(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
光チャープレンジ検出のために方形波デジタルチャープ信号を使用するための方法と装置とシステムとコンピュータ可読媒体とが説明される。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の実例では、本発明を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造およびデバイスがブロック図形式で示されている。
【0012】
広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的な非限定的な例で示される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、どの数値も、この執筆の時点でそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。さらに、文脈から特に明確でない限り、本明細書に提示される数値は、最下位桁によって与えられる暗黙の精度を有する。このため、値1.1は1.05から1.15の値を意味する。「約」という用語は、与えられた値を中心とするより広い範囲を示すために使用され、文脈から特に明確でない限り、「約1.1」は1.0から1.2の範囲を意味するなど、最下位桁の周りのより広い範囲を意味する。最下位桁が不明確な場合、「約」という用語は係数2を意味し、例えば「約X」は、0.5Xから2Xの範囲の値を意味し、例えば約100は、50から200の範囲の値を意味する。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、その中に含まれるありとあらゆるサブ範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、最小値ゼロと最大値10の間(およびそれらを含む)のありとあらゆるサブ範囲、つまり、ゼロ以上の最小値および10以下の最大値を有するありとあらゆるサブ範囲、例えば1〜4、を含むことができる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態は、チャープLIDARシステム内の1つ以上の光搬送波を変調するために広帯域RF電気信号を使用する文脈で以下に説明される。しかしながら、本発明は、この文脈に限定されない。他の実施形態では、本発明は、広帯域波形発生器を使用して、位相シフトキーイング、オンオフキーイング、周波数シフトキーイングまたは広帯域ノイズの位相コードを含む、測距に有用な波形を生成するという文脈で使用することができる。
【0014】
1.チャープ検出の概要
図1Aは、一実施形態による、レンジの例示的な光チャープ測定を図示する一組のグラフ110、120、130、140である。水平軸112は、4つのグラフすべてに対して同じであり、ミリ秒(ms、1ms=10
−3秒)のオーダの、任意の単位で時間を示す。グラフ110は、送信される光信号として使用される光ビームのパワーを示している。グラフ110の垂直軸114は、送信信号のパワーを任意の単位で示している。トレース116は、パワーが、時間0から始まる限られたパルス持続時間τの間オンであることを示している。グラフ120は、送信信号の周波数を示している。垂直軸124は、任意の単位の送信された周波数を示す。トレース126は、パルスの持続時間τにわたってパルスの周波数がf
1からf
2に増加し、したがって帯域幅B=f
2−f
1を有することを示している。周波数の変化率は、(f
2−f
1)/τ..
【0015】
戻り信号が、時間を示す水平軸112と、グラフ120のように周波数を示す垂直軸124とを有するグラフ130に示されている。グラフ120のチャープ126もまた、グラフ130上に点線としてプロットされている。第1の戻り信号は、トレース136aによって与えられており、これは、強度が減少した送信された参照信号(図示せず)であり、Δtだけ遅延している。戻り信号が2Rの距離をカバーした後に外部対象物から受信された場合、ここでRはターゲットまでのレンジ、戻り信号は、2R/cで与えられる遅延信号Δtで開始し、cは媒体内の光の速度(約3x10
8メートル/秒、m/s)である。この時間をかけて、周波数は、f
Rと呼ばれるレンジに依存する量だけ変化し、周波数の変化率に遅延時間を掛けたもので与えられる。これは式1aで与えられる。
【0016】
【数1】
f
Rの値は、デチャーピングと呼ばれる時間領域のミキシング動作における送信信号126と戻り信号136aとの間の周波数差によって測定される。したがって、レンジRは式1bで与えられる。
【0017】
【数2】
もちろん、パルスが完全に送信された後に戻り信号が到着する場合、つまり2R/cがτより大きい場合、式1aおよび1bは無効である。この場合、戻り信号が参照信号と重なることを保証するために、参照信号は既知または固定量だけ遅延される。参照信号の固定または既知の遅延時間に光の速度cを掛けて、式1bから計算されたレンジに追加される追加のレンジを与える。媒体内の光の速度の不確実性により絶対レンジがオフになる場合があるが、これはほぼ一定の誤差であり、周波数差に基づく相対レンジは依然として非常に正確である。
【0018】
状況によっては、送信された光ビームによって照らされたスポットは、半透明の対象物の前面と背面、またはLIDARから様々な距離にある対象物のより近い部分とより遠い部分、あるいは照らされたスポット内の2つの別々の対象物など、異なるレンジで2つ以上の異なる散乱体に遭遇する。そのような状況では、第2の減少した強度で異なる遅延の信号も受信され、グラフ130上でトレース136bによって示されている。これは、f
Rの異なる測定値を有し、それは、式1bを使用して異なるレンジを与える。状況によっては、複数の戻り信号が受信される。
【0019】
グラフ140は、第1の戻り信号136aと参照チャープ126との間の差周波数f
Rを示している。水平軸112は、
図1Aの他の整列したグラフすべてのように時間を示し、垂直軸134は、はるかに拡大したスケールでの周波数差を示す。トレース146は、送信されたチャープ中に測定された一定周波数f
Rを表しており、これは式1bによって与えられる特定のレンジを示す。第2の戻り信号136bは、存在する場合、デチャーピング中にf
Rの異なるより大きな値(図示せず)を生じさせ、結果として、式1bを使用してより大きなレンジを生む。
【0020】
デチャーピングの一般的な方法は、参照光信号と戻り光信号との両方を同じ光検出器に向けることである。検出器の電気出力信号は、検出器に収束する2つの信号の周波数の差に等しい、または依存するビート周波数によって支配される。この電気出力信号のフーリエ変換は、ビート周波数でピークを生み出す。このビート周波数は、テラヘルツ(THz、1THz=10
12ヘルツ)の光周波数レンジではなく、メガヘルツ(MHz、1MHz=10
6ヘルツ=10
6サイクル/秒)の無線周波数(RF)レンジである。このような信号は、マイクロプロセッサで走る高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムや特別に構築されたFFTまたは他のデジタル信号処理(DSP)集積回路などの一般的で安価なRF構成要素によって容易に処理される。他の実施形態では、戻り信号は、(局部発振器としてのチャープに対して)局部発振器として作用する連続波(CW)トーンと混合される。これは、それ自体がチャープ(または送信された波形)である検出信号につながる。この場合、検出された信号は、本明細書で使用されている用語と矛盾する用語を除いて、Kachelmyer 1990に記載されているようにデジタルドメインで整合フィルタリングを受ける。欠点は、デジタイザ帯域幅要件が概して高いことである。それ以外は、コヒーレント検出の肯定的な態様は保持される。
【0021】
図1Bは、一実施形態による、レンジを示す、デチャーピングから生じるビート周波数の例示的な測定値を図示するグラフである。水平軸152は、周波数をメガヘルツで示しており、垂直軸は、送信パワー密度I
Tに対する戻り信号パワー密度I
Rをデシベル(dB、dBのパワー=20log(I
R/I
T))で示す。トレース156は、FFT回路によって生成されような、光検出器による電気出力信号のフーリエ変換であり、Adany他、2009によって公表されたデータに基づく。ピークの水平位置はf
Rを与え、式1bを使用してレンジを推定するために使用される。加えて、ピークの他の特性を使用して、戻り信号を記述することができる。例えば、ピークでのパワー値は、トレース156の最大値によって、または、より一般的には、ピークの肩でのピーク値(
図1Bでは約−31dB)とノイズフロア(
図1Bでは約−50dB)との間の差157(
図1Bでは約19dB)によって特徴付けられ、および、ピークの幅は、半値幅(FWHM)での周波数幅158(
図1Bでは約0.08MHz)によって特徴付けられる。複数の識別可能な戻りがある場合、光検出器の電気出力のFFTに複数のピークがあり、おそらく複数の異なるパワーレベルおよび幅を有する。任意の方法を使用して、トレース内のピークを自動的に識別し、それらのピークを位置、高さ、および幅によって特徴付けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、MATLAB−Signal Processing ToolboxによるFFTWまたはピーク検出が使用され、マサチューセッツ州ネイティックのMATHWORKS(商標)のMATLAB(商標)から入手可能である。カリフォルニア州サンタクララのNVIDIA(商標)から入手可能な、CUDAのFFTWおよびCUDA(商標)のカスタムピーク検出に依拠するカスタム実装を使用することもできる。カスタム実装は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)にプログラムされている。一般的に使用されるアルゴリズムは、レンジプロファイルの閾値を設定することであり、重心アルゴリズム、ピークフィッティングアルゴリズム(3点ガウス分布フィット)、またはある関数のピークの非線形フィット(ガウス分布など)を走らせて、ピークの位置をより正確に決定する。
【0022】
検出された対象物(ソース)が速度v
sで移動し、LIDARシステム(観測者)が2つを結ぶベクトル上を速度v
oで移動している場合、戻り信号はドップラシフトされ得、検出されたビート周波数f
Rもシフトされ、検出されたレンジにおいてで誤差につながり得る。多くの状況において、検出されている対象物の形状は、複数の戻りの相対位置に基づいて識別される。このため、対象物の形状が誤差を有する可能性があり、対象物を識別する能力が損なわれる可能性がある。
【0023】
戻りの観測された周波数f’は、ドップラ効果によって戻りの正しい周波数fとは異なり、式2aで近似される。
【0024】
【数3】
ここで、cは媒体内の光の速度である。観測者とソースとが2つの間のベクトル上を同じ方向に同じ速度で移動している場合、2つの周波数は同じであることに留意されたい。2つの周波数の間の差Δf=f’−fは、ドップラシフト、D、であり、これは、補正されていない場合、レンジ測定において誤差の構成要素となり、式2bで与えられる。
【0025】
【数4】
誤差の大きさは、信号の周波数fとともに増加することを留意されたい。また、静止LIDARシステム(v
o=0)、10メートル/秒で移動するターゲット(v
o=10)、および周波数が約500THzの可視光の場合、誤差のサイズは、
図1Bにおいて約22MHzであるf
Rのサイズの75%である16MHzのオーダであり、これは、f
Rの75%誤差、このため、レンジの75%誤差につながることに留意されたい。様々な実施形態において、ドップラシフト誤差が検出され、レンジを訂正するために使用される。
【0026】
2.チャープ検出ハードウェアの概要
チャープ検出アプローチが実装される方法を示すために、いくつかの一般的および具体的なハードウェアアプローチについて説明する。
図2Aおよび
図2Bは、様々な実施形態による、高分解能LIDARシステムの例示的な構成要素を図示するブロック図である。
図2Aにおいて、レーザ源212は、帯域幅Bおよび持続時間τを有するパルスを生成するために、RF波形発生器215からの入力に基づいて変調器214で周波数変調される搬送波201を放射する。後のセクションでより詳細に説明する様々な実施形態において、RF波形発生器215からの電気入力は、方形波デジタルチャープ信号に基づく入力デジタルチャープ信号である。一実施形態では、方形波デジタルチャープ信号は、RF波形発生器215によって発生され、RF波形発生器215によってさらに調整され、入力デジタルチャープ信号をもたらす。これらの実施形態のいくつかでは、入力デジタルチャープ信号は、そのような調整のない方形波デジタルチャープ信号そのものである。いくつかの実施形態では、方形波デジタルチャープ信号は、RF波形発生器215のメモリにアップロードされた方形波命令217に基づいて、RF波形発生器215によって発生される。他の実施形態では、処理システム250のレンジ決定モジュール270が、方形波デジタルチャープ信号の発生を含めて、RF波形発生器215を制御する。例示的な実施形態では、方形波命令は、レンジ決定モジュール270で提供される。
【0027】
スプリッタ216は、変調された光波形を、ビーム203のエネルギーの大部分を有する送信信号205と、それでもなおターゲット(図示せず)から散乱された戻り光291との良好なヘテロダインまたはホモダイン干渉を生成するのに十分な、はるかに少ない量のエネルギーを有する参照信号207とに分割する。いくつかの実施形態では、走査光学系218を使用して、送信ビームを複数の角度にわたって走査して、その経路内の任意の対象物をプロファイルする。
【0028】
参照ビームは、散乱光とともに検出器アレイ230に到達するように十分に参照経路220で遅延される。いくつかの実施形態では、スプリッタ216は、変調器214の上流にあり、参照ビーム207は変調されていない。いくつかの実施形態では、参照信号は、新しいレーザ(図示せず)を使用して独立して発生され、参照経路220内の別個の変調器(図示せず)および発生器215からの入力デジタルチャープ信号を使用して別個に変調される。いくつかの実施形態では、
図2Bを参照して以下で説明するように、異なる変調器が使用され、しかし、ただ1つのレーザ源212が、コヒーレンスを保証するために送信および参照信号の両方に使用される。様々な実施形態において、柔軟性の低いアプローチからより柔軟なアプローチまで、参照は、以下の方法によって、散乱または反射されたフィールドとともに到着させられる。1)シーンにミラーを配置して、経路長がよく一致するように、送信ビームの一部を反射して検出器アレイに戻す、2)ファイバ遅延を使用して経路長を厳密に一致させ、
図2Aで示唆されているように、特定のレンジに対して観測または予想される位相差を補正するために、経路長調整の有無にかかわらず、検出器アレイの近くの光学系で参照ビームをブロードキャストする、3)周波数シフトデバイス(音響光学変調器)または局部発振器波形変調の時間遅延を使用して、経路長の不整合を補正するために別個の変調を生成する、またはいくつかの組み合わせ。いくつかの実施形態では、ターゲットが十分に近く、パルス持続時間が十分に長く、戻りが遅延なしで参照信号と十分に重なる。いくつかの実施形態では、参照信号207bは、1つ以上の光ミキサ232で戻り信号291と光学的に混合される。
【0029】
いくつかの実施形態では、参照経路220は、RF波形発生器215から入力デジタルチャープ信号を受信する位相変調器を含み、入力デジタルチャープ信号は方形波デジタルチャープ信号に基づく。これらの実施形態では、参照経路220で受信される入力デジタルチャープ信号は、変調器214で受信される入力デジタルチャープ信号から独立している。一実施形態では、参照信号207の位相は、入力デジタルチャープ信号に基づいて位相変調器によって変調され、光ミキサ232における参照ビーム207bと戻り信号291との間の強度ノイズ変動を有利に低減する。
【0030】
様々な実施形態において、ターゲットの複数の部分は、各走査ビームに対してそれぞれの戻り光ビーム291を検出器アレイ230に散乱させ、複数のビームおよび複数の戻りによって照らされたターゲットのそれぞれの複数の部分の複数のレンジに基づいた点群をもたらす。検出器アレイは、ターゲットからの戻りビーム291にほぼ垂直な平面に配置された単一または平衡対の光検出器、またはそのような光検出器の1Dまたは2Dアレイである。インターフェースパターンの位相または振幅、またはいくつかの組み合わせは、パルス持続時間τの間に複数回、各検出器について取得システム240によって記録される。パルス持続時間ごとの時間サンプルの数は、ダウンレンジの範囲に影響する。多くの場合、この数は、パルス繰り返しレートと使用可能なカメラフレームレートに基づいて選択される実際的な考慮事項である。フレームレートはサンプリング帯域幅であって、しばしば「デジタイザ周波数」と呼ばれる。基本的に、Yレンジ幅の分解能ビンを有するパルス中にX個の検出器アレイフレームが収集される場合、X*Yレンジ範囲を観察することができる。取得されたデータは、
図10を参照して以下で説明するコンピュータシステム、または
図11を参照して以下で説明するチップセットなどの処理システム250で利用可能になる。いくつかの実施形態では、取得されたデータは、ターゲットのそれぞれの複数の部分の複数のレンジに基づく点群である。
【0031】
レンジ決定モジュール270は、検出器アレイ230からの電気出力信号に基づいてターゲットまでのレンジを計算する。いくつかの実施形態では、レンジ決定モジュール270は、電気出力信号のフーリエ変換を行って出力信号の周波数スペクトルを得、周波数スペクトルの1つ以上の特性に基づいてターゲットまでのレンジを計算する。一実施形態では、レンジ決定モジュール270は、
図1Bに示された電気出力信号の周波数スペクトルのピークの1つ以上の特性(例えば、周波数値またはf
R)に基づいてレンジを計算する。この実施形態では、レンジ決定モジュール270は、式(1b)および検出器アレイ230からの出力信号の周波数スペクトルのピークの特性(例えばf
R)を使用してレンジを計算する。レンジ決定モジュール270は、式(1b)を使用して複数のレンジを計算し、ここには複数のピーク(例えば、f
Rの複数の値)が、検出器アレイ230からの出力信号の周波数スペクトルに存在する。
【0032】
他の実施形態では、モジュール270は、ドップラシフトのサイズおよびその上の補正レンジを決定するドップラ補正モジュールである。ドップラ補正モジュールについては、2016年11月30日に出願された米国仮出願第62/428,169号で考察されている。
【0033】
図2Bは、方形波デジタルチャープ信号に基づく入力デジタルチャープ信号が、RF波形発生器215からLO信号を生成する参照経路に導入されることを可能にする代替ハードウェア構成を示す。いくつかの実施形態では、参照経路に導入される入力デジタルチャープ信号は、送信経路に導入される入力デジタルチャープ信号から独立している。レーザ源212、スプリッタ216、送信信号205、走査光学系218、光ミキサ232、検出器アレイ230、取得システム240および処理システム250は、
図2Aを参照して上述したとおりである。
図2Bにおいて、発生器215からの入力デジタルチャープを光搬送波に課するために、送信経路に214a、参照経路282に214bの2つの別個の光変調器がある。
【0034】
スプリッタ216は、レーザ源212と変調器214aおよび214bとの間に移動して、変調器214aに突き当たる光信号283と修正された参照経路282の変調器214bに突き当たる低振幅参照経路信号287aとを生成する。この実施形態では、光201は、変調が起こる前に、送信(TX)経路ビーム283と参照/局部発振器(LO)経路ビーム287aとに分割され、かつ、別個の変調器が各経路で使用される。デュアル変調器アプローチでは、オフセット開始周波数および/またはオフセット開始時間および/またはオフセット開始位相にある入力デジタルチャープ信号を用いていずれかの経路をプログラムできる。各レンジゲートで使用される遅延をシフトすることによって、システムは、他のシステムの制限(検出器およびデジタイザ帯域幅、測定時間、など)にもかかわらず、明確に高分解能で測定できる。次いで、ソフトウェア制御された遅延参照信号287bは、上述のように戻り信号291と混合される。他の実施形態では、LO参照経路282のソフトウェア制御された遅延が、適応走査アプローチをダウンレンジ次元でも同様に適応可能にする。
【0035】
いくつかの実施形態では、RF波形発生器215は一対のチャネルを含み、第1のチャネルは第1の入力デジタルチャープ信号を変調器214aに出力し、第2のチャネルは第2の入力デジタルチャープ信号を変調器214bに出力する。いくつかの実施形態では、第1の入力デジタルチャープ信号は第1の方形波デジタルチャープ信号に基づき、第2の入力デジタルチャープ信号は第2の方形波デジタルチャープ信号に基づく。
【0036】
一実施形態では、変調器214aは、第1の入力デジタルチャープ信号を受信して送信ビーム283の周波数を変調し、帯域幅Bおよび持続時間τを有する送信信号205パルスを生成する周波数変調器である。別の実施形態では、変調器214bは、RF波形発生器215から第2の入力デジタルチャープ信号を受信する位相変調器である。これらの実施形態では、変調器214aで受信される第1の入力デジタルチャープ信号は、変調器214bで受信される第2の入力デジタルチャープ信号から独立している。一実施形態では、参照信号207の位相は、第2の入力デジタルチャープ信号に基づいて位相変調器によって変調され、光ミキサ232における参照ビーム207bと戻り信号291との間の強度ノイズ変動を有利に低減する。
【0037】
いくつかの実施形態では、使用されるレーザは、レーザを駆動する電流に適用される変調により能動的に線形化された。実験は、変調を提供する電気光学変調器でも行われた。システムは、様々な実施形態について以下により詳細に説明するように、所望のダウンレンジ分解能に適した帯域幅Bおよび持続時間τのチャープを生成するように構成されている。例えば、いくつかの例示された実施形態では、Bの値は約90GHzのおよびτの値は約200ミリ秒(ms、1ms=10
−3秒)が、行われた実験において比較的低い検出器アレイフレームレートの限界内で機能するように選択された。これらの選択は、約30cmのかなり大きなレンジウィンドウを観察するためになされ、これは、対象物の形状および対象物の識別を決定する際にしばしば重要である。この手法は、10MHz〜5THzのチャープ帯域幅に対して機能する。しかしながら、3Dイメージングアプリケーションの場合、典型的なレンジは、約300MHz〜約20GHzのチャープ帯域幅、約250ナノ秒(ns、ns=10
−9秒)〜約1ミリ秒(ms、1ms=10
−3秒)のチャープ持続時間、約0メートル〜約20kmのターゲットへのレンジ、約3ミリメートル(mm、1mm=10
−3メートル)〜約1メートル(m)のターゲットでのスポットサイズ、約7.5mm〜約0.5mのターゲットでの深度分解能である。これらの条件下では、レンジウィンドウを数キロメートルまで拡張できること、およびドップラ分解能も非常に高くなり得る(チャープの持続時間に応じて)ことに留意されたい。
【0038】
プロセス、機器、およびデータ構造が、例示の目的で特定の配置の不可欠なブロックとして、
図2Aおよび
図2Bに示されているが、他の実施形態では、1つ以上のプロセスまたはデータ構造、あるいはその一部が、異なる様態で、同じまたは異なるホスト上に、1つ以上のデータベース内に、配置されているか、または省略されているか、あるいは1つ以上の異なるプロセスまたはデータ構造が、同じまたは異なるホスト上に含まれている。例えば、スプリッタ216および参照経路220は、ゼロ以上の光カプラを含む。
【0039】
図3Aは、一実施形態による、
図2AのLIDARシステム200のRF波形発生器215の例示的な構成要素を図示するブロック図である。一実施形態では、RF波形生成器215は、方形波デジタルチャープ信号306を発生させるトランシーバ302を含む。いくつかの実施形態では、トランシーバ302は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のトランシーバである。一実施形態では、FPGAは、他の機能を行うためにLIDARシステム200によって使用され、1つ以上のさもなければ使用されないFPGAのトランシーバ302は、RF波形発生器215によってアクセスされる。一実施形態では、FPGAのトランシーバ302は、約32GHzの帯域幅を有する。この説明の目的のために、デジタル信号のパラメータを議論するとき、単位のヘルツ(Hz)は、単位の秒あたりのサンプル(SPS)と交換可能に使用される。この実施形態は、LIDARシステム200の既存の構成要素を有利に採用して、広帯域デジタル化チャープ信号を発生し、LIDARシステム200において光搬送波を変調する。例示的な実施形態では、FPGAはまた、処理システム250によっても使用されて、ターゲットまでのレンジを計算し、および/または計算されたレンジに基づいて画像データを生成する。
【0040】
一実施形態では、デジタルチャープ波形は、FPGA上のプロセッサコア上で走るソフトウェアで発生される。従来のFPGA上のいくつかの実施形態では、これらのプロセッサはFPGAファブリックに実装されたソフトコアプロセッサである。システムオンチップ(SoC)FPGA上の他の実施形態では、プログラマブルロジックファブリックと並んでシリコンに永続的に実装されたハードコアプロセッサが存在する。
【0041】
一実施形態では、ソフトウェアアルゴリズムは、チャープ繰り返しレート、チャープ開始周波数、チャープ帯域幅、チャープ方向、および出力サンプルレートなどのいくつかのパラメータを入力として取り、出力としてチャープ波形データを生成する。ソフトウェア発生の波形は、FPGAのプログラマブルロジックファブリックに実装されたデュアルポートブロックランダムアクセスメモリ(RAM)要素にロードされる。これらのRAMブロックの1つのポートは、この波形のロードを可能にするためにプロセッサコアに接続され、他のポートは、プログラマブルロジックの有限状態マシン(FSM)に接続される。このFSMは、シームレスな繰り返しチャープ発生に必要な厳しいタイミング要件の下で、波形を読み出して、それらをFPGAのマルチギガビットトランシーバ(MGT)に供給するように設計されている。FSMはまた、それ自体プロセッサコア上で走るソフトウェアによって制御可能であり、ソフトウェア環境からの完全な波形発生と制御とを可能にする。
【0042】
方形波波形は、FPGAトランシーバ302にアップロードされ、方形波デジタルチャープ信号306を発生させるための入力として使用される命令217の少なくとも一部を構成する。いくつかの実施形態では、方形波命令217は、方形波デジタルチャープ信号306の1つ以上のパラメータに基づいてパラメータ化されたビットストリームである。一実施形態では、パラメータは、開始周波数、停止周波数、パルス持続時間、およびパルス繰り返し周波数(PRF)のうちの1つ以上を含む。例示的な実施形態では、開始周波数は約500MHzであり、停止周波数は約14GHzであり、パルス持続時間は約100マイクロ秒(μ秒)であり、PRFは約10キロヘルツ(kHz)である。いくつかの実施形態では、方形波命令217は、トランシーバ302の第1のクロックサイクル数(例えば、111000)にわたって固定振幅の出力を示すビットストリームを含み、第1の周波数を出力し、その後、第1のクロックサイクル数よりも少ない第2のクロックサイクル数(例えば、1100)にわたって固定振幅の出力が続き、第1の周波数よりも大きい第2の周波数を出力する。他の実施形態では、方形波命令は、レンジ決定モジュール270に含まれ、FPGAトランシーバ302にアップロードされるのではなく、処理システム250からFPGAトランシーバ302に送信される。
【0043】
いくつかの実施形態では、方形波命令217は、コサインチャープ波形(例えば、
図4Aのコサインチャープ406信号)をデジタル化することにより決定される。一実施形態では、各クロックサイクルでの方形波命令217のビットストリームは、各クロックサイクルに対応する時間増分でのコサインチャープ波形の偏角に基づいて決定される。一実施形態では、ビットストリームは、コサインチャープ波形の偏角が単位円の右半分にある時間増分に対して1に設定される。この実施形態では、ビットストリームは、コサインチャープ波形の偏角が単位円の左半分にある時間増分に対して0に設定される。これは、リソースを集中的に使用するステップ、例えば、ルックアップテーブルまたはコサイン関数を計算する他の方法を使用すること、を有利に回避し、方形波命令217を計算するための効率的な方法を提供する。
【0044】
図4Aは、一実施形態による、従来のLIDARシステムで使用される入力デジタルチャープ信号の一例を図示するグラフ400である。水平軸402は時間であり、任意の単位で測定される。電圧での垂直軸404は、任意の単位で測定される。一実施形態では、入力デジタルチャープ信号は、時間とともに第1の周波数から第1の周波数よりも大きい第2の周波数まで直線的に増加するコサインチャープ406信号である。
図4Bは、一実施形態による、
図4Aの入力デジタルチャープ信号の周波数スペクトルの一例を図示するグラフ450である。水平軸452はギガヘルツ(GHz)単位の周波数であり、垂直軸454はデシベル(dB)単位のパワーである。一実施形態では、曲線456は、コサインチャープ406信号の周波数スペクトルを表す。周波数スペクトルの帯域幅460は、第1の周波数から第2の周波数まで広がっている。一実施形態では、帯域幅460は、約500MHzから約10GHzのレンジにある。加えて、ダイナミックレンジ462は、帯域幅460内の曲線456の振幅と帯域幅460外の曲線456の振幅との間の差として定義される。ダイナミックレンジ462は、少なくとも50dBである。
【0045】
図5Aは、一実施形態による、
図2Aおよび
図2BのLIDARシステム200、280で使用される方形波デジタルチャープ信号306の一例を図示するグラフ500である。水平軸502は時間であり、任意の単位で測定される。垂直軸504は電圧であり、任意の単位で測定される。一実施形態では、方形波デジタルチャープ信号306は、時間とともに第1の周波数から第1の周波数よりも大きい第2の周波数まで直線的に増加する。
図5Bは、一実施形態による、
図5Aの方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルの一例を図示するグラフ550である。水平軸552はギガヘルツ(GHz)単位の周波数であり、垂直軸554はデシベル(dB)単位のパワーである。
【0046】
いくつかの実施形態では、
図3AのRF波形発生器215は、方形波デジタルチャープ信号306を、変調器214に入力される
図3Aの入力デジタルチャープ信号308に変換する1つ以上の調整ステップを行うRF調整304の構成要素を含む。いくつかの実施形態では、調整ステップは、
図5Bの方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルを変更し、それにより入力デジタルチャープ信号308の結果としての周波数スペクトルは、
図4Bの入力デジタルチャープ信号の周波数スペクトルと1つ以上の特性を共有する。一実施形態では、
図4Bの入力デジタルチャープ信号の周波数スペクトルの特性は、帯域幅460および/またはダイナミックレンジ462を含む。
【0047】
図3Bは、一実施形態による、
図3AのRF波形発生器215のRF調整304の例示的な構成要素を図示するブロック図である。いくつかの実施形態では、RF調整304の構成要素は、
図5Bの方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルからあるレンジの周波数を除去するために使用されるフィルタ310を含む。一実施形態では、フィルタ310は、帯域幅460と重複する周波数のレンジを通過させ、
図4Bのコサインチャープ406信号の帯域幅460の外側にある周波数のレンジを除去する帯域通過フィルタである。いくつかの実施形態では、方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトル内の高次高調波555、557は、フィルタ310によって除去される。この実施形態では、フィルタ310は、
図5Bの方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルからあるレンジの周波数(例えば5GHzより上)を除去する。例示的な実施形態では、高次ローパスフィルタを使用して、3次およびより高次の高調波を大幅に減衰させる。いくつかの実施形態では、フィルタリングは、デジタル波形をRF回路で使用するための正弦波形に有利に変換する。例示的な実施形態では、除外される周波数のレンジが高次高調波555、557を包含するように、周波数のレンジが除去される。当業者には理解されるように、高次高調波555、557は、
図5Aの方形波チャープ306の結果として起きる周波数成分である。
【0048】
フィルタ310を使用して周波数スペクトルから周波数のレンジを除去した後、結果の帯域幅560は、入力デジタルチャープ信号308の周波数スペクトルである。いくつかの実施形態では、帯域幅560は、
図4Bの入力デジタルチャープ信号の帯域幅460と重なる。いくつかの実施形態では、入力デジタルチャープ信号308の帯域幅560は、入力デジタルチャープ信号の帯域幅460を超える。様々な実施形態において、帯域幅560は、約2GHzから約30GHzのレンジである。好ましくは、帯域幅560は、約10GHzから約30GHzのレンジである。例示的な一実施形態では、帯域幅560は、約2GHzから約3GHzのレンジである。一般に、入力デジタルチャープ信号308の帯域幅は、第1の周波数から第2の周波数まで広がる。例示的な実施形態では、第1の周波数は約500MHzから約2GHzのレンジにあり、第2の周波数は約3GHzから約32GHzのレンジにある。
図5Bは、2〜3GHzのレンジの帯域幅560を示しているが、これは単なる一例示的実施形態に過ぎない。
【0049】
他の実施形態では、フィルタ310は、入力デジタルチャープ信号308の最小ダイナミックレンジを確立するために、
図5Bの方形波デジタルチャープ信号306の周波数パワースペクトルから周波数のレンジを除去する。ダイナミックレンジは、帯域幅560内の周波数パワースペクトルの振幅と帯域幅560の外側の周波数パワースペクトルの振幅との差として定義される。
図5Bに示されるように、フィルタ310で周波数のレンジ(例えば、高調波555、557)を除去する前に、ダイナミックレンジ563は約10dBである、例えば帯域幅560内の約0dBと高次高調波555での約−10dBとの間の差。フィルタ310で周波数のレンジ(例えば、高調波555、557)を除去した後、ダイナミックレンジ562は、約20dBまで増加した、例えば、帯域幅560内の約0dBとノイズフロアでの約−20dBとの間の差。一実施形態では、入力デジタルチャープ信号308の最小ダイナミックレンジは、約20dBから約50dBのレンジにある。
【0050】
図5Bに示された周波数スペクトルの振幅は帯域幅560にわたって比較的平坦であるが、いくつかの実施形態では、振幅は帯域幅560にわたって平らではない。一実施形態では、振幅が、帯域幅560内のより低い周波数でより大きく、より高い周波数でより小さくなるように、振幅がより高い周波数で先細りになっている。入力デジタルチャープ信号308の周波数スペクトルが帯域幅560にわたって等しい振幅を有する場合、混合にとって有利である。
【0051】
いくつかの実施形態では、
図3BのRF調整304の構成要素は、帯域幅560にわたって入力デジタルチャープ信号308の周波数スペクトルの振幅を平坦化するために使用される等化器312を含む。
図6Aは、帯域幅560にわたる周波数スペクトルの振幅を示す伝達関数606の例を図示するグラフである。水平軸602は任意単位の周波数であり、垂直軸604は任意単位のパワーである。フィルタ310が方形波デジタルチャープ信号306から周波数のレンジを除去した後、フィルタリングされた信号311は、振幅が帯域幅560にわたって伝達関数606に似ている周波数スペクトルを有する等化器312で受信される。いくつかの実施形態では、伝達関数606はトランシーバ302の特性であり、帯域幅560にわたる方形波デジタルチャープ信号の周波数スペクトルの振幅を示す。
図6Bは、別の実施形態による、トランシーバの何かの不利な形状および/またはフィルタリングされた伝達関数606を補正するために挿入された
図3BのRF調整構成要素の等化器312の伝達関数608の例を図示するグラフである。水平軸602は任意単位の周波数であり、垂直軸604は任意単位のパワーである。いくつかの実施形態では、等化器312は、フィルタ310からフィルタリングされた信号311を受信し、伝達関数608に従って帯域幅560にわたってフィルタリングされた信号の周波数スペクトルの振幅を拡大する。
図6Cは、一実施形態による、
図3AのRF波形発生器215から出力される入力デジタルチャープ信号308の結果としての関数610の例を図示するグラフである。等化器312が、伝達関数608を使用して帯域幅560にわたってフィルタリングされた信号311の周波数スペクトルを拡大した後、結果としての関数610は、帯域幅560にわたる入力デジタルチャープ信号308の周波数スペクトルの振幅を示す。いくつかの実施形態では、周波数スペクトルの振幅は、帯域幅560にわたってほぼ等しい。例示的な一実施形態では、周波数スペクトルの振幅は、帯域幅560にわたって約10%の平坦度内にある。別の例示的な実施形態では、周波数スペクトルの振幅は、帯域幅560にわたって3〜6dBの変動を特徴とする。いくつかの実施形態では、RF増幅器314が、変調器214に入力される前に入力デジタルチャープ信号308を増幅するために設けられる。
【0052】
図3Cは、一実施形態による、
図2BのLIDARシステム280のRF波形発生器215の例示的な構成要素を図示するブロック図である。
図3CのRF波形発生器215は、FPGAトランシーバ302が複数の方形波デジタルチャープ信号306a、306bを発生させるために複数のチャネル(例えば、2つのチャネル)を含むことを除いて、
図3Aの波形発生器215と同様である。加えて、
図3CのRF波形発生器215は、入力デジタルチャープ信号308a、308bを発生させるために方形波デジタルチャープ信号306a、306bの各々について1つ以上の調整ステップを行うRF調整304の構成要素を含む。一実施形態では、第1の入力デジタルチャープ信号308aは、変調器214aに入力されて送信経路ビーム283の周波数を変調し、第2の入力デジタルチャープ信号308bは、変調器214bに入力されて参照経路信号287aの位相を変調する。参照経路信号287aの位相の変調は、参照経路信号287bと戻り光291との間の強度変動に起因する検出器アレイ230でのノイズを有利に低減する。いくつかの実施形態では、方形波デジタルチャープ信号306a、306bは独立しており、それにより、1つ以上の別個のパラメータ(例えば、開始周波数、停止周波数、パルス持続時間、パルス繰り返し周波数)を特徴とする。一実施形態では、
図3CのFPGAトランシーバ302にアップロードされた方形波命令207は、各方形波デジタルチャープ信号306a、306bに対する別個の命令を含む。
【0053】
図7は、一実施形態による、
図4Aの入力デジタルチャープ信号406を使用する従来のLIDARシステムにおけるデチャーピングから生じるビート周波数の例示的な測定を図示するグラフである。水平軸702は、MHz単位の周波数である。垂直軸704は、送信パワー密度I
Tに対する戻り信号パワー密度I
Rをデシベル(dB、dBのパワー=20log(I
R/I
T))で示す。曲線706は、ビート周波数にわたるパワースペクトルの振幅を示す。複数のレンジリターンピーク708a、708b、708cが描かれており、各レンジリターンピークは、例えば、対象物の異なる部分または異なる対象物に対する、それぞれのレンジ測定値を示している。一実施形態では、各ピーク708a、708b、708cの水平位置は、それぞれのレンジを計算するために式(1b)で使用されるf
Rの別個の値を与える。ダイナミックレンジ712は、リターンピーク708での曲線706の振幅(例えば、−40dB)とノイズフロアでの曲線706の振幅(例えば、−80dB)との間で測定される。一実施形態では、ダイナミックレンジ712は約40dBである。いくつかの実施形態では、約20dBから約40dBの間の最小ダイナミックレンジが、正確なレンジ検出を保証する。
【0054】
図8は、一実施形態による、
図5Aの方形波デジタルチャープ信号306を使用するLIDARシステム200におけるデチャーピングから生じるビート周波数の例示的な測定を図示するグラフである。水平軸802は、MHz単位の周波数である。垂直軸804は、送信パワー密度I
Tに対する戻り信号パワー密度I
Rをデシベル(dB、dBのパワー=20log(I
R/I
T))で示す。曲線806は、ビート周波数にわたるパワー周波数スペクトルの振幅を示す。複数のレンジリターンピーク808a、808b、808cが描かれており、各レンジリターンピークは、例えば、対象物の異なる部分または異なる対象物に対する、それぞれのレンジ測定値を示している。各ピーク808a、808b、808cの水平位置は、それぞれのレンジを計算するために式(1b)でレンジ決定モジュール270によって使用されるf
Rの別個の値を与える。加えて、複数のスプリアスピーク810a、810bが描かれており、これらは、例えば、RF調整304がない場合に、方形波デジタルチャープ信号306が変調器214に入力される場合に得られる。スプリアスピーク810a、810bは、
図7において対応するピークを持たず、このため、RF調整304が方形波デジタルチャープ信号306に行われない限り、誤ったレンジ計算をもたらす。RF調整304は、ビート周波数曲線806からスプリアスピーク810a、810bを有利に除去し、それにより誤ったレンジ計算を回避する。
【0055】
ダイナミックレンジ812は、リターンピーク808での曲線806の振幅(例えば、−35dB)とノイズフロアでの曲線806の振幅(例えば、−80dB)との間で測定される。一実施形態では、ダイナミックレンジ812は約35dBであり、これは正確なレンジ検出のための最小ダイナミックレンジ(例えば、20dB)よりも大きい。スプリアスピーク810a、810bを除去することによって、RF調整はまた、正確なレンジ検出のために最小ダイナミックレンジより上に、ダイナミックレンジ812を有利に増加する。いくつかの実施形態では、RF調整304は、例えば、戻りピーク708の振幅に対して、戻りピーク808の振幅を減少させるが、ダイナミックレンジ812は、正確なレンジ検出のために最小ダイナミックレンジを超える。
【0056】
図9は、一実施形態による、光チャープレンジ検出のために方形波デジタルチャープ信号306を使用するための例示的な方法900を図示するフローチャートである。
図9の流れ図は、例示の目的のために特定の順序で不可欠なステップとして示されているが、他の実施形態では、1つ以上のステップまたはその一部が、異なる順序で行われるか、時間的に重複して、直列または並列で行われ、あるいは、省略されるか、1つ以上の追加ステップが追加されるか、または方法が仕方のいくつかの組み合わせに変更される。
【0057】
ステップ901において、光信号がレーザ源からが放射される。一実施形態では、ステップ901において、
図2Aのシステム200内のレーザ源212から搬送波201が放射される。他の実施形態では、ステップ901において、搬送波201がレーザ源212から放射され、スプリッタ216がその後、搬送波201を
図2Bのシステム280の送信経路ビーム283と参照経路信号287aに分割する。
【0058】
ステップ903において、方形波デジタルチャープ信号がトランシーバで発生される。一実施形態では、ステップ903において、方形波デジタルチャープ信号306がトランシーバ302内でFPGAから発生される。別の実施形態では、方形波デジタルチャープ信号306は、チップ上の任意の高速シリアルトランシーバによって発生される。例示的な実施形態では、方形波デジタルチャープ信号306は、デジタル信号プロセッサ(DSP)によって発生される。例示的な一実施形態では、DSPは、特定用途向け集積回路(ASIC)上に実装される。いくつかの実施形態では、ステップ903において、FPGAトランシーバ302にアップロードされた方形波命令207が実行されて、方形波デジタルチャープ信号306を発生させる。他の実施形態では、ステップ903において、方形波命令はレンジ決定モジュール270に含まれ、処理システム250からFPGAトランシーバ302に通信されて方形波デジタルチャープ信号306を発生させる。他の実施形態では、デジタル信号の他のソースが使用される。
【0059】
一実施形態では、ステップ903において、単一の方形波デジタルチャープ信号306がトランシーバ302内で発生され、トランシーバ302の単一のチャネルから出力される。他の実施形態では、ステップ903において、複数の方形波デジタルチャープ信号306a、306bがトランシーバ内で発生され、トランシーバ302の複数のチャネルから出力される。
【0060】
ステップ905において、ステップ903で発生された方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルが決定される。一実施形態では、方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルは
図5Bに示されており、高次高調波555、557を含む。いくつかの実施形態では、方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルは予め決められおり、ステップ905は省略される。
【0061】
ステップ907において、ステップ905で決定された方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルからあるレンジの周波数が除去される。いくつかの実施形態では、ステップ907において、周波数のレンジはフィルタ310で除去される。いくつかの実施形態では、ステップ907において、フィルタ310は、帯域幅560内のあるレンジの周波数を送信し、周波数スペクトルの帯域幅560の外側の周波数の1つ以上のレンジを除去する帯域通過フィルタである。一実施形態では、帯域幅560は、コサインチャープ信号406の周波数スペクトルの帯域幅460に基づく。いくつかの実施形態では、ステップ907において、帯域幅560が帯域幅460と重なり、帯域幅560が約10GHzから約30GHzのレンジになるように、周波数のレンジがフィルタ310で除去される。他の実施形態では、ステップ907において、ダイナミックレンジ563(例えば、10dB)がダイナミックレンジ562(例えば、20dB)に増大するように、周波数のレンジがフィルタ310で除去される。いくつかの実施形態では、増加されたダイナミックレンジ562は、正確なレンジ検出のために最小ダイナミックレンジ(例えば、20dB)を超える。いくつかの実施形態では、ステップ907において、フィルタ310は、高次高調波555、557を包含する周波数のレンジを除去する。例示的な実施形態において、フィルタ310は、閾値周波数(例えば、5GHz)より上の周波数のレンジを除去して、高次高調波555、557を除去する。方形波デジタルチャープ信号306の周波数スペクトルが予め決められたいくつかの実施形態では、ステップ905は省略され、ステップ907は、予め決められた周波数スペクトルに基づいて周波数のレンジを除去する。いくつかの実施形態では、ステップ907において、フィルタ310は、方形波デジタルチャープ信号306を、等化器312に入射するフィルタリングされた信号311に変換する。
【0062】
ステップ909では、入力デジタルチャープ信号308を発生させるためにステップ907からの周波数スペクトルの振幅が等化される。一実施形態では、帯域幅560にわたってフィルタリングされた信号311の周波数スペクトルの振幅は、伝達関数606に似ており、例えば、帯域幅560内のより高い周波数で先細りになっている。一実施形態では、ステップ909において、等化器612が、伝達関数608で帯域幅560にわたってフィルタリングされた信号311の周波数スペクトルの振幅を拡大する。帯域幅560にわたる入力デジタルチャープ信号308の周波数スペクトルの結果として生じる振幅は、結果としての伝達関数610に似ており、例えば、帯域幅560にわたってほぼ等しい。いくつかの実施形態では、入力デジタルチャープ信号308は、RF増幅器314によって増幅され、その後、変調器214に入力される。
【0063】
他の実施形態では、アップロードされた方形波命令207に基づいて入力デジタルチャープ信号308を発生させるために、ステップ903、905、907、909で、またはステップ903、905、907、909の代わりに、任意のデジタルアナログ変換器を使用することができる。当業者には理解されるように、デジタルアナログ変換器の選択は、ビット深度と帯域幅との間のトレードオフを伴う。
【0064】
ステップ911において、ステップ901の光信号の周波数は、ステップ909からの入力デジタルチャープ信号308に基づいて変調器で変調される。一実施形態では、ステップ911において、搬送波201の周波数は、RF波形発生器215からの入力デジタルチャープ信号308に基づいて
図2Aの変調器214で変調され、帯域幅Bおよび持続時間τを有するパルスを生成する。他の実施形態では、ステップ911において、搬送波201がレーザ源212から放射され、
図2Bのスプリッタ216がその後、搬送波201を送信経路ビーム283と参照経路信号287aとに分割し、送信経路ビーム283の周波数は、RF波形発生器215からの第1の入力デジタルチャープ信号308aに基づいて変調器214aで変調される。
【0065】
ステップ913において、ステップ911の光信号が送信光信号と参照光信号に分割される。一実施形態では、ステップ913において、
図2Aの変調器214からの変調ビーム203は、スプリッタ216で送信信号205と参照信号207aに分割される。一実施形態では、ステップ911での変調の前にスプリッタ216が光信号を既に分割しているため、
図2Bの実施形態に関してステップ913は省略される。
【0066】
ステップ914において、参照経路信号287aの位相は、ステップ909からの入力デジタルチャープ信号に基づいて変調器で変調される。一実施形態では、ステップ914において、参照経路信号287aの位相は、RF波形発生器215からの入力デジタルチャープ信号308bに基づいて
図2Bの変調器214bで変調される。いくつかの実施形態では、入力デジタルチャープ信号308bは、送信経路ビーム283の周波数を変調するためにステップ911で変調器214aに入射する入力デジタルチャープ信号308aとは異なる。いくつかの実施形態では、ステップ914は省略される。
【0067】
ステップ915において、参照経路光信号と戻り信号291とは検出器で結合される。一実施形態では、ステップ915において、参照経路信号207bと戻り信号291とは、
図2Aの検出器アレイ230で結合される。別の実施形態では、ステップ915において、参照経路信号287bと戻り信号291とは、
図2Bの検出器アレイ230で結合される。
【0068】
ステップ917において、検出器から電気出力信号が発生される。一実施形態では、ステップ915に基づいて、検出器アレイ230から電気出力信号が発生される。一実施形態では、電気出力信号は、参照信号と戻り信号との間の周波数差に基づく1つ以上のビート周波数を含む。
【0069】
ステップ919において、ステップ917での電気出力信号のフーリエ変換の特性に基づいて、対象物までのレンジが決定される。一実施形態では、レンジ決定モジュール270に基づいて、処理システム250が、検出器アレイ230から受信した電気出力信号のフーリエ変換を行い、電気出力信号の周波数スペクトルを得る(例えば、
図8の曲線806)。加えて、処理システム250は、電気出力信号の周波数スペクトル内の1つ以上のレンジ戻りピーク808a、808b、808cを識別する。処理システム250は、ピークおよびゼロ以上のドップラシフトの1つ以上の特性(例えば、周波数値またはf
R)をさらに決定する。次いで、処理システム250は、検出された周波数および、またはドップラ補正された周波数と式(1b)に基づいて各ピークのレンジを計算する。
【0070】
3.計算ハードウェアの概要
図10は、本発明の実施形態が実装され得るコンピュータシステム1000を図示するブロック図である。コンピュータシステム1000は、コンピュータシステム1000の他の内部および外部構成要素間で情報を受け渡すためのバス1010などの通信機構を含む。情報は、測定可能な現象、典型的には電圧、の物理信号として表されるが、他の実施形態では、磁気、電磁気、圧力、化学、分子原子、および量子相互作用などの現象を含む。例えば、北および南の磁場、またはゼロおよび非ゼロの電圧は、二進数(ビット)の2つの状態(0、1)を表す。他の現象は、上位の桁数を表すことができる。測定前の複数の同時量子状態の重ね合わせは、量子ビット(qubit)を表す。1つ以上の数字のシーケンスは、特性の数またはコードを表すために使用されるデジタルデータを構成する。.いくつかの実施形態では、アナログデータと呼ばれる情報は、特定のレンジ内の測定可能な値のほぼ連続体によって表される。コンピュータシステム1000またはその一部は、本明細書に記載の1つ以上の方法の1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0071】
一連の二進数は、特性の数またはコードを表すために使用されるデジタルデータを構成する。バス1010は、情報がバス1010に連結されたデバイス間で迅速に転送されるように、情報の多くの並列伝導体を含む。情報を処理するための1つ以上のプロセッサ1002がバス1010に連結されている。プロセッサ1002は、情報に対して一組の動作を行う。動作のセットには、バス1010から情報を取り込むこと、バス1010上へ情報を置くことが含まれる。動作のセットには、典型的には、2つ以上の情報ユニットの比較、情報ユニットの位置のシフト、加算や乗算などによる2つ以上の情報ユニットの結合も含まれる。プロセッサ1002によって実行される一連の動作は、コンピュータ命令を構成する。
【0072】
コンピュータシステム1000は、バス1010に連結されたメモリ1004も含む。ランダムアクセスメモリ(RAM)または他のダイナミック記憶デバイスなどのメモリ1004は、コンピュータ命令を含む情報を記憶する。ダイナミックメモリは、そこに記憶された情報がコンピュータシステム1000によって変更されることを可能にする。RAMは、メモリアドレスと呼ばれる場所に記憶されている情報のユニットが、近隣アドレスの情報とは無関係に記憶および検索されることを可能にする。メモリ1004はまた、コンピュータ命令の実行中に一時的な値を記憶するためにプロセッサ1002によって使用される。コンピュータシステム1000はまた、コンピュータシステム1000によって変更されない命令を含むスタティック情報を記憶するためのバス1010に連結された読み出し専用メモリ(ROM)1006または他のスタティック記憶デバイスを含む。命令を含む情報を記憶するための、磁気ディスクまたは光ディスクなどの不揮発性(永続的)記憶デバイス1008もまたバス1010に連結され、コンピュータシステム1000の電源が切られた場合さもなければ電力が失われた場合でも持続する。
【0073】
命令を含む情報は、人間のユーザによって動作される英数字キーを含むキーボード、またはセンサなどの外部入力デバイス1012からプロセッサが使用するためにバス1010に提供される。センサはその周辺の状態を検出し、それらの検出を、コンピュータシステム1000の情報を表すために使用される信号と互換性のある信号に変換する。主に人間と対話するために使用されるバス1010に連結された他の外部デバイスは、陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などの、画像を提示するためのディスプレイデバイス1014、および、マウスまたはトラックボールあるいはカーソル方向キーなどの、ディスプレイ1014上に提示される小さなカーソル画像の位置を制御し、ディスプレイ1014上に提示されるグラフィック要素に関連付けられたコマンドを発行するためのポインティングデバイス1016を含む。
【0074】
図示の実施形態では、特定用途向け集積回路(IC)1020などの、特別目的のハードウェアがバス1010に連結されている。特別目的のハードウェアは、特別目的のために十分に速くプロセッサ1002によって行われない動作を行うように構成されている。特定用途向けICの例には、ディスプレイ1014用の画像を生成するグラフィックアクセラレータカード、ネットワークを介して送られるメッセージを暗号化および解読するための暗号化ボード、音声認識、およびハードウェア内でより効率的に実装されるいくらかの複雑なシーケンスの動作を繰り返し行うロボットアームや医療スキャン機器などの、特別な外部デバイスへのインターフェースが含まれる。
【0075】
コンピュータシステム1000はまた、バス1010に連結された通信インターフェース1070の1つ以上の実例も含む。通信インターフェース1070は、プリンタ、スキャナ、外部ディスクなどの、独自のプロセッサで動作する様々な外部デバイスへの双方向通信連結を提供する。一般に、連結は、独自のプロセッサを備えた様々な外部デバイスが接続されているローカルネットワーク1080に接続されているネットワークリンク1078で行われる。例えば、通信インターフェース1070は、パーソナルコンピュータ上のパラレルポートまたはシリアルポートあるいはユニバーサルシリアルバス(USB)ポートであり得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェース1070は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カードまたはデジタル加入者線(DSL)カード、あるいは対応するタイプの電話線への情報通信接続を提供する電話モデムである。いくつかの実施形態では、通信インターフェース1070は、バス1010上の信号を、同軸ケーブルを介した通信接続用の信号に、または光ファイバケーブルを介した通信接続用の光信号に、変換するケーブルモデムである。別の例として、通信インターフェース1070は、イーサネット(登録商標)などの互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。無線リンクが実装されてもよい。音波や電磁波などの搬送波は、ワイヤやケーブルなしで空間を走行する無線波、光波、および赤外線波を含む。信号には、搬送波の振幅、周波数、位相、偏波、または他の物理的属性の人為的な変動が含まれる。無線リンクの場合、通信インターフェース1070は、デジタルデータなどの情報ストリームを運ぶ、赤外線および光信号を含む電気、音響または電磁信号を送受信する。
【0076】
本明細書では、コンピュータ可読媒体という用語は、実行のための命令を含めて、情報をプロセッサ1002へ提供することに関与する任意の媒体を指すために使用される。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むが、これらに限定されない、多くの形態を取り得る。不揮発性媒体には、例えば、記憶デバイス1008などの光ディスクまたは磁気ディスクが含まれる。揮発性メディアには、例えば、ダイナミックメモリ1004が含まれる。伝送媒体には、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバケーブル、および音波や電磁波など、無線波、光波、および赤外線波を含めて、ワイヤやケーブルなしで空間を走行する波が含まれる。本明細書では、コンピュータ可読記憶媒体という用語は、伝送媒体を除き、情報をプロセッサ1002へ提供することに関与する任意の媒体を指すために使用される。
【0077】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意のその他の磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、デジタルビデオディスク(DVD)、または任意のその他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、または穴のパターンを有する任意のその他の物理媒体、RAM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、FLASH−EPROM、または任意のその他のメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読み取れる任意のその他の媒体、が含まれる。本明細書では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体という用語は、搬送波および他の信号を除き、情報をプロセッサ1002へ提供することに関与する任意の媒体を指すために使用される。
【0078】
1つ以上の有形の媒体に符号化されたロジックには、コンピュータ可読記憶媒体上のプロセッサ命令およびASIC1020などの特別目的のハードウェアの一方または両方が含まれる。
【0079】
ネットワークリンク1078は、典型的には、1つ以上のネットワークを通じて、情報を使用または処理する他のデバイスへの情報通信を提供する。例えば、ネットワークリンク1078は、ローカルネットワーク1080を通じて、ホストコンピュータ1082へ、またはインターネットサービスプロバイダー(ISP)によって運営される機器1084への接続を提供し得る。ISP機器1084は、今度は、今一般にインターネット1090と呼ばれるネットワークの公共の世界規模のパケット交換通信ネットワークを通じてデータ通信サービスを提供する。インターネットに接続されたサーバ1092と呼ばれるコンピュータは、インターネットを介して受信した情報に応答してサービスを提供する。例えば、サーバ1092は、ディスプレイ1014でのプレゼンテーション用のビデオデータを表す情報を提供する。
【0080】
本発明は、本明細書に記載の手法を実装するためのコンピュータシステム1000の使用に関する。本発明の一実施形態によれば、これらの手法は、プロセッサ1002が、メモリ1004に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行することに応答して、コンピュータシステム1000によって行われる。ソフトウェアおよびプログラムコードとも呼ばれるそのような命令は、記憶デバイス1008などの別のコンピュータ可読媒体からメモリ1004に読み込まれてもよい。メモリ1004に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ1002に本明細書に記載の方法のステップを実行させる。代替実施形態では、特定用途向け集積回路1020などのハードウェアが、ソフトウェアの代わりに、またはソフトウェアと組み合わせて使用されて、本発明を実施し得る。このため、本発明の実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアのいずれか特定の組み合わせに限定されない。
【0081】
通信インターフェース1070を通じてネットワークリンク1078および他のネットワークを介して送信される信号は、コンピュータシステム1000との間で情報をやり取りする。コンピュータシステム1000は、とりわけネットワーク1080、1090を通じて、ネットワークリンク1078および通信インターフェース1070を通じて、プログラムコードを含む情報を送受信することができる。インターネット1090を使用する例では、サーバ1092が、インターネット1090、ISP機器1084、ローカルネットワーク1080、および通信インターフェース1070を通じて、コンピュータ1000から送られたメッセージによって要求された特定のアプリケーションのためのプログラムコードを送信する。受信されたコードは、受信されたときにプロセッサ1002によって実行されてもよく、または後で実行するために記憶デバイス1008または他の不揮発性ストレージに記憶されてもよく、両方でもよい。このようにして、コンピュータシステム1000は、搬送波上の信号の形態でアプリケーションプログラムコードを取得し得る。
【0082】
様々な形態のコンピュータ可読媒体は、実行のためにプロセッサ1002に命令またはデータあるいはその両方の1つ以上のシーケンスを運ぶことに関与する場合がある。例えば、命令およびデータは、最初はホスト1082などのリモートコンピュータの磁気ディスク上に運ばれてもよい。リモートコンピュータは、命令およびデータをダイナミックメモリにロードし、モデムを使用して電話回線を介して命令およびデータを送る。コンピュータシステム1000にローカルなモデムは、電話回線上で命令およびデータを受信し、赤外線送信器を使用して、命令およびデータをネットワークリンク1078として機能する赤外線搬送波上の信号に変換する。通信インターフェース1070として機能する赤外線検出器は、赤外線信号で運ばれる命令およびデータを受信し、命令およびデータを表す情報をバス1010に置く。バス1010は、情報をメモリ1004に搬送し、そこからプロセッサ1002は、命令とともに送られたデータの一部を使用して命令を検索および実行する。メモリ1004で受信された命令およびデータは、プロセッサ1002による実行の前または後のいずれかに、記憶デバイス1008上に任意選択的に記憶されてもよい。
【0083】
図11は、本発明の実施形態が実装され得るチップセット1100を図示する。チップセット1100は、本明細書に記載の方法の1つ以上のステップを行うようにプログラムされ、例えば、1つ以上の物理パッケージ(例えば、チップ)に組み込まれた
図10に関して説明したプロセッサおよびメモリ構成要素を含む。例として、物理的パッケージは、物理的強度、サイズの保存、および/または電気的相互作用の制限などの1つ以上の特性を提供するために、構造アセンブリ(例えば、ベースボード)上の1つ以上の材料、構成要素、および/またはワイヤの配置を含む。ある実施形態では、チップセットは単一のチップに実装できることが企図されている。チップセット1100またはその一部は、本明細書に記載の方法の1つ以上のステップを行うための手段を構成する。
【0084】
一実施形態では、チップセット1100は、チップセット1100の構成要素間で情報を受け渡すためのバス1101などの通信機構を含む。プロセッサ1103は、バス1101への接続性を有し、命令を実行し、例えば、メモリ1105に記憶された情報を処理する。プロセッサ1103は、1つ以上の処理コアを含んでもよく、各コアは独立して行うように構成されている。マルチコアプロセッサは、単一の物理パッケージ内でマルチ処理を可能にする。マルチコアプロセッサの例には、2、4、8、またはそれ以上の数の処理コアが含まれる。代替的または追加して、プロセッサ1103は、バス1101を介して縦に並んで構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含み、命令、パイプライン化、およびマルチスレッド化の独立した実行を可能にし得る。プロセッサ1103はまた、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)1107、または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)1109などの一定の処理機能およびタスクを行う1つ以上の特化された構成要素を伴ってもよい。DSP1107は、典型的には、プロセッサ1103から独立して現実世界の信号(例えば、音)をリアルタイムで処理するように構成されている。同様に、ASIC1109は、汎用プロセッサでは容易に行えない特化された機能を行うように構成することができる。本明細書に記載の本発明の機能を行うのを助ける他の特化された構成要素には、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(図示せず)、1つ以上のコントローラ(図示せず)、または1つ以上の他の専用コンピュータチップが含まれる。
【0085】
プロセッサ1103および付随する構成要素は、バス1101を介してメモリ1105への接続性を有する。メモリ1105は、実行時に、本明細書に記載の方法の1つ以上のステップを行う実行可能命令を記憶するための、ダイナミックメモリ(例えば、RAM、磁気ディスク、書き込み可能光ディスク、など)およびスタティックメモリ(例えば、ROM、CD−ROM、など)の両方を含む。メモリ1105はまた、本明細書に記載の方法の1つ以上のステップの実行に関連付けられた、またはそれによって発生されたデータを記憶する。
【0086】
4.変更、拡張、および修正
前述の明細書では、本発明を、その具体的な実施形態を参照して説明した。しかしながら、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更がそれになされ得ることは明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきである。本明細書および特許請求の範囲を通して、文脈がそうでないことを要求しない限り、「備える(comprise)」という語、および「備える(comprises)」もしくは「備える(compring)」などのその変形は、述べられた項目、要素またはステップあるいは項目の群れ、要素(複数)またはステップ(複数)の包含を含意するが、いずれかの他の項目、要素またはステップあるいは項目の群れ、要素(複数)またはステップ(複数)の排除ではないことが理解されるべきである。さらに、不定冠詞「ある(a)」または「ある(an)」は、冠詞によって修飾された項目、要素、またはステップのうちの1つ以上を示すことを意味する。本明細書で使用する場合、文脈からそうでないことが明確でない限り、他の値の2の係数(2倍または半分)以内であれば、値は「約」別の値である。例示的なレンジが与えられているが、文脈からそうでないことが明確でない限り、任意の含まれるレンジもまた、様々な実施形態で意図されている。したがって、いくつかの実施形態では、0〜10のレンジは1〜4のレンジを含む。
5.参考文献
Adany,P.,C.Allen,およびR.Hui,“Chirped LIDAR Using Simplified Homodyne Detection,”Jour.Lightwave Tech.,v.27(16),15 August,2009.
Hui,R.,C.Allen,および P.Adany,“Coherent detection scheme for FM Chirped laser RADAR,”US patent 7,742,152,22 June 2010.
Kachelmyer,A.L.,“Range−Doppler Imaging with a Laser Radar,”The Lincoln Laboratory Journal,v.3.(1),1990.