特許第6944753号(P6944753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944753
(24)【登録日】2021年9月15日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】高温燃焼触媒を用いたバーナー
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/18 20060101AFI20210927BHJP
   F23C 13/08 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   F23D14/18 E
   F23C13/08
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-544939(P2018-544939)
(86)(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公表番号】特表2019-529847(P2019-529847A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】KR2017001988
(87)【国際公開番号】WO2018030604
(87)【国際公開日】20180215
【審査請求日】2020年2月20日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0100637
(32)【優先日】2016年8月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521135762
【氏名又は名称】ソングァン イーアンドテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(72)【発明者】
【氏名】イ キョンウ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ユシク
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−242151(JP,A)
【文献】 特開平06−182201(JP,A)
【文献】 特開昭63−283751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/18
F23C 13/08
B01J 21/00−37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される燃料ガスと空気を混合および分配する混合および分配ユニットと;前記混合および分配ユニットから供給される燃料ガスとの触媒燃焼反応により熱を発生させる燃焼触媒ユニットと;前記混合および分配ユニットと燃焼触媒ユニットとの間を連結したまま、前記燃焼触媒ユニットに進入する燃焼ガスを予備混合する予備混合室と;から構成される高温燃焼触媒を用いたバーナーであって、
前記燃焼触媒ユニットは、内部にチャンバーを有する前後開放型のハウジングと;前記ハウジングの前後面に設置されて、前記燃料ガスがハウジングの後方から前方に通過するようにする打孔板と;前記ハウジングのチャンバーの内部に充填されるペレット型の燃焼触媒と;前記燃焼触媒の触媒燃焼のための熱源を発生させる熱源手段と;を含み、
前記高温燃焼触媒は、
硝酸塩遷移金属、硝酸塩アルカリ土類金属および硝酸塩アルミニウムを含有する金属前駆体溶液を製造する段階と;ヨウ素を蒸留水に撹拌して沈殿溶液を製造する段階と;前記金属前駆体溶液および前記沈殿溶液を混合して、混合溶液を製造する段階と;前記混合溶液を90〜100℃に昇温させ、そして10〜48時間維持させて、沈殿反応させる段階と;前記沈殿反応により形成された沈殿物スラリーを濾過して、前記混合溶液から分離する段階と;前記沈殿物スラリーを水洗する段階と;前記水洗した沈殿物スラリーにある水分を除去するために乾燥する段階と;前記乾燥した沈殿物スラリーに残存する水分を除去するために1,000〜1,500℃で焼成する段階により製造されるものをさらに含む、高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【請求項2】
前記熱源手段は、前記ハウジングの前方に設置されたまま、点火熱により前記高温燃焼触媒を触媒燃焼させる点火ユニットである、請求項1に記載の高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【請求項3】
前記熱源手段は、前記ハウジングの外部を取り囲むように設置されたまま、電気熱により前記高温燃焼触媒を触媒燃焼させる電気炉または電気ヒーターである、請求項1に記載の高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【請求項4】
前記ハウジングの周縁面には、前記高温燃焼触媒の交換のために高温燃焼触媒を引出および引入するための触媒交換ホールが形成され、前記触媒交換ホールは、ネジキャップにより選択的に開閉可能である、請求項1に記載の高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【請求項5】
前記燃焼触媒ユニットに対する燃焼ガス空間速度GHSVが1,000〜30,000h−1であるとき、
前記燃焼触媒ユニットの体積は、1〜1.5リットルであり、
前記高温燃焼触媒の密度は、0.5〜1g/mlであり、
前記高温燃焼触媒の孔隙率(燃焼触媒の全体容積に対する空間容積の比率)は、0.3〜0.5%であるようにして、
前記予備混合室内の圧力に対する前記燃焼触媒ユニットの吐出側の圧力降下率が20%以内になるようにした、請求項1に記載の高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【請求項6】
前記高温燃焼触媒は、気孔が形成された円柱形、六面体型、球形のうちいずれか一つからなる、請求項1に記載の高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【請求項7】
前記高温燃焼触媒は、ヘキサアルミネート系触媒である、請求項1に記載の高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【請求項8】
前記ハウジングは、耐熱材質であるステンレスから構成される、請求項1に記載の高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【請求項9】
前記混合および分配ユニットは、前記燃焼触媒ユニットに向かって燃料ガスおよび空気を送風する送風ファンと;前記送風ファンにより送風される燃料ガスと空気を混合するスタティックミキサーと;から構成される、請求項1に記載の高温燃焼触媒を用いたバーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温燃焼触媒を用いたバーナーに関する。
【0002】
特に、従来、高温燃焼触媒として使用されてきた高価な貴金属触媒の使用を排除する代わりに、相対的に安価な遷移金属素材を用いるにもかかわらず、希薄燃焼/完全燃焼/理論燃焼が可能な高温燃焼触媒を用いたバーナーに関する。
【背景技術】
【0003】
触媒燃焼装置は、可燃性ガスが固体触媒と接触反応して燃焼するように製作されたものであって、燃焼反応が触媒の表面で行われるので、従来の火炎燃焼バーナーに比べて低い温度で燃焼反応が行われ、燃料の濃度が低い場合にも、安定して燃焼反応が行われるので、繊維またはプラスチックのように低い温度の熱を必要とする所で効果的に活用されている。
【0004】
しかしながら、触媒燃焼装置において安定した燃焼反応で高い燃焼効率を得るためには、触媒燃焼反応が直接起こる触媒層の温度を触媒燃焼開始反応温度以上に必ず維持するようにしなければならない。
【0005】
また、触媒燃焼反応は、気体と固体の接触により起こるので、触媒燃焼装置においては、多様な形態で製作される燃焼触媒が可燃性ガスと良好に接触するようにする構造で製作される場合にのみ、燃焼反応が良好に起こり、高い燃焼効率を得ることができる。
【0006】
前述した触媒燃焼装置としては、触媒層の温度維持方法と気体と固体の接触方式によって多様な種類から構成され得るが、その具体的な例として、韓国特許第151641号、韓国特許第254832号、韓国特許第257551号、韓国特許第371208号、韓国特許第392702号および韓国特許第550653号に記述された構造などが知られている。
【0007】
触媒燃焼装置において使用される燃焼触媒は、ハニコム、ペレット、マットなど多様な形態で製作されているが、燃焼熱の利用方法によって燃焼触媒の形態が決定される。すなわち、ハニコム形態の燃焼触媒を用いる触媒燃焼装置は、熱風を主に用いるのに対し、マット形態の燃焼触媒を用いるマット触媒燃焼バーナーは、熱風よりは輻射伝熱形式で熱を用いている。火炎無しに燃焼反応が起こって加熱される物質を触媒バーナーに隣接して設置できるので、マット触媒燃焼バーナーは、燃焼負荷が低いが、伝熱効率に非常に優れている特徴を有する。
【0008】
工場で使用されているマット形態の燃焼触媒を用いた触媒燃焼バーナーは、大部分が拡散方式で燃焼空気が供給されている。この触媒燃焼バーナーは、露出空間で燃焼が行われると、燃焼効率と伝熱効率が非常に高いが、密閉空間では、酸素の供給が円滑でないため、強制的に燃焼空気を供給するか(韓国特許第151641号)、または、あらかじめ燃料と空気が混合されたガスを供給して燃焼させている(韓国特許第371208号)。
【0009】
しかしながら、前述した露出した空間でまたは外部で強制的に空気を供給して燃焼反応が起こるようにする拡散式触媒燃焼バーナーは、酸素の拡散速度により反応速度が支配されるので、燃焼負荷が大きくなると、燃焼効率が低くなって、用途に多くの制限を受けている。
【0010】
それで、マット形態の触媒燃焼バーナーにおいても、ハニコム形態の燃焼触媒を使用する触媒燃焼装置のように、空気と燃料をあらかじめ混合して供給して燃焼させる方式が一部使用されている。このように燃料と空気をあらかじめ混合して供給する予混合触媒燃焼装置は、触媒層の温度が触媒の耐熱温度の範囲で触媒燃焼反応開始温度以上を維持するようにしなければならない。仮に、触媒層の温度が触媒燃焼反応開始温度より低くなると、不完全燃焼反応が起こって、燃焼効率が非常に低くなるか、または燃焼反応が起こらないこととなり、触媒層の温度が非常に高いと、触媒の寿命が短くなる。
【0011】
ハニコム燃焼触媒を使用する一般的な形態の予混合触媒燃焼バーナーは、過剰空気比1.1〜2.0の範囲内で運転されているが、予混合式ファイバーマット触媒燃焼バーナー(韓国特許第371208号)は、触媒を保護するために高い過剰空気比(略3.5〜4.0程度)で運転して、触媒層の温度が耐熱温度以上に上がらないようにしている。
【0012】
また、前述した予混合触媒燃焼バーナーは、高い過剰空気比による速い線速度に起因して触媒燃焼反応が良好に進行されず、そのため、完全燃焼が十分に起こらない。これを克服するためには、燃焼触媒を多く使用して燃料が触媒と多く接触して反応が十分に起こるようにしなければならない。しかし、マット触媒燃焼バーナーの製作において燃焼触媒を多く使用する場合、触媒燃焼バーナーの製作費用の急激な上昇を招くこととなるが、これは、燃焼触媒の購入費用が全体製作費用において非常に高い比重を占めるからである。
【0013】
実際マット形態で製作された燃焼触媒は、白金またはロジウム等のような貴金属を使用するので、価格が高く、バーナーの製作において燃焼触媒を多く使用しなければならないので、マット触媒燃焼バーナーの価格が高くならざるをえない。これにより、マット触媒燃焼バーナーが産業的に広く使用されていないのが現況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の主な目的は、従来、高温燃焼触媒として使用されてきた高価な貴金属触媒の使用を排除する代わりに、相対的に安価な遷移金属素材を用いるにもかかわらず、希薄燃焼/完全燃焼/理論燃焼が可能な高温燃焼触媒を用いたバーナーを提供することにある。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的によって、供給される燃料ガスと空気を混合および分配する混合および分配ユニットと;前記混合および分配ユニットから供給される燃料ガスとの触媒燃焼反応により熱を発生させる燃焼触媒ユニットと;前記混合および分配ユニットと燃焼触媒ユニットとの間を連結したまま、前記燃焼触媒ユニットに進入する燃焼ガスを予備混合する予備混合室と;から構成される高温燃焼触媒を用いたバーナーであって、前記燃焼触媒ユニットは、内部にチャンバーを有する前後開放型のハウジングと;前記ハウジングの前後面に設置されて、前記燃料ガスがハウジングの後方から前方に通過するようにする打孔板と;前記ハウジングのチャンバーの内部に充填されるペレット型の燃焼触媒と;前記燃焼触媒の触媒燃焼のための熱源を発生させる熱源手段と;を含み、前記高温燃焼触媒は、硝酸塩遷移金属、硝酸塩アルカリ土類金属および硝酸塩アルミニウムを含有する金属前駆体溶液を製造する段階と;ヨウ素を蒸留水に撹拌して沈殿溶液を製造する段階と;前記金属前駆体溶液および前記沈殿溶液を混合して、混合溶液を製造する段階と;前記混合溶液を90〜100℃に昇温させ、そして10〜48時間維持させて、沈殿反応させる段階と;前記沈殿反応により形成された沈殿物スラリーを濾過して、前記混合溶液から分離する段階と;前記沈殿物スラリーを水洗する段階と;前記水洗した沈殿物スラリーにある水分を除去するために乾燥する段階と;前記乾燥した沈殿物スラリーに残存する水分を除去するために1,000〜1,500℃で焼成する段階により製造されるものをさらに含む、高温燃焼触媒を用いたバーナーが提供される。
【0017】
好ましくは、前記熱源手段は、前記ハウジングの前方に設置されたまま、点火熱により前記高温燃焼触媒を触媒燃焼させる点火ユニットであってもよい。
【0018】
好ましくは、前記熱源手段は、前記ハウジングの外部を取り囲むように設置されたまま、電気熱により前記高温燃焼触媒を触媒燃焼させる電気炉または電気ヒーターであってもよい。
【0019】
好ましくは、前記ハウジングの周縁面には、前記高温燃焼触媒の交換のために高温燃焼触媒を引出および引入するための触媒交換ホールが形成され、前記触媒交換ホールは、ネジキャップにより選択的に開閉可能に構成され得る。
【0020】
好ましくは、前記燃焼触媒ユニットに対する燃焼ガス空間速度GHSVが1,000〜30,000h−1であるとき、前記燃焼触媒ユニットの体積は、1〜1.5リットルであり、前記高温燃焼触媒の密度は、0.5〜1g/mlであり、前記高温燃焼触媒の孔隙率(燃焼触媒の全体容積に対する空間容積の比率)は、0.3〜0.5%であるようにして、前記予備混合室内の圧力に対する前記燃焼触媒ユニットの吐出側の圧力降下率が20%以内となるようにすることができる。
【0021】
好ましくは、前記高温燃焼触媒は、気孔が形成された円柱形、六面体型、球形のうちいずれか一つからなることができる。
【0022】
好ましくは、前記高温燃焼触媒は、ヘキサアルミネート系触媒であってもよい。
【0023】
好ましくは、前記ハウジングは、耐熱材質であるステンレスから構成され得る。
【0024】
好ましくは、前記混合および分配ユニットは、前記燃焼触媒ユニットに向かって燃料ガスおよび空気を送風する送風ファンと;前記送風ファンにより送風される燃料ガスと空気を混合するスタティックミキサーと;から構成され得る。
【発明の効果】
【0025】
記述された本発明の課題を解決するための手段によれば、貴金属が含まれず、高温で優れた耐久性を有し、比較的安価な遷移金属成分から構成された高温燃焼触媒を使用することにもかかわらず、希薄燃焼/完全燃焼/理論燃焼が可能で、一酸化炭素の発生がほとんどないだけでなく、窒素酸化物(NOx)の発生もほとんどないため、親環境的であり、経済的であり、熱効率が高いという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による高温燃焼触媒を用いたバーナーの構成図である。
図2図1の断面図である。
図3】ハウジングの詳細斜視図である。
図4】本発明による高温燃焼触媒を用いたバーナーの他の構成図である。
図5a】高温燃焼触媒の単位形態を示す図である。
図5b】高温燃焼触媒の単位形態を示す図である。
図5c】高温燃焼触媒の単位形態を示す図である。
図6】本発明による高温燃焼触媒の大量生産製造工程を説明するためのブロック図である。
図7】本発明による高温燃焼触媒の分析結果を示すグラフである。
図8a】本発明による高温燃焼触媒の分析結果を示すグラフである。
図8b】本発明による高温燃焼触媒の分析結果を示すグラフである。
図8c】本発明による高温燃焼触媒の分析結果を示すグラフである。
図9】本発明による高温燃焼触媒の性能実験結果を示すグラフである。
図10】本発明による高温燃焼触媒の性能実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[発明を実施するための最良の形態]
本発明は、供給される燃料ガスと空気を混合および分配する混合および分配ユニットと;前記混合および分配ユニットから供給される燃料ガスとの触媒燃焼反応により熱を発生させる燃焼触媒ユニットと;前記混合および分配ユニットと燃焼触媒ユニットとの間を連結したまま、前記燃焼触媒ユニットに進入する燃焼ガスを予備混合する予備混合室と;から構成される高温燃焼触媒を用いたバーナーであって、前記燃焼触媒ユニットは、内部にチャンバーを有する前後開放型のハウジングと;前記ハウジングの前後面に設置されて、前記燃料ガスがハウジングの後方から前方に通過するようにする打孔板と;前記ハウジングのチャンバーの内部に充填されるペレット型の燃焼触媒と;前記燃焼触媒の触媒燃焼のための熱源を発生させる熱源手段と;を含み、前記高温燃焼触媒は、硝酸塩遷移金属、硝酸塩アルカリ土類金属および硝酸塩アルミニウムを含有する金属前駆体溶液を製造する段階と;ヨウ素を蒸留水に撹拌して沈殿溶液を製造する段階と;前記金属前駆体溶液および前記沈殿溶液を混合して、混合溶液を製造する段階と;前記混合溶液を90〜100℃に昇温させ、そして10〜48時間維持させて、沈殿反応させる段階と;前記沈殿反応により形成された沈殿物スラリーを濾過して、前記混合溶液から分離する段階と;前記沈殿物スラリーを水洗する段階と;前記水洗した沈殿物スラリーにある水分を除去するために乾燥する段階と;前記乾燥した沈殿物スラリーに残存する水分を除去するために1,000〜1,500℃で焼成する段階により製造されるものをさらに含む。
【0028】
[発明を実施するための形態]
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図面上の同じ構成要素については、同じ参照符号を使用し、これらに関する重複した説明は省略する。
【0029】
本発明の実施例は、当該技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は、いろいろな他の形態に変形され得、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。かえって、これらの実施例は、本開示をより忠実で且つ完全にして、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0030】
本明細書で第1、第2等の用語が多様な部材、領域、層、部位および/または構成要素を説明するために使用されるが、これらの部材、部品、領域、層、部位および/または構成要素は、これらの用語により限定されてはならないことは自明である。これらの用語は、特定の順序や上下、または優劣を意味せず、一つの部材、領域、部位、または構成要素を他の部材、領域、部位または構成要素と区別するために使用される。したがって、以下に詳述する第1部材、領域、部位または構成要素は、本発明の教示を逸脱することなく、第2部材、領域、部位または構成要素を示すことができる。例えば、本発明の権利範囲から離脱しないまま、第1構成要素は、第2構成要素と命名され得、同様に、第2構成要素も、第1構成要素と命名され得る。
【0031】
別途定義されない限り、ここに使用されるすべての用語は、技術用語と科学用語を含んで本発明の概念の属する技術分野における通常の知識を有する者が共通して理解しているものと同じ意味を有する。また、通常使用される、辞書に定義されているような用語は、関連する技術の脈絡からこれらが意味するものと一貫した意味を有するものと解釈しなければならず、ここに明示的に定義しない限り、過度に形式的な意味と解釈されてはならないことは理解され得る。
【0032】
任意の実施例が別途具現可能な場合に、特定の工程順序は、説明される順序と異なって行われてもよい。例えば、連続して説明される二つの工程が実質的に同時に行われてもよく、説明される順序と反対の順序で行われてもよい。
【0033】
添付の図面において、例えば、製造技術および/または公差によって、図示された形状の変形が予想され得る。したがって、本発明の実施例は、本明細書に図示された領域の特定の形状に制限されるものと解釈されてはならず、例えば製造過程で招かれる形状の変化を含まなければならない。
【0034】
図1は、本発明による高温燃焼触媒を用いたバーナーの構成図であり、図2は、図1の断面図である。
【0035】
図1および図2に示されたように、本発明による触媒燃焼バーナー100は、混合および分配ユニット110と、燃焼触媒ユニット120および予備混合室130から構成され得る。
【0036】
まず、混合および分配ユニット110は、図2のように、供給される燃料ガスおよび空気を混合および分配する役割をするものであって、ダクト111と、前記ダクト111の内部に設置されて、前記燃焼触媒ユニット120に向かって燃料ガスおよび空気を送風する送風ファン112と、前記送風ファン112により送風される燃料ガスと空気を混合するミキサー113とから構成され得る。
【0037】
ここで、前記ミキサー113は、別途の動き無しに、流体、気体または粉体を均一にミキシングし得る無動力スタティックミキサーが適用され得る。このスタティックミキサーは、スクリュー型の流路が形成されていて、燃料ガスおよび空気がこれを通過しつつ、撹拌作用を起こして、混合が行われる。
【0038】
燃焼触媒ユニット120は、触媒燃焼のためのものであって、触媒燃焼とは、「触媒」という物質を可燃性気体(天然ガス、都市ガスなど)燃料と空気中の酸素を接触・反応させて燃焼させることである。触媒物質は、燃焼するとき、「自分自身は変わらず、燃焼に参加して反応を促進させる助力者の役割」をするが、燃料ガスと酸素を触媒に瞬間的に吸着・反応させた後、熱が発生し、この際に生成された二酸化炭素と水は、瞬間的に触媒から脱離される。このような反応物と生成物の吸着・脱離を繰り返す過程で燃焼が起こることをいう。したがって、触媒による燃焼反応が起こるので、低温・低濃度の燃焼から窒素酸化物(NOx)の生成を大きく低減する効果をもたらす。
【0039】
このような燃焼触媒ユニット120は、内部にチャンバー121aを有する前後開放型のハウジング121と、前記ハウジング121の前後面に設置されて、前記燃料ガスがハウジングの後方から前方に通過するようにする打孔板122と、前記ハウジング121のチャンバー121aの内部に充填されるペレット型の高温燃焼触媒123と、前記高温燃焼触媒123の触媒燃焼のための熱源を発生させる熱源手段124とから構成され得る。
【0040】
ここで、前記燃焼触媒ユニット120の触媒効率を高めるための最適な条件は、前記燃焼触媒ユニットに対する燃焼ガス空間速度GHSVが1,000〜30,000h−1であるというとき、前記燃焼触媒ユニット120の体積は、1〜1.5リットルであり、前記高温燃焼触媒123の密度は、0.5〜1g/mlであり、前記高温燃焼触媒123の孔隙率(燃焼触媒の全体容積に対する空間容積の比率)は、0.3〜0.5%ですることが好ましい。これにより、前記予備混合室130内の圧力に対する前記燃焼触媒ユニット120の吐出側の圧力降下率を20%以内に維持することができることとなる。
【0041】
また、前記ハウジング121は、耐熱材であるステンレスまたはハステロイから構成され得る。ハステロイは、ニッケル−モリブデン−鉄を基本とする合金であって、高温で機械的性質が高く、また、耐酸化性が豊富な特性を有していて、主にガスタービン翼、熱処理火鉢用鋳造物、浸炭用加熱装置などに最も多く使用されており、ステンレスは、溶融温度が1,427〜1,510℃(18クロム鋼)、1,400〜1,454℃(18−8系)であるので、高温で耐える耐熱性に優れている。したがって、高温燃焼する燃焼ユニットのハウジングに適合した素材であると言える。
【0042】
また、前記ハウジング121の周縁面には、図3のように、前記高温燃焼触媒123の交換のために、高温燃焼触媒を引出および引入するための触媒交換ホール121bが形成され、前記触媒交換ホール121bは、ネジキャップ121cにより選択的に開閉可能に構成され得る。
【0043】
したがって、前記高温燃焼触媒123を交換するときは、前記ネジキャップ121cを分離して触媒交換ホール121bを開放した後、ハウジング121の内部にある従来の高温燃焼触媒123を触媒交換ホール121bを介して引き出し、新しい高温燃焼触媒123を引入した後、前記ネジキャップ121cにより触媒交換ホール121bをシールすると、容易に交換作業を行うことができる。
【0044】
前記高温燃焼触媒123は、微粒子形態、すなわちペレット形態からなり、例えば図5a〜図5cのように、円筒形、円柱形、球形、六面体型などからなることができる。これらは、いずれも、気孔123aが形成され得、気孔が形成されると、燃料ガスの拡散防止および差圧を受けないこととなるので、燃料ガスが特定の部位に偏重せずに、一定に通過することとなる。
【0045】
好ましくは、前記ペレットのサイズは、2〜5mmが好適である。ペレットのサイズがこの範囲より大きいと、ペレットとペレットとの間の気孔が大きくなって、燃焼効率が低下し、他方で、ペレットのサイズがこの範囲より小さいと、気孔が小さくなって、燃焼ガスの通過率が低下するので、燃焼触媒ユニット120の点火炎が前記予備混合室130にフラッシュバックされる問題点が発生するので、前記サイズの範囲を遵守しなければならない。
【0046】
参照として、前述した高温燃焼触媒123は、下記の工程を通じて大量で製造され得る。
【0047】
図6は、本発明による高温燃焼触媒の大量生産製造工程を説明するためのブロック図である。
【0048】
図6を参照すると、硝酸塩遷移金属、硝酸塩アルカリ土類金属および硝酸塩アルミニウを含有する金属前駆体溶液が製造される(S110)。硝酸塩遷移金属/アルカリ土類金属/硝酸塩アルミニウムのモル比は、(1−x)/(1−y)/11であり、ここで、xは、0.1〜0.5の範囲の数であり、また、yは、0.1〜0.5の範囲の数であってもよい。硝酸塩遷移金属は、マンガン、コバルト、鉄またはクロムのうち少なくとも一つを含むことができる。アルカリ土類金属は、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウムのうち少なくとも一つを含むことができる。金属前駆体溶液を製造することは、硝酸塩遷移金属、硝酸塩アルカリ金属および硝酸塩アルミニウムを蒸留水に溶解することであってもよい。
【0049】
沈殿溶液が製造される(S120)。沈殿溶液、ヨウ素を蒸留水に撹拌して製造する。沈殿溶液におけるヨウ素の濃度は、金属前駆体溶液における金属前駆体の濃度の12倍であってもよい。
【0050】
金属前駆体溶液および沈殿溶液を混合して(S130)、混合溶液が製造されると、混合溶液を90〜100℃に昇温させ、そして10〜48時間維持させて、沈殿反応が起こるようにする(S140)。混合溶液を沈殿反応させることは、均一溶液沈殿法を用いることができる。
【0051】
沈殿反応により形成された沈殿物スラリーは濾過されて(S150)、混合溶液から分離される。沈殿物スラリーを濾過して分離した混合溶液は、沈殿溶液を製造することにリサイクルされ得る(S155)。沈殿物スラリーを水洗する(S160)。
【0052】
水洗した沈殿物スラリーにある水分を除去するために、乾燥が行われる(S170)。水洗した沈殿物スラリーを乾燥することは、100〜150℃の範囲の温度で乾燥してもよい。
【0053】
乾燥した沈殿物スラリーに残存する水分を除去するために、1,000〜1,500℃で焼成が行われる(S170)。焼成した沈殿物スラリーは、ヘキサアルミネート構造を有し、且つ、5〜150m/gの範囲の比表面積を有することができる。
【0054】
本発明による高温燃焼触媒の製造方法に適用された均一溶液沈殿法は、他の沈殿法とは異なって、工程が簡便であり、大量生産のための工程設計が容易である。一般的な触媒製造方法に広く使用されている共沈法は、触媒を合成するための沈殿剤として炭酸ナトリウム(NaCO)や水酸化ナトリウム(NaOH)等のような塩基性物質を使用し、金属前駆体は、金属硝酸塩などのような酸性物質を使用する。これらの二つの物質の酸中和反応で生成される塩を使用して触媒として用いることとなる。この過程でpH調節が触媒の物性と性能を決定する重要な要素の一つである。しかし、pH調節速度を合わせることは、比較的難しい工程であり、ややこしい工程である。このような工程によって同じ品質の触媒を大量で、そして繰り返して製造することは比較的難しい。
【0055】
本発明による高温燃焼触媒の製造方法に使用された均一溶液沈殿法は、このようなpH調節問題を解決しつつ、大量で、そして繰り返して同じ品質の高温燃焼触媒を製造することができる。均一溶液沈殿法において沈殿剤として使用されるヨウ素は、90〜100℃の間でアンモニア(NH)と炭酸ガス(CO)に分解されて、金属前駆体と反応することとなる。この際、溶液全体で沈殿反応が均一に現れ、pHは、自然的に7を維持することとなる。水酸化ナトリウムなどを沈殿剤として用いた共沈法において、沈殿剤が投入される所だけでまず沈殿反応が局部的に起こって、瞬間的にその部位のみに高いpHが現れるので、強い撹拌が必要であり、均一性を保証することが困難であるので、同じ品質の触媒を生産しにくいという短所がある。他方で、均一溶液沈殿法は、このような問題点を解決することができるので、同じ品質の高温燃焼触媒を比較的容易に生産することができる。
【0056】
濾過および水洗工程で、水酸化ナトリウムなどを沈殿剤として用いた共沈法の場合、沈殿物スラリーの中に残っているソジウム(Na)または硝酸塩などのような不純物を除去しなければならないが、この不純物は、多量の蒸留水で溶解させる場合にのみ除去される。この不純物は、触媒の物性と性能を低下する原因として作用するので、濾過および水洗工程を厳格に実施しなければならない。この際に使用される蒸留水の量が、触媒を合成するときに使用される蒸留水より3〜4倍以上使用される。他方で、均一溶液沈殿法で生成される不純物は、硝酸アンモニウム(NHNO)や未反応のヨウ素であり、この不純物は、少量の蒸留水にも十分に溶解して、除去が容易であり、熱によっても除去が可能である。それで、均一溶液沈殿法は、一般的な共沈法より不純物による触媒の物性および性能低下現象がほとんど現れず、このような工程上の簡便性によって工程費用が少なくて済むことができる。
【0057】
また、沈殿反応が終わった後、濾過工程で生成される廃水の大部分は、未反応されたヨウ素であるから、沈殿剤の役割をする沈殿溶液としてさらに使用が可能である。沈殿反応で過量使用される沈殿溶液のうち前駆体濃度と同じヨウ素だけが沈殿反応に使用され、残りのヨウ素はそのまま残ることとなる。過量のヨウ素を使用する理由は、沈殿反応速度を正反応側に円滑に進行させるためである。それで、沈殿溶液のうち一部だけが使用され、残りはそのまま濾過液として出ることとなる。濾過液に理論的に使用されたヨウ素の量だけを追加して使用すると、さらに沈殿溶液としてリサイクルが可能である。
【0058】
また、水洗工程も、従来の共沈法に比べて簡便である。その理由は、濾過工程後に沈殿物に残った不純物は、反応後に生成された硝酸アンモニウムの形態で残っているが、硝酸アンモニウムも、溶解度が高く、反応に使用された蒸留水の1/2程度のみを使用しても、十分に除去され、乾燥および焼成工程でも完全に除去が可能である。また、ここで生成される少量の廃水も、さらに使用が可能である。それで、本発明の一実施例による高温燃焼触媒の製造方法は、廃棄される廃液がほとんどない無公害の製造方法であると言える。
【0059】
乾燥および焼成工程で、沈殿物スラリーの乾燥は、約100℃で10時間以上進めて、残存の水分を除去する。また、焼成工程では、1,000℃以上で約1時間以上焼成を維持することにより、高温でも性能および耐久性を維持できる高温燃焼触媒が製造され得る。
【0060】
以下、本発明による高温燃焼触媒の製造方法をより詳細に説明する。
【0061】
1.金属前駆体溶液の製造
金属前駆体としてマンガン(Mn)、バリウム(Ba)、アルミニウムを硝酸塩の形態である硝酸塩マンガン(Mn(NO・6HO)、硝酸塩バリウム(Ba(NO)、硝酸塩アルミニウム(Al(NO・9HO)試薬が使用された。高温燃焼触媒の成分比であるマンガン/アルミニウム/バリウムは、1/10/1のモル(molar)比で蒸留水に溶解させる。
【0062】
2.ヨウ素溶液の製造
ヨウ素も、蒸留水に撹拌させて、ヨウ素溶液が製造される。ヨウ素溶液の濃度は、金属前駆体濃度の約12倍とする。
【0063】
3.混合
先立って製造された同じ用量の金属前駆体溶液およびヨウ素溶液は、合成反応器で混合されて、混合溶液が形成される。混合溶液は、均一に十分に撹拌される。
【0064】
4.沈殿反応
合成反応器の温度は、約95℃に昇温し、混合溶液は、24時間以上強く撹拌しつつ、維持される。
【0065】
5.濾過
このような均一溶液沈殿法で沈殿した沈殿物スラリーに残っている硝酸アンモニウムおよび未反応された少量のヨウ素と金属前駆体である不純物および水を除去するために、濾過工程が実施される。ブフナー漏斗にフィルターを設置した後、沈殿物スラリーを投入させて、フィルターにて濾過された沈殿物スラリーと廃液とに分離される。また、廃液は、さらに使用されるヨウ素(金属前駆体の濃度が1Mであれば、ヨウ素も1Mに該当するように添加)を添加して、ヨウ素溶液としてリサイクルされ得る。
【0066】
6.水洗
廃液を分離した後、沈殿物スラリーに少量の蒸留水を通過させることにより、沈殿物スラリーの中に残っている硝酸アンモニウムが除去される。また、ここで生成された廃液も保管して、以後に高温燃焼触媒を製造するとき、さらに水洗工程に投入が可能である。
【0067】
7.乾燥および焼成
不純物および水が除去された沈殿物スラリーの内部に残存する水分を完全に除去するために、約100℃の乾燥オーブンで約10時間以上乾燥工程が行われる。その後、最終商品である高温燃焼触媒を製造するために乾燥した沈殿物スラリーは、1,200℃で約3℃/minの昇温速度で昇温されて、次の約6時間の間維持される。
【0068】
図7は、本発明の一実施例によって製造された高温燃焼触媒を分析した結果を示すグラフである。
【0069】
図7を参照すると、高温燃焼触媒の構造および比表面積、気孔の体積、気孔のサイズなどの物性分析が実施された。高温燃焼触媒の構造を分析するために、X線回折分析器(X−Ray Diffractometer:XRD)が使用された。図7は、高温燃焼触媒の構造を焼成温度別に分析したグラフである。このグラフにおいて高温燃焼触媒の焼成温度を約1,200℃以上で処理した試料がヘキサアルミネート構造を有することが分かる。また、1,000℃で焼成した試料は、完全なヘキサアルミネートを形成せず、一部アルミナ(Al)ピークが観察されることが分かる。
【0070】
表1は、高温燃焼触媒の比表面積および気孔の体積、気孔のサイズを測定するために窒素(N)吸着を用いて計算した結果を示す。高温燃焼触媒の比表面積と気孔の体積は、焼成温度の増加によって急激に減少した。ここで、1,200℃で焼成処理した試料の場合、ヘキサアルミネート構造を有しながらも、比較的高い比表面積および気孔の体積を有することとなった。それで、約1,200℃で焼成処理をすることが、優れた性能を有する高温燃焼触媒の製造条件でありうる。
【0071】
【表1】
【0072】
図8a〜図8cは、本発明の一実施例によって製造された高温燃焼触媒を分析した結果写真である。
【0073】
図8aは、600℃で焼成処理した高温燃焼触媒に対する走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)写真であり、また、図8bおよび図8cは、1,200℃で焼成処理した高温燃焼触媒に対する走査電子顕微鏡写真である。図8aおよび図8bは、20,000倍拡大した写真であり、また、図8cは、100,000倍拡大した写真である。
【0074】
図8a〜図8cを参照すると、焼成処理温度が増加するほど高温燃焼触媒の粒子サイズが大きくなることが分かり、また、1,200℃で焼成処理した高温燃焼触媒は、約100nmの気孔が均一に分布することが分かった。
【0075】
図9および図10は、本発明の一実施例によって製造された高温燃焼触媒の性能実験結果を示すグラフである。
【0076】
高温燃焼触媒のメタン(CH)燃焼性能を分析するために、1/4インチの石英管からなる固定層反応器で燃焼反応実験が進行された。高温燃焼触媒の量は、250mg(粒径:150〜250μm)、メタンの流量は、3ml/min、空気の流量は、90ml/minで実験した。燃焼反応後、生成ガスは、ガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography:GC、Agilent 3000 Micro GC)を用いて分析された。
【0077】
また、触媒比較のために、低温商用燃焼触媒のメタン燃焼性能が比較された。また、水素(H)燃焼性能も一緒に比較された。流量は、メタンと同一に3ml/min、空気の流量も、同一に90ml/minで実験が行われた。
【0078】
図9を参照すると、低温燃焼触媒は、水素は300℃、メタンは550℃で完全燃焼させ、高温燃焼触媒は、水素は550℃、メタンは750℃で完全燃焼させた。
【0079】
図10を参照すると、触媒を使用しない条件で水素を燃焼実験した結果も比較された。その結果、800℃以上の温度でも、水素は完全燃焼が難しいことが分かる。
【0080】
燃焼反応実験の結果でも、高温燃焼触媒は、メタンは750℃以上、水素は550℃以上の温度で燃焼反応を円滑にすることが分かり、完全燃焼/希薄燃焼が可能で、バーナーのように高温を要求しつつ清浄なエネルギーを要求する設備に必要な要素であることが分かる。
【0081】
また、前記燃焼触媒ユニット120の前記熱源手段124は、図1のように、前記ハウジング121の前方に設置されたまま、点火熱により前記燃焼触媒を触媒燃焼させることができる点火ユニットであってもよく、または、これとは異なって、図4のように、前記ハウジング121の外部を取り囲むように設置される電気炉124bまたは電気ヒーター(不図示)から構成されることもできる。
【0082】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明は、これに限定されず、本発明の技術的思想内で当該分野における通常の知識を有する者によりその変形や改良が可能であることが明白である。
【0083】
本発明の単純な変形乃至変更は、いずれも、本発明の範疇に属するものであって、本発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明確になる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10