(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄ノズルから浴槽内に洗浄液を噴霧する洗浄工程を間欠的に複数回、実行するにあたって、洗剤投入口の1回の開作動により、洗浄ノズルと洗剤混合部との間の洗浄管内に対し洗浄ノズルから上流側に洗浄液が連続するように供給し、洗浄管内の洗浄液を洗浄ノズルに向けて順次押し出すことにより、複数回の洗浄工程を実行する浴槽洗浄装置が提案されている(特許文献1)。この浴槽洗浄装置によれば、洗浄工程を複数回、繰り返すことにより、洗浄液が浴槽内に連続して噴霧されるため、浴槽の内壁面と洗浄液との接触時間を長くできる。
【0003】
しかしながら、特許文献1のように複数回の洗浄工程を連続して実行する場合、前回の洗浄工程で浴槽の内壁面に付着させた洗浄液の上に、今回の洗浄工程で噴霧される洗浄液が付着する。そのため、浴槽の内壁面に付着している汚れに直接、洗浄液が付着せず、繰り返し洗浄工程が実行されているにも関わらず、十分な洗浄能力が得られ難い。
【0004】
一方、一度の洗浄運転中に複数回の洗浄工程を実行する場合、洗浄工程間で浴槽内に湯水のみを噴霧するすすぎ工程を設け、洗浄工程後、洗浄液を毎回、洗い流すことも考えられるが、従来の浴槽洗浄装置では、洗浄工程のみで洗剤混合部に洗剤が供給され、すすぎ工程では洗剤混合部に洗剤が供給されず、湯水のみが供給される。そのため、洗浄液を生成する洗剤混合部と洗浄ノズルとが洗浄管で接続されている場合、すすぎ工程の終了時には洗浄管内に湯水のみが滞留している。このようなすすぎ工程後に洗浄工程が実行されると、洗浄工程の初期に洗浄管内に滞留していた湯水のみが浴槽内にまず噴霧され、その後、洗浄液が噴霧される。従って、内壁面に付着した湯水の上に洗浄液が噴霧されるため、内壁面への洗浄液の付着性が低下し、洗浄液が短時間で流れ落ちてしまい、同様に、十分な洗浄能力が得られないという問題がある。それゆえ、すすぎ工程後の洗浄工程で内壁面に十分な量の洗浄液を付着させるためには、洗浄液を噴霧する洗浄工程の時間を長くしなければならず、洗剤の消費量が増加するという問題がある。また、上記のような内壁面に湯水が付着した状態での洗浄液の付着性の低下は、初回の洗浄工程前に内壁面に付着した毛髪やごみを予め洗い流すために、浴槽内に湯水のみを噴霧する予備すすぎ工程を実行した場合でも同様に問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、洗浄性能に優れた浴槽洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
浴槽内に湯水や洗浄液を噴霧する洗浄ノズルと、
洗剤を貯留する洗剤タンクと、
洗剤タンクから供給される洗剤と給湯器から供給される湯水とを混合して洗浄液を生成する洗剤混合部と、
給湯器から洗剤混合部に湯水を供給する湯水供給管と、
湯水供給管を開閉する注湯弁と、
洗剤タンクから洗剤混合部に洗剤を供給する洗剤導入管と、
洗剤導入管を開閉する洗剤弁と、
洗剤混合部と洗浄ノズルとを接続する洗浄管と、
洗浄ノズルから湯水のみを浴槽に噴霧するすすぎ工程及び洗浄ノズルから洗浄液を浴槽に噴霧する洗浄工程を実行する洗浄制御手段と、を備える浴槽洗浄装置であって、
洗浄管は、洗浄工程で洗浄ノズルから噴霧させる洗浄液の噴霧量よりも大きな内容積を有しており、
洗浄制御手段は、すすぎ工程後に洗浄工程が実行される場合、
注湯弁を開弁させるすすぎ工程中、湯水の噴霧を停止させる所定のすすぎ工程の終了タイミングの到達よりも前に洗剤弁を開弁させて、洗浄液を洗浄管に充填させ
、
洗浄液を洗浄管に充填させた後、すすぎ工程の終了より前に注湯弁を開弁させたまま洗剤弁を閉弁させ、湯水のみを洗剤混合部に供給して、洗浄管に充填させた洗浄液を湯水によって洗浄ノズル近傍まで移送させる浴槽洗浄装置が提供される。
【0008】
上記浴槽洗浄装置によれば、すすぎ工程中、湯水の噴霧を停止させる所定のすすぎ工程の終了タイミングの到達よりも前に洗剤弁を開弁させて、洗浄液を洗浄管に充填させるから、すすぎ工程後に洗浄工程が実行される場合、洗浄管に充填されている洗浄液を浴槽内に噴霧させることができる。これにより、洗浄工程初期における浴槽の内壁面への湯水の噴霧量を低減できるから、洗浄液の付着性を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、上記浴槽洗浄装置において、
洗浄制御手段は、すすぎ工程後に洗浄工程が実行される場合、
注湯弁を開弁させるすすぎ工程中、すすぎ工程の開始からの経過時間が湯水の噴霧を停止させる所定のすすぎ工程の終了時間よりも前の所定の充填開始時間に到達すると洗剤弁を開弁させ、
洗剤弁を開弁させた後、経過時間がすすぎ工程の終了時間よりも前の所定の充填終了時間に到達すると
注湯弁を開弁させたまま洗剤弁を閉弁させる。
【0010】
洗浄管の内容積が洗浄工程で噴霧させる洗浄液の噴霧量よりも大きい場合、すすぎ工程で洗剤弁を開弁させて、すすぎ工程終了前に洗浄管に洗浄液を充填させると、洗浄工程で噴霧させる噴霧量以上の洗浄液が洗浄管に充填される。その結果、洗剤の消費量が増加するだけでなく、洗浄工程後のすすぎ工程で洗浄液を洗い流すための湯水の噴霧量も増加する。
【0011】
しかしながら、上記浴槽洗浄装置によれば、すすぎ工程の経過時間がすすぎ工程の終了タイミングである終了時間よりも前の所定の充填開始時間に到達すると洗剤弁を開弁させ、すすぎ工程の終了時間よりも前の所定の充填終了時間に到達すると洗剤弁を閉弁させるから、すすぎ工程後の洗浄工程で噴霧させる噴霧量の洗浄液のみを洗剤混合部から洗浄管に供給できる。
【0012】
また、すすぎ工程の終了時間よりも洗浄工程で噴霧する噴霧量の洗浄液が供給される時間だけ早く洗剤弁を開弁させると、洗浄管の内容積が洗浄工程で噴霧させる洗浄液の噴霧量よりも大きい場合、洗浄管内の洗浄液と洗浄ノズルとの間に湯水が滞留する。その結果、洗浄工程初期において、洗浄液よりも洗浄ノズル側の洗浄管に滞留している湯水が最初に噴霧されてしまい、洗浄液の付着性を低下させる。
【0013】
しかしながら、上記浴槽洗浄装置によれば、洗剤弁を開弁させた後、経過時間がすすぎ工程の終了時間よりも前の所定の充填終了時間に到達すると洗剤弁を閉弁させるから、洗剤弁の閉弁後でも、すすぎ工程の終了時間に到達するまで洗剤混合部に湯水が供給される。従って、すすぎ工程終了までに、洗浄管に供給された洗浄液を洗浄ノズル近傍まで移送させることができる。これにより、洗浄工程初期における湯水のみの噴霧量がさらに低減されるから、洗浄液の付着性を一層向上させることができる。
【0014】
好ましくは、上記浴槽洗浄装置において、
洗浄制御手段は、すすぎ工程後に洗浄工程が実行される場合、
注湯弁を開弁させるすすぎ工程中、すすぎ工程の開始からの湯水の噴霧量が湯水の噴霧を停止させる所定のすすぎ工程の終了量よりも少ない所定の充填開始量に到達すると洗剤弁を開弁させ、
洗剤弁を開弁させた後、湯水の噴霧量がすすぎ工程の終了量よりも少ない所定の充填終了量に到達すると
注湯弁を開弁させたまま洗剤弁を閉弁させる。
【0015】
上記浴槽洗浄装置によれば、すすぎ工程中の湯水の噴霧量がすすぎ工程の終了タイミングである所定の終了量よりも少ない所定の充填開始量に到達すると洗剤弁を開弁させ、洗剤弁を開弁させた後、すすぎ工程の終了量よりも少ない所定の充填終了量に到達すると洗剤弁を閉弁させるから、すすぎ工程後の洗浄工程で噴霧させる噴霧量の洗浄液のみを洗剤混合部から洗浄管に供給できる。
【0016】
また、上記浴槽洗浄装置によれば、洗剤弁を開弁させた後、湯水の噴霧量がすすぎ工程の終了量よりも少ない所定の充填終了量に到達すると洗剤弁を閉弁させるから、洗剤弁の閉弁後でも、すすぎ工程の終了量に到達するまで洗剤混合部に湯水が供給される。従って、すすぎ工程終了までに、洗浄管に供給された洗浄液を洗浄ノズル近傍まで移送させることができる。これにより、洗浄工程初期における湯水のみの噴霧量がさらに低減されるから、洗浄液の付着性を一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、すすぎ工程後に洗浄工程が実行される浴槽洗浄装置において、すすぎ工程で洗浄管に洗浄液を充填させるから、洗浄工程初期における湯水のみの噴霧量を低減でき、浴槽の内壁面への洗浄液の付着性を向上させることができる。また、洗浄工程において洗浄液を過剰に噴霧する必要もない。従って、本発明によれば、高い洗浄性能を有し、洗剤の消費量の少ない浴槽洗浄装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施の形態に係る浴槽洗浄システムの一例を示す概略構成図である。この浴槽洗浄システムは、浴槽1と、浴槽1を自動洗浄するための浴槽洗浄装置4と、湯張り、追焚き及び給湯運転や、洗浄運転時に浴槽洗浄装置4に湯水を供給するための給湯器6と、風呂リモコン10aと、洗浄リモコン10bとを備える。
【0020】
浴槽1の底部には浴槽水を排水するための排水栓2と、浴槽1内へ湯水や洗浄液を噴霧する洗浄ノズル7とが設けられており、浴槽1の内壁側面には、湯張りや追焚きをするための湯水が供給される循環金具(湯張りアダプタ)5が設けられている。排水栓2は、図示しない排水栓駆動部により開閉されるように構成されている。なお、洗浄ノズル7は、浴槽1と別に設けてもよい。
【0021】
給湯器6は、図示しないガスバーナ、給湯熱交換器、風呂熱交換器や、給湯制御回路8を備える。ガスバーナには、ガス供給管78が接続されている。給湯熱交換器には、給水源から上水を供給するための給水管63と、給湯栓65や浴槽洗浄装置4に給湯器6から加熱された湯水を供給する給湯管66とが接続されている。風呂熱交換器には、循環金具5に加熱された湯水を供給する往き管61と、循環金具5から湯水を戻す戻り管62とが接続されている。また、給湯器6内において、戻り管62は、給湯管66から分岐する湯張り用バイパス管が接続されており、湯張り用バイパス管には、湯水の供給を遮断可能な注湯電磁弁や湯水の流量を調節する湯量センサを備えた湯水混合部が介設されている。なお、本実施の形態では、給湯器6はガス式給湯器が用いられているが、電気式給湯器やヒートポンプ式給湯器が用いられてもよい。
【0022】
本実施の形態の浴槽洗浄装置4は、既述した洗浄ノズル7、洗剤を貯留する洗剤タンク41、洗剤タンク41から供給される洗剤と給湯器6から供給される湯水とを混合して洗浄液を生成する洗剤混合部53、給湯器6から洗剤混合部53に湯水を供給する上流側及び下流側の湯水供給管66a,66b、水量制御弁46、温度センサ47、逆流防止部48、洗剤タンク41から洗剤混合部53に洗剤を供給する洗剤導入管44、洗剤導入管44を開閉して洗剤混合部53への洗剤の供給を調節する洗剤弁42、洗剤混合部53で生成された洗浄液を洗浄ノズル7に導く洗浄管43、洗浄制御回路9等を備える。
【0023】
給湯管66は、給湯栓65側と浴槽洗浄装置4側とに分岐しており、浴槽洗浄装置4側に分岐する上流側の湯水供給管66aには、上流側から順に、既述した水量制御弁46、温度センサ47、及び逆流防止部48が設けられている。逆流防止部48は、水量センサ49、注湯弁50、逆止弁51、大気開放弁52等から構成されている。逆流防止部48よりも下流側の湯水供給管66bには、ベンチュリ式の洗剤混合部53が設けられている。なお、本実施の形態の洗浄管43は、後述する洗浄工程で洗浄ノズル7から噴霧される洗浄液の噴霧量よりも大きな内容積を有している。
【0024】
逆流防止部48よりも下流側の湯水供給管66bと接続された洗剤混合部53には、洗剤導入管44と洗浄管43とが接続されており、洗剤導入管44には、洗剤弁42が設けられている。従って、洗剤弁42が開弁された状態で、注湯弁50を開弁して湯水が下流側の湯水供給管66bから洗剤混合部53に供給されると、湯水が洗剤混合部53を通過する際に生じる負圧によって、洗剤と湯水とが混合されて洗浄液が生成され、洗浄管43を通って、洗浄ノズル7から洗浄液が噴霧されて、浴槽1の洗浄が行われる。また、洗剤弁42が閉弁された状態で、同様に注湯弁50を開弁して湯水を下流側の湯水供給管66bから洗剤混合部53に供給すると、洗浄ノズル7から湯水のみが噴霧され、浴槽1の予備すすぎや洗浄すすぎが行われる。このようにベンチュリ式の洗剤混合部53の場合、洗浄に必要な量のみの洗浄液を生成できるため、洗剤の無駄が少ないが、ベンチュリ式の洗剤混合部53の代わりに、洗剤導入管44、洗剤弁42及び湯水供給管66bを接続したタンクを設け、ポンプによって洗浄ノズル7から洗浄液を噴霧させてもよい。
【0025】
図示しないが、給湯制御回路8及び洗浄制御回路9はそれぞれ、CPU、ROM、RAMを備えるマイクロコンピュータから構成されている。給湯制御回路8には、風呂リモコン10a、元ガス電磁弁、比例弁、注湯電磁弁や、給水センサ、湯量センサ等が電気配線を介して接続されている。洗浄制御回路9には、洗浄リモコン10b、洗剤弁42、水量制御弁46、温度センサ47、水量センサ49、注湯弁50、排水栓駆動部等が接続されている。
【0026】
また、給湯制御回路8は、機能的構成手段として、ガスバーナの点消火を制御する点消火制御部、ガスバーナの燃焼量を制御する燃焼量制御部や、所定の給湯運転や湯張り運転を実行するためのプログラム及び各種設定値が格納されたメモリ等を備えている。洗浄制御回路9は、機能的構成手段として、洗剤弁42及び注湯弁50の開閉や水量制御弁46の開度を調節する弁駆動部、温度センサ47で検出される温度に基づいて、異常温度を検出する異常温度検出部、洗浄運転中の各種経過時間を計測するタイマ、洗浄リモコン10bから所定の音声報知を行う報知制御部や、所定の洗浄運転を実行するプログラム及び各種設定値が格納されたメモリ等を備えている。
【0027】
次に、
図2〜
図7を参照して本実施の形態の浴槽洗浄システムにおける洗浄運転について説明する。
図2〜
図4は、洗浄運転における制御動作の一例を示すフローチャートであり、
図5〜
図7は、洗浄運転の各工程における洗浄管43の状態を示す説明図である。この洗浄運転では、予備すすぎ工程→予備すすぎ待機工程→洗浄工程→洗浄待機工程→洗浄すすぎ工程→洗浄すすぎ待機工程→洗浄工程→洗浄待機工程→最終洗浄すすぎ工程の順に各工程が実行されるが、浴槽1の汚れに応じて、予備すすぎ工程や各待機工程を省略してもよいし、洗浄工程及び洗浄すすぎ工程の実行回数を減少あるいはさらに増加してもよい。なお、給湯制御回路8は、給水管63に設けられた給水センサ(図示せず)で検出される流量が所定流量以上になるとガスバーナを点火させ、給水センサで検出される流量が所定流量未満になるとガスバーナを消火させる点消火制御を行うように構成されている。
【0028】
例えば、浴槽1の使用後に、使用者が洗浄リモコン10bの洗浄スイッチ(図示せず)をオン操作すると、排水栓2が開栓され、浴槽1内の浴槽水の排水を開始させるとともに、排水待機時間(例えば、5分間)を計測するためにタイマt0をスタートさせる。排水栓2が開栓されてから所定の排水待機時間に到達すると、洗浄リモコン10bの図示しないスピーカから洗浄運転を開始させる洗浄開始報知がなされ、洗浄運転が開始される(ステップST1〜ST3)。
【0029】
洗浄運転が開始されると、まず予備すすぎ工程が実行される。この予備すすぎ工程では、洗浄制御回路9は、注湯弁50を開弁させ、予備すすぎ時間(例えば、30秒間)を計測するためのタイマt1をスタートさせる(ステップST4)。
【0030】
図示しないが、注湯弁50を開弁させると、給水圧によって給水管63から給湯器6に上水が供給され、給水センサで所定流量以上の流量が検出されると、給湯制御回路8は、ガスバーナを点火させて給湯運転を開始させ、給湯管66から風呂リモコン10aで設定された洗浄用の所定温度の湯水を出湯させる。これにより、上流側の湯水供給管66aに湯水が供給され、洗浄ノズル7から浴槽1内に湯水のみが噴霧される(
図5の(a))。
【0031】
予備すすぎ工程が開始され、タイマt1が予備すすぎ工程の設定されている所定の終了時間よりも前の所定の充填開始時間(例えば、28秒間)に到達すると、注湯弁50を開弁させたままで洗剤弁42を開弁させる(ステップST5〜ST6)。これにより、洗剤混合部53に洗剤及び湯水が供給されて洗浄液が生成され、洗浄管43への洗浄液の充填が開始される(
図5の(b)〜(c))。そして、洗剤弁42を開弁させてから次の洗浄工程で噴霧される洗浄液の噴霧量に相当する所定の充填時間(例えば、1秒間)が経過して、タイマt1が所定の充填終了時間(例えば、29秒間)に到達すると、注湯弁50を開弁させたままで洗剤弁42を閉弁させる(ステップST7〜ST8)。これにより、洗剤混合部53には、湯水のみが供給される。
【0032】
洗剤弁42を閉弁させた後、所定の移送時間(例えば、1秒間)が経過して、予備すすぎ終了時間に到達すると、注湯弁50を閉弁させる(ステップST9〜ST10)。これにより、洗剤混合部53で生成された洗浄液は、洗浄管43を移送時間分だけ洗浄ノズル7側に移送される(
図5の(d))。
【0033】
また、予備すすぎ工程が終了すると、所定の予備すすぎ待機時間(例えば、30秒間)を計測するためのタイマt2をスタートさせる(ステップST10)。これにより、次の洗浄工程前に浴槽1の内壁面に付着した汚れがふやけて、汚れが落ちやすくなる。
【0034】
タイマt2が予備すすぎ待機時間に到達すると、注湯弁50を開弁させ、所定の洗浄液噴霧時間(例えば、1秒間)を計測するためのタイマt3をスタートさせる(ステップST11〜ST12)。これにより、予備すすぎ工程で洗浄管43内に充填された洗浄液が洗浄ノズル7から噴霧される(
図5の(e))。注湯弁50を開弁させてから、タイマt3が所定の洗浄液噴霧時間に到達すると、注湯弁50を閉弁させる(ステップST13〜ST14)。
【0035】
また、洗浄工程が終了すると、上記と同様に、所定の洗浄待機時間(例えば、50秒間)を計測するためのタイマt4をスタートさせる(ステップST14)。これにより、浴槽1に噴霧された洗浄液が汚れに付着し、内壁面から汚れを浮き立たせることができる(
図6の(f))。
【0036】
タイマt4が洗浄待機時間に到達すると、注湯弁50を開弁させ、所定の洗浄すすぎ時間(例えば、30秒間)を計測するためのタイマt5をスタートさせる(ステップST15〜ST16)。これにより、洗浄ノズル7から浴槽1内に湯水のみが噴霧され、浴槽1の内壁面に付着した洗浄液が洗い流される(
図6の(g))。
【0037】
洗浄すすぎ工程が開始され、タイマt5が洗浄すすぎ工程の設定されている所定の終了時間よりも前の所定の充填開始時間(例えば、28秒間)に到達すると、注湯弁50を開弁させたままで洗剤弁42を開弁させる(ステップST17〜ST18)。これにより、洗剤混合部53に洗剤及び湯水が供給されて洗浄液が生成され、洗浄管43への洗浄液の充填が開始される(
図6の(h)〜(i))。そして、洗剤弁42を開弁させてから次の洗浄工程で噴霧される洗浄液の噴霧量に相当する所定の充填時間(例えば、1秒間)が経過して、タイマt5が所定の充填終了時間(例えば、29秒間)に到達すると、注湯弁50を開弁させたままで洗剤弁42を閉弁させる(ステップST19〜ST20)。これにより、洗剤混合部53には、湯水のみが供給される。
【0038】
洗剤弁42を閉弁させた後、所定の移送時間(例えば、1秒間)が経過して、洗浄すすぎ終了時間に到達すると、注湯弁50を閉弁させる(ステップST21〜ST22)。これにより、洗剤混合部53で生成された洗浄液は、洗浄管43を移送時間分だけ洗浄ノズル7側に移送される(
図6の(j))。
【0039】
また、洗浄すすぎ工程が終了すると、所定の洗浄すすぎ待機時間(例えば、20秒間)を計測するためのタイマt6をスタートさせる(ステップST22)。これにより、次の洗浄工程前に浴槽1の内壁面に噴霧された湯水を流れ落とすことができる。
【0040】
タイマt6が洗浄すすぎ待機時間に到達すると、再度、上記と同様にして、洗浄工程及び洗浄待機工程が実行される(ステップST23〜ST27)。これにより、複数回の洗浄工程が実行される場合に、前の洗浄工程で洗浄液が噴霧された浴槽1に湯水のみを噴霧させて洗浄液を洗い流した後、次の洗浄工程で洗浄液が噴霧されるから、浴槽1の汚れに直接、洗浄液を付着させることができる(
図7の(k)〜(l))。なお、既述したように、洗浄工程及び洗浄すすぎ工程をさらに繰り返してもよいし、各工程における時間を変更してもよい。
【0041】
最終の洗浄工程及び洗浄待機工程が終了すると、上記と同様に、注湯弁50を開弁させ、所定の最終洗浄すすぎ終了時間(例えば、90秒間)を計測するためのタイマt9をスタートさせる(ステップST28)。この最終洗浄すすぎ工程では、最終洗浄すすぎ終了時間まで、洗剤弁42は閉弁状態で保持され、湯水のみが洗剤混合部53に供給されて、洗浄管43内に湯水のみが充填された状態で洗浄運転を終了させる(ステップST29)。これにより、洗浄管43には、湯水のみが充填された状態で洗浄運転を終了させることができる(
図7の(m)〜(n))。従って、洗浄運転後に湯張り運転が実行された場合の洗浄ノズル7から浴槽1内への洗浄液の流出を防止できる。タイマt9が最終洗浄すすぎ終了時間に到達すると、注湯弁50を閉弁させるとともに、洗浄リモコン10bのスピーカから洗浄運転を終了させる洗浄終了報知がなされる(ステップST30〜ST31)。
【0042】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、洗浄工程前の予備すすぎ工程や繰り返し洗浄工程が実行される場合の洗浄すすぎ工程において、各すすぎ工程が終了するよりも前に洗剤弁42を開弁させるから、各すすぎ工程の終了時には洗剤混合部53で生成された洗浄液を洗剤混合部53と洗浄ノズル7との間の洗浄管43に充填することができる。これにより、各すすぎ工程の後で実行される洗浄工程初期において、洗浄管43から噴霧される湯水のみの噴霧量が低減されるから、浴槽1の内壁面への洗浄液の付着性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、すすぎ工程で洗浄液を洗浄管に充填させると、すすぎ工程の終了前に洗剤弁42を閉弁させるから、洗剤弁42を閉弁させてからすすぎ工程が終了するまでの間に洗剤混合部53に供給される湯水によって洗浄管43に充填された洗浄液が洗浄ノズル7側に移送される。これにより、さらに洗浄工程初期における湯水のみの噴霧が低減できるから、洗浄液の付着性が一層向上する。特に、洗浄管43の内容積よりも洗浄工程で噴霧させる洗浄液の噴霧量が少ない場合でも、洗浄管43の内容積、洗浄液の噴霧量、すすぎ工程における湯水の噴霧量、並びにすすぎ時間に基づいて、充填開始時間及び充填終了時間を設定することにより、洗浄ノズル7近傍まで洗浄液を移送させることができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、各洗浄工程で噴霧される噴霧量に相当する洗浄液のみを洗浄管43に充填させるから、洗剤を過剰に供給する必要もない。これにより、洗剤の消費量も低減できる。
【0045】
従って、本実施の形態によれば、高い洗浄性能を有し、洗剤の消費量の少ない浴槽洗浄装置を提供できる。
【0046】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、すすぎ工程における洗剤弁42の開閉及び注湯弁50の閉弁をいずれも経過時間によって判定しているが、水量センサ49で検出される湯水の噴霧量によってこれらを判定してもよい。例えば、洗浄制御回路9に水量センサ49で検出される水量の所定時間ごとの積算値を算出する流量積算部を設け、すすぎ工程において、すすぎ工程を開始してからの湯水の噴霧量が所定の充填開始量に到達すると、洗剤弁42を開弁させ、洗剤弁42を開弁させた後、湯水の噴霧量が所定の充填終了量に到達すると洗剤弁42を閉弁させ、さらに洗剤弁42を閉弁させた後、湯水の噴霧量がすすぎ工程の終了タイミングである所定のすすぎ終了量に到達すると注湯弁50を閉弁させてもよい。これによれば、すすぎ工程中に給湯栓65が開栓されて、湯水供給管66aに供給される湯水の流量が変化した場合でも、一定量の洗浄液を洗浄管43の洗浄ノズル7近傍に充填させることができる。
(2)上記実施の形態では、洗浄工程前の予備すすぎ工程、及び複数の洗浄工程間の洗浄すすぎ工程のいずれでも洗浄管43に洗浄液を充填させているが、いずれか一方のすすぎ工程で洗浄管43に洗浄液を充填させてもよい。また、洗浄運転で洗浄工程が3回以上、実行される場合、いずれか1つの洗浄すすぎ工程で洗浄管43に洗浄液を充填させてもよい。
(3)上記実施の形態では、洗浄ノズル7までの湯水の供給は給水圧を利用しているが、浴槽洗浄装置4内に受水タンク及びポンプを設け、ポンプにより湯水を供給してもよい。