(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定のインピーダンスの結果値をインピーダンスの尺度と比較することであって、前記尺度は複数の異なる液体状態及び/又は電解質状態のうちのある状態と関連付けられたインピーダンス値の上限及び下限を規定している、前記測定のインピーダンスの結果値をインピーダンスの尺度と比較すること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
前記置くことは少なくとも4つの電極を置くことを含み、前記測定することは、収集された時間サンプルごとに、前記少なくとも4つの電極のうちの舌組織と接触している電極から選択された異なる電極を対にすることによって、インピーダンスのサンプルを収集することを含む、請求項1に記載の方法。
前記電極を前記口内に保持するための位置決め要素を更に備え、前記位置決め要素は、前記口の内側又は外側の1つ又は複数の解剖学的構造を支持するような形状及びサイズとなっている、請求項15に記載のデバイス。
前記制御装置は、前記舌組織のインピーダンスを測定するために、0.1〜5mAの強度の電流を流すことによって前記少なくとも2つの電極を動作させるように構成されている、請求項15に記載のデバイス。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一部の実施形態の態様によれば、個体(個人)の舌組織のインピーダンスを測定するための方法であって、少なくとも2つの電極を個体(個人)の舌組織と接触させて置くことと、舌組織のインピーダンスを測定することと、を含む、方法が提供される。
【0008】
一部の実施形態では、測定の結果に従って液体−電解質平衡が評価される。
【0009】
一部の実施形態では、置くことは、電極を舌の上側筋肉上に舌中隔を避けて置くことを含む。
【0010】
一部の実施形態では、測定することは、電極を使用して舌組織を刺激することと、刺激に対する組織の応答を記録することと、を含む。6.刺激のパラメータは0.1〜2Vの励起電圧を含む、請求項5に記載の方法。
【0011】
一部の実施形態では、刺激のパラメータは1KHz〜1MHzの周波数を含む。
【0012】
一部の実施形態では、方法は、測定のインピーダンスの結果値を、1つ又は複数の以前に測定されたその個体(個人)の基準値と比較することを更に含む。
【0013】
一部の実施形態では、方法は、測定のインピーダンスの結果値を、複数の試験された個体(個人)から収集した一般的な基準と比較することを更に含む。
【0014】
一部の実施形態では、方法は、測定のインピーダンスの結果値をインピーダンスの尺度と比較することであって、この尺度は複数の異なる液体状態及び/又は電解質状態のうちのある状態と関連付けられたインピーダンス値の上限及び下限を規定している、測定のインピーダンスの結果値をインピーダンスの尺度と比較すること、を更に含む。
【0015】
一部の実施形態では、置くことは、組織が他の舌の部分と比較して高い導電特性を呈する舌の部分上に電極を配置することを含む。
【0016】
一部の実施形態では、置くことは少なくとも4つの電極を置くことを含み、測定することは、収集された時間サンプルごとに、少なくとも4つの電極のうちの舌組織と接触している電極から選択された異なる電極を対にすることによって、インピーダンスのサンプルを収集することを含む。
【0017】
本発明の一部の実施形態の態様によれば、個体(個人)の体液平衡及び電解質平衡の一方又は両方の指標として舌組織のインピーダンスを測定するためのデバイスであって、口内に嵌まって個体(個人)の舌組織と接触するように配置されるようなサイズとなっている、互いから間隔を置いて配設された少なくとも2つの電極と、個体(個人)の体液平衡及び電解質平衡の一方又は両方の指標として舌組織のインピーダンスを測定するために少なくとも2つの電極を動作させるように構成された制御装置と、を備えるデバイスが提供される。
【0018】
一部の実施形態では、デバイスは、少なくとも2つの電極を備える、口内に嵌まるような形状及びサイズとなった要素を更に備える。
【0019】
一部の実施形態では、要素は実質的に平坦である。
【0020】
一部の実施形態では、要素は平坦ではない。
【0021】
一部の実施形態では、要素はPCBである。
【0022】
一部の実施形態では、要素はシリコン・コーティングによって被覆されている。
【0023】
一部の実施形態では、電極は金めっきされている。
【0024】
一部の実施形態では、デバイスは、電極を口内に保持するための位置決め要素を更に備え、この位置決め要素は、口の内側又は外側の1つ又は複数の解剖学的構造を支持するような形状及びサイズとなっている。
【0025】
一部の実施形態では、位置決め要素は、唇の外面に係合するような形状となっている。
【0026】
一部の実施形態では、位置決め要素は保定装置の形状となっている。
【0027】
一部の実施形態では、位置決め要素は、電極が表面に装着されているPCBを、舌に対して中央に配置するような形状となっている。
【0028】
一部の実施形態では、デバイスは、口に挿入可能な要素の遠位側に構成されたハンドルであって、口の外側に延在している使用者が保持するためのハンドルを更に備える。
【0029】
一部の実施形態では、ハンドルは、コンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチのうちの、1つ又は複数の外部デバイスと通信するための、少なくとも1つのポートを備える。
【0030】
一部の実施形態では、ハンドルはワイヤレス通信モジュールを備える。
【0031】
一部の実施形態では、ハンドルはメモリ・コンポーネントを備える。
【0032】
一部の実施形態では、口に挿入可能な要素は、使用終了時に短絡されるヒューズを備える。
【0033】
一部の実施形態では、ハンドルは、ハンドルから切り離されたときに口に挿入可能な要素の少なくとも一部を変形させてその機能を無効にするための機構を備える。
【0034】
一部の実施形態では、デバイスは、個体(個人)の口内に配置されるように構成されている温度センサを更に備える。
【0035】
一部の実施形態では、デバイスは、乳児に使用するためのおしゃぶりに組み込まれており、電極はおしゃぶりの乳首上に装着されている。
【0036】
一部の実施形態では、デバイスは飲料用ボトルに組み込まれており、電極は、ボトルのマウス・ピース及びストローの少なくとも一方上に装着されている。
【0037】
一部の実施形態では、デバイスは犬用骨玩具に組み込まれている。
【0038】
一部の実施形態では、デバイスは馬勒に組み込まれている。
【0039】
一部の実施形態では、デバイスは、電極と使用者の口蓋との間に配置されるように構成されたエア・ブリスターであって、電極を舌組織に向けて押し付けて電極と組織との間の接触を高めるように構成されたエア・ブリスターを更に備える。
【0040】
一部の実施形態では、電極間の間隔は少なくとも20mmである。
【0041】
一部の実施形態では、制御装置は、舌組織のインピーダンスを測定するために、0.1〜5mAの強度の電流を流すことによって少なくとも2つの電極を動作させるように構成されている。
【0042】
一部の実施形態では、制御装置は、少なくとも10個のインピーダンスのサンプルを収集するために、1〜3秒の時間にわたって電極を動作させるようにプログラムされている。
【0043】
一部の実施形態では、デバイスは水分補給パックのマウス・ピースに組み込まれている。
【0044】
一部の実施形態では、請求項13に記載のデバイスと、ユーザ・インタフェースと、通信モジュールと、メモリと、を備える、個体(個人)の体液平衡及び電解質平衡の一方又は両方を評価するためのシステムが提供される。
【0045】
一部の実施形態では、ユーザ・インタフェースは、可視の指示、可聴の指示、及び触覚的指示のうちの1つ又は複数を使用者に提供するように構成されている。
【0046】
一部の実施形態では、表示は電流測定状態を含む。
【0047】
一部の実施形態では、表示は、使用者の液体平衡及び電解質平衡の一方又は両方を含む。
【0048】
一部の実施形態では、表示は操作上の警告を含む。
【0049】
一部の実施形態では、警告は電極の設置不備に関する。
【0050】
一部の実施形態では、通信モジュールは、1つ又は複数の外部デバイスとの有線の又はワイヤレスの通信を提供するように構成されている。
【0051】
一部の実施形態では、通信モジュールは、病院のシステムと通信するように構成されている。
【0052】
一部の実施形態では、1040オームよりも低いインピーダンス値に対して、システムは脱水警告を提供するように構成されており、1350オームよりも高いインピーダンス値に対して、システムは低ナトリウム血症警告を提供するように構成されている。
【0053】
一部の実施形態では、システムは、使用者の舌のインピーダンス・レベルを監視する、及び、それに応じて液体摂取の勧告を生成するように構成されている。
【0054】
一部の実施形態では、システムは、使用者の以前に取得された測定値とその個体(個人)の身体能力レベルとの間の相関に基づいて、使用者のために液体及び/又は食物の摂取の勧告を生成するように構成されている。
【0055】
別様に定義されていない限り、本明細書において用いる全ての技術及び/又は科学用語は、本発明に関連する技術の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施又は試験において、本明細書に記載する方法及び材料と類似又は同等の方法及び材料を用いることができるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に記載する。対立する場合は、定義を含め、特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び例は例示的なものに過ぎず、必ずしも限定的であるように意図されていない。
【0056】
本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実施は、選択されたタスクを、手動で、自動で、又はこれらを組み合わせて、実行又は完了することを伴い得る。更に、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の実際の機器使用及び装備によれば、オペレーティング・システムを使用して、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、又はファームウェアによって、又はこれらの組合せによって、いくつかの選択されたタスクを実施できる。
【0057】
例えば、本発明の実施形態に係る選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップ又は回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施形態に係る選択されたタスクは、任意の好適なオペレーティング・システムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載するような方法及び/又はシステムの例示的な実施形態に係る1つ又は複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティング・プラットフォームなどの、データ・プロセッサによって実行される。任意選択で、データ・プロセッサは、命令及び/若しくはデータを記憶するための揮発性メモリ、並びに/又は、命令及び/若しくはデータを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/若しくは取り外し可能な媒体を含む。任意選択で、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ、及び/又は、キーボード若しくはマウスなどのユーザ入力デバイスも、任意選択で提供される。
【0058】
本発明の一部の実施形態が、添付の図面を参照して、単なる例として、本明細書に記載されている。ここで図面を詳細に具体的に参照するが、示されている詳細は例としてのものであり、本発明の実施形態を例示的に検討することを目的としていることを強調しておく。この点に関して、説明を図面と併せて解釈することにより、本発明の実施形態がどのように実施され得るかが、当業者に明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は、その一部の実施形態では、生体の流体平衡の検出に、より具体的には、排他的にではないが、舌組織の生体インピーダンス測定に基づく体内の流体不平衡及び/又は電解質不平衡の検出に関する。
【0061】
一部の実施形態の態様は、舌組織の生体インピーダンスを測定することに関する。一部の実施形態では、体の水分補給平衡の指標として、舌組織のインピーダンスが測定される。全身の液体不平衡の指標として舌組織のインピーダンスを測定することの潜在的な利点には、例えば表皮上のインピーダンス測定に対する、伝導率の改善が含まれ得る。
【0062】
一部の実施形態では、測定は、試験される個体(個人)の舌の上に電極を置くことを含む。一部の実施形態では、電極の配置及び/又は電極のサイズは、信号対ノイズ比を大きくするように選択される。一部の実施形態では、電極の配置は、組織の導電率レベルに従って、例えば電極を、組織の導電率が比較上著しく低い舌中隔を避けつつ、舌の上側筋肉上に置くことによって、選択される。任意選択で、電極は、舌中隔に対して対称に位置合わせされている。ある例では、2つの電極が使用され、舌の両側に配置されている。一部の実施形態では、電極の配置は、測定に対する舌の移動の効果を低減するように選択される。
【0063】
一部の実施形態は、舌のインピーダンス測定のために構成されたデバイスに関する。一部の実施形態では、デバイスは、使用者の舌と接触して置かれる少なくとも2つの電極を備える。一部の実施形態では、デバイスの少なくとも口に挿入されるように構成されている部分は、口の幾何形状に適合するような形状となっている。任意選択で、口に挿入可能な部分は平坦であり、例えば電極を備えるPCBの形態である。別法として、口に挿入可能な部分は平坦ではなく、例えばおしゃぶりの乳首の形状を備える。一部の実施形態では、デバイスの構造は、歯などの口内の1つ又は複数の解剖学的構造を支持して及び/又は他の様式でこれに係合して、舌に対する選択された解剖学的な位置に電極を配置する並びに/又は使用者の口内での及び/若しくは口から出るデバイスの移動を低減するように、設計されている。
【0064】
一部の実施形態では、電極の解剖学的な位置は、電極が舌の長軸に対して整列されるように選択される。加えて又は別法として、電極の解剖学的な位置は、より低い導電特性を有する組織、例えば舌中隔を避けるように選択される。加えて又は別法として、電極の解剖学的な位置は、使用者が舌を上向きに押したときに電極と舌との間の接触が保証されるように選択される。一部の実施形態では、デバイスは、電極と舌との間に接触が形成されているかどうかを検出するように構成された、1つ又は複数のセンサを備える。任意選択で、センサは、取り付けの力を検出するように構成されている。ある例では、電極を備える要素上に、舌から電極を係脱させ得るこの要素の曲がりを示すために、屈曲センサが置かれる。
【0065】
一部の実施形態では、デバイスの少なくとも一部、例えば口に挿入されるように構成された部分は、使い捨て式である。任意選択で、デバイスは、1つ又は複数の再使用可能な部分を備える。ある例では、電極を備える要素、例えばPCBが、使用後にこの要素をハンドルから切り離して処分できるように、ハンドルに取り外し可能に取り付けられている。任意選択で、新しい電極を備える要素が、次いでハンドルに取り付けられる。一部の実施形態では、デバイスは、1回の使用後に及び/又は選択された回数の使用後に及び/又は所定の時間後に、電極を備える要素に機械的な及び/又は電気的な変化が生じてこれが無効になるように構成されている。かかる変化には、例えば、(例えばハンドルから切り離されたときの)PCBの機械的な変形、ヒューズの短絡、及び/又はデバイスの機能性を制限するのに好適な他の変化が含まれ得る。
【0066】
一部の実施形態は、舌のインピーダンス測定のためのシステムに関する。一部の実施形態では、システムは、マウス・ピースの電極を動作させて舌組織を刺激し、刺激に対する組織の反応を記録するように構成された、制御装置を備える。一部の実施形態では、システムは、例えば電流測定結果及び/又は使用者の履歴を記憶するための、メモリを備える。一部の実施形態では、システムは、可視の及び/又は可聴の及び/又は触覚的な指示を使用者に提供するように構成された、ユーザ・インタフェースを含む。ある例では、ユーザ・インタフェースは、例えば測定デバイスのハンドル上に構成された、電流測定状態及び/又は結果を提示するためのLCDディスプレイを備える。他の例では、ユーザ・インタフェースは、LED表示を含む。一部の実施形態では、システムは、コンピュータ並びに/又はスマートフォン並びに/又はデータの記憶及び/若しくは使用者へのデータの表示に好適な他のデバイスなどの追加のデバイスとの、有線の及び/又はワイヤレスの通信を行うように構成された、通信モジュールを備える。任意選択で、関連するスマートフォンのアプリケーションは、測定されたデータを受信及び使用者に提示する、以前のデータを分析する、将来の状態を(例えば患者の以前に測定されたデータを使用して)予測する、並びに/又は他のデータを使用者に提供するように構成されている。一部の実施形態では、システムは、スマートフォンのアプリケーションを介して起動される、例えば、事前設定されたスケジュール若しくはプログラムに従って及び/又は使用者入力に従って、測定が行われる。
【0067】
一部の実施形態では、システムは、使用者の水分補給状態を監視するように構成されている。任意選択で、システムは、脱水の状態及び/又は低ナトリウム血症の状態に達したか又は近付いたときに、使用者に警告する。一部の実施形態では、システムは、例えば所定のタイミングに従って、使用者に測定を行うことを思い起こさせる。任意選択で、システムは、使用者の水分補給状態を改善するために、使用者が摂取すべき又は逆に回避すべき液体の量を、使用者に勧告する。ある例では、システムによって朝早くに(使用者が何らかの液体又は食物を摂取する前に)測定値が取得され、特定の時間にわたって使用者が摂取すべき液体量の指標が、システムによって生成される。
【0068】
一部の実施形態では、システムは、記録された測定値に基づいて使用者を特徴付けるように構成されている。任意選択で、システムは、電流測定値に基づいて及び/又は以前に取得された使用者のデータに基づいて、飲む若しくは食べるように使用者に勧告する、及び/又は、飲む若しくは食べることを使用者に思い起こさせる。一部の実施形態では、(例えば1日に数回行われた測定の)測定された結果値の分散などの、記録されたデータのパラメータ、及び/又は他のパラメータが分析される。任意選択で、分析に従って、システムは、使用者に勧告される液体量及び/又は液体若しくは食物の摂取のタイミングの指標を生成し、任意選択で、これに応じて行動することを(例えば携帯電話のアプリケーションを介して)使用者に思い起こさせる。一部の実施形態では、システムは、身体活動(例えばランニング又は他の形態の運動)中に得られるインピーダンス測定値を分析する。場合によっては、インピーダンス測定値と能力レベルとの間に相関が存在し得る。任意選択で、この相関に基づいて、システムは水分補給状態を予測し、能力レベルを最適化するために及び/又は脱水若しくは低ナトリウム血症を回避するために、液体及び食物の摂取に関して使用者に勧告する。
【0069】
一部の実施形態では、例えば本明細書に記載するようなデバイス及び/又はシステムを使用して、失神など個体(個人)が置かれている病状に関して、脱水が原因(又は原因の1つ)であるかどうかを評価することができる。ある例では、脱水が失神を引き起こした理由の1つであるかどうかを決定するためのインピーダンス値は、その失神した被験者から得られる。任意選択で、測定されたレベルに従って、治療、例えば使用者に静注を行うべきかどうかについての決定が行われる。
【0070】
一部の実施形態は、舌組織のインピーダンス測定における信号対ノイズ比の制御に関する。一部の実施形態では、電極のサイズ、電極の配置、電極の間隔、電極と組織の結合の様式などのパラメータが、ノイズを低減するように選択される。一部の実施形態では、サンプリング・レート、励起電力、励起周波数、波形、及び/又は他の設定パラメータなどの測定パラメータが、ノイズを低減するように選択される。一部の実施形態では、記録されたデータの分析中にノイズ低減アルゴリズムが適用される。
【0071】
一部の実施形態では、インピーダンスのサンプルは、収集された時間サンプルごとに、総数の電極のうちの2つの異なる電極を対にすることによって収集される。収集されたサンプルごとに異なる電極を対にすること(例えば固定された電極対間でインピーダンスを測定することとは対照的である)のいくつかの潜在的な利点には、舌の上に置かれる電極の実際の個数を増やすことなく電極が接触する組織の表面積が事実上大きくなること、電極と口との間の接触の喪失の検出が容易になること、偽の値の検出が容易になること、及び/又は他の利点が含まれ得る。
【0072】
一部の実施形態では、いくつかの電極対を同時に対にすること、及び各電極対を異なる周波数で駆動することによって、インピーダンスのサンプルが収集される。異なる電極対に対して異なる周波数を使用することの潜在的な利点には、電極が同時に動作しても電極対を容易に分離できるのでインピーダンスの計算が容易になることが含まれ得る。
【0073】
異なる必要性及び/又は母集団に対応するために、例えば本明細書において上記したようなデバイス及び/又はシステムの様々な実施形態を提供できる。例えば、病院での使用を意図するデバイスは、病院のシステムと通信できる。一部の実施形態では、デバイスはバーコード・リーダを備え、これを使用して、例えば、身長、体重、医学的状態、及び/又は患者の水分補給状態を評価するときに考慮される他のパラメータなどの使用者パラメータを、デバイスに自動的に投入することができる。一部の実施形態では、インピーダンスの測定前及び/又は測定中に、(例えば入院したときに使用者が身に着けるブレスレットから)使用者のバーコードがスキャンされ、結果が自動的にアップロードされ使用者の医療記録に記録される。
【0074】
別の例では、乳児の舌のインピーダンスを測定するためのデバイスを、おしゃぶりに組み込んでもよい。他の例では、運動者が使用するデバイスを、飲料用ボトルのマウス・ピース又はストローに組み込んでもよい。一部の実施形態では、デバイスは、ヒト以外の被験体において使用されるように適合されている、例えば、犬が噛む骨に又は馬勒に組み込まれている。
【0075】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその適用において、以下の説明において明記される並びに/又は図面及び/若しくは実施例において例示される、構成要素及び/又は方法の構造及び配置構成の詳細に、必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が、又は様々な様式での実施若しくは実行が、可能である。
【0076】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその適用において、以下の説明において明記される又は実施例によって例示される詳細に、必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が、又は様々な様式での実施若しくは実行が、可能である。
【0077】
本明細書で使用する場合、「近位」という用語は、試験される個体に向かって延在する方向、例えば口の中へと内側に延在する方向を含むことができる。「遠位」という用語は、個体から離れる方に及び口の外側に延在する、反対方向を含むことができる。
【0078】
ここで図面を参照すると、
図1Aは、本発明の一部の実施形態による、体液及び/又は電解質平衡を評価するための一般的な方法のフローチャートである。
【0079】
一部の実施形態では、方法は、舌組織のインピーダンスを測定すること(100)を含む。一部の実施形態では、複数の電極が口の中に舌と接触して置かれ、動作させられて組織を刺激する。一部の実施形態では、刺激に対する組織の反応が記録され、体液平衡及び/又は電解質平衡に関連する指標を提供するために更に分析される(102)。任意選択で、刺激は、使用者に感知されず舌筋の移動を引き起こさない程度に十分に低い強度の電流を含む。任意選択で、電流強度は0.1〜5mA、例えば、0.3mA、4mA、2mA、4.9mA、又はこの間の、より高い、若しくはより低い強度である。
【0080】
一部の実施形態では、測定結果に従って、試験された個体の電解質平衡(又は不平衡)が評価される。ある例では、脱水の状態が検出される。別の例では、低ナトリウム血症の状態が検出される。一部の実施形態では、水分過剰の状態が検出される。任意選択で、測定結果に基づいて、水分不足、正常な水分、及び/又は水分過剰の状態が評価される。
【0081】
一部の実施形態では、舌組織のインピーダンス測定により、全身の液体平衡及び/又は全身の電解質平衡の指標が得られる。例えば外部で皮膚に対して行われる及び他の器官(例えば腕、足)が関与するインピーダンス測定に対する、舌組織のインピーダンスの測定のいくつかの潜在的な利点には、例えば皮膚と比較して舌組織の導電性がより高いこと、測定部位がより小さく局所的であること、(例えば皮膚の減衰効果と比較した場合の)減衰効果の低減、試験の信頼性に寄与し得る比較的均質な組織特性、硬い組織が実質的にないこと、及び体内の液体変化に対して舌組織の反応が比較的速いこと、が含まれ得る。血液が舌の中を循環し、舌組織は他の体の部分のように一般に血液中の液体/電解質平衡によって影響されるので、舌における液体平衡は全身の液体平衡と等しい場合がある。舌のインピーダンス・レベルと体の水のレベルとの間には相関が示されている。
【0082】
図1Bは、本発明の一部の実施形態による、舌組織のインピーダンスと体の電解質濃度との間の関係を示す概略的なグラフである。
【0083】
一部の実施形態では、例えば本明細書に記載するような舌組織のインピーダンス測定は、体の電解質濃度を評価するために行われる。体内の電解質不平衡は、様々な要因、例えば、体液の喪失、不十分な食事、栄養吸収不良、投薬、ホルモンの乱れ、腎臓疾患、心臓疾患、及び/又は他の要因によって、引き起こされ得る。場合によっては、組織のインピーダンスと体の電解質濃度との間に逆の線形関係が存在する−舌組織の刺激に反応して測定される比較的低いインピーダンス値は、体の高い電解質濃度と関連付けられ、逆も成り立つ。
【0084】
図2は、本発明の一部の実施形態による、舌組織のインピーダンスを測定することによって体液平衡及び/又は電解質平衡に関連する指標を提供するための方法のフローチャートである。
【0085】
一部の実施形態では、2つ以上の電極が、口内に舌組織と接触して配置されている(200)。任意選択で、電極は、舌の上縦舌筋上に配置されている。一部の実施形態では、電極は舌中隔をまたいで配置されている。一部の実施形態では、電極の配置は、舌の特定の表面積を覆うように選択される。一部の実施形態では、電極の配置は、信号のばらつき及び/又はノイズを低減するように選択される。一部の実施形態では、電極の配置は、舌の移動による影響が最も小さくなるように選択される。別法として、舌の移動、例えば使用者が舌を上向きに持ち上げることにより、電極が組織と接触する。任意選択で、舌の移動から生じる測定ノイズは、例えば使用される複数の電極対(例えば2、3、4、5、8、12対)から数対のみの電極対(例えば1、2、4、6対)を選択することによって、計算中にフィルタリングされる。
【0086】
一部の実施形態では、電極と組織との間の取り付け強度は、ノイズを低減するように及び/又は組織から電極が係脱しないことを保証するように、選択される。任意選択で、電極と組織との間の結合は、電極が下向きに舌組織へと押し付けられることによって達成される。任意選択で、電極は予め、組織に接触するような形状となっている、例えば電極が置かれる場所における舌組織の湾曲に適合する凹状の又は凸状の表面を備えている。
【0087】
一部の実施形態では、複数の電極、例えば、2、4、6、8、10、12、14、16個、又はより大きい個数の電極が使用される。任意選択で、偶数個の電極が使用される。任意選択で、電極は舌中隔をまたいで分布されており、この結果、電極の半分は舌中隔の左に配置されており、これらと対になる電極は舌中隔の右に配置されている。電極を舌中隔の両側に配置することにより、一部の実施形態では、接触の問題の検出が実現される。一部の実施形態では、電極は、舌の長軸に沿って軸方向の複数の場所に配置されている。任意選択で、軸方向の場所の個数は、舌の長さに従って選択される。
【0088】
一部の実施形態では、励起パラメータが選択される(202)。かかるパラメータは、例えば、励起電圧、周波数、継続時間、及び/又は他の励起パラメータを含み得る。ある例では、励起電圧は0.1〜2V、例えば、0.5V、1V、1.5V、又はこの間の、より高い、若しくはより低い電圧であり、周波数は1KHzから1MHzの間、例えば、20〜70KHz、10〜200KHz、150〜500KHz、400〜800KHz、又はこの間の、より高い、若しくはより低い周波数である。
【0089】
一部の実施形態では、励起波形は正弦曲線である。方形又は三角形などの他の波形も企図される。
【0090】
一部の実施形態では、選択された励起パラメータに従って組織が刺激され(204)、刺激に対する組織の反応が記録される(206)。
【0091】
一部の実施形態では、励起電圧が組織に印加され、出力電流が記録される。任意選択で、出力電流は直列抵抗上で測定される。加えて又は別法として、例えば電極に電流を流すこと及び結果の電圧を測定することを含め、他のインピーダンス測定方法が実行される。任意選択で、結果の電圧を測定するために、追加の電極対が使用される。他の例では、多周波数励起が行われる。
【0092】
一部の実施形態では、複数のサンプル、例えば、5、10、15、25、50、100個、又はこの間の、より大きい若しくはより小さい個数のサンプルが収集される(206)。任意選択で、サンプルは、1〜3秒、2〜5秒、1〜10秒、5〜15秒の時間、又はこの間の、より長い、若しくはより短い時間にわたって収集される。
【0093】
一部の実施形態では、舌組織のインピーダンスが計算される。任意選択で、組織の抵抗及び/又はリアクタンス特性を計算することによって、印加される電圧及び結果の電流に基づいてインピーダンスが計算される。任意選択で、組織の抵抗及び組織のインダクタンス/キャパシタンス特性に従って、インピーダンスが計算される。
【0094】
一部の実施形態では、複数の電極対のインピーダンスの結果値が平均される(212)。任意選択で、電流試験に関する及び/又は行われた複数の試験に関する舌のインピーダンスを表す、単一のインピーダンス値に到達する。
【0095】
一部の実施形態では、インピーダンスの結果値が分析される(214)。一部の実施形態では、液体平衡を判定するためにインピーダンスの絶対値が使用される。加えて又は別法として、液体平衡を判定するために信号の位相が使用される。任意選択で、信号の位相は、細胞外の含水量及び/若しくは細胞内の含水量、並びに/又はこれらの間の比を決定するために使用される。一部の実施形態では、例えば本明細書において更に記載するような、ノイズ低減アルゴリズムが適用される。
【0096】
一部の実施形態では、インピーダンスの結果値が、その個体の基準と及び/又は一般的な基準と比較されて、液体平衡及び/又は電解質平衡に関連した指標が得られる(216)。
【0097】
一部の実施形態では、その個体の基準は、同じ個体から取得された1つ又は複数の以前の舌組織のインピーダンスの測定値を含む。加えて又は別法として、その個体の基準は、舌組織のインピーダンス測定以外の技法によって、例えば、血液検査、尿の色及び/若しくはモル浸透圧濃度の試験、二重エネルギーX線吸収測定法、並びに/又は全身のインピーダンス測定によって評価されるような、その個体のインピーダンス及び/又は液体平衡及び/又は電解質平衡を含む。
【0098】
一部の実施形態では、運動活動中に、例えば、2分、5分、10分、又は他の時間間隔などの時間間隔で、その個体の基準値が収集される。別法として、インピーダンスは連続的に測定される。
【0099】
一部の実施形態では、その個体の基準は、個体の最初の舌組織のインピーダンス測定において行われる初期較正を含む。任意選択で、舌組織のインピーダンスのその個体の較正された基準を得るために、個体は測定の前に(任意選択で所定の時間内に)特定の液体体積を飲むように、及び/又は食物摂取を制限するように指示される。任意選択で、体重、身長、性別、及び/又は年齢などの、その個体のパラメータが考慮される。
【0100】
一部の実施形態では、一般的な基準は、複数の試験された被験者から収集したデータベースを含む。任意選択で、様々な液体及び/又は電解質の身体状態と関連付けられた舌組織のインピーダンスの上限及び/又は下限を含む、インピーダンスの尺度が規定される。場合によっては、個体の液体及び/又は電解質の平衡の、少なくとも近似された指標を決定するために、試験される個体の電流インピーダンスの測定値が、母集団データベースと比較される。任意選択で、体重、身長、性別、年齢などの個体的なパラメータが考慮され、個体は類似の又は同様のパラメータのグループと比較される。
【0101】
一部の実施形態では、一般的な液体平衡指標が必要であり正確度に対する要求が低いとき(例えば重い脱水状態、水分過剰、等)にだけ、母集団データベースへの参照が行われる。任意選択で、使用者の測定値は、複数の使用者から平均した母集団ベースラインと比較される。母集団データベースへの参照は、病院関係の及び/又はスポーツ関係の及び/又は軍需の用途において、有利で有り得る。
【0102】
一部の実施形態では、正確度に対する要求がより高いときに、その個体のデータベースへの参照が行われる。任意選択で、使用者のその個体のベースラインからの小さな偏差でさえも検出される。その個体のデータベースへの参照は、家庭使用の用途において有利で有り得る。
【0103】
一部の実施形態では、インピーダンス測定に基づいて、液体平衡及び/又は電解質平衡の指標が提供される(218)。ある例では、指標は全体的な状態の指標である(例えば、体液レベル及び/又は体の電解質濃度に関して、正常な、正常を超える、正常を大きく超える、正常を下回る、正常を大きく下回ることを示す)。他の例では、提供される指標は、脱水状態である/脱水状態ではない。任意選択で、指標は失われた体の水分のパーセンテージと関連付けられており、例えば、4%未満の体の水分の喪失は許容できると見なされ、5〜9%は正常を下回ると見なされ、10〜15%は危険な低さであると見なされるであろう。
【0104】
一部の実施形態では、指標は、測定された値をルックアップ・テーブルと比較することによって決定される。任意選択で、ルックアップ・テーブルは、その個体の及び/又は母集団に基づく測定値から導出された、測定値及びその対応する水分補給状態を含む。
【0105】
図3A、
図3C、
図3Dは、本発明の一部の実施形態による、舌組織のインピーダンスを測定するための例示的なデバイス300、及び例示的な口内でのデバイスの位置決めを示す。
【0106】
一部の実施形態では、デバイス300は、少なくとも部分的に個体の口に挿入可能な、第1の近位部分302を備える。一部の実施形態では、デバイスは、少なくとも部分的に口の外側に配置されるように構成されている、部分302から遠位の部分である第2の部分304を備える。
【0107】
一部の実施形態では、第1の部分302は、2つ以上の電極306を備える。本明細書に示す例示的な構成では、デバイスは、部分302の長軸308に対して対称に分布された、4対の電極を備える。
【0108】
一部の実施形態では、電極は、口内に嵌まるような形状及び/又はサイズとなった要素に接続され、この要素は電極と組織との間の接触を形成するように構成されている。一部の実施形態では、電極を備える要素は平坦である。別法として、この要素は平坦ではなく、例えばおしゃぶりの乳首の形状を備える。一部の実施形態では、要素は剛性を有する。一部の実施形態では、要素は柔軟である。任意選択で、要素は可撓性を有する。
【0109】
本明細書に示す例では、電極を備える要素はPCB310である。任意選択で、電極は、遠位側に面するPCBの表面312上に配設されて、部分302が口に挿入されるときに舌組織に面するようになっている。一部の実施形態では、PCB310は、細長いストリップ、タブ、及び/又は口内に挿入するための形状及びサイズとなっている任意の他の構成の形状となっている。一部の実施形態では、PCB310は、シリコン又はポリウレタンなどの柔軟な材料で被覆されている。任意選択で、この被覆により導電率が改善される。任意選択で、この被覆により、PCBによる組織の炎症又は擦過などの、舌組織の損傷が低減される。
【0110】
一部の実施形態では、電極を備える要素は、電極(及び/又は電極の配線)が互いに対して所定の間隔及び/又は向きに保持される、任意の構造配置を含む。
【0111】
一部の実施形態では、デバイス300は位置決め要素314を備える。一部の実施形態では、位置決め要素は、口の1つ又は複数の解剖学的構造、例えば、歯、唇、顎、並びに/又は口の内部の及び/若しくは外部の任意の他の部分に係合するように、構成されている。任意選択で、位置決め要素は、電極の遠位側に構成されている。一部の実施形態では、位置決め要素は、口の輪郭の少なくとも一部に係合するような、人間工学に適った形状となっている。一部の実施形態では、位置決め要素314は、電極を口内に配置するように及び/又は電極の位置を口内に維持するように、構成されている。任意選択で、位置決め要素は、PCBを舌に対して中央に配置するように構成されている。一部の実施形態では、位置決め要素は、例えばPCBを下向きに舌表面上へと押し付けることによって、測定中の舌の移動を低減するように構成されている。一部の実施形態では、位置決め要素314は、個体の唇に(例えばおしゃぶりのような様式で)係合するような形状となっている。加えて又は別法として、位置決め要素314は、個体の歯に係合するような形状となっている、例えば保定装置(リテーナー)の形状となっている。任意選択で、位置決め要素314は、唇の輪郭に適合するような形状となっている。任意選択で、位置決め要素314は、歯と唇との間に嵌まるような形状となっている。一部の実施形態では、位置決め要素314は、使用者の唇に密着するための突出部を備える。
【0112】
一部の実施形態では、デバイス300の第2の部分304は、遠位方向に及び少なくとも部分的に口の外側に延在して使用者が取り扱うことになる、ハンドル316を備える。任意選択で、ハンドル316は、使用者が把持するような形状となっている。一部の実施形態では、ハンドル316は、例えば1つ若しくは複数の操作ボタン318(例えばオン/オフ・ボタン)の形態のユーザ・インタフェース、並びに/又は、情報を表示するためのスクリーン320(例えばLCDスクリーン)を備える。任意選択で、スクリーン320はタッチ・スクリーンである。スクリーン上に表示される例示的な情報には、例えば、計算されたインピーダンス値、体液平衡指標、体の電解質平衡、進行中の測定の残り時間、取得されたサンプルの個数、個体的なパラメータ、個体的な結果の履歴、及び/又は任意の他のパラメータが含まれ得る。
【0113】
一部の実施形態では、デバイス300はLED表示326を備える。任意選択で、LED表示は、目で見ることのできる場所に、例えばハンドルに、構成されている。一部の実施形態では、LEDは電流測定状態を示し、例えば、光っていないことはデバイスが次の測定の準備ができていることを意味する。
【0114】
一部の実施形態では、デバイスは、コンピュータ、スマートフォン、病院機器、及び/又は他のデバイスなどの追加のデバイスと通信するための、ポート328を備える。ある例では、ポートはUSBポートを備える。
【0115】
一部の実施形態では、デバイスは、例えば本明細書に記載するようなデバイスとの有線通信を行うように構成されている。加えて又は別法として、デバイスは、(例えばブルートゥース接続を介して)ワイヤレス通信を行うように構成されている。
【0116】
一部の実施形態では、ハンドル316は、バッテリ(本明細書は示されていない)を収容している。一部の実施形態では、ハンドル316は、メモリ・コンポーネント、例えばマイクロSDカードを収容している。
【0117】
一部の実施形態では、使用時、電極は、舌の上縦舌筋322に接触するように配置されている(舌の解剖学的構造を示す
図3Bを参照)。一部の実施形態では、電極は舌中隔324を横切って配置されている。一部の実施形態では、電極は組織の導電特性に従って配置されている−例えば、舌中隔は、比較的低い導電率を呈する組織を備えているため避けられる。一部の実施形態では、電極は、舌の長軸を基準として分布されている。任意選択で、電極のうちの少なくともあるものは後側の位置に置かれており、少なくともある電極は舌の前側の位置(すなわち唇のより近く)に置かれている。任意選択で、舌の側縁部及び/又は舌の前端部は避けられるが、その理由は、これらの部分における組織が均一でない、及び/又は信頼できるインピーダンス測定を提供するには脂肪が少な過ぎるからである。一部の実施形態では、電極は筋組織の場所にのみ配置されている。
【0118】
一部の実施形態では、1つ又は複数の電極は、舌に下側の位置から接触するように置かれている。任意選択で、舌の下側に係合するように構成されたデバイスにおいて、電極を舌に結合させるために及び電極と組織との間の接触を保証するために、例えばファスナの形態の要素を設けてもよい。
【0119】
一部の実施形態では、1つ又は複数の電極が、唇の内面上に置かれている。
【0120】
一部の実施形態では、口の第1の解剖学的な部分内に少なくとも1つの電極が置かれ、口の第2の解剖学的な部分上に少なくとも1つの電極が置かれ、例えば、第1の電極が舌上に配置され、第2の電極が唇の内面上に配置される、第1の電極が舌の上面上に配置され、第2の電極が舌の下面上に配置される、及び/又は他の組合せ、である。任意選択で、ノイズ低減アルゴリズムは、電極の解剖学的な位置に従って選択される。
【0121】
一部の実施形態では、電極をその選択された組織の位置に一時的に保持するために、圧力を加えるなどの機械的手段が使用される。
【0122】
本発明の一部の実施形態に係る、デバイスの更なる態様が、
図3C及び
図3Dの等角図に示されている。一部の実施形態では、少なくとも部分的に個体の口に挿入されるように構成されている部分302は、使い捨て式であり、ハンドルから切り離すこと及び交換することができる。一部の実施形態では、ハンドル316は、部分302を解放するためのスイッチ330を備える。
【0123】
一部の実施形態では、デバイスがある人から別の人に移される場合、部分302が交換される。一部の実施形態では、部分302は毎使用後に交換される。加えて又は別法として、部分302は定期的に、例えば、選択された使用回数後に、及び/或いは、特定の時間、例えば、毎週、毎月、毎年、又はこの間の、より長い、若しくはより短い時間の後で、交換される。
【0124】
一部の実施形態では、デバイスは、デバイスの一個体での使用及び/又はそれ以外の限定された使用(例えば1回の使用)を保証するための、1つ又は複数の機構を備える。かかる機構には、例えば、使用終了時に短絡される(任意選択でPCBに埋め込まれた)ヒューズ、PCBの機能に影響する、ハンドルからの取り外し中の(例えば一部を切り欠くことによる及び/若しくは穴をパンチングして配線を切断することによる)PCBの機械的変形、並びに/又は他の機構が含まれる。
【0125】
一部の実施形態では、デバイスを経時的に使用して、将来の液体及び/又は電解質の不平衡の予測を可能にすることができる。任意選択で、デバイスは、使用者の脱水及び/又は他の状態に至る液体及び/又は電解質の不平衡と前もって関連付けられたレベルを検出すると、その特定の使用者に通知する。
【0126】
図4A〜Bは、本発明の一部の実施形態による2つの例示的な電極構成を示し、
図4Cは、本発明の一部の実施形態による、インピーダンスの計算の目的で(
図4Bの構成を使用して)電極を対にすることを示す、例示的な表である。
【0127】
本明細書に示す例示的な構成では、
図4Aは4つの電極を含む構成を示し、
図4Bは8つの電極を含む構成を示す。より小さい、中間の、又はより大きい個数の電極を使用してもよいことが留意される。
【0128】
一部の実施形態では、電極400は、PCB402の長軸404に対して対称に配置されている。別法として、電極は非対称に配置されている。一部の実施形態では、電極は、組織の導電特性が比較的均質である舌の部分に接触するように、例えば、腱などの筋組織以外の組織を備える部分を避けて、配置されている。一部の実施形態では、電極は、舌408の側縁部から距離406だけ離れて配置されている。一部の実施形態では、電極は、少なくとも20mm、少なくとも10mm、少なくとも5mm、少なくとも30mmの間隔、又はこの間の、より長い、若しくはより短い間隔だけ、互いに離間されている。任意選択で、距離は、最適な信号対ノイズ比を提供するように選択される。
【0129】
一部の実施形態では、PCB402上の電極400の個数及び/又は配置及び/又はサイズは、インピーダンス測定の信号対ノイズ比を改善するように選択される。ノイズは、電子的なデジタルのノイズ、電極と舌組織との間の緊密でない結合が引き起こすノイズ、舌に対する電極の位置合わせ不良が引き起こすノイズ、及び/又は他のノイズの発生源、のうちの1つ又は複数によって影響される場合がある。
【0130】
一部の実施形態では、ノイズを低減するために、使用者は、飲食後に特定の時間(例えば1分、5分、10分、30分又はこの間の、より長い、又はより短い時間)だけ待機し、その後初めて測定を行う。一部の実施形態では、口にどのような食物又は飲料の残滓も存在しないときに測定が行われる。一部の実施形態では、使用者は、デバイスを口の内側に置く前に、舌表面をぬぐってもよい。
【0131】
図4Dは、本発明の一部の実施形態による、舌のインピーダンスのサンプルを収集するための一般的な方法のフローチャートである。
【0132】
一部の実施形態では、総数のn個の電極、例えば少なくとも2つの電極、少なくとも4つの電極、少なくとも8つの電極、少なくとも12個の電極、又はこの間の、より大きい、若しくはより小さい個数の電極が、舌組織と接触して置かれる(420)。一部の実施形態では、インピーダンスのサンプルは、収集された時間サンプルごとに、総数の電極から選択された2つの異なる電極を対にすることによって収集される(422)。例えば、
図4Cの表に示すように、合計8つの電極のうちの2つの電極の組から、時間サンプル(表中のs1、s2、s3等を参照)が計算される。上記した様式で(すなわち、時間サンプルごとに異なる電極を対にして)データを収集することの潜在的な利点には、電極によって覆われる有効な組織領域のサイズが実質的に大きくなって、ノイズを均すことが可能になり、一方で、使用される電極の実際の個数は、電極の組合せの間ではなく固定された電極対間でのみインピーダンスを計算した場合に必要となるであろう電極の個数よりも少ないことが含まれ得る。固定された(又は常に同じ)電極対間ではなく電極対の組合せの間でインピーダンスが測定及び計算される、本明細書において上記したような方法の別の潜在的な利点には、(例えば、電極が誤って置かれている、例えば舌中隔の上に配置されている結果として生じる)例外的な及び/又は偽の値を、より容易に識別することが含まれ得る。別の潜在的な利点には、電極の位置合わせ不良及び/又は組織との接触の喪失が含まれ得る。
【0133】
一部の実施形態では、電極のサイズは、覆われる必要のある合計組織表面積に従って選択される。ある例では、電極は、6mm
2から22mm
2の間の接触表面積410、例えば、10mm
2、15mm
2、20mm
2、又はこの間の、より大きい、若しくはより小さい接触表面積を備える。
【0134】
一部の実施形態では、電極の組織に接触している部分は、非腐食性の材料、例えば金及び/又はプラチナを含む。
【0135】
一部の実施形態では、
図4Cの例示的な表に示すように、電極の組合せには、舌の長軸(例えばs5〜s20を参照)に沿って電極を対にすること、及び/又は、舌の水平軸(例えばs1〜s4を参照)に沿って電極を対にすることが含まれる。
【0136】
以下ではノイズを低減するために行われる例示的な計算について記載しており、かかる計算を行うために他の方法及び/又は他の条件及び/又は他のパラメータを使用してもよいことが留意される:
【0137】
舌の長軸に沿って組織が均質であると仮定すると、及びサンプルが独立的なものであると仮定すると、位置決めに関連するノイズは、n個の電極にわたって平均したとき√nで低減されるはずである。
【0138】
単一の時間サンプルに対する平均インピーダンスの結果値は以下の通りである:R=average(S5…S20)。例外値を識別するために、以下の条件が存在する場合のみ、各時間サンプルが考慮に置かれる:
MAX(ABS((S
5…S
20)−R))<MIN(R*th,STD(S
5…S
20)*4)
上式で「th」は、平均Rから7%の偏差限度を規定する、デフォルト値=0.07である閾値パラメータである。中間の、より小さい、又はより大きい閾値を適用してもよいことが留意される。
【0139】
一部の実施形態では、舌に対する電極の位置に従って、ノイズのアルゴリズムが選択される及び/又は修正される。ある例では、電極が下側の位置に配置されているとき、測定された信号は上側の位置に配置された電極と比較してノイズがより多い場合があり、ノイズ低減アルゴリズムを適用するときに異なる閾値が使用され得る。
【0140】
図5は、本発明の一部の実施形態による、体内の液体平衡及び/又は電解質平衡に関連する指標を提供するために、舌組織のインピーダンスを測定するためのシステムのブロック図である。
【0141】
一部の実施形態では、システムは、制御装置500、マウス・ピース502、ユーザ・インタフェース504、及び任意選択で通信モジュール506、及び/又はメモリ508を備える。
【0142】
一部の実施形態では、マウス・ピース502は、個体の口内に配置可能かつ舌組織に接触するように構成された、複数の電極を備える。
【0143】
一部の実施形態では、制御装置500は、マウス・ピース502の電極を動作させて組織を刺激するように構成されている。一部の実施形態では、制御装置500は、測定結果を記録及び/又は分析するように構成されている。任意選択で、所定のプロトコルに従って電極の動作が実行される。
【0144】
一部の実施形態では、励起信号用の第1のチャネル及び刺激に反応した電流をサンプリングするための第2のチャネルを備えるアナログ電子回路を介して、電極の動作が行われる。一部の実施形態では、回路は、入力チャネル(電極対)を選択するためのマルチプレクサを備える。
【0145】
一部の実施形態では、測定結果はメモリ508に記憶される。任意選択で、メモリ508は、使用者の前の測定結果、使用者情報、動作プロトコル、及び/又は他のデータなどの、追加のデータを記憶するように構成されている。ある例では、メモリはマイクロSDカードを備える。任意選択で、メモリは使用者がアクセス可能であり、例えば結果をコンピュータ、スマートフォン、及び/又は他のデバイスに移すために、デバイスから取り外し可能である。
【0146】
一部の実施形態では、測定結果、電流測定状態、個人的なデータ、及び/又は他の情報が、ユーザ・インタフェース504を介して使用者に伝えられる。一部の実施形態では、ユーザ・インタフェースは、スクリーン・ディスプレイ、例えばLCDディスプレイを備える。任意選択で、ディスプレイは、デバイスのハンドルに組み込まれている。一部の実施形態では、ユーザ・インタフェースは、使用者への視覚的な及び/又は可聴の及び/又は触覚的な指示及び/又は他の指示を含む。可視の指示には、例えば、電流測定状態及び/又は液体平衡状態を示すLEDが含まれ得る。可聴の指示には、例えば、測定状態(例えば測定が完了したこと及び口からマウス・ピースを取り外すことができること)を示すビープ音が含まれ得る。触覚的な指示には、例えば、測定状態を示すためのハンドルの振動が含まれ得る。
【0147】
一部の実施形態では、ユーザ・インタフェースは使用者に、その時点のマウス・ピースの位置について、例えば電極の設置に不備がある、バッテリが切れかかっている、と警告を発して通知する、及び/又は、他の操作関係の通知を提供するように、構成されている。
【0148】
一部の実施形態では、通信モジュール506は、コンピュータ、スマートフォン、マートウォッチ、病院機器、及び/又は他のものなどの追加のデバイスへの、有線の及び/又はワイヤレスの通信を提供するように構成されている。
【0149】
一部の実施形態では、システムは、液体平衡及び/又は電解質平衡以外の指標、例えば温度の指標を提供するように構成されている。一部の実施形態では、マウス・ピースは温度センサを備える。温度の指標は、液体/電解質平衡と一緒に提供されると、個体の平衡を診断するときに利点をもたらし得る。加えて又は別法として、マウス・ピースはPHセンサを備える。加えて又は別法として、マウス・ピースはパルス・オキシメータを備える。
【0150】
図6A〜Cから
図9の以下の説明は、様々な母集団用に設計された舌のインピーダンス測定デバイスの例について記載している。
【0151】
図6A〜Cは、本発明の一部の実施形態による、乳児の舌組織のインピーダンスを測定するためのデバイスを示す。
【0152】
一部の実施形態では、デバイス600は、赤ん坊及び子供の液体及び/又は電解質の平衡を示すために使用されるように、おしゃぶりの形状となっている。一部の実施形態では、複数の電極602は、おしゃぶりの乳首604の中に組み込まれている。任意選択で、乳首は、1つ又は複数の温度センサ606を更に備える。
【0153】
一部の実施形態では、乳児の唇に押し付けられるガード608は、測定結果及び/又は測定状態を示すための、スクリーン・ディスプレイ610を備える。一部の実施形態では、ガード608は、例えばデータをコンピュータに移すために、おしゃぶりを異なるデバイスに接続するための、ポート612を更に備える。
【0154】
図7A〜Bは、本発明の一部の実施形態による、飲料用ボトルに組み込まれた、舌組織のインピーダンスを測定するためのデバイスを示す。
【0155】
一部の実施形態では、複数の電極700が、飲料用ボトル702のマウス・ピースに組み込まれている。一部の実施形態では、電極は、個体の口に挿入されたときに舌に接触するように構成されている、ストロー状の要素704上に配置されている。一部の実施形態では、キャップ706(及び/又はボトルの他の部分)は、測定結果及び/又は測定状態を示すための、スクリーン・ディスプレイ708を備える。一部の実施形態では、キャップ706は、1つ又は複数の起動ボタン710を備える。一部の実施形態では、キャップ706は、追加のデバイスに接続するための、ポート712を備える。
【0156】
一部の実施形態では、センサ714は、ボトル内の液体の量を検出するために、ストロー704の長さに沿って構成されている。センサ714は、電極700などの電極、及び/又は、液体の存在を検出するように構成された任意の他のセンサを含み得る。
【0157】
例えば本明細書に記載するような飲料用ボトルは、軍需用途、及び/又は運動用途、及び/又は水分補給状態の仔細な経過観察が必要若しくは有利である任意の他の用途にとって、特に有利であり得る。
【0158】
一部の実施形態では、例えば本明細書において上記したような舌組織のインピーダンスを測定するためのデバイスが、水分補給パック及び/又は任意の他の個体用携帯型水分補給システムの、マウス・ピースに組み込まれている。
【0159】
図8A〜Bは、本発明の一部の実施形態による、例えば馬勒(
図8A)に、又は犬用骨玩具(
図8B)に組み込まれた、ヒト以外の被験体の舌組織のインピーダンスを測定するためのデバイスを示す図である。任意選択で、電極800は、動物の舌に接触するようにして、動物の口の中に置かれる。任意選択で、測定時、動物の飼育者が動物の口内にデバイスを保持する。加えて又は別法として、馬勒などの支持要素が使用される。
【0160】
図9は、本発明の一部の実施形態による、様々な生理的状態(食べること、飲むこと、ランニング)における例示的な舌組織のインピーダンス値を示すグラフである。
【0161】
様々な要因が体液及び/又は電解質平衡に影響する。
図9のグラフは、生理的状態と、その状態と関連付けられた舌組織のインピーダンス値との間の関係を提示している。
【0162】
例えば、ランニング(900)などの肉体運動は、体の水分並びに/又はナトリウム(及び/若しくは他の電解質)の、一方又は両方の喪失を引き起こす場合がある。組織の導電性は、各々が減少する程度に依存し得る。飲むとき(902)、電解質濃度が低下し、組織のインピーダンスの上昇がもたらされる。食べるとき(904)、電解質濃度が上昇し、組織のインピーダンスの低下がもたらされる。
【0163】
図10は、本発明の一部の実施形態による、電極を備える要素に結合されたエア・ブリスター1000を備える、舌のインピーダンスを測定するためのデバイスを示す図である。
【0164】
一部の実施形態では、エア・ブリスター1000は、電極(又は電極を備える要素1002)と、例えば口蓋からの口の内壁との間に配置されるように構成された、空気を充填したポケットを備える。任意選択で、ブリスター1000は、要素1002から口蓋に向かって上向きの方向に延在する。要素1002が使用者の口に挿入されるとき、(例えば要素1002の上で顎を閉じたときに)ブリスター1000に圧力が加わり、要素1002の電極(本明細書には示されていない)が押し下げられて、電極と舌組織との間の接触が高まる。
【0165】
図11A〜Gは、本発明の一部の実施形態による、舌の上の様々な電極配置の例である。
【0166】
一部の実施形態では、舌の上側部分上に、1つ又は複数の電極が配置されている。加えて又は別法として、舌の下側部分上に、1つ又は複数の電極が配置されている。加えて又は別法として、舌の側縁部及び/又は前縁部上に、1つ又は複数の電極が配置されている。任意選択で、電極は、舌の長軸1106に対して及び/又は短軸1108に対して、対称である。加えて又は別法として、電極は、舌の長軸に対して及び/又は短軸に対して非対称である。一部の実施形態では、電極対が、対を形成している電極間の間隔が等しい状態で配置されている。別法として、異なる電極対は、対を形成している電極間で異なる間隔を有する。
【0167】
一部の実施形態では、電極はグループとなって配置される。例えば、あるグループは、2つの電極、4つの電極、5つの電極、本明細書の
図11Cに示すような7つの電極、10個の電極、又はこの間の、より大きい、若しくはより小さい個数の電極を含み得る。
【0168】
任意選択で、単一のグループの電極は互いに接続されて、測定中に単一の信号が生み出される。
【0169】
一部の実施形態によれば、
図11Aでは、2つの電極1100が、舌の上縦舌筋上で、互いに跨って及び舌中隔1102に跨って(すなわちその左右に)配置されている。
図11Bは、一部の実施形態による、類似の4電極の配置を示す。
図11Cは、一部の実施形態による、4組の電極グループ1104を示す。
図11Dは、一部の実施形態による、対向する電極対間の間隔が異なる、舌組織にわたって分布された8つの電極を示す。
図11Eは、一部の実施形態による、舌の下縦舌筋上に配置された2つの電極を示す。
図11Fは、一部の実施形態による、舌の側縁部及び/又は前縁部に配置された4つの電極を示す。
図11Gは、一部の実施形態による、細長い電極の使用を示す。本明細書に示す構成は可能な構成の例に過ぎないこと、並びに、他の電極配置及び/又は上記の組合せ及び/又は電極形状も企図されることが留意される。
【0170】
[発明者らが行った一連の実験]
図12は、一部の実施形態による、複数の被験者に対して経時的に行われた舌のインピーダンス測定の結果を提示している。この実験では、8人の被験者の舌組織のインピーダンスを測定した。被験者の各々に関して、約14時間の行程にわたって約10回測定値を取得した。被験者には、正常な日常活動を行い、自身の通常の飲食習慣を維持するように依頼した。
【0171】
測定値を得るために、例えば
図16A〜Bに示すような舌組織のインピーダンスを測定するためのデバイスを使用した。デバイスは、例えば本明細書において
図4Bで既に示したような、8電極の配置を含んでいた。動作時、2Vの励起電圧を印加した。電極対を、例えば
図4Cにおいて記載したような順序で(電極の対形成S5−S20に従って)、対ごとの間で100ms遅らせてスキャンした。特定の時点に対して単一のインピーダンス値を計算するために、電極対の測定値を平均した。この計算では、ノイズの低減を意図して、下端の2つの値及び上端の2つの値を除外した。提示した結果は、ほとんどのインピーダンス値(朝早くに何らかの飲食前に測定された測定値を除く)は、1040オームから1350オームの間で規定された正常なインピーダンスの範囲内であったことを示唆しているが、これより低い値は脱水の状態を示し、これより高い値は低ナトリウム血症のある段階を示す。一部の実施形態では、例えばこの実験で行ったように、インピーダンスの範囲は、インピーダンスが舌から測定されること、電極のサイズ、電極の種類、電極間の間隔、及び/又は他のもの、のうちの1つ又は複数を考慮に入れて規定される。
【0172】
図13A〜Eは、一部の実施形態による、運動(ランニング)の前に、間に、及び後で複数の被験者に対して行われた舌のインピーダンス測定の結果を提示している。この一連の実験では、長時間のランの前の、間の、及び後の被験者に関して、舌のインピーダンス・レベルを測定した。測定値の一部は食物及び水の摂取に関して得られた。測定同士の間に10から20分の間の時間間隔をおいて、続く測定を行った。
図13Aは、21kmのランニングの前の、間の、及び後の被験者の測定されたインピーダンス値を図式的に提示している。観測できるように、これらの測定値は、被験者が、ラン中に脱水状態に、及びランの終了後の大量の液体の摂取時に低ナトリウム血症の状態になったことを示していた。
図13Bは、12kmのランニングの前の、間の、及び後の2人のランナーの測定されたインピーダンス値を図式的に提示している。ランの一部の間の及びラン後の時間における、両方のランナーの測定値は、測定された時点のうちのいくつかで脱水状態を示していた。
図13Cは、3人のランナーの12kmのラン中に測定されたインピーダンス値を図式的に提示しており、この場合被験者のうちの1人は、疲労及び吐き気のために1kmを過ぎてからランを中断している。観測できるように、ランを中断した被験者から取得された測定値は、脱水の状態を示した。
図13Dは、8kmのランニングの前の、間の、及び後の被験者の結果を図式的に提示している。ランの前には、円形の領域1300で示すように、被験者は400ccの水を摂取し、測定されたインピーダンスの上昇が引き起こされた。
図13Eは、10kmのランの間の被験者の結果を図式的に提示している。この被験者は、マラソンを走る訓練を受けていた。被験者は、ランの数か月前にマグネシウムを摂取していた(マグネシウムは場合によっては、制約しないで摂取すれば、低ナトリウム血症などの電解質の不平衡を引き起こし得る)。この被験者は、ランの前の数か月間下痢を患っており、その期間中に2回失神していた。ランの直後に、被験者は回復を助けるために塩分の錠剤を摂取した。
【0173】
図14は、様々なナトリウム濃度の生理溶液中でインピーダンスを測定した、発明者らが行ったインビトロでの実験の結果を提示している。発明者らは塩化ナトリウム濃度を次第に高くして溶液を使用し、各濃度に対してデバイスを溶液中に沈めてインピーダンス・レベルを測定した。組織との接触を模倣するために、発明者らは電極特性を変更した−電極のサイズを小さくし、電極対間により大きい間隔が存在するようにデバイスにわたって再配置した。これらの変更を行ったのは、電極と組織との接触が電極と電極を中に沈める溶液との間の接触ほど良好ではないことを考慮した上で、舌組織上で測定されたであろう範囲により近いインピーダンスの範囲を得るためである。観測できるように、濃度が上がるにつれてインピーダンス・レベルが上昇した。
【0174】
この実験には、体の電解質レベルを模倣するために、溶液にカリウムを加えることが更に含まれていた。1400では、体の正常なカリウム・レベルに従って、最初に3ミリモルのカリウム濃度に対して、その後5ミリモルのカリウム濃度に対して、インピーダンスを測定した。得られた結果は、カリウム・レベルの変化が、ナトリウム・レベルの変化によってもたらされる効果と比較して、測定されるインピーダンスに対して微少な効果しか有さないことを示唆していた。
【0175】
図15は、一部の実施形態による、被験者の舌のインピーダンス・レベルと尿のモル浸透圧濃度との間の比較の結果を提示している。同じ被験者から1時間ごとに尿のサンプルを得、モル浸透圧濃度メータを使用して試験した。提示された比較結果は、2つの尺度の間の相関を証明している。場合によっては、インピーダンスの変化が検出されてからある時間が経って初めて、尿のモル浸透圧濃度の変化が観察される−これは自然な生理現象による遅延の結果であり得る。
【0176】
図16A〜Bは、一部の実施形態による、舌組織のインピーダンスを測定するためのデバイス1600の側面視画像及び平面視画像である。一部の実施形態では、デバイス1600は、ハンドル1602と、舌と接触して置かれることになるインサート1604と、インサートを所定位置に保持するための位置決め要素1606(保定装置)と、を備える。一部の実施形態では、ハンドルは、検出された結果値を提示するためのスクリーン1608を備える。示される例示的なデバイスでは、インサートの電極構成は、例えば本明細書において
図4Bで上記したように、8つの電極1610及び関連する回路構成1612の配置を備える。
【0177】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有している」という用語、及びこれらの活用形は、「含んでいるが限定はされない」ことを意味する。
「から成る」という用語は、「含んでおりかつ限定される」ことを意味する。
「から本質的に成る」という用語は、組成、方法、又は構造が、追加の原料、ステップ、及び/又は部分を含み得るが、ただしその追加の原料、ステップ、及び/又は部分が、特許請求される組成、方法、又は構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変えない場合に限られることを意味する。
【0178】
本明細書で使用する場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、そうではないと文脈が明白に規定しない限りは、複数の言及対象を含む。例えば、「1つの化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、これらの混合物を含め、複数の化合物を含み得る。
【0179】
本出願の全体にわたって、本発明の様々な実施形態が、範囲フォーマットで提示される場合がある。範囲フォーマットでの記載は、単に便利さ及び簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する融通の利かない限定として解釈されるべきではないことが、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、全ての可能な下位範囲並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているものと見なされるべきである。例えば、1から6までのような範囲の記載は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6まで、等のような下位範囲、並びに、その範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5、及び6を、具体的に開示しているものと見なされるべきである。これは範囲の幅に関係なく適用される。
【0180】
本明細書において数の範囲が示される場合はいつでも、示された範囲内の任意の引用された数(分数又は整数)を含むことを意図している。第1の示された数と第2の示された数との「間の範囲の/範囲である」という句、及び第1の示された数「から」第2の示された数「までの範囲の/範囲である」という句は、本明細書では交換可能に使用され、第1及び第2の示された数並びにこれらの間の全ての分数及び整数を含むことを意図している。
【0181】
本明細書で使用する場合、「方法」という用語は、所与の課題を達成するための様式、手段、技法、及び手順を指し、これらには、限定するものではないが、化学、薬理学、生物学、生化学、及び医学の技術の当業者に知られているか、又はこれらの当業者によって既知の様式、手段、技法、及び手順から容易に開発されるかのいずれかである、様式、手段、技法、及び手順が含まれる。
【0182】
本明細書で使用する場合、「治療」という用語は、疾患の進行を終わらせる、実質的に阻止する、遅らせる、若しくは逆転させること、臨床上の若しくは美観に関わる疾患の症状を実質的に改善すること、又は臨床上の若しくは美観に関わる疾患の症状が現れるのを実質的に防止することを含む。
【0183】
当業者には了解されるであろうが、本発明の態様は、システム、方法、又はコンピュータ・プログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード、等)、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができ、これらは全て一般に本明細書では「回路」、「モジュール」、又は「システム」と呼ばれ得る。更に、本発明の態様は、コンピュータ可読プログラム・コードが具現化されている1つ又は複数のコンピュータ可読媒体において具現化された、コンピュータ・プログラム製品の形態をとることができる。本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実施は、選択されたタスクを、手動で、自動で、又はこれらを組み合わせて、実行又は完了することを伴い得る。更に、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の実際の機器使用及び装備によれば、オペレーティング・システムを使用して、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、又はファームウェアによって、又はこれらの組合せによって、いくつかの選択されたタスクを実施できる。
【0184】
例えば、本発明の実施形態に係る選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップ又は回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施形態に係る選択されたタスクは、任意の好適なオペレーティング・システムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載するような方法及び/又はシステムの例示的な実施形態に係る1つ又は複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティング・プラットフォームなどの、データ・プロセッサによって実行される。任意選択で、データ・プロセッサは、命令及び/若しくはデータを記憶するための揮発性メモリ、並びに/又は、命令及び/若しくはデータを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/若しくは取り外し可能な媒体を含む。任意選択で、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ、及び/又は、キーボード若しくはマウスなどのユーザ入力デバイスも、任意選択で提供される。
【0185】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定するものではないが、電子的な、磁気的な、光学的な、電磁的な、赤外線の、又は半導体の、システム、装置、又はデバイス、或いは、前記したものの任意の好適な組合せであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより詳細な例(非網羅的なリスト)には、以下、すなわち、1つ若しくは複数のワイヤを有する電気接続部、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM若しくはフラッシュ・メモリ)、光ファイバ、可搬のコンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は前記のものの任意の好適な組合せが含まれるであろう。本文書の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって使用されるか又はこれと接続されているプログラムを含むか或いは記憶することのできる、任意の有形媒体であってもよい。
【0186】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンド中に又は搬送波の一部として、コンピュータ可読プログラム・コードが具現化された伝播データ信号を含んでもよい。かかる伝播信号は、限定するものではないが、電磁的な、光学的な、又はこれらの任意の好適な組合せを含む、様々な形態のうちのいずれをとることもできる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって使用されるか又はこれと接続されたプログラムを通信、伝播、或いは移送できる、任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0187】
コンピュータ可読媒体上で具現化されるプログラム・コードは、限定するものではないが、ワイヤレス、有線、光ファイバ・ケーブル、RF、等、又は前記のものの任意の好適な組合せを含む、任意の好適な媒体を使用して伝送することができる。
【0188】
本発明の態様に関する動作を実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Java、Smalltalk、C++、又は他の同様のものなどのオブジェクト指向のプログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語などの従来の手続き型のプログラミング言語を含む、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれていてもよい。プログラム・コードは、完全に使用者のコンピュータ上で、部分的に使用者のコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェア・パッケージとして、部分的に使用者のコンピュータ上で及び部分的に遠隔のコンピュータ上で、又は完全に遠隔のコンピュータ若しくはサーバ上で、実行され得る。後者のシナリオでは、遠隔のコンピュータを使用者のコンピュータに、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを通して接続してもよく、或いは、外部のコンピュータへの接続を(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを利用してインターネットを通して)行ってもよい。
【0189】
本発明の態様を、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して、以下に記載する。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに、フローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組合せを、コンピュータ・プログラム命令によって実装できることが理解されるであろう。これらのコンピュータ・プログラム命令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供して、マシンを作り出すことができ、この場合、このコンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて特定された機能/動作を実施するための手段を創出する。
【0190】
これらのコンピュータ・プログラム命令を、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスに特定の様式で機能するように指示できる、コンピュータ可読媒体に記憶することもでき、この場合、コンピュータ可読媒体に記憶された命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて特定された機能/動作を実施する命令を含む製品を作り出す。
【0191】
コンピュータ・プログラム命令を、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスにロードし、一連の処理ステップをこのコンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイス上で実行させるようにして、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行される命令がフローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて特定された機能/動作を実施するためのプロセスを提供するような、コンピュータ実施プロセスを生み出すこともできる。
【0192】
明瞭さのために別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことが了解される。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴を、個別に、又は任意の好適な下位組合せで、又は本発明の任意の他の記載される実施形態において好適であるように、提供してもよい。様々な実施形態の文脈で記載される特定の特徴は、これらの要素がなければその実施形態が機能しないのでない限りは、これらの実施形態の必須の特徴と見なされるべきではない。