(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945196
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】生物由来成分の抽出又は濃縮方法及び抽出又は濃縮装置
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20210927BHJP
A23B 7/005 20060101ALI20210927BHJP
A23L 3/16 20060101ALI20210927BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20210927BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20210927BHJP
A23L 2/10 20060101ALI20210927BHJP
A47J 27/16 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
A23L5/00 Z
A23B7/005
A23L3/16
A23L19/00 A
A23L19/00 B
A23L2/02 A
A23L2/10
A47J27/16 Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-62245(P2019-62245)
(22)【出願日】2019年3月28日
(65)【公開番号】特開2020-156437(P2020-156437A)
(43)【公開日】2020年10月1日
【審査請求日】2020年10月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518402875
【氏名又は名称】株式会社ほうじゅ倶楽部
(74)【代理人】
【識別番号】100142136
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】古屋 一高
(72)【発明者】
【氏名】古屋 陽佳
【審査官】
安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−56857(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1489941(CN,A)
【文献】
特開2007−038115(JP,A)
【文献】
特開2005−015722(JP,A)
【文献】
特開2005−137269(JP,A)
【文献】
特開2016−034261(JP,A)
【文献】
特開2011−125221(JP,A)
【文献】
特開2004−121970(JP,A)
【文献】
特開2010−124714(JP,A)
【文献】
特開2014−207894(JP,A)
【文献】
特開2016−185101(JP,A)
【文献】
特開2015−037400(JP,A)
【文献】
特開2011−147468(JP,A)
【文献】
特開2002−165574(JP,A)
【文献】
特開2006−288502(JP,A)
【文献】
特開平01−112950(JP,A)
【文献】
特開2016−146814(JP,A)
【文献】
特開2013−244267(JP,A)
【文献】
特開2008−105957(JP,A)
【文献】
清水純夫, 角田一, 牧野正義,光琳選書3 食品と香り,2004年01月30日,p117-119
【文献】
日本国特許庁,特許庁公報 周知・慣用技術集,1999年01月29日,p66-71
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B
A23L
A23N
A47J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体部分に液体部分が含有される生物又は該生物の一部が保持された処置室内に130℃以上1300℃以下の範囲となる気相状態の過熱水蒸気を充満させる加熱工程と、
前記過熱水蒸気の熱エネルギーにより前記固体部分から自然滲出された前記液体部分から水分を蒸発させた残りの部分を第一液状物として回収する第一回収工程と、
前記生物を構成する成分の一部を含んで前記処置室から排出された前記過熱水蒸気を復水させて第二液状物を生成する第二回収工程と、
前記第二液状物から前記生物を構成する成分を抽出又は濃縮する工程と、
を備え、
前記加熱工程にて、前記生物又は前記生物の一部を下方から加熱しつつ前記過熱水蒸気を前記生物又は該生物の一部の上方から導入して下方から排出する生物由来成分の抽出又は濃縮方法。
【請求項2】
前記第一液状物が滲出された後の前記固体部分をさらに固液分離して第三液状物を回収する第三回収工程を備える請求項1に記載の生物由来成分の抽出又は濃縮方法。
【請求項3】
固体部分に液体部分が含有される生物又は該生物の一部を内部に保持する処置室と、
該処置室内に充満させる過熱水蒸気を生成して該過熱水蒸気が前記処置室内にて130℃以上1300℃以下の範囲で気相状態になるまで加熱する蒸気発生部と、
前記過熱水蒸気の熱エネルギーにより前記固体部分から自然滲出された前記液体部分から水分を蒸発させた残りの部分を第一液状物として回収する貯留部と、
前記生物を構成する成分の一部を含んで前記処置室から排出された前記過熱水蒸気を復水させて第二液状物を生成する復水部と、
前記第二液状物から前記生物を構成する成分を抽出又は濃縮する抽出濃縮部と、
前記処置室内で前記生物又は該生物の一部を下方から加熱する加熱部と、
を備え、
前記過熱水蒸気が前記生物又は該生物の一部の上方から導入されて下方から排出される生物由来成分の抽出又は濃縮装置。
【請求項4】
前記第一液状物が滲出された後の前記固体部分をさらに固液分離する分離部を備える請求項3に記載の生物由来成分の抽出又は濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物由来成分の抽出又は濃縮方法及び抽出又は濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物由来成分として例えば食材となる生物に含有される汁それ自身を抽出して食材や工業材料等に利用することが行われている。このようなものとして、例えば、果実に含有される果汁から生成される果実飲料を加熱処理し濃縮させた果汁がある。
【0003】
果実飲料の多くは、果樹生産地及び近隣の工場で原料となる果実を洗浄後、加圧して搾り抽出した果汁に、アスコルビン酸や人工香料・ぶどう糖果糖液糖やショ糖・酸などを加えて甘味調合され、煮沸などの殺菌処理が行われた後に消費者に提供されている。しかし、加熱処理によるメイラード反応・カラメル化反応による褐変を最小限にする必要がある。そのため、加熱室内に大気圧を超える圧力で過熱水蒸気を充満させて空気を排除した還元雰囲気下に食材を保持して加熱する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−147468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、果実中に含まれる揮発性香料等の精油や不揮発性の油脂成分は過熱水蒸気に取り込まれ排気されてしまうため、得られた果汁には香りがほとんど残らない状態か、残存したとしても製造過程で揮発してしまう状態となる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、生物に対して適切な殺菌処理を行いつつも熱変や酸化を抑制するだけでなく、得られる生物由来成分中に当該生物らしさを十分に残すことが可能な生物由来成分の抽出又は濃縮方法及び抽出又は濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る生物由来成分の抽出又は濃縮方法は、固体部分に液体部分が含有される生物又は該生物の一部が保持された処置室内に
130℃以上1300℃以下の範囲となる気相状態の過熱水蒸気を充満させる加熱工程と、前記過熱水蒸気の熱エネルギーにより前記固体部分から自然滲出された前記液体部分から水分を蒸発させた残りの部分を第一液状物として回収する第一回収工程と、前記生物を構成する成分の一部を含んで前記処置室から排出された前記過熱水蒸気を復水させて第二液状物を生成する第二回収工程と、前記第二液状物から前記生物を構成する成分を抽出又は濃縮する工程と、を備え
、前記加熱工程にて、前記生物又は前記生物の一部を下方から加熱しつつ前記過熱水蒸気を前記生物又は該生物の一部の上方から導入して下方から排出する。
【0008】
また、本発明に係る生物由来成分の抽出又は濃縮方法は、前記第一液状物が滲出された後の前記固体部分をさらに固液分離して第三液状物を回収する第三回収工程をさらに備える。
【0009】
また、本発明に係る生物由来成分の抽出又は濃縮装置は、固体部分に液体部分が含有される生物又は該生物の一部を内部に保持する処置室と、該処置室内に充満させる過熱水蒸気を生成して該過熱水蒸気が
前記処置室内にて130℃以上1300℃以下の範囲で気相状態になるまで加熱する蒸気発生部と、前記過熱水蒸気の熱エネルギーにより前記固体部分から自然滲出された前記液体部分から水分を蒸発させた残りの部分を第一液状物として回収する貯留部と、前記生物を構成する成分の一部を含んで前記処置室から排出された前記過熱水蒸気を復水させて第二液状物を生成する復水部と、前記第二液状物から前記生物を構成する成分を抽出又は濃縮する抽出濃縮部と、
前記処置室内で前記生物又は該生物の一部を下方から加熱する加熱部と、を備え
、前記過熱水蒸気が前記生物又は該生物の一部の上方から導入されて下方から排出される。
【0010】
また、本発明に係る生物由来成分の抽出又は濃縮装置は、前記第一液状物が滲出された後の前記固体部分をさらに固液分離する分離部をさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生物に対して適切な殺菌処理を行いつつも熱変や酸化を抑制して得られる生物由来成分中に当該生物らしさを十分に残すことが可能な生物由来成分を抽出又は濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る製造装置の概要を示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る一実施形態について、
図1及び
図2を参照して説明する。
本実施形態に係る装置(抽出又は濃縮装置)10は、果肉部分(固体部分)Sに果汁(液体部分)Jが含まれた桃(生物)Pから果汁飲料や糖分を濃縮したものを製造する製造装置である。この装置10は、
図1に示すように、内部に桃Pを保持する処置室11と、処置室11内に充満させる過熱水蒸気を生成する蒸気発生部12と、果肉部分Sから滲出された果汁(第一液状物)J1を回収する貯留部13と、果汁Jの一部を含んで処置室11から排出された過熱水蒸気を復水させて第二液状物L2を生成する復水部15と、果汁J1が滲出された第一果肉残存部S1から果汁J2を分離する分離部16と、第二液状物L2から果汁J3(生物を構成する成分)を得る抽出濃縮部17と、装置本体18と、装置本体18の底部に配された加熱部20と、を備える。すなわち、装置10は、桃Pの果汁Jの製造装置である。
【0014】
蒸気発生部12は、過熱水蒸気のもととなる水を送るためのポンプ21と、水に含まれる不純物を取り除くろ過部22と、ろ過された水を貯蔵する貯水槽23と、貯水槽23の水を沸騰させる第一加熱部25と、沸騰水をさらに加熱して過熱水蒸気を生成する第二加熱部26と、これらを接続する第一配管部27と、を備える。第二加熱部26における加熱温度は、処置室11内での過熱水蒸気の温度が130℃以上1300℃以下の範囲となるよう抽出目的に応じて変化可能になっている。
【0015】
処置室11は、処置室本体28と、処置室本体28内で桃Pを載置するとともに桃Pから滲出される果汁J1が通過可能な孔30aが配された支持部30と、処置室11内に
支持部30を取り付ける係止部31と、を備える。貯留部13は、処置室11外に配された回収ポンプ32と、処置室本体28と回収ポンプ32とを連通する第二配管部33と、を備える。処置室本体28には、蒸気発生部12にて発生した過熱水蒸気を処置室本体28内に送り込む導入口28Aと、処置室本体28内の空気や過熱水蒸気を排出する排出口28Bと、が配されている。なお、装置本体18と処置室本体28とは連通されていても構わない。この場合、過熱水蒸気は装置本体18内に充満する。復水部15は、熱交換装置35を備えている。
【0016】
分離部16は、処置室11から取り出した第一果肉残存部S1に対してスクリュープレス又は遠心分離によりさらに第二果肉残存部S2と果汁J2とを分離する。抽出濃縮部17は、第二液状物L2を貯留する抽出濃縮槽36と、抽出濃縮槽36内に配された超音波振動子37と、を備える。復水部15と抽出濃縮槽36とは、例えば不図示の真空フランジで接続されており、処置室11から抽出濃縮部17まで外部から空気が混入されないようになっている。この抽出濃縮部17では、第二液状物L2から水分を分離して果汁J3を得る。
【0017】
次に本実施形態に係る果汁Jの製造方法について装置10の作用とともに説明する。
この抽出方法は、
図2に示すように、洗浄工程(S01)、前処理工程(S02)、加熱工程(S03)、第一回収工程(S04)、第二回収工程(S05)、濃縮工程(S06)、第三回収工程(S07)、及び混合工程(S08)と、を備える。
【0018】
洗浄工程(S01)では、桃Pの表面を洗浄する。前処理工程(S02)では、桃Pの表皮及び種子を除去して果肉部分Sを作成する。作成した果肉部分Sを貯留部13の処置室本体28内の支持部30に載置する。一方、処置室11の加熱部20を加熱して処置室11内を所定の温度に予備加熱する。処置室本体28を予備加熱することによって加熱工程(S03)にて過熱水蒸気が導入された際に過熱水蒸気の温度が極端に低下してしまうことを規制する。その後、処置室本体28を処置室11内に配置する。
【0019】
加熱工程(S03)では、蒸気発生部12を稼働して処置室本体28内に過熱水蒸気を導入する。この際、まず第一加熱部25にて水を沸騰させ、さらに第二加熱部26にて昇温する。液相から気相となった水蒸気を過熱させると170℃で逆転点となり、水蒸気は乾燥ガス(H
2Oガス)となる。このときの過熱水蒸気の温度及び加熱時間は抽出目的に応じて予め設定されている。例えば、芽胞菌や枯草菌などの殺菌を行う場合には、過熱水蒸気の温度が350℃以上となるように加熱する。この過熱水蒸気を導入口28Aから処置室本体28内に導入する。こうして、処置室本体28内は過熱水蒸気が充満する一方、処置室本体28内にあった空気が排出口28Bから排出される。
【0020】
第一回収工程(S04)では、果肉部分Sから滲出された果汁J1を回収する。すなわち、過熱水蒸気が果肉部分Sの表面に付着することによって、過熱水蒸気の熱エネルギー(顕熱及び潜熱)が果肉部分Sを加熱させ、表面に付着した水蒸気が蒸発して気化する。このとき、過熱水蒸気によって加熱された果肉部分Sの内部に含有される果汁Jが果肉部分Sの表面に滲出される。この際、果汁J中の水分の一部が沸騰することにより果汁Jが濃縮され、果汁J1となって支持部30の孔30aを介して処置室本体28内に貯留される。貯留された果汁J1は回収ポンプ32によって第二配管部33を介して回収される。一方、果肉部分Sは、果汁J1が滲出されて第一果肉残存部S1となる。
【0021】
第二回収工程(S05)では、処置室11から排出された過熱水蒸気を復水させて第二液状物L2を生成する。すなわち、復水部15の熱交換装置35によって過熱水蒸気を復水する。このとき、復水されて生成された第二液状物L2には桃Pの香り成分である揮発成分や不飽和酸等、また不飽和酸等や飽和酸が含まれる。
【0022】
濃縮工程(S06)では、第二液状物L2から水分を分離して香り成分等が濃縮された果汁J2を得る。まず、第二液状物L2が貯留された抽出濃縮槽36にて、抽出濃縮槽36内に配された超音波振動子37を稼働して所定波長の超音波を第二液状物L2の液面に向けて放射する。この際、超音波によって第二液状物L2から水分がミスト状になって放出され、水分が除去されることによって第二液状物L2が濃縮されて香り成分等を含む果汁J2が得られる。
【0023】
第三回収工程(S07)では、第一果肉残存部S1を処置室11から取り出し、分離部16にて固液分離して果汁(第三液状物)J3を回収する。分離手段として、残った第二果肉残存部S2の使用用途に応じてスクリュープレスや遠心分離機が選択される。例えば、第二果肉残存部S2をピューレ化する場合にはスクリュープレスが使用されるが、これらの機器に限定されるものではない。こうして、混合工程(S08)にて果汁J1,J2,J3を混合することによって濃縮されかつ桃本来の香りを有する果汁Jが得られる。
【0024】
この装置10及び果汁Jの製造方法によれば、加熱工程(S03)にて処置室11内を過熱水蒸気によって無酸素環境とすることができ、空気中に含まれている酸素による水溶性ビタミン類の損失を防ぐとともに、果肉部分Sを短時間で高温にすることができる。また、果肉部分Sに含まれるメイラード反応・カラメル化反応に係る酵素を破壊して褐変を抑制することができる。一方、過熱水蒸気に含まれて処置室11から排出された成分を第二回収工程(S05)及び濃縮工程(S06)にて果汁J2として回収することができる。すなわち、桃Pの自然な香りを残存させた果汁J2を得ることができる。また、第三回収工程(S07)にて第一果肉残存部S1を固液分離させることにより、果汁J1だけでなく、第二果肉残存部S2及び果汁J2を得ることができる。さらに、果汁2から香り成分等や不飽和酸等や飽和酸を抽出することも可能となる。
【0025】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、果汁J1をさらに処置室11内に戻して過熱水蒸気によって加熱して残存する水分を蒸発させて濃縮してもよい。また、果汁J2を果汁J1と混合せずに果汁J2から香料等をさらに抽出してもよい。さらに、濃縮工程(S06)において、抽出濃縮槽36内に配された超音波振動子37を稼働して超音波を液面に向けて放射するとしているが、ここでの方法はこれに限らず、真空蒸発濃縮・凍結濃縮・逆浸透膜濃縮等の方法を用いても構わない。
【0026】
また、上記実施形態では桃Pについて説明したが、桃Pに限らず他の果物でも構わない。例えば、梨の果汁を製造する装置及び方法は桃Pと同様で構わない。しかし、スモモのように果皮成分と果肉成分とが異なり何れも有用な場合には、果皮部分と果肉部分とを別々にそれぞれ桃Pと同様に実施する必要がある。また、ぶどうの場合は、前処理工程で果皮を取り除くのではなく、果皮がついたまま加熱工程(S03)に移行して加熱後にあらためて果皮を除去してもよい。さらに、イチゴの場合は前処理工程で種子を除去せず実施することができる。そして、得られた果汁を果汁としてだけでなく、色付けを行うための添加物・顔料として使用してもよい。
【0027】
さらに、果実によっては果汁J1〜J3のすべてを利用する必要はなく、味や色等を考慮して適宜選択してもよい。そして、果実に限らず野菜を使用してもよい。例えば、トマトを使用する場合、第一液状物には青臭ささのもととなる2−ヘキサナールが含まれるため、これを除去することによって飲みやすいトマトジュースやペースト・ピューレを得ることができる。
【0028】
また、果実や野菜だけでなく他の植物や魚、動物等他の生物でもよい。例えば、花やヒノキ・ヒバなどの木を用いる場合、加熱工程による温度や時間を調整することによって第二液状物から抗酸化ヒノキチオール等の植物油を抽出することができる。また、動物性脂肪を加熱することによって飽和脂肪酸である油脂を抽出することもできる。
【符号の説明】
【0029】
10 装置(抽出又は濃縮装置)
11 処置室
12 蒸気発生部
13 貯留部
15 復水部
16 分離部
17 抽出濃縮部
J 果汁(液体部分)
J1 果汁(第一液状物)
J3 果汁(第三液状物)
L2 第二液状物
P 桃(生物)
S 果肉部分(固定部分)