特許第6944725号(P6944725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944725
(24)【登録日】2021年9月15日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】折り畳み式収納台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20210927BHJP
   B62B 5/06 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   B62B3/02 B
   B62B5/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-96774(P2019-96774)
(22)【出願日】2019年5月23日
(62)【分割の表示】特願2014-105352(P2014-105352)の分割
【原出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2019-135154(P2019-135154A)
(43)【公開日】2019年8月15日
【審査請求日】2019年6月24日
(31)【優先権主張番号】特願2013-108093(P2013-108093)
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−046729(JP,U)
【文献】 特開2005−075156(JP,A)
【文献】 特開2002−362372(JP,A)
【文献】 特開2001−48166(JP,A)
【文献】 特開2010−083571(JP,A)
【文献】 特開2002−234537(JP,A)
【文献】 特開平06−345091(JP,A)
【文献】 特開2013−023089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/02,3/16,
5/00,5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四方のフレーム枠により構成される上側フレーム部と、
キャスターが取り付けられる底部と、
前記上側フレーム部と前記底部との間で鉛直方向に配置され、囲まれる空間によって収納空間を形成する側板部と、
前記上側フレーム部の四つの角部からそれぞれ上側に突出し、折り畳み式収納台車を押すときに手を掛ける四つの手掛け部と、を有し、
前記四方のフレーム枠の形状を維持したまま折り畳まれる折り畳み式収納台車であって、
前記四つの手掛け部を避けて前記収納空間を上側から閉塞する蓋部を有し、
前記四つの手掛け部は、前記蓋部が前記収納空間を上側から閉塞している状態では前記蓋部よりも上側に位置することを特徴とする折り畳み式収納台車。
【請求項2】
前記蓋部は、前記上側フレーム部の上側に重ね合わせることで、前記収納空間を上側から閉塞することを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式収納台車。
【請求項3】
前記蓋部は、平板状であることを特徴とする請求項1または2に記載の折り畳み式収納台車。
【請求項4】
前記蓋部は、施錠可能であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の折り畳み式収納台車。
【請求項5】
前記上側フレーム部は、閉じられた第1の隙間が形成された受け部材を有し、
前記蓋部は、閉じられた第2の隙間が形成された蓋側受け部材を有し、
前記第1の隙間と前記第2の隙間とを通してダイヤル式の南京錠のフック部を差し込み可能であることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の折り畳み式収納台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式収納台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば建築工事現場などには折り畳み式収納台車が用いられている。折り畳み式収納台車は、被収納物を収納する場合には組み立て、被収納物を収納しない場合には折り畳むことにより省スペース化を図ることができる。
【0003】
特許文献1には、矩形状の底部フレーム上に側部フレームが折り重ね自在に設けられた吊用パレットが開示されている。特許文献1の吊用パレットでは、対向する一対の側部フレームを吊上用支柱に連結して底部フレーム上に折り重ね自在な一対の強化フレームが形成され、残る一対の側部フレームを吊上用支柱に着脱自在に連結して底部フレーム上に折り重ね自在な折畳みフレームが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−182250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
許文献1に開示された吊用パレットはそれぞれ一対の側部フレームを別々に底部フレームに折り重ねる構成である
【0006】
本発明は、蓋部を有する折り畳み式収納台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の折り畳み式収納台車は、四方のフレーム枠により構成される上側フレーム部と、キャスターが取り付けられる底部と、前記上側フレーム部と前記底部との間で鉛直方向に配置され、囲まれる空間によって収納空間を形成する側板部と、前記上側フレーム部の四つの角部からそれぞれ上側に突出し、折り畳み式収納台車を押すときに手を掛ける四つの手掛け部と、を有し、前記四方のフレーム枠の形状を維持したまま折り畳まれる折り畳み式収納台車であって、前記四つの手掛け部を避けて前記収納空間を上側から閉塞する蓋部を有し、前記四つの手掛け部は、前記蓋部が前記収納空間を上側から閉塞している状態では前記蓋部よりも上側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明よれば、蓋部を有する折り畳み式収納台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の組み立てられた状態の折り畳み式収納台車を示す斜視図である。
図2】組み立てられた状態の折り畳み式収納台車を示す正面図である。
図3】組み立てられた状態の折り畳み式収納台車を示す側面図である。
図4】折り畳み式収納台車を示す底面図である。
図5】組み立てられた状態の折り畳み式収納台車を示す断面図である。
図6】短手側板部を引き上げる途中の状態の折り畳み式収納台車を示す断面図である。
図7】短手側板部を引き上げた状態の折り畳み式収納台車を示す断面図である。
図8図7の部分拡大図である。
図9】長手側板部を折り畳む途中の状態の折り畳み式収納台車を示す斜視図である。
図10】折り畳まれた状態の折り畳み式収納台車を示す斜視図である。
図11】2つの折り畳み式収納台車を積み重ねた状態を示す側面図である。
図12】着脱部の構成を示す斜視図である。
図13】着脱部により上側長手フレームが離脱された状態を示す斜視図である。
図14】第2の実施形態の折り畳み式収納台車を示す斜視図である。
図15】蓋部を施錠する構成を示す斜視図である。
図16】蓋部を施錠する構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る折り畳み式収納台車(以下、収納台車1という)について図面を参照して説明する。以下の図面では便宜上、矢印Frを前側、矢印Rrを後側、矢印Rを右側、矢印Lを左側として図示する。ただし、収納台車1は、走行面上を前後左右の何れの方向にも走行することができる。
図1は、組み立てられた状態の収納台車1を示す斜視図である。図2は、図1に示す左側から見た収納台車1の図(正面図)である。図3は、図1に示す後側から見た収納台車1の図(側面図)である。
図1図3に示すように、収納台車1は、略直方体状に形成されており、底部10、走行部20、上側フレーム部30および側板部40を備えている。本実施形態の収納台車1は、左右方向よりも前後方向が長い略矩形状に形成されている。
【0011】
まず、底部10の構成について図4を参照して説明する。図4は、収納台車1の底面図である。底部10は、収納台車1の外形の一部を構成し、被収納物が載置される。本実施形態の底部10は、一対の下側長手フレーム11a,11b、一対の下側短手フレーム12a,12b、コーナ部材13、補強フレーム14、底板15、スペーサ部材16などを有している。下側長手フレーム11a,11b、下側短手フレーム12a,12bおよび補強フレーム14は、例えばアルミニウム合金製の中空状の角パイプを用いることができる。
【0012】
下側長手フレーム11a,11bおよび下側短手フレーム12a,12bは、コーナ部材13により4つの角部で結合することで、矩形状の四方のフレーム枠を構成する。フレーム枠内は複数の補強フレーム14が前後左右方向に付き合わせ溶接されることで格子状に形成され、補強される。下側長手フレーム11a,11b、下側短手フレーム12a,12bおよび補強フレーム14の上面には、被収納物が載置される底板15が固定されている。本実施形態の収納台車1は、底板15の角部がそれぞれ切欠いて形成され、切欠きを介して上下方向に挿通されている。
【0013】
各コーナ部材13には上下方向に挿通孔が形成され、挿通孔にはそれぞれ円柱状のスペーサ部材16が固定されている(図1図3を参照)。各スペーサ部材16は、コーナ部材13から下側に向かって突出している。各スペーサ部材16の下端には、水平方向に拡開する受け部17が形成されている。
また、図1および図2に示すように、下側短手フレーム12a,12bには外側の側面から連続して上側に向かって突出する下側ストッパ部材18a,18bが一体的に形成されている。下側ストッパ部材18a,18bは、収納台車1が組み立てられたときに、後述する短手側板部51a,51bの下端が下側短手フレーム12a,12bを超えて外側まで回動するのを防止する。また、下側短手フレーム12a,12bの外側の側面には、組み立てられた収納台車1が不用意に折り畳まれないようにロックするロック部材70を有している。ロック部材70は、短手側板部51a,51bの下部に取り付けられた受け部材71との間で解除可能にロックされる。なお、ロック部材70は、後述するロック部材62と同様な構成である。
【0014】
次に、走行部20の構成について説明する。走行部20は、収納台車1に収納された被収納物の荷重を支持しながら走行面を走行する。走行部20は、複数のキャスター21を有している。図4に示すように、本実施形態のキャスター21は、底部10の4隅であって、下側長手フレーム11a,11b、下側短手フレーム12a,12bおよび補強フレーム14の下面にそれぞれ結合された取付板22を介して取り付けられている。取付板22は、上述した底板15の切欠きを閉塞しないように、角部が切欠かれた形状に形成されている。各キャスター21は、取付板22に対して上下方向に沿った旋回軸を中心に旋回することで収納台車1が走行面上を前後左右の任意の方向に走行することができる。
【0015】
次に、上側フレーム部30について図1を参照して説明する。上側フレーム部30は、収納台車1の外形の一部を構成し、収納台車1を折り畳む場合および収納台車1を組み立てる場合の何れでも形状が維持される。上側フレーム部30は、一対の上側長手フレーム31a,31b、一対の上側短手フレーム32a,32b、コーナ部材33、支持部材34などを有している。上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bは、例えばアルミニウム合金製の中空状の角パイプを用いることができる。
【0016】
本実施形態では、上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bは、コーナ部材33により4つの角部で結合することで、矩形状の四方のフレーム枠を構成する。本実施形態では、上側長手フレーム31aの両端とコーナ部材33との間は、それぞれ着脱部60を介して着脱可能に接続されている。この着脱部60の構成については、図12を参照して後述する。また、上側長手フレーム31bとコーナ部材33との間、上側短手フレーム32a,32bとコーナ部材33との間は、例えばリベットなどを用いて結合されている。
なお、上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bは、コーナ部材33を介して結合する場合に限られず、上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bを直接、結合してもよい。
【0017】
各コーナ部材33には上下方向の挿通孔が形成され、挿通孔にはそれぞれ円柱状の支持部材34が固定されている。各支持部材34は、コーナ部材33から上側に向かって突出している。本実施形態では、支持部材34が上側フレーム部30から上側に突出する寸法と、スペーサ部材16が底部10から下側に突出する寸法とを加算した寸法は、キャスター21の上下方向の寸法と略同寸法に設定されている。支持部材34は、作業者が収納台車1を押すときの手掛け部として用いたり、上側に別の収納台車1を積み重ねるときの支持部として用いられる。
また、図1および図2に示すように、上側短手フレーム32a,32bには外側の側板から連続して下側に向かって突出する上側ストッパ部材35a,35bが一体的に形成されている。上側ストッパ部材35a,35bは、収納台車1が組み立てられたときに、後述する短手側板部51a,51bの上側が上側短手フレーム32a,32bを超えて外側まで回動するのを防止する。また、上側短手フレーム32a,32bの外側の側面には、折り畳まれた収納台車1の上側フレーム部30がガタつかないように、上述したロック部材70とロックされる受け部材72が取り付けられている。
【0018】
図5は、図2に示すI−I線を矢印方向に切断した断面図である。
図1および図5に示すように、上側短手フレーム32bは、収納空間50側に位置する組み立て用把手部36を備えている。組み立て用把手部36は、上側短手フレーム32bに上下方向に回動自在に取り付けられたブラケット37と、ブラケット37の先端に取り付けられた把手本体38とを有している。なお、上側短手フレーム32aも同様に、組み立て用把手部36を備えている。
作業者は、折り畳まれた収納台車1を組み立てるときに、一方の手で上側短手フレーム32aの組み立て用把手部36を引き上げ、他方の手で上側短手フレーム32bの組み立て用把手部36を引き上げる。
【0019】
次に、側板部40の構成について図1図3を参照して説明する。側板部40は、収納台車1の外形の一部を構成し、底部10および上側フレーム部30との間で回動することにより、収納台車1の折り畳みおよび組み立てを可能にする。収納台車1が組み立てられた状態では、側板部40は、上側フレーム部30と底部10との間で鉛直方向に配置される。一方、収納台車1が折り畳まれた状態では、側板部40は、鉛直方向から回動され水平方向に配置され、底部10および上側フレーム部30と重なり合う。
【0020】
側板部40は、長手側板部41a,41b、短手側板部51a,51bなどを有している。
長手側板部41a,41bは、底部10と上側長手フレーム31a,31bとの間に配置され、収納台車1の長手方向の側面を閉塞する。長手側板部41aと長手側板部41bとは同一構成であることから、ここでは長手側板部41aの構成について説明する。
長手側板部41aは、上側長手側板42、下側長手側板43を有している。上側長手側板42および下側長手側板43は、上下方向の寸法が同寸法に形成され、前後方向の寸法が収納台車1の前後方向の寸法と略同寸法に形成されている。
上側長手側板42および下側長手側板43は、同一サイズの複数(ここでは4つ)のプレート44が前後方向に直線状に結合されて構成されている。各プレート44は、例えばアルミニウム合金製であって、丸孔が一面に亘って複数穿設されている(いわゆるパンチングメタル)。なお、各図では、丸孔の一部のみを図示している。
【0021】
図5に示すように、上側長手側板42の上端はヒンジ45を介して上側長手フレーム31aに回動可能に連結されている。ヒンジ45は、回動軸が収納空間50側に位置している。
また、下側長手側板43の下端はヒンジ46を介して下側長手フレーム11a(底部10)に回動可能に連結されている。ヒンジ46は、上述した底板15の切欠きを通して下側長手フレーム11aに固定される。ヒンジ46は、回動軸が収納空間50側に位置している。
また、上側長手側板42の下端と下側長手側板43の上端とはヒンジ47を介して回動可能に連結されている。ヒンジ47は、回動軸が収納空間50の外側に位置している。
【0022】
このように構成される長手側板部41aでは、上側長手側板42はヒンジ45の回動軸を中心に回動し、下側長手側板43はヒンジ46の回動軸を中心に回動し、上側長手側板42および下側長手側板43がヒンジ47を介して回動する。したがって、上側長手側板42および下側長手側板43は、収納空間50内で重なり合うように折り畳みが可能である。ここで、上側長手側板42の下端面と下側長手側板43の上端面とは、完全な水平ではなく僅かに傾斜して形成されている。すなわち、下端面および上端面を僅かに傾斜させることで、図3に示すように収納台車1が組み立てられた状態では、上側長手側板42の下端と下側長手側板43の上端とは僅かに収納空間50側に位置する。したがって、収納台車1が組み立てられた状態では、上側フレーム部30の荷重や長手側板部41aの自重によって上側長手側板42と下側長手側板43とは折り畳まれる方向に常に力が作用する。しかしながら、図5に示すように上側長手側板42の長手方向の両側と下側長手側板43の長手方向の両側とは、後述する短手側板部51a,51bに当接している。したがって、意図せずに上側長手側板42と下側長手側板43とが折り畳まれることを防止する。すなわち、図2に示すように、長手側板部41aと直交する方向から見た場合に、長手側板部41aは、短手側板部51aおよび短手側板部51bと当接できるように、短手側板部51aおよび短手側板部51bと重なり合う位置まで前後方向に長く形成されている。そのため、図2では、短手側板部51aおよび短手側板部51bは、長手側板部41aに隠れ、図示されていない。
【0023】
次に、短手側板部51a,51bは、底部10と上側短手フレーム32a,32bとの間に配置され、収納台車1の短手方向の側面を閉塞する。短手側板部51aと短手側板部51bとは同一構成であることから、ここでは短手側板部51bの構成について説明する。
図5に示すように、短手側板部51bは、短手側板52を有している。短手側板52は、上下方向の寸法が長手側板部41aの上下寸法と略同寸法に形成されている。また、短手側板52は、左右両側で長手側板部41a,41bが折り畳まれないように当接して配置されることから、左右方向の寸法が収納台車1の左右方向の寸法よりも僅かに短く形成されている。
短手側板52は、同一サイズの複数(ここでは4つ)のプレート53が上下左右に結合されて構成されている。これらプレート53は、上側長手側板42および下側長手側板43に用いられているプレート44と同一のものである。したがって、プレート44あるいはプレート53が破損した場合には、破損したプレートのみを新たなプレートに交換することができ、修理に掛かるコストを削減することができる。
【0024】
図5に示すように、短手側板52の上端はヒンジ54を介して上側短手フレーム32bに連結されている。ヒンジ54は、回動軸が収納空間50側に位置している。本実施形態のヒンジ54は、水平方向の回動軸が上下に2つ有する2軸のヒンジが用いられている。2軸のヒンジ54を用いることによる効果は、収納台車1の折り畳み方法において後述する。
また、短手側板52は、上下方向における略中央であって収納空間50側に位置する折り畳み用把手部55を備えている。折り畳み用把手部55は、短手側板52に上下方向に回動自在に取り付けられたブラケット56と、ブラケット56の先端に取り付けられた把手本体57とを有している。
【0025】
折り畳み用把手部55は、収納台車1が組み立てられた状態では、上述した組み立て用把手部36の下側に位置し、把手本体57の自重により収納空間50側で略鉛直方向に垂下している。
作用者は、組み立てられた収納台車1を折り畳むときに、一方の手で短手側板部51aの折り畳み用把手部55を引き上げ、他方の手で短手側板部51bの折り畳み用把手部55を引き上げる。なお、本実施形態では、作業者が容易に識別できるように、組み立て用把手部36の把手本体38と、折り畳み用把手部55の把手本体57にそれぞれ異なる色により形成されている。なお、組み立て用把手部36と、折り畳み用把手部55とは、異なる色で形成する場合に限られず、作業者が容易に識別できるように異なる形状により形成してもよい。
【0026】
次に、収納台車1の折り畳み方法について図1図6を参照して説明する。
作業者は、図1に示すように収納台車1が組み立てられた状態からロック部材70と受け部材71との間のロックを解除する。次に、作業者は、一方の手で短手側板部51aの折り畳み用把手部55を引き上げ、他方の手で短手側板部51bの折り畳み用把手部55を引き上げる。
図6は、短手側板部51aおよび短手側板部51bを引き上げている状態を示す正面図である。図6では、長手側板部41a,41bを省略して図示している。
折り畳み用把手部55を引き上げることで、短手側板部51aの下端がヒンジ54を中心にして上側に回動し、短手側板部51bの下端がヒンジ54を中心にして上側に回動する。なお、長手側板部41aと長手側板部41bは、収納空間50側に向かって折り畳まれる方向に力が作用しているが、短手側板部51aおよび短手側板部51bが完全に水平になるまでの途中の状態では、短手側板部51aおよび短手側板部51bに当接されることで折り畳みが妨げられる。
【0027】
図7は、短手側板部51aおよび短手側板部51bを水平になるまで引き上げた状態を示す正面図である。図7では、長手側板部41a,41bを省略して図示している。
作業者は、短手側板部51aおよび短手側板部51bが水平になるまで引き上げることで、短手側板部51aと短手側板部51bとが上下に重なり合う。このとき、短手側板部51aと短手側板部51bとのうち先に引き上げ始めた方が上側に位置し、後から引き上げた方が下側に位置する。
【0028】
図8は、図7の一部拡大図である。図8に示すように、下側に位置する短手側板部51bは上側短手フレーム32bとの間において、ヒンジ54の2軸の回動軸のうち下側の回動軸54bを介して折り畳まれる。一方、上側に位置する短手側板部51aは上側短手フレーム32aとの間において、ヒンジ54の上側の回動軸54aを介して折り畳まれる。このように、2軸のヒンジ54を用いることで対向するヒンジ54の一方が回動軸54aで折り畳まれ、他方が回動軸54bで折り畳まれることで上下に段差を発生させることができ、短手側板部51aと短手側板部51bとをそれぞれ水平に重なり合わせることができる。ヒンジ54の回動軸54aと回動軸54bとの距離は、短手側板52の厚みと略同寸法に形成されている。なお、上側短手フレーム32aと短手側板部51a、上側短手フレーム32bと短手側板部51bは、回動位置が上下に変更できるように回動可能に連結されていればよく、2軸のヒンジ54を用いて回動可能に連結する場合に限られない。例えば、1軸のヒンジを上下に接続させて2軸のヒンジを製造してもよく、2軸のヒンジに代えて板状のゴムなどの弾性体を用いてよい。板状のゴムを用いる場合には、回動位置を上下で任意の位置に変更することができる。
【0029】
短手側板部51aおよび短手側板部51bが水平になるまで引き上げられることで、長手側板部41aと長手側板部41bとは上側フレーム部30の荷重や長手側板部41aおよび長手側板部41bの自重によって、収納空間50側に向かって折り畳まれる。
図9は、長手側板部41aおよび長手側板部41bが折り畳まれている途中の状態を示す斜視図である。このとき、作業者の両手は、各折り畳み用把手部55の把手本体57を保持したままであるために、作業者の手が短手側板部51a,51bや長手側板部41a,41bに挟まれるおそれがなく安全に折り畳み作業をすることができる。
【0030】
図10は、収納台車1が折り畳まれた状態を示す斜視図である。
図10に示すように、図9の状態から長手側板部41aと長手側板部41bとが完全に折り畳まれることで、収納台車1は上から順番に、上側フレーム部30、短手側板部51a,51b、長手側板部41a,41b、底部10が重なり合った状態に折り畳まれる。このとき、作業者が、ロック部材70を受け部材72にロックすることで、上側フレーム部30をガタつかないようにすることができる。
【0031】
このように、本実施形態の収納台車1は、作業者が短手側板部51a,51bを引き上げるという作業だけで、容易に収納台車1を折り畳むことができる。また、収納台車1が組み立てられた状態から折り畳まれるまでの間、上側フレーム部30の上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bは結合され、四方のフレーム枠を維持させた状態のままであることから、折り畳むときの状態を安定化でき、折り畳みの作業性を向上させることができる。また、収納台車1が組み立てられた状態から折り畳まれるまでの間、上側フレーム部30の上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bとの間では可動せず、完全に結合されたままであることから、折り畳むときの状態を安定化させることができる。
【0032】
次に、収納台車1の組み立て方法について図10を参照して説明する。
作業者は、図10に示すように収納台車1が折り畳まれた状態から、一方の手で上側短手フレーム32aの組み立て用把手部36を引き上げ、他方の手で上側短手フレーム32bの組み立て用把手部36を引き上げる。
上側フレーム部30の上昇に応じて、長手側板部41aと長手側板部41bとは折り畳まれた状態から徐々に上側長手側板42と下側長手側板43との間の角度が拡開する。このとき、短手側板部51aおよび短手側板部51bの下端は自重により、ヒンジ54を介して下側に回動する力が作用しているが、長手側板部41aおよび長手側板部41bに当接されることで、その回動が妨げられている。
【0033】
更に、作業者が、組み立て用把手部36を引き上げることで、長手側板部41aと長手側板部41bとは、上側長手側板42と下側長手側板43とが鉛直方向に略直線状に配置される。したがって、短手側板部51aおよび短手側板部51bの下端は、その回動を妨げるものがなくなることで、底部10の下側短手フレーム12a,12bまで回動する。このとき、短手側板部51aおよび短手側板部51bが下側ストッパ部材18a,18bおよび上側ストッパ部材35a,35bに当接することで、短手側板部51aおよび短手側板部51bが外側まで回動するのを防止する。長手側板部41a,41bおよび短手側板部51a,51bが、鉛直方向に配置されることで、図1に示すように収納台車1が組み立てられる。
【0034】
このように、本実施形態の収納台車1は、作業者が上側フレーム部30を引き上げるという作業だけで、容易に収納台車1を組み立てることができる。また、収納台車1が折り畳まれた状態から組み立てるまでの間、上側フレーム部30の上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bは結合され、四方のフレーム枠を維持させた状態のままであることから、組み立てるときの状態を安定化でき、組み立ての作業性を向上させることができる。また、収納台車1が折り畳まれた状態から組み立てるまでの間、上側フレーム部30の上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bとの間では可動せず、完全に結合されたままであることから、組み立てるときの状態を安定化させることができる。
【0035】
次に、収納台車1を上下方向に積み重ねる場合について図11を参照して説明する。図11は、2つの収納台車1を積み重ねた状態を示す側面図である。
図11に示すように、下側の収納台車1は、上側フレーム部30の各支持部材34が積み重ねられた上側の収納台車1の各スペーサ部材16の受け部17を介して支持する。このように、複数の収納台車1を積み重ねることで、収納台車1を保管するときの省スペース化を図ることができる。
【0036】
本実施形態では、支持部材34が上側フレーム部30から上側に突出する寸法と、スペーサ部材16が底部10から下側に突出する寸法とを加算した寸法は、キャスター21の上下方向の寸法と略同寸法に設定されている。したがって、積み重ねられた上側の収納台車1のキャスター21が下側の収納台車1に接触するのを防ぐことができる。また、収納台車1の支持部材34がスペーサ部材16を介して支持することにより、支持部材34のみで構成する場合に比べて支持部材34が上側に突出する量を少なくすることができる。
なお、図11は、折り畳まれた2つの収納台車1を積み重ねる場合について説明したが、この場合に限られず、3つ以上の収納台車1を積み重ねてもよく、複数の組み立てられた収納台車1を積み重ねてもよい。
【0037】
次に、着脱部60について図12を参照して説明する。
本実施形態では、一対の上側長手フレーム31a,31bのうち、上側長手フレーム31aが上側短手フレーム32a,32bに対して着脱部60を介して着脱可能である。本実施形態では、上側長手フレーム31aの両端と、この両端に隣接するコーナ部材33とが着脱部60を介して着脱される。
着脱部60は、第1のロック部61と、第2のロック部66とを有している。第1のロック部61は、ロックした状態では上側長手フレーム31aとコーナ部材33とが引き合う方向に力が加えられる。具体的には、第1のロック部61は、上側長手フレーム31aの外側の側面に取り付けられたロック部材62と、コーナ部材33に取り付けられた受け部材63とを有している。第1のロック部61では、ロック部材62の引っ掛け部64を受け部材63に引っ掛け、操作部材65を一方側に回転させることでロックされる。一方、操作部材65を他方側に回転させることでロック部材62の引っ掛け部64が受け部材63から離れロックが解除される。
【0038】
第2のロック部66がロックした状態では、上側長手フレーム31aはコーナ部材33に対して上側長手フレーム31aの長手方向と直交する方向への動きが規制される。具体的には、第2のロック部66は、上側長手フレーム31aの上面に取り付けられたスライド部材67と、コーナ部材33に形成されスライド部材67の先端が挿入される挿入孔68とを有している。第2のロック部66では、スライド部材67をコーナ部材33に向かってスライドさせることで、スライド部材67が挿入孔68に挿入されロックされる。一方、スライド部材67をコーナ部材33から離間する方向にスライドさせることでロックが解除される。
【0039】
収納台車1では、組み立てられた状態で第1のロック部61および第2のロック部66のロックを解除することにより、上側長手フレーム31aが上側短手フレーム32a,32bに対して離脱する。
図13は、上側長手フレーム31aを離脱させた状態を示す斜視図である。上側長手フレーム31aが離脱することにより、上側長手フレーム31aを収納空間50の外側に引き出すことができる。上側長手フレーム31aを引き出した状態では、上側長手フレーム31aにヒンジ45を介して連結された長手側板部41aも同様に引き出すことができ、収納空間50と外側とを側方から開口させることができる。したがって、収納空間50に対して、開口を介して被収納物を収納したり取り出したりすることができる。すなわち、収納台車1の上側に他の収納台車1が積み重なっている場合でも、容易に被収納物を収納したり取り出したりすることができる。
【0040】
なお、本実施形態の収納台車1は、玉掛けワイヤロープを上側長手フレーム31a,31b、長手側板部41a,41b、底部10に亘って外側から巻き回して吊り上げることができる。この場合でも、上側長手フレーム31a,31bおよび上側短手フレーム32a,32bが4つの角部で結合されているので、上側フレーム部30を補強することなく、吊り上げることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る折り畳み式収納台車(以下、収納台車2という)について図面を参照して説明する。なお、第1の実施形態に係る収納台車1と同様の構成は同一符号を付してその説明を省略する。
図14は、収納台車2を示す斜視図である。本実施形態の収納台車2は、収納空間50を上側から閉塞する蓋部80を備えている。
【0042】
蓋部80は、平板状であって上側フレーム部30と同一の大きさに形成されている。蓋部80の4つの角部には、上側フレーム部30の支持部材34がそれぞれ挿通される挿通孔81が形成されている。また、蓋部80の上面であって、長手方向における両側には把手部82を備えている。把手部82は、上下方向に回動自在に取り付けられたブラケット83と、ブラケット83の先端に取り付けられた把手本体84とを有している。
したがって、作業者は、両手で各把手部82を持ち上げ、蓋部80の4つの挿通孔81に各支持部材34を挿通させながら、蓋部80を上側フレーム部30の上側に重ね合わせることで、収納空間50を蓋部80で閉塞することができる。
【0043】
また、本実施形態の収納台車2は、収納空間50を閉塞した状態の蓋部80を施錠可能に構成されている。具体的には、蓋部80のうち長手方向(前後方向)における両端に、それぞれ係合部材85を有している。各係合部材85は上側短手フレーム32a,32bの外側の側面に取り付けられた受け部材72と係合する。
ここで、係合部材85と受け部材72の構成について図15(a)および図15(b)を参照して説明する。ここでは、上側短手フレーム32a側について説明するが、上側短手フレーム32b側も同様である。
【0044】
図15(a)は係合部材85を係合させる前の状態を示す斜視図であり、図15(b)は係合部材85を係合させて施錠した状態を示す斜視図である。
図15(a)に示すように、係合部材85は、ヒンジ86を介して蓋部80の端部に上下方向に回動可能に連結されている。係合部材85は、平板状の先端部分が断面コ字状に曲って形成される係合部87を有している。また、係合部材85の幅方向における中央にはスリット88が形成されている。スリット88は、係合部87に沿って形成されるが係合部材85の先端までには到っていない。
一方、受け部材72は、係合部材85の係合部87に係合される軸状の被係合部73を有している。被係合部73は、上側短手フレーム32aから隙間G1を介して離間した状態で支持されている。
【0045】
図15(b)に示すように、蓋部80を上側フレーム部30の上側に重ね合わせた状態で、作業者が係合部材85を受け部材72に向かって回動させることで、コ字状の係合部87が被係合部73に嵌まり込み係合される。更に、作業者は、係合部材85のスリット88を通して受け部材72の隙間G1に錠90のフック部91を差し込み施錠することで、係合部材85の上側への回動が防止される。なお、ここでは、錠90としてダイヤル式の南京錠を示しているが、この場合に限られず、その他の錠を用いることができる。
【0046】
なお、収納空間50を閉塞した状態の蓋部80を施錠する構成は上述した場合に限られず、例えば図16に示すような構成であってもよい。
図16(a)に示すように、蓋部80のうち長手方向(前後方向)における両端に、それぞれ蓋側受け部材92が取り付けられる。蓋側受け部材92は、上側短手フレーム32a,32bに取り付けられた受け部材72と同様の構成であって、軸状の蓋側被係合部93を有している。蓋側被係合部93は、蓋部80の端部から隙間G2を介して離間した状態で支持されている。
【0047】
図16(a)に示すように、蓋部80を上側フレーム部30の上側に重ね合わせた状態では、蓋側受け部材92の隙間G2と受け部材72の隙間G1とが上下方向に連通する。なお、蓋側受け部材92は蓋部80の端部にスペーサ94を介して取り付けられるので、受け部材72との接触が防止される。
図16(b)に示すように、作業者は、蓋側受け部材92の隙間G2と受け部材72の隙間G1に錠90のフック部91を差し込み施錠することで、蓋部80が開放されることが防止される。
このように、本実施形態によれば、施錠可能な蓋部80を有することで収納空間50に収納された被収納物の盗難などを防止することができる。
【0048】
以上、本発明を上述した実施形態と共に説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更などが可能であり、上述した実施形態を適宜、組み合わせてもよい。
また、上述した実施形態では、前後方向に長い略矩形状の収納台車1について説明したが、この場合に限られず、前後方向の長さと左右方向の長さが略等しい収納台車であってもよい。
また、上述した実施形態では、底部10にキャスター21を取り付ける場合について説明したが、この場合に限られず、キャスター21を省略することで、折り畳み式収納容器としても用いることができる。
また、上述した実施形態の側板部40には、丸孔が一面に亘って穿設されたプレート44を用いる場合について説明したが、この場合に限られず、孔が穿設されていないプレートであってもよい。具体的には、単に平板状のプレートであってもよく、矩形状や円状の凹凸が板厚方向に形成されたプレートであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1:折り畳み式収納台車 10:底部 16:スペーサ部材 20:走行部 21:キャスター 30:上側フレーム部 31a,31b:上側長手フレーム 32a,32b:上側短手フレーム 34:支持部材 36:組み立て用把手部 40:側板部 41a,41b:長手側板部 42:上側長手側板 43:下側長手側板 44:プレート 50:収納空間 51a,51b:短手側板部 53:プレート 54:ヒンジ 55:折り畳み用把手部 60:着脱部 80:蓋部
図1
図2
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