(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945275
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】精製水の製造方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/469 20060101AFI20210927BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20210927BHJP
B01D 61/10 20060101ALI20210927BHJP
B01D 61/54 20060101ALI20210927BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
C02F1/469
A61M1/16 160
B01D61/10
B01D61/54 500
C02F1/44 J
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-22321(P2016-22321)
(22)【出願日】2016年2月9日
(65)【公開番号】特開2017-140559(P2017-140559A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年12月5日
【審判番号】不服2020-4114(P2020-4114/J1)
【審判請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】594152620
【氏名又は名称】ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】阿瀬 智暢
(72)【発明者】
【氏名】村松 義朗
【合議体】
【審判長】
日比野 隆治
【審判官】
金 公彦
【審判官】
大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−196619(JP,A)
【文献】
特開2007−319753(JP,A)
【文献】
特開2012−000548(JP,A)
【文献】
特開2009−220060(JP,A)
【文献】
特開2002−11477(JP,A)
【文献】
特開2009−142724(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/061811(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44- 1/48
B01D53/22
B01D61/00-71/82
A61M 1/00- 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極を有する陽極室と陰極を有する陰極室を有しており、
前記陽極室と前記陰極室の間に複数のカチオン交換膜と複数のアニオン交換膜がそれぞれ間隔をおいて配置されており、
前記複数のカチオン交換膜と前記複数のアニオン交換膜の間において、脱塩室と濃縮室が交互に形成されているものであり、
前記陽極室と前記陰極室の両方の内部に合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが配置されている電気再生式脱イオン装置(EDI装置)を使用した精製水の製造方法であって、
被処理水源と前記EDI装置がEDIポンプを介した被処理水供給ラインで接続され、
前記EDI装置と脱塩水タンクが脱塩水ラインで接続され、
さらに前記脱塩水タンクと前記EDI装置が循環ポンプを介した脱塩水送水ラインで接続されており、
前記EDI装置、前記脱塩水ライン、前記脱塩水タンク、前記脱塩水送水ライン、および前記EDI装置からなる循環ラインを有しており、
前記EDI装置の通電運転を停止した後、前記循環ポンプを駆動させて前記循環ラインにて循環運転をする、精製水の製造方法。
【請求項2】
逆浸透膜装置(RO膜装置)と電気再生式脱イオン装置(EDI装置)を使用した精製水の製造方法であって、
前記EDI装置が、陽極を有する陽極室と陰極を有する陰極室を有しており、
前記陽極室と前記陰極室の間に複数のカチオン交換膜と複数のアニオン交換膜がそれぞれ間隔をおいて配置されており、
前記複数のカチオン交換膜と前記複数のアニオン交換膜の間において、脱塩室と濃縮室が交互に形成されているものであり、
前記陽極室と前記陰極室の両方の内部に合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが配置されているものであり、
被処理水源と前記RO膜装置がROポンプを介した被処理水供給ラインで接続され、
前記RO膜装置とRO膜装置の処理水(RO水)タンクが第1RO水ラインで接続され、
前記RO水タンクと前記EDI装置が循環ポンプを介した第2RO水ラインで接続され、
さらに前記EDI装置の脱塩水ラインと前記RO水タンクが脱塩水送水ラインで接続されており、
前記EDI装置、前記脱塩水ライン、前記脱塩水送水ライン、前記RO水タンク、前記第2RO水ライン、および前記EDI装置からなる循環ラインを有しており、
前記EDI装置の通電運転を停止した後、前記循環ポンプを駆動させて前記循環ラインにて循環運転をする、精製水の製造方法。
【請求項3】
前記合成樹脂からなるメッシュ状スペーサがポリエステルからなるものである、請求項1または2記載の精製水の製造方法。
【請求項4】
前記精製水が、人工透析用水または液体薬製造用水である、請求項1〜3のいずれか1項記載の精製水の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EDI装置を使用した精製水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気再生式脱イオン装置(EDI装置)は、単独で、または逆浸透膜装置(RO膜装置)などと組み合わせて、人工透析用水の製造装置として使用されている。
【0003】
EDI装置は、イオン交換室(脱塩室)、濃縮室、電極室(正及び負の電極室)を有する公知の装置であり、液体の流路を確保するため、液流を整える整流作用をするためなどの目的でメッシュ状のスペーサが配置されている。
特許文献1の段落番号0017には、流路を確保するためのスペーサ250が使用されていること、特許文献2の実施例1(段落番号0028)には、希釈室スペーサフレーム(ポリプロピレン製)が使用されていること、特許文献3の従来の技術(段落番号0002)には、EDI装置では一般にスペーサが使用されていること、特許文献4の段落番号0025には、陰イオン交換膜403および陽イオン交換膜404の間隔が、ガスケットやスペーサなどを介在させることで確保されていることが記載されている。
さらに特許文献5には、脱塩室内にメッシュ状スペーサが装填されていることが記載され(請求項3)、特許文献6には、
図2に示す脱塩装置11では、スペーサ26が陰イオン交換層24と陽イオン交換層25の間に配置されていることが記載されている(段落番号0029、0034)。
EDI装置内に配置されるスペーサは、電気的に不活性な材料(非伝導性材料)からなるものであるため、合成樹脂からなるものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4377104号公報
【特許文献2】特許第4805455号公報
【特許文献3】特許第4997678号公報
【特許文献4】特許第5768961号公報
【特許文献5】特開2007−125455号公報
【特許文献6】特開2014−530755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、内部に合成樹脂からなるメッシュ状のスペーサが配置されているEDI装置を使用して精製水を製造する過程において、前記スペーサの損傷を防止することができる精製水の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(第1実施形態)は、陽極を有する陽極室と陰極を有する陰極室を有しており、
前記陽極室と前記陰極室の間に複数のカチオン交換膜と複数のアニオン交換膜がそれぞれ間隔をおいて配置されており、
前記複数のカチオン交換膜と前記複数のアニオン交換膜の間において、脱塩室と濃縮室が交互に形成されているものであり、
内部に合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが配置されている電気再生式脱イオン装置(EDI装置)を使用した精製水の製造方法であって、
被処理水源と前記EDI装置がEDIポンプを介した被処理水供給ラインで接続され、
前記EDI装置と脱塩水タンクが脱塩水ラインで接続され、
さらに前記脱塩水タンクと前記EDI装置が循環ポンプを介した脱塩水送水ラインで接続されており、
前記EDI装置、前記脱塩水ライン、前記脱塩水タンク、前記脱塩水送水ライン、および前記EDI装置からなる循環ラインを有しており、
前記EDI装置の通電運転を停止した後、前記循環ポンプを駆動させて前記循環ラインにて循環運転をする、精製水の製造方法を提供する。
【0007】
本発明(第2実施形態)は、逆浸透膜装置(RO膜装置)と電気再生式脱イオン装置(EDI装置)を使用した精製水の製造方法であって、
前記EDI処理装置が、陽極を有する陽極室と陰極を有する陰極室を有しており、
前記陽極室と前記陰極室の間に複数のカチオン交換膜と複数のアニオン交換膜がそれぞれ間隔をおいて配置されており、
前記複数のカチオン交換膜と前記複数のアニオン交換膜の間において、脱塩室と濃縮室が交互に形成されているものであり、
内部に合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが配置されているものであり、
被処理水源と前記RO膜装置がROポンプを介した被処理水供給ラインで接続され、
前記RO膜装置とRO膜装置の処理水(RO水)タンクが第1RO水ラインで接続され、
前記RO水タンクと前記EDI装置が第2RO水ラインで接続され、
さらに前記EDI装置の脱塩水採水ラインと前記RO水タンクが循環ポンプを介した脱塩水送水ラインで接続されており、
前記EDI装置、前記脱塩水送水ライン、前記RO水タンク、前記第2RO水ライン、および前記EDI装置からなる循環ラインを有しており、
前記EDI装置の通電運転を停止した後、前記循環ポンプを駆動させて前記循環ラインにて循環運転をする、精製水の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、EDI装置にて使用されている合成樹脂からなるメッシュ状スペーサの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態を説明するための精製水の製造フローを示す図。
【
図2】本発明の第2実施形態を説明するための精製水の製造フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1実施形態の精製水の製造方法(
図1)
ポンプ20を駆動させて、原水(被処理水)ライン11から水道水をEDI装置1に供給する。なお、原水となる水道水は、必要に応じて、軟水装置、活性炭、ミクロフィルター等で前処理することもできる。
【0011】
EDI装置1は、陽極を有する陽極室と陰極を有する陰極室を有しており、前記陽極室と前記陰極室の間に複数のカチオン交換膜と複数のアニオン交換膜がそれぞれ間隔をおいて配置されており、前記複数のカチオン交換膜と前記複数のアニオン交換膜の間において、脱塩室(イオン交換室)と濃縮室が交互に形成されているものである。
特許文献1〜6に記載されているとおり、EDI装置1の内部には、合成樹脂からなるメッシュ状のスペーサが配置されているが、本発明では、陽極を有する陽極室と陰極を有する陰極室の内部に合成樹脂からなるメッシュ状のスペーサが配置されているときの損傷を防止する効果が高い。
【0012】
EDI装置1は公知のものであり、脱塩室(イオン交換室)で脱イオン処理して脱塩水(EDI処理水)を取り出すことができるものである。
EDI装置1としては、例えば、特開2007−252396号公報、特開2007−237062号公報、特開平11−244853号公報、特開2001−239270号公報、特開2001−353498号公報、特開2004−74109号公報に記載のもののほか、市販のEDI装置である、EDIシステムシリーズ,商品名MOLSEP(登録商標)(ダイセン・メンブレン・システムズ(株)販売)ものなどを用いることができる。
【0013】
EDI装置1の運転条件は、特に制限されるものではなく、例えば、下記の条件で運転することができる。
供給液量は、好ましくは50〜4500L/hrである。
EDI水量(脱塩水量)は、好ましくは30〜4000L/hrである。
濃縮水流量は、好ましくは供給液量の5%〜20%の流量である。
印加電圧は30〜1000Vが好ましく、印加電流は0.5〜6A、印加電流密度で0.1〜4A/dm
2が好ましい。
【0014】
EDI装置1の通電運転時には、脱塩室のイオン交換樹脂に吸着されたナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの陽イオンは、電位勾配によって陰極方向に移動し、陽イオン交換膜を透過して濃縮室に移動する。
同様にして、陰イオン交換樹脂に吸着された塩素イオンは、電位勾配によって陽極方向に移動し、陰イオン交換膜を透過して濃縮室に移動する。
このようにして脱塩室内にて脱塩水が製造される。
【0015】
EDI装置1で脱塩処理された脱塩水は、脱塩水ライン12から脱塩水タンク2に送られて貯水される。
脱塩水タンク2は、外部雰囲気からの雑菌等の混入を防ぐためのエアフィルター付きの通気孔を有しており、必要に応じて、内部には、殺菌を目的として紫外線ランプを取り付けることもできる。
脱塩水タンク2内の脱塩水は、脱塩水の採水ライン15から採水される。
濃縮水は、濃縮水ライン14から排水される。
なお、
図1に示す製造フローでは、各ラインにおいて開閉バルブを取り付けて、それらを適宜開閉させた状態で運転することができる。
【0016】
図1の製造フローでは、脱塩水タンク2とEDI装置1は、ポンプ(循環ポンプ)21を介して脱塩水送水ライン13で接続されている。
このため、
図1の製造フローでは、EDI装置1、脱塩水ライン12、脱塩水タンク2、脱塩水送水ライン13およびEDI装置1からなる循環ラインを有している。
【0017】
EDI装置1の通電運転中には、陽極を有する陽極室では酸素ガスと塩素ガスが発生し、陰極を有する陰極室では水素ガスが発生する。これらのガスは、通電運転時は、電極水と共に濃縮水に合流させてライン14からEDI装置1の外へ排出されている。
EDI装置1の通電運転を停止したとき、これらのガスの排出が止まり、塩素ガスと水が反応して次亜塩素酸と塩化水素が生成し、この次亜塩素酸や塩化水素と合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが接触した状態におかれることも考えられる。
EDI装置1の通電運転時において上記のような状態が形成され、次の通電運転開始時まで放置することを繰り返した場合には、合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが損傷してしまうことになる。
そこで本発明の製造方法では、EDI装置1の通電運転を停止したとき、循環ポンプ21を駆動させて、脱塩水タンク2、脱塩水送水ライン13、EDI装置1、脱塩水ライン12および脱塩水タンク2からなる循環ライン中に脱塩水を循環させることで、次亜塩素酸や塩化水素水と合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが接触しないような状態にすると共に、それと並行して電極室(陽極室・陰極室)内に滞留している塩素ガスを電極水と共に濃縮水に合流させてライン14から排出する。
このようにして、陽極を有する陽極室と陰極を有する陰極室の内部にメッシュ状スペーサが配置されているときは、その損傷を防止できる。
循環運転の時間は、次亜塩素酸や塩化水素水が脱塩水で希釈分散できる時間であり、塩素ガスが排出できる時間である。例えば、循環ライン内に脱塩水を1回〜5回程度循環させることができる時間であればよい。
前記循環回数は、循環ラインの長さやライン(パイプ)の断面積などと循環流量(ml/min)から予め実験的に求めることができる。
【0018】
(2)第2実施形態の精製水の製造方法(
図2)
ROポンプ41を作動させ、原水供給ライン51から水道水をRO膜装置30に送って処理して、RO水を得る。その後、得られたRO水を第1RO水ライン52からRO水タンク31に送って貯水する。
なお、原水となる水道水は、必要に応じて、軟水装置、活性炭、ミクロフィルターなどで前処理することもできる。
【0019】
RO膜装置30は、公知のものを用いることができ、例えば、ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社より販売されている、装置型式VCR40シリーズ、VCR80シリーズ、NER40シリーズ、NER80シリーズ、SHRシリーズなどを用いることができる。
【0020】
RO膜装置30は、処理能力(処理水の製造能力)が30〜5000L/hrのものを用いることができるが、前記範囲に限定されるものではなく、精製水の供給量に応じて、適宜選択することができる。
【0021】
RO水タンク31は、外部雰囲気からの雑菌等の混入を防ぐためのエアフィルター付きの通気孔を有しており、必要に応じて、内部には、殺菌を目的として紫外線ランプを取り付けることもできる。
【0022】
次に、ポンプ42を駆動させて、RO水タンク31内のRO水を第2RO水ライン(被処理水ライン)53からEDI装置32に供給する。
【0023】
EDI装置32で脱塩処理された脱塩水は、脱塩水ライン54と採水ライン55から採水される。
また、脱塩水ライン56からRO水タンク31送られて貯水される場合や、図に示されていないタンクへ送水し貯水する場合もある。
濃縮水は、濃縮水ライン57から排水される。
なお、
図2に示す製造フローでは、各ラインにおいて開閉バルブを取り付けて、それらを適宜開閉させた状態で運転することができる。
【0024】
図2の製造フローでは、EDI装置32、脱塩水ライン54、脱塩水送水ライン56、RO水タンク31、第2RO水ライン53およびEDI装置32からなる循環ラインを有している。
【0025】
EDI装置32の通電運転を停止したとき、EDI装置32内において、次亜塩素酸や塩化水素と合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが接触した状態におかれることも考えられる。
EDI装置32の通電運転時において上記のような状態が形成され、次の通電運転開始時まで放置することを繰り返した場合には、合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが損傷してしまうことになる。
そこで本発明の製造方法では、EDI装置32の通電運転を停止したとき、循環ポンプ42を駆動させて、RO水タンク31、第2RO水ライン53、EDI装置32、脱塩水ライン54、脱塩水送水ライン56およびRO水タンク31からなる循環ライン中にRO水を循環させることで、次亜塩素酸や塩化水素水と合成樹脂からなるメッシュ状スペーサが接触しないような状態にすると共に、それと並行して電極室(陽極室・陰極室)内に滞留している塩素ガスを電極水と共に濃縮水に合流させてライン57から排出する。
このようにして、陽極を有する陽極室と陰極を有する陰極室の内部にメッシュ状スペーサが配置されているときは、その損傷を防止できる。
循環運転の時間は、次亜塩素酸や塩化水素水が脱塩水で希釈分散できる時間であり、塩素ガスが排出できる時間である。例えば、循環ライン内に脱塩水を1回〜5回程度循環させることができる時間であればよい。
前記循環回数は、循環ラインの長さやライン(パイプ)の断面積などと循環流量(ml/min)から予め実験的に求めることができる。
【実施例】
【0026】
実施例1
図2の製造フローを実施した。
(装置)
RO膜装置30:オルガノ(株)製のRO膜装置(RO水製造能力:600L/hr)
貯水タンク31:容量2000L、材質:ポリエチレン
EDI装置32:ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製EDI2000(EDI電極面積:4.2dm
2)
【0027】
(EDI運転条件)
EDI脱塩水量:2000L/hr
EDI濃縮水量:200L/hr
EDI電極水量:10L/hr
印加電圧:407V
印加電流:1.5A(印加電流密度:0.36A/dm
2)
なお、EDI装置は、陰極室と陽極室の両方にポリエステル製のメッシュ状スペーサが配置されているものである。
【0028】
(運転方法)
図2に示す製造フローにて精製水を製造した。
RO膜装置30の運転を開始し、RO水タンク31に1000LのRO水が溜まった時点で、EDI装置32の運転を開始した。
8時間運転をした後、RO膜装置30とEDI装置32の運転を停止した。EDI装置32の運転停止後は1分間循環ポンプ42を駆動させて、RO水タンク31、第2RO水ライン53、EDI装置32、脱塩水ライン54、脱塩水送水ライン56およびRO水タンク31からなる循環ライン中にRO水を循環させながら、ライン
57から電極水と共に塩素ガスを排出した。
その後、そのまま16時間放置した後、再度8時間の運転を実施した。
この運転サイクルを100回繰り返したあと、EDI装置内部を確認したが、メッシュ状スペーサには変化は見られなかった。
【0029】
比較例1
運転停止後のRO水の循環運転を実施しないほかは、実施例1と同様にした。その結果、100回後にメッシュ状スペーサに損傷(部分的な断線や合成樹脂の溶解による変形)が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の精製水の製造方法は、例えば、人工透析用水または液体薬製造用水の製造方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 EDI装置
2 脱塩水タンク
30 RO膜装置
31 RO水タンク
32 EDI装置