特許第6945103号(P6945103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6945103-カップ食品用容器の蓋材及びカップ食品 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945103
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】カップ食品用容器の蓋材及びカップ食品
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20210927BHJP
   B65D 81/36 20060101ALI20210927BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   B65D81/34 B
   B65D81/36 X
   B65D51/24 500
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-123827(P2017-123827)
(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公開番号】特開2019-6451(P2019-6451A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】521114413
【氏名又は名称】株式会社豆ま喜
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 由美
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−219130(JP,A)
【文献】 米国特許第3931925(US,A)
【文献】 米国特許第2598987(US,A)
【文献】 実開平1−143977(JP,U)
【文献】 特開2012−215565(JP,A)
【文献】 特開平9−72773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 81/36
B65D 51/24
A47G 21/04
G01F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ食品用容器の上縁に接着されるシート状の蓋材であって、
基部と、前記基部から延出する摘みと、を有し、前記基部の裏面と表面の少なくとも何れか一方にはY字状の折り線が設けられており、
前記Y字状の折り線は、前記基部の中心から放射状に延びる第1,第2及び第3の折り線からなり、
前記基部の裏面と表面の少なくとも何れか一方には第4の折り線が設けられ、前記第4の折り線は前記基部の中心から前記第2の折り線とは逆方向に前記基部の周縁に向かって延び、
前記基部を前記Y字状の折り線に沿って谷折り又は山折りすることにより立体形状が形成され、前記立体形状の後端部を前記第4の折り線に沿って折り畳むことによりレンゲスプーン様の立体形状が形成され、前記後端部が把持部として機能し、
前記基部のうち前記第2折り線と前記第3折り線とで囲まれた部分が食品を載せるすくい部として機能し、レンゲスプーンとして使用可能な蓋材。
【請求項2】
前記第2の折り線に対する前記第3の折り線の角度は65°〜75°であることを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
【請求項3】
食品入りの容器と、前記容器の上開口を覆う請求項1又は2に記載の蓋材と、を備えるカップ食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンゲスプーンとして使用可能なカップ食品用容器の蓋材と、これを用いたカップ食品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なカップ入りのインスタント食品は、シート状の蓋を容器から半分程度剥がして熱湯を注ぎ、蓋を閉じて所定時間待つことで食べ頃に加熱され、その後に蓋を剥がして食されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−16282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばカップ麺を箸で食べようとすると、汁が飛び散り服を汚してしまうことがある。また、幼児等には火傷防止のために食品を一旦冷ましてから与えることがあるが、箸だけでは冷ましにくい。一方、レンゲスプーンに食品を載せて食べれば汁の飛び散りを抑制できる。また、レンゲスプーンに食品を載せれば簡単に食品を冷ますことができ、そのまま幼児の口に運ぶこともできる。しかしながら、野外で食べる場合等、必ずしも手元にレンゲスプーンがあるとは限らず、レンゲスプーンを使用したくても使用できない場合があった。
【0005】
そこで本発明は、レンゲスプーンとして使用可能なカップ食品用容器の蓋材及びこれを用いたカップ食品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蓋材は、カップ食品用容器の蓋材であって、シート状の基部を有し、基部の裏面と表面の少なくとも何れか一方にはY字状の折り線が設けられており、前記基部を前記折り線に沿って谷折り又は山折りすることによりレンゲスプーンとして使用可能であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のカップ食品は、食品入りの容器と、前記容器の上部開口を覆う上記蓋材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蓋材には折り線が設けられているので、この折り線を目印又はガイドに折ることで蓋材をレンゲスプーンとして用いることができる。よって、周囲にレンゲスプーンがない状況においても、蓋材をレンゲスプーンとして使用することで汁の飛び散りを防止したり、食品を簡単に冷ましたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るカップ食品を示す斜視図。
図2図1に示すカップ食品で用いられる蓋材の平面図であって、(a)は裏面、(b)は表面を示す図。
図3図2に示す蓋材の折り方を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係るカップ食品及びカップ食品用容器の蓋材について説明する。
【0011】
図1を参照して、本実施形態に係るカップ食品1は、例えば即席カップ麺に代表されるカップ入り食品であって、食品(図示せず)が入った容器(カップ食品用容器)2の上縁に蓋材3が接着されている。蓋材3はシート状であって、円形の基部31と、基部31から径方向外方に延出する摘み32と、が一体に形成されて構成されている。
【0012】
容器2内の食品を食べるには、摘み32を摘んで蓋材3を容器2から途中まで剥がし、所定量の熱湯を容器2内に注ぎ入れる。蓋材3を再び閉じて所定時間待つと、食品が食べ頃に加熱される。その後、蓋材3を剥がして食品を食べるが、このとき蓋材3を所要の通りに折ることにより蓋材3をレンゲスプーンとして用いることができる。
【0013】
より具体的に、図2に示す様に、蓋材3の裏面3aには、Y字の折り線4が設けられている。この折り線4は、基部31の中心P1又は中心P1近傍から放射状に延びる3本の折り線(第1の折り線41、第2の折り線42、第3の折り線43)からなり、第2の折り線42と第3の折り線43は、第1の折り線41を対称軸として互いに線対称とされている。また、蓋材3の表面3bには、く字型の折り線5が設けられている。この折り線5は、第1の折り線41の中途部に対応する起点P2から第2及び第3の折り線42,43とは逆方向に蓋材3(基部31)の周縁に向かって延びる2本の折り線(第4の折り線51,第5の折り線52)からなり、第4の折り線51と第5の折り線52とは、第1の折り線41を対称軸として互いに線対称とされている。
【0014】
そして、蓋材3をレンゲスプーンとして用いる場合には、まず蓋材3を折り線4に沿って谷折りにすることで、図3(a)に示す様に先端側に略三角錐状の空間部Sを有する立体形状を形成する。次に、当該立体形状の後端部を図3(b)に示す様に折り線5に沿って片側に折り畳むことにより、レンゲスプーン様の立体形状が出来上がる。
【0015】
このように蓋材3を折ることで、使用者は図3(b)に示す立体形状の後端部を把持し、食品を先端側の空間部Sに載せて食べることができる。即ち、当該立体形状の後端部は把持部Hとして機能し、空間部Sを規定する部分が食品を載せるためのすくい部Pとして機能する。
【0016】
ここで、第2の折り線42と第3の折り線43のなす角度θ1は65°〜75°であるのが好ましい。65°より小さいと、すくい部Pが狭くなりすぎて十分な量の食品を載せることができず、また75°よりも大きいと、すくい部Pが広くなりすぎて安定感に欠ける。また、第4の折り線51と第5の折り線52のなす角度θ2は90°〜120°であるのが好ましい。90°より小さいと、汁物を載せた際に汁がこぼれる虞が高くなり、また120°よりも大きいと把持部Hが小さくなり持ちにくくなるためである。
【0017】
このように、本実施形態に係るカップ食品1では、折り線4,5に沿って蓋材3を折ることにより蓋材3をレンゲスプーンとして利用できる。また、蓋材3には折り線4,5が設けられているため、蓋材3を容易に所望の形状に折ることができる。
【0018】
なお、折り線4,5としては、印刷線(実線や破線等)、エンボス線、或いは半切り加工線等であってよい。また、カップ食品1は即席カップ麺に限定されない。
【0019】
以上、本発明の実施形態に係るカップ食品及びカップ食品用容器の蓋材について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0020】
例えば、第4の折り線51及び/又は第5の折り線52を省略することもできる。また、第4の折り線51及び/又は第5の折り線52を表面3bに代えて/或いは表面3bに加えて裏面3aに設けてもよい。
【0021】
更に、上記実施形態においては、蓋材3の裏面3aにY字の折り線4を設けたが、Y字の折り線を蓋材3の裏面3aに代えて表面3bに設けても良い。この場合、蓋材3をY字の折り線に沿って山折りにすればよい。或いは、折り線4を蓋材3の裏面3aと表面3bの両方に設けても良い。
【0022】
また、上記実施形態においては、第4及び第5の折り線51,52の起点P2を第1の折り線41の中途部としたが、起点P2はこのような第1の折り線41の中途部に限定されず、当該中途部と中心P1の間の任意の位置とすることができ、基部31の中心P1を起点P2としても良い。このとき、蓋材3(基部31)の径が大きい程、起点P2の位置を中心P1寄りとし、径が小さい程、起点P2の位置を中心P1から離隔させることにより、蓋材3の大きさが異なっても把持しやすいレンゲスプーン様の立体形状が得られる。
【符号の説明】
【0023】
1 カップ食品
2 容器(カップ食品用容器)
3 蓋材
4 折り線
5 折り線
H 把持部
P すくい部
図1
図2
図3