(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧電振動部及び前記支持体のいずれもが、下端を粉体輸送方向の前方、上端を粉体輸送方向の後方となるように、かつ、その延伸方向はほぼ平行か、または、平行よりも前記圧電振動部の傾きが緩やかであることを特徴とする請求項1に記載の粉体振動輸送装置。
請求項1または請求項3に記載の粉体振動輸送装置が散薬放出装置であり、前記散薬放出装置と、前記散薬放出装置から放出された散薬を包装する散薬包装装置とを有する散薬分包機。
【背景技術】
【0002】
薬剤、特に散薬の調剤業務の自動化のために活用されている散薬分包機においては、これまで、電磁石による振動を用いた散薬輸送装置が使用されてきており、また、近年は、小振幅、高周波で、振動音が小さいことから、圧電素子による振動を用いた散薬輸送装置が実用化されている。
【0003】
なお、電磁石式では、振動の一方向は電磁石の力によるが、他方向は機構のばね系による戻り運動となって、装置毎のばらつきが発生するという問題があって、製造での調整に時間を要していたが、圧電素子式では、バイモルフ構造とすることで往復ともに圧電素子による発生力で、その往復運動が安定するという利点もある。
【0004】
例えば、特許文献1には、粉体が載置されたトラフの下方に2セット設けられた圧電素子を振動させて、トラフ上の粉体を輸送する粉体フィーダとそれを用いた薬剤分配装置の技術思想が開示されている。
【0005】
図9は、従来の粉体振動輸送装置の側面図であり、特許文献1には開示されていない内容も含めて説明する。
【0006】
粉体振動輸送装置90は、振動により輸送される粉体を載置する略平板状の振動台91と、振動台91と基台94との間に設けられた2個の圧電振動部92a、92bとを有する。
【0007】
2個の圧電振動部92a、92bの下端がそれぞれ基台94の取付け用突起941a、941bに取付けられ、その上端はそれぞれ振動台91の取付け用突起911a、911bに取付けられている。
【0008】
圧電振動部92a、92bの基台94となす角度Rは、ほぼ等しく90度以下としている。これによって、基台94と、圧電振動部92a、92bと、振動台91は、平行四辺形を成すように構成される。
【0009】
また、圧電振動部92a、92bは、バイモルフ圧電素子921a、921bと増幅ばね922a、922bとで構成され、バイモルフ圧電素子921a、921bの駆動によって発生する曲げ振動は、増幅ばね922a、922bでその振幅を増幅される。
【0010】
この増幅された振動は前記平行四辺形を寝かせたり、立てたりする振動として振動台91に伝達され、その結果、さらにこれに結合されたトラフ容器95に収容された粉体P1の山を崩し、P2のような粉体層となってトラフ95の放出口951に粉体を輸送し、矢印方向に落下させることができる。
【0011】
しかしながら、圧電振動部92a、92bは、バイモルフ圧電素子921a、921bと増幅ばね922a,922bとで構成されるために、その長さが長くなり、基台94から振動台91までの高さT9が大きくなる。
【0012】
その結果として、粉体がトラフ95から放出される放出口951と、下方で粉体を受け取る受け皿(例えば後述する受け皿部712)との間の高さが高くなり、それにより、粉体の受け皿外への飛散が生じるという問題がある。
【0013】
また、圧電素子を2セット用いており、そのコストが高価であるという問題点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする課題は、上記問題に鑑み、粉体放出口から落下する粉体の飛散を少なくすることができ、かつ、正確に粉体の放出量の計測ができる、低廉なコストの粉体振動輸送装置、及び、そのような粉体振動輸送装置を用いた散薬分包機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は、粉体振動輸送装置であって、
−振動により輸送される粉体を載置する略平板状の振動台と、
−前記振動台の粉体輸送方向の前方下側に、その一端を結合する支持体と、
−前記振動台の粉体輸送方向の後方上側に、その一端を結合する圧電振動部と、
−前記支持体の他端と結合し、かつ、前記圧電振動部の他端とも結合する基台と
を有することを特徴とする。
【0017】
ここで、好適には、基台は略水平の平板状部と略鉛直の平板状部とを有するL字状の形状をしており、略水平の平板状部に支持体の他端が結合され、略鉛直の平板状部に圧電振動部の他端が結合されている。
【0018】
なお、略水平の平板状部と略鉛直の平板状部とは、一体で形成されていてもよく、あるいは別部材で形成されねじ等で結合して一体化されていてもよい。
【0019】
また、平板状に限定されず、どのような構造体であっても、支持体の他端と、圧電振動部の他端との両方を保持できるものであればよい。
【0020】
また、支持体は、振動台と基台とを所定の範囲で移動可能なように構成される。例えば、支持体の両端を振動台と基台とに固定結合するが支持体内に弾性体を含んでいる、あるいは、支持体は剛体であるが両端を振動台と基台とに回転可能に結合するなどの構成とする。
【0021】
このようにすると、従来のように、圧電振動部が振動台の下側に設けられる場合と比べ、振動体により輸送される粉体の放出口から、基台の略水平板状部までの高さを小さくすることができる。
【0022】
すなわち、圧電振動部は、必要な加振性能を得るために、所定の鉛直方向高さが必要であるが、支持体にはそのような制約が少ないため、支持体の鉛直方向高さを圧電振動部の鉛直方向高さより小さくすることができる。
【0023】
このようにすれば、例えば基台の略水平の平板状部の高さに粉体の受け皿を設置するとした場合に、粉体の放出口から受け皿までの距離(自由落下高さ)が小さくなるため、粉体の飛散などによるトラブルを防止することができる。
【0024】
更に、圧電振動部を従来の2個から1個に減じたことにより、コストの低減の効果も大きい。
【0025】
また、本発明の粉体振動輸送装置は、前記圧電振動部及び前記支持体のいずれもが、下端を粉体輸送方向の前方、上端を粉体輸送方向の後方となるように、かつ、その延伸方向はほぼ平行か、または、平行よりも前記圧電振動部の傾きが緩やかであることを特徴としてもよい。
【0026】
このようにすると、粉体輸送方向への粉体の輸送が、高速かつスムーズに行われる。
【0027】
また、本発明は、粉体振動輸送装置であって、更に、前記基台の上の全ての重量を計測する重量計測部とを有することを特徴としてもよい。
【0028】
このようにすると、粉体の放出量の計測を、正確に行うことができる。
【0029】
また、本発明は、前記粉体振動輸送装置と、前記粉体振動輸送装置から放出された粉体を受け取る、断面が凹面を有する受け皿部を外周部分に有する回転円盤とを有し、前記粉体振動輸送装置の粉体の放出口の直下に前記受け皿部を配したことを特徴とする回転円盤付き粉体振動輸送装置という態様であってもよい。
【0030】
このようにすると、放出された粉体を、それ以降の処理に適するように、回転円盤上に均一(等密度)、あるいは、密度を変化させて載置することができ、実用上、極めて効果が高い。
【0031】
更に、本発明は、前記粉体振動輸送装置が散薬放出装置であり、前記散薬放出装置と、前記散薬放出装置から放出された散薬を包装する散薬包装装置とを有する散薬分包機という態様であってもよい。
【0032】
このようにすると、散薬の輸送がスムーズで、散薬の計測が正確にでき、かつ、散薬の外部への飛散などのトラブルの発生のない散薬分包機が実現できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の、粉体振動輸送装置、及び、粉体振動輸送装置を散薬放出装置として用いた散薬分包機によれば、圧電振動部を1個所、かつ、振動台の上方に設置したことにより、粉体の放出後の受け皿までの落下距離を小さくすることができるため、簡便な構造で、かつ、粉体の外部への飛散などのトラブルがなく、低廉なコストの粉体振動輸送装置を提供することができる。
【0034】
また、このような粉体振動輸送装置に重量計測部を組込むことで、粉体の放出量を正確に計測できる粉体振動輸送装置を提供することができ、更に、このような粉体振動輸送装置を散薬放出装置として用いることで、これらの利点を有する散薬分包機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は本発明の一実施形態に係る粉体振動輸送装置の側面図である。
【0037】
粉体振動輸送装置10は、振動により輸送される粉体を載置する略平板状の振動台11と、振動台11の粉体輸送方向の前方下側に、その一端を結合する支持体12と、振動台の粉体輸送方向の後方上側に、その一端を結合する圧電振動部13と、支持体12の他端と結合し、かつ、圧電振動部13の他端とも結合する基台14とを有する。
【0038】
振動台11は、その上面に、粉体を収容した、水平部の一端及び上部が開放されている樋状のトラフ15が、着脱可能に設置される。
【0039】
粉体の輸送方向は、開放された水平部の端部に向かう方向(
図1では右から左)であり、その終端は粉体の放出口151となっている。
【0040】
なお、トラフ15は、着脱可能でなく固定されていてもよく、トラフ15の代わりに直方体で放出口以外が閉じられた着脱可能な収容容器という形態であってもよい。
【0041】
また、振動台11は、略水平板状であれば、微小な傾斜や凹凸や床面の突起などを有していてもよい。
【0042】
基台14は、略水平の平板状部141と略鉛直の平板状部142とを有する断面がL字状の形状をしている。
【0043】
支持体12は、弾性を有する薄板で形成され、振動台11の粉体輸送方向の前方(先端部)の下側の支持体取付部111に、その一端をねじで固定され、基台14の略水平板状部141の支持体取付部142に、その他端をねじで固定される。
【0044】
支持体12の取付方向は、その下端を粉体輸送方向の前方、上端を粉体輸送方向の後方となるように、かつ、その取付角度は、鉛直方向に対して20度程度傾いている。なお、取付角度はこの数値に限定されない。
【0045】
ここで、支持体12の全長は、後述する圧電振動部13の全長よりも短くなっている。
【0046】
圧電振動部13は、圧電振動を発生する圧電振動素子131と、発生した振動を増幅する増幅ばね132とを直列にねじにより固定している。
【0047】
圧電振動部13は、振動台11の粉体輸送方向の後方(後端部)の下側の圧電振動部取付部131に、増幅ばねの一端(圧電振動部の一端)が固定され、また、基台14の略鉛直板状部142の圧電振動部取付部143に、圧電素子131の一端(圧電振動部13の他端)がねじで固定される。
【0048】
圧電振動部13の取付方向は、その下端を粉体輸送方向の前方、上端を粉体輸送方向の後方となるように、かつ、その取付角度は、鉛直方向に対して20度程度傾いている。なお、取付角度はこの数値に限定されない。
【0049】
すなわち、圧電振動部13と支持体12とはほぼ平行の状態で取り付けられており、支持体12の全長が圧電振動部13の全長よりも短くなっているため、圧電振動部13の両端部の間の鉛直高さよりも支持体12の両端部の間の鉛直高さの方が小さくなっている。
【0050】
図2は、本発明の一実施形態に係る圧電素子131の構造を示す断面図である。
【0051】
圧電素子131は、導電性の基板(鉄板)132の両面にチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電材料からなる板状圧電体133a、133bを接着したバイモルフ構造である。この構成で、導電性の基板(鉄板)132は接地134した上で、圧電駆動回路135で、交番電流を生成して、板状圧電体133a、133bの表面側に導通することで、たとえば133a側が面方向に伸び、133b側が面方向に縮むことで矢印の変形が発生し、さらに電流が交番することで逆の変形がおこり、これを継続することで、往復振動が得られるものである。
【0052】
なお、圧電素子131の素材、構造はこの例に限定せず、例えば、全体構成の事情から、モノモルフ構造であってもよい場合もある。
【0053】
次に、
図3は、本発明の一実施形態の重量計測部を含む粉体振動輸送装置の側面図であり、
図2に示す粉体振動輸送装置の下方に基台14上の全ての重量を計測できる重量計測部を付加したものである。
【0054】
重量計測部16は、略水平板状の計測台161とロードセル162とからなり、ロードセル162の可動端(計測端)163が基台14の略水平板状部141の下側に固定され、一方、ロードセル162の固定端164が計測台161の上側に固定される。
【0055】
次に、このような構成の粉体振動輸送装置の動作を説明する。
【0056】
まず、粉体を収容したトラフ15を振動台11に固定する。
【0057】
次に、圧電駆動回路135に交番電流を通電する。すると、圧電素子131が、振動台11を粉体輸送方向(図では左方向)斜め上方及びその逆方向に振動し、増幅ばね132がその振動を増幅し、粉体の山を崩すとともに、粉体をトラフ15の放出口151方向に徐々に輸送し、放出口151から外(下方)へと放出する。
【0058】
ここで、支持体12は、振動台11の支持と圧電振動部13の滑らかな振動とを担う。すなわち、支持体12のばね定数及び長さを適切に設定することによって、圧電振動部13の動きを妨げず、振動台11を略水平に保って、斜め上方及び斜め下方に振動させることができる。
【0059】
図4は、本発明のいくつかの実施形態における振動台の前端側及び後端側の振幅を説明する説明図であり、
図4(a)に示すように、この実施形態の場合は、支持体12と圧電振動部13が平行であり、振動台11に対して支持体12の成す角度R1と、圧電振動部13の成す角度R2とは、ほぼ等しく90度より小さい角度としている。支持体12、及び圧電振動部13の増幅ばね132の、それぞれのばねが変形することで発生する振動台11の沈み込み量は、支持体12の位置(前端側)でS1、圧電振動部13の位置(後端側)でS2となり、S1>S2ではあるので、水平な沈み込みではなく、先端側の方が大きい振幅となるが、その沈み込み量が少ない場合は、実質的には、水平に近似した沈み込みであり、実用的な振動輸送が可能となる。
【0060】
ここで、
図1に示す本発明の一実施形態の粉体振動輸送装置10と、
図9に示す従来の粉体振動輸送装置90とを比較すると、
図1には粉体振動輸送装置10の放出口151から放出された粉体が、基台14とほぼ等しい高さに設けられた受け皿(例えば後述する受け皿部712)まで落下する高さT1と、
図9に示す同様の高さT9では、T1の方が大幅に小さく、従って、この間における粉体の飛散などのトラブルの発生は少なくなる。
【0061】
なお、粉体振動輸送装置10に重量計測部16を含む場合の動作について説明する。計測台161上に固定されたロードセル162には、可動端163を介して、振動台11及びその上方にある全ての部材及び粉体の重量が計測できる。
【0062】
従って、放出された粉体の重量は、重量計測部16のロードセル162によって減少した重量として精密に計測され、所望の重量が放出されたら圧電素子131の通電を停止する。
【0063】
ここで、
図3に示す本発明の一実施形態の重量計測部を含む粉体振動輸送装置10と、
図10に示す従来の粉体振動輸送装置90に重量計測部96(本発明の実施形態の重量計測部16と同じであるので説明を省略)を付加した装置とを比較すると、
図3には粉体振動輸送装置10の放出口151から放出された粉体が、計測台161とほぼ等しい高さに設けられた受け皿(例えば後述する受け皿部712)まで落下する高さT3と、
図10に示す同様の高さT10では、T3の方が大幅に小さく、従って、この間における粉体の飛散などのトラブルの発生は少なくなる。
【0064】
なお、重量計測部16については、これまで述べた構成が粉体振動輸送装置10として好適であるが、必ずしもこのような構成ではなく、放出される粉体を直接計測するような計測部であっても、全体構成から有効な場合も考えられる。
【0065】
また、ここで、粉体振動輸送装置10には、更に、ばねや弾性体などの振動吸収要素を有する防振部(図示せず)を、基台14と重量計測部16との間に設けてもよい。振動台11の振動による計測値への影響を少なくすることができる。
【0066】
次に、本発明の別の態様の一実施形態について説明する。
【0067】
図5は、本発明の散薬分包機という態様の一実施形態を示す正面図(一部省略あり)であり、
図6は、本発明の散薬分包機の一実施形態の散薬分包機の一部を示す平面図である。
【0068】
散薬分包機50は、これまでに説明した粉体振動輸送装置10を用いて散薬を放出する散薬放出装置60と、放出された散薬を包装する散薬包装装置70とからなる。
【0069】
散薬放出装置60は、粉体振動輸送装置10と同じ構成で、振動により輸送される粉体(散薬)を載置する略平板状の振動台11と、振動台11の粉体(散薬)輸送方向の前方下側に、その一端を結合する支持体12と、振動台の粉体(散薬)輸送方向の後方上側に、その一端を結合する圧電振動部13と、支持体12の他端と結合し、かつ、圧電振動部13の他端とも結合する基台14とを有する。
【0070】
散薬包装装置70は、散薬放出装置60から放出された散薬を、回転円盤711の外周付近に断面が円弧状の凹面を有する受け皿部712で受け取り配分する円盤配分部71と、円盤配分部71から散薬を掻き出すディスク721を先端部分に設けた散薬掻き出しディスク部72と、散薬掻き出しディスク部72から掻き出された散薬を下方へ落下させるホッパ・シュート73と、ホッパ・シュート73の出口に分包紙を配置し、その分包紙に散薬を封入して包装する散薬包装部74とを有する。
【0071】
ここで、受け皿部712は、振動台11に載置されるトラフ15の放出口151の直下に配置され、その高さ(位置)は、散薬放出装置60の基台14とほぼ同じ位置になるのが通常である。
【0072】
各々の円盤配分部71の回転円盤711は略水平に設置され、歯車713を介してステッピングモータ714で回転可能に駆動される。
【0073】
散薬掻き出しディスク部72は、先端部のディスク721の円周直径は、受け皿部712の円弧状凹面の直径と同一であり、モータ722によって回転可能となっている。
【0074】
また、散薬掻き出しディスク部72は、その後端部を軸723で回動可能に支持されており、散薬の掻き出し動作を行わないときは、上方に退避できるようになっている。
【0075】
なお、本発明の一実施形態においては、1台の散薬包装装置70に、散薬放出装置60、円盤配分部71及び散薬掻き出しディスク部72が、各々2組設けられてり、ホッパ・シュート73及び散薬包装部74は、これら2組に対して、共通の1組が設けられている。
【0076】
次に散薬分包機の動作について説明する。
【0077】
散薬放出装置60の振動台11を駆動して、放出口151から放出された散薬は、ステッピングモータ714を連続的に回転することにより、円盤配分部71の回転円盤711の円弧状凹面の受け皿部712に落下して、円周状にドーナツ状の散薬の山P1を形成することができる。この動作を「円周撒き動作」と呼ぶ。
【0078】
この際には、掻き出しディスク部72のディスク721は、軸723を中心に上方に回動して、散薬の円周撒き動作を妨げない。
【0079】
円周撒き動作が終了して、一旦、回転円盤711の回転を停止した後に、掻き出しディスク部72のディスク721を下方に回動し、ディスク721が、円弧状凹部(受け皿部712)に密着するようにする。その状態で、モータ722を駆動するとともに、ステッピングモータ714を所定角度だけ回転させ、回転円盤711を所定角度だけ回転する。これによって、所定量(例えば一包分)の散薬が、ホッパ・シュート73を介して散薬包装部74に送り込まれる。
【0080】
なお、本発明の一実施形態においては、散薬放出装置60及び円盤配分部71が左右に対称形に2組配置されているが、これは、一方の円盤配分部71で円周撒き動作をしているときに、他方が掻き出しディスク部72を作動して一包分の配分動作をできるようにして、複数の連続する処方において無駄時間なく、連続的に分包できるようになっている。
【0081】
散薬包装部74は、周知の技術であり、ホッパ・シュート73の出口に分包紙を配置し、その分包紙に散薬を封入して包装する。
【0082】
このように、本発明の粉体振動輸送装置10を散薬放出装置60として用いた散薬分包機50においては、散薬放出装置60から散薬包装装置70への散薬の放出(落下)高さを小さくすることができるため、散薬の飛散などのトラブルを防止できるほか、粉体振動輸送装置10としての種々の利点を享受することができる。
【0083】
なお、これまでの説明で、粉体振動輸送装置10として取り扱う対象を、散薬を一例として説明したが、それ以外の粉状、あるいは粒状のものであれば、どのようなものであってもよい。
【0084】
<粉体振動輸送装置の別の実施形態>
また、これまでの説明で、粉体振動輸送装置10において、圧電振動部13及び支持体12のいずれもが、下端を粉体輸送方向の前方、上端を粉体輸送方向の後方となるように、かつ、その延伸方向が平行の状態であるとしてきた。
【0085】
しかしながら、このような構成でなくても、本発明の課題解決が可能である。
図7は、本発明の別の実施形態に係る粉体振動輸送装置の側面図であり、支持体12の傾きより、圧電振動部13の傾きの方が緩やかとなっている。
【0086】
すなわち、先に用いた
図4において、
図4(b)に示すように、この実施形態では、振動台11に対して支持体12の成す角度R1と、圧電振動部13の成す角度R3とは、それぞれ90度より小さく、R1>R3としている。支持体12、及び圧電振動部13の増幅ばね132の、それぞれのばねが変形することで発生する振動台11の沈み込み量は、支持体12の位置(前端側)でS1、圧電振動部13の位置(後端側)でS3となり、S1とS3はほぼ等しくなるため、
図4(a)に示す本発明の一実施形態の場合よりも、振動台11の沈み込み量の差が少ないため、より滑らかな振動輸送が可能となる。
【0087】
更に、本実施形態では、圧電振動部13の傾きが緩いため、基台14から圧電振動部13の上端までの鉛直方向の高さが低くなり、それによって粉体振動輸送装置10全体の高さが低くなり、装置がコンパクトになるという利点もある。
【0088】
<粉体振動輸送装置の更に別の実施形態>
また、これまでの説明で、支持体12に関して、弾性を有する薄板として説明したが、これに限らず、別の部材であってもよい。
【0089】
<粉体振動輸送装置の異なる態様>
また、本発明は、これまでに説明した粉体振動輸送装置10と、粉体振動輸送装置10から放出された粉体を受け取る、断面が凹面を有する受け皿部712を外周部分に有する回転円盤711とを有し、粉体振動輸送装置10の粉体の放出口151の直下に受け皿部712を配することを特徴とする回転円盤付き粉体振動輸送装置という態様であってもよい。
【0090】
すなわち、粉体振動輸送装置10に、受け皿部712を持つ回転円盤711を付加したところまでを発明としたもので、この部分までを独立して、散薬分包機に組み込まれるほかに、散薬に限定せず、それ以外の粉体、例えば食品などで、分包に限定しない他の用途に用いることも可能である。
【0091】
図8は、本発明の更に別の実施形態に係る粉体振動輸送装置の側面図であって、弾性を有する薄板の支持体12に代えて、剛体の支持体12Aを、その上下を軸12Bと軸12Cとで回動自在に支持するリンク機構としたものである。
【0092】
このように構成しても、これまでの説明と同様の動作を実現でき、製造コストが低下し、調整工数が減じるなどの効果を生ずる場合もあり得る。
【0093】
なお、振動台11に対する、この剛性支持体12Aと圧電振動部13との傾きは、圧電振動部13の方が緩くなっているが、平行であってもよい。
【0094】
<散薬分包機の別の実施形態>
これまでの散薬分包機50の説明においては、散薬放出装置60に重量計測部16を有しないとして説明したが、それを有してもよい。(図示は省略)
【0095】
このようにすれば、先の実施形態の散薬分包機の利点に加えて、散薬の放出量を正確に計測できるという利点が生じる。