【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様によれば、本発明は、転写面と、この転写面によって支持されかつ少なくとも1つのデジタルプリンタを使用して印刷することによって得られた少なくとも1種の化粧品用着色インクのコートと、を有するメイクアップデバイスを使用して、ヒトケラチン材料の領域をメイクアップするためのプロセスに関し、この着色インクはケラチン材料に施与されることが意図されるものであり、
このプロセスは、下記のステップ:
− メイクアップされる領域にインクのコートを接触させて配置することによって、化粧品用インクのコートの少なくとも一部分を、メイクアップされる領域上に転写するステップと、
− メイクアップされるケラチン材料の領域上に、被膜形成ポリマーを含む少なくとも1種の化粧品組成物を施与することによって、保護コーティングを形成するステップと
を含む。
【0015】
プロセスは、インクのコートが転写された後、転写面をヒトケラチン材料の領域から離して移動させることにあるステップを含んでいてもよい。
【0016】
メイクアップ領域は、特に顔の皮膚、頭皮、爪、または唇の領域であってもよい。
【0017】
本発明を用いて、使用者は、皮膚、唇、爪、または毛髪を均一にまたはパターンを伴って装飾および/または処理することができる。
【0018】
プリンタを使用して印刷することによって得られた化粧品用インクのコートの使用は、標準的なメイクアップ適用例と比較した場合、有利なことに、複雑でカスタマイズ可能な適用例を得ることが可能になる。
【0019】
保護コーティングの使用は、特に身体または爪をメイクアップするために、後に続く何時間以内でまたはさらに数日間にわたりパターンの品質から利益を得るのに特に有用である。
【0020】
本発明によるプロセスは、唇または爪などの小さい領域を覆うことを可能にする。
【0021】
本発明によるプロセスは、ケラチン材料を覆うための通常の処理に適合性がある。
【0022】
転写面によって支持されるインクは、好ましくは色素を含む。
【0023】
転写面は、たとえば基材の外面である。
【0024】
保護コーティング
保護コーティングは、無色でも着色されていてもよい。
【0025】
保護コーティングは、半透明でも透明であってもよく、好ましくは透明である。
【0026】
優先的に、保護コーティングは、流体組成物を使用して少なくとも部分的に生成される。流体組成物は、25℃でたとえば1mPa.sから500mPa.sの範囲の粘度、好ましくは1mPa.sから300mPa.sの範囲の粘度を有する。
【0027】
粘度は、当業者に公知の何らかのプロセスを介して、特に下記の従来のプロセスに従って測定されてもよい。25℃で、200rpmで回転するスピンドルを備えたRheomat 180粘度計を使用して、当業者は、それらの一般的知識に基づいて、測定を行うことができるように、スピンドルM1、M2、M3、およびM4から粘度を測定するためのスピンドルを選択することができる。
【0028】
溶媒
保護コーティングの流体組成物は、インクの色素を溶解または分散することができないように選択された溶媒を特に含む。
【0029】
流体組成物は、少なくとも1種の水性または有機溶媒、特に揮発性有機溶媒を含んでいてもよい。
【0030】
流体組成物は、有利には揮発性溶媒、特に水または揮発性有機溶媒を、含んでいてもよい。
【0031】
本発明の目的で、「揮発性溶媒」という用語は、室温で液体であり、特に室温および大気圧で非ゼロ蒸気圧を有する、特に0.13Paから40 000Pa(10−3から300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Paから13 000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、優先的には1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する溶媒を意味する。
【0032】
室温で液体である水不溶性揮発性化合物の含量は、組成物の全重量に対してたとえば5%から95%であり、特に10%から80%であり、具体的には30重量%から70重量%である。
【0033】
本発明の目的で、「揮発性化合物」という表現は、室温および大気圧で、1時間未満で皮膚またはケラチン繊維に接触して蒸発することが可能な何らかの化合物(または非水性媒体)を意味する。
【0034】
対照的に、「不揮発性化合物」という用語は、少なくとも数時間にわたり、室温および大気圧でケラチン材料上に残される、かつ特に10
−3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する化合物を指す。
【0035】
流体組成物の揮発性有機溶媒は、特に、化粧品として許容される油、またはそのような化合物の混合物を含んでいてもよい。「化粧品として許容される」という用語は、その使用がケラチン材料への適用に適合性があるものである化合物を意味する。
【0036】
流体組成物が1種または複数の有機溶媒を含む場合、これらの溶媒は、組成物の全重量に対して20%から99%の範囲、好ましくは40%から95%の範囲の含量で存在していてもよい。
【0037】
流体組成物は、揮発性油からなる少なくとも1種の揮発性溶媒を含んでいてもよい。
【0038】
油は、シリコーン油もしくは炭化水素系油であってもよく、またはそのような油の混合物を含んでいてもよい。
【0039】
本発明の目的で、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1個のSi−O基を含む油を意味する。
【0040】
「炭化水素系油」という用語は、主に水素および炭素原子と、おそらくは酸素、窒素、硫黄、および/またはリン原子を含有する油を意味する。
【0041】
揮発性炭化水素系油は、8から16個の炭素原子、特に分枝状C
8〜C
16アルカン(イソパラフィンとも呼ぶ)、たとえばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタン)、イソデカン、イソヘキサデカンを含有する炭化水素系油から選択されてもよく、たとえばIsopar(登録商標)またはPermethyl(登録商標)という商品名の下で販売されている油である。
【0042】
使用されてもよい揮発性油は、揮発性シリコーン、たとえば揮発性直鎖状または環状シリコーン油、特に粘度≦8センチストローク(8×10
−6m
2/秒)を有しかつ特に2から10個のケイ素原子、特に2から7個のケイ素原子を含有するものを含み、これらのシリコーンは、1から10個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルコキシ基を任意選択で含んでいる。本発明で使用されてもよい揮発性シリコーン油として、特に、粘度5および6cStであるジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、およびドデカメチルペンタシロキサンと、これらの混合物を挙げてもよい。
【0043】
一般式(I):
【0044】
【化1】
【0045】
(式中、Rは、2から4個の炭素原子を含むアルキル基を表し、その1個または複数の水素原子はフッ素または塩素原子で置き換えられていてもよい)
の直鎖状揮発性アルキルトリシロキサン油を挙げてもよい。
【0046】
一般式(I)の油の中で:
3−ブチル−1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、
3−プロピル−1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、および
3−エチル−1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン
を挙げてもよく、これらはRがそれぞれブチル基、プロピル基、またはエチル基である式(I)の油に対応する。
【0047】
本発明による組成物は、組成物の全重量に対して、揮発性油をたとえば1重量%から95重量%の間、さらに良好には5重量%〜75重量%の間で含んでいてもよい。
【0048】
流体組成物は、下記のリスト:
− 室温で液体であるケトン、たとえばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、またはアセトン;
− 室温で液体であるアルコール、たとえばエタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、2−ブトキシ−エタノール、またはシクロヘキサノール;
− 室温で液体であるグリコール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、またはグリセロール;
− 室温で液体であるプロピレングリコールエーテル、たとえばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはジプロピレングリコールn−ブチルエーテル;
− 合計で3から8個の炭素原子を含有する短鎖エステル、たとえば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、または酢酸イソペンチル;
− 室温で液体であるアルカン、たとえばデカン、ヘプタン、ドデカン、およびシクロヘキサン
から選択された少なくとも1種の有機溶媒を含んでいてもよい。
【0049】
非水性溶媒の媒体は、室温で液体である少なくとも1種の不揮発性水不溶性化合物、特に少なくとも1種の不揮発性油であって、特に不揮発性炭化水素系油および/またはシリコーン油から選択されてもよいものを含んでいてもよい。
【0050】
特に挙げてもよい不揮発性炭化水素系油には:
− グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドなどの植物由来の炭化水素系油であって、その脂肪酸がC
4〜C
24まで様々な鎖長を有していてもよく、これらの鎖がおそらくは直鎖状または分枝状でありかつ飽和または不飽和のもの;これらの油は、特に、麦芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ種子油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、パンプキン油、マロー油、黒房すぐり油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、トケイソウ油、およびジャコウバラ油であり;またはそうでない場合にはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、たとえばStearineries Dubois社によって販売されているもの、またはDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812、および818という名称の下で販売されているもの;
− 10から40個の炭素原子を含有する合成エーテル;
− 無機または合成由来の直鎖状または分枝状炭化水素、たとえばワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、たとえばParleam、およびスクアランと、これらの混合物;
− 式R
1COOR
2の油などの合成エステルであって、R
1が、1から40個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状脂肪酸残基を表し、R
2が、特に1から40個の炭素原子を含有する分枝状炭化水素をベースにした鎖を表し、ただしR1+R2≧10であることを条件としたもの、たとえば、プルセリン油(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C
12〜C
15アルキルベンゾエート、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、アルキルまたはポリアルキルオクタノエート、デカノエート、またはリシノレエート、たとえばプロピレングリコールジオクタノエート;ヒドロキシル化エステル、たとえば乳酸イソステアリル、およびリンゴ酸ジイソステアリル;およびペンタエリトリトールエステル;
− 室温で液体である脂肪アルコールであって、12から26個の炭素原子を含有する分枝状および/または不飽和炭素をベースにした鎖を持つもの、たとえばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール、および2−ウンデシルペンタデカノール;
− 高級脂肪酸、たとえばオレイン酸、リノール酸、またはリノレン酸;
およびこれらの混合物が含まれる。
【0051】
本発明による組成物で使用することができる不揮発性シリコーン油は、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、各々が2から24個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルコキシ基を含むポリジメチルシロキサンであってシリコーン鎖の側基および/または末端にあるもの、フェニルシリコーン、たとえばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、および2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであってもよい。
【0052】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、水および/または少なくとも1種の水溶性溶媒を含んでいてもよい。
【0053】
本発明において、「水溶性溶媒」という用語は、室温で液体であり水混和性である化合物を示す(水との混和性は、25℃および大気圧で50重量%よりも大きい)。
【0054】
本発明による組成物で使用されてもよい水溶性溶媒は、一般に揮発性でもある。
【0055】
本発明による組成物で使用されてもよい水溶性溶媒の中で、特に、1から5個の炭素原子を含有する低級モノアルコール、たとえばエタノールおよびイソプロパノール、2から8個の炭素原子を含有するグリコール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、およびジプロピレングリコール、C
3およびC
4ケトンと、C
2〜C
4アルデヒドを挙げてもよい。
【0056】
水および/または水溶性溶媒は、本発明による組成物中にそれ自体導入されてもよく、またはそこに、前記組成物を構成する1種もしくは複数の成分を用いて組み込まれてもよい。したがって、水は特に、たとえば被膜形成剤として有用なポリマー粒子の水性分散体を導入することによって、組成物中に導入されてもよい。
【0057】
本発明の流体組成物中の水および/または水溶性溶媒の含量は、流体組成物の全重量に対して特に0.1%から80%に及んでもよく、より具体的には2重量%から70重量%に及んでもよい。
【0058】
本発明による保護コーティングの組成物は、溶媒と、この溶媒が消失した後にたとえば蒸着または吸収によって、転写されたパターンを外部環境から隔離する保護被膜を生成する材料とを含んでいてもよい。
【0059】
保護被膜は、連続的であってもそうでなくてもよい。
【0060】
保護被膜は、油じみたまたは乾いた感触を有していてもよい。
【0061】
被膜形成ポリマー
有利には、本発明による保護コーティングの組成物は、被膜形成ポリマーを含む。
【0062】
被膜形成ポリマーは、粒子の形で組成物の水相中に溶解しまたは分散しあるいは粒子の形で液体脂肪相中に溶解しまたは分散するポリマーであってもよい。組成物は、これらのポリマーの混合物を含んでいてもよい。
【0063】
被膜形成ポリマーは、組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の範囲、好ましくは0.5重量%から10重量%の範囲の固形分含量で、本発明による組成物中に存在していてもよい。
【0064】
本出願において、「被膜形成ポリマー」という用語は、それ自体でまたは補助的被膜形成剤の存在下、連続的かつ接着性の被膜を支持体上に、特にケラチン材料上に形成することが可能なポリマーを意味する。
【0065】
好ましくは、疎水性被膜を形成することが可能な被膜形成ポリマー、すなわち、被膜が25℃の水中で1重量%未満の溶解度を有するポリマーが使用される。
【0066】
本発明の組成物で使用されてもよい被膜形成ポリマーの中で、フリーラジカル型のまたは重縮合体型の合成ポリマー、天然由来のポリマー、およびこれらの混合物を挙げてもよい。
【0067】
「フリーラジカル被膜形成ポリマー」という表現は、各モノマーが単独重合することが可能である(重縮合体とは異なる)、不飽和の、特にエチレン性不飽和モノマーの重合によって得られるポリマーを意味する。
【0068】
フリーラジカル型の被膜形成ポリマーは、特に、ビニルポリマーまたはコポリマーであってもよく、特にアクリルポリマーである。
【0069】
ビニル被膜形成ポリマーは、少なくとも1個の酸基を含有するエチレン系不飽和モノマーおよび/またはこれらの酸モノマーのエステルおよび/またはこれらの酸モノマーのアミドの重合から得られてもよい。
【0070】
酸基を保持するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、またはイタコン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を使用してもよい。(メタ)アクリル酸およびクロトン酸が好ましく使用され、より好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0071】
酸モノマーのエステルは、有利には、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレートとも呼ばれる)から、特にアルキル(メタ)アクリレート、特にC
1〜C
30、好ましくはC
1〜C
20アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、特にC
6〜C
10アリール(メタ)アクリレート、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特にC
2〜C
6ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択される。
【0072】
アルキル(メタ)アクリレートの中で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、またはメタクリル酸シクロヘキシルを挙げてもよい。
【0073】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中で、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、またはメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルを挙げてもよい。
【0074】
アリール(メタ)アクリレートの中で、アクリル酸ベンジルおよびアクリル酸フェニルを挙げてもよい。
【0075】
特に好ましい(メタ)アクリル酸エステルは、アルキル(メタ)アクリレートである。
【0076】
本発明によれば、エステルのアルキル基には、フッ素化または過フッ素化のいずれかをなすことができ、すなわち、アルキル基の水素原子の一部またはすべてがフッ素原子によって置き換えられる。
【0077】
酸モノマーのアミドとして、たとえば、(メタ)アクリルアミド、特にN−アルキル(メタ)アクリルアミド、特にN−(C
2〜C
12アルキル)(メタ)アクリルアミドを挙げてもよい。N−アルキル(メタ)アクリルアミドの中で、N−エチルアクリルアミド、N−(t−ブチル)アクリルアミド、N−(t−オクチル)アクリルアミド、およびN−ウンデシルアクリルアミドを挙げてもよい。
【0078】
ビニル被膜形成ポリマーは、ビニルエステルおよびスチレンモノマーから選択されたモノマーの単独重合または共重合から得られてもよい。特に、これらのモノマーは、すでに述べたような酸モノマーおよび/またはそのエステルおよび/またはそのアミドと重合されてもよい。
【0079】
挙げることができるビニルエステルの例は、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、およびt−ブチル安息香酸ビニルである。
【0080】
挙げることができるスチレンモノマーは、スチレンおよびα−メチルスチレンを含む。
【0081】
アクリルおよびビニルモノマー(シリコーン鎖で修飾されたモノマーを含む)のカテゴリに含まれる、当業者に公知の何らかのモノマーを使用することが可能である。
【0082】
挙げることができる被膜形成重縮合体の中には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、エポキシエステル樹脂、およびポリ尿素がある。
【0083】
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、および両性ポリウレタン、ポリウレタン−アクリル、ポリウレタン−ポリビニル−ピロリドン、ポリ−エステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリ尿素、およびポリ尿素−ポリウレタン、およびこれらの混合物から選択されてもよい。
【0084】
ポリエステルは、ジカルボン酸とポリオール、特にジオールとの重縮合によって、公知の手法で得てもよい。
【0085】
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、または芳香族であってもよい。挙げることができるそのような酸の例には:シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が含まれる。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で、または少なくとも2種のジカルボン酸モノマーとの組合せとして使用されてもよい。これらのモノマーの中で、優先的に選択されたものは、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸である。
【0086】
ジオールは、脂肪族、脂環式、および芳香族ジオールから選択されてもよい。使用されるジオールは、好ましくは:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、および4−ブタンジオールから選択される。
【0087】
使用されてもよい他のポリオールは、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、およびトリメチロールプロパンである。
【0088】
ポリエステルアミドは、二酸とジアミンまたはアミノアルコールとの重縮合によって、ポリエステルの場合に類似する手法で得てもよい。使用されてもよいジアミンは、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびメタ−またはパラ−フェニレンジアミンである。使用されてもよいアミノアルコールは、モノエタノールアミンである。
【0089】
ポリエステルは、少なくとも1個の−SO
3M基(式中、Mは、水素原子、アンモニウムイオンNH
4+、または金属イオン、たとえばNa
+、Li
+、K
+、Mg
2+、Ca
2+、Cu
2+、Fe
2+、またはFe
3+イオンを表す)を保持する少なくとも1種のモノマーを含んでいてもよい。そのような−SO
3M基を含む2官能性芳香族モノマーが、特に使用されてもよい。
【0090】
上述のような−SO
3M基も保持する2官能性芳香族モノマーの芳香核は、たとえば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、オキシビフェニル、スルホニルビフェニル、およびメチレンビフェニル核から選択されてもよい。
【0091】
−SO
3M基も保持する2官能性芳香族モノマーの例として:スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホフタル酸、および4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸を挙げてもよい。
【0092】
好ましく使用されるコポリマーは、イソフタレート/スルホイソフタレートをベースにしたものであり、より具体的には、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、およびスルホイソフタル酸の縮合によって得られたコポリマーである。そのようなポリマーは、たとえば、Eastman Chemical Products社によってEastman AQ(登録商標)という商品名の下で販売されている。
【0093】
天然由来の、任意選択で修飾されたポリマーは、シェラック樹脂、サンダラックゴム、ダンマル樹脂、エレミゴム、コーパル樹脂、およびセルロース系ポリマーと、これらの混合物から選択されてもよい。
【0094】
本発明による組成物の第1の実施形態によれば、被膜形成ポリマーは、ラテックスまたは擬ラテックスとして一般に公知の、水性分散体中の粒子の形で存在していてもよい。これらの分散体を調製するための技法は、当業者に周知である。
【0095】
使用されてもよい被膜形成ポリマーの水性分散体には、Avecia−Neoresins社製のNeocryl XK−90(登録商標)、Neocryl A−1070(登録商標)、Neocryl A−1090(登録商標)、Neocryl BT−62(登録商標)、Neocryl A−1079(登録商標)、Neocryl A−523(登録商標)、Dow Chemical社製Dow Latex 432(登録商標)、大東化成工業(株)製Daitosol 5000 AD(登録商標)の名称の下で販売されるアクリル分散体;またはそうでない場合には、Avecia−Neoresins社製のNeorez R−981(登録商標)、Neorez R−974(登録商標)、Goodrich社製のAvalure UR−405(登録商標)、Avalure UR−410(登録商標)、Avalure UR−425(登録商標)、Avalure UR−450(登録商標)、Sancure 875(登録商標)、Sancure 861(登録商標)、Sancure 878(登録商標)、Sancure 2060(登録商標)、Bayer社製Impranil 85(登録商標)、Hydromer社製Aquamere H−1511(登録商標)の名称の下で販売される水性ポリウレタン分散体が含まれる。
【0096】
被膜形成ポリマーの水性分散体として、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリエステルアミド、および/またはアルキドからなる群から選択された少なくとも1種のポリマーの既存の粒子の内部および/または部分的に表面にある1種または複数のフリーラジカルモノマーのフリーラジカル重合から得られる、ポリマーの分散体が使用されてもよい。これらのポリマーは、一般に「ハイブリッドポリマー」と呼ばれる。
【0097】
本発明による組成物の第2の実施形態の変形形態によれば、被膜形成ポリマーは、水溶性ポリマーであってもよく、したがって溶解した形で組成物水相中に存在する。挙げることができる水溶性被膜形成ポリマーの例には:
− タンパク質、たとえば、小麦タンパク質および大豆タンパク質などの植物由来のタンパク質;ケラチンなどの動物由来のタンパク質、たとえばケラチン加水分解物およびスルホン性ケラチン;
− アニオン性、カチオン性、両性、または非イオン性のキチンまたはキトサンポリマー;
− セルロースポリマー、たとえばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、さらに第4級化セルロース誘導体;
− アクリルポリマーまたはコポリマー、たとえばポリアクリレートまたはポリメタクリレート;
− ビニルポリマー、たとえばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルと無水リンゴ酸とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー;ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー;ポリビニルアルコール;
− 天然由来の任意選択で修飾されたポリマー、たとえば:
・ アラビアゴム、グアールゴム、キサンタン誘導体、カラヤゴム;
・ アルギネートおよびカラゲナン;
・ グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、およびこれらの誘導体;
・ シェラック樹脂、サンダラックゴム、ダンマル樹脂、エレミゴム、コーパル樹脂;
・ デオキシリボ核酸;
・ ムコ多糖、たとえばヒアルロン酸および硫酸コンドロイチンと、これらの混合物が含まれる。
【0098】
本発明による保護コーティングの組成物の、別の実施形態の変形形態によれば、被膜形成ポリマーは、上述のものなどの有機溶媒または油を含む液体脂肪相中に存在していてもよい。本発明の目的で、「液体脂肪相」という用語は、一般に相互に相溶性のある油としても公知の、室温で液体である1種または複数の脂肪物質から構成される、室温(25℃)および大気圧(760mmHg、すなわち10
5Pa)で液体である脂肪相を意味する。
【0099】
好ましくは、液体脂肪相は、任意選択で不揮発性油と混合した揮発性油を含み、この油はおそらくは、上述の油から選択される。
【0100】
本発明による組成物の第3の実施形態によれば、被膜形成ポリマーは、液体脂肪相中に分散された表面安定化粒子の形で存在していてもよい。
【0101】
表面安定化ポリマー粒子の分散体は、文献EP−A−749 747に記載されるように製造されてもよい。
【0102】
ポリマー粒子は、単独でまたは混合物として、ブロックポリマー、グラフトポリマー、および/またはランダムポリマーであってもよい安定化剤を用いて、表面安定化状態にある。
【0103】
安定化剤の存在下にある液体脂肪相中の被膜形成ポリマーの分散体は、特にその内容が参照により本特許出願に組み込まれる文献EP−A−749 746、EP−A−923 928、およびEP−A−930 060に特に記載されている。
【0104】
水相中または液体脂肪相中のいずれかにある分散体中のポリマー粒子のサイズは、5nmから600nmに及んでもよく、好ましくは20nmから300nmに及んでもよい。
【0105】
本発明による保護コーティングの組成物の第4の実施形態によれば、被膜形成ポリマーは液体脂肪相中に溶解してもよく、その場合、被膜形成ポリマー脂溶性ポリマーであると言える。
【0106】
挙げることができる脂溶性ポリマーの例は、ビニルエステル(ビニル基が、エステル基の酸素原子に直接結合しており、ビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合された1から19個の炭素原子の飽和、直鎖状、または分枝状の炭化水素系ラジカルを含有している)と、ビニルエステル(すでに存在するビニルエステル以外)、α−オレフィン(8から28個の炭素原子を含有する)、アルキルビニルエステル(アルキル基が2から18個の炭素原子を含む)、またはアリルもしくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合された、1から19個の炭素原子の飽和、直鎖状、または分枝状の炭化水素系ラジカル)であってもよい少なくとも1種の他のモノマーとのコポリマーである。
【0107】
これらのコポリマーは、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート、およびジビニルオクタデカンジオエートなど、ビニル型またはアリルもしくはメタリル型のいずれかであってもよい架橋剤の助けを借りて架橋されてもよい。
【0108】
挙げることができるこれらのコポリマーの例には、下記のコポリマー:酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/1−オクタデセン、酢酸ビニル/1−ドデセン、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、2,2−ジメチルオクタン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸アリル/ラウリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、ジメチルプロピオン酸アリル/ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニルであって0.2%のジビニルベンゼンと架橋したもの、ジメチルプロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニルであって0.2%のジビニルベンゼンと架橋したもの、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテルであって0.2%のテトラアリルオキシエタンと架橋したもの、酢酸ビニル/ステアリン酸アリルであって0.2%のジビニルベンゼンと架橋したもの、酢酸ビニル/1−オクタデセンであって0.2%のジビニルベンゼンと架橋したもの、およびプロピオン酸アリル/ステアリン酸アリルであって、0.2%のジビニルベンゼンと架橋したものが含まれる。
【0109】
挙げることもできる脂溶性被膜形成ポリマーには、脂溶性ホモポリマーが含まれ、特に、9から22個の炭素原子を含有するビニルエステル、アルキルアクリレートまたはメタクリレートの単独重合から得られたものであって、アルキルラジカルが10から20個の炭素原子を含有するものが含まれる。
【0110】
そのような脂溶性ホモポリマーは、ポリステアリン酸ビニル、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、またはジアリルフタレートの助けを借りて架橋したポリステアリン酸ビニル、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ポリラウリン酸ビニル、およびポリラウリル(メタ)アクリレートから選択されてもよく、これらのポリ(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジメタクリレートまたはテトラエチレングリコールジメタクリレートの助けを借りて架橋することが可能なものである。
【0111】
すでに定義された脂溶性コポリマーおよびホモポリマーは、公知であり、特に特許出願FR−A−2 232 303に記載されており;それらは2000から500 000の範囲、好ましくは4000から200 000の範囲の重量平均分子量を有していてもよい。
【0112】
本発明で使用されてもよい脂溶性被膜形成ポリマーとして、ポリアルキレン、特にポリブテンなどのC
2〜C
20アルケンのコポリマー、直鎖状または分枝状の飽和または不飽和C
1〜C
8アルキルラジカルを持つアルキルセルロース、たとえばエチルセルロースおよびプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特にビニルピロリドンとC
2〜C
40、さらに良好にはC
3〜C
20アルケンとのコポリマーを挙げてもよい。本発明で使用されてもよいVPコポリマーの例として、VP/酢酸ビニル、VP/メタクリル酸エチル、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、またはVP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルのコポリマーを挙げてもよい。
【0113】
本発明による保護コーティングの組成物は、被膜形成ポリマーによる被膜の形成を促進させる、補助的被膜形成剤を含んでいてもよい。そのような被膜形成剤は、所望の機能を満たすことが可能であることが当業者に公知である、何らかの化合物から選択されてもよく、特に可塑剤およびコアレッサから選択されてもよい。
【0114】
保護コーティングを施与させるためのシステム
保護コーティングを形成するために、組成物は、当業者に公知のケラチン材料に化粧品を施与させるための何らかのシステムを使用して施与させてもよい。
【0115】
施与システムは、有利には、組成物の慎重な施与が可能になるように選択される。
【0116】
本発明の文脈において使用されてもよい手動施与システムは、たとえば、微細なまたは粗いブラシ、コットンウールのパッド、またはワイプである。
【0117】
好ましくは施与システムは、有利には組成物のより速い施与を可能にする、かつインクの転写コートによって形成されたパターンの精度を劣化させない、推進システムである。
【0118】
推進施与システムは、たとえば加圧システム、ポンプディスペンサボトル、Venturiシステム、静電引力システム、および振動システムから選択される、液体(スプレー)の形をとる組成物を送出するように構成されてもよい。有利には、そのような施与システムは、組成物の急速な乾燥をもたらす。
【0119】
一変形形態では、推進施与システムは、粉末状形態の組成物をスプレーするように構成される。この実施形態は、スプレーの使用が望ましくないかつ/または難しい身体のある領域をメイクアップするのに特に有利である。
【0120】
保護コーティングは、各々が同一のまたは異なる組成物である1つまたは複数のコートを施与することによって、調製されてもよい。
【0121】
化粧品用インク−色素
色素は、以下に記述される1種または複数の染料を含んでいてもよい。
【0122】
色素は、インクの全質量に対して0.01%から60%の範囲、好ましくは0.1%から40%の範囲、またはさらに0.1%から30%の範囲、優先的には0.5%から20%の範囲の質量含量で、インク中に存在してもよい。
【0123】
着色インクは、水溶性染料、脂溶性染料、粉末状色素、たとえば顔料、特に真珠層、および光沢材薄片、あるいは着色ポリマーから選択された、1種または複数の色素を含んでいてもよい。
【0124】
「顔料」という用語は、何らかの形の白色または着色された無機または有機粒子であって、化粧品媒体には不溶でありかつ化粧品用インクを着色することが意図されるものを意味すると理解すべきである。
【0125】
「真珠層」という用語は、ある軟体動物によってそれらの殻の中で特に生成された、またはそうでない場合には合成された、何らかの形状の真珠光沢の(iridescent)粒子を意味すると理解すべきである。
【0126】
顔料は、白色、黒色、または着色されていてもよく、無機および/または有機物であってもよい。挙げることができる無機顔料の中には、二酸化チタン、任意選択で表面処理された酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、さらに酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄、または赤)または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物およびフェリックブルー、および金属粉末、たとえばアルミニウム粉末および銅粉末がある。
【0127】
挙げることができる有機顔料の中には、カーボンブラック、D&C型の顔料、コチニールカルミンまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウム、もしくはアルミニウムをベースにしたレーキがある。
【0128】
真珠箔は、チタンまたはオキシ塩化ビスマスでコーティングされた雲母などの白色真珠箔、酸化鉄でコーティングされたチタン雲母、特にフェリックブルーまたは酸化クロムでコーティングされたチタン雲母、有機顔料でコーティングされたチタン雲母、さらに酸塩化ビスマスをベースにした真珠箔などの着色真珠箔料から選択されてもよい。
【0129】
水溶性染料の中で、ポンソーの二ナトリウム塩、アリザリングリーン、キンジンイエローの二ナトリウム塩、アマランスの三ナトリウム塩、タルトラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、フクシンの二ナトリウム塩、キサントフィルおよびメチレンブルーを挙げることができる。
【0130】
脂溶性染料の中で、Sudan Red III (CTFA: D&C Red 17)、ルテイン、キニザリングリーン(CTFA: D&C Green 6)、アリズロールパープルSS (CTFA: D&C Violet 2)、スーダンブラウン、D&C Yellow 11、D&C Orange 5、キノリンイエロー、クルクミン、およびカロテノイド誘導体、たとえばリコペン、ベータ−カロテン、ビキシン、またはカプサンシン、およびこれらの混合物を挙げることができる。着色ポリマーは一般に、少なくとも2種の異なるモノマーをベースにしたコポリマーであり、その少なくとも1種はモノマー有機染料である。そのようなポリマー染料は、当業者に公知である。たとえば、下記の文献:米国特許第5 032 670号;米国特許第4 999 418号;米国特許第5 106 942号;米国特許第5 030 708号;米国特許第5 102 980号;米国特許第5 043 376号;米国特許第5 104 913号;米国特許第5 281 659号;米国特許第5 194 463号;米国特許第4 804 719号; 国際公開第92/07913号、またはEP 1 048 282を参照することができる。
【0131】
着色インクは、1種または複数の色素、特にフォトクロミック顔料、すなわちある周波数の光源で照射されたときに色を変化させ、次いで照射を停止したときにそれらの初期の色または類似の色を取り戻す性質を有する色素を含んでいてもよい。フォトクロミック色素の中で、特に:
− 複合無機フォトクロミック化合物、より具体的にはドープ型アルミノシリケートおよび金属酸化物および金属酸化物水和物、たとえば国際公開第02/36083号に記載されているもの;
− フォトクロミックナフトピラン化合物、特に3H−ナフト[2,1−b]ピランまたは2H−ナフト[1,2−b]ピラン、たとえば3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−モルホリノ−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、3−フェニル−3−(4−モルホリノフェニル)−6−モルホリノ−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、3−フェニル−3−(4−ピペリジノフェニル)−6−モルホリノ−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、3−フェニル−3−(4−ピペリジノフェニル)−6−カルボキシメチル−9−N−ジメチル−3H−ナフト[2,1−b]ピラン、または2−フェニル−2−(4−ピペリジノフェニル)−5−カルボキシメチル−9−N−ジメチル−2H−ナフト[1,2−b]ピランを挙げることができる。そのような化合物は、欧州特許出願公開第1 410 785号公報に記載されている;
− ジアリールエテンまたはフルギド化合物、たとえば欧州特許出願公開第938 887号公報に記載されているもの
を挙げることができる。
【0132】
着色インクは、1種または複数の充填剤を、着色インクの全重量に対して特に0.01%から50重量%の範囲の含量で、好ましくは0.01重量%から30重量%の範囲の含量で含んでいてもよい。
【0133】
「充填剤」という用語は、このインクが製造される温度にかかわらず、着色インクの媒体に不溶な、何らかの形状の、無色または白色の無機または合成粒子を意味すると理解すべきである。
【0134】
これらの充填剤は、特に、着色インクのレオロジーまたはテクスチャを修正する働きをする。
【0135】
充填剤は、結晶学的形態(たとえば、層状、立方晶、六方晶、斜方晶など)にかかわらず、何らかの形状、平板形状、球状、または長円形の、無機または有機物であってもよい。タルク、雲母、シリカ、カオリン、ポリアミド(Nylon(登録商標))粉末(Orgasol(登録商標)、Atochem製)、ポリ−β−アラニン粉末およびポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))粉末、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリル微小球などの中空ポリマー微小球、たとえばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie)、アクリル酸コポリマー微小球(Polytrap(登録商標)、Dow Corning社製)、およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(たとえば、Tospearls(登録商標)、東芝製)、エラストマーポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球(Silica Beads(登録商標)、Maprecos製)、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、および8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸から誘導された金属石けん、たとえばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、またはミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0136】
着色インクは、被膜形成ポリマーなどの追加のポリマーを含んでいてもよい。着色インクで使用されてもよい被膜形成ポリマーの中で、ラジカル型または重縮合体型の合成ポリマー、天然由来のポリマー、およびこれらの混合物、特にアクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、およびセルロース系ポリマー、たとえばニトロセルロースを挙げることができる。
【0137】
言うまでもなく、当業者なら、着色インクの有利な性質が、考えられる添加物(envisaged addition)によって悪影響を受けないようにまたは実質的に受けないように、これまたはこれらの任意選択の追加の化合物および/またはそれらの量を選択するのに注意を払うであろう。
【0138】
化粧品として許容される媒体
本発明による着色インクは、化粧品として許容される媒体、すなわち顔または身体の皮膚、唇、毛髪、まつ毛、眉毛、および爪などのケラチン材料に適合性のある媒体を構成する。
【0139】
転写面への印刷
「デジタルプリンタ」という用語は、字枠を含む機械とは異なる、デジタルデータを使用して画素の形で印刷するための機械を意味する。プリンタは、インクジェットプリンタ、たとえば感熱式または圧電式プリンタ、昇華型プリンタ、またはレーザプリンタであってもよい。
【0140】
一実施例において、プリンタは、少なくとも1種の化粧品用トナーを使用して、転写面にパターンを有するインクのコートの電子写真法または磁気写真法による形成を可能にするように、かつヒトケラチン材料との接触によって吸収されまたは転写されることが十分自由になされる状態で、転写面に存在するトナーを送出するように、配置構成されたレーザプリンタである。
【0141】
「化粧品用トナー」という用語は、レーザプリンタで使用されるような電子写真または磁気写真プロセスを介した画像の形成に適合性のある、粉末状化粧品組成物を意味すると理解すべきである。好ましくは、電子写真法での使用に適切なトナーである。
【0142】
トナーは、ヒトケラチン材料への施与に適合性があるという意味で、化粧品である。メイクアップされる表面に応じて、トナーの配合は異なる。たとえば、毛髪または爪への施与の場合、たとえば唇への施与には使用されないと考えられるある化合物を使用することが可能である。
【0143】
プリンタは、非平面対象への印刷を可能にするGatocopy A426機などの食品グレードのインクジェットプリンタであってもよい。
【0144】
印刷は、いくつかの異なるインク、特に異なる色のインクを使用してもよい。
【0145】
印刷は、少なくとも3種の、特に少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、または12種の異なる色の化粧品用インクを使用してもよい。
【0146】
印刷は、原色を生成する着色インクのみ使用してもよい。変形形態として、印刷は、原色を生成する着色インクと、非原色を生成する少なくとも1種のインクの両方を使用してもよい。
【0147】
一変形形態では、印刷は、黒および/または白を生成する着色インクを使用してもよい。
【0148】
インクの印刷は、3色または4色の印刷であってもよい。
【0149】
印刷することによって得られたパターンは、異なる色のいくつかの領域を含んでいてもよい。変形形態として、印刷することによって得られたパターンは平板な色調である。
【0150】
転写面に印刷された化粧品用インクによって形成されたパターンは、何らかのタイプのものであってもよい。
【0151】
このパターンは、皮膚の起伏および/または色の不均質性、たとえばしみまたは痣の外観を再現してもよい。
【0152】
転写面によって支持される着色インクによって形成されたパターンは、可視領域(400nm〜800nm)の白色光の下で観察した場合、着色されていてもよい。変形形態として、パターンは、可視領域の白色光の下で無色であるが、UV(365nm〜400nm)への露光など、化学的および/またはエネルギーの刺激に供された場合、たとえば着色インクがフォトクロミックまたは蛍光色素を含有する場合に、着色されたように見えてもよい。
【0153】
印刷することによって得られた着色インクは、ハーフトーン画像、たとえば単色または多色画像を形成するように、スポットおよび/またはラスタラインの形で堆積されてもよい。
【0154】
転写面に印刷された着色インクによって形成されたパターンは、何らかのタイプのものであってもよい。
【0155】
このパターンは、皮膚の起伏および/または色の不均質性、たとえばしみまたは痣の外観を再現してもよい。
【0156】
印刷は、幾何学的矯正規則に従ってもよい。施与中に、転写面が変形可能である限り、パターンは幾何学的に変形してもよい(たとえば、2次元の1つで延伸する)。その結果、施与後にパターンが所望のスケールになるように、パターンは幾何学的変形を持つ状態で印刷される(本発明の場合、変形可能な寸法による低減)。幾何学的規則は:処理されるケラチン材料の領域上に転写した後にパターンが所望の形を有するように、普遍的にまたは特異的に、転写面に印刷されるパターンに適用してもよい。そのような矯正規則の使用は、後でわかるように、特にインプリントの形を包含するために、起伏を支持する転写面を有する基材で特に有利である。特に、処理される領域および/または所望のパターンに適合させた特定の幾何学的規則を使用してもよい。
【0157】
着色インクは、印刷時に液体であってもよく、たとえば25℃で1mPa.sから500mPa.sの範囲、好ましくは1mP.sから300mPa.sの範囲の粘度を有していてもよい。
【0158】
本発明のインクの粘度は、当業者に公知の何らかのプロセスを介して、特に下記の従来のプロセスに従って、測定されてもよい。25℃で、200rpmで回転するスピンドルを備えたRheomat 180粘度計を使用することにより、当業者なら、測定を行うことができるように、それらの一般的知識に基づいて、スピンドルM1、M2、M3、およびM4から粘度を測定するためのスピンドルを選択することができる。
【0159】
着色インクはエマルジョンの形をとってもよい。
【0160】
有利には、着色インクは、ケラチン材料に施与させた場合、基材上で完全には乾燥しない。着色インクは、ケラチン材料に施与させるとき、流体の形をとってもよい。
【0161】
インクが化粧品用トナーの形をとる場合、このトナーは、着色剤の他に、電荷を制御するための化合物、特定の追加の充填剤、潤滑剤、ワックス、および/または結合剤を含んでいてもよい。
【0162】
好ましくは、トナーの粒子は1から16μmの間の平均サイズを有する。トナーは、たとえば、特に1から10μmの間の粒度を持つ顔料からなる。
【0163】
転写面によって支持される着色インクのすべてまたは部分は、ケラチン材料への転写によって施与させてもよい。
【0164】
一実施形態の実施例では、転写面に最初に存在する着色インクのコートの少なくとも25質量%、特に50%、特に75%、特に実質的にすべては、ケラチン材料への転写によって施与される。
【0165】
一実施形態の実施例では、着色インクの施与は、ケラチン材料上に転写面を圧力で施与することによって行われる。
【0166】
基材および転写面
一実施形態の実施例では、本発明で使用される基材は、少なくとも1つの半透明または透明な領域を含む。
【0167】
半透明または透明な領域では、使用者は、基材を通して見ることが可能になり、したがって化粧品用インクを転写する前に、メイクアップおよび/または処理される表面をより容易に視覚化することが可能になる。したがって半透明または透明な領域の存在は、有利には、ケラチン材料上での精密なメイクアップ結果の生成を容易にするのに寄与する。
【0168】
基材の半透明または透明な領域上には、全体としてまたは部分的に化粧品用インクの層を重ねることができ、特に層をオーバーラップさせてもよい。
【0169】
化粧品用インクの層は、その全体を、基材の半透明または透明な領域上に重ねてもよい。変形形態として、化粧品用インクの層の一部のみを、基材の透明な領域上に重ねる。
【0170】
基材は、透明なまたは半透明の材料で作製されてもよい。この場合、半透明または透明な領域は、基材の全面にわたって拡がる。
【0171】
変形形態として、基材は、その面の全体にわたってまたは部分が不透明である。
【0172】
基材は、シート形態の材料、特に透明な材料を含んでいてもよい。
【0173】
基材は、可撓性シートまたは剛性プレートであってもよい。基材はプラスチック(たとえば、ポリエチレンまたはポリスチレン)で作製されてもよい。基材は織られていても不織であってもよい。基材は有機または無機材料で作製されてもよい。基材はアルミ箔であってもよい。
【0174】
基材は、優先的に、非吸収性材料、たとえばプラスチック被膜をベースにする。基材は、有利には、少なくともプリントを受容することが意図される面上が非多孔質である。
【0175】
転写面は、毛管作用によって化粧品用インクを保持してもよい。
【0176】
転写面は、平面または非平面とすることができる。
【0177】
基材の転写面は:アプリケーターローラの外面、アプリケーターパッドの表面、シート形態の要素、パッチ、多孔質フォームの表面、特にスポンジまたはワイプ、粗いブラシ、微細なブラシ、または植毛チップのすべてまたは部分によって画定されてもよい。
【0178】
アプリケーターローラは、適正な(right)シリンダの形を有していてもよい。一変形形態では、ローラは、不規則なシリンダの形、たとえば砂時計の形を有する。
【0179】
一変形形態では、ローラは「プリモールド」され、すなわちローラは、メイクアップされる領域の一般的な形に対応して当初は平らではない形を有し、たとえば唇、眼窩、足首、または前腕の原版である。
【0180】
一変形形態では、基材は、メイクアップされる領域のインプリントに対して転写するときにめっきされ、したがって転写面は、メイクアップされる領域の起伏を再現するようになる。
【0181】
転写面は、たとえば、アプリケーターローラまたはパッドの表面に取り付けられた変形可能なシートの表面のすべてまたは部分によって画定される。
【0182】
転写面は、弾性的に変形可能であってもよい。したがって、第1の構成では、転写面は平らであってもよく、第2の構成では、転写面は湾曲していてもよい。
【0183】
一変形形態では、基材は、印刷中に転写面が第1の形をとるように、たとえば実質的に平らになるように、またケラチン材料への着色インクの施与中には、第1の形とは異なる第2の形をとるように構成される。第2の形は、有利には、着色インクでコーティングされることが意図されるケラチン材料の表面の形に対応し、たとえば爪の形または顔の一部に対応する。
【0184】
基材は、優先的に、非吸収性材料、たとえばプラスチック被膜をベースにする。基材は有利には、少なくともプリントを受容することが意図される面が非多孔質である。
【0185】
一実施形態では、着色インクが頬および/または爪に施与されることが意図される場合、基材は、1mm以上、特に3mm、たとえば1から5mmの範囲の厚さを有していてもよい。
【0186】
一実施形態の実施例では、着色インクが目の周りの領域および/または唇に施与されることが意図される場合、基材は、3mm以上、特に1mm、たとえば3から20mmの範囲の厚さを有していてもよい。
【0187】
一実施形態の実施例では、着色インクが鼻および/または耳の領域に施与されることが意図される場合、基材は、1cm以上、特に3cm、たとえば1から4cmの範囲の厚さを有していてもよい。
【0188】
したがって基材は、有利には、メイクアップされるケラチン材料の領域に適合される厚さを有する。
【0189】
基材の厚さは、転写面に垂直に測定された、その最大寸法に対応する。
【0190】
基材は、可変の厚さを有していてもよい。
【0191】
基材はプリモールドされていてもよい。
【0192】
一実施形態の実施例では、基材は、転写されることが意図されるものと同じインクで印刷されたまたは印刷されていない、表示を含む。表示は、たとえば着色インクでメイクアップされることが意図されるケラチン材料の性質について述べ、または正しい縮尺で、拡大して、縮小して、もしくはその他の状態で示されており、堆積されたパターンには「表を上にして(right−side up)」、基材上には「逆さに(wrong−side up)」が示されている。
【0193】
一実施形態の実施例では、転写面は、基材の一部から取外し可能である。
【0194】
基材は、再使用可能であってもよい。
【0195】
たとえば、印刷は基材上で行われ、これは転写のためにアクセス可能であるがプリンタから離れない。したがって使用後に、プリンタを基材に再度統合することができ、清浄化し、新しいプリントの準備をすることができる。
【0196】
別の態様によれば、本発明の対象は、前述の本発明によるメーキャッププロセスを行うためのアセンブリであり:
− 転写面と、少なくとも1つのデジタルプリンタを使用して印刷することによって得られた、転写面によって支持される少なくとも1種の化粧品用着色インクのコートとを有する基材を含む、少なくとも1つのデバイス、
− メイクアップされるケラチン材料の領域上に保護コーティングを形成することが可能な被膜形成ポリマーを含む、少なくとも1種の組成物であって、パッケージアセンブリに収容される組成物
を含む。
【0197】
アセンブリは、デバイスおよび組成物を含有するための同じケースを含んでいてもよい。
【0198】
アセンブリは、保護コーティングを形成するための手動施与システムを含んでいてもよい。
【0199】
中間流体化合物の添加を必要とせずに転写する着色インクの能力の測定
上述のように、着色インクは、特に好ましくは、中間流体化合物を添加せずにケラチン材料上に転写することが可能である。
【0200】
所与の着色インクがこの性質を有するか否かをチェックするために、表面によって支持された検討中の着色インクのコートを、Bioskin ref #white 061031−2というブランド名でBeaulax社から販売された人工皮膚のサンプルに接触させて配置する。
【0201】
接触は、大気温度および圧力条件下(20℃および1bar)、5000パスカル(すなわち、50g/cm
2)の圧力を加えることによって、1秒の時間にわたって行う。中間流体化合物は、接触の前または最中に着色インクにもサンプルにも添加されない。
【0202】
視覚評価を行う。
【0203】
着色インクがケラチン材料上に転写された場合、着色インクは、中間流体化合物を添加せずにケラチン材料上に転写されることが可能であると見なす。
【0204】
本発明は、その非限定的な実現例に関する以下の記述を読むことによって、かつ添付図面を検討することによって、より明瞭に理解することができる。