(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の溶接システムにおいて、前記正のバックグラウンド段階において、前記溶接電源が、約20アンペア〜100アンペアの範囲のバックグラウンド電流を供給することを特徴とする溶接システム。
請求項1に記載の溶接システムにおいて、前記負のピーク電流段階において、前記溶接電源が、約150アンペア〜350アンペアの範囲の電流を供給することを特徴とする溶接システム。
請求項1に記載の溶接システムにおいて、前記溶接電源が、状態関数発生器と通信する制御装置、前記状態関数発生器と通信するデジタル信号プロセッサ、デジタル信号プロセッサと通信するインバータを備え、前記インバータが、電源、極性スイッチング回路、および電流低減装置に電気的に接続されることを特徴とする溶接システム。
請求項7に記載の溶接システムにおいて、前記状態関数発生器が、トーチ、およびこのトーチから電圧帰還または電流帰還を受ける被加工物のうち少なくとも一方に電気的に接続されることを特徴とする溶接システム。
請求項10に記載の溶接システムにおいて、前記溶接波形は、溶融液滴が溶接パドル内へ離脱した直後に前記正極性のバックグラウンド電流部分よりも低い電流レベルでアークが再点火する際にのみ、正極性から負極性へと切り替わることを特徴とする溶接システム。
【発明の概要】
【0003】
本溶接システムの一実施形態は、1組の正の部分と負の部分を有する選択された波形の交流を供給する溶接電源を備え、この負の部分は、ピーク、テイルアウト、およびバックグラウンドの段階からなり、正の部分は、ピーク、テイルアウト、およびバックグラウンドからなり、この電源は、ピンチ段階において上り傾斜の電流を供給し、ピーク、テイルアウト、およびバックグラウンドの段階からなる負の部分において棒マイナスの電流に切り替わり、それに続いて棒プラス部分に切り替わり、次の短絡現象の前にこの正の部分が繰り返してもよい。
【0004】
このシステムの別の実施形態によれば、波形は表面張力移行波形である。
【0005】
システムの別の実施形態によれば、波形はGMAW波形である。
【0006】
システムの別の実施形態によれば、溶接電源は、選択された波形を供給するように構成された波形発生器を備え、この波形発生器は、dv/dt、インピーダンス、または予測モデルに基づくタイマのうちの少なくとも1つに基づいて、短絡回路の端部(すなわちネッキング)の状態を検出するように構成され、この電源は、短絡回路の端部を検出すると棒マイナスの電流に切り替わる。
【0007】
システムの別の実施形態によれば、溶接電源は、棒プラスとしてピンチ電流を供給する。
【0008】
システムの別の実施形態によれば、波形は離脱段階を含み、溶接電源は、棒プラスの電流を用いて離脱段階においてアークを再点火する。システムのさらに別の実施形態によれば、離脱段階の後、波形は、電極の遠位端を溶接パドルから遠ざけるよう押圧するようになされた噴射力を生成するように構成された、棒マイナスの電流に切り替わる。
【0009】
システムの別の実施形態によれば、波形はさらに、ピンチ段階の前にバックグラウンド段階および濡れ段階を含み、このバックグラウンド段階および濡れ段階は棒プラスであり、バックグラウンド段階は濡れ段階よりアンペア数が高い。
【0010】
システムの別の実施形態によれば、濡れ段階において、溶接電源は約20アンペア〜約40アンペアの電流を供給する。
【0011】
システムの別の実施形態によれば、負極性のバックグラウンド段階において、溶接電源は約40アンペア〜80アンペアの範囲の電流を供給する。
【0012】
システムの別の実施形態によれば、正極性のバックグラウンド段階において、溶接電源は約40アンペア〜80アンペアの範囲の電流を供給する。
【0013】
システムの別の実施形態によれば、負極性のピーク電流段階において、溶接電源は約150アンペア〜350アンペアの範囲の電流を供給する。
【0014】
システムの別の実施形態によれば、溶接電源は、約50アンペア〜300アンペアの範囲の2乗平均平方根(RMS)の電流を供給する。
【0015】
システムの別の実施形態によれば、1つまたは複数のパルスのそれぞれの持続時間が、約.5〜2ミリ秒の範囲にある。
【0016】
システムの別の実施形態によれば、負の部分は、ピンチ段階の後に生じ、離脱段階によってピンチ段階から分離される。
【0017】
システムの別の実施形態によれば、負のテイルアウト段階は、棒マイナスの電流を徐々に低減させることを含む。
【0018】
システムの別の実施形態によれば、溶接電源は、状態関数発生器と通信する制御装置、状態関数発生器と通信するデジタル信号プロセッサ、デジタル信号プロセッサと通信するインバータを備え、このインバータは、電源、スイッチング回路、および電流低減装置に電気的に接続される。
【0019】
システムのさらなる実施形態によれば、スイッチング回路はHブリッジ極性スイッチである。
【0020】
システムのさらに別の実施形態によれば、状態関数発生器は、トーチ、およびこのトーチから電圧帰還または電流帰還を受ける被加工物のうち少なくとも一方に電気的に接続される。
【0021】
この溶接システムの別の実施形態は、選択された波形の交流を電極に供給するように構成された溶接電源を備え、この電極は消耗性であり、この波形は、電極がその露出した端部で溶融液滴を生成する際の1つまたは複数の段階を含み、溶融液滴が電極から離脱するときに電極と被加工物の間の短絡が発生し、溶接電源は、短絡を検出し、溶融液滴が被加工物に移動した後に棒マイナスのピーク電流を電極に供給するように構成され、この溶接電源は、溶融液滴が形成するパドルを被加工物に向けて押しつける噴射力を生成する。
【0022】
別の実施形態によれば、波形は表面張力移行波形である。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、アーク溶接プロセスは、たとえば、シールド・ガスとしてアルゴンおよびCO
2を使用し、またはCO
2を単独で使用する、ガス・メタル・アーク溶接(GMAW)プロセスでもよい。溶接電極は、鋼またはステンレス鋼を含んでもよい。本発明の一実施形態によれば、バックグラウンド電流レベルは約70アンペアでよく、ピーク電流レベルは約330アンペアでよく、中間電流レベルは約210アンペアでもよい。本発明の一実施形態によれば、増熱電流パルスの既定のパルス・レートは約333Hzでもよく、アーク溶接プロセスのワイヤ供給速度は毎分約150インチでもよい。
【0024】
さらなる実施形態、すなわち、電気溶接波形を生成して、前進する溶接電極と金属の被加工物との間に一連の電気アーク・パルスを発生させることによって、アーク溶接プロセスを実行する溶接システムによれば、前記システムは、交流を生成するための電子構成部品の第1の構成であって、前記電気溶接波形のバックグラウンド電流段階、ピーク電流段階、およびテイルアウト電流段階の交流を供給し、前記バックグラウンド電流段階がバックグラウンド電流レベルをもたらし、前記ピーク電流段階がピーク電流レベルをもたらし、前記テイルアウト電流段階が、減少するテイルアウト電流レベルをもたらす第1の構成と、前記電気溶接波形のピンチ電流段階を生成するための電子構成部品の第2の構成であって、前記ピンチ電流段階が、増加するピンチ電流レベルをもたらす第2の構成と、前記電極が前記被加工物に短絡するのに応答して、前記バックグラウンド電流段階の終了時点において前記バックグラウンド電流レベルを下回って前記電気溶接波形の電流レベルを減少させるための電子構成部品の第3の構成であって、前記電極が短絡した後に、棒プラスの電流を印加してアークを再点火する第3の構成とを含み、電子構成部品の前記第1の構成が、ピーク電流段階において棒マイナスの電流を供給する。
【0025】
特許請求される本発明の上記その他の特徴、ならびに本発明の例示した実施形態の詳細が、以下の説明および図面からさらに完全に理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、一実施形態による溶接システム100が示してある。溶接システム100は一般に、溶接部を形成するのに使用される装置140に電流を供給する溶接電源120を備える。電源120は制御装置を備えてもよく、これは全体として130で示してあり、ユーザまたは別の装置に情報を伝達するための、表示画面、LED、または他の視覚装置、聴覚装置、もしくは触覚装置などの出力部132を有する。電源120はまた、外部源からコマンドまたは他の情報を受信する入力部134を備えてもよい。入力部は、別のマシンとの接続部、つり下げ式の制御装置、またはノブ、スイッチ、キーパッドなどのオンボード制御装置でもよい。ユーザを含む外部源からの入力を使用して、溶接プロセスを選択するか、または溶接作業を実行する際に使用される設定もしくは特定の消耗性装置すなわち溶接装置140に関連する設定を調整してもよい。
【0028】
溶接装置140は、溶接トーチ142でもよい。電源120は、装置140が供給する電極150に電気的に接続され、この電極には、前進ワイヤ、スティックなどの消耗電極が含まれるが、それだけには限定されない。電源120はさらに、接地ケーブル・クランプ157などによって被加工物210に接続されて、溶接回路160を形成する。
【0029】
図1に示す例では、全体として170で示してあるワイヤ供給装置がトーチ142に接続されて、スプール、箱、または他のパッケージなどのワイヤ供給部174から、トーチ142を介して、被加工物210までワイヤ172を供給する。
図1Aに示すように、ガス源180を設け、トーチに流体接続して、182で示す溶接作業用のガス・シールドを実現してもよい。
図1Bには、さらに別の実施形態が示してあり、フラックス供給が必要となるサブマージ・アークまたは他の溶接作業用に、フラックス源190が設けられている。所与の用途からの要求に応じて、各図に示した実施形態からの様々な構成要素を組み合わせてもよく、または交換してもよいことが理解されよう。
【0030】
図2は、本発明による電源120の詳細を示す回路図である。電源120に電気的に接続された被加工物210に向けて供給される前進電極150が、概略的に示してある。電気溶接波形サイクル300を生成するための、システム100の例示的な一実施形態(
図3)。システム100は、本明細書に記載のような状態機械タイプのシステムである。Lincoln Electric Power Wave(商標)S500システムは、状態機械タイプの溶接システムの一例である。
【0031】
システム100は、状態ベースの関数発生器420にロードされる溶接プログラム410を含む。本発明の一実施形態によれば、状態ベースの関数発生器420は、プログラム可能なマイクロプロセッサ装置を備える。溶接プログラム410は、電気溶接波形300を生成するためのソフトウェア命令を含む。このシステムはさらに、状態ベースの関数発生器420に動作可能なように接続されているデジタル信号プロセッサ(DSP)430を備える。このシステムはさらに、DSP430に動作可能なように接続されている高速増幅器インバータ440を備える。
【0032】
DSP430は、状態ベースの関数発生器420から命令を取得し、高速増幅器インバータ440を制御する。高速増幅器インバータ440は、DSP430からの制御信号435に従って、高電圧の入力電力441を低電圧の溶接出力電力に変換する。たとえば、本発明の一実施形態によれば、DSP430は制御信号435を供給し、この制御信号は、高速増幅器インバータ440が様々な段階の電気溶接波形を発生させるための点弧角(スイッチを起動するタイミング)を決定する。
【0033】
高速増幅器インバータ440の出力442および443が、それぞれ溶接電極150および被加工物210に動作可能なように接続されて溶接電流を供給し、この電流が、電極150と被加工物210の間に電気アークEAを形成する。システム100はまた、電圧および電流の帰還機能470を備え、これが電極150と被加工物210の間の電圧を検知し、電極150、被加工物210、および高速増幅器インバータ440によって形成される溶接回路を通って流れる電流を検知する。検知された電流および電圧を状態ベースの関数発生器420が使用して、電極150と被加工物210の短絡(すなわち短絡状態)を検出し、溶融金属ボールがいつ電極150から分離するのか(すなわち脱短絡状態)を検出する。
【0034】
システム100はさらに、電流低減装置スイッチ482を備え、これを以下でより完全に説明する。電流低減装置480は、高速増幅器インバータ440の出力442と443の間に動作可能なように接続されている。電流低減装置480はまた、DSP430に動作可能なように接続されている。電極150と被加工物210の間に短絡状態が発生すると、DSP430は、溶接回路を通る電流レベルを所定のバックグラウンド電流レベルを下回って引き下げるよう、制御信号436を介して電流低減装置480に命令する。たとえば図に示すように、電流低減装置480は、スイッチ482Aおよび482B、ならびに抵抗器484を備えてもよく、これらが互いに動作して、動作回路に抵抗器484を選択的に付加して、電極150への電流を低減させる。同様に、本明細書において離脱とも呼ぶ脱短絡状態が発生すると(すなわち溶融金属ボールが電極150の遠位端から分離すると)、DSP430は、溶接回路を流れる電流レベルを所定のバックグラウンド電流レベルを下回って引き下げるよう電流低減装置480に命令する。極性の制御、すなわち棒プラスまたは棒マイナスの電流の印加は、全体として490で示した極性制御装置によって調整してもよい。たとえば、極性制御装置490は、Hブリッジ極性スイッチ492もしくは他の適切な固体構成部品、または電流極性を制御できるプログラム可能な制御装置を備えてもよい。
【0035】
図3には、アーク溶接プロセス200で使用される、電気溶接波形305のサイクル300の例示的な実施形態が示してある。
図4には、
図3の電気溶接波形を使用するサイクル300にわたる、アーク溶接プロセスの様々な段階(A〜E)が示してあり、溶接電極150と金属の被加工物210の間の関係が示してある。アーク溶接プロセス中、溶接システム100は、選択された波形305の電流を供給して、電気アーク・パルスを生成する。一般に、アーク溶接プロセス中にサイクル300が周期的に繰り返されて、その結果、溶接部が生成される。しかし、以下でより完全に説明するように、同じ数のパルスでなくても、場合によってはサイクル300内の一定の段階でなくても、サイクル300を繰り返すことができる。
【0036】
電気溶接波形305のサイクル300は、正極性のバックグラウンド電流レベル311をもたらす正極性のバックグラウンド電流段階310、単調に増加するピンチ電流レベル321をもたらす正のピンチ電流段階320、負極性のピーク電流レベル331をもたらす負極性のピーク電流段階330、および減少するテイルアウト電流レベル341をもたらす負のテイルアウト電流段階340を含む。
【0037】
正極性のバックグラウンド電流段階310においては、電極150と被加工物210の間に電気アークEAが維持され、電極150の遠位端155に溶融金属ボール220を生成する(
図4の段階Aを参照)。段階Bでは、依然として電極150につながっている溶融金属ボール220が、被加工物210に短絡する。短絡が発生すると、アークEAが消失し、波形305の電流レベルがバックグラウンド電流レベル311を下回って電流レベル312まで降下し、溶融ボール220が被加工物210上のパドルに濡れるように流れ込むことになる。
図3に示す一実施形態によれば、溶融金属ボール220が短絡し、これが離脱すると、溶接システム100は、棒マイナス電流を電極150に供給する。
【0038】
正極性のピンチ電流段階320においては、波形305の電流レベルが、バックグラウンド電流レベル311を超えて単調に増加し(たとえば上方に傾斜し)、ピンチ電流レベル321が増加し、これにより、
図4の段階Cに示すように、短絡した溶融金属ボール220が電極150の遠位端から被加工物210のパドルに向けて分離し始める。溶融金属ボール220が電極150から分離しようとするとき、波形305の電流レベルは、再びバックグラウンド電流レベル311を下回って電流レベル314まで降下してスパッタを回避し、電極150と被加工物210の間にアークEAが再確立される。
【0039】
アークEAが再確立すると、波形305は負極性のピーク電流段階330に入る。負極性のピーク電流段階330において、波形305の電流レベルは、負極性のピーク電流レベル331まで増加し、そのレベルで保持される。一実施形態によれば、ピーク電流レベル331は通常、波形305の最も高い電流レベルであり、電極150と被加工物210の間に十分な強度のアークEAを確立して、電極150の遠位端で次の溶融金属ボール220の形成を開始する。
【0040】
負極性のピーク電流段階330の後、波形305は、負極性のテイルアウト電流段階340に入る。負極性のテイルアウト電流段階340において、波形305の電流レベルは、負のバックグラウンド電流レベル341まで減少し、テイルアウト電流レベルが減少する。図示した例では、テイルアウトの減少が指数関数的に実行される(
図3)。波形305の電流が、溶接部に熱を投入する。
【0041】
負のバックグラウンド電流341の後、正極性部分に入り、正極性電流を供給する。正極性部分において、少なくとも1つの増熱電流パルスが生成され、中間電流レベル351を供給し、その振幅はバックグラウンド電流レベル311と負極性のピーク電流レベル331との間にある。溶融金属ボール220と被加工物210の間の次の短絡が発生するまで、正極性部分でこの増熱電流パルスを周期的に繰り返してもよく、短絡が発生した時点でアークEAが消失し、波形305の電流レベルがバックグラウンド電流レベル311を下回って電流レベル312まで降下し、次の溶融ボール220が被加工物210上のパドルに濡れるように流れ込むことになる(段階B)。
【0042】
増熱電流パルス350の働きにより、パドルおよび周辺領域を再加熱して、さらに溶け込むようにする。パドルの流動性を高めることなく、より良好な溶け込みを実現するには、たとえばオープン・ルート継手の溶接において、増熱電流パルス350によってもたらされる熱がこうして増えることが望ましい場合がある。増熱パルスは、アークの端から端まで液滴を移動させるほど振幅が大きくなく、また、強制的に溶接システムが短絡アーク遷移を超えて球状移動するほどパルス幅は広くない。やはり一般に、アーク溶接プロセス中にサイクル300が周期的に繰り返されて、その結果、溶接部が生成される。しかし、同じ数の増熱パルス350でなくても、また、場合によっては短絡が発生しないときはピンチ電流段階320でなくても、サイクル300を繰り返すことができる。
【0043】
一実施形態によれば、波形305を使用して、表面張力移行プロセス(STT)を実行し、ここで、溶融液滴が電極150の端部に形成され、被加工物210または溶接パドルに濡れるように流れ込む。他の実施形態では、STTプロセスはビードを引っ張る役には立たず、このビードは、電気アークEAにおいて生成される電磁力によって遠位端から排出される。本明細書に記載の各実施形態は、MIG/MAG、GMAW、SMAW、FCMAWなどを含め、任意の溶接プロセスで使用してもよい。
【0044】
図3を参照すると、電源120は、正極性のバックグラウンド段階310において、正極性のバックグラウンド電流311を供給する。
図2を参照すると、濡れ段階は、以下でより完全に説明するスイッチ482を開いて、抵抗値を増大させ、液滴への電流を減少させるステップを含む。この液滴は、被加工物またはこれまでの液滴が形成した溶接パドルに濡れるように流れ込む。濡れ段階のアンペア数は、一般にバックグラウンド電流よりも少なく、具体的なハードウェア、すなわち被加工物の材料、電極材料、および電源に応じて変化する。図示した例では、濡れアンペア数は、約20アンペア〜約40アンペアの範囲である。濡れ段階の持続時間は、液滴がパドルまたは被加工物に濡れるように流れ込むのに十分な時間を可能にするよう変化してもよい。濡れ段階の後、スイッチが閉じて抵抗値が下がり、電流レベルが段階的に上昇して、ピンチ段階が始まる。先に述べた通り、ピンチ段階は、電流を増加させて溶融液滴を分離し、電極150の遠位端からこの液滴を排出するステップを含む。
【0045】
一例として、本発明の一実施形態によれば、アーク溶接プロセスは、たとえば、STTプロセスで加えられるシールド・ガスとしてアルゴンおよび二酸化炭素を使用する、ガス・メタル・アーク溶接(GMAW)プロセスである。バックグラウンド電流レベル311は約70アンペアであり、ピーク電流レベル331は約330アンペアであり、中間電流レベル351は約210アンペアである。単一の増熱パルス350のパルス幅は約1ミリ秒であり、バックグラウンド電流段階310において、3〜6パルスまで約3ミリ秒ごとに繰り返してもよい。サイクル300の周期は約15ミリ秒である。
【0046】
図6には、
図1の電気溶接波形305を生成するための、システム600の第1の例示的な実施形態の機能ブロック図が示してある。システム600は、交流電源610を用いた発電機能、および調節波形生成/整形機能620を実現して、調節波形305’を生成する。システム600はまた、短絡検出器/脱短絡予測装置630において短絡検出/前兆検出(脱短絡予測)機能を実現して、電極150と被加工物210の間の短絡状態がいつ発生するかを検出し、溶融金属ボール(たとえば220)が被加工物210上のパドルに向けて分離するとき、短絡状態がいつ終了する(脱短絡状態)かを予測する。
【0047】
調節波形生成/整形機能620によって生成される調節波形305’を使用して、電気溶接波形305の形で電極150および被加工物210に電流を供給する発電機能610を調節する。調節波形生成/整形機能620は、周期的なベース波形生成機能621を含む。
図3および4には、
図6のシステム600の様々な機能によって生成される、調節波形305’の各部分の例示的な実施形態が示してある。
図3には、周期的なベース波形生成機能621によって生成される、周期的なベース波形サイクル300が示してある。周期的なベース波形生成機能621は、調節波形305’のバックグラウンド電流段階310、ピーク電流段階330、およびテイルアウト電流段階340を周期的に生成する。
【0048】
調節波形生成/整形機能620はまた、ピンチ電流段階生成機能622を含む。
図3には、ピンチ電流段階320を有する、周期的なベース波形部分300が示してある。本発明の一実施形態によれば、調節波形生成/整形機能620の信号加算機能623を使用して、ピンチ電流段階320と、周期的なベース波形部分300とを加算してもよい。
【0049】
調節波形の生成/整形の機能620は、ピーク、テイルアウト、およびバックグラウンドを有する負極性部分の電流生成機能624Aを含む。
図3には、ピーク330、テイルアウト340、およびレベル341でのバックグラウンドを有する、周期的な負極性部分が示してある。
【0050】
調節波形生成/整形機能620はさらに、正のピーク、テイルアウト、およびバックグラウンドの段階を有する正極性部分を含み、これらは増熱パルス生成機能624Bと呼ばれる。
図3にはさらに、負極性部分の後に切り替わる増熱パルス350を有する、周期的な正極性部分が示してある。本発明の一実施形態によれば、調節波形生成/整形機能620の信号切替え機能625を使用して、バックグラウンド電流段階310において増熱電流パルス350に切り替えてもよい。
【0051】
調節波形生成/整形機能620はまた、サブバックグラウンド電流レベル生成(電流低減)機能626を含む。
図3には、サブバックグラウンド電流の濡れ部分312を有する、周期的なベース波形が示してある。検出すると、別のサブバックグラウンド電流部分が発生してもよい。
【0052】
図1および
図2に示すように、その結果得られる調節波形305’を使用して、発電機能610を調節して、電気溶接波形305の様々な部分の実際の電流レベル(311、312、314、321、331、341、351)を、電極150および被加工物210に供給する。本明細書では、用語「電流レベル」は、実質的には安定しているが、電気溶接波形の生成が多少は厳密でないことからいくらか変動する場合がある電流振幅を指す。
【0053】
システム600を使用する溶接プロセス中、短絡検出/脱短絡予測機能630が、電極150および被加工物210での電流および電圧を監視し、電極150と被加工物210の間の短絡状態がいつ発生するかを検出し、また短絡状態がいつ終了する(脱短絡状態)かを予測する。短絡状態が発生すると、サブバックグラウンド電流レベル機能626は、短絡状態が検出されるのに応答して、バックグラウンド電流レベル311を下回って電流レベル312まで波形305の電流レベルを直ちに引き下げ、本明細書において先に述べたように溶融金属ボールが被加工物210上のパドルに濡れるように流れ込むことになる。次いで、ピンチ電流段階生成機能622は、単調に増加するピンチ電流レベル621を波形305に加える。
【0054】
脱短絡状態が予測されると(すなわち、溶融金属ボールが電極の遠位端から分離しようとしている)、サブバックグラウンド電流レベル機能626がやはり、脱短絡状態が予測されるのに応答して、バックグラウンド電流レベル311を下回って電流レベル314まで波形305の電流レベルを引き下げて、スパッタを回避する。一実施形態によれば、再点火機能628は、棒プラス電流レベル314を供給して、安定性を高め、スパッタを低減しながら電気アークを再点火する。
【0055】
さらに、波形生成/整形機能620のタイミング機能627が起動される。タイミング機能627が、負のピーク電流段階330およびテイルアウト電流段階340によって占有される時間セグメントにわたってカウントダウンした後、波形305が正極性部分に切り替わり、これが正のピーク電流段階350で始まる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、タイミング機能627が、脱短絡状態と負の部分への入口との間に生じる時間、およびそれに続く正極性部分に入る前の時間で事前プログラムされる。タイミング機能627がカウントダウンを完了し、正極性バックグラウンド電流段階310に入ったことを示すと、信号切替え機能625が起動されて、波形305の正極性部分を繰り返した後、次の短絡状態が検出される。パルスの振幅および持続時間は、被加工物または電極の材料のタイプに応じて、事前に選択してもよく、または調整してもよい。図示した例では、パルスは約333Hzの速度で印加され、ワイヤの供給速度は毎分約150インチであり、また鋼製の被加工物の厚さは約.045インチである。任意選択により、薄肉の被加工物、またはアルミニウムなど熱入力の影響を比較的受けやすいことがある被加工物材料では、棒マイナの増熱パルスに切り替えることによって、熱入力の制御を比較的良好に実施することができる。
【0057】
アナログおよび/またはデジタルの電子構成部品を含んでもよい電子構成部品の構成を使用して、
図6のシステム600の様々な機能を実施してもよい。電子構成部品のこのような構成には、たとえば、パルス発生器、タイマ、カウンタ、整流器、トランジスタ、インバータ、発振器、スイッチ、トランス、波形整形器、増幅器、状態機械、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、およびマイクロコントローラが含まれ得る。このような構成の各部分は、実装するのが柔軟になるようプログラム可能でもよい。電子構成部品のこうした構成の様々な例を、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、および(特許文献4)に見つけることができ、これらのそれぞれを、そっくりそのまま参考として本明細書に援用する。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、システム600は電子構成部品の第1の構成を備えており、この構成は、電気溶接波形305のバックグラウンド電流段階310、ピーク電流段階330、およびテイルアウト電流段階340を生成する。システム600はさらに、電子構成部品の第2の構成を備えており、この構成は、電気溶接波形305のピンチ電流段階320を生成する。システム600はさらに、電子構成部品の第3の構成を備えており、この構成は、棒プラス電流で電気アークを再点火する。システム600はまた、電子構成部品の第4の構成を備えており、この構成は、バックグラウンド電流段階310において電気溶接波形305の少なくとも1つの増熱電流パルス350を生成する。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、システム600はまた、電子構成部品の第5の構成を備え、この構成は、電極が被加工物に短絡するのに応答して、バックグラウンド電流段階310の終了時点においてバックグラウンド電流レベルを下回って電気溶接波形305の電流レベルを減少させ、液滴が被加工物210または溶接パドル220に濡れるように流れ込むことになる。システム200はさらに、電子構成部品の同様の構成を備え、この構成は、液滴が電極150から離脱するのを予測して、ピンチ電流段階320の終了時点においてバックグラウンド電流レベルを下回って電気溶接波形305の電流レベルを減少させる。
【0060】
電子構成部品の第1〜第5の構成は、必ずしも互いに無関係ではないが、一定の電子構成部品を共用してもよい。たとえば、本発明の一実施形態によれば、第1の構成の電子構成部品の多くが、第3の構成の電子構成部品の多くと同じでもよい。同様に、第4の構成の電子構成部品の多くが、第5の構成の電子構成部品の多くと同じでもよい。本発明の様々な実施形態によれば、他の共用構成部品も同様に使用可能でよい。
【0061】
図6に示す機能的な実装は、例示的な一実施形態を示す。他の実施形態も同様に実現可能である。たとえば、別の実施形態によれば、信号加算機能623を用いて合計する代わりに、信号切替え機能625を用いて、ピンチ電流段階320を変調波形305’に切り替えてもよい。同様に、信号切替え機能625を用いて切り替える代わりに、信号加算機能623を用いて、増熱パルス350を変調波形305’に加算してもよい。修正された他の実施形態も同様に実現可能であり、こうした実施形態によって、
図1の電気溶接波形305、またはバックグラウンド電流段階中に少なくとも1つの増熱電流パルスを有する同様の波形を生成することになる。
【0062】
図5には、システム100の構成部品および機能、ならびに
図3に示す波形などの波形を使用して、交流アーク溶接プロセスを実行する方法500の第1の例示的な実施形態の流れ図が示してある。ステップ510では、正極性電流が供給され、バックグラウンド電流レベル311にまで調整されて、電極150と被加工物210の間に電気アークEAを維持し、電極150の遠位端155に溶融金属ボール220を生成する。ステップ520では、溶融金属ボール220が被加工物210に短絡し、電気アークEAを消失させるのに応答して、たとえば抵抗を溶接回路に付加することによって、この電流がバックグラウンド電流レベル311を下回って降下する。電流レベルの降下が維持されて、溶融金属ボール220が被加工物210上のパドルに濡れるように流れ込むことになる。ステップ530では、バックグラウンド電流レベル311を超えて出力電流レベルを自動的に上昇させて、溶融金属ボール220が電極150の遠位端155から分離するようになる。先に述べた通り、この上昇は、535で離脱が予測されるまで電流を増加させるため、1次関数として実行してもよい。
【0063】
ステップ540では、溶融金属ボール220が電極150の遠位端から被加工物210上に分離するとき、バックグラウンド電流レベル311を下回って出力電流レベルを減少させ、電極150と被加工物210の間に棒プラス電流で電気アークEAを再点火する。ステップ550では、極性を棒マイナスに変更し、電気アークEAの再確立に応答して、波形305のピーク電流レベル331まで出力電流レベルを増加させる。ステップ560では、正極性部分に遷移し、電極150の遠位端155に次の溶融金属ボール220を生成する。ステップ570では、さらに加熱する必要がある場合、ステップ575を実行して、必要に応じて既定のパルス・レートで、バックグラウンド電流レベル311とピーク電流レベル331の間にある中間電流レベル351で増熱パルスを印加し、その後、次の溶融金属ボール220との間で次の短絡が確立される。ステップ580では、アーク溶接プロセスは、完了していない場合はステップ520に戻り、完了している場合は終了する。
【0064】
前述の実施形態によれば、波形305内に交流源を設けることで、
図7に示すように電子流を有する電気アークEAを生成する。このようにして、システム100は、電極150に対して拡散した電子流に対応する、矢印で示した噴射力710を加える。図に示すように、電極150からの電子流が、電極150、およびこの電極の中心から徐々に長くなる距離で被加工物に接触する放射状アーク内の溶融液滴220から下方に放射される。このようにして、システム100は、アーク放電段階において下部の溶接パドルPに噴射力710を加え、溶融液滴220には、これが電極150から離脱するときに、より均等に分散された外向きの力を加える。噴射力710は、溶融金属液滴220をパドルP内に押圧し、均等な力分布でパドルPを電極から外方に押しつけ、その結果、溶融溶接材料が固化するとより良好なビード形状をもたらす。より安定な電子流パターン、およびその結果得られる噴射力により、液滴が離脱してパドルPに移動するときさらに均等な力を加えること、およびアークの再点火中に液滴の後端部が破裂する原因となることもある不安定性を低減することによって、スパッタの可能性がさらに低下する。対照的に、同じ波形305に直流(DC)を加えると、結果として、
図8に示すように電子流が集束し、力が集中することになる。生成された力が液滴を寄せ付けず、不均一または不安定になる場合もあり、その結果得られる溶接パドルPは不規則であり、または固化する際に所望の形状とならない。実際には、ビードの外観に欠陥があれば、後で機械加工する必要があり、またはビードが不完全であれば溶接をやり直すことも必要になる。
【0065】
要約すれば、本溶接システムの第1の一実施形態は、1組の正の部分と負の部分を有する選択された波形の交流を供給する溶接電源を備え、この負の部分は、ピーク、テイルアウト、およびバックグラウンドの段階からなり、正の部分は、ピーク、テイルアウト、およびバックグラウンドの段階からなり、この電源は、ピンチおよび離脱の段階において上り傾斜の電流を供給し、負のピーク、テイルアウト、およびバックグラウンドの段階において棒マイナスの電流に切り替わり、それに続いて棒プラス部分に切り替わり、次の短絡現象の前にこの正の部分が繰り返してもよい。
【0066】
このシステムの別の実施形態によれば、波形は表面張力移行波形である。
【0067】
システムの別の実施形態によれば、波形はGMAW波形である。
【0068】
システムの別の実施形態によれば、溶接電源は、選択された波形を供給するように構成された波形発生器を備え、この波形発生器は、dv/dt、インピーダンス、または予測モデルに基づくタイマのうちの少なくとも1つに基づいて、短絡回路の端部(すなわちネッキング)の状態を検出するように構成され、この電源は、短絡回路の端部を検出すると棒マイナスの電流に切り替わる。
【0069】
システムの別の実施形態によれば、溶接電源は、棒プラスとして上り傾斜の電流を供給する。
【0070】
システムの別の実施形態によれば、波形は離脱段階を含み、溶接電源は、棒プラスの電流を用いて離脱段階においてアークを再点火する。システムのさらに別の実施形態によれば、離脱段階の後、波形は、電極の遠位端を溶接パドルから遠ざけるようになされた噴射力を生成するように構成された、棒マイナスの電流に切り替わる。
【0071】
システムの別の実施形態によれば、波形はさらに、ピンチ段階の前にバックグラウンド段階および濡れ段階を含み、バックグラウンド段階および濡れ段階は棒プラスであり、バックグラウンド段階は濡れ段階よりアンペア数が高い。
【0072】
システムの別の実施形態によれば、濡れ段階において、溶接電源は約20アンペア〜約40アンペアの電流を供給する。
【0073】
システムの別の実施形態によれば、バックグラウンド段階において、溶接電源は約50アンペア〜75アンペアの範囲のバックグラウンド電流を供給する。
【0074】
システムの別の実施形態によれば、ピーク電流段階において、溶接電源は約100アンペア〜250アンペアの範囲の電流を供給する。
【0075】
システムの別の実施形態によれば、1つまたは複数のパルスのそれぞれの持続時間が、約.5〜2ミリ秒の範囲にある。
【0076】
システムの別の実施形態によれば、負極性部分は、ピンチ段階の後に生じ、離脱段階によってピンチ段階から分離される。
【0077】
システムの別の実施形態によれば、負のテイルアウト段階は、棒マイナスの電流を徐々に低減させることを含む。
【0078】
システムの別の実施形態によれば、溶接電源は、状態関数発生器と通信する制御装置、状態関数発生器と通信するデジタル信号プロセッサ、デジタル信号プロセッサと通信するインバータを備え、このインバータは、電源、スイッチング回路、および電流低減装置に電気的に接続される。
【0079】
システムのさらなる実施形態によれば、スイッチング回路はHブリッジ極性スイッチである。
【0080】
システムのさらに別の実施形態によれば、状態関数発生器は、トーチ、およびこのトーチから電圧帰還または電流帰還を受ける被加工物のうち少なくとも一方に電気的に接続される。
【0081】
この溶接システムの別の実施形態は、選択された波形の交流を電極に供給するように構成された溶接電源を備え、この電極は消耗性であり、この波形は、電極がその露出した端部で溶融液滴を生成する際の1つまたは複数の段階を含み、溶融液滴が電極から離脱するときに電極と被加工物の間の短絡が発生し、溶接電源は、短絡の離脱を検出し、溶融液滴が被加工物に移動した後に棒マイナスのピーク電流を電極に供給するように構成され、この溶接電源は、溶融液滴を移動した後に棒プラスから棒マイナスに電流を切り替えるように構成され、この溶接電源は、溶融液滴が形成するパドルPを被加工物に向けて押しつける噴射力を生成する。
【0082】
別の実施形態によれば、波形は表面張力移行波形である。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、アーク溶接プロセスは、たとえば、シールド・ガスとしてアルゴンおよびCO
2を使用し、またはCO
2を単独で使用する、ガス・メタル・アーク溶接(GMAW)プロセスでもよい。溶接電極は、鋼またはステンレス鋼を含んでもよい。本発明の一実施形態によれば、バックグラウンド電流レベルは約70アンペアでよく、ピーク電流レベルは約330アンペアでよく、中間電流レベルは約210アンペアでもよい。本発明の一実施形態によれば、増熱電流パルスの既定のパルス・レートは約333Hzでもよく、アーク溶接プロセスのワイヤ供給速度は毎分約150インチでもよい。
【0084】
ある一定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えてもよく、また均等物で代用してもよいことが当業者には理解されよう。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正を加えて、具体的な状況または材料を本発明の教示に適合させてもよい。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付特許請求の範囲に記載の範囲に含まれる全ての実施形態を含むものである。