特許第6945276号(P6945276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6945276-異方性導電接続構造体 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945276
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】異方性導電接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20210927BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20210927BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   H01L21/60 311S
   H05K3/32 B
   H05K1/14 J
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-73087(P2016-73087)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-183664(P2017-183664A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年3月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大祐
(72)【発明者】
【氏名】樋口 明史
【審査官】 今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−186411(JP,A)
【文献】 特開2015−146379(JP,A)
【文献】 特開2015−028920(JP,A)
【文献】 特開2016−029698(JP,A)
【文献】 特開2012−049398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/32
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に突出部が形成された第1の電極端子と、
第2の電極端子と、
前記第1の電極端子と前記第2の電極端子とを導通する導電性粒子を含む異方性導電接着剤層と、を備え、
前記導電性粒子の圧縮前粒子径に対する前記突出部の高さの比は、60%未満であり、
前記第1の電極端子の開口面積率は55%以上であり、
前記第2の電極端子の高さは6μm以上であり、
前記第1の電極端子の表面には、前記突出部に囲まれた凹部が形成され、
前記導電性粒子の圧縮前粒子径に対する前記突出部の高さの比は、42%以上50%以下であり、
前記第1の電極端子の凹部の短辺長さに対する前記導電性粒子の圧縮前粒子径の比は7.0%以上8.1%以下である、
異方性導電接続構造体。
【請求項2】
前記突出部は前記第2の電極端子の外側に位置し、前記第2の電極端子と対向する前記凹部に前記導電性粒子を保持させる請求項記載の異方性導電接続構造体。
【請求項3】
前記第2の電極端子の硬度に対する前記第1の電極端子の硬度の比は10%より大きい、請求項1または2に記載の異方性導電接続構造体。
【請求項4】
前記第1の電極端子の凹部に存在する前記導電性粒子の平均占有面積率が20%未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載の異方性導電接続構造体。
【請求項5】
前記突出部は、前記第1の電極端子の表面の外縁全周にわたって形成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の異方性導電接続構造体。
【請求項6】
前記第1の電極端子は、第1の電子部品に形成されるバンプである、請求項1〜の何れか1項に記載の異方性導電接続構造体。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の異方性導電接続構造体の製造方法であって、
第1の電子部品と第2の電子部品とを導電性粒子を含む異方性導電接着剤層を介して熱圧着する工程を含み、
前記異方性導電接続構造体は、
表面に突出部が形成された第1の電極端子と、
第2の電極端子と、
前記第1の電極端子と前記第2の電極端子とを導通する導電性粒子を含む異方性導電接着剤層と、を備え、
前記導電性粒子の圧縮前粒子径に対する前記突出部の高さの比は、60%未満であり、
前記第1の電極端子の開口面積率は55%以上であり、
前記第2の電極端子の高さは6μm以上であり、
前記第1の電極端子の表面には、前記突出部に囲まれた凹部が形成され、
前記導電性粒子の圧縮前粒子径に対する前記突出部の高さの比は、42%以上50%以下であり、
前記第1の電極端子の凹部の短辺長さに対する前記導電性粒子の圧縮前粒子径の比は7.0%以上8.1%以下である、異方性導電接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
電極端子を有する複数の電子部品(例えば、ICチップ、リジッド基板、フレキシブル基板等)同士を接続する方法として、フリップチップボンディング法が知られている。フリップチップボンディング法では、複数の電子部品の電極端子同士を対抗させた状態で、電極端子同士を接続する。
【0003】
このようなフリップチップボンディング法の例として、超音波接続法が知られている。この方法では、複数の電子部品の電極端子同士を接触させる。ついで、電極端子の接触部分を超音波により振動させる。これにより、電極端子同士を接続させる。この方法では、両方の電子部品の電極端子を金で構成する。ついで、接続部分の周辺の空間に充填剤(いわゆるアンダーフィル)を充填し、硬化させる。
【0004】
また、フリップチップボンディング法の他の例として、共晶法が知られている。この方法では、複数の電子部品の電極端子同士を接触させる。ついで、電極端子の接触部分を加熱する。これにより、電極端子同士が共晶し、接続される。この方法では、例えば、一方の電子部品の電極端子を金で構成し、他方の電子部品の電極端子をスズで構成する。ついで、接続部分の周辺の空間に充填剤(いわゆるアンダーフィル)を充填し、硬化させる。
【0005】
しかし、超音波接続法では、超音波により電極端子が大きく振動するので、接続不良やショート等が発生する可能性がある。また、超音波接続法の適用が可能な電極端子は、金等の高価な材料で構成される必要があるため、コストが増大してしまう。また、充填剤の充填、硬化が必要なので、この点でもコストが増大してしまう。また、工数も増大する。
【0006】
一方、共晶法では、電極端子の接続部分を加熱するが、この時の加熱温度は非常に高くなる。例えば、加熱温度は400℃程度となる。このため、電子部品がフレキシブル基板となる場合、加熱時にフレキシブル基板が変形する可能性がある。フレキシブル基板が変形すると、フレキシブル基板上の電極端子の位置等がずれる場合がある。したがって、接続不良、ショート等が発生する可能性がある。さらに、超音波接続法と同様に充填剤に関する問題もある。
【0007】
そこで、近年、例えば特許文献1、2に開示されるように、フリップチップボンディング法として、異方性導電フィルムを用いて電極端子同士を異方性導電接続する方法が注目されている。この方法では、超音波が不要となるので、超音波に関する問題は発生しない。また、異方性導電フィルムを用いた接続方法でも、加熱のプロセスは必要になるが、加熱温度は共晶法に比べて低い。さらに、異方性導電フィルムを構成する硬化性樹脂が充填剤として機能するので、別途充填剤を充填、硬化させるプロセスが不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−31698号公報
【特許文献2】特開2005−93978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、電子部品がICチップとなる場合、ICチップには電極端子としてバンプが形成される。このバンプの表面(すなわち、他の電子部品の電極端子に対向する面)の周縁部分には、突出部が形成されることが多い。さらに、突出部は、バンプの表面の外縁全周にわたって形成されることが多い。従来、このような突出部は、接続不良の原因となると考えられていたことから、なるべく小さくすることが好ましいと考えられていた。具体的には、突出部によって形成される凹部(いわゆるディンプル)内に導電性粒子が埋没した場合に、導電性粒子が十分に圧縮されない可能性があった。このため、接続不良が起こる可能性があった。このため、特許文献1、2に開示された技術では、突出部をなるべく小さくするようにしている。
【0010】
しかし、特許文献1、2に開示された技術では、突出部を小さくするために非常に大きな手間がかかっていた。具体的には、特許文献1に開示された技術では、突出部を小さくするために、絶縁層に形成される開口部分の開口面積を非常に小さくする。ここで、絶縁層は、ICチップの機能面を覆う層であり、開口部分は、ICチップの電極パッド上に形成される。そして、バンプは、絶縁層の開口部分を介して電極パッドと接続される。特許文献1に開示された技術では、このような開口部分の開口面積を小さくすることで、突出部を小さくする。しかし、開口面積を小さくする工程は非常に手間がかかる。一方、特許文献2に開示された技術では、突出部を小さくするために、超音波を突出部に照射するという工程が別途必要になる。
【0011】
さらに、本発明者が突出部を小さくする技術について検討したところ、単に突出部を小さくしただけでは、かえって接続抵抗の増大や信頼性の低下が起こりうることがわかった。さらに、近年、異方性導電接続部分の接続強度のさらなる向上が強く求められていた。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電極端子同士の異方性導電接続部分の接続抵抗を減少し、信頼性を高めることができ、かつ、接続強度を高めることが可能な、新規かつ改良された異方性導電接続構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、表面に突出部が形成された第1の電極端子と、第2の電極端子と、第1の電極端子と第2の電極端子とを導通する導電性粒子を含む異方性導電接着剤層と、を備え、導電性粒子の圧縮前粒子径に対する突出部の高さの比は、60%未満であり、第1の電極端子の開口面積率は55%以上であり、第2の電極端子の高さは6μm以上であり、第1の電極端子の表面には、突出部に囲まれた凹部が形成され、導電性粒子の圧縮前粒子径に対する突出部の高さの比は、42%以上50%以下であり、第1の電極端子の凹部の短辺長さに対する導電性粒子の圧縮前粒子径の比は7.0%以上8.1%以下である、異方性導電接続構造体が提供される。
【0014】
本観点によれば、突出部は、より多くの導電性粒子を突出部内の凹部に捕捉することができる。さらに、凹部内の導電性粒子は十分に圧縮される。したがって、接続抵抗が低減し、信頼性が向上する。さらに、第2の電極端子の間には十分な量の接着剤が流入するので、第1の電極端子と第2の電極端子とが強固に接着される。
【0015】
ここで、第2の電極端子の硬度に対する第1の電極端子の硬度の比は10%より大きくてもよい。
【0017】
また、第1の電極端子の表面には、突出部に囲まれた凹部が形成され、第1の電極端子の凹部に存在する導電性粒子の平均占有面積率が20%未満であってもよい。
【0018】
また、突出部は、第1の電極端子の表面の外縁全周にわたって形成されていてもよい。
【0019】
また、第1の電極端子は、第1の電子部品に形成されるバンプであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、電極端子同士の異方性導電接続部分の接続抵抗を減少し、信頼性を高めることができ、かつ、接続強度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る異方性導電接続構造体10の概略構成を示す側断面図である。
図2】同実施形態に係る第1の電極端子の表面構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<1.異方性導電接続構造体の構成>
まず、図1及び図2に基づいて、本実施形態に係る異方性導電接続構造体10の構成について説明する。
【0024】
異方性導電接続構造体10は、第1の電子部品20と、第1の電子部品20上に形成された第1の電極端子21と、第2の電子部品30と、第2の電子部品30上に形成された第2の電極端子31と、接着剤層40とを備える。
【0025】
第1の電子部品20は、例えば電子回路基板である。電子回路基板の種類は特に問われず、ICチップ、各種のリジッド基板(例えば、ガラスエポキシ基板等)、フレキシブル基板などであってもよい。第1の電子部品20は、例えばICチップとなる。第1の電子部品20がICチップとなる場合、第1の電極端子21はバンプとなる。バンプには、突出部22が形成されやすい。
【0026】
第1の電極端子21は、第1の電子部品20上に形成されている。また、第1の電極端子21は、第1の電子部品20を構成する電子回路と導通されている。第1の電極端子21の表面(すなわち、第2の電子部品30に対向する面)には、突出部22が形成されている。第1の電子部品20がICチップとなる場合、第1の電極端子21はバンプとなる。ただし、第1の電極端子21は、突出部22が形成されたものであればよい。したがって、第1の電極端子21はバンプに限定されない。
【0027】
第1の電極端子21を構成する材料は、導電性を有するものであれば特に制限されない。第1の電極端子21を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、および金などの金属で構成されることが好ましい。
【0028】
突出部22は、第1の電極端子21の表面に形成されている。図2に示すように、突出部22は、第1の電極端子21の表面の外縁全周にわたって形成されている。なお、第1の電極端子21がバンプとなる場合、突出部22は、第1の電極端子21の表面の外縁全周にわたって形成されることが多い。もちろん、突出部22の形状は図1に示されるものに限られないが、図2の形状であることが好ましい。この場合、突出部22は、導電性粒子42をより確実に捕捉することができる。
【0029】
また、第1の電極端子21の表面には、突出部22によって囲まれる凹部23(いわゆるディンプル)が形成されている。従来では、このような突出部22及び凹部23は、接続不良の原因となると考えられていたことから、なるべく小さくすることが好ましいと考えられていた。しかし、本実施形態では、突出部22を積極的に活用する。具体的には、突出部22によって導電性粒子42を捕捉することで、導電性粒子42を第1の電極端子21及び第2の電極端子31の間に保持することができる。ここで、導電性粒子42は接着剤層40に含まれるものである。これにより、本実施形態では、接続抵抗を減少し、かつ、信頼性を高めることができる。具体的には、初期抵抗を低減することができ、かつ、冷熱サイクル試験後の不良率を低減することができる。
【0030】
第2の電子部品30は、例えば電子回路基板である。電子回路基板の種類は特に問われず、ICチップ、各種のリジッド基板(例えば、ガラスエポキシ基板等)、フレキシブル基板などであってもよい。第2の電子部品30は、例えばフレキシブル基板となる。第2の電子部品30がフレキシブル基板となる場合、第2の電極端子31の高さH2は後述する要件を満たしやすい。フレキシブル基板の種類も特に制限されず、例えばポリイミド基板であってもよい。
【0031】
第2の電極端子31は、第2の電子部品30上に形成されている。また、第2の電極端子31は、第2の電子部品30を構成する電子回路と導通されている。第2の電極端子31を構成する材料は、導電性を有するものであれば特に制限されない。第2の電極端子31を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、および金などの金属が挙げられる。第2の電極端子31を構成する金属は、各種金属によってめっきされていてもよい。
【0032】
接着剤層40は、異方性導電接着剤が硬化したものであり、硬化樹脂層41と、導電性粒子42とを備える。すなわち、接着剤層40は、第1の電極端子21と第2の電極端子31とを異方性導電接続する。
【0033】
異方性導電接着剤は、硬化性樹脂と、導電性粒子42とを備える。硬化性樹脂は、重合性化合物、及び硬化開始剤を含む。重合性化合物は、硬化開始剤によって硬化する樹脂である。硬化した重合性化合物、すなわち硬化樹脂層41は、接着剤層40内で第1の電極端子21と第2の電極端子31とを接着するとともに、導電性粒子42を接着剤層40内に保持する。重合性化合物としては、例えばエポキシ重合性化合物、及びアクリル重合性化合物等が挙げられる。エポキシ重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。エポキシ重合性化合物としては、各種ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、F型等)、ノボラック型エポキシ樹脂、ゴムおよびウレタン等の各種変性エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びこれらのプレポリマー等が挙げられる。
【0034】
アクリル重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のアクリル基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。アクリル重合性化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアネレート、およびウレタンアクリレート等が挙げられる。本実施形態では、上記で列挙した重合性化合物のうちいずれか1種を用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0035】
硬化開始剤は、例えば、熱硬化開始剤である。熱硬化開始剤は、熱によって上記重合性化合物とともに硬化する材料である。熱硬化開始剤の種類も特に制限されない。熱硬化開始剤としては、例えば、エポキシ重合性化合物を硬化させる熱アニオンまたは熱カチオン硬化開始剤、アクリル重合性化合物を硬化させる熱ラジカル重合型硬化剤等が挙げられる。本実施形態では、重合性化合物によって適切な熱硬化開始剤を選択すればよい。なお、硬化開始剤の他の例としては、光硬化開始剤が挙げられる。光硬化開始剤としては、例えば、エポキシ重合性化合物を硬化させる光アニオンまたは光カチオン硬化開始剤、アクリル重合性化合物を硬化させる光ラジカル重合型硬化剤等が挙げられる。本実施形態では、重合性化合物によって適切な光硬化開始剤を選択すればよい。
【0036】
また、異方性導電接着剤には、上記の成分の他、膜形成樹脂、各種添加剤等を含めてもよい。膜形成樹脂は、異方性導電接着剤を取り扱い易くさせるためにフィルム形状としたい場合に異方性導電接着剤に添加される。膜形成樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂などの種々の樹脂を用いることができる。また、本実施形態では、これらの膜形成樹脂のうちいずれか1種だけを使用することもできるし、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。なお、膜形成樹脂は、膜形成性および接着信頼性を良好にするという観点からは、フェノキシ樹脂であることが好ましい。なお、異方性導電接着剤をフィルム形状とした場合、フィルム(すなわち、異方性導電フィルム)の厚さは特に制限されない。ただし、フィルムが厚くなりすぎると不要な樹脂の量が多くなりすぎ流動性などに問題が生じる。そのため100μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。薄くなりすぎると取り扱いが困難になるため、5μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましい。
【0037】
異方性導電接着剤に添加可能な添加剤としては、シランカップリング剤、無機フィラー、着色剤、酸化防止剤、および防錆剤等が挙げられる。シランカップリング剤の種類は特に制限されない。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系のシランカップリング剤等が挙げられる。異方性導電接着剤にこれらのシランカップリング剤が添加された場合、基材の材質によっては接着性を向上させることができる。
【0038】
また、無機フィラーは、異方性導電接着剤の流動性及び膜強度、特に後述する最低溶融粘度を調整するための添加剤である。無機フィラーの種類も特に制限されない。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0039】
導電性粒子42は、接着剤層40内で第1の電極端子21と第2の電極端子31とを異方性導電接続する材料である。具体的には、接着剤層40内で第1の電極端子21と第2の電極端子31とで挟持された導電性粒子42は、第1の電極端子21と第2の電極端子31とを導通させる。一方、他の導電性粒子42(例えば、第1の電極端子21同士の隙間に入り込んだ導電性粒子42、第2の電極端子31同士の隙間に入り込んだ導電性粒子42等)は、いずれの端子間も導通させない(すなわち、第1の電極端子21間で導電性粒子42が連なる形でのショート、第2の電極端子31間で導電性粒子42が連なる形でのショートなどを生じさせない)。
【0040】
したがって、導電性粒子42は、接着剤層40内で第1の電極端子21同士及び第2の電極端子31同士の絶縁性を維持しつつ、第1の電極端子21と第2の電極端子31とを導通させることができる。すなわち、導電性粒子42は、接着剤層40内で第1の電極端子21と第2の電極端子31に挟持されることでこれらを導通し、異方性導電接続する。導電性粒子42はショートしない程度に異方性導電接着剤内に分散していてもよく個々に独立するように配置されていてもよい。この配置は、各電極端子のサイズや電極端子の配列方向における距離などによって適宜設定されるが、規則的であってもよい。また、導電性粒子42は、後述する要件を満たす。なお、導電性粒子42の圧縮前粒子径は、後述する要件が満たされるのであれば特に制限されないが、一例として1〜10μmである。
【0041】
<2.異方性導電接続構造体が満たすべき要件>
次に、異方性導電接続構造体10が満たすべき要件について説明する。異方性導電接続構造体10が以下の要件を満たす場合に、突出部22が導電性粒子42を捕捉することができる。この結果、接続抵抗を低減することができ、信頼性が向上する。さらに、接着剤層40は、第1の電極端子21と第2の電極端子31とを強固に接着することができる。なお、異方性導電接続構造体10は、少なくとも要件1〜3を満たす必要がある。異方性導電接続構造体10は、さらに要件4以降を満たすことが好ましい。なお、以下の要件を満たすか否かを評価するに際して、各電極の構造等は、SEM(走査型電子顕微鏡)等によって観察可能である。例えば、突出部22の高さH1は、第1の電極端子21をSEMで観察することで測定可能である。また、以下のパラメータは、複数の異方性導電接続構造体10について測定された測定値の算術平均値であってもよいし、いずれかの値を代表値として使用してもよい。
【0042】
(2−1.要件1)
導電性粒子42の圧縮前粒子径に対する突出部22の高さH1の比(以下、「突出部高さ/粒子径比」とも称する」は、60%未満である。ここで、圧縮前粒子径は、導電性粒子42を圧縮する前の粒子径である。突出部高さ/粒子径比が60%以上となる場合には、突出部22が導電性粒子42の圧縮を阻害してしまう。すなわち、凹部23内に捕捉された導電性粒子42は、十分に圧縮されない。この結果、接続抵抗が増大し、信頼性が悪化する。突出部高さ/粒子径比が60%未満となる場合、突出部22は、導電性粒子42を凹部23内に捕捉することができる。さらに、導電性粒子42は、十分に圧縮される。突出部高さ/粒子径比は、50%未満であることが好ましい。
【0043】
なお、突出部高さ/粒子径比の下限値は特に制限されないが、あまりに小さすぎると突出部22が導電性粒子42を十分に捕捉できない可能性がある。このため、突出部高さ/粒子径比は、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、42%以上であることが更に好ましい。
【0044】
(2−2.要件2)
第1の電極端子21の開口面積率は55%以上である。ここで、開口面積率は、第1の電極端子21の表面の全面積に対する凹部23の開口面の面積比である。開口面積率が55%未満となる場合、凹部23内に十分な数の導電性粒子42を捕捉することができない。開口面積率は、70%以上であることが好ましい。開口面積率の上限値は特に制限されないが、開口面積率が大きすぎると突出部22の剛性が低くなる可能性がある。このため、開口面積率は90%以下であることが好ましい。
【0045】
(2−3.要件3)
第2の電極端子31の高さH2は6μm以上である。これにより、第2の電極端子31間にも十分な量の接着剤が流入するので、第1の電極端子21と第2の電極端子31とが強固に接着される。さらに、第1の電極端子21の突出部22が仮に第2の電極端子31に接触したとしても、第1の電極端子21の下方には、十分な量の硬化樹脂層41が存在する。したがって、突出部22、ひいては第1の電極端子21は硬化樹脂層41によって十分に保護される。この結果、接続抵抗が低減し、信頼性が向上する。高さH2の上限値は特に制限されないが、35μm以下が好ましい。
【0046】
(2−5.要件4)
第2の電極端子31の硬度に対する第1の電極端子21の硬度の比(以下、「電極端子の硬度比」とも称する)は10%より大きいことが好ましい。第1の電極端子21が第2の電極端子31よりも柔らかすぎる場合、圧縮時(すなわち、異方性導電接続時)に、第1の電極端子21が大きく変形するからである。変形量が大きい場合、第1の電極端子21同士が接触し、ショートする可能性がある。なお、各電極端子の硬度は、例えばビッカース硬度である。電極端子の硬度比は、15%より大きいことがさらに好ましく、30%より大きいことがさらに好ましい。電極端子の硬度比の上限値は特に制限されないが、1程度(すなわち、両者の硬度がほぼ一致)であってもよい。
【0047】
(2−6.要件5)
凹部23の短辺長さに対する導電性粒子42の圧縮前粒子径の比(以下、「粒子径/開口短辺長さ比」とも称する)は、10%未満であることが好ましい。ここで、凹部23の短辺長さは、凹部23の平面視形状(例えば図2に示す形状)の短辺長さである。粒子径/開口短辺長さ比が10%未満となる場合、より多くの導電性粒子42を凹部23内に捕捉することができる。粒子径/開口短辺長さ比は、9%未満であることがさらに好ましく、8.5%未満であることが更に好ましい。なお、粒子径/開口短辺長さ比の下限値は、要件1によって定まる。すなわち、粒子径/開口短辺長さ比が小さすぎると、導電性粒子42の粒子径が小さくなりすぎて、要件1が満たされなくなる。
【0048】
(2−7.要件6)
また、凹部23内に存在する導電性粒子42の平均占有面積率が20%未満であることが好ましい。平均占有面積率の下限は、圧縮された導電性粒子1個分以上の占有面積率であることが好ましく、圧縮された導電性粒子2個分以上の占有面積率であることがより好ましく、圧縮された導電性粒子3個分以上の占有面積率であることが更により好ましい。ここで、各導電性粒子42の占有面積は、圧縮された導電性粒子42を水平面に投影したときに得られる面積である。また、平均占有面積率は、以下の工程で測定可能である。すなわち、異方性導電接続構造体10から第1の電極端子21を引き剥がすか、あるいは、接続部分まで異方性導電接続構造体10を研磨することで、第1の電極端子21と第2の電極端子31との接続部分を露出させる。ついで、露出された接続部分を50個選択する。ついで、各接続部分を面視野で観察し、各接続部分における導電性粒子42の占有面積を測定する。なお、観察はSEM(走査型電子顕微鏡)等で行えば良い。そして、各接続部分の凹部23内に存在する全ての導電性粒子42の占有面積を測定し、これらの総面積を凹部23の開口面の面積で除算する。これにより、各接続部分における占有面積率を測定する。そして、これらの占有面積率を算術平均することで、平均占有面積率を測定する。平均占有面積率が上述した範囲内となる場合に、凹部23内に十分な量の導電性粒子42が捕捉されていることになる。
【0049】
導電性粒子42は反発が大きすぎる場合に、信頼性などに影響を及ぼす恐れがある。そのため、異方性導電接続構造体は、上述した要件に加え、さらに以下の要件を満たすことが好ましい。すなわち、導電性粒子42の30%変形時の圧縮硬さ(K値)は6000N/mm未満であることが好ましく、5500N/mm以下であることがより好ましい。ここで、30%変形時の圧縮硬さ(K値)は、導電性粒子42の圧縮強度の指標となるパラメータの一種である。30%変形時の圧縮硬さ(K値)は、以下の工程で算出される。すなわち、導電性粒子42の粒子径(直径)が元の粒子径に比べて30%短くなるまで、導電性粒子42を一方向に圧縮する。そして、このときの荷重、変位量、及び圧縮前の導電性粒子42の半径と、以下の数式(1)とに基づいて、30%変形時の圧縮硬さ(K値)を算出する。数式(1)によれば、K値が小さいほど導電性粒子42は柔らかい粒子となる。
K=(3/√2)F・S−8/2・R−1/2 (1)
数式(1)中、Fは、導電性粒子42の30%圧縮変形時における荷重であり、Sは圧縮による導電性粒子42の変位量(mm)であり、Rは導電性粒子42の圧縮前の半径(mm)である。
【0050】
以上により、本実施形態によれば、突出部22の高さH1等が所定の要件を満たすので、突出部22を活かして異方性導電接続構造体10の品質を高めることができる。具体的には、突出部22は、より多くの導電性粒子42を突出部22内の凹部23に捕捉することができる。さらに、凹部23内の導電性粒子は十分に圧縮される。したがって、接続抵抗が低減し、信頼性が向上する。さらに、第2の電極端子31の高さH2が所定範囲内の値となっているので、第2の電極端子31の間には十分な量の接着剤が流入する。したがって、第1の電極端子と第2の電極端子とが強固に接着される。さらに、本実施形態は、ACFの圧着ラインさえあれば適用可能である。したがって、本実施形態を容易に導入することが可能となる。
【実施例】
【0051】
<1.実施例1>
(1−1.第1の電子部品の準備)
第1の電子部品20として、ICチップを準備した。このICチップには、第1の電極端子21として複数のバンプが形成されていた。第1の電極端子21には、高さH1=1.5μmの突出部22が形成されていた。また、バンプサイズ(すなわち、第1の電極端子21の平面形状)は、50μm×50μmの正方形状であった。また、開口面積率は73.96%であった。したがって、要件2は満たされていた。また、第1の電極端子21のビッカース硬度は50Hvであった。
【0052】
(1−2.第2の電子部品の準備)
第2の電子部品30として、フレキシブル基板を準備した。具体的には、厚さ25μmのポリイミド基板(新日鐵化学社製CS12−25−00CE)にCuエッチング後、Ni/Auめっきを施すことで、第2の電極端子31を形成した。以上の工程により、フレキシブル基板を作製した。Ni/Auめっきは電解めっき法により行った。第2の電極端子31の高さH2は12μmであった。したがって、要件3は満たされていた。また、第2の電極端子31の幅は50μmであった。したがって、第1の電極端子21と第2の電極端子31との有効接続面積は1849μmであった。ここで、有効接続面積は、第1の電極端子21の開口面積に対して第2の電極端子31が占める面積を意味する。
【0053】
また、第2の電極端子31のビッカース硬度は150Hvであった。したがって、電極端子の硬度比は33.3%であった。したがって、要件4は満たされていた。
【0054】
(1−3.異方性導電フィルム(ACF)の準備)
フェノキシ樹脂(品名:YP50、新日鐵化学社製)36質量部、エポキシ硬化剤(品名:HP3941HP、旭化成ケミカルズ社製)36質量部、エポキシモノマー(品名:HP4032D、DIC社製)5質量部、ゴム変性エポキシ樹脂(品名:XER−91、JSR社製)15質量部、ゴム成分(品名:SG80H、長瀬ケムテックス社製)7質量部、カップリング剤(品名:A−187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)、導電性粒子42(日本化学株式会社製)を混合することで、接着剤組成物を作製した。ここで、導電性粒子42は、個数密度が3,500,000個/mmとなるように接着剤組成物に配合した。そして、別途用意した厚さ38μmの剥離処理PETフィルムに接着剤組成物をバーコータにより塗工、乾燥することで、厚さ40μmの異方性導電フィルムを得た。
【0055】
導電性粒子42の圧縮前粒子径は3.5μmであり、Ni/Auめっきが施されていた。したがって、突出部高さ/粒子径比は、42.85%であった。したがって、要件1は満たされていた。また、粒子径/開口短辺長さ比は、8.14%であった。したがって、要件5は満たされていた。以上により、実施例1は、要件1〜5を満たしていることが確認できた。また、導電性粒子42の30%変形時の圧縮硬さは5500N/mmであった。30%変形時の圧縮硬さは、島津製作所製微小圧縮試験機により測定した。なお、以下の各実施例、比較例で使用した導電性粒子42は、いずれも30%変形時の圧縮硬さが5500N/mmであった。
【0056】
(1−4.異方性導電接続構造体の作製)
第1の電子部品20、異方性導電フィルム、及び第2の電子部品30を順次積層した。ここで、第1の電極端子21と第2の電極端子31との位置が揃うように第1の電子部品20及び第2の電子部品30の位置合わせを行った。ついで、第2の電子部品30上に緩衝材等を介してヒートツールを押し当てた。ついで、ヒートツールを用いて第1の電極端子21と第2の電極端子31とを熱圧着した。以上の工程により、異方性導電接続構造体10を作製した。ここで、熱圧着の条件は、200℃−10sec−100MPaとした。すなわち、ヒートツールの温度が圧着開始から10秒間で200℃になるようにヒートツールを昇温しつつ、100MPaの圧力で第1の電極端子21と第2の電極端子31とを10秒間熱圧着した。異方性導電接続構造体10は、後述する評価のために複数個作製した。異方性導電接続構造体10の構成を表1にまとめて示す。
【0057】
(1−5.初期抵抗)
1−4.で作製した異方性導電接続構造体10の接続抵抗をデジタルマルチメーター(商品名:デジタルマルチメーター7561、横河電機社製)を用いて測定した。結果を表1にまとめて示す。なお、複数の接続部分での初期抵抗を測定した。表1には、測定値の範囲を示す。
【0058】
(1−6.信頼性評価)
1−4.で作製した異方性導電接続構造体10の冷熱サイクル試験を行うことで、信頼性を評価した。冷熱サイクル試験では、異方性導電接続構造体10を−40℃及び100℃の雰囲気に各30分間曝し、これを1サイクルとする冷熱サイクルを500サイクル行った。ついで、異方性導電接続構造体10の接続部分を400箇所抽出し、これらのうち不良(100mΩ以上の抵抗を示すチャンネル)があった箇所の数をカウントした。結果を表1にまとめて示す。
【0059】
(1−7.占有面積率等の測定)
異方性導電接続構造体10から第1の電極端子21を引き剥がすことで、接続部分を露出させた。ついで、接続部分をSEMで観察し、凹部23内に存在する導電性粒子42の数(すなわち、捕捉粒子数)、及び導電性粒子42の平均占有面積率を測定した。平均占有面積率の測定は上述した方法により行った。すなわち、測定対象となる50個の接続部分を面視野で観察し、粒子が占有している面積、すなわち占有面積を測定した。そして、この占有面積に基づいて、占有面積率を算出した。また、導電性粒子42の捕捉粒子数は、50個の接続部分について測定された粒子数の算術平均値とした。結果を表1にまとめて示す。
【0060】
<2.実施例2>
実施例2では、第1の電極端子21のビッカース硬度を90Hvとした他は実施例1と同様の処理を行った。実施例2では、電極端子の硬度比は60%となった。したがって、実施例2でも要件4は満たされていた。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表1にまとめて示す。
【0061】
<3.実施例3>
実施例3では、第1の電極端子21のビッカース硬度を20Hvとした他は実施例1と同様の処理を行った。実施例3では、電極端子の硬度比は13.3%となった。したがって、実施例3でも要件4は満たされていた。ただし、硬度比が30%以下となったので、第1の電極端子21の若干の変形が確認された。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表1にまとめて示す。
【0062】
<4.実施例4>
実施例4では、第2の電極端子31のビッカース硬度を500Hvとした他は実施例1と同様の処理を行った。具体的には、第2の電極端子31のめっきを無電解めっきで行うことで、上記ビッカース硬度を得た。実施例4では、電極端子の硬度比は10%となった。したがって、実施例4では要件4は満たされていなかった。このため、圧着後に第1の電極端子21が大きく変形した。しかし、第1の電極端子21のピッチを広めにしていたため、ショートは発生しなかった。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表1にまとめて示す。
【0063】
<5.実施例5>
実施例5では、第2の電極端子31の幅を40μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表1にまとめて示す。
【0064】
<6.実施例6>
実施例6では、導電性粒子42の粒径を3.0μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表1にまとめて示す。
【0065】
<7.実施例7>
第2の電極端子31の幅を30μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表1にまとめて示す。
【0066】
<8.実施例8>
第2の電極端子31の幅を20μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表1にまとめて示す。
【0067】
<9.実施例9>
第2の電極端子31の高さH2を6μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表1にまとめて示す。
【0068】
<10.比較例1>
導電性粒子42の圧縮前粒子径を2.5μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。したがって、突出部高さ/粒子径比は60%となるので、要件1が満たされなかった。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表2にまとめて示す。
【0069】
<11.比較例2>
第1の電極端子21の開口面積率を51.84%とした他は、実施例1と同様の処理を行った。したがって、比較例2では、要件2が満たされなかった。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表2にまとめて示す。
【0070】
<12.比較例3>
突出部22の高さH1を3.0μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。したがって、比較例3では、突出部高さ/粒子径比は85.71%となるので、要件1が満たされなかった。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表2にまとめて示す。
【0071】
<13.比較例4>
第1の電極端子21から突出部22を研磨により除去し、第2の電極端子31の幅を20μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。したがって、比較例4では、少なくとも要件1が満たされなかった。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表2にまとめて示す。
【0072】
<14.比較例5>
第2の電子部品30をガラス基板とした他は、実施例1と同様の処理を行った。このガラス基板上には、ITOからなる第2の電極端子31が形成されており、第2の電極端子31の高さH2は1μm以下であった。したがって、比較例5では、要件3が満たされなかった。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表2にまとめて示す。
【0073】
<15.参考例1>
第1の電極端子21から突出部22を研磨により除去し、第2の電極端子31の幅を40μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。したがって、参考例1では、少なくとも要件1が満たされなかった。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表2にまとめて示す。
【0074】
<16.参考例2>
第1の電極端子21から突出部22を研磨により除去し、第2の電極端子31の幅を30μmとした他は実施例1と同様の処理を行った。したがって、参考例1では、少なくとも要件1が満たされなかった。異方性導電接続構造体10の構成及び評価結果を表2にまとめて示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
実施例1〜3、5〜9は、要件1〜6をすべて満たすので、初期抵抗、不良率、及びピール強度に関していずれも良好な結果が得られた。これらの実施例では、突出部22により十分な数の導電性粒子42を凹部23内に捕捉することができた。さらに、これらの導電性粒子42を十分に圧縮することができた。このため、良好な結果が得られたと推定される。
【0078】
ただし、実施例3では、第1の電極端子21に若干の変形が観察された。実施例3では、電極端子の硬度比が30%以下となっている。すなわち、実施例3では、要件4は満たされるが、30%以下の値となっている。また、実施例4でも良好な結果が得られたが、第1の電極端子21の変形がさらに大きくなった。実施例4では、電極端子の硬度比が10%以下となっている。したがって、要件4が満たされない。したがって、電極端子の変形を抑制するという観点からは、要件4が満たされることが好ましいことがわかった。
【0079】
一方、比較例1〜5では、特に信頼性の評価が悪くなった。比較例1〜5では、要件1〜3のいずれかが満たされないため、このような結果が得られたと推定される。参考例1、2では、突出部22が形成されなかった。このため、捕捉粒子数が実施例に対して少なかった。しかし、実施例とほぼ遜色ない評価結果が得られた。その一方で、同じく突出部22が形成されていない比較例4では、評価結果が悪くなった。この理由として、参考例1、2では、有効接続面積が大きかったことが挙げられる。しかし、参考例1、2では、突出部22を除去する作業が別途必要になるので、異方性導電接続に手間がかかってしまう。したがって、実施例1〜9の方が好ましいと言える。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0081】
10 異方性導電接続構造体
20 第1の電子部品
21 第1の電極端子
22 突出部
23 凹部
30 第2の電子部品
31 第2の電極端子
40 接着剤層
41 硬化樹脂層
42 導電性粒子
図1
図2