(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945013
(24)【登録日】2021年9月15日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】ケーブル牽引式運搬装置及びそのような運搬装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
B61B 12/00 20060101AFI20210927BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20210927BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20210927BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20210927BHJP
B60L 53/20 20190101ALI20210927BHJP
B60L 7/02 20060101ALI20210927BHJP
B60L 7/10 20060101ALI20210927BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
B61B12/00 Z
B61D37/00 H
B60L1/00 L
B60L53/14
B60L53/20
B60L7/02
B60L7/10
H02J7/00 P
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-566314(P2019-566314)
(86)(22)【出願日】2018年5月30日
(65)【公表番号】特表2020-522424(P2020-522424A)
(43)【公表日】2020年7月30日
(86)【国際出願番号】EP2018064194
(87)【国際公開番号】WO2018220016
(87)【国際公開日】20181206
【審査請求日】2020年1月24日
(31)【優先権主張番号】A50464/2017
(32)【優先日】2017年6月2日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】500579431
【氏名又は名称】インノヴァ・パテント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ハインツレ・フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】コーラー・クリストフ
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−002092(JP,A)
【文献】
特開2005−297635(JP,A)
【文献】
特開2005−029160(JP,A)
【文献】
特開2008−189130(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/196221(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0276826(US,A1)
【文献】
国際公開第2016/145463(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 12/00
B61D 37/00
B60L 1/00
B60L 53/14
B60L 53/20
B60L 7/02
B60L 7/10
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル牽引式運搬装置(1)を作動させるための方法であって、前記運搬装置(1)の被動ケーブル(5)と連結された少なくとも1つの車両(2)が、この運搬装置(1)によって第一のステーション(3)と第二のステーション(4)との間で移動され、
前記車両(2)の移動中にこの車両(2)の電気負荷(11,11′)に供給するための電気エネルギーを生成する少なくとも1つの発電機(10)が、この車両(2)に配置されている当該方法において、
前記車両(2)が、前記ステーション(3,4)から限界速度に加速されるか、又は反対に前記ステーション(3,4)の方向に限界速度から減速される第一の移動段階(A1,A3)では、前記ステーション(3,4)の外側に存在する前記車両(2)の電気負荷(11)が、前記車両(2)の電気エネルギー貯蔵部(13)から給電されると共に前記発電機(10)から給電されること、及び
後続する第二の移動段階(A2)では、前記車両(2)の電気負荷(11)が、前記限界速度よりも大きい速度による前記車両(2)の移動中に、発電機(10)から電気エネルギーを供給されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記車両(2)の電気エネルギー貯蔵部(13)は、ステーション(3,4)内で前記ステーション(3,4)によって給電された充電装置(20)から充電されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両(2)の電気エネルギー貯蔵部(13)は、前記第二の移動段階(A2)中に前記発電機(10)から充電されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両(2)の少なくとも1つの電気負荷(11,11′)が、ステーション(3,4)内での前記車両(2)の滞在中に及び/又は前記第一の移動段階(A1)中に全体的又は部分的に停止されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記車両(2)の少なくとも1つの電気負荷(11′)が、前記発電機(10)だけによって電気エネルギーを供給されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
互いに連結された少なくとも2つの車両(2)が移動され、1つの車両(2)のエネルギー供給が停止するときに、当該両車両(2)のうちの1つの車両の少なくとも1つの負荷(11,11′)が、その他のそれぞれの車両(2)によって電気エネルギーを供給されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記負荷(11,11′)は、第一のステーション(3)と第二のステーション(4)との間に配置された第三のステーションの領域内でこの第三のステーションによって電気エネルギーを供給されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの車両(2)を有する運搬装置であって、当該車両(2)を第一のステーション(3)と第二のステーション(4)との間で運搬するため、当該車両が、運搬装置(1)の被動ケーブル(5)に連結されていて、
前記車両(2)の移動中にこの車両(2)の電気負荷(11,11′)に供給するための電気エネルギーを生成する少なくとも1つの発電機(10)が、この車両(2)に設けられている当該運搬装置において、
電気エネルギー貯蔵部(13)が、前記車両(2)に設けられていて、前記車両(2)が、ステーション(3,4)から限界速度に加速されるか、又は反対にステーション(3,4)の方向に限界速度から減速される間に、前記電気エネルギー貯蔵部(13)が前記発電機(10)と共に、電気エネルギーを前記車両(2)の前記電気負荷(11)に供給すること、及び
前記限界速度よりも大きい速度による当該移動中に、前記発電機(10)が、電気エネルギーを前記車両(2)の電気負荷(11,11′)に供給することを特徴とする運搬装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの発電機(10)は、双方向に作動可能な発電機として構成されていることを特徴とする請求項8に記載の運搬装置。
【請求項10】
前記電気エネルギー貯蔵部(13)と前記発電機(10)とに接続されている車載電力網(12)が、前記車両(2)内に設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載の運搬装置。
【請求項11】
給電される固定式導体(15)が、ステーション(3,4)内に設けられていて、前記ステーション(3,4)内のこの固定式導体(15)に接触する集電器(16)が、前記車両(2)に設けられていること、及び
前記集電器(16)が、前記電気エネルギー貯蔵部(13)を充電するための充電器(14)に接続されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の運搬装置。
【請求項12】
前記充電器(14)は、前記車載電力網(12)に接続されていることを特徴とする請求項11に記載の運搬装置。
【請求項13】
前記運搬装置(1)は、互いに連結された2つの車両(2)を運搬し、当該両車両(2)の車載電力網(12)が、補助供給バス(26)を介して互いに接続されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の運搬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の対象である発明は、少なくとも一つの車両を備える運搬装置であって、当該車両が運搬装置の被動ケーブルと連結されており、それにより第一ステーションと第二ステーションとの間で車両を運搬する運搬装置に関しており、車両には少なくとも一つの発電機が設けられており、当該発電機は車両が移動する間、車両の電気負荷に供給するための電気エネルギーを生じさせる。本発明はまた、このような運搬装置を作動させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人又は物を運搬するための運搬装置であって、当該運搬装置の車両に駆動部がないものが知られている。このとき車両は外部の定置式駆動部により駆動される。多くの場合、これらの運搬装置は、ケーブル牽引式運搬装置として実施されており、当該ケーブル牽引式運搬装置において車両は、周回するケーブルに固定式に締結されているか、あるいは連結され、ケーブルを用いて移動させられる。このような運搬装置の例はケーブルカー、ロープウェイ(空中ケーブルカー)、又はレール型ケーブルカー(多くの場合、ピープルムーバ、又はケーブルライナとも称される)である。このような設備は単一車線式又は複数車線式に実施されていてよく、単独又は複数の車両(単一の走行路上でも)が同時に移動させられる。車両は二つのステーション間で、周回運転又は折り返し運転で案内される。
【0003】
現代の運搬装置の車両には、特に人間のための運搬装置内に、多数の電気負荷が設けられている。したがって車両は、電気負荷に電気エネルギーを供給するために、電気エネルギー供給部を有さなければならない。車両が通常は停止するか、非常に低速で移動させられるステーション内では、極めて容易に外部からの電気エネルギー供給を実現することができ、それは例えば、導体レール又は架空線を経て、閉じられる電気接触子を経て実現されるが、非接触式に、例えば誘電式に行うこともできる。しかしながら、このような運搬装置は通常、非常に長い区間にわたって案内されるので、実際は当該区間途上で車両のエネルギー供給を確保することは困難である場合が多い。
【0004】
この点に関して、車両に効率的な電気貯蔵部を設けることが想定される。しかしながらこれらの電気貯蔵部は相応な寸法で設けられなければならず、エネルギー貯蔵部は大きく、重いものになる。ステーション内でエネルギー貯蔵部に充電することも、そのために非常に大きな電流及び出力が必要であると想定されるので、コストが嵩む。
【0005】
したがってこのような運搬装置の車両にエネルギーを供給するために、導体レール又は架空線も、車両の走行路全体に沿って設けられている場合が多い。車両は好適な集電器を用いて、導体レール又は架空線と接触し、当該導体レール又は架空線を経由して必要な電気エネルギーを得ている。これにより車載型エネルギー貯蔵部を完全に放棄するか、あるいは故障の際、車両に緊急時供給を行うための小型のエネルギー貯蔵部のみが設けられていればよいと想定される。しかしながらこのような導体レール又は架空線は敷設のコストがかかるとともに、導体レール又は架空線と、集電器との摩耗が大きいために定期的なメンテナンスも必要とする。それとは別に、導体レール又は架空線においては、常に集電器の脱線、及び感電又は地絡の危険があり、そのためにこのような実施は故障しやすく、運転安全性に対して高い要件を課する。
【0006】
このような運搬装置の車両に発電機を設置することも知られており、当該発電機は車両の車輪と作用接続されており、それにより車輪の運動によって電流を発生させる。この例は欧州特許第1992539号明細書又は欧州特許第2623389号明細書に見られる。これにより車両のためのコストは増大するが、車両はその代わりに、車両の電気負荷のために必要とされる電気エネルギーを自ら生じさせることができる。このとき電気負荷に供給を行うために、車載型電気エネルギー貯蔵部を設けることはしないで済み、あるいは車両に緊急時供給を行うための小型のエネルギー貯蔵部のみが設けられる。その場合、この解決は特に車両が継続的に長い区間にわたって移動される運搬装置に対して、すなわち例えばロープウェイ又はケーブルカーのような場合に対して好適であり、継続的な電気エネルギー供給を可能にする。しかしながら、レール型ケーブルカーの場合に多く見られるように、車両が頻繁に停止し、あるいは区間が比較的短い場合は、車両に設けられた発電機は当然ながら車両の移動時にしか、電気エネルギーを生じさせられないために、この解決は限定的にしか用いることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1992539号明細書
【特許文献2】欧州特許第2623389号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本願の対象である発明の課題は、簡単な技術的手段を用いて、運搬装置の車両に常に十分な電気エネルギー供給を行うことを保証する、運搬装置及び運搬装置を作動させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、
ケーブル牽引式運搬装置(1)を作動させるための方法であって、前記運搬装置(1)の被動ケーブル(5)と連結された少なくとも1つの車両(2)が、この運搬装置(1)によって第一のステーション(3)と第二のステーション(4)との間で移動され、
前記車両(2)の移動中にこの車両(2)の電気負荷(11,11′)に供給するための電気エネルギーを生成する少なくとも1つの発電機(10)が、この車両(2)に配置されている当該方法において、
前記車両(2)が、前記ステーション(3,4)から限界速度に加速されるか、又は反対に前記ステーション(3,4)の方向に限界速度から減速される第一の移動段階(A1,A3)では、前記ステーション(3,4)の外側に存在する前記車両の電気負荷(11)が
、前記車両(2)の電気エネルギー貯蔵部(13)から給電されると共に前記発電機(10)から給電されること、及び
後続する第二の移動段階(A2)では、前記車両(2)の電気負荷(11)が、前記限界速度よりも大きい速度による前記車両(2)の移動中に、発電機(10)から電気エネルギーを供給されることによって解決される。
【0010】
さらに、上記の課題は、
少なくとも1つの車両(2)を有する運搬装置であって、当該車両(2)を第一のステーション(3)と第二のステーション(4)との間で運搬するため、当該車両が、運搬装置(1)の被動ケーブル(5)に連結されていて、
前記車両(2)の移動中にこの車両(2)の電気負荷(11,11′)に供給するための電気エネルギーを生成する少なくとも1つの発電機(10)が、この車両(2)に設けられている当該運搬装置において、
電気エネルギー貯蔵部(13)が、前記車両(2)に設けられていて、前記車両(2)が、ステーション(3,4)から限界速度に加速されるか、又は反対にステーション(3,4)の方向に限界速度から減速される間に
、前記電気エネルギー貯蔵部(13)が前記発電機(10)と共に、電気エネルギーを 前記電気負荷(11)に供給すること、及び
前記限界速度よりも大きい速度による当該移動中に、前記発電機(10)が、電気エネルギーを前記車両(2)の電気負荷(11,11′)に供給することによって解決される。
【0011】
これにより、ステーションの外部で運搬装置の車両にエネルギー供給を行うために、従来通常であった故障しやすい導体レール又は架空線を用いずに済ますことができる。しかも、ステーション間のエネルギー供給を確保するために大型の電気エネルギー貯蔵部を備える必要もない。そのために車両に設けられた発電機が役立つ。発電機を用いるときに存在する供給隙間を埋めるためにまた、車両には電気エネルギー貯蔵部が備えられており、発電機が単独で負荷に対する電気エネルギー供給を担えるまで、当該電気エネルギー貯蔵部を用いて、負荷に電気エネルギーが供給される。これにより当該電気エネルギー貯蔵部は比較的小さい寸法で設けることができるが、それは当該電気エネルギー貯蔵部が車両の移動全体にわたって必要とされるものではないからである。
【0012】
好ましくは、両方向において用いることができる発電機が用いられるが、それはこれにより、折り返し運転を行う運搬装置を作動することができるからである。
【0013】
車載型電気エネルギー貯蔵部が第一ステーション内で、当該ステーションにより電気を供給される充電装置によって充電される場合、発電機は比較的小さい寸法で設けることができるが、それは当該発電機が、電気エネルギー貯蔵部の充電を引き受ける必要がないか、あるいは少なくとも比較的小さな程度で引き受ければ済むからである。エネルギー貯蔵部がもともと比較的小さいことにより、当該電気エネルギー貯蔵部を充電するために必要とされる出力もそれにより比較的小さく、そのこともステーション内の充電装置を簡単にする。
【0014】
発電機の余分な電気エネルギーを利用できるように、有利には、車載型電気エネルギー貯蔵部は第二の移動段階の間、発電機により充電される。
【0015】
車両がステーション内に滞在している間、及び/又は第一の移動段階の間、車両の少なくとも一つの電気負荷が全体的又は部分的に停止されると、エネルギー貯蔵部の負荷は低減することができる。
【0016】
車両の少なくとも一つの電気負荷に対して、発電機を経由してのみ電気エネルギーが供給される場合、特に短時間の故障であれば許容可能であるような負荷、及び好ましくはエネルギー需要が非常に大きい負荷は発電機を経由してのみ供給を行うことができ、それによりエネルギー貯蔵部の負荷を低減する。
【0017】
互いに連結された少なくとも二つの車両が移動させられる場合、両方の車両のうちの一つの車両の少なくとも一つの負荷は、一の車両のエネルギー供給が失われたとき、他方の車両によって電気エネルギーを供給されると有利である。このようなやり方で、車両において特にエネルギー貯蔵部、又は発電機の故障が生じた場合、運搬装置の作動は少なくとも限定的に維持することができる。
【0018】
以下において
図1から
図4を参照しながら、本願の対象である発明をより詳しく説明するが、図は本発明の有利な実施の形態を例として、概略的、かつ非限定的に示すものである。図に示すのは以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】充電装置を備えるステーションにおける運搬装置の車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、人を運搬するためのレール型ケーブルカーの型式のケーブル牽引式運搬装置1が概略的に表示されている。運搬装置1は少なくとも一つの車両2を含み、当該車両は第一ステーション3と(
図1において暗示されるのみの第二ステーション4)との間で往復式に移動させられる。車両2はこのために、被動ケーブル5と連結されており(固定式に締結されているか、着脱可能に連結されているかのいずれかであり)、ケーブル5は暗示されているケーブル駆動部6、例えば電気モータにより、車両2を動かすために駆動されている。ケーブルは例えば第一ステーション3と第二ステーション4の間を周回しており、車両2の移動方向はケーブル5の周回方向によって決定される。車両2には多数の車輪8が設けられており、当該車輪は定置式の走行路9上を転動する。車輪8は好ましくは、車両2の少なくとも一つのシャーシ7に設けられている。このような運搬装置1は十分に知られているので、ここでより詳しい説明は行わない。
【0021】
車両2に電気エネルギーを供給するために、車両2には少なくとも一つの発電機10が設けられており、当該発電機は、車両2が移動する間、車両2の電気負荷11のために必要とされる電気エネルギーを生成する。このとき、典型的な電気負荷11とは、扉のための制御装置、安全及び監視装置、ラジオ、娯楽システム(画面)、空調設備、ヒータ、照明、換気装置、などである。車両2はこれにより、典型的には車載電力網12から、比較的大きな電流、通常は12V又は24Vの直流電圧を消費する。
【0022】
発電機10は、車両2と走行路9との相対移動から電気エネルギーを生成する。そのためには当然ながら様々な構成が可能であるが、それは本願にとっては副次的である。例えば少なくとも一つの車輪8に、ホイールハブ発電機が設けられていてよいと想定される。同じく、車両2に摩擦車が設けられていてよいことが想定され、当該摩擦車は車輪8か、走行路9かのいずれかに設けられて転動し、発電機10を駆動する。このとき摩擦車と発電機10との間に、当然ながら任意の構成型式のトランスミッション、例えば形状接続式又は摩擦接続式、あるいは液圧式トランスミッションが設けられていてもよく、それにより摩擦車を経由して発電機10を間接的に駆動する。車両2には当然ながら複数の発電機10が設けられていてもよく、それにより一方で構成の大きさを小さく保ち、他方で必要とされる電気エネルギーを提供することができる。しかしながら複数の発電機10は冗長性を目的としても用いることができ、それにより一の発電機10が故障したとき、一の他の発電機10を経由して供給を確保する。
【0023】
極めて特別に有利には、両方向において作動可能である発電機10が設けられており、これは運搬装置1を折り返し運転において作動させることを可能にし、折り返し運転では、車両2がステーション3,4の間を、同一の走行路9上で往復式に移動させられる。
【0024】
発電機10は、車両2の一定の速度以降に初めて、負荷11に供給するのに十分な電気エネルギーを生成する。この限界速度は特に、発電機10の構成型式及び発電機10の駆動部の構成に依存するが、既知であることを前提にすることができる。
【0025】
車両2にはまた、少なくとも一つの電気エネルギー貯蔵部13が設けられており、当該電気エネルギー貯蔵部は同じく車載電力網12と接続されている。このとき電気エネルギー貯蔵部13は、電気エネルギー貯蔵部により電気負荷11に、実質的に電気エネルギーの供給を行うことができるように設計されている。電気エネルギー貯蔵部13はそれにより、最も必要とされる電気負荷11のみに供給が行われる、車両2の純粋な緊急時供給を超えた電気の供給を保証する。緊急時供給に対しては通常、安全上、重要な電気負荷11、例えば通信装置、安全装置、制御及び監視装置のみに供給が行われる一方、他の負荷11、例えばヒータ、換気設備、空調、照明、娯楽などは接続解除される。しかしながら電気エネルギー貯蔵部13を用いれば、特にこれらの負荷11にも電気エネルギーを供給できるに違いない。しかしながら、特定の負荷11’、特に短時間の故障であれば許容可能であるような負荷、好適にエネルギー消費が特に大きい負荷、例えば空調設備又は電気式ヒータに対して、一般的に電気エネルギー貯蔵部13による供給が行われず、発電機10のみにより供給を行うことがなされていてもよい。
【0026】
少なくとも一つのステーション3,4内にはまた、充電装置20が設けられていてよく、
図2に基づいて説明されるように、当該充電装置を用いて、車両2の電気エネルギー貯蔵部13に充電を行うことができる。充電装置20はステーション3内で電気エネルギー貯蔵部13と接続され、それにより当該電気エネルギー貯蔵部に充電を行う。充電装置20はそのために当然ながら様々に構成されていてよい。最も簡単な場合、電気エネルギー貯蔵部13は電気的接触子を経由して、好適な充電電圧部と直接的に接続される。しかしながらステーション3と充電すべき車両2との間に、非接触式エネルギー伝送、例えば誘電式エネルギー伝送が行われていることも想定される。しかしながら車両2のステーション滞在は通常、短時間のみなので、電気エネルギー貯蔵部13を充電するために利用可能な時間も制限されている。したがって充電するためには多くの場合、非常に大きな出力密度が必要とされ、そのために例えば
図2に表示されているような効率的な充電装置20が有利である。
【0027】
図2に示す構成では、ステーション3であって、当該ステーション内で充電が行われるべきステーション内に、給電される固定式導体15、例えば導体レール又は架空線が、また多重フェーズで設けられており、当該給電される固定式導体は、外部の電流供給部、例えば3×400V又は3×690Vの交流電圧に接続されている。車両2には集電器16が設けられており、当該集電器は車両2がステーション3内に進入する際、給電される固定式導体15に接触する。給電される固定式導体15から取り出される電圧は、例えば供給電圧を電池電圧に整流するための整流器の型式での充電装置20の充電器14を経て、充電を行うために電気エネルギー貯蔵部13に接続される。
【0028】
発電機10が十分に効率的である場合、ステーション3内の充電装置20は省略することもできると想定される。この場合、電気エネルギー貯蔵部13は発電機10を経て充電されるものと想定され、その場合、その充電は車両2が移動する間だけ行うことができる。そのためには当然ながら、電気エネルギー貯蔵部13も相応な寸法で設けられるべきであるが、それはその場合、ステーション3内で車両2の負荷11に供給を行うことも、電気エネルギー貯蔵部13を経て行わなければならないと想定されるからである。その代わりにステーション3内の給電される固定式導体15、及び当該給電される固定式導体の外部電流供給部を省略できるものと想定される。
【0029】
ここで運搬装置1の作用原理を、
図3を参照して説明する。このとき運搬装置1は二車線のケーブル牽引式運搬装置1であり、それぞれの車線上で車両2,2‘は、すでに述べたように、割り当てられたケーブル5,5‘によって動かされる。車両2,2‘は例えば鏡反転式に折り返し運転している途中であり、それは両方向に作動可能な発電機10によって可能である。以下において、一般性を制限することなく、車両2に関してのみ作用原理を説明する。
【0030】
第一ステーション3内で、車両2の電気負荷11には、電気エネルギー貯蔵部13によって供給が行われる。任意選択的に電気エネルギー貯蔵部13はステーション3内で、充電装置20を用いて、例えば電気エネルギー貯蔵部13がステーション3内で、給電される固定式導体15に接続されることにより、充電される。
【0031】
このとき車両2はステーション3内で、例えば人を乗車及び降車させるために、好ましくは停止している。しかしながら車両2は、極めて低速でステーション3を通過するように移動させられてもよく、それにより依然として乗車及び降車は可能である。車両2がステーション3から外に出る際、車両2は所望の運搬速度に加速されなければならない。それによりステーション3の後には、区間部分A1があり、当該区間部分A1に沿って車両2は加速されるが、車両2の電気エネルギー貯蔵部13は(備えられている場合)、もはや充電されない。この第一の移動段階の間、車両2に対する供給は電気発生器10だけでは行うことができないが、それは必要とされる車両2と走行路9との相対速度、及びそれとともに発電機10の回転速度もまだ小さすぎるからである。一定の限界速度以降に初めて、発電機10は、車両2の電気負荷11に単独で供給を行うために必要とされる電気エネルギーを生じさせる。しかし、この限界速度は当然ながら、車両2がステーション3,4間で移動させられる運搬速度である必要はない。これにより区間部分A1に沿って、電気エネルギー貯蔵部13と発電機10とにより共同で負荷11に供給を行うことができ、車両が加速する間、発電機10の割合は継続的に0%から100%に増大する。しかしながら、発電機10が必要とされるエネルギーを供給できる場合、エネルギー供給を電気エネルギー貯蔵部13から、発電機10に切り替えることが行われていてもよい。第一の移動段階に続く第二の移動段階において、車両2は区間部分A2を進み、車両2はその際、車両2に設けられた少なくとも一つの発電機10のみにより、電気エネルギーを供給される。
【0032】
第一の移動段階において、発電機10の割合が、電気エネルギー貯蔵部13の負荷を制限するのに十分な大きさであるときに初めて、特定の負荷11をスイッチオンするか、ステップ式にスイッチオンすることが行われていてもよい。それにより大きなエネルギーを必要とする負荷11は、例えば第一の移動段階の終わり近くに初めてスイッチオンされ得る一方、他の負荷には即座に電気エネルギーが供給される。
【0033】
次のステーション4に接近する際、車両2は減速され、それにより一定の速度以降、電気供給は発電機10のみによっては行えなくなる。これによりステーション4の前の当該区間部分A3内で、実質的に第一の移動段階に相当する第三の移動段階において、負荷11に対する電気供給は、車両2がステーション4に進入している状態になるまで、再び電気エネルギー貯蔵部13と発電機10を共に経由して、あるいは電気エネルギー貯蔵部13のみにより、行われる。第三の移動段階については、上記において第一の移行段階についてすでに述べたものと実質的に同一のことが該当する。ステーション4内でも、電気エネルギー貯蔵部13は上記のように充電されるものと想定される。
【0034】
当然ながら運搬装置1において、二つより多くのステーション3,4が設けられていてもよいと想定されるが、それによって基本的な作動原理は何も変わらない。
【0035】
車両2がステーション4内で、特にそれが中間ステーションであるとき、停止されず、低速でステーション4を通過するように移動されることが行われていてもよい。この場合、車両2の電気供給は、同じく電気エネルギー貯蔵部13を用いて行われるものと想定される。しかしながら、給電される固定式導体15が設けられていてもよく、当該給電される固定式導体はステーション4の前及び後において、ステーションから外に出るように延在し、それにより中間ステーションの領域内の電気供給は、給電される固定式導体15を経て行われる。このとき当然ながら、電気エネルギー貯蔵部13も再び充電されるものと想定される。
【0036】
車両2における電気配線の例が
図4に表示されている。本図では例えば24VDCの車載電力網12に、車両2の負荷11が掛けられている。車載電力網12には電気エネルギー貯蔵部13も接続されている。車載電力網12はまた、例えば整流器21を経て、電気発生器10と接続されている。区間部分A2に沿った車両2の運転中、発電機10は電気エネルギーを生成し、当該電気エネルギーは電気負荷11に供給するために車載電力網12に流入する。余分なエネルギーは、電気エネルギー貯蔵部13を充電するために用いることができる。図に示す実施の形態では、中間バス22が設けられており、当該中間バスは車載電力網12と接続されている。発電機10は、中間バス22に供給を行う。当該実施では区間部分A1内で、電気エネルギー貯蔵部と発電機とが車載電力網12内に供給を行うことにより、電気エネルギー貯蔵部13と発電機10とを共に経由して、エネルギー供給が行われる。発電機10の回転速度が小さくなるほど、発電機10の整流器21における出力電圧が小さくなる。発電機10の整流器21における出力電圧が、電気エネルギー貯蔵部13の電圧よりも小さいとき、電気エネルギー貯蔵部13は自動的に、負荷11に対する供給の一部を共に担う。
【0037】
ステーション3内に給電される固定式導体15が設けられており、当該給電される固定式導体は、例えば集電器16を経て車両2により接触される。車両内に供給網23が設けられており、当該供給網には、集電器16を経て給電される固定式導体15によって供給が行われ、当該供給網は車両2内で供給電圧、例えば3×400Vを提供している。場合により必要となる、給電される固定式導体15から取り出される電圧の車両2内の供給電圧への変換は、十分に知られており、
図4には表示されていない。供給網23から、充電器14、本図では整流器24を経て、電気負荷11に供給を行うため、及び電気エネルギー貯蔵部13を充電するために、本図では中間バス22を経て車載電力網12に対する供給が行われる。
【0038】
電気負荷11‘であって、車両2がステーション3内にあるか、区間部分A2内にあるかに応じて、直接的に電気エネルギー貯蔵部13により供給が行われず、発電機10により、又は供給網23により供給が行われる電気負荷が設けられていてもよい。しかしながらこれは、エネルギー供給が短時間停止しても(特に安全性に関して)否定的な作用が及ぼされず、多くのオン/オフサイクルに耐える負荷11‘においてのみ可能である。しかしながら通常は非常に短い区間部分A1では、このような負荷11‘は、電気エネルギーを供給されていないものと想定される。このように作動させることができる典型的な負荷11‘は、電気式ヒータであると想定され、当該電気式ヒータは多くの電気エネルギーを必要とするものの、電気式ヒータに対するエネルギー供給が短時間かつ頻繁に停止しても否定的な作用は及ぼされない。
【0039】
運搬装置1によって、互いに連結された複数の別個の車両2から成る列車が移動させられることも想定される(
図4に暗示されている)。この場合、供給網23は、例えば車両同士の間の好適な電気接続部25を用いて(
図4に暗示されている)、列車の全ての車両2を通過するようにガイドされているものと想定される。このとき一の車両2にのみ、集電器16が設けられていなければならないと想定される。通常運転ではそれぞれの車両2に対して、上記のように電気エネルギーが供給される。例えば故障した電気エネルギー貯蔵部13により、あるいは故障した発電機10により、一の車両2の車載電力網12が停止すると、当該車両2の全ての負荷11が停止すると想定される。これを防ぐために、列車の二つの車両2の間に電気的補助供給バス26(
図4に暗示されている)が設けられてよく、当該補助供給バスは故障時に両方の車両2の車載電力網12を、例えばスイッチを経由して接続する。これにより少なくとも故障した車両2の安全上重要な負荷に対して、他方の車両2を経て、電気エネルギーの供給をさらに行うことができる。