特許第6945093号(P6945093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6945093
(24)【登録日】2021年9月15日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】マスク用保持具
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20210927BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A62B18/08 D
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2021-20323(P2021-20323)
(22)【出願日】2021年2月11日
【審査請求日】2021年2月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】709000723
【氏名又は名称】江藤 豊年
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】江藤 豊年
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−173562(JP,A)
【文献】 特開2015−006331(JP,A)
【文献】 特表2006−525823(JP,A)
【文献】 特開2011−224094(JP,A)
【文献】 特開2016−108713(JP,A)
【文献】 特開2015−012896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクに設けられる弾性部材やマスク自身の弾性力により前記マスクと人体の間に装着するマスク用保持具であって、
外側に設けられ略円形状の人体に当接する人体当接部と、
前記人体当接部の周囲の内側に前記マスクと前記人体との密着度合いを遠ざける方向に起立し前記マスクと当接する起立部と、
前記起立部により形成し、前記人体の口及び鼻の位置に開口する円形状の開口部と、
前記起立部の先端部分に、鼻筋に沿って延長して下方に伸び、突起した片状の突起部と、
を備えたことを特徴とするマスク用保持具。
【請求項2】
前記人体当接部の顎の部分に当接する顎当接部は、顎から鼻に沿って切断した断面の形状を湾曲して形成した湾曲部を設け、湾曲部の2点の頂点に前記マスクを当接することを特徴とする請求項1に記載のマスク用保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクを装着する際に、マスクが人体に密着しすぎないようにするために、マスクと人体との間に装着するマスク用保持具である。
【背景技術】
【0002】
外出時の店舗に入る場合、人混みが多い公共交通機関を利用する場合、学校や職場等には必ずマスクを着用しなければならず、マスクを装着する時間を多く必要としている。
従来から、マスクを装着する際にマスクの一定の形状を維持し、鼻を圧迫しないながら、マスク内部の結露現象を抑えてマスクに装着する保持具が提案されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1に、鼻と耳に掛けられた樹脂成形のフレーム6の弾性力と、このフレーム6の鼻掛け部7の基部と側部8に設けられた支持部に掛けられた伸縮紐12の張力で、不織布の内側フィルター2を外側の面から鼻、頬、及び顎に連続的に押し当て、顔との隙間を少なくし、フィルターの面積を大きくして鼻腔と口周り、前部と左右の頬、及び顎を覆う発明が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献2に、使用者の顔面をカバーし、内面と使用者の顔面との間に呼吸空間を形成するマスク本体と、呼吸空間の一側に設置され、外部からマスク本体を経由した空気が内部に満たされる空気袋と、吸気時に空気袋内部の空気を呼吸空間に供給し、呼気時に呼吸空間内部の空気を外部に排出するように動作する空気案内部材と、を含むことを特徴とする汚染物質吸入防止用マスクの発明が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献3に、外鼻と口脣の位置に対応する中央部1が突出して全体として膨らんでいる形状を有するマスク本体10と、中央部1に形成された複数の通気孔2と、鼻柱に接触するマスク本体10の上側に位置する鼻柱支持部3と、鼻柱支持部3の両側にそれぞれ離隔して配置された左側外鼻支持部材11及び右側外鼻支持部材12と、マスク本体10の下部の少なくとも一部分に備えられ、使用者の呼気を排出するための通路を形成する空気排出エンボス6とを含む機能性マスクが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016− 93318号公報
【特許文献2】特表2018−512235号公報
【特許文献3】特開2019− 90157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のマスク用保持具は、装着するのに手間が掛かっていたり、また、大きく口の部分を覆ってしまい却って会話がし難くなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、マスクと人体の間に装着することが可能であって、会話がし易く、呼吸空間を確保しながらも装着時に直接的なマスクの締め付けることが少ないマスク用保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
マスクに設けられる弾性部材やマスク自身の弾性力により前記マスクと人体の間に装着するマスク用保持具であって、
略円形状であって人体に当接する人体当接部と、
前記人体当接部の周囲に前記マスクと前記人体との密着度合いを遠ざける方向に起立し前記マスクと当接する起立部と、
前記起立部により形成し、前記人体の口及び鼻の位置に開口する円形状の開口部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、マスクを人体に密着する度合いを緩和し、直接的なマスクの締め付けや息苦しくもなく、呼吸や会話がし易くなる。また眼鏡が曇らない等の効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のマスク用保持具を人に装着した様子を示す概要図である。
図2】実施形態のマスク用保持具の斜視図である。
図3】実施形態のマスク用保持具の正面図である。
図4】実施形態のマスク用保持具の右側面図である。
図5】実施形態のマスク用保持具の平面図である。
図6】実施形態のマスク用保持具の底面図である。
図7】実施形態のマスク用保持具の図3に示されるA−A線で切断した断面図である。
図8】実施形態のマスク用保持具の図3に示されるB−B線で切断した断面図である。
図9】実施形態の人がマスク用保持具及びマスクを装着した際の概要を現す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかるマスク用保持具について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0013】
図1から図9を参照し、マスク用保持具10の構造を説明する。図1は、実施形態のマスク1と人体Mの間にマスク用保持具10を装着した様子を示す概要図である。図2は、実施形態のマスク用保持具10の斜視図である。図3は、実施形態のマスク用保持具10の正面図である。図4は、実施形態のマスク用保持具10の右側面図である。図5は、実施形態のマスク用保持具10の平面図である。図6は、実施形態のマスク用保持具10の底面図である。図7は、実施形態の図3に示されるA−A線で切断したマスク用保持具10の断面図である。図8は、実施形態の図3に示されるB−B線で切断したマスク用保持具10の断面図である。図9は、実施形態の人がマスク用保持具10及びマスク1を装着した際の概要を現す概要図である。
【0014】
図1は、マスク1と人体Mの間にマスク用保持具10を装着した様子を示す概要図である。マスク1は、ウレタンマスク、不織布マスク及び布マスク等が使用可能であって、マスク1のゴムやウレタン素材の伸縮によりマスク用保持具10は、口周辺の人体Mに密着する。マスク用保持具10は、特に素材は限定しないが、塩化ビニル、ポリウレタン又はシリコン等の弾性のある樹脂により形成されおり、折り曲げて持ち運ぶことも可能である。
【0015】
図2及び図3に示すようにマスク用保持具10は、正面視においておにぎり型の略円形形状の真ん中に、大きく開口した開口部16を設けている。開口部16は、呼吸や会話がし易いように空間を確保している。
【0016】
マスク用保持具10の一端は、鼻に当接する鼻当接部11を円弧状に設けている。また、マスク用保持具10の他端は、顎に当接する顎当接部13を円弧状に設けている。また、マスク用保持具10の外周に頬、顎及び鼻等の人体Mに当接する人体当接部12を設けている。また、その人体当接部12の周囲に起立した起立部15を設けている。
【0017】
実施形態のマスク用保持具10の右側面図である図4又は実施形態の図3に示されるA−A線で切断したマスク用保持具10の断面図である図7に示すように、鼻当接部11は、鼻の形状に合わせ、山状に起伏し、鼻を覆い形成している。マスク用保持具10の中で厚みを厚く盛った盛り部18と鼻に沿いマスク1に当接するマスク鼻当接部17を形成している。
【0018】
盛り部18とマスク鼻当接部17を結ぶ傾斜αの角度は、水平線に対して50度から70度の傾斜が最も良い。
顎当接部13は、円弧状に下方に湾曲した湾曲部14を備えている。そして、顎当接部13は、湾曲した両端にマスク1に当接するマスク顎当接部19を2箇所に形成している。
【0019】
図5図6図8又は図9に示すように、マスク用保持具10は、円弧状の顎当接部13と山形状に起伏した鼻当接部11を形成している。
鼻当接部11は、鼻2の形状に合わせ、山状に起伏し、鼻2を覆い形成している。マスク用保持具10の中で厚みを厚く盛られた盛り部18を円弧状に形成している。盛り部18により鼻の形状が崩れ難くなっている。盛り部18は、起立部15の保持にも役立っている。盛り部18は、マスク用保持具10の中の通常の部分の厚さの1.3倍から2倍の厚みが良く、厚いのは、1.5倍の厚みとするのが最も良い。マスク用保持具10の通常の部分の厚みは約1mmである。
【0020】
人体当接部12は、20度から45度程度の傾斜を備え、人体Mに密着し易い傾斜である。また、起立部15は、マスク1に当接するが、人体Mには当接してはなく、人体Mとマスク1の密着を防ぐように、3mmから9mmの幅であって、鉛直若しくは鉛直から15度から30度の外側に向かう傾斜により人体Mとマスク1との間に空間を確保することが可能である。
【0021】
以上の構成により、マスク用保持具10は、人体当接部12の周囲にマスク1を人体Mから遠ざける方向に起立する起立部15を備え、その起立部15によって、呼吸や会話をするための開口である開口部16を形成することにより、マスク1を人体Mに密着する度合いを緩和し、締め付けや息苦しくなく、呼吸や会話がし易くする効果がある。開口部16の縦方向の開口(l)は72mmであり、横方向の開口(m)は、68mmである。
正面視から視た、マスク用保持具10全体に対して、開口部16の面積の比率は、80%から93%が最も良い。
【0022】
実施形態の人がマスク用保持具10及びマスク1を装着した際の概要を現す概要図である図9に示すように、マスク用保持具10は、小さな網掛けにより示した人体当接部12を外周に設け、人体当接部12の周囲に沿って大きな網掛けで示した起立部15を起立して設け、その起立部15の開口によって開口部16を形成することによって、人体Mの一部である口3の部分や鼻2の部分をマスク1に密着する度合いを緩和している。
以上の構成により、マスク用保持具10は、開口部16において、マスク1を人体Mに密着する度合いを緩和して、締め付けや息苦しくなく、呼吸や会話がし易くなる。
【0023】
湾曲部14に対する弧の頂点である頂点部21は、顎4に当接する部分である。特に、顎当接部13は、湾曲した両端にマスク1に当接するマスク顎当接部19を2箇所に形成している。この2点をマスク1に当接することにより、マスク1がずれることがない。
更に、マスク鼻当接部17と2箇所のマスク顎当接部19とにより、マスク1が垂れることを防いでる。これにより、開口部16において、マスク1を人体Mに密着する度合いを緩和して、締め付けや息苦しくなく、呼吸や会話がし易くなる。
【0024】
別形態の実施形態として、図3及び図9の破線に示す突起部25を説明する。突起部25は、マスク鼻当接部17の先端から、そのままの傾斜に沿って幅及び長さを3mmから8mmの大きさに突起して形成している。図9に示すようにマスク1aが更に人体Mの一部である口3の部分や鼻2の部分をマスク1に密着する度合いを緩和している。
これにより、開口部16において、マスク1を人体Mに密着する度合いを緩和して、締め付けや息苦しくなく、呼吸や会話がし易くなる。尚、突起部25の形状は、円弧状、円形状、四角形状等に限定することなく突起した形状であれば良い。
【0025】
(技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧に内に示すが、特に限定するものでもなく例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
【0026】
<第1の特徴点>
マスク(例えば、主にマスク1、ウレタンマスクや不織布マスク等)に設けられる弾性部材やマスク自身の弾性力により前記マスクと人体の間に装着するマスク用保持具(例えば、主にマスク用保持具10)であって、略円形状であって人体に当接する人体当接部(例えば、主に人体当接部12)と、前記人体当接部の周囲に前記マスクと前記人体との密着度合いを遠ざける方向に起立し前記マスクと当接する起立部(例えば、主に起立部15)と、前記起立部により形成し、前記人体の口(例えば、主に口3)及び鼻(例えば、主に鼻2)の位置に開口する円形状の開口部(例えば、主に開口部16)と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
以上の特徴により、本発明のマスク用保持具は、マスクを人体に密着する度合いを緩和し、直接的なマスクの締め付けや息苦しくもなく、呼吸や会話がし易くなる。また眼鏡が曇らない等の効果もある。
【0028】
<第2の特徴点>
前記人体当接部の顎の部分に当接する顎当接部(例えば、主に顎当接部13)は、顎から鼻に沿って切断した断面の形状を湾曲して形成した湾曲部(例えば、主に湾曲部14)を設け、湾曲部の2点の頂点(例えば、主にマスク顎当接部19)に前記マスクを当接することを特徴とする。
本発明のマスク用保持具は、マスクを人体に密着する度合いを緩和し、直接的なマスクの締め付けや息苦しくもなく、呼吸や会話がし易くなる。また眼鏡が曇らない等の効果もある。
【0029】
<第3の特徴点>
前記湾曲部は、顎に向かった曲面を備えたことを特徴とする。
本発明のマスク用保持具は、マスクを人体に密着する度合いを緩和し、直接的なマスクの締め付けや息苦しくもなく、呼吸や会話がし易くなる。また眼鏡が曇らない等の効果もある。
【0030】
<第4の特徴点>
前記起立部は、2mmから9mmの幅にて円形状に囲い且つ断面の形状が湾曲して設けられていることを特徴とする。
本発明のマスク用保持具は、マスクを人体に密着する度合いを緩和し、直接的なマスクの締め付けや息苦しくもなく、呼吸や会話がし易くなる。また眼鏡が曇らない等の効果もある。
【0031】
<第5の特徴点>
鼻の位置にある前記起立部の先端部分に人体から遠ざかる方向に突起する突起部(例えば、主に突起部25)を備えたこと特徴とする。
本発明のマスク用保持具は、マスクを人体に密着する度合いを緩和し、直接的なマスクの締め付けや息苦しくもなく、呼吸や会話がし易くなる。また眼鏡が曇らない等の効果もある。
【符号の説明】
【0032】
1…マスク、2…鼻、3…口、4…顎、10…マスク用保持具、11…鼻当接部、
12…人体当接部、13…顎当接部、14…湾曲部、15…起立部、16…開口部、
17…マスク鼻当接部、18…盛り部、19…マスク顎当接部、21…頂点部、M…人体。
【要約】
【課題】本発明は、マスクと人体の間に装着することが可能であって、会話がし易く、呼吸空間を確保しながらも装着時に締め付けることが少ないマスク用保持具を提供することにある。
【解決手段】マスク1に設けられる弾性部材やマスク自身の弾性力によりマスクと人体の間に装着するマスク用保持具10であって、略円形状であって人体に当接する人体当接部12と、人体当接部の周囲にマスク1と人体Mとの密着度合いを遠ざける方向に起立しマスク1と当接する起立部15と、起立部により形成し、人体Mの口3及び鼻2の位置に開口する円形状の開口部16と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9