(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るX線診断装置および医用画像診断システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るX線診断装置11を含む医用画像診断システム10の一例を示すブロック図である。
【0010】
X線診断装置11は、たとえばX線アンギオ装置として構成され、画像処理装置12、X線検出器13、X線源14、Cアーム15、寝台16、寝台16の天板17、ディスプレイ18およびコントローラ19を有する。
【0011】
X線検出器13は、寝台16の天板(たとえばカテーテルテーブルなど)17に支持された被検体Oを挟んでX線源14と対向配置されるようCアーム15の一端に設けられる。X線検出器13は、平面検出器(FPD:flat panel detector)により構成され、被検体Oを透過してX線検出器13に照射されたX線を検出し、この検出したX線にもとづいてX線の投影データを出力する。この投影データはコントローラ19を介して画像処理装置12に与えられる。なお、X線検出器13は、イメージインテンシファイア、TVカメラなどを含むものであってもよい。
【0012】
X線源14は、Cアーム15の他端に設けられ、X線管球やX線絞りを有する。X線絞りは、たとえば複数枚の鉛羽で構成されるX線照射野絞りである。X線絞りは、コントローラ19により制御されて、X線管球から照射されるX線の照射範囲を調整する。
【0013】
Cアーム15は、X線検出器13とX線源14とを一体として保持する。Cアーム15がコントローラ19に制御されて駆動されることにより、X線検出器13およびX線源14は一体として被検体Oの周りを移動する。
【0014】
X線診断装置11がX線アンギオ装置として用いられる場合、X線診断装置11は、X線検出器13とX線源14とCアーム15とにより構成されるX線照射系を2系統有するバイプレーン式であってもよい。バイプレーン式の場合、X線診断装置11は、床置き式Cアームを有するF(Frontal)側と、天井走行式Ωアームを有するL(Lateral)側の2方向からX線ビームを個別に照射させて、バイプレーン画像(F側画像およびL側画像)を取得することができる。
【0015】
寝台16は、床面に設置され、天板17を有する。寝台16は、コントローラ19により制御されて、天板17を水平方向、上下方向に移動させたりする。
【0016】
ディスプレイ18は、1または複数の表示領域により構成され、コントローラ19に制御されてX線画像などを表示する。ディスプレイ18は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成される。なお、X線画像は、本願における医用画像の一例である。
【0017】
コントローラ19は、画像処理装置12により制御されて、X線検出器13を制御することにより、被検体OのX線撮影を実行して投影データを生成し、画像処理装置12に与える。コントローラ19は、画像処理装置12により制御されて、たとえば、造影剤投与前後の投影データをそれぞれ生成し、画像処理装置12に与える。
【0018】
また、X線診断装置11が回転DSA(Digital Subtraction Angiography)撮影可能に構成される場合は、コントローラ19は、画像処理装置12により制御されて、回転DSA撮影を実行して造影剤投与前後の投影データをそれぞれ生成し、画像処理装置12に与える。回転DSA撮影では、被検体Oの同一部位について造影剤の注入前の画像データ(マスク像データ)および造影剤の注入後の画像データ(コントラスト像データ)がそれぞれ生成される。回転DSA撮影可能な場合、X線診断装置11は、回転DSA撮影で得られたコントラスト像データおよびマスク像にもとづいて、3次元血管画像(3D血管像)を得ることも可能である。
【0019】
コントローラ19は、プロセッサおよび記憶回路を少なくとも有する。コントローラ19は、この記憶回路に記憶されたプログラムに従って画像処理装置12により制御されて、X線照射系を制御することにより被検体Oの透視撮像などのX線撮像を実行し、投影データを出力する。
【0020】
なお、
図1にはコントローラ19と画像処理装置12とが有線接続される場合の例について示したが、コントローラ19と画像処理装置12とはネットワークを介してデータ送受信可能に接続されてもよい。
【0021】
コントローラ19の記憶回路は、コントローラ19のプロセッサが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。また、コントローラ19の記憶回路は、各種プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。なお、コントローラ19の記憶回路は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶回路内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0022】
医用画像診断システム10はさらに、リモートカテーテル20と、リモートコンソール30とを有する。リモートカテーテル20とリモートコンソール30とは、いわゆるリモートカテーテルシステムを構成する。
【0023】
リモートカテーテル20は、ロボットアーム21とデバイス22とを有し、リモートコンソール30により制御されて、被検体Oの所定の部位(たとえば患部など)にデバイス22を挿入する。また、リモートカテーテル20は、ロボットアーム21を構成する支持部材にディスプレイ23が設けられてもよい。
【0024】
また、リモートカテーテル20がインジェクタ機能を有してもよく、この場合、リモートカテーテル20は、デバイス22としてのカテーテル(カテーテルチューブ、図示せず)を介して造影剤を注入する。造影剤の注入および停止のタイミングならびに造影剤の濃度および注入速度は、リモートコンソール30により自動制御されてもよい。また、リモートコンソール30の遠隔入力回路33を介してユーザによる指示を受け付け、この指示に応じた濃度、速度、タイミングで造影剤を注入してもよい。
【0025】
図2は、2つのデバイス22を備えたリモートカテーテル20の一構成例を示す説明図である。リモートカテーテル20は、複数のデバイス22を遠隔操作可能に構成される。
【0026】
リモートコンソール30は、表示入力回路31および32と、リモートカテーテル20のデバイス22を遠隔操作するための遠隔入力回路33と、制御装置34とを備える。
【0027】
表示入力回路31および32は、ディスプレイと、ディスプレイの近傍に設けられたタッチセンサとを有する。ディスプレイは、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成される。タッチセンサは、ユーザによるタッチセンサ上の指示位置の情報を制御装置34の処理回路に与える。たとえば投影型の静電容量方式のパネルにより構成される場合、タッチセンサは、縦横に配置した電極列を有する。この場合、タッチセンサは、接触物の接触位置付近の静電容量の変化に応じた電極列の出力変化にもとづいて接触位置を取得することができる。
【0028】
表示入力回路31のディスプレイは、制御装置34の処理回路に制御され、たとえばディスプレイ18と同様の画像が表示される。
【0029】
表示入力回路32のディスプレイは、制御装置34の処理回路に制御され、たとえば遠隔入力回路33の現在の操作対象デバイスの情報を表示する。
【0030】
遠隔入力回路33は、たとえばトラックボールやトラックボールマウス、キーボード、タッチパネル、テンキー、音声入力回路、視線入力回路などの一般的なポインティングデバイスや、X線曝射タイミングを指示するためのハンドスイッチなどにより構成され、有線または無線により、制御装置34を介してデバイス22を遠隔操作するための信号をリモートカテーテル20に出力する。ユーザは、遠隔入力回路33を介して、少なくともデバイス22の1つを操作することができる。具体的には、ユーザは遠隔入力回路33を介して、複数のデバイス22を同時に操作することもできるし、複数のデバイス22を択一的に操作することもできる。また、医用画像診断システム10は、複数の遠隔入力回路33を備えてもよい。この場合、複数の遠隔入力回路33の1つはX線診断装置11が設置された手術室内に設けられてもよいし、手術室に隣接する部屋に設けられてもよいし、ネットワークを介して遠隔地に設けられてもよい。
【0031】
制御装置34は、プロセッサおよび記憶回路を少なくとも有する。制御装置34の処理回路は、この記憶回路に記憶されたプログラムに従って画像処理装置12と連携する。たとえば、制御装置34の処理回路は、デバイス22の送り移動量の情報を画像処理装置12に与える。また、デバイス22が複数ある場合には、制御装置34の処理回路は、現在の遠隔入力回路33の操作対象デバイスの設定情報を画像処理装置12に与える。画像処理装置12は、デバイス画像の少なくとも一部を強調した画像を表示入力回路31および32のディスプレイの少なくとも一方に表示させるよう、制御装置34の処理回路を制御する。
【0032】
図3は、第1実施形態に係る画像処理装置12の一構成例を示すブロック図である。
【0033】
画像処理装置12は、ディスプレイ41、入力回路42、記憶回路43および処理回路44を有する。
【0034】
ディスプレイ41は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、処理回路44の制御に従って各種情報を表示する。入力回路42は、たとえばキーボード、タッチパネル、テンキー、音声入力回路、視線入力回路などの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を処理回路44に出力する。
【0035】
記憶回路43は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有する。これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介した通信によりダウンロードされるように構成してもよい。
【0036】
処理回路44は、記憶回路43に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、X線画像上における複数のデバイスのそれぞれとリモートカテーテルシステムの複数のデバイス22のそれぞれとの対応関係をユーザが容易に把握するための処理を実行するプロセッサである。
【0037】
図3に示すように、処理回路44は、X線画像取得機能51、特定機能52、識別機能53、切替機能54、追従機能55、寝台移動量取得機能56、Cアーム移動量取得機能57、3D画像取得機能58、および送り量取得機能59を実現する。これらの各機能は、それぞれプログラムの形態で記憶回路43に記憶されている。以下、各機能の動作の詳細について、
図4−9を参照して説明する。
【0038】
図4は、
図3に示す処理回路44により、X線画像上における複数のデバイスのそれぞれとリモートカテーテルシステムの複数のデバイス22のそれぞれとの対応関係をユーザが容易に把握するための処理を行う際の手順の一例を示すフローチャートである。
図4において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0039】
また、
図5は、
図4に示す手順によりX線画像上における操作対象デバイスの全体が識別表示される様子の一例を示す説明図である。
【0040】
なお、
図4および
図5には、X線画像上に2つのデバイスの画像が含まれ、いずれか一方がユーザによる操作中の操作対象デバイスであり、他方が静止したデバイスである場合の例について示した。
【0041】
まず、X線画像取得機能51は、被検体Oを撮影した医用画像を取得する。たとえば、X線画像取得機能51は、時系列的に連続した被検体OのX線撮像により得られた投影データにもとづいて生成された時系列的に連続したX線画像を、順次取得する(ステップS1)。
【0042】
次に、ステップS2において、特定機能52は、第1のX線画像から、第1のX線画像より所定時間前に撮像された第2のX線画像をサブトラクションする。たとえば、特定機能52は、時系列的に連続したX線画像が順次取得されるごとに、最新のX線画像を第1のX線画像としてあつかうとともに、第1のX線画像より所定時間前に撮像されたX線画像を第2のX線画像としてあつかうとよい。
【0043】
次に、特定機能52は、遠隔入力回路33によってデバイス22を操作したときの医用画像中のデバイスの動きにもとづいて、操作対象デバイスを特定する。たとえば、特定機能52は、第1のX線画像に含まれる複数のデバイスのうち、所定時間の間に動いたデバイスを抽出する(ステップS3)。この抽出されたデバイスは、ユーザが操作を行うことにより所定時間の間に動いたデバイス、すなわちユーザの操作対象デバイス(アクティブデバイス)である。一方、抽出されなかったデバイス、すなわち静止していたデバイスは、ユーザの操作対象外デバイス(非アクティブデバイス)である。特定機能52は、医用画像中のデバイスのうち、抽出したデバイスをアクティブデバイスと特定して記憶回路43に記憶させるとともに、抽出しなかったデバイスを非アクティブデバイスと特定して記憶回路43に記憶させる(ステップS4)。
【0044】
操作対象デバイスおよび操作対象外デバイスの特定方法についてより具体的に説明する。処理回路44は、X線画像上の複数のデバイスの画像それぞれが、いずれのデバイス22であるかをあらかじめ同定している。処理回路44は、X線画像上の複数のデバイスの画像のそれぞれを示す情報と、たとえば複数のデバイス22のそれぞれに定義されたIDの情報(たとえば「カテ1」と「カテ2」など)とを関連付けて記憶回路43に記憶させている。この関連付け情報に対し、特定機能52はステップS4において、ステップS3で抽出したデバイスがアクティブデバイスである旨の情報と、抽出したデバイス以外のデバイスが非アクディブデバイスである旨の情報と、をさらに関連付ける。
【0045】
次に、ステップS5において、識別機能53は、特定機能52の特定結果にもとづいて、遠隔入力回路33によって操作するデバイス22を識別可能な画像を生成する。具体的には、識別機能53は、特定機能52により特定された操作対象デバイスの全体を、第1のX線画像上で識別可能に表示する画像を生成する。そして、識別機能53は、操作対象デバイスの全体を識別可能に表示する画像を第1のX線画像に重畳し、ディスプレイ18や表示入力回路31のディスプレイに表示(以下、操作対象デバイスの識別表示という)させる。
【0046】
識別表示の態様としては、操作対象デバイス全体を色付きにする、太い線で重畳あるいはふち取る、輝度を高める、点滅させる、操作対象デバイスであることを示す文字情報を表示する、あるいはこれらの組み合わせなど、操作対象デバイスを識別することができる種々の態様を用いることができる(たとえば
図5の最下段参照)。また、識別表示と通常表示(識別表示の解除)を周期的に切り替えて、周期的に識別表示が点滅する態様であってもよい。
【0047】
また、ロボットアーム21の支持部材にディスプレイ23が設けられる場合は、識別機能53は、少なくとも、複数のデバイス22のうち操作対象デバイスを識別可能な情報を、ディスプレイ23を介してユーザに提示する。ディスプレイ23は、たとえば複数のLEDで構成されたインジケータであってもよい。
【0048】
次に、ステップS6において、切替機能54は、識別表示をOFFにするか否かを判定する。識別表示をOFFにする場合は、一連の手順は終了となる。一方、識別表示がONである場合は、ステップS1にもどって新たなX線画像を取得する。
【0049】
切替機能54は、操作対象デバイスの識別表示をONにするかOFFにするかを自動切り替えする機能を有する。具体的には、切替機能54は、所定の重畳条件が満たされると識別表示をONにする一方、所定の消去条件が満たされると識別表示をOFFにする。
【0050】
所定の重畳条件としては、撮像位置の変更、撮像の開始、識別表示すべき旨の入力回路42を介したユーザ指示(音声認識を含む)、などが挙げられる。また、デバイスの先端位置が所定距離だけ変化したことを所定の重畳条件としてもよい。また、デバイスが、その先端部分の角度が可変に構成されたいわゆる能動カテーテルである場合は、切替機能54は、第1のX線画像に含まれるデバイスの先端部分の角度が変化すると、所定の重畳条件が満たされたと判断し、識別表示をONにしてもよい。
【0051】
所定の消去条件としては、識別表示ONからの一定時間の経過、識別表示を終了すべき旨の入力回路42を介したユーザ指示(音声認識を含む)などが挙げられる。
【0052】
以上の手順により、ユーザは、X線画像上における複数のデバイスのそれぞれとリモートカテーテルシステムの複数のデバイス22のそれぞれとの対応関係を容易に把握することができる。
【0053】
ステップS3を実行すると、
図5の中段に示すように、特定機能52は、操作対象デバイスの画像のうち、所定時間の間に動いた部分のみを特定することになる。しかし、動いた部分のサイズは小さいことが多い。このため、ステップS3の実行により特定された部分をユーザに提示しても、ユーザは第1のX線画像上でこの特定された部分を探し当てることが難しい。また、この特定された部分の端点のいずれが先端であるかを識別することも難しい。
【0054】
この点、以上の手順によれば操作対象デバイスの全体が識別表示されるため、X線画像に複数のデバイスの画像が含まれる場合、ユーザは、X線画像上における複数のデバイスのそれぞれとリモートカテーテルシステムの複数のデバイス22のそれぞれとの対応関係を容易に把握することができる。よって、ユーザは、自身が操作している操作対象デバイスがいずれのデバイスであるかを、X線画像を確認するだけで直感的に把握することができる。このため、ユーザは操作対象デバイスの位置を記憶する負担や目で追う負担から開放され、手技に集中することができる。また、操作対象デバイスを誤認することによる誤操作を未然に防止することができる。また、識別表示が不要な際には識別表示をOFFにすることも可能であり、たとえば識別表示がユーザの手技にとって障害になることがない。
【0055】
また、
図4には、X線画像取得機能51がリアルタイムにX線画像を順次取得する場合の例について示したが、事前に取得した複数のX線画像に対するポストプロセスとして
図4の手順を実行しても構わない。
【0056】
図6(a)は識別表示の第1変形例を、(b)は第2変形例を、(c)は第3変形例をそれぞれ示す説明図である。
図6に示すように、操作対象デバイスだけでなく、操作対象外デバイスにも識別表示を行ってもよい。たとえば、
図6(a)に示すように、ディスプレイ18や表示入力回路31のディスプレイは、各デバイスの役割を示す情報を表示してもよいし、
図6(b)に示すように、あらかじめ定められた互いに異なる色で各デバイスの全体を着色してもよい。また、
図6(c)に示すように、ディスプレイ18や表示入力回路31のディスプレイは、各デバイスの一部を着色するように識別表示してもよい。
図6(c)には、各デバイスの先端から所定の長さだけ識別表示を行う場合の例を示した。
【0057】
図7は、
図4に示した手順に加え、さらにCアーム15や寝台16の天板17が移動した場合に、識別表示を追従させる際の手順の一例を示すフローチャートである。
図4と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0058】
また、
図8は、
図7に示す手順によりCアーム15や寝台16の天板17が移動した場合に、識別表示が追従する様子の一例を示す説明図である。
【0059】
ステップS11において、追従機能55は、特定機能52によって特定された操作対象デバイスのX線画像上における現在の位置を記憶回路43に記憶させる。
【0060】
ステップS12において、寝台移動量取得機能56は、被検体Oを載置した寝台16の天板17の移動量を取得する。また、Cアーム移動量取得機能57は、Cアーム15の移動量を取得することにより、X線撮像を行なう撮像系のX線照射軸の移動量を取得する。寝台16の天板17の移動量およびCアーム15の移動量は、直交3軸に沿った平行移動の量(たとえば3次元ベクトル)および直交3軸まわりの回転移動の量により構成される。
【0061】
次に、ステップS13において、追従機能55は、寝台16の天板17の移動量およびCアーム15の移動量にもとづいて、寝台16の天板17およびCアーム15の移動後における操作対象デバイスのX線画像上の位置を求める。このとき、追従機能55は、寝台16の高さやX線画像のディスプレイ上における拡大率にもとづいて移動量を補正してもよい。
【0062】
次に、ステップS14において、識別機能53は、移動後の位置において、操作対象デバイスの全体を識別表示する(
図8参照)。
【0063】
ここで、ステップS11およびステップS13の処理について、より具体的に説明する。たとえば、寝台16の天板17およびCアーム15が平行移動した場合、追従機能55は、平行移動量の情報にもとづいて、移動後の操作対象デバイスのX線画像上の座標を求めればよい。
【0064】
一方、寝台16の天板17およびCアーム15の移動が回転移動を含むことが想定される場合は、ステップS11において、3D画像取得機能58は、被検体Oの3次元医用画像データを取得する。この3次元医用画像データは、あらかじめX線CT(computed tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などにより取得された被検体OのCT画像やMRI画像のボリュームデータなどを用いることができる。またこの場合、ステップS11において、追従機能55は、3次元医用画像上の血管と、第1のX線画像の血管形状と、のそれぞれについて、特定機能52により特定された操作対象デバイスが挿入された血管内の位置を特定してこのデバイスのX線画像上の3次元座標を特定しておく。そして、ステップS13において、追従機能55は、寝台16の天板17の回転移動量の情報にもとづいて、寝台16の天板17およびCアーム15の移動後における操作対象デバイスのX線画像上の位置座標を求めればよい。
【0065】
以上の手順により、Cアーム15や寝台16の天板17が移動してX線画像の視野が移動した場合であっても、識別表示を追従させることができる。
【0066】
X線画像がリアルタイムに順次取得されるごとに実行される場合には、リアルタイムに識別表示を追従させることができる。また、Cアーム15や寝台16の天板17の移動の間にX線照射が行われない場合であっても、移動の前後に撮像されたX線画像に対して
図7に示す手順を適用することにより、識別表示を追従させることができる。
【0067】
図7に示す手順は、
図4に示した手順と同様の効果を奏する。また、
図7に示す手順によれば、Cアーム15や寝台16の天板17が移動した場合であっても操作対象デバイスの全体がX線画像上で識別表示されるため、ユーザはより一層手技に集中することができる。
【0068】
図9は、
図4に示した手順に加え、さらにデバイスの送り量にもとづいて識別表示を追従させる際の手順の一例を示すフローチャートである。
図4および
図7と同等のステップには同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0069】
また、
図10は、
図9に示す手順によりデバイスの送り量にもとづいて識別表示が追従する様子の一例を示す説明図である。
【0070】
ステップS11において、3D画像取得機能58は、被検体Oの3次元医用画像データを取得する。また、追従機能55は、3次元医用画像上の血管と、第1のX線画像の血管形状と、のそれぞれについて、特定機能52により特定された操作対象デバイスが挿入された血管内の位置を特定してこのデバイスのX線画像上の3次元座標を特定しておく。
【0071】
ステップS21において、追従機能55は、3次元医用画像にもとづいて、操作対象デバイスが位置する血管形状の情報を取得する。
【0072】
次に、ステップS22において、追従機能55は、操作対象デバイスが位置する血管形状の情報と、X線画像上の造影剤の走行にもとづいて、操作対象デバイスの進路を特定する。
【0073】
次に、ステップS23において、送り量取得機能59は、リモートコンソール30の制御装置34の処理回路から、操作対象デバイスの送り移動量の情報を取得する。
【0074】
次に、ステップS24において、追従機能55は、特定した操作対象デバイスの進路と送り移動量の情報とにもとづいて、送り移動後における第1のX線画像上の位置を求める。このとき、追従機能55は、寝台16の高さやX線画像のディスプレイ上における拡大率にもとづいて移動量を補正してもよい。
【0075】
次に、ステップS25において、識別機能53は、移動後の位置において、操作対象デバイスの全体を識別表示する(
図10参照)。
【0076】
以上の手順により、デバイスの送り量にもとづいて識別表示を追従させることができる。
図9に示す手順は、
図4に示した手順と同様の効果を奏する。また、
図9に示す手順によれば、操作対象デバイスを移動させた場合であっても、操作対象デバイスの全体がX線画像上で追従して識別表示されるため、ユーザはより一層手技に集中することができる。また、
図9に示す手順は、
図7に示した手順と組み合わせて同時並行的に実行することができる。
【0077】
図4、
図7および
図9には、上述の通り、X線画像上に2つのデバイスの画像が含まれるとともに、一方が動いているデバイスであり、他方が静止したデバイスである場合の例を示したが、X線画像に含まれる2つのデバイスの両方が動いているデバイスであってもよい。
【0078】
たとえば、遠隔入力回路33は、2つのデバイス22を同時に操作可能に構成されてもよい。また、2つのデバイス22のそれぞれに対応する第1の遠隔入力回路33と第2の遠隔入力回路33の2つの遠隔入力回路33が設けられてもよい。この場合は、2つのデバイス22が同時に操作されることがある。
【0079】
この場合、たとえば
図9に示す手順において2つのデバイス22が同時に操作される場合には、追従機能55は、各デバイス22の送り移動量にもとづいて各デバイス22のX線画像上の位置を予測し、予測した移動後の位置において各デバイス22の全体を識別表示すればよい。
【0080】
また、特定機能52は、X線画像上で同時に動いている2つのデバイスのそれぞれと、複数のデバイス22のそれぞれとを、たとえばデバイスの送り量にもとづいて対応づければよい。
【0081】
図11は、X線画像上における2つのデバイスのそれぞれと実際の複数のデバイス22のそれぞれとの対応関係をデバイスの送り移動量を用いて特定する様子の一例を示す説明図である。たとえば、追従機能55は、
図9を用いて説明した方法と同様の方法で、各デバイス22の進路と送り移動量の情報とにもとづいて、送り移動後におけるX線画像上の位置を予測する。そして、特定機能52は、この送り移動量にもとづく予想位置と、実際にX線画像上で動いた各デバイス22の画像の移動量とを比較することにより、X線画像上における2つのデバイスのそれぞれと実際の複数のデバイス22のそれぞれとの対応関係を特定することができる(
図11)。
【0082】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るX線診断装置および医用画像診断システムの第2実施形態について説明する。
【0083】
図12は、第2実施形態に係る画像処理装置12の一構成例を示すブロック図である。
【0084】
この第2実施形態に示す画像処理装置12の処理回路44Aは、第1実施形態に示した処理回路44に比べ、リモートコンソール30を介したユーザのデバイス選択情報に応じて操作対象デバイスを設定する機能が付加されている。他の構成および作用については
図3に示した処理回路44と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
図12に示すように、処理回路44Aは、各機能51ー59に加えてさらに、選択受付機能61、操作対象設定機能62および操作対象提示機能63を実現する。これらの各機能は、それぞれプログラムの形態で記憶回路43に記憶されている。以下、各機能の動作の詳細について、
図13および
図14を参照して説明する。
【0086】
また、第1実施形態に係る処理回路44と同様に、処理回路44Aは、X線画像上の複数のデバイスの画像それぞれが、いずれのデバイス22であるかをあらかじめ同定している。処理回路44Aは、X線画像上の複数のデバイスの画像のそれぞれを示す情報と、たとえば複数のデバイス22のそれぞれに定義されたIDの情報(たとえば「カテ1」と「カテ2」など)とを関連付けて記憶回路43に記憶させている。
【0087】
図13は、
図12に示す処理回路44Aにより、リモートコンソール30を介したユーザのデバイス選択情報に応じて操作対象デバイスを設定する際の手順の一例を示すフローチャートである。この手順は、
図4、
図7、
図9に示した手順と同時並行的に実行可能である。また、
図14は、
図13に示す手順によりリモートコンソール30を介したユーザのデバイス選択情報に応じて操作対象デバイスが設定される様子の一例を示す説明図である。
【0088】
ステップS31において、選択受付機能61は、第1のX線画像に含まれるデバイスに対するユーザの選択を受け付ける。たとえば、ユーザは表示入力回路31または32のタッチパネルや遠隔入力回路33のハードキーなどを介して、これから操作したいと所望するデバイスを制御装置34の処理回路に指示する(
図14の中段参照)。制御装置34の処理回路は、この指示情報を選択受付機能61に与える。ユーザは、この選択指示によって、たとえばアクティブデバイスを切り替えることができる。
【0089】
遠隔入力回路33のハードキーを介して選択指示を受け付ける場合は、選択受付機能61は、たとえばハードキーが押下されるごとに、操作対象となるデバイス22を巡回的に順次切り替えてもよい。このとき、巡回する順序は、過去に利用された回数が多い順とするとよい。
【0090】
次に、ステップS32において、操作対象設定機能62は、遠隔入力回路33の操作権限をユーザに選択されたデバイスに割り当てることによって、ユーザに選択されたデバイスを遠隔入力回路33の操作対象デバイスに設定する。たとえば、遠隔入力回路33が2つのデバイス22のいずれかを択一的に操作可能に構成されている場合は、ユーザに選択された方のデバイス22を遠隔入力回路33の操作対象デバイスに設定し、他方のデバイス22を遠隔入力回路33では操作できないように設定する。また、2つのデバイス22のそれぞれに対応する遠隔入力回路33が設けられる場合、操作対象デバイスではないデバイスに対応する遠隔入力回路33による操作を禁止してもよい。
【0091】
次に、ステップS33において、操作対象提示機能63は、制御装置34の処理回路と連携し、遠隔入力回路33のユーザに対し、遠隔入力回路33の現在の操作対象デバイスの情報を提示する。
【0092】
この提示の方法としては、たとえば表示入力回路32のディスプレイに操作対象デバイスを示す画像65を表示する方法や、リモートコンソール30の図示しないスピーカを介した音声により操作対象デバイスを案内する方法などが考えられる(
図14の下段左参照)。なお、画像65は、選択指示後の現在の操作対象デバイスが識別可能な画像であればよく、たとえば記号や矢印であってもよい。また、画像65は、各デバイスの役割を示す情報(たとえばメインカテーテルかサブカテーテルかを示す情報など)を含んでもよい。
【0093】
もちろん、表示入力回路31や32のディスプレイに表示されたX線画像上の操作対象デバイスを識別表示してもよい(
図14の下段右参照)。識別表示の態様としては、選択された操作対象デバイスの少なくとも一部を色付きにする、太い線で重畳あるいはふち取る、輝度を高める、点滅させる、操作対象デバイスであることを示す文字情報を表示する、あるいはこれらの組み合わせなど、選択された操作対象デバイスを識別することができる種々の態様を用いることができる。また、遠隔入力回路33の現在の操作対象デバイスの情報は、X線診断装置11のディスプレイ18に提示してもよい。また、ロボットアーム21を構成する支持部材に設けられたディスプレイ23に、選択指示後の現在の操作対象デバイスの情報を表示してもよい。
【0094】
なお、「音声」とは、聞き手に人の声として認識される音によりテキストデータを読み上げた音をいう。また、「音」は、「音声」を含むほか、「音楽」や「効果音(ビープ音など)」などを含むものとする。
【0095】
以上の手順により、リモートコンソール30を介したユーザのデバイス選択情報に応じて操作対象デバイスを設定することができる。
【0096】
なお、第1のX線画像に含まれる2つのデバイスどうしが近接している場合など、ユーザがX線画像上における2つのデバイスのそれぞれと実際の2つのデバイス22のそれぞれとの対応関係を把握することが難しい場合がある。この場合は、処理回路44Aは、たとえば一方のデバイスをわずかに自動的に、たとえばデバイスが戻る方向に移動させるとよい。一方のデバイスが移動することにより、ユーザは目的のデバイスを把握しやすくなる。この自動移動処理は、たとえば、ステップS31の前に、ユーザから選択指示を行いたい旨の入力や、2つのデバイスどうしが画像上で近接している旨の入力があると、処理回路44Aが行うとよい。
【0097】
第2実施形態に係る医用画像診断システム10によれば、第1実施形態に係る医用画像診断システム10と同様の効果を奏するとともに、ユーザは容易に操作対象デバイスを切り替えることができ、切り替えた現在の操作対象デバイスを容易に把握することができる。
【0098】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るX線診断装置および医用画像診断システムの第3実施形態について説明する。
【0099】
第3実施形態に示す医用画像診断システム10は、第1実施形態に比べ、リモートカテーテルシステムの複数のデバイス22の操作対象外デバイスが複数の状態をとりうる点、および被検体Oおよび術者の少なくとも一方を撮影するための光学式のカメラ70を備える点で異なる。他の構成および作用については
図1に示した医用画像診断システム10と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
第3実施形態において、操作対象外デバイスは、フリー、弱い固定、強い固定、圧力付加の4つの状態の中の1つあるいはその組み合わせ状態を有する。
【0101】
ここで、フリーとは、は操作対象外デバイスに全くに力が加わっていない状態をいう。また、弱い固定および強い固定とは、操作対象外デバイスが現在の状態を保持し続けようとする状態をいう。弱い固定は、操作対象外デバイスに外力がかかっても動かないように、操作対象外デバイスに対して所定範囲までの外力に反発する程度の力をかける状態とする。一方、強い固定は、操作対象外デバイスに外力がかかっても動かないように、操作対象外デバイスに対して所定範囲以上の外力にも反発する力をかける状態とする。
【0102】
また、圧力付加とは、操作対象外デバイスが所定の対象物にひっかかっている状態を保持し続けようとする状態をいう。操作対象外デバイスの圧力付加状態は、他の操作対象デバイスがたとえば動脈瘤の外に飛び出さないように保持するために利用される。圧力付加は、所定の対象物に対するひっかかり状態を維持するために、操作対象外デバイスに加わる力の向きおよび大きさを制御することが必要となる。
【0103】
ユーザは、表示入力回路31または32のタッチパネルや遠隔入力回路33のハードキーなどを介して、制御装置34の処理回路に対して操作対象外デバイスの状態の設定指示をする。制御装置34の処理回路は、この設定指示に応じて操作対象外デバイスの状態を制御する。
【0104】
図15は、第3実施形態に係る画像処理装置12の一構成例を示すブロック図である。なお、カメラ70はX線診断装置11に含まれなくてもよい。
【0105】
カメラ70は、被検体Oの動きを検知可能な画像、および術者の目線を検知可能な画像の少なくとも一方を撮影する。術者の目線を撮影する場合、カメラ70として、被検体Oの頭部に装着されるメガネ型デバイスに含まれた撮像素子を用いてもよい。
【0106】
処理回路44Bは、各機能51ー59に加えてさらに、自動遷移機能71を実現する。これらの各機能は、それぞれプログラムの形態で記憶回路43に記憶されている。
【0107】
また、第1実施形態に係る処理回路44と同様に、処理回路44Bは、X線画像上の複数のデバイスの画像それぞれが、いずれのデバイス22であるかをあらかじめ同定している。処理回路44Bは、X線画像上の複数のデバイスの画像のそれぞれを示す情報と、たとえば複数のデバイス22のそれぞれに定義されたIDの情報(たとえば「カテ1」と「カテ2」など)とを関連付けて記憶回路43に記憶させている。
【0108】
自動遷移機能71は、カメラ70が撮像した画像にもとづいて、操作対象外デバイスの状態を、弱い固定状態と強い固定状態の間で自動的に遷移させる。
【0109】
たとえば、カメラ70の撮像した画像が被検体Oの動きを検知可能な画像である場合は、自動遷移機能71は、被検体Oの動きが所定程度以上大きいとき弱い固定とし、動きが所定程度より小さいとき強い固定とするとよい。また、カメラ70の撮像した画像が術者の目線を検知可能な画像である場合は、自動遷移機能71は、術者の目線が離れているとき弱い固定とし、目線が離れていないとき強い固定とするとよい。
【0110】
また、第2実施形態に係る現在の操作対象デバイスの情報の提示の方法と同様に、自動遷移機能71は、制御装置34の処理回路と連携し、遠隔入力回路33のユーザに対して遠隔入力回路33の操作対象外デバイスの状態を自動遷移した旨の情報を提示してもよい。
【0111】
第3実施形態に係る医用画像診断システム10は、第1実施形態に係る医用画像診断システム10と同様の効果を奏するとともに、被検体Oの動きおよび術者の目線の少なくとも一方にもとづいて操作対象外デバイスの状態を、弱い固定状態と強い固定状態の間で自動的に遷移させることができる。また、第3実施形態に係る処理回路44Bは、第2実施形態に係る機能61−63を実現してもよい。
【0112】
(第4の実施形態)
次に、本発明に係るX線診断装置および医用画像診断システムの第4実施形態について説明する。
【0113】
図16は、第4実施形態に係る画像処理装置12の一構成例を示すブロック図である。
【0114】
この第4実施形態に示す画像処理装置12の処理回路44Cは、第1実施形態に示した処理回路44に比べ、ユーザの交換対象のデバイス選択情報に応じて交換対象となるデバイスを設定する機能が付加されている。他の構成および作用については
図3に示した処理回路44と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0115】
図16に示すように、処理回路44Cは、各機能51ー59に加えてさらに、交換受付機能81および交換対象提示機能82を実現する。これらの各機能は、それぞれプログラムの形態で記憶回路43に記憶されている。
【0116】
また、第1実施形態に係る処理回路44と同様に、処理回路44Cは、X線画像上の複数のデバイスの画像それぞれが、いずれのデバイス22であるかをあらかじめ同定している。処理回路44Cは、X線画像上の複数のデバイスの画像のそれぞれを示す情報と、たとえば複数のデバイス22のそれぞれに定義されたIDの情報(たとえば「カテ1」と「カテ2」など)とを関連付けて記憶回路43に記憶させている。
【0117】
交換受付機能81は、第1のX線画像に含まれるデバイスに対する、ユーザの交換対象となるデバイスの選択を受け付ける。交換対象となるデバイスとは、被検体Oに挿入されて第1のX線画像に含まれるデバイスのうち、交換によってロボットアーム21から取り除かれるデバイスをいう。たとえば、ユーザは表示入力回路31または32のタッチパネルや遠隔入力回路33のハードキーなどを介して、交換対象となるデバイスを制御装置34の処理回路に指示する(
図14の中段参照)。制御装置34の処理回路は、この交換対象となるデバイスの指示情報を交換受付機能81に与える。
【0118】
また、交換受付機能81は、ユーザによるデバイスの用途等の情報の入力を受けてもよい。この場合、交換受付機能81は、この用途等の情報にもとづいて交換対象となるデバイス22を特定する。
【0119】
第2実施形態に係る現在の操作対象デバイスの情報の提示の方法と同様に、交換対象提示機能82は、制御装置34の処理回路と連携し、遠隔入力回路33のユーザに対して第1のX線画像に含まれるデバイスのうち交換対象となるデバイスの情報を提示する。
【0120】
また、医用画像診断システム10が複数の遠隔入力回路33を備える場合、交換対象提示機能82は、少なくとも交換対象となるデバイス22に対応する遠隔入力回路33の表示入力回路32のディスプレイに、交換対象となるデバイスの情報を提示するとよい。
【0121】
また、交換受付機能81は、第1のX線画像に含まれるデバイスではなく、交換後のデバイスの情報を受け付けてもよい。交換後のデバイスとは、交換によってロボットアーム21に装着されるデバイスいう。この場合、記憶回路43は、交換後のデバイス候補となるデバイスの商品名、型番、メーカー、形状等などの情報を、あらかじめテーブルとして格納しておくとよい。この場合も同様に、交換対象提示機能82は、制御装置34の処理回路と連携し、遠隔入力回路33のユーザに対して交換後のデバイスの情報を提示する。
【0122】
また、交換受付機能81は、たとえば手技のワークフローがあらかじめ設定されている場合は、手技の進行状況に応じて交換時期、交換対象となるデバイスや交換後のデバイスなどの情報を特定してもよい。この場合、交換対象提示機能82は、特定された交換時期、交換対象となるデバイスや交換後のデバイスなどの情報をユーザに提示する。
【0123】
第4実施形態に係る医用画像診断システム10は、第1実施形態に係る医用画像診断システム10と同様の効果を奏するとともに、交換対象となるデバイスの情報および交換後のデバイスの情報をユーザに提示することができる。また、第4実施形態に係る処理回路44Cは、第2実施形態に係る機能61−63を実現してもよいし、第3実施形態に係る機能71を実現してもよいし、これらの全てを実現してもよい。第3実施形態に係る機能71を実現する場合は、医用画像診断システム10はカメラ70を備える。
【0124】
以上説明した少なくとも1つの実施形態に係るX線診断装置11によれば、操作対象デバイスの少なくとも一部をX線画像上で識別可能に表示することができる。このため、ユーザは、X線画像上における複数のデバイスのそれぞれとリモートカテーテルシステムの複数のデバイス22のそれぞれとの対応関係を容易に把握することができる。
【0125】
なお、本実施形態における表示入力回路31または32のタッチパネルや遠隔入力回路33は、特許請求の範囲における操作部に対応する。また、本実施形態におけるディスプレイ18、表示入力回路31または表示入力回路32のディスプレイは、特許請求の範囲におけるディスプレイに対応する。また、本実施形態における処理回路44のX線画像取得機能51、特定機能52、識別機能53、切替機能54、追従機能55、寝台移動量取得機能56、Cアーム移動量取得機能57、3D画像取得機能58および送り量取得機能59は、特許請求の範囲におけるX線画像取得部、特定部、識別部、切替部、追従部、寝台移動量取得部、照射軸移動量取得部、3次元画像取得部および送り量取得部にそれぞれ対応する。また、本実施形態における処理回路44Aの選択受付機能61、操作対象設定機能62および操作対象提示機能63は、特許請求の範囲における選択受付部、操作対象設定部および操作対象提示部にそれぞれ対応する。また、本実施形態における処理回路44Bの自動遷移機能71ならびに処理回路44Cの交換受付機能81および交換対象提示機能82は、特許請求の範囲における自動遷移部ならびに交換受付部および交換対象提示部にそれぞれ対応する。
【0126】
また、本実施形態における画像処理装置12の処理回路44、44A、44B、44Cおよびリモートコンソール30の制御装置34の処理回路に係る「プロセッサ」という文言は、たとえば、専用または汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(たとえば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0127】
なお、記憶回路にプログラムを保存するかわりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成してもよい。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで各種機能を実現する。また、上記実施形態では単一の処理回路が各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶回路が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
【0128】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0129】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。