお、斜面61a1、61a2の傾斜角度θ、θは、互いに異なっていてもよい。この場合、正面方向(表示面25の法線方向)に対して傾斜した方向に対して、輝度を集中させたり、視野角を広げたりすることができる。特に、このような光学部材30を有する液晶表示装置1が自動車に搭載されている場合、自動車のフロントガラス等で反射する方向の射出光を選択的に減少させ、運転者の視界の悪化を防止することができる。
【0040】
ルーバー層61において、光吸収部61aおよび光透過部61bの配列のピッチpは、特に限定されないが、ルーバー層61の機能を効果的に発揮する観点から、20μm以上100μm以下であることが好ましく、30μm以上100μm以下であることがより好ましい。また、光吸収部61aの高さ(厚さ)dは50μm以上150μm以下であることが好ましく、60μm以上150μm以下であることがより好ましい。
【0041】
なお、光学部材30には、光学シート40、及びルーバーフィルム60の他に、これらを保護するための保護層や反射型偏光分離シート等、任意の機能を有する層を追加で設けることができる。
【0042】
ここで、光学要素層41とルーバー層61とは、所定の距離を空けて配置されている。光学要素層41とルーバー層61との距離とは、図5に示す距離Dのように、光学要素層41の入光側の端、すなわち単位光学要素41aの頂部と、ルーバーフィルム60の入光側の端と、の間の厚さ方向に沿った距離をいう。距離Dは、スペーサー等によって設けられてもよいし、間に上述したような他の層が配置されることで設けられてもよい。距離Dは、280μm以上500μm以下であることが好ましい。この距離が小さすぎると、光学部材30から出射した光にぎらつきがあらわれるおそれがあり、大きすぎると光学部材30が厚くなってしまう。また、距離Dは、単位光学要素41aのピッチの2倍以上であることが好ましい。
【0043】
次に、液晶表示装置1の作用、特に光源10から光学部材30に光が入射したときの作用について説明する。
【0044】
まず、光源10から出射した光は、光学部材30の光学シート40に入射する。光学シート40は、集光機能を発揮して、単位光学要素の配列方向に沿った面内において、入射方向が正面方向に対してなす角度よりも、出射方向が正面方向に対してなす角度が小さくなるように、透過光の進行方向を変化させる。図1に示された本実施の形態の光学シート40では、正面方向に対して傾斜した方向に進む光が、光学要素層41で屈折し、これにより、正面方向への集光機能が発揮される。すなわち、光学シート40によって、透過光の出射方向を表示面25に垂直な方向を中心とした狭い角度範囲に集光させることができる。
【0045】
光学シート40を出射した光は、ルーバーフィルム60のルーバー層61に入射する。図5に示すルーバー層61に入射した光のうち、正面方向に略平行な方向に進む光L41は、光吸収部61aと光透過部61bの界面に達することなく、ルーバー層61をそのまま透過することができる。正面方向に対して傾斜している光L42は、ルーバー層61内の光吸収部61aの斜面61a1または斜面61a2に入射し、反射、理想的には全反射される。また、正面方向に対して傾斜した光L42の少なくとも一部は、光吸収部61aの斜面61a1または斜面61a2で反射により、正面方向に進むようになる。一方、正面方向に対して大きく傾斜している光L43は、光吸収部61aの斜面61a1または斜面61a2で全反射はせず、一部は反射するが、一部は光吸収部61a内に入射して光吸収部61aで吸収される。
【0046】
ルーバー層61を透過してルーバーフィルム60から出射した光は、液晶パネル20の下偏光板23に入射する。下偏光板23によって、入射光のうち、一方の偏光成分が透過し、その他の偏光成分は吸収される。下偏光板23を透過した光は、画素毎への電解印加の状態に応じて、選択的に上偏光板21を透過するようになる。このようにして、液晶パネル20によって、光を画素毎に選択的に透過させ、表示面25に画像を表示する。
【0047】
ところで、前述したように、特許文献1のような光学機能シート層のプリズム部の配列方向と光吸収部の配列方向とを揃えた表示装置では、モアレと呼ばれる縞状模様が表示面上に観察される。このモアレは、光学要素層の周期性とルーバー層の周期性との干渉によって、生じているものと推測される。モアレを目立たなくさせる手段として、拡散層を設けることや、光学要素層の周期性を呈する方向とルーバー層の周期性を呈する方向を傾斜させることが知られている。
【0048】
しかしながら、強い拡散層を設けることは、光学要素層およびルーバー層で整えた光の進行方向を乱してしまうことになる。とりわけ、液晶表示パネルへの入射光の入射方向を或る程度揃える必要があることから、液晶表示パネルよりも入光側に強い拡散を設置することは好ましくない。また、光学要素層及びルーバー層は、互いに関連しあって、光の進行方向を変化させる部材又は要素である。したがって、光学要素層の周期性を示す方向とルーバー層の周期性を示す方向とを無秩序に傾斜させることは、光学要素層およびルーバー層の設置目的に反することとなる。この点から、上述したように、単位光学要素41aの配列方向であるD1方向と、光吸収部61aおよび光透過部61bの配列方向であるD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αは、10°以下、好ましくは1°より大きく5°以下に制約される。
【0049】
一方、本件発明者は、鋭意検討を重ね、光学要素層41の単位光学要素41aの配列方向(D1方向)とルーバー層61の光吸収部61a及び光透過部61bの配列方向(D3方向)とが、略同一方向、より具体的にはD1方向とD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αが、10°以下である場合、光吸収部61aの幅が入光側より出光側で小さく、光吸収部61aと光透過部61bの界面が反射面を形成し、D1方向とD3方向とがなす角のうち小さい方の角度α〔°〕と光学シート40の光学要素層41とルーバーフィルム60のルーバー層61との間の距離D〔μm〕とが、
(200−20×α)≦D≦500
の関係をみたすことで、光学要素層41とルーバー層61によって生じるモアレを極めて効果的に不可視化し得ることを見出した。このような現象が生じる詳細なメカニズムは不明であるが、以下の事項が、主たる原因の一つと推測される。
【0050】
まず、光学要素層41を出光してルーバー層61に入光する光は、図5に示すように、正面方向に略平行な方向に進む光L41、正面方向に対して比較的小さく傾斜している光L42、正面方向に対して比較的大きく傾斜している光L43の3種が存在すると考えることができる。このうち正面方向に略平行な方向に進む光L41は、光吸収部61aに入射せずルーバー層61をそのまま透過する、いわゆる「素抜け光」となる。一方、正面方向に対して比較的小さく傾斜している光L42および正面方向に対して比較的大きく傾斜している光L43の一部は、斜面61a1または斜面61a2に入射し、反射されることでルーバー層61を透過する、「反射光」となる。
【0051】
ここで、各光透過部61b、例として図5に示す領域Aを透過する光について検討する。素抜け光は、光透過部61bの配列方向に沿った各光透過部61bの中央部分から抜ける。より具体的には、図5における素抜け光L41は、正面方向からの観察において、光吸収部61aと重ならない領域から出射する。一方、反射光は、光透過部61bの配列方向に沿った各光透過部61bの両端部分から抜ける。より具体的には、図5における反射光L42は、正面方向からの観察において、光吸収部61aと重なる領域、すなわち、傾斜面61a1上となる領域から出射するようになる。同様の光が、傾斜面61a2上となる領域からも出射する。つまり、光透過部61bの幅を入光側より出光側で大きくすることで、「反射光」を利用して、各光透過部61bに対応して明るく観察される領域を広くすることができる。この結果、光透過部61bに対応した明部および光吸収部61aに対応した暗部からなる「素抜け光」の明暗パターンを「反射光」によってぼやかして、ルーバー層61に起因した明るさの周期性を効果的に弱めること可能になるものと推測される。なお、ルーバー層61の光吸収部61aの出光側の幅は十分に狭くなっており、光吸収部61aが暗部として視認されることによる明暗パターンは、観察されない。
【0052】
また、図5に示すように、一つの光透過部61bを透過する光のうち、「素抜け光」をなす光と、「反射光」をなす光は、異なる単位光学要素41aから出射していることもある。この場合、光学要素層41の単位光学要素41aの配列周期性をルーバー層61で消失させることになる。この結果、光学要素層41の周期性とルーバー層61の周期性との起因したモアレの発生自体を効果的に抑制することが可能となる。
【0053】
本件発明者は、さらに検討を重ねた結果、D1方向とD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αと光学シート40の光学要素層41とルーバーフィルム60のルーバー層61との距離Dとが、ある関係をみたすことで、「素抜け光」と「反射光」とによるモアレを抑制することができることを知見した。
【0054】
角度αは、光学要素層41の周期性とルーバー層61の周期性との干渉度合いに影響する。具体的には、角度αが大きくなるほど、光学要素層41の周期性とルーバー層61の周期性とによるモアレは発生しにくくなる。一方、距離Dは、光学要素層41を透過した光の周期性の消失度合いに影響する。具体的には、距離Dが長くなるほど、光学要素層41を透過した光の周期性が消失し、ルーバー層61の周期性と干渉しにくくなる。したがって、角度αおよび/または距離Dが十分に大きくなることで、「素抜け光」と「反射光」とによるモアレが抑制される。本件発明者の検討の結果、角度α〔°〕と距離D〔μm〕とが、
(200−20×α)≦D≦500
の関係を満たすことで、「素抜け光」と「反射光」とによるモアレが抑制されることが知見された。
【0055】
なお、本件発明者がさらに鋭意検討をおこなったところ、光学要素層41とルーバー層61との距離が、単位光学要素41aの配列ピッチの2倍以上となる場合、複数の単位光学要素41aからの光が同一の光透過部61bに入光することを、効果的に促進することができた。
【0056】
以上のことを主たる原因の一つとして、光学要素層41の周期性とルーバー層61の周期性との干渉によるモアレを極めて効果的に目立たなくすることができるものと考えられる。ただし、本発明は以上の推測に拘束されるものではない。
【0057】
以上のように、本実施の形態において、光学部材30は、光を透過させる光学部材であって、D1方向に配列され且つ各々がD1方向と交差する方向に線状に延びている複数の単位光学要素41aを有する光学要素層41と、D3方向に配列され且つ各々がD3方向と交差する方向に線状に延びる光吸収部61a及び光透過部61bを有し、光吸収部61a及び光透過部61bがD3方向に沿って交互に配置されているルーバー層61と、を備え、透過する光の入光側から出光側に、光学要素層41、ルーバー層61の順で配置され、光吸収部61aの幅が、入光側より出光側で小さく、光吸収部61aと光透過部61bの界面が反射面を形成し、D1方向とD3方向とがなす角のうち小さい方の角度αが、10°以下であり、角度αと、光学要素層41とルーバー層61との距離Dが(200−20×α)≦D≦500の関係をみたす。このような光学部材30によれば、ルーバー層61に起因した周期性を効果的に弱めることができ、これにより、モアレを目立たなくさせることができる。
【0058】
また、本実施の形態の光学部材30において、単位光学要素41aは、D1方向に一定のピッチで配列されており、光学要素層41とルーバー層61との距離が、単位光学要素41aのピッチの2倍以上である。このような光学部材30によれば、複数の単位光学要素41aからの光が同一の光透過部61bに入光することを促進することができる。この結果、光学要素層41に起因して生じた明るさの周期性を、ルーバー層61で効果的に消失させることができる。これにより、さらに効果的にモアレを目立たなくさせることができる。
【0059】
なお、上述した一実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
【0060】
例えば、液晶表示装置1に要求される光学特性によっては、液晶パネル20の画素配列方向と、ルーバー層61の光吸収部61aと光透過部61bとの配列方向とを一致させることもある。この場合、従来の液晶表示装置では、液晶パネル20の画素配列方向の周期性と、ルーバー層61の光吸収部61aと光透過部61bとの配列方向の周期性とによって、モアレが発生していた。しかしながら、上述した光学部材30を備えた液晶表示装置1においては、ルーバー層61から出射する光から周期性が弱められているため、液晶パネル20の画素配列方向と、ルーバー層61の光吸収部61aと光透過部61bとの配列方向とを一致させても、モアレの発生が抑制される。したがって、液晶パネル20の画素配列方向とルーバー層61の光吸収部61a及び光透過部61bの配列方向(D3方向)とがなす角のうち最も小さい角度を、10°以下とすることができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例として、図1に示す光学部材30を作成し、光源10を点灯させて出光側からモアレの発生の有無を確認した。
【0063】
実施例における各層の具体的な材料・形状を説明する。
【0064】
光源10および液晶パネル20としては、6.5インチ液晶パネル(LQ065T5GG03、シャープ株式会社製)に付属しているものを用いた。
【0065】
光学シート40としては、100μm厚のポリエチレンテレフタラート(A4300、東洋紡製)を使用し、屈折率1.58の紫外線硬化型ウレタンアクリルレートを用いて、ピッチ50μm、頂角90°の光学要素層41を作成した。
【0066】
ルーバーフィルム60については、まず、厚さ130μmのポリカーボネートフィルム製の基材62上に、屈折率1.56の紫外線硬化型ウレタンアクリルレートの光透過部61bを形成した。そして、光透過部61bの間に、カーボンブラックを含有したアクリルビーズを25%含有させた屈折率1.49の紫外線硬化型ウレタンアクリルレートの光吸収部61aを、ピッチpが47μmの間隔で形成した。光吸収部61aの光源側の底辺の長さWは10μm、観察側の底辺の長さWは4μm、高さdは120μmとし、斜面61a1の傾斜角は4.5°、斜面61a2の傾斜角は4.5°とした。ルーバーフィルム60の出光面側の拡散反射率は、3.4%となっている。また、ルーバーフィルム60の入光面側に、拡散反射率4.0%の紫外線硬化型ウレタンアクリルレートのマット層を設けた。
【0067】
なお、単位光学要素41aの配列方向(D1方向)と光吸収部61a及び光透過部61bの配列方向(D3方向)とがなす角のうち小さい方の角度αは、0,5,10°のいずれかとなっている。また、光学シート40とルーバーフィルム60との間は、スペーサー等によって設けられた空気層となっている。空気層の厚さ、すなわち光学シート40とルーバーフィルム60との間の距離Dは、0,200,500μmのいずれかとなっている。これらのうち、(200−20×α)≦D≦500 の関係を満たすものを実施例1〜7とし、満たさないものを実施例と比較する比較例1,2とした。
【0068】
実施例および比較例においては、光源10の表面に光学シート40、反射型偏光分離シート、ルーバーフィルム60の順で積層した光学部材30を設置し、ルーバー層61の光吸収部61aの幅が広い側を光源10側に配置した。D1方向を基準としたときに、各実施例および比較例において、D3方向をD1方向に対して0°、5°、10°に傾斜させて、角度αを0°、5°、10°に変化させた。また、液晶パネル20においては、画素がD1方向とD1方向に直交する方向とに配列されている。
【0069】
また、参考例1として、角度αを10°、距離Dを0μmとした場合において、光吸収部61aの光源側の底辺の長さWを4μm、観察側の底辺の長さWを10μmに変更した。すなわち、光吸収部61aの幅を出光側より入光側で小さくした。さらに、参考例2として、角度αを10°、距離Dを0μmとした場合において、ルーバー層61の光吸収部61aの屈折率を1.56に変更した。この結果、光吸収部61aと光透過部61bとの間で、全反射が起こらなくなっている。すなわち、参考例1,2におけるルーバーフィルム60は、正面方向の輝度を集中的に向上させることができなくなっている。参考例1,2において、その他の構成は、実施例および比較例と同じである。
【0070】
ここで、拡散反射率の測定方法を説明する。拡散反射率は、全光線反射率から鏡面反射光分の光線反射率を除外した全方位拡散反射率により定義される。各層の拡散反射率は図7に示したヘイズメーター(HR−100 村上色彩研究所)を用いて測定した。
【0071】
まず、対象となるシートの層を入光側に向け、これとは反対側に黒色板を配置するとともに、当該シートの法線に対して45°傾けた照射光を照射する。測定光源はD65を用いている。そして、鏡面反射光を除外し、そのときの積分球内の全方位光を検出器で得る。そして、得られた全方位光と照射光との比を百分率で表し、拡散反射率を算出する。
【0072】
実施例1〜7、比較例1,2および参考例1,2について、光源10を点灯させてモアレを確認した。実施例1〜7、比較例1,2および参考例1,2の結果を以下の表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例1〜7では、モアレは確認されなかった。これは、光学要素層41で生じた周期性を有する光が、ルーバー層61によって広がることで、生じていた明暗の周期性を広い範囲で緩和されて、周期性によるモアレの発生を低減することができたためであると考えられる。一方、比較例1,2ではモアレの発生が確認された。とりわけ、モアレは観察した液晶パネルの全面に強く発生した。これは、上述した「素抜け光」と「反射光」とによるモアレを抑制できなかったためであると考えられる。また、参考例1では、光吸収部61aの幅の広い側が出光側であるため、「反射光」が拡散するように作用するため、モアレが発生しなかったと考えられる。参考例2についても、光吸収部61aと光透過部61bとの界面が反射面を形成しなかったため、「反射光」が生じず、モアレが発生しなかったと考えられる。
【符号の説明】
【0075】
1 液晶表示装置
10 光源
20 液晶パネル
21 上偏光板
22 液晶層
23 下偏光板
25 表示面
30 光学部材
40 光学シート
41 光学要素層
41a 単位光学要素
42 基材層
60 ルーバーフィルム
61 ルーバー層
61a 光吸収部
61b 光透過部
62 基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7