(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る信号処理装置13を備えるレーダ装置10の構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態のレーダ装置10は、船舶用レーダ装置である。レーダ装置10は、半導体素子により生成されたパルス状の送信信号(パルス信号、電磁波)を外部に送信する。また、レーダ装置10は、この送信信号の反射波を受信して、パルス圧縮等を行って解析することで、物標の位置等を検出する。なお、送信信号は、半導体素子ではなくマグネトロン等によって生成されていても良い。
【0014】
図1に示すように、レーダ装置10は、レーダアンテナ11と、送受信部12と、信号処理装置13と、表示装置14と、を備える。
【0015】
レーダアンテナ11は、送信信号を外部に送信するとともに、周囲の物標からの反射波を受信する。以下では、レーダアンテナ11が受信した反射波を受信信号と称する。レーダアンテナ11は、水平面内を所定周期で回転しながら送受信を繰り返している。これにより、レーダ装置10は自船周囲の物標を検出できる。
【0016】
なお、レーダアンテナを回転させない構成のレーダ装置を用いても良い。例えば、全周方向にアンテナ素子を有する構成のレーダ装置や、前方等の特定の方向のみを探知するレーダ装置等は、レーダアンテナを回転させる必要がない。また、レーダ装置10は、電波の送受信を1つのレーダアンテナで行う構成であっても良いし、送信用と受信用のレーダアンテナをそれぞれ持つ構成であっても良い。
【0017】
送受信部12及び信号処理装置13は、レーダ装置10に関する制御(送信制御、受信制御、及び解析制御等)等の処理を行う。本実施形態では、送受信部12を構成する各部は、レーダアンテナ11の筐体内(空中線側)に配置されており、信号処理装置13を構成する各部は、表示装置14の筐体内(指示ユニット側)に配置されている。なお、送受信部12及び信号処理装置13を構成する各部は、レーダアンテナ11及び表示装置14の何れの筐体内に配置されていても良いし、レーダアンテナ11及び表示装置14とは別の筐体内に配置されていても良い。
【0018】
送受信部12は、信号生成部31と、送信用ミキサ32と、局部発振器33と、送受切替器34と、受信用ミキサ35と、を備える。
【0019】
信号生成部31は、パルス幅及び変調態様(周波数変調幅、周波数の変化態様)等を指定して、所定の波形の送信信号を生成する。この送信信号は、D/Aコンバータ等によりデジタル信号からアナログ信号に変換された後に送信用ミキサ32へ出力される。なお、信号生成部31は、送信信号を送信する送信区間と、受信信号を受信する受信区間と、を規定する信号である送信トリガ信号を生成する。
【0020】
送信用ミキサ32には、局部発振器33から局部発振信号が供給されている。送信用ミキサ32は、この局部発振信号と送信信号とを混合することで、送信信号の周波数を送信周波数まで引き上げる。送信用ミキサ32によって、周波数が引き上げられた送信信号は、図略の増幅器等によって信号レベルが増幅された後に、送受切替器34へ出力される。
【0021】
送受切替器34は、送信信号の送信と受信信号の受信を切替可能に構成されている。具体的には、送受切替器34は、送信信号を外部へ送信するときは、送信用ミキサ32が出力する送信信号をレーダアンテナ11へ出力する。これにより、送信信号が外部に送信される。一方、送受切替器34は、反射波を外部から受信するときは、レーダアンテナ11から入力された反射波(受信信号)を受信側の回路へ出力する。
【0022】
送受切替器34が出力する受信信号は、増幅器等によって増幅された後に、受信用ミキサ35へ出力される。受信用ミキサ35は、送信用ミキサ32と同様に、局部発振器33から局部発振信号が入力されている。受信用ミキサ35は、受信信号と局部発振信号とを混合することで、受信信号の周波数を引き下げる。受信用ミキサ35によって周波数が引き下げられた受信信号は、信号処理装置13へ出力される。
【0023】
図1に示すように、信号処理装置13は、A/D変換器41と、直交検波部42と、データ処理部43と、映像生成部44と、を備える。
【0024】
A/D変換器41は、送受信部12の受信用ミキサ35から入力された受信信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換して直交検波部42へ出力する。
【0025】
直交検波部42は、入力された受信信号を2系統に分岐し、一方の信号のみの位相を90°変化させることにより、1つの信号から、I信号とQ信号からなる複素信号を生成する。直交検波部42は、生成したI信号及びQ信号をデータ処理部43へ出力する。
【0026】
データ処理部43は、上記のI信号及びQ信号に対して所定の処理を行うことで、パルス幅を圧縮したり、サイドローブを除去したりする(詳細は後述)。データ処理部43は、処理済みの受信信号である処理後信号を映像生成部44へ出力する。
【0027】
映像生成部44は、データ処理部43から入力された処理後信号に基づいてレーダ映像を生成する。具体的には、映像生成部44は、レーダアンテナ11がパルス信号を送信したタイミングと、反射波を受信したタイミングと、の時間差に基づいて物標までの距離を取得する。また、映像生成部44は、パルス信号を送信したときのレーダアンテナ11の向きに基づいて、物標が存在する方向を取得する。以上により、映像生成部44は、自船の周囲に存在する物標の位置をグラフィカルに示すレーダ映像を生成する。映像生成部44は、生成したレーダ映像を表示装置14へ出力する。
【0028】
ここで、送受信部12及び信号処理装置13を構成する一部(例えば、信号生成部31、データ処理部43、及び映像生成部44)は、FPGA、ASIC、又はCPU等の演算処理部により実現される。具体的には、信号生成部31等は、プログラム等が記憶されたROM等の記憶部を備えており、演算処理部が記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、信号生成部31等の機能が実現される。また、信号生成部31等は、それぞれ別々のハードウェアで構成されていても良いし、少なくとも一部が同じハードウェアで構成されていても良い。
【0029】
表示装置14は、電子データを表示可能に構成されている。表示装置14は、映像生成部44から入力されたレーダ映像を表示する。表示装置14は、液晶ディスプレイであるが、異なる形式のディスプレイ(有機ELディスプレイ)であっても良い。
【0030】
次に、データ処理部43が行う処理について、
図2から
図4を参照して説明する。
図2は、データ処理部43の詳細な構成を示すブロック図である。
図3及び
図4は、データ処理部43が生成する各信号について、信号レベル、距離方向及び方位方向への広がりを示す図である。
【0031】
図2に示すように、データ処理部43は、パルス圧縮部51と、平均値信号生成部52と、抽出信号生成部53と、擬似信号生成部54と、サイドローブ除去部55と、を備える。
【0032】
パルス圧縮部51は、上記のI信号及びQ信号を取り込んで、パルス幅を圧縮する処理(パルス圧縮処理)を行い、パルス圧縮信号を生成する。これにより、信号レベルが低いパルス信号を送信する場合であっても、S/N比が高いデータを得ることができる。
【0033】
図3には、パルス圧縮信号の信号レベル、距離方向及び方位方向への広がりが示されている。
図3に示すように、パルス圧縮処理を行うことで、メインローブに加え、信号が距離方向に広がるサイドローブが生成される。メインローブは、所定の方位において信号レベルのピーク値を有している(以下、この方位を基準方位と称する)。メインローブは、基準方位から方位方向に離れることで、信号レベルが低下する形状である。一方、サイドローブは、メインローブが存在する箇所から距離方向に延びるように存在している。サイドローブは、基準方位から方位方向に離れるに従って、信号レベルが徐々に低下する形状である。サイドローブはレーダ映像を生成した際にエコーが広がって表示されたり、偽像が表示されたりする原因となる。従って、パルス圧縮信号からサイドローブを除去しつつメインローブを残すことが好ましい。
【0034】
平均値信号生成部52は、上記のI信号及びQ信号を取り込んで、例えばI信号及びQ信号の絶対値を算出することにより、包絡線を算出する。なお、包絡線の算出方法は任意であり、例えばアナログの受信信号を検波することで包絡線を出力するエンベロープ検波器を用いても良い。平均値信号生成部52は、算出した絶対値(包絡線)に以下に示す演算を行うことにより、移動平均値を算出する。なお、x(t)は上記の絶対値を示す関数であり、Tはパルス幅であり、αは所定の係数(パルス幅に対する移動平均の割合)である。また、本実施形態では、移動平均(単純移動平均)を計算することで平均値を算出するが、サイドローブの波形に更に近づけるように加重平均を計算することで平均値を算出しても良い。このとき、直近の信号ほど重みを大きくすることが好ましい。なお、加重平均を用いて算出した平均値に対しては、移動平均を用いて算出した平均値と同様の処理が行われる。
【数1】
【0035】
平均値信号生成部52は、このようにして平均値を算出し、必要に応じて信号処理を行うことで、平均値信号を生成する。
図3には、平均値信号の信号レベル、距離方向及び方位方向への広がりが示されている。
図3に示すように、平均値信号は、パルス圧縮信号からメインローブを除去した信号に近似している。具体的には、平均値信号は、距離方向の全体にわたって、パルス圧縮信号のサイドローブと同様に、基準方位から離れるに従って、信号レベルが徐々に低下する形状である。そのため、特許文献1ではこの平均値信号をサイドローブの擬似信号として用いている。ただし、平均値信号は、パルス圧縮信号のメインローブに相当する部分においても、サイドローブに相当する部分と同様の信号レベルを有している。
【0036】
抽出信号生成部53には、パルス圧縮部51からパルス圧縮信号が入力されるとともに、平均値信号生成部52から平均値信号が入力されている。なお、パルス圧縮部51及び平均値信号生成部52の少なくとも一方には遅延器が含まれており、この遅延器により、パルス圧縮信号と平均値信号のタイミングが合わせられている。抽出信号生成部53は、パルス圧縮信号から平均値信号を除去する処理を行うことで、抽出信号を生成する。なお、パルス圧縮信号及び平均値信号の信号レベルは、対数(デシベル)で示されているため、抽出信号生成部53が行う処理は、除算処理である(以下の信号を除去する処理についても同様)。
【0037】
図3には、抽出信号の信号レベル、距離方向及び方位方向への広がりが示されている。
図3に示すように、平均値信号はパルス圧縮信号のサイドローブに近似した信号であるため、パルス圧縮信号から平均値信号を除去することで、サイドローブが除去される。つまり、抽出信号は、パルス圧縮信号からメインローブを抽出した信号である。特許文献1では、このような処理を行うことにより、パルス圧縮信号からサイドローブを除去している。
【0038】
しかし、平均値信号は、パルス圧縮信号のメインローブに相当する部分においても所定の信号レベルを有している。従って、抽出信号のメインローブの信号レベルは、パルス圧縮信号のメインローブの信号レベルよりも低い。従って、受信信号のS/N比が低下する。更に、平均値信号は、基準方位から離れるに従って、信号レベルが徐々に低下する形状であるため、抽出信号のメインローブのピークは、パルス圧縮信号のメインローブのピークよりも方位方向に広がる。従って、本実施形態では、更に以下の処理を行う。
【0039】
擬似信号生成部54には、抽出信号生成部53から抽出信号が入力されるとともに、平均値信号生成部52から平均値信号が入力されている。擬似信号生成部54は、平均値信号から抽出信号を除去することで、擬似信号を生成する。ここで、平均値信号及び抽出信号は、受信信号から(パルス圧縮信号等を介して)生成される信号である。従って、擬似信号は、受信信号に基づいて生成されていることとなる。また、抽出信号はパルス圧縮信号を用いて生成されている。従って、擬似信号は、パルス圧縮信号及び平均値信号に基づいて生成されていることとなる。
【0040】
図4には、擬似信号の信号レベル、距離方向及び方位方向への広がりが示されている。また、擬似信号のうち、パルス圧縮信号のメインローブに相当する部分を擬似メインローブ部と称し、パルス圧縮信号のサイドローブに相当する部分を擬似サイドローブ部と称する。抽出信号は、メインローブが抽出された信号であるため、擬似サイドローブ部は、平均値信号と同様の形状である。即ち、基準方位から離れるに従って、信号レベルが徐々に低下する形状である。一方、抽出信号は、メインローブが抽出された信号であるため、信号レベルが高い。このような抽出信号が除去されているため、擬似メインローブ部の信号レベルは、非常に低くなり、例えばゼロ以上ノイズフロア近傍以下となる。従って、擬似メインローブ部は、前記基準方位及び方位方向の端部において信号レベルが略一定(信号レベルの変化量がノイズフロア程度)である。
【0041】
サイドローブ除去部55には、擬似信号生成部54から擬似信号が入力されるとともに、パルス圧縮部51からパルス圧縮信号が入力されている。サイドローブ除去部55は、パルス圧縮信号から擬似信号を除去することで、処理後信号を生成する。
【0042】
図4には、処理後信号の信号レベル、距離方向及び方位方向への広がりが示されている。擬似信号は、擬似メインローブ部の信号レベルが略ゼロであるため、処理後信号のメインローブの信号レベルは、パルス圧縮信号のメインローブの信号レベルと同様である。また、擬似メインローブ部は、パルス圧縮信号のサイドローブと同様の形状の信号であるため、処理後信号は、サイドローブが略除去されている。このように、本実施形態の処理を行うことにより、パルス圧縮信号のメインローブを劣化させることなく、サイドローブを除去することができる。本実施形態では、この処理後信号を用いて、レーダ映像が作成される。
【0043】
次に、本実施形態の効果について、従来例と比較しながら説明する。初めに、
図5を参照して、サイドローブを除去する機能を有していない(又はOFFにしている)レーダ装置において作成したレーダ映像について説明する。
図5は、サイドローブ除去機能を使用しない従来例のレーダ映像に表示されるエコーを示す図である。
【0044】
なお、
図5から
図7では、他船等を示すエコー61がレーダ映像上に表示されている様子が示されている。また、
図5から
図7のエコー61は、信号レベルの高さを映像の濃淡(詳細にはドットの大きさ及び密度)で表現している。
図5に表示されるエコー61には距離方向に延びるサイドローブが含まれている。サイドローブの信号レベルはメインローブよりも低いため、距離方向に延びている部分は淡く表示されている。
【0045】
次に、
図6を参照して、従来の方法でサイドローブを除去するレーダ装置(特許文献1のレーダ装置)において作成したレーダ映像について説明する。
図6は、サイドローブ除去機能を使用した従来例のレーダ映像に表示されるエコーを示す図である。
【0046】
特許文献1のレーダ装置では、
図3に示す抽出信号を処理後信号として用いて、レーダ映像が作成する。しかし、上述したように、抽出信号のメインローブは、パルス圧縮信号のメインローブよりも信号レベルが低い。従って、メインローブのS/N比が低下してしまう。更に、抽出信号のメインローブは、パルス圧縮信号のメインローブよりも方位方向に延びるため、エコー61も同様に方位方向に延びた形状となっている。このように、方位方向の分解能が低下している。なお、
図6に示すエコー61は、サイドローブが除去されているため、
図5に示すようなサイドローブは表示されていない。
【0047】
次に、
図7を参照して、本実施形態のレーダ装置10において作成したレーダ映像について説明する。
図7は、本実施形態におけるレーダ映像に表示されるエコーを示す図である。
【0048】
本実施形態では、パルス圧縮信号から擬似信号を除去することで、サイドローブを除去しつつ、メインローブの信号レベル及びピーク形状の劣化を抑制できる。従って、
図7に示すエコー61には、
図5に示すようなサイドローブが表示されていない。更に、
図7に示すエコー61は、パルス圧縮信号のメインローブのピーク形状が方位方向に広がっていないため、
図6に示すような方位方向に延びた形状となっていない。従って、本実施形態の方法でエコー61を表示することで、物標の正確な位置を表示できる、更に、例えば2つの物標が方位方向に隣接している場合であっても、これらのエコーが重なりにくいため、2つの物標が存在することを把握し易くなる。
【0049】
次に、各種の信号の別の生成方法について説明する。
【0050】
上記では、擬似信号は、抽出信号及び平均値信号から生成されている。これに対し、擬似信号をパルス圧縮信号から直接生成することもできる。例えば、パルス圧縮信号について、信号レベルが所定の閾値以下である部分は信号レベルを維持し、信号レベルが所定の閾値を超えている部分は信号レベルをゼロ(サイドローブの信号レベルより低い値)にする処理を行うことで、擬似信号を生成できる。
【0051】
また、同様の処理を行うことにより、パルス圧縮信号のみから抽出信号を生成することもできる。例えば、パルス圧縮信号から、信号レベルが所定の閾値以上の部分を抽出する(所定の閾値の信号レベルの信号を除去する)ことで、抽出信号を生成できる。
【0052】
また、上記では、擬似信号=平均値信号/抽出信号、抽出信号=パルス圧縮信号/平均値信号である。従って、擬似信号=(平均値信号)
2/パルス圧縮信号となる。この式を実現する回路を用いることで、抽出信号を途中で作成することなく、擬似信号を作成できる。
【0053】
また、上記では、擬似信号の擬似メインローブ部の信号レベルは、方位方向にわたって略一定(変化量がノイズフロア程度)であるが、擬似サイドローブ部よりも信号レベルが低ければ、方位方向で信号レベルが変化していても良い。この場合であっても、受信信号のS/N比の低下を抑制できるという効果を発揮できる。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態の信号処理装置13は、パルス圧縮部51と、擬似信号生成部54と、サイドローブ除去部55と、を備え、以下の信号処理方法を行う。パルス圧縮部51は、外部に送信した送信信号の反射波である受信信号にパルス圧縮処理を行ったパルス圧縮信号を生成する(パルス圧縮工程)。擬似信号生成部54は、前記受信信号に基づいて、前記パルス圧縮信号のメインローブに相当する擬似メインローブ部の信号レベルが、前記パルス圧縮信号のサイドローブに相当する擬似サイドローブ部の信号レベルよりも小さい擬似信号を生成する(擬似信号生成工程)。サイドローブ除去部55は、パルス圧縮信号から擬似信号を除去する(サイドローブ除去工程)。
【0055】
これにより、擬似信号の擬似メインローブ部の信号レベルが擬似サイドローブ部よりも小さいため、パルス圧縮信号から擬似信号を除去することで、サイドローブを除去しつつ、メインローブの信号レベルの低下を抑制できる。これにより、パルス圧縮信号のメインローブのS/N比の低下を抑制できる。
【0056】
また、本実施形態の信号処理装置13において、パルス圧縮信号のメインローブのピーク値が存在する方位を基準方位としたときに、擬似サイドローブ部は、基準方位から離れるに従って信号レベルが徐々に低下している。擬似メインローブ部は、基準方位及び方位方向の端部において信号レベルが略一定である。
【0057】
これにより、パルス圧縮信号から擬似信号を除去した場合であっても、方位方向のピーク形状を残すことができるので、方位方向の分解能を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態の信号処理装置13において、擬似メインローブ部は、基準方位及び方位方向の端部において信号レベルがゼロ以上ノイズフロア近傍以下である。
【0059】
これにより、パルス圧縮信号から擬似信号を除去したときに、メインローブの信号レベルが小さくならないので、パルス圧縮信号のメインローブのS/N比及び方位方向の分解能の低下を一層確実に抑制できる。
【0060】
また、本実施形態の信号処理装置13は、受信信号の移動平均値又は加重平均値である平均値信号を生成する平均値信号生成部52を備える。擬似信号生成部54は、平均値信号とパルス圧縮信号とに基づいて、擬似信号を生成する。
【0061】
これにより、平均値信号を用いることで、精度の高い擬似信号を生成できる。
【0062】
また、本実施形態の信号処理装置13は、パルス圧縮信号のメインローブを抽出した抽出信号を生成する抽出信号生成部53を備える。擬似信号生成部54は、平均値信号から抽出信号を除去することで、擬似信号を生成する。
【0063】
これにより、簡単な処理で擬似信号を生成できる。
【0064】
また、本実施形態の信号処理装置13において、抽出信号生成部53は、パルス圧縮信号から平均値信号を除去することで、抽出信号を生成する。
【0065】
これにより、簡単な処理でパルス圧縮信号からメインローブを抽出できる。
【0066】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0067】
上記実施形態では、データ処理部43は、1つのハードウェアであるが、パルス圧縮部51から擬似信号生成部54のうち少なくとも1つが別のハードウェアから構成されていても良い。
【0068】
上記実施形態では、本発明を船舶用のレーダ装置に適用する例を説明したが、船舶以外の移動体(例えば航空機)に搭載されるレーダ装置にも本発明を適用することができる。また、移動体ではなく建物等に設置されるレーダ装置にも本発明を適用することができる。更に、本発明は、電磁波を送受信して周囲を探知する探知装置に限られず、超音波を送受信して周囲を探知する探知装置(例えば、魚群探知機及びソナー等の水中探知装置)にも適用することができる。