(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラ部は、前記2N相のクロックの中から、前記サンプリングクロックよりも1つ以上位相が進んだクロックのうちのいずれか1つを前記第1クロックに指定し、前記サンプリングクロックよりも1つ以上位相が遅れたクロックのうちのいずれか1つを前記第2クロックに指定する
請求項1〜3のいずれか1項に記載のクロックリカバリシステム。
前記PLL部は、位相周波数比較結果信号を出力する位相周波数比較部と、前記位相周波数比較部によって出力される位相周波数比較結果信号に基づいて、フィードバッククロック及び前記2N相のPLLクロックを生成するオシレータ部とを備え、
前記位相周波数比較部は、前記受信クロックが外部から入力される場合に非アクティブになり、前記受信クロックが外部から入力されない場合にアクティブになるモード選択信号に基づいて、当該モード選択信号がアクティブの場合に、前記周波数調整部によって生成される周波数調整信号を前記位相周波数比較結果信号として出力し、当該モード選択信号が非アクティブの場合に、前記受信クロックと前記フィードバッククロックとの位相周波数比較結果を前記位相周波数比較結果信号として出力し、
前記オシレータ部は、前記モード選択信号に基づいて、当該モード選択信号がアクティブの場合に、前記第1位相比較信号と前記第2位相比較信号とに基づく第2位相調整を行って、前記フィードバッククロックの生成及び前記2N相のPLLクロックの生成を行い、当該モード選択信号が非アクティブの場合に、前記第2位相調整を行わずに、前記フィードバッククロックの生成及び前記2N相のPLLクロックの生成を行う
請求項3に記載のクロックリカバリシステム。
前記コントローラ部は、前記受信データの、最も短いデータ遷移周期を示すクロック情報信号を受信する場合に、当該クロック情報信号によって示されるデータ遷移周期を前記データレートとして、前記nの指定を行う
請求項1〜7のいずれか1項に記載のクロックリカバリシステム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本発明の一態様を得るに至った経緯)
近年、映像の高画質化、音声の高音質化に伴って機器間を伝送する情報量が増加しており、それに伴って機器間の信号伝送速度の向上が望まれている。例えば、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)に準拠した表示装置において画素数が“7680×4320”である8K4Kパネルに動画像を表示する場合、1レーンあたり12Gbpsの信号伝送速度が必要となる。一方、HDMI(登録商標)においては下位互換性が重要視されており、例えば信号伝送速度が250MbpsとなるDVDプレーヤが接続された場合でも正常に出画しなくてはならない。このように、近年の機器間通信においては、超高速のデータ伝送だけでなく低速のデータ伝送にも対応しなければならない。
【0009】
特許文献1には、高速データ受信に対応した受信回路が開示されている。この受信回路は、データと、データのハーフレートの位相が90°ずつずれた4相の第1から第4のクロックとの間の位相を比較するものである。また、特許文献2にはPAM4受信に対応した受信回路が開示されている。
【0010】
しかし、特許文献1、特許文献2等に記載された従来技術の単なる組み合わせでは、受信回路のクロックの周波数が、データ伝送レートのハーフレートに限定されるため、例えば12Gbpsのデータを受信する場合には、受信回路のクロックの周波数が6GHzと超高速になり、位相比較動作、及び後段に接続されるデジタル回路の動作タイミングが非常に厳しくなる。また、250Mbpsのデータを受信する場合には、受信回路のクロックの周波数が125MHzと比較的遅くなるため、データを受信してからクロックの位相を調整するまでにかかる遅延時間が比較的大きくなり、受信回路の追従速度が比較的遅くなる。このため、比較的低いデータ転送レートのデータを受信する場合には、受信特性が劣化してしまう。
【0011】
発明者は、上記課題に鑑み、下記本開示の一態様に係るクロックリカバリシステムに想到した。
【0012】
本開示の一態様に係るクロックリカバリシステムは、受信データを受信するクロックリカバリシステムであって、前記受信データを2N(Nは1以上の整数)相のクロックでサンプリングし、1クロックサイクル毎に、2N×M(Mは1以上の整数)個のサンプリング信号を出力するサンプラ部と、前記1クロックサイクル毎に、前記2N×M個のサンプリング信号から、n(nは1以上N以下の整数)×M個の復元信号を選択して出力するデータ選択部と、前記1クロックサイクル毎に、前記n×M個の復元信号各々について、当該復元信号と、当該復元信号をサンプリングするサンプリングクロックよりも、1つ以上位相が進んだ第1クロックでサンプリングされた第1サンプリング信号と、当該サンプリングクロックよりも1つ以上位相が遅れた第2クロックでサンプリングされた第2サンプリング信号とに基づいて、前記2N相のクロックの位相に係る位相比較信号を出力する位相比較部と、前記受信データのデータレートに基づいてnを指定するコントローラ部と、前記位相比較部から出力される位相比較信号と、前記コントローラ部によって指定されるnとに基づいて、前記受信データのデータレートの1/nの周波数からなる前記2N相のクロックを生成して出力する多相クロック生成部とを備える。
【0013】
上記構成のクロックリカバリシステムによると、コントローラ部は、受信データのデータレートに応じて、受信データのデータレートが比較的高い場合には、nを比較的大きな値に指定し、受信データのデータレートが比較的低い場合には、nを比較的小さな値に指定することが可能である。従って、上記構成のクロックリカバリシステムは、従来よりも広い周波数帯域の信号を受信し得る。
【0014】
以下、本開示の一態様に係るクロックリカバリシステムの具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0015】
(実施の形態1)
図1、
図2は、それぞれ、実施の形態1に係るクロックリカバリシステムを含んで構成される送受信システム1、送受信システム2の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示されるように、送受信システム1は、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10と伝送路20と伝送路30と送信システム40とを含む。
【0017】
送信システム40は、受信データRXDATA(論理信号)を生成するTXロジック401aと、TXロジック401aにより生成された受信データRXDATAを伝送路20に出力するTXドライバ401bとを備えている。また、送信システム40はクロックを生成するPLL401cをさらに備え、TXロジック401aにクロックを供給するとともに、TXドライバ401dを通して伝送路30にクロックを出力する。
【0018】
本システムはクロックフォワードシステムと呼ばれるシステムであり、送信側のシステムが、受信データRXDATAと共に、受信データRXDATA生成する際に利用されるクロックを伝送するシステムである。
【0019】
図2に示されるように、送受信システム2は、クロックリカバリシステム10と伝送路20と伝送路60と送信システム50とを含む。
【0020】
送受信システム1との相違点は、送受信システム2の送信システム50が、送受信システム1における送信システム40のTXドライバ401dの代わりにAUXドライバ501dを備えている点と、送受信システム2の送信システム50が、伝送路30にクロックを出力せずに、伝送路60に、受信データRXDATAのデータレート、使用レーン数等の情報を含むAUXデータを出力する点とである。一般に、AUXデータは受信データRXDATAより低いデータレートである。本システムはクロックエンベデッドシステムと呼ばれるシステムであり、送信側のシステムが、受信データRXDATAと共に、受信データRXDATAのデータレートに係る情報を含むAUXデータを伝送するシステムである。
【0021】
このように、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10は、クロックフォワードシステムとクロックエンベデッドシステムとの双方に適用され得る。
【0022】
図3は、クロックリカバリシステム10の構成を示すブロック図である。
【0023】
図3に示されるように、クロックリカバリシステム10は、サンプラ部11とクロックリカバリ部12とを備える。
【0024】
サンプラ部11は、伝送路20を通過した受信データRXDATAを、2N(Nは2以上の整数)相のクロックSMPCLKでサンプリングし、1クロックサイクル毎に2N個のサンプリング信号SMPDATAを出力する。
【0025】
クロックリカバリ部12は、1クロックサイクル毎に、サンプラ部11から出力された2N個のサンプリング信号SMPDATAを受信する。そして、2N相のクロックSMPCLKを出力すると共に、1クロックサイクル毎に、2N個のサンプリング信号SMPDATAの中からn(nは1以上N以下の整数)個の復元信号RDOUTを選択して出力する。
【0026】
クロックリカバリ部12は、位相比較部101とデータ選択部102と多相クロック生成部103とコントローラ部104とを備える。2N個のサンプリング信号SMPDATAは、位相比較部101及びデータ選択部102に供給される。
【0027】
データ選択部102は、1クロックサイクル毎に、2N個のサンプリング信号SMPDATAから、n個の復元信号RDOUTを選択して出力する。
【0028】
位相比較部101は、1クロックサイクル毎に、n個の復元信号RDOUT各々について、復元信号RDOUTと、復元信号RDOUTをサンプリングするサンプリングクロックCKよりも、1つ以上位相が進んだ第1クロックCLKLAGでサンプリングされた第1サンプリング信号と、サンプリングクロックCKよりも、1つ以上位相が遅れた第2クロックCKLEADでサンプリングされた第2サンプリング信号と基づいて、2N相のクロックSMPCLKの位相に係る位相比較信号を出力する。
【0029】
コントローラ部104は、受信データRXDATAのデータレートに基づいてnを指定する。また、コントローラ部104は、2N相のクロックSMPCLKの中から、サンプリングクロックCKよりも1つ以上位相が進んだクロックのうちのいずれか1つを第1クロックCLKLAGに指定し、サンプリングクロックCKよりも1つ以上位相が遅れたクロックのうちのいずれか1つを第2クロックCKLEADに指定する。
【0030】
多相クロック生成部103は、位相比較部101から出力される位相比較信号と、コントローラ部104によって指定されるnとに基づいて、受信データRXDATAのデータレートの1/nの周波数からなる2N相のクロックSMPCLKを生成して出力する。
【0031】
図4は、位相比較部101の基本的な位相比較動作を示すタイミングチャートである。
【0032】
位相比較部101は、第1クロックCKLAGと第2クロックCKLEADとにより規定される位相比較ウィンドウに受信データRXDATAのデータ遷移エッジが存在する場合に位相比較信号を活性化させる。より詳しくは、位相比較部101は、復元信号と第1サンプリング信号とに基づいて、サンプリングクロックCKによるサンプリングのタイミングと、第1クロックCKLAGによるサンプリングのタイミングとの間の第1期間に、受信データRXDATAのデータ遷移エッジが存在する場合に活性化される第1位相比較信号LAGを出力する。そして、位相比較部101は、復元信号と第2サンプリング信号とに基づいて、サンプリングクロックCKによるサンプリングのタイミングと、第2クロックCKLEADによるサンプリングのタイミングとの間の第2期間に、受信データRXDATAのデータ遷移エッジが存在する場合に活性化される第2位相比較信号LEADを出力する。ここで、第1位相比較信号は、サンプリングクロックCKと、第1クロックCKLAGと、第2クロックCKLEADとの位相をそれぞれ遅らせるための信号であり、第2位相比較信号は、サンプリングクロックCKと、第1クロックCKLAGと、第2クロックCKLEADとの位相をそれぞれ進めるための信号である。
【0033】
第1期間及び第2期間は、受信データRXDATAとサンプリングクロックCKとの位相が一致した状態において受信データRXDATAのデータ遷移エッジが含まれないように設定される。
【0034】
次に、
図5A、
図5B、
図5Cを用いて、位相比較部101の詳細な動作について説明する。
【0035】
図5Aは、受信データRXDATAのデータレートが比較的低い(ここでは例えば、数百MHz程度)場合における、位相比較部101の位相比較動作を示すタイミングチャートである。
図5Bは、受信データRXDATAのデータレートが比較的中程度(ここでは例えば、数GHz程度)場合における、位相比較部101の位相比較動作を示すタイミングチャートである。そして、
図5Cは、受信データRXDATAのデータレートが比較的高い(ここでは例えば、十数GHz程度)場合における、位相比較部101の位相比較動作を示すタイミングチャートである。
【0036】
上述したように、位相比較部101には、受信データRXDATAを2N相のクロックSMPCLKでサンプリングした2N個のサンプリング信号SMPDATAが与えられる。2N個のサンプリング信号SMPDATAの内n個を復元信号RDOUTとして選択する場合、2N相のクロックSMPCLKのクロック周波数は、受信データRXDATAのデータレートの1/nとなる。
【0037】
受信データRXDATAのデータレートが最も速くなる場合、クロックリカバリシステム10は、後段のデジタル回路のタイミングマージンを確保するため、またPLLの最大発振周波数を低く抑えるため、データの処理並列度を比較的高くして、2N相のクロックSMPCLKのクロック周波数を比較的低く抑えることが望ましい。このため、この場合には、コントローラ部104は、nの値を最大値であるNに指定し、位相比較部101は、
図5Cの位相比較モードCに示される位相比較動作を行う。位相比較モードCにおいては、2N個のサンプリングデータ全てを位相比較用に使用する。例えば、k番目(kは1以上n以下の整数)のサンプリングクロックCK(k)と、k−1番目のサンプリングクロックCKE(k−1)との間に受信データRXDATAのデータ遷移エッジが存在する場合は、第1位相比較信号LAG(k−1)をアクティブにし、サンプリングクロックCK(k)とサンプリングクロックCKE(k)との間に受信データRXDATAのデータ遷移エッジが存在する場合は、第2位相比較信号LEAD(k)をアクティブにする。
【0038】
一方、受信データRXDATAのデータレートが最も遅くなる場合、クロックリカバリシステム10は、位相比較動作を行ってから2N相のクロックSMPCLKの位相が調整されるまでの遅延時間を極力小さく抑えるため、データの処理並列度を比較的小さくして、2N相のクロックSMPCLKのクロック周波数を比較的高くすることが望ましい。このため、この場合には、コントローラ部104は、nの値を最小値である1に指定し、位相比較部101は、
図5Aの位相比較モードAに示される位相比較動作を行う。位相比較モードAにおいては、2N個のサンプリングデータの内位相比較用に使用するデータを限定する。例えば、サンプリングクロックCKと、第1クロックCKLAGとの間に受信データRXDATAのデータ遷移エッジが存在する場合は第1位相比較信号LAGを活性化する。ここで、位相比較動作に使用するサンプリングデータは2N個の中から選択可能である。
【0039】
図6Aは、サンプリングクロックCKとの位相差が比較的小さいクロックでサンプリングされたサンプリングデータを位相比較動作に使用する位相比較モード1における、位相比較動作を示すタイミングチャートであり、
図6Bは、サンプリングクロックCKとの位相差が比較的大きいクロックでサンプリングされたサンプリングデータを位相比較動作に使用する位相比較モード2における、位相比較動作を示すタイミングチャートである。
【0040】
図6Aに示されるように、サンプリングクロックCKとの位相差が比較的小さいクロックでサンプリングされたサンプリングデータを位相比較動作に使用した場合は、位相比較動作における不感帯の大きさが比較的大きくなるため、高周波ジッタに対する耐性が大きくなる。
【0041】
一方で、
図6Bに示されるようにサンプリングクロックCKとの位相差が比較的大きいクロックでサンプリングされたサンプリングデータを位相比較動作に使用した場合は、位相比較動作における不感帯が比較的小さくなる又はなくなるため低周波ジッタに対する耐性が大きくなる。
【0042】
このように、コントローラ部104は、送信システム40もしくは50のジッタ特性に応じて、第1クロックCKLAGと第2クロックCKLEADの指定とを行うことで、クロックリカバリシステム10の受信特性をフレキシブルに調整できる。
【0043】
図5Bに示される位相比較モードBは、
図5Aに示される位相比較モードAと、
図5Cに示される位相比較モードCの間のデータ処理並列度である。位相比較モードBにおいても、位相比較動作に使用するサンプリングデータは選択可能である。なお、位相比較モードは、複数であれば、必ずしも上記位相比較モードA、位相比較モードB、位相比較モードCの3つである例に限定されない。
【0044】
図7A、
図7B、
図7Cは、2N=6の場合における位相比較動作例を示す模式図である。
図7Aは、位相比較モードAにおける位相比較動作例の模式図であり、
図7Bは、位相比較モードBにおける位相比較動作例の模式図であり、
図7Cは、位相比較モードCにおける位相比較動作例の模式図である。
図7A〜
図7Cにおいて、DATA0〜DATA5のそれぞれは、6つのサンプリングデータを示す。
【0045】
図7Aに示されるように、位相比較モードAでは、例えば、DATA0とDATA2との排他的論理和により第1位相比較信号LAGを生成し、DATA2とDATA4との排他的論理和により第2位相比較信号LEADを生成する。本例ではDATA1、DATA3、DATA5は使用しない。この場合には、例えば、DATA2が復元信号として選択される。また、別例として、例えば、DATA1とDATA2との排他的論理和で第1位相比較信号LAGを生成し、DATA2とDATA3との排他的論理和で第2位相比較信号LEADを生成するとしてもよい。この例の場合には、不感帯が比較的大きくなるため、高周波ジッタに対する耐性が比較的大きくなる。
【0046】
図7Bに示されるように、位相比較モードBでは、例えば、DATA0とDATA1との排他的論理和、及び、DATA3とDATA4との排他的論理和により第1位相比較信号LAG信号を生成し、DATA1とDATA2との排他的論理和、及び、DATA4とDATA5との排他的論理和により第2位相比較信号LEADを生成する。この場合には、例えば、DATA1とDATA4とが復元信号として選択される。
【0047】
図7Cに示されるように、位相比較モードCでは、例えば、DATA0とDATA1との排他的論理和、及び、DATA4とDATA5との排他的論理和で第2位相比較信号LEADを生成し、DATA1とDATA2との排他的論理和、及び、DATA3とDATA4との排他的論理和で第1位相比較信号LAGを生成する。この場合には、例えば、DATA0とDATA2とDATA4とが復元信号として選択される。
【0048】
図8は、多相クロック生成部103の構成を示すブロック図である。ここでは、多相クロック生成部103が、
図8に示される構成であるとして説明する。しかしながら、
図8に示される構成は一例であって、多相クロック生成部103は、必ずしも、
図8に示される構成に限定される必要はない。
【0049】
図8に示されるように、多相クロック生成部13は、位相調整部201と周波数調整部202と位相シフト部203とPLL部204とを備える。
【0050】
位相調整部201は、第1位相比較信号LAGと第1位相比較信号LEADとに基づいて、出力すべき2N相のクロックSMPCLKの位相を示す位相調整信号PHADJを生成する。
【0051】
周波数調整部202は、第1位相比較信号LAGと第2位相比較信号LEADとに基づいて、出力すべき2N相のクロックSMPCLKの周波数を示す周波数調整信号FRADJを生成する。
【0052】
PLL部204は、受信データRXDATAに同期する受信クロックRXCLKが外部から入力される場合に、その受信クロックRXCLKに同期させることで、2N相のPLLクロックPLLCLKの生成を行い、受信クロックRXCLKが外部から入力されない場合に、周波数調整部202によって生成される周波数調整信号FRADJによって示される周波数であって、第1位相比較信号LAGと第2位相比較信号LEADとに基づく位相の2N相のPLLクロックPLLCLKの生成を行う。
【0053】
位相シフト部203は、受信クロックRXCLKが外部から入力される場合に、PLL部204により生成された2N相のPLLクロックPLLCLKに対して、位相調整部201によって生成される位相調整信号によって示される位相となるように第1位相調整を行って2N相のクロックSMPCLKとして出力し、受信クロックRXCLKが外部から入力されない場合に、PLL部204により生成された2N相のPLLクロックPLLCLKに対して、位相調整を行わずに、2相のクロックSMPCLKとして出力する。
【0054】
クロックリカバリシステム10は、
図8に示される多相クロック生成部103を利用することで、
図1に示される、クロックフォワードシステムである送受信システム1と、
図2に示される、クロックエンベデッドシステムである送受信システム2との双方のシステムに対応することが可能となる。
【0055】
図1に示される送受信システム1では、PLL部204は受信クロックRXCLKを用いて周波数ロックを行い、第1位相比較信号LAG及び第2位相比較信号LEADに基づく位相調整を停止し、2N相のクロックPLLCLKを生成して出力する。そして、位相シフト部203は、PLL部204から出力された2N相のクロックPLLCLKに対して、位相調整信号PHADJに基づいて位相調整を行い、2N相のクロックSMPCLKとして出力する。
【0056】
一方、
図2の送受信システム2では、PLL部204は周波数調整信号FRADJを用いて周波数ロックを行い、第1位相比較信号LAG及び第2位相比較信号LEADに基づいて位相調整された2N相のクロックPLLCLKを生成して出力する。位相シフト部203は位相調整信号PHADJに基づく位相調整を停止し、PLL部204から出力された2N相のクロックPLLCLKを2N相のクロックSMPCLKとしてそのまま出力する。
【0057】
図9は、PLL部204の構成を示すブロック図である。ここでは、PLL部204が、
図9に示される構成であるとして説明する。しかしながら、
図9に示される構成は一例であって、PLL部204は、必ずしも、
図9に示される構成に限定される必要はない。
【0058】
図9に示されるように、PLL部204は、位相周波数比較部204aとオシレータ部204bとを備える。
【0059】
位相周波数比較部204aは、受信クロックRXCLKが外部から入力される場合に非アクティブになり、受信クロックRXCLKが外部から入力されない場合にアクティブになるモード選択信号CHMODに基づいて、モード選択信号CHMODがアクティブの場合に、周波数調整部202によって生成される周波数調整信号FRADJを位相周波数比較結果信号PFDETとして出力し、モード選択信号CHMODが非アクティブの場合に、受信クロックRXCLKとフィードバッククロックFBCLKとの位相周波数比較結果を位相周波数比較結果信号PFDETとして出力する。
【0060】
オシレータ部204bは、モード選択信号CHMODに基づいて、モード選択信号CHMODがアクティブの場合に、第1位相比較信号LAGと第2位相比較信号LEADとに基づく第2位相調整を行って、フィードバッククロックFBCLKの生成及び2N相のPLLクロックの生成を行い、モード選択信号CHMODが非アクティブの場合に、上記第2位相調整を行わずに、上記フィードバッククロックFBCLKの生成及び上記2N相のPLLクロックPLLCLKの生成を行う。
【0061】
図10は、位相シフト部203の構成を示すブロック図である。ここでは、位相シフト部203が、
図10に示される構成であるとして説明する。しかしながら、
図10に示される構成は一例であって、位相シフト部203は、必ずしも
図10に示される構成に限定される必要はない。
【0062】
図10に示されるように、位相シフト部203は、クロック選択部203aと位相補間部203bとを備える。
【0063】
位相補間部203bは、PLL部204によって生成された2N相のPLLクロックPLLCLKに対して、上記第1位相調整を行う。
【0064】
クロック選択部203aは、モード選択信号CHMODがアクティブの場合に、PLL部204によって生成された2N相のPLLクロックPLLCLKを選択して、2N相のクロックSMPCLKとして出力し、モード選択信号CHMODが非アクティブの場合に、位相補間部203bによって上記第1位相調整が行われた2N相のPLLクロックPLLCLKを選択して、2N相のクロックSMPCLKとして出力する。
【0065】
位相シフト部203は、モード選択信号CHMODがアクティブの場合に、位相補間部203bの動作を停止する。
【0066】
(変形例)
ここでは、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10から、その構成の一部が変更された、変形例に係るクロックリカバリシステムについて説明する。
【0067】
図11は、変形例に係るクロックリカバリシステム10aの構成を示すブロック図である。
【0068】
図11に示されるように、クロックリカバリシステム10aは、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10から、サンプラ部11がサンプラ部11aに変更されている。以下、変形例に係るクロックリカバリシステム10aについて、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0069】
図12は、サンプラ部11aの構成を示すブロック図である。
【0070】
図12に示されるように、サンプラ部11aは、2N個のサンプリング回路61(
図12中のサンプリング回路61a〜サンプリング回路61d)を含んで構成される。ここでは、各サンプリング回路61は、イネーブル入力付きのDフリップフロップ回路によって実現されている。このため、各サンプリング回路61は、イネーブル信号がアクティブである場合にはサンプル動作を行い、イネーブル信号が非アクティブである場合にはサンプル動作を停止する。
【0071】
図12に示されるように、サンプリング回路61のそれぞれには、2N相のクロックSMPCLKのうちの互いに異なる1つのクロックSMPCLKと、2N個のイネーブル信号SMPENのうちの互いに異なる1つのイネーブル信号SMPEN[i](iは、0以上2N−1以下の整数)とが入力される。
【0072】
この構成により、サンプラ部11aは、2N個のイネーブル信号SMPENが適切な値に設定されることで、出力するサンプリング信号を、2N個のサンプリング信号のうち、所望のj(jは、1以上2N以下の整数)個に限定してサンプリング信号の出力を行うことができる。
【0073】
このため、サンプラ部11aは、データ選択部102によって復元信号として選択されるn個のサンプリング信号に対応するサンプリング回路61をイネーブルにし、他のサンプリング回路61をディセーブルにするように設定された、2N個のイネーブル信号SMPENからなる信号(以下、この信号のことを「所定の信号」とも呼ぶ。)が入力されることで、1クロックサイクル毎に出力するサンプリング信号を、データ選択部102によって復元信号として選択されるn個に限定して出力する。
【0074】
すなわち、サンプラ部11aは、外部から上記所定の信号が入力される場合には、データ選択部102によってn個の復元信号として選択されないサンプリング信号をサンプリングするサンプリング回路61の動作を抑制して、1クロックサイクル毎に出力するサンプリング信号を、データ選択部102によって復元信号として選択されるn個に限定してサンプリング信号の出力を行う。
【0075】
このように、上記構成のクロックリカバリシステム10aは、復元信号として選択されることのないサンプリング信号をサンプリングするサンプリング回路61のサンプリング動作を抑制することで、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10よりも、消費電力を抑制することができる。
【0076】
(実施の形態2)
ここでは、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10から、その構成の一部が変更された、実施の形態2に係るクロックリカバリシステムについて説明する。
【0077】
実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10は、受信データRXDATAが2値の論理値を取り得る信号である場合の構成例であった。
【0078】
これに対して、実施の形態2に係るクロックリカバリシステムは、受信データRXDATAが(M+1)値(Mは2以上の整数)の論理値を取り得る信号(以下、「多値信号」とも呼ぶ。)である場合における構成例となっている。なお、実施の形態1に係るクロックリカバリシステムは、Mが1の場合における(M+1)値(すなわち2値)の論理値を取り得る信号である場合の構成例であると言うこともできる。
【0079】
図13は、実施の形態2に係るクロックリカバリシステム10bの構成を示すブロック図である。このクロックリカバリシステム10bは、受信データRXDATAが、4値(すなわち、Mが3の場合における(M+1)値)の論理信号を取り得る多値信号である場合の構成例となっている。
【0080】
図13に示されるように、クロックリカバリシステム10bは、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10から、サンプラ部11がサンプラ部11bに変更され、クロックリカバリ部12がクロックリカバリ部72に変更されている。そして、クロックリカバリ部72は、実施の形態1に係るクロックリカバリ部12から、位相比較部101が位相比較部701に変更され、データ選択部102がデータ選択部702に変更されている。以下、実施の形態2に係るクロックリカバリシステム10bについて、実施の形態1に係るクロックリカバリシステム10との相違点を中心に、図面を参照しながら説明する。
【0081】
サンプラ部11bは、2N×M(この例では、M=3)個のサンプリング回路61を含んで構成され、伝送路20を通過した受信データRXDATAを、2N(Nは2以上の整数)相のクロックSMPCLKでサンプリングし、1クロックサイクル毎に2N×M(この例では、M=3)個のサンプリング信号SMPDATAを出力する。
【0082】
データ選択部702bは、1クロックサイクル毎に、2N×M(この例では、M=3)個のサンプリング信号SMPDATAから、n×M(この例ではM=3)個の復元信号RCVDATAを選択して出力する。
【0083】
位相比較部701は、1クロックサイクル毎に、n×M個の復元信号RCVDATA各々について、復元信号RCVDATAと、復元信号RCVDATAをサンプリングするサンプリングクロックCKよりも、1つ以上位相が進んだ第1クロックCLKLAGでサンプリングされた第1サンプリング信号と、サンプリングクロックCKよりも1つ以上位相が遅れた第2クロックCLKLEADでサンプリングされた第2サンプリング信号とに基づいて、2N相のクロックSMPCLKの位相に係る位相比較信号を出力する。
【0084】
図14Aは、受信データRXDATAのデータレートが比較的中程度(ここでは例えば、数GMHz程度)場合における、位相比較部701の位相比較動作を示すタイミングチャートである。そして、
図14Bは、受信データRXDATAのデータレートが比較的高い(ここでは例えば、十数GHz程度)場合における、位相比較部701の位相比較動作を示すタイミングチャートである。
【0085】
図14A、
図14Bに示されるように、位相比較部701は、多値信号において位相比較を行う。位相比較方法は、例えば多値信号の1データの遷移に基づいて行ってもよいし、全てのデータの遷移に基づいて行ってもよい。
【0086】
また、例えば、位相比較部701は、位相比較を行う際において、反応するデータ遷移の一部が制限される構成であってもよい。
【0087】
図15は、位相比較部701が行う位相比較において、位相比較部701が反応するデータ遷移の一部が制限される様子の一例を示す模式図である。
【0088】
図15に示されるように、この例では、位相比較部701は、データ遷移のうち、データの中心に近い側で起こるデータ遷移への反応が制限される。これにより、この例における位相比較部701は、多値信号における不要な遷移ジッタへの反応が抑えられる。
【0089】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態、変形例、及び実施の形態2について説明した。しかしながら本開示による技術は、これらに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0090】
以下に、本開示における更なる変形例の一例について列記する。
【0091】
(1)変形例において、クロックリカバリシステム10aは、2N個のサンプリング回路61のそれぞれに、2N個のイネーブル信号SMPENのうちの互いに異なる1つのイネーブル信号SMPENが入力される構成であるとして説明した。しかしながら、クロックリカバリシステム10aは、かならずしも上記構成通りに限定される必要はない。他の構成例として、例えば、2N個のサンプリング回路61をL(Lは2以上2N未満の整数)のグループにグルーピングし、各グループ単位で、そのグループに属するサンプリング回路61に共通のイネーブル信号SMPENが入力される構成等が考えられる。この例の場合には、イネーブル信号SMPENの数はLとなる。
【0092】
(2)実施の形態2において、クロックリカバリシステム10bは、受信データRXDATAが、4値(すなわち、Mが3の場合における(M+1)値)の論理信号を取り得る多値信号である場合の構成例として説明した。しかしながら、クロックリカバリシステム10bは、受信データRXDATAが、必ずしも、4値(すなわち、Mが3の場合における(M+1)値)の論理信号を取り得る多値信号である場合の構成例に限定される必要はない。例えば、クロックリカバリシステム10bは、受信データRXDATAが、3値(すなわち、Mが2の場合における(M+1)値)の論理信号を取り得る多値信号である場合には、例えば、実施の形態2の記載においてMを2に読み替える構成例で実現される。