特許第6944984号(P6944984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6944984ブリスター包装機及びブリスターパックの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6944984
(24)【登録日】2021年9月15日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】ブリスター包装機及びブリスターパックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/04 20060101AFI20210927BHJP
   B65B 63/08 20060101ALI20210927BHJP
   B65B 65/00 20060101ALI20210927BHJP
   B65B 55/24 20060101ALI20210927BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20210927BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   B65B9/04
   B65B63/08
   B65B65/00
   B65B55/24
   B26F1/44 J
   B26D7/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-195953(P2019-195953)
(22)【出願日】2019年10月29日
(65)【公開番号】特開2021-70477(P2021-70477A)
(43)【公開日】2021年5月6日
【審査請求日】2021年3月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】八幡 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 周平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 至
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−536133(JP,A)
【文献】 特開2004−203402(JP,A)
【文献】 特開2016−033019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/04
B65B 63/08
B65B 65/00
B65B 55/24
B26F 1/44
B26D 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填するためのポケット部を備えた容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたブリスターパックを製造するためのブリスター包装機であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着するシール手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体から前記ブリスターパックを打抜く所定の上型及び下型を有した打抜手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体であって、前記ブリスターパックを打抜く前の前記帯状包装体の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、
前記洗浄水を利用して、前記上型を冷却可能な冷却手段を備えたことを特徴とするブリスター包装機。
【請求項2】
前記冷却手段は、
前記下型から流れ落ちる前記洗浄水を貯留可能な洗浄水貯留手段と、
前記洗浄水貯留手段から前記上型側へ前記洗浄水を送る送水手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のブリスター包装機。
【請求項3】
前記打抜手段は、
前記ブリスターパックを打抜くためのパンチと、該パンチを保持するパンチホルダと、前記帯状包装体を上から押えるためのストリッパとを有し、前記帯状包装体の上方に配置された前記上型と、
前記パンチが挿入される挿入孔が形成されたダイを有し、前記帯状包装体の下方に配置された前記下型と、
前記上型及び前記下型を駆動する駆動手段とを備え、
前記ストリッパは、
所定の弾性手段を介して下方へ付勢されるように、前記パンチホルダに対し上下方向に相対変位可能に組付けられ、
前記送水手段は、
前記パンチホルダと前記ストリッパの相対変位動作を利用して駆動することを特徴とする請求項2に記載のブリスター包装機。
【請求項4】
前記洗浄水を流通させる流路の少なくとも一部が前記上型内に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のブリスター包装機。
【請求項5】
内容物を充填するためのポケット部を備えた容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたブリスターパックを製造するためのブリスターパックの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着するシール工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体から、所定の上型及び下型を有した所定の打抜手段を用いて前記ブリスターパックを打抜く打抜工程と、
前記シール工程の後工程かつ前記打抜工程の前工程において、前記帯状包装体の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給工程と、
前記洗浄水を利用して、前記上型を冷却する冷却工程とを備えたことを特徴とするブリスターパックの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター包装機及びブリスターパックの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ゼリー、ジャム、ヨーグルト、コーヒー用ミルク、ガムシロップ、バターなどの食料品をはじめ、医薬品や化粧品などの包装容器として、ポーションパック等と称されるピールオープン式のブリスターパックや、ディスペンパック(登録商標)などの折曲げ開封式のブリスターパックが広く採用されている。
【0003】
かかるブリスターパックは、内容物が充填されるポケット部が形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとから構成されている。
【0004】
一般に、ブリスターパックは、帯状の容器フィルムを搬送させつつ、ポケット部を形成するポケット部形成工程、該ポケット部に内容物を充填する充填工程、該ポケット部の開口側を密封するように容器フィルムに対しカバーフィルムを取着するシール工程、該両フィルムが取着されてなる帯状包装体(帯状のブリスターフィルム)から最終製品たるブリスターパックを打抜く打抜工程等を経て製造される。
【0005】
しかしながら、ポケット部に充填される内容物の容量や種類によっては、充填工程においてポケット部から内容物があふれたり、その後のシール工程までの搬送過程においてポケット部から内容物がこぼれる等して、ポケット部外の容器フィルム一般部にまで内容物が付着してしまう場合がある。
【0006】
このような場合、その後のシール工程において、ポケット部の周縁部に対しカバーフィルムがシールされて製造された帯状包装体は、シールされていない容器フィルム一般部とカバーフィルムとの間の未シール部分に内容物を挟み込んだ状態のまま、次の打抜工程へと搬送されていくこととなる(図4参照)。
【0007】
上記打抜工程において用いられる打抜装置は、帯状包装体の上方に配置された上型と、帯状包装体の下方に配置された下型とを備え、両型が上下方向に沿って互いに接近する方向又は互いに離間する方向へ相対移動可能に構成されている。
【0008】
一般に、上型には、帯状包装体からブリスターパックを打抜くためのパンチと、これを保持するパンチホルダと、ブリスターパックを打抜く際に帯状包装体を上から押えるためのストリッパとが設けられ、下型には、ブリスターパックを打抜く際にパンチが挿入される挿入孔を有するダイが設けられている。
【0009】
かかる構成の下、打抜装置は、上型(パンチホルダ)を降下させると共に、下型(ダイ)を上昇させ、ストリッパにより帯状包装体をダイに押え付けつつ、パンチをダイの挿入孔内へ押し込んでいくことにより、ブリスターパックを打抜く構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
そのため、打抜工程においてブリスターパックを打抜く際、帯状包装体の未シール部分に挟まれた内容物が打抜装置(パンチやダイなど)に付着してしまうおそれがある。
【0011】
打抜装置に内容物が付着したまま放置すると、付着した内容物の腐敗等に起因した衛生面上の問題が発生することは勿論のこと、内容物の固着や打抜装置の腐食など、打抜装置の故障の原因にもなり得る種々の不具合が発生するおそれがあった。そのため、従来では、打抜装置の清掃作業を頻繁に行う必要があった。
【0012】
これに対し、近年では、シール工程後、打抜工程前に帯状包装体上に洗浄水を供給し、洗浄水を載せた状態の帯状包装体を打抜くことで、ブリスターパックの打抜きと同時に、帯状包装体の上面側から流れ落ちる洗浄水によって、帯状包装体の未シール部分に挟まれた内容物や、打抜装置に付着した内容物を洗い流し、打抜装置に付着・固着しにくくすることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2015−151174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、充填工程においては、内容物が高温の状態で充填され、シール工程においては、カバーフィルム等が加熱されるといったように、シール工程を終えた帯状包装体は熱を帯びている。
【0015】
そのため、ブリスターパックを打抜く際に帯状包装体に接触するパンチやストリッパ、ダイ等は、帯状包装体からの熱伝導により徐々に温度が上昇していく。また、パンチホルダに関しても、パンチ等からの熱伝導により徐々に温度が上昇していく。
【0016】
かかる状況の下、上述したように、帯状包装体上に洗浄水を供給し打抜装置を洗浄する構成とした場合、帯状包装体の下側に位置する下型(ダイ)に関しては、ブリスターパック打抜き後の打抜孔を介して帯状包装体の上面側から流れ落ちる多量の洗浄水によって全体が冷却され、常時一定の温度に維持されやすい。
【0017】
一方、帯状包装体の上側に位置する上型(パンチやストリッパ)に関しては、ブリスターパック打抜き時に洗浄水に接触する程度で、洗浄水との接触時間も短く、接触面積も小さいため、ほとんど冷却されず、徐々に温度が上昇していくこととなる。また、パンチを保持するパンチホルダに関しても、洗浄水に接触せず、冷却されないため、徐々に温度が上昇していくこととなる。結果として、上型と下型の温度差が大きくなり、上型と下型(例えばダイとパンチホルダ)に熱膨張差が生じるおそれがある。
【0018】
図7(a)に示すように、通常は、円滑な動作を行うため、パンチ91と、ダイ92の挿入孔93との間には、所定のクリアランス95(例えば5ミクロン程度)が設定されている。そのため、仮にパンチホルダ90だけが熱膨張した場合には、図7(b)に示すように、パンチ91とダイ92の挿入孔93の位置がずれ、クリアランス95に偏りが生じるおそれがある。部位によっては、パンチ91とダイ92とが干渉してしまうおそれもある。
【0019】
クリアランス95が大きくなると、ブリスターパックにバリ等が発生しやすくなり、製品品質の低下を招くおそれがある。逆にクリアランス95が小さくなると、パンチ91とダイ92が擦れ合う度合いが大きくなり、打抜装置の寿命が短くなるおそれがある。
【0020】
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、上型と下型の温度差を小さくすることのできるブリスター包装機及びブリスターパックの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0022】
手段1.内容物を充填するためのポケット部を備えた容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたブリスターパックを製造するためのブリスター包装機であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着するシール手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体(帯状のブリスターフィルム)から前記ブリスターパックを打抜く所定の上型及び下型を有した打抜手段と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体であって、前記ブリスターパックを打抜く前の前記帯状包装体の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給手段と、
前記洗浄水を利用して、前記上型を冷却可能な冷却手段を備えたことを特徴とするブリスター包装機。
【0023】
上記手段1によれば、打抜手段(パンチやダイなど)の洗浄用に帯状包装体上に供給される洗浄水を利用して、上型(パンチホルダなど)を冷却することができる。これにより、帯状包装体からの熱伝導に起因した上型の温度上昇を抑えることができる。
【0024】
ひいては、ブリスターパック打抜き時に、帯状包装体の上面側から流れ落ちる多量の洗浄水によって冷却されやすい下型(ダイ)と、ブリスターパック打抜き時に、ほとんど洗浄水に接触せず冷却されにくい上型(パンチホルダ)との温度差を小さくすることができる。
【0025】
結果として、製品品質の低下や打抜手段の短命化など、上型と下型の温度差(ダイとパンチホルダの熱膨張差)に起因した種々の不具合の発生を抑制することができる。
【0026】
加えて、本手段によれば、別途、冷却装置を備える必要もなく、洗浄水を冷却媒体として利用して上型の冷却を行うことにより、低コスト化を図ると共に、省スペース化を図ることができる。
【0027】
手段2.前記冷却手段は、
前記下型(ダイ等)から流れ落ちる前記洗浄水を貯留可能な洗浄水貯留手段と、
前記洗浄水貯留手段から前記上型(パンチホルダ等)側へ前記洗浄水を送る送水手段とを備えたことを特徴とする手段1に記載のブリスター包装機。
【0028】
上記手段2によれば、一旦、下型(ダイ)にかけられた洗浄水を利用して上型(パンチホルダ)を冷やすことにより、上型と下型(ダイとパンチホルダ)の温度差をより小さくすることができる。
【0029】
手段3.前記打抜手段は、
前記ブリスターパックを打抜くための(複数の)パンチと、該パンチを保持するパンチホルダと、前記帯状包装体を上から押えるためのストリッパとを有し、前記帯状包装体の上方に配置された前記上型と、
前記パンチが挿入される(複数の)挿入孔が形成されたダイを有し、前記帯状包装体の下方に配置された前記下型と、
前記上型及び前記下型を駆動する駆動手段とを備え、
前記ストリッパは、
所定の弾性手段(弾性部材)を介して下方へ付勢されるように、前記パンチホルダに対し上下方向に相対変位可能に組付けられ、
前記送水手段は、
前記パンチホルダと前記ストリッパの相対変位動作(前記パンチホルダに対する前記ストリッパの上下動)を利用して駆動する(送水動作を行う)ことを特徴とする手段2に記載のブリスター包装機。
【0030】
上記手段3によれば、打抜手段の下型(ダイ)にかかった洗浄水を貯留し、該洗浄水をストリッパの上下動を利用して駆動する送水手段で汲み上げて、上型(パンチホルダ)へ送ることができる。
【0031】
これにより、別途、駆動源を有する送水ポンプ等を備える必要もないため、包装機に係るコストを削減すると共に、省スペース化を図ることができる。
【0032】
手段4.前記洗浄水を流通させる流路の少なくとも一部が前記上型(ストリッパやパンチホルダ)内に形成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のブリスター包装機。
【0033】
上記手段4によれば、省スペース化を図ると共に、上型を内部から冷やすことができ、冷却効率を高めることができる。
【0034】
手段5.内容物を充填するためのポケット部を備えた容器フィルムと、前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを備えたブリスターパックを製造するためのブリスターパックの製造方法であって、
帯状の前記容器フィルムを搬送しつつ、該容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填工程と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着するシール工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状包装体(帯状のブリスターフィルム)から、所定の上型及び下型を有した所定の打抜手段を用いて前記ブリスターパックを打抜く打抜工程と、
前記シール工程の後工程かつ前記打抜工程の前工程において、前記帯状包装体の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給工程と、
前記洗浄水を利用して、前記上型を冷却する冷却工程とを備えたことを特徴とするブリスターパックの製造方法
【0035】
上記手段5によれば、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ブリスター包装機の概略構成図である。
図2】(a)はブリスターパックを示す斜視図であり、(b)はブリスターパックを示す断面図である。
図3】ブリスターフィルムを示す平面図である。
図4】冷却機構を備えた打抜装置等を示す部分拡大断面図である。
図5】(a)〜(c)は、打抜工程を説明するための説明図である。
図6】別の実施形態に係る冷却機構を備えた打抜装置等を示す部分拡大断面図である。
図7】通常時のパンチホルダとダイ(パンチと挿入孔)の関係を説明するための模式図であり、熱膨張したパンチホルダとダイ(パンチと挿入孔)の関係を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず製造対象となるブリスターパック1について詳しく説明する。
【0038】
図2(a),(b)に示すように、本実施形態におけるブリスターパック1は、1つのポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2の開口部を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0039】
ポケット部2には、内容物5が充填されている〔図2(b)等参照〕。内容物5としては、例えばゼリー、ジャム、ヨーグルト、コーヒー用ミルク、ガムシロップ、バターなどの食料品が挙げられる。勿論、例示した食料品に限らず、他の食料品がポケット部2に充填される構成としてもよい。また、食料品に限らず、医薬品や化粧品などの内容物がポケット部2に充填される構成としてもよい。
【0040】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)等の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。また、容器フィルム3には、ポケット部2の開口部周縁から外方へ延出するようにフランジ部3aが形成されている。
【0041】
一方、カバーフィルム4は、アルミ蒸着合成樹脂フィルムに他種の合成樹脂フィルムをラミネートしたフィルムにより形成されており、容器フィルム3(フランジ部3a)に対し剥離可能に取着されている。
【0042】
また、本実施形態のブリスターパック1では、その周縁部のうちの1箇所において、容器フィルム3(フランジ部3a)と、カバーフィルム4とが接着しないように製造されている。これにより、かかる箇所のカバーフィルム4が、ブリスターパック1を開封する際の摘み部4aとなる。
【0043】
ここでブリスターパック1の開封手順について説明する。まず、一方の手で容器フィルム3側を掴むと共に、他方の手でカバーフィルム4の摘み部4aを摘む。続いて、摘み部4aを摘みつつ、容器フィルム3からカバーフィルム4を引き剥がしていく。これにより、ブリスターパック1の開封が完了し、ポケット部2に充填された内容物5を取出すことができる。
【0044】
尚、後述するように、本実施形態のブリスターパック1は、帯状の容器フィルム3と帯状のカバーフィルム4とが取着されてなる帯状包装体としてのブリスターフィルム35〔図3参照〕から最終製品たるブリスターパック1を打抜く工程等を経て製造される。尚、図3では、便宜上、ブリスターフィルム35の部分に散点模様を付している。
【0045】
次に、上記ブリスターパック1を製造するためのブリスター包装機10の構成について説明する。
【0046】
図1に示すように、ブリスター包装機10では、ロール状の原反から引き出された帯状の容器フィルム3がチェーンクリップコンベア11等により下流側へ向け間欠搬送されていく。尚、チェーンクリップコンベア11のクリップ部11a(図3参照)は、容器フィルム3やブリスターフィルム35のフィルム幅方向(Y方向)両端部を把持するように構成されている。
【0047】
容器フィルム3原反の下流側には、まず加熱装置12及びポケット部形成装置13が設けられている。加熱装置12及びポケット部形成装置13によって、本実施形態におけるポケット部形成手段が構成される。
【0048】
加熱装置12は、容器フィルム3を挟んで上下に配置される上型12a及び下型12bを備え、容器フィルム3のポケット部2の形成範囲を部分的に加熱可能に構成されている。
【0049】
ポケット部形成装置13は、ポケット部2の形状とおよそ相似的で小さいプラグ(図示略)を有した上型13aと、ポケット部2の形状に対応した成形凹部(図示略)を有した下型13bとを備えている。
【0050】
そして、まず容器フィルム3が加熱装置12により加熱され比較的柔軟になった状態において、上型13a及び下型13bが互いに接近する方向へ相対移動する。続いて、上型13aからプラグが突出し、ポケット部2の大まかな形状を形成する。最後に上型13aからエアを吹き付け、容器フィルム3を下型13bの成形凹部に押し付けることで、容器フィルム3の所定位置にポケット部2が成形される。なお、このポケット部2の成形は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0051】
さらに、ポケット部形成装置13の下流側には、ポケット部2に内容物5を充填する充填手段としての充填装置14が設けられている。
【0052】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、前記容器フィルム3とは別にロール状に巻回されて配置されている。該原反から引き出されたカバーフィルム4は、充填装置14の下流側に設けられた受けローラ15へと案内されている。カバーフィルム4は、受けローラ15まで案内されることで、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に重ねられることとなる。
【0053】
受けローラ15の下流側には、シール手段としてのシール装置16が設けられている。シール装置16は、自身の下面が所定のシール温度に加熱される上型16aと、ポケット部2に対応する凹部(符号略)が形成された下型16bとを備えており、両型16a、16bが上下動可能かつ圧接可能に構成されている。
【0054】
そして、上型16a及び下型16b間に、容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれ、両フィルム3、4が両型16a、16bによって圧接されることで、容器フィルム3に対しカバーフィルム4が貼着されることとなる。これにより、内容物5が充填されたポケット部2をカバーフィルム4で密封した状態の帯状のブリスターフィルム35が製造される。但し、本実施形態では、ポケット部2周囲のフランジ部3a相当箇所だけが、カバーフィルム4が貼着(シール)されたシール部4b(図3の斜線部参照)となり、他の部位は、カバーフィルム4が貼着されていない未シール部4cとなる。
【0055】
シール装置16の下流側には、逆流規制手段(エア噴射手段)としてのエア噴射装置17と、洗浄水供給手段としての洗浄水供給装置18とが設けられている。
【0056】
洗浄水供給装置18は、ブリスターパック1を打抜く前のブリスターフィルム35の上面(カバーフィルム4側)に洗浄水Hを供給するためのものである。一方、エア噴射装置17は、ブリスターフィルム35の上面に供給された洗浄水Hに向けエア(空気等の気体)Eを噴射し、洗浄水Hがシール装置16側へ流れるのを規制するためのものである。
【0057】
洗浄水供給装置18の下流側には、ブリスターフィルム35からブリスターパック1を打抜く打抜手段としての打抜装置19が設けられている。打抜装置19の詳細については後述する。
【0058】
打抜装置19の下方には、ブリスターフィルム35から打抜かれる各ブリスターパック1が落下する位置に対応してコンベア21が設けられている。かかるコンベア21によって、ブリスターパック1は完成品用ホッパ22へと移送される。
【0059】
さらに、コンベア21の下方には、ブリスターパック1の打抜き時に、該ブリスターパック1と共に打抜装置19から流れ落ちる洗浄水Hを受けるための洗浄水貯留手段としての受け皿23が設けられている。
【0060】
打抜装置19の下流側には、ブリスターパック1の打抜き後に残ったスクラップ部35aを裁断する裁断装置25が配設されている。そして、スクラップ部35aは、裁断装置25において所定寸法に裁断され、スクラップ用ホッパ27に貯留される。
【0061】
ブリスター包装機10の概略は以上のとおりであるが、以下において打抜装置19について図4,5を参照して詳しく説明する。
【0062】
打抜装置19は、略水平方向(X方向)に沿って搬送されるブリスターフィルム35の上方(カバーフィルム4側)に配置された上型38と、ブリスターフィルム35の下方(容器フィルム3側)に配置された下型39と、両型38,39を駆動する図示しない駆動機構(駆動手段)とを備えている。駆動機構としては、モータ、流体圧シリンダ、カム伝達機構等を採用することができる。これにより、両型38,39は、上下方向(Z方向)に沿って、互いに接近する方向又は互いに離間する方向へ相対移動可能に構成されている。
【0063】
上型38は、ブリスターフィルム35からブリスターパック1を打抜くためのパンチ41と、これを保持するパンチホルダ42と、ブリスターパック1を打抜く際にブリスターフィルム35を上から押えるためのストリッパ43とを備えている。
【0064】
ストリッパ43は、弾性手段(弾性部材)としてのコイルばね44を介して、パンチホルダ40に対し上下方向に相対変位可能に組付けられると共に、下方へ付勢されている。
【0065】
下型39は、ブリスターパック1を打抜く際にパンチ41が挿入される挿入孔45aが形成されたダイ45を備えている。
【0066】
さらに、本実施形態では、上型38(主にパンチホルダ42)を冷却するための冷却手段として冷却機構50が設けられている。本実施形態に係る冷却機構50は、上記受け皿23(図1参照)から洗浄水Hを汲み上げ、該洗浄水Hを冷却媒体(冷却水)として利用してパンチホルダ42を冷却する仕組みとなっている。以下、図4等を参照して冷却機構50について詳しく説明する。
【0067】
パンチホルダ42内には、洗浄水Hを冷却水として流通させるための冷却流路51が形成されている。そして、洗浄水Hが冷却流路51を通過していくことにより、パンチホルダ42の温度上昇を抑制し、パンチホルダ42が常に適正温度に維持されるように構成されている。
【0068】
パンチホルダ42の下面(ストリッパ43側)には、平面視円形状の取付凹部52が形成されており、該取付凹部52に対し、上下方向に貫通する円筒状のピストン筒部53が取付固定されている。ピストン筒部53の上端側は、接続流路54を介して、冷却流路51の一端側と連通している。
【0069】
また、冷却流路51の他端側は、パンチホルダ42の側部に開口しており、該冷却流路51の他端側に対し、継手部材56を介して排水用ホース57の一端側が接続されている。尚、排水用ホース57の他端側は、図示しない排水部へ繋がっており、冷却機構50を通過した洗浄水Hが、ここで廃棄されるように構成されている。
【0070】
一方、ストリッパ43の上面(パンチホルダ42側)には、ピストン筒部53の下端側が挿入される挿入孔部60が形成されている。
【0071】
挿入孔部60は、上下方向に沿って延びる断面円形状の孔部であって、その内径がピストン筒部53の外径と略同一径となっている。これにより、ピストン筒部53は、挿入孔部60に対し上下方向にスライド変位可能となっている。
【0072】
ピストン筒部53の外周面には、その下端部近傍において、嵌合溝部61が形成されており、該嵌合溝部61に円環状のパッキン62が嵌め込まれている。このパッキン62により、ピストン筒部53及び挿入孔部60の気密性が確保される。ピストン筒部53及び挿入孔部60並びにこれらを相対変位させる各種機構により、本実施形態における送水手段が構成される。
【0073】
また、ピストン筒部53の内周部は、その上側に位置する大径部63と、下側に位置する小径部64とから構成されている。大径部63内には、小径部64及び上記接続流路54よりも径の大きい球状のボール逆止弁67が収容されている。ボール逆止弁67は、大径部63内を上下方向に自由に移動可能となっている。
【0074】
挿入孔部60の下端部の吸入口には、接続流路68の一端側が接続されている。接続流路68の他端側は、ストリッパ43の側部に開口しており、該接続流路68の他端側に対し、継手部材69を介して給水用ホース70の一端側が接続されている。尚、給水用ホース70の他端側は、上記受け皿23へ繋がっており、該受け皿23から冷却機構50へ洗浄水Hを冷却水として供給可能となる。
【0075】
さて、以上のように構成されたブリスター包装機10によってブリスターパック1を製造する手順及びその作用効果について、特にポケット部2に内容物5が充填され、密封されたブリスターフィルム35が形成された後の主要な工程を中心に説明する。
【0076】
ポケット部2を形成するポケット部形成工程、ポケット部2に内容物5を充填する充填工程、容器フィルム3にカバーフィルム4を取着するシール工程等を経て形成されたブリスターフィルム35は、エア噴射装置17及び洗浄水供給装置18へと搬送され、洗浄水供給工程が行われる。
【0077】
尚、充填工程においてポケット部2から内容物5があふれたり、その後のシール工程までの搬送過程においてポケット部2から内容物5がこぼれる等して、ポケット部2外の容器フィルム3の一般部にまで内容物5が付着してしまった場合には、ブリスターフィルム35は、その後のシール工程においてシールされない容器フィルム3の一般部とカバーフィルム4との間の未シール部4cに内容物5を挟み込んだ状態のまま(図4参照)、次の洗浄水供給工程へと搬送されていくこととなる。
【0078】
洗浄水供給工程では、ブリスターパック1を打抜く前のブリスターフィルム35の上面に対し洗浄水供給装置18から洗浄水Hを供給する。
【0079】
尚、図示はしないが、フィルム幅方向両端部をクリップ部11aにより把持されたブリスターフィルム35の上面に洗浄水Hが供給された場合、該ブリスターフィルム35は、洗浄水Hの重みによって、そのフィルム幅方向中央付近が凹むように、フィルム幅方向に緩やかに湾曲した状態となるため、フィルム幅方向両端側から洗浄水Hが流れ落ちにくくなっている。
【0080】
このように洗浄水供給装置18から洗浄水Hを供給するの同時に、洗浄水供給装置18の上流側に位置するエア噴射装置17から、ブリスターフィルム35上面の洗浄水Hに向けエアEを噴射する。
【0081】
但し、本実施形態では、洗浄水Hの供給やエアEの噴射が、ブリスターフィルム35の間欠動作に合わせて間欠的に行われるわけではなく、常時連続して行われる構成となっている。勿論、これに限らず、洗浄水Hの供給やエアEの噴射が、ブリスターフィルム35の間欠動作に合わせて間欠的に行われる構成としてもよい。
【0082】
その後、ブリスターフィルム35は、打抜装置19へと搬送され、打抜工程が行われる。尚、ブリスターフィルム35が打抜装置19へ搬送される際、打抜装置19の上流側に位置する洗浄水供給装置18においてブリスターフィルム35上に供給された洗浄水Hも併せて打抜装置19へ搬送されることとなる。
【0083】
打抜装置19では、通常時、すなわちブリスターフィルム35の搬送中においては、上型38(パンチ41、パンチホルダ42、ストリッパ43)がブリスターフィルム35から上方へ離間した待機位置に位置すると共に、下型39(ダイ45)がブリスターフィルム35から下方へ離間した待機位置に位置している。
【0084】
そして、間欠搬送されるブリスターフィルム35が所定位置に停止されると、上型38が降下すると共に、下型39が上昇し、ストリッパ43によりブリスターフィルム35がダイ45に押え付けられた状態となる〔図5(a)参照〕。
【0085】
この際、ブリスターフィルム35自体は停止するが、その上面に載った洗浄水Hは慣性により勢いよく打抜装置19側へ向かうこととなる。そして、ブリスターフィルム35を押え付けたストリッパ43によって、洗浄水Hの流れが堰き止められると共に、該洗浄水Hの一部が逆方向へ跳ね返り、上流側へ向かう。本実施形態では、このように上流側へ向かう洗浄水Hがシール装置16まで達するのをエア噴射装置17から噴射されるエアEによって規制している。
【0086】
その後、パンチ41がさらに降下し、ブリスターフィルム35上に洗浄水Hを載せた状態のまま、パンチ41がダイ45の挿入孔45aに入り込んでいく〔図5(b)参照〕。そして、さらにパンチ41を挿入孔45a内へ押し込んでいくことにより、ブリスターフィルム35からブリスターパック1が打抜かれる〔図5(c)参照〕。打抜かれたブリスターパック1は、挿入孔45a内を落下してコンベア21上に案内され、完成品用ホッパ22へと移送される。
【0087】
同時に、ブリスターフィルム35の未シール部4cに挟まれた内容物5や、打抜装置19(パンチ41やダイ45など)に付着した内容物5などが存在する場合には、これらの内容物5が、ブリスターフィルム35の上面側から流れ落ちる洗浄水Hによって洗い流される。
【0088】
その後、上型38及び下型39がブリスターフィルム35から離間すると共に、ブリスターフィルム35上に残存した洗浄水Hが、ブリスターパック1の打抜き後にブリスターフィルム35に形成された打抜孔35b等を介して流れ落ち、ダイ45の上面を洗い流しながら、ダイ45の周囲や挿入孔45aを介して、さらに下方へ流れ落ち、ブリスターパック1の打抜き時に流れ落ちた洗浄水Hと共に、コンベア21の側方等を通り、受け皿23に集められる。
【0089】
このようにして、ブリスターパック1の打抜工程が終了すると、ブリスターパック1の製造が完了する。
【0090】
加えて、本実施形態では、打抜工程が行われるのと同時に冷却工程が行われる。具体的には、打抜工程において、ストリッパ43によりブリスターフィルム35がダイ45に押え付けられた状態〔図5(a)参照〕から、コイルばね44の付勢力に抗して、パンチ41がさらに降下し、ダイ45の挿入孔45aに入り込み、ブリスターパック1が打抜かれると〔図5(b),(c)参照〕、パンチホルダ42とストリッパ43とが接近する方向へ相対変位するため、冷却機構50においては、ピストン筒部53がストリッパ43の挿入孔部60のさらに奥方へ挿入されていく。
【0091】
これにより、挿入孔部60内に滞留していた洗浄水Hがピストン筒部53の小径部64内へ流入し、その水圧によりボール逆止弁67を上動させ、さらに大径部63へと流入する。
【0092】
そして、新たに大径部63へ流入した洗浄水Hに押し出されるようにして、それまで大径部63、接続流路54、冷却流路51、継手部材56及び排水用ホース57に滞留していた洗浄水Hが下流側へ押し流され、その分だけ排水部へ排出される。
【0093】
続いて、ピストン筒部53の大径部63においては、ボール逆止弁67が下がり、小径部64を塞ぎ、洗浄水Hの逆流が防止された状態となる。
【0094】
その後、ブリスターパック1の打抜きが終了し、上型38及び下型39がブリスターフィルム35から離間する際には、コイルばね44の付勢力により、パンチホルダ42とストリッパ43とが離間する方向へ相対変位するため、ピストン筒部53はストリッパ43の挿入孔部60から引き抜かれていく。
【0095】
これにより、挿入孔部60下端部の吸入口から挿入孔部60内へ洗浄水Hが吸い込まれる。そして、それまで接続流路68、継手部材69及び給水用ホース70に滞留していた洗浄水Hが下流側へ流れ、その分だけ洗浄水Hが受け皿23から吸い上げられる。
【0096】
従って、上記ブリスターパック1の打抜工程(冷却工程)が間欠的に繰り返されることで、少しずつ洗浄水Hが受け皿23から給水用ホース70、継手部材69、接続流路68、挿入孔部60、ピストン筒部53(小径部64、大径部63)、接続流路54、冷却流路51、継手部材56、排水用ホース57、排水部へと順に流れていき、上型38(パンチホルダ42)が冷却される。
【0097】
以上詳述したように、本実施形態によれば、洗浄水供給装置18を備え、ブリスターパック1を打抜く前のブリスターフィルム35の上面に洗浄水Hを供給することにより、ブリスターフィルム35上に洗浄水Hを載せた状態でブリスターパック1の打抜きを行うことができる。
【0098】
これにより、ブリスターパック1の打抜きと同時に、ブリスターフィルム35の上面側から流れ落ちる洗浄水Hによって、ブリスターフィルム35の未シール部4cに挟まれた内容物5や、打抜装置19(パンチ41やダイ45など)に付着した内容物5を洗い流すことができる。
【0099】
さらに、本実施形態では、打抜装置19(パンチ41やダイ45など)の洗浄用にブリスターフィルム35上に供給される洗浄水Hを利用して、上型38(パンチホルダ42など)を冷却する冷却機構50を備えている。これにより、ブリスターフィルム35からの熱伝導に起因した上型38の温度上昇を抑えることができる。
【0100】
ひいては、ブリスターパック1の打抜き時に、ブリスターフィルム35の上面側から流れ落ちる多量の洗浄水Hによって冷却されやすい下型39(ダイ45)と、ブリスターパック1の打抜き時に、ほとんど洗浄水Hに接触せず冷却されにくい上型38(パンチホルダ42)との温度差を小さくすることができる。
【0101】
特に本実施形態では、一旦、下型39(ダイ45)にかけられた洗浄水Hを利用して上型38(パンチホルダ42)を冷やすことにより、上型38と下型39(ダイ45とパンチホルダ42)の温度差をより小さくすることができる。
【0102】
結果として、製品品質の低下や打抜装置19の短命化など、上型38と下型39の温度差(ダイ45とパンチホルダ42の熱膨張差)に起因した種々の不具合の発生を抑制することができる。
【0103】
加えて、本実施形態によれば、別途、冷却装置を備える必要もなく、洗浄水Hを冷却媒体として利用して上型38の冷却を行うことにより、低コスト化を図ると共に、省スペース化を図ることができる。
【0104】
また、本実施形態では、打抜装置19において、パンチホルダ42とストリッパ43の相対変位動作(パンチホルダ42に対するストリッパ43の上下動)を利用して受け皿23から洗浄水Hを汲み上げ、上型38(パンチホルダ42)へ送る送水機構を備えている。これにより、別途、送水ポンプ等を備える必要もないため、ブリスター包装機10に係るコストを削減すると共に、省スペース化を図ることができる。
【0105】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0106】
(a)製造対象となるブリスターパック1の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0107】
例えば上記実施形態におけるブリスターパック1は、1つのポケット部2を備えた構成となっているが、これに限らず、1つのブリスターパックに複数のポケット部が形成された構成としてもよい。また、ブリスターパック1やポケット部2の大きさや形状等に関しても、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、容器フィルム3(フランジ部3a)とカバーフィルム4の一部を接着せず、開封する際の摘み部4aとなるように構成されたピールオープン式のブリスターパック1を採用しているが、これに限らず、容器フィルム3(フランジ部3a)とカバーフィルム4とが接着されない部位をなくし、摘み部4aが形成されない構成としてもよい。また、フランジ部3aの一部に予めハーフカット線などの破断線を形成しておき、開封の際には、該破断線に沿ってフランジ部3aを折り曲げ、その外縁部の一部分を破断し、該一部分を摘んでカバーフィルム4を引き剥がすような構成としてもよい。
【0109】
また、ピールオープン式のブリスターパックに限らず、ディスペンパック(登録商標)などの折曲げ開封式のブリスターパックを採用してもよい。
【0110】
(b)容器フィルム3やカバーフィルム4の材質等に関しても、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。
【0111】
例えば上記実施形態では、容器フィルム3がPVCにより形成されているが、これに限らず、CPP(無延伸ポリプロピレン)やPET等の樹脂材料は勿論のこと、アルミニウム等の金属材料により形成される構成としてもよい。
【0112】
(c)ブリスターフィルム35の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ブリスターパック1をブリスターフィルム35のフィルム搬送方向及びフィルム幅方向にそれぞれ2つずつ、計4つを同時に製造する構成となっているが、これに代えて、ブリスターフィルム35のフィルム搬送方向又はフィルム幅方向に1つ又は3つ以上製造する構成としてもよい。
【0113】
(d)洗浄水供給手段の構成は、上記実施形態の洗浄水供給装置18に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。
【0114】
例えば上記実施形態では、洗浄水供給装置18が打抜装置19の上流側(シール装置16と打抜装置19の間)に設けられている。これに限らず、洗浄水供給手段を打抜装置19と同一位置に設けた構成としてもよいし、打抜装置19と一体に設けた構成としてもよい。
【0115】
(e)冷却手段の構成は、上記実施形態の冷却機構50に限定されるものではない。少なくとも洗浄水Hを利用して打抜装置19の上型38(パンチホルダ42)を冷却可能な構成であれば、他の構成を採用してもよい。
【0116】
例えば図6に示すように、冷却機構50に代えて、打抜装置19の外部に設けられた冷却機構80を備えた構成としてもよい。冷却機構80は、送水手段を構成する送水ポンプ81と、送水ポンプ81の下端部に接続された給水用ホース82と、送水ポンプ81の上端部に接続された放水パイプ83とを備えている。
【0117】
給水用ホース82の他端側は、上記実施形態の受け皿23(図1参照)へ繋がっており、該受け皿23から冷却機構80へ洗浄水Hを供給可能となっている。また、放水パイプ83の他端側は、パンチホルダ42の上方へ案内されており、該部分において、上型38(パンチホルダ42)の上面に対し洗浄水Hを散水可能な複数のシャワーヘッド84が設けられている。
【0118】
これにより、冷却機構80は、受け皿23から洗浄水Hを汲み上げ、パンチホルダ42の上面に対し上から洗浄水Hを散水することにより、パンチホルダ42を冷却する。
【0119】
ここで、送水ポンプ81が、図示しない駆動伝達機構を介して、パンチホルダ42とストリッパ43の相対変位動作(パンチホルダ42に対するストリッパ43の上下動)を利用して駆動する構成としてもよい。勿論、これに代えて、送水ポンプ81を動かす電源装置などの駆動源を別途備えた構成としてもよい。
【0120】
尚、上記冷却機構50,80において、送水手段が、パンチホルダ42とストリッパ43の相対変位動作を利用して駆動する構成に代えて、例えばパンチホルダ42(上型38)の上下動作を利用して駆動する構成としてもよい。
【0121】
また、図6に示す冷却機構80においては、洗浄水Hを流通させる流路が上型38の内部に全く形成されていない構成となっているが、これに限らず、洗浄水Hを流通させる流路の少なくとも一部が上型38の内部に形成された構成としてもい。例えば、電源装置などの駆動源を別途備えた送水ポンプ81等を利用して、上記実施形態に係るパンチホルダ42の冷却流路51に洗浄水Hを流す構成としてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…ブリスターパック、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、4b…シール部、4c…未シール部、5…内容物、10…ブリスター包装機、12…加熱装置、13…ポケット部形成装置、14…充填装置、16…シール装置、17…エア噴射装置、18…洗浄水供給装置、19…打抜装置、23…受け皿、35…ブリスターフィルム、38…上型、39…下型、41…パンチ、42…パンチホルダ、43…ストリッパ、44…コイルばね、45…ダイ、45a…挿入孔、50…冷却機構、51…冷却流路、53…ピストン筒部、57…排水用ホース、60…挿入孔部、67…ボール逆止弁、70…給水用ホース、E…エア、H…洗浄水。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7