特許第6945310号(P6945310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945310
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】燃料タンクシステム
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/035 20060101AFI20210927BHJP
   B60K 15/077 20060101ALI20210927BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20210927BHJP
   F02M 25/08 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   B60K15/035 Z
   B60K15/077 A
   F02M37/00 301H
   F02M37/00 311J
   F02M37/00 311K
   F02M25/08 301H
   F02M25/08 E
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-55629(P2017-55629)
(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公開番号】特開2018-158608(P2018-158608A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】592056908
【氏名又は名称】浜名湖電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雄一郎
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−114845(JP,A)
【文献】 特開平6−235346(JP,A)
【文献】 特開2000−352356(JP,A)
【文献】 特開2001−3821(JP,A)
【文献】 特開2007−132282(JP,A)
【文献】 特開平7−259674(JP,A)
【文献】 特開2014−077422(JP,A)
【文献】 再公表特許第2013/018215(JP,A1)
【文献】 特開2003−13808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/035,15/077,
F02M 37/00 ,25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を貯留する燃料タンク(11)に一端が接続するタンク通路(21)と、
前記タンク通路の他端に接続し、前記燃料タンク内の燃料が蒸発することで発生した蒸発燃料を吸着可能なキャニスタ(30)と、
通電により作動し、前記タンク通路における開度を変化させ、前記タンク通路を流れる流体の流量を制御可能な電気制御弁(70、80、90)と、
前記燃料タンク内の燃料の液面の位置に基づき、前記燃料タンク内の圧力を検出することなく前記燃料タンク内の燃料が満タンであることを検出可能な満タン検出部(52)と、
前記電気制御弁の作動を制御可能な制御部(51)と、を備え、
前記制御部は、前記満タン検出部により燃料が満タンであることを検出したとき、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう前記電気制御弁を制御し、
前記制御部は、前記電気制御弁の開度を任意の開度および0にすることが可能であり、
前記制御部は、前記満タン検出部により燃料が満タンであることを検出したとき、前記電気制御弁を閉方向に作動するよう制御し、前記電気制御弁の開度を、0より大きく前記電気制御弁の最大開度より小さい所定の開度にする燃料タンクシステム(10)。
【請求項2】
前記所定の開度は、給油中の前記タンク通路を流れる流体の流量が所定量ありつつ前記燃料タンク内の圧力が上昇する程度の開度である請求項1に記載の燃料タンクシステム。
【請求項3】
燃料を貯留する燃料タンク(11)に一端が接続するタンク通路(21)と、
前記タンク通路の他端に接続し、前記燃料タンク内の燃料が蒸発することで発生した蒸発燃料を吸着可能なキャニスタ(30)と、
通電により作動し、前記タンク通路における開度を変化させ、前記タンク通路を流れる流体の流量を制御可能な電気制御弁(70、80、90)と、
前記燃料タンク内の燃料の液面の位置に基づき、前記燃料タンク内の圧力を検出することなく前記燃料タンク内の燃料が満タンであることを検出可能な満タン検出部(52)と、
前記電気制御弁の作動を制御可能な制御部(51)と、を備え、
前記制御部は、前記満タン検出部により燃料が満タンであることを検出したとき、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう前記電気制御弁を制御し、
前記制御部は、前記電気制御弁の開度を任意の開度および0にすることが可能であり、
前記制御部は、前記満タン検出部により燃料が満タンであることを検出し、前記電気制御弁を閉方向に作動するよう制御するとき、所定の速度で開度が徐々に小さくなるよう前記電気制御弁を制御する燃料タンクシステム(10)。
【請求項4】
前記所定の速度は、前記燃料タンク内の圧力の上昇による前記燃料タンクからの燃料の吹き返しを抑制可能な程度の速度である請求項3に記載の燃料タンクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンクとキャニスタとの間のタンク通路を開閉可能な制御弁を備えた燃料タンクシステムが知られている。例えば、特許文献1の燃料タンクシステムは、燃料中で浮力を生じ燃料タンク内の燃料が満タンになるとタンク通路を閉鎖するフロートバルブ、および、燃料タンクの内圧を検出する圧力センサをさらに備えている。この燃料タンクシステムでは、燃料タンクへの給油中、燃料タンク内の燃料が満タンになりフロートバルブがタンク通路を閉鎖すると、燃料タンクの内圧が急激に上昇する。この急激な圧力変化を圧力センサが検出すると、制御弁がタンク通路を閉じるよう制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−206081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の燃料タンクシステムでは、フロートバルブによりタンク通路を閉鎖し、燃料タンクの内圧を上昇させ、この内圧の上昇を圧力センサで検知することにより、制御弁を閉じ方向に制御している。そのため、特許文献1の燃料タンクシステムでは、フロートバルブおよび圧力センサは、必須の構成であり、廃止することができない。よって、システム全体の構成が複雑になるおそれがある。仮に、特許文献1の燃料タンクシステムにおいて、フロートバルブを廃止した場合、燃料が満タンになったときの燃料タンクの内圧の上昇は僅かであるため、圧力センサにより燃料タンクの内圧の上昇を検知できないおそれがある。圧力センサにより燃料タンクの内圧の上昇を検知できない場合、燃料が満タンになった後も燃料が燃料タンクにさらに供給され、燃料がタンク通路を経由してキャニスタ側へ浸入するおそれがある。また、燃料タンクの給油口から燃料があふれるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、簡単な構成で、燃料タンクの満タン時、タンク通路を流れる流体の流量を適切に制御可能な燃料タンクシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料タンクシステムは、タンク通路とキャニスタと電気制御弁と満タン検出部と制御部とを備えている。
タンク通路は、燃料を貯留する燃料タンクに一端が接続する。
キャニスタは、タンク通路の他端に接続し、燃料タンク内の燃料が蒸発することで発生した蒸発燃料を吸着可能である。
電気制御弁は、通電により作動し、タンク通路における開度を変化させ、タンク通路を流れる流体の流量を制御可能である。
満タン検出部は、燃料タンク内の燃料の液面の位置に基づき、燃料タンク内の圧力を検出することなく燃料タンク内の燃料が満タンであることを検出可能である。
制御部は、電気制御弁の作動を制御可能である。
【0007】
本発明では、制御部は、満タン検出部により燃料が満タンであることを検出したとき、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう電気制御弁を制御する。そのため、タンク通路を流れる流体の流量が低下する。これにより、燃料が満タンの状態になった後、燃料タンクに燃料がさらに供給されたとしても、燃料がタンク通路を経由してキャニスタ側へ浸入するのを抑制することができる。
このように、本発明では、満タン検出部は、燃料タンク内の圧力を検出することなく燃料タンク内の燃料が満タンであることを検出可能である。そのため、従来技術のようなフロートバルブおよび圧力センサを必要とすることなく、簡単な構成で、燃料タンクの満タン時、タンク通路を流れる流体の流量を適切に制御することができる。
本発明では、制御部は、電気制御弁の開度を任意の開度および0にすることが可能である。
本発明の第1の態様では、制御部は、満タン検出部により燃料が満タンであることを検出したとき、電気制御弁を閉方向に作動するよう制御し、電気制御弁の開度を、0より大きく電気制御弁の最大開度より小さい所定の開度にする。
本発明の第2の態様では、制御部は、満タン検出部により燃料が満タンであることを検出し、電気制御弁を閉方向に作動するよう制御するとき、所定の速度で開度が徐々に小さくなるよう電気制御弁を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による燃料タンクシステムを示す模式図。
図2】第2実施形態による燃料タンクシステムを示す模式図。
図3】第3実施形態による燃料タンクシステムを示す模式図。
図4】第4実施形態による燃料タンクシステムを示す模式図。
図5】第4実施形態による燃料タンクシステムの作動例を説明するための図。
図6】第5実施形態による燃料タンクシステムの作動例を説明するための図。
図7】第6実施形態による燃料タンクシステムの電気制御弁を示す模式図。
図8】第6実施形態による燃料タンクシステムの電気制御弁の別の状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の複数の実施形態による燃料タンクシステムを図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位は、同一または同様の作用効果を奏する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態による燃料タンクシステムを図1に示す。
第1実施形態の燃料タンクシステム10は、内燃機関としてのエンジン2を搭載した車両1に適用される。
車両1は、エンジン2、吸気管3、燃料タンク11、燃料タンクシステム10等を備えている。
車両1は、エンジン2の運転により生じる駆動力で走行する。エンジン2は、例えば燃料としてのガソリンを供給されることにより運転する。すなわち、エンジン2は、ガソリンエンジンである。
【0011】
吸気管3は、エンジン2に接続されている。吸気管3の内側には、吸気通路4が形成されている。吸気通路4は、一端がエンジン2の燃焼室に接続し、他端が大気に開放されている。吸気通路4は、大気側の空気をエンジン2の燃焼室に導く。吸気通路4を経由して燃焼室に吸入される空気(以下、適宜、「吸気」という)は、例えば燃料噴射弁等から噴射される燃料と混合され、混合気を形成する。当該混合気が燃焼室で燃焼することによりエンジン2が回転、すなわち、運転する。
吸気通路4には、スロットルバルブ5が設けられている。スロットルバルブ5は、吸気通路4を開閉することで、エンジン2に吸入される吸気の量を調整可能である。
【0012】
燃料タンク11は、エンジン2に供給するための燃料を貯留する。燃料タンク11内には、燃料ポンプ6が設けられている。燃料ポンプ6は、燃料タンク11内の燃料を吸入し、加圧して吐出する。燃料ポンプ6から吐出された燃料は、図示しない配管、燃料レールおよび燃料噴射弁を経由してエンジン2に供給される。
燃料タンク11は、タンク本体110、給油管12等を有している。
タンク本体110は、例えば金属等により箱状に形成されている。タンク本体110は、内側に、燃料を貯留可能なタンク内空間111を形成している。
【0013】
給油管12は、タンク本体110に接続されている。給油管12は、一端がタンク本体110に接続している。給油管12の他端には、給油口121が形成されている。給油管12は、タンク内空間111とタンク本体110の外部とを連通している。ここで、給油口121は、燃料タンク11が車両1に搭載された状態において、タンク本体110の鉛直方向上側となる位置に形成されている。給油口121は、給油ガン100を差し込み可能に形成されている。これにより、給油口121に挿し込んだ給油ガン100から給油管12を経由して燃料タンク11のタンク内空間111に燃料を供給すること、すなわち、給油することができる。
給油口121には、図示しないタンクキャップが設けられている。タンクキャップは、給油口121を開閉可能である。
【0014】
タンク本体110には、開口部14が形成されている。開口部14は、タンク内空間111とタンク本体110の外部とを連通するよう形成されている。ここで、開口部14は、燃料タンク11が車両1に搭載された状態において、タンク本体110の鉛直方向上側となる位置に形成されている。
燃料タンク11に燃料が貯留されているとき、燃料タンク11内の燃料が蒸発することでタンク内空間111に蒸発燃料が発生する。
【0015】
燃料タンクシステム10は、タンク通路21、パージ通路22、大気通路23、パージ弁41、キャニスタ30、電気制御弁70、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)50、液面センサ60等を備えている。
【0016】
タンク通路21は、一端が燃料タンク11の開口部14に接続するよう設けられる。これにより、タンク通路21の一端は、開口部14を経由して燃料タンク11のタンク内空間111に連通する。そのため、タンク通路21には、燃料タンク11で発生した蒸発燃料が、開口部14を経由して流入する。
【0017】
キャニスタ30は、ケース31、吸着材32等を有している。ケース31は、例えば樹脂等により箱状に形成されている。ケース31には、ケース開口部311、312、313が形成されている。ケース開口部311、312、313は、それぞれ、ケース31の内部と外部とを連通するよう形成されている。
【0018】
吸着材32は、ケース31の内部に設けられている。ここで、ケース開口部311およびケース開口部312は、ケース31において、吸着材32を挟んでケース開口部313とは反対側に形成されている。また、吸着材32は、ケース31の内部においてケース開口部313側に寄せて配置されている。そのため、ケース31の内部のうちケース開口部311、312側には、空間33が形成されている。ここで、ケース開口部311は、空間33を経由してケース開口部312に連通している。そのため、キャニスタ30のうちケース開口部311とケース開口部312との間(空間33)の通気抵抗は、略0、すなわち、所定値以下である。
【0019】
キャニスタ30のケース開口部311は、タンク通路21の他端に接続している。これにより、タンク通路21の他端は、ケース開口部311を経由してケース31の内部に連通している。そのため、燃料タンク11で発生した蒸発燃料は、燃料タンク11の開口部14、タンク通路21、ケース開口部311を経由してキャニスタ30のケース31の内部(空間33)に流入する。
【0020】
吸着材32は、例えば活性炭等であり、蒸発燃料を吸着可能である。そのため、吸着材32は、燃料タンク11内で発生し、ケース開口部311を経由してケース31の内部(空間33)に流入した蒸発燃料を吸着可能である。
【0021】
パージ通路22は、一端がキャニスタ30のケース開口部312に接続し、他端が吸気管3の開口部に接続するよう設けられる。これにより、パージ通路22の一端は、ケース開口部312を経由してキャニスタ30のケース31の内部(空間33)に連通している。また、パージ通路22の他端は、吸気管3の開口部を経由して吸気通路4に連通する。そのため、キャニスタ30の空間33に存在する蒸発燃料は、パージ通路22を経由して吸気通路4に導かれる。
【0022】
大気通路23は、一端がキャニスタ30のケース開口部313に接続し、他端が大気に開放されている。これにより、大気通路23の一端は、ケース開口部313を経由してケース31の内部に連通している。
【0023】
ケース開口部311からケース31の内部に流入した蒸発燃料は、ケース開口部313に向かうとき、吸着材32を通過する。このとき、蒸発燃料は、吸着材32に吸着される。そのため、大気通路23から大気側へ流出する空気に含まれる蒸発燃料は、所定の濃度以下となる。
【0024】
パージ弁41は、パージ通路22に設けられ、パージ通路22を開閉可能である。本実施形態では、パージ弁41は、非通電時、閉弁状態となる、所謂ノーマリークローズタイプの弁装置である。
【0025】
電気制御弁70は、タンク通路21に設けられている。本実施形態では、電気制御弁70は、燃料タンク11およびキャニスタ30から所定距離離れた位置に設けられている。電気制御弁70は、弁体71、電磁駆動部72を有している。
弁体71は、例えば棒状もしくは板状に形成されており、軸方向もしくは面方向に往復移動可能に設けられている。弁体71は、タンク通路21における先端部の位置に応じてタンク通路21における開度を変更可能である。ここで、「開度」とは、タンク通路21の断面積に対する流路面積の割合に対応した値である。開度が0のとき、タンク通路21が閉鎖されていることを意味する。開度が1のとき、最大開度を意味する。以下同様。
電磁駆動部72は、例えばコイルを有しており、通電により磁力を生じ、弁体71を軸方向に往復移動させることができる。これにより、電磁駆動部72は、タンク通路21における弁体71の開度を変更することができる。本実施形態では、電気制御弁70は、所謂ソレノイド弁である。
【0026】
電気制御弁70は、電磁駆動部72への非通電時、開度は0である。
なお、以下、適宜、タンク通路21のうち弁体71に対し燃料タンク11側をタンク側通路211とよび、タンク通路21のうち弁体71に対しキャニスタ30側をキャニスタ側通路212とよぶ。
【0027】
ECU50は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM、RAM、EEPROM、入出力手段としてのI/O等を有する小型のコンピュータである。ECU50は、車両1の各部に設けられた各種センサからの信号等の情報に基づき、ROM等に格納されたプログラムに従い演算を実行し、車両1の各種装置および機器の作動を制御する。このように、ECU50は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行する。このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。
ECU50は、概念的な機能部として、制御部51、満タン検出部52、給油検知部53を有している。ここで、ECU50が実行する機能の一部または全部を、1つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。つまり、ECU50が提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組み合わせによって提供することができる。
【0028】
制御部51は、各種センサからの信号等の情報に基づき、スロットルバルブ5、燃料ポンプ6、燃料噴射弁等の作動を制御可能である。そのため、制御部51は、エンジン2に吸入される吸気の量、燃料タンク11から燃料噴射弁に供給される燃料の量、燃料噴射弁からエンジン2に供給される燃料の量を制御することができる。
また、制御部51は、パージ弁41の作動を制御可能である。そのため、制御部51は、パージ通路22の開閉状態を制御することができる。
【0029】
制御部51は、例えば、エンジン2が運転しているとき、すなわち、吸気通路4を吸気が流れているとき、キャニスタ30に吸着された蒸発燃料の量が所定量以上になったと推定した場合、パージ弁41の作動を制御し、パージ通路22を開状態にする。これにより、パージ通路22の吸気通路4側に負圧が生じる。その結果、キャニスタ30の吸着材32に吸着されていた蒸発燃料、および、空間33の蒸発燃料は、パージ通路22を経由して吸気通路4に排出(パージ)される。このように、制御部51は、パージ弁41の作動を制御し、蒸発燃料を吸気通路4に排出し処理することが可能である。
【0030】
また、制御部51は、電気制御弁70の作動を制御可能である。制御部51は、電気制御弁70の電磁駆動部72の通電を制御することにより、タンク通路21における弁体71の開度を制御することができる。
【0031】
液面センサ60は、検出部61、アーム62、フロート63を有している。検出部61は、タンク内空間111の鉛直方向上側に設けられている。アーム62は、検出部61から鉛直方向下側へ向かって延びるよう設けられている。アーム62は、検出部61を中心として回転可能である。フロート63は、アーム62の検出部61とは反対側の端部に設けられている。フロート63は、燃料中で浮力を生じる。そのため、フロート63は、タンク本体110内の燃料の液面の位置に応じてタンク本体110内を鉛直方向上限に移動する。このとき、アーム62は、検出部61を中心に回転する。
【0032】
検出部61は、アーム62の回転位置を検出する。検出部61は、検出したアーム62の回転位置に対応した信号をECU50の満タン検出部52に伝送する。満タン検出部52は、検出部61からの信号に基づき、タンク本体110内の燃料の液面の位置を検出可能である。これにより、満タン検出部52は、タンク本体110内の燃料が満タンであるか否かを判定可能である。つまり、満タン検出部52は、液面センサ60からの信号、すなわち、燃料タンク11内の燃料の液面の位置に基づき、燃料タンク11内の燃料が満タンであることを検出可能である。
【0033】
燃料タンクシステム10は、リッド13、リッド操作スイッチ15、リッド操作装置16、リッド開閉センサ501をさらに備えている。
リッド13は、給油口121をタンクキャップとともに覆うことが可能なよう車両1の外壁に設けられている。リッド操作スイッチ15は、車両1の内部に設けられ、車両1の運転者が操作可能である。リッド操作装置16は、リッド13を開閉可能に設けられている。運転者がリッド操作スイッチ15を操作すると、リッド操作装置16によりリッド13が開く。その後、タンクキャップを取り外すことにより、燃料タンク11への給油が可能となる。
【0034】
リッド開閉センサ501は、リッド13の開閉状態を検出し、これに対応する信号をECU50の給油検知部53に伝送する。給油検知部53は、リッド開閉センサ501からの信号に基づき、リッド13が閉状態から開状態に変わったとき、給油が開始されることを検知する。また、給油検知部53は、リッド開閉センサ501からの信号に基づき、リッド13が開状態から閉状態に変わったとき、給油が終了したことを検知する。つまり、給油検知部53は、燃料タンク11への給油中であることを検知可能である。
【0035】
制御部51は、リッド13が閉状態から開状態に変わったとき、すなわち、給油検知部53により給油が開始されることを検知したとき、開度が大きくなる方向である開方向に作動するよう電気制御弁70を制御する。そのため、燃料タンク11への給油中は、電気制御弁70は開いた状態となる。これにより、燃料タンク11内の流体はタンク通路21を経由してキャニスタ30側へ流れることができる。よって、給油ガン100から燃料タンク11に燃料を円滑に供給することができる。
【0036】
制御部51は、給油検知部53により給油中であることを検知している状態において、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう電気制御弁70を制御する。本実施形態では、このとき、制御部51は、電気制御弁70の開度を0にする。これにより、タンク通路21が閉鎖される。
【0037】
電気制御弁70によりタンク通路21が閉鎖された後も燃料タンク11への給油が継続された場合、燃料タンク11の内圧は急激に上昇する。給油ガン100に圧力センサが設けられている場合、当該圧力センサが燃料タンク11の内圧の上昇を検知すると、給油ガン100からの給油が自動停止される。
あるいは、給油ガン100に燃料の液面を検出するセンサが設けられている場合、当該センサが給油管12において燃料の液面を検知すると、給油ガン100からの給油が自動停止される。
【0038】
以上説明したように、(1)本実施形態の燃料タンクシステム10は、タンク通路21とキャニスタ30と電気制御弁70と満タン検出部52と制御部51とを備えている。
タンク通路21は、燃料を貯留する燃料タンク11に一端が接続する。
キャニスタ30は、タンク通路21の他端に接続し、燃料タンク11内の燃料が蒸発することで発生した蒸発燃料を吸着可能である。
電気制御弁70は、通電により作動し、タンク通路21における開度を変化させ、タンク通路21を流れる流体の流量を制御可能である。
満タン検出部52は、燃料タンク11内の燃料の液面の位置に基づき、燃料タンク11内の圧力を検出することなく燃料タンク11内の燃料が満タンであることを検出可能である。
制御部51は、電気制御弁70の作動を制御可能である。
【0039】
本実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう電気制御弁70を制御する。そのため、タンク通路21を流れる流体の流量が低下する。ここで、タンク通路21を流れる流体は、液体燃料ではなく、蒸発燃料である。以下同様。これにより、燃料が満タンの状態になった後、燃料タンク11に燃料がさらに供給されたとしても、燃料および蒸発燃料がタンク通路21を経由してキャニスタ30側へ浸入するのを抑制することができる。
このように、本実施形態では、満タン検出部52は、燃料タンク11内の圧力を検出することなく燃料タンク11内の燃料が満タンであることを検出可能である。そのため、従来技術のようなフロートバルブおよび圧力センサを必要とすることなく、簡単な構成で、燃料タンク11の満タン時、タンク通路21を流れる流体の流量を適切に制御することができる。
【0040】
また、(2)本実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、電気制御弁70を閉方向に作動するよう制御し、電気制御弁70の開度を0にする。そのため、燃料が満タンになったとき、タンク通路21を確実に閉鎖することができる。これにより、燃料が満タンの状態になった後、燃料タンク11に燃料がさらに供給されたとしても、燃料および蒸発燃料がタンク通路21を経由してキャニスタ30側へ浸入するのを確実に抑制することができる。
【0041】
また、(6)本実施形態では、電気制御弁70は、タンク通路21における開度を変更可能な弁体71、および、通電により作動し開度が変化するよう弁体71を駆動することが可能な電磁駆動部72を有している。そのため、電気制御弁70を比較的簡素な構成とすることができる。また、電気制御弁70の作動を比較的容易に制御することができる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態による燃料タンクシステムを図2に示す。
第2実施形態は、濃度センサ502をさらに備えている。また、ECU50は、破過検知予測部54をさらに有している。
【0043】
濃度センサ502は、キャニスタ30に設けられている。濃度センサ502は、キャニスタ30内における蒸発燃料の濃度を検出し、検出した濃度に対応する信号をECU50の破過検知予測部54に伝送する。破過検知予測部54は、濃度センサ502からの信号に基づき、キャニスタ30が破過したことを検知、または、キャニスタ30の破過時期を予測可能である。ここで、「キャニスタ30が破過した状態」とは、キャニスタ30に吸着された蒸発燃料が、キャニスタ30により吸着可能な最大の量に達した状態のことをいう。
【0044】
制御部51は、破過検知予測部54によりキャニスタ30が破過したことを検知、または、キャニスタ30が所定期間後に破過すると予測したとき、電気制御弁70を閉方向に作動するよう制御する。これにより、蒸発燃料がタンク通路21を経由してキャニスタ30に流れることを抑制し、破過したキャニスタ30を通過して蒸発燃料が大気に放出されることを抑制できる。
【0045】
本実施形態では、制御部51は、燃料タンク11への給油中であっても、破過検知予測部54によりキャニスタ30が破過したことを検知、または、キャニスタ30が所定期間後に破過すると予測したとき、電気制御弁70を閉方向に作動するよう制御する。これにより、タンク通路21を流れる流体の流量が低下する。本実施形態では、このとき、電気制御弁70の開度を0にする。これにより、タンク通路21が閉鎖される。
【0046】
電気制御弁70によりタンク通路21が閉鎖された後も燃料タンク11への給油が継続された場合、燃料タンク11の内圧は急激に上昇する。給油ガン100に圧力センサが設けられている場合、当該圧力センサが燃料タンク11の内圧の上昇を検知すると、給油ガン100からの給油が自動停止される。
第2実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0047】
以上説明したように、(4)本実施形態は、破過検知予測部54をさらに備えている。破過検知予測部54は、キャニスタ30が破過したことを検知、または、キャニスタ30の破過時期を予測可能である。制御部51は、破過検知予測部54によりキャニスタ30が破過したことを検知、または、キャニスタ30が所定期間後に破過すると予測したとき、電気制御弁70を閉方向に作動するよう制御する。これにより、タンク通路21を流れる流体の流量が低下する。この後も燃料タンク11への給油が継続された場合、燃料タンク11の内圧は急激に上昇する。給油ガン100に圧力センサが設けられている場合、当該圧力センサが燃料タンク11の内圧の上昇を検知すると、給油ガン100からの給油が自動停止される。これにより、キャニスタ30を経由して大気に蒸発燃料が放出される前に、燃料タンク11への給油を停止することができる。
【0048】
(第3実施形態)
第3実施形態による燃料タンクシステムを図3に示す。第3実施形態は、電気制御弁70の配置が第1実施形態と異なる。
第3実施形態では、電気制御弁70は、タンク通路21の燃料タンク11側の端部に設けられている。電気制御弁70は、燃料タンク11のタンク本体110の外壁に当接するよう設けられている。そのため、第1実施形態と比べ、タンク通路21のタンク側通路211の容積は小さい。
第3実施形態は、上述した点以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0049】
第3実施形態では、電気制御弁70をタンク通路21の燃料タンク11側の端部に設けている。そのため、タンク通路21のタンク側通路211の容積を小さくすることができる。これにより、電気制御弁70がタンク通路21を閉鎖した後、燃料タンク11への給油が継続された場合、燃料タンク11の内圧はより急激に上昇する。よって、給油ガン100に圧力センサが設けられている場合、当該圧力センサにより燃料タンク11の内圧の上昇が確実に検知され、給油ガン100からの給油が確実に自動停止される。
【0050】
(第4実施形態)
第4実施形態による燃料タンクシステムを図4に示す。第4実施形態は、電気制御弁の構成および制御の仕方等が第1実施形態と異なる。
第4実施形態は、電気制御弁80を備えている。電気制御弁80は、タンク通路21に設けられている。本実施形態では、電気制御弁80は、燃料タンク11およびキャニスタ30から所定距離離れた位置に設けられている。電気制御弁80は、弁体81、モータ82を有している。
【0051】
弁体81は、例えば棒状もしくは板状に形成されており、軸方向もしくは面方向に往復移動可能に設けられている。弁体81は、タンク通路21における先端部の位置に応じてタンク通路21における開度を変更可能である。
モータ82は、通電により回転し、弁体81の軸方向の位置を変更可能である。そのため、モータ82は、タンク通路21における弁体81の開度を変更可能である。
【0052】
制御部51は、モータ82への通電を制御することにより、タンク通路21における弁体81の開度を制御することができる。また、制御部51は、モータ82への通電を停止することにより、弁体81を軸方向の任意の位置で停止させることができる。
【0053】
次に、第4実施形態の燃料タンクシステム10の作動例を説明する。
図5に実線で示すように、制御部51は、給油検知部53により給油が開始されることを検知したとき(時刻t1)、開度が大きくなる方向である開方向に作動するよう電気制御弁80を制御する。これにより、時刻t2で電気制御弁80の開度が1になる。その結果、燃料タンク11の内圧、すなわち、タンク内圧が低下する。これにより、時刻t3でタンク内圧は大気圧程度になる。
【0054】
例えば時刻t1以降に給油が開始され、時刻t3と時刻t4との間で給油が継続され、時刻t4で満タン検出部52により燃料が満タンになったことを検出すると、制御部51は、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう電気制御弁80を制御する。本実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき(時刻t4)、電気制御弁80を閉方向に作動するよう制御し、電気制御弁80の開度を「所定の開度」にする(時刻t5)。ここで、「所定の開度」は、0より大きく電気制御弁80の最大開度より小さい開度であり、給油中のタンク通路21を流れる流体の流量が所定量ありつつタンク内圧が上昇する程度の開度である。本実施形態では、「所定の開度」は、例えば給油時のタンク通路21を流れる流体の流量が5L/min以下となるような開度である。なお、給油ガン100により給油しているときの最大開度時のタンク通路21を流れる流体の流量は、一般的に40L/min程度である。ここで、タンク通路21を流れる流体は、液体燃料ではなく、蒸発燃料である。
【0055】
時刻t5で電気制御弁80の開度が「所定の開度」になると、タンク内圧は、その後、緩やかに上昇し、時刻t8以降一定となる。給油ガン100に圧力センサが設けられている場合、当該圧力センサが時刻t5と時刻t8との間で燃料タンク11の内圧の上昇を検知すると、給油ガン100からの給油が自動停止される。
【0056】
次に、比較例による燃料タンクシステムの作動例を図5に破線で示し、比較例に対する第4実施形態の優位な効果を説明する。
比較例による燃料タンクシステムは、物理的な構成は第4実施形態と同じであるものの、制御部51による電気制御弁80の制御の仕方が第4実施形態と異なる。比較例による燃料タンクシステムでは、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき(時刻t4)、電気制御弁80を閉方向に作動するよう制御し、電気制御弁80の開度を0にする(時刻t6)。そのため、時刻t6の後、タンク内圧は急激に上昇し、時刻t7でオーバーシュートする。これにより、燃料が給油管12の給油口121から吹き返すおそれがある。
【0057】
上述のように、第4実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき(時刻t4)、電気制御弁80を閉方向に作動するよう制御し、電気制御弁80の開度を「所定の開度」にする(時刻t5)。そのため、タンク内圧は、その後、緩やかに上昇する。これにより、比較例で示したタンク内圧のオーバーシュートを抑制し、燃料が給油管12の給油口121から吹き返すのを抑制することができる。
【0058】
以上説明したように、(3)本実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、電気制御弁80を閉方向に作動するよう制御し、電気制御弁80の開度を、0より大きく電気制御弁80の最大開度より小さい所定の開度にする。ここで、「所定の開度」を給油中のタンク通路21を流れる流体の流量が所定量ありつつタンク内圧が上昇する程度の開度に設定すれば、給油口121からの燃料の吹き返しを抑制しつつ、タンク内圧を上昇させることができる。そのため、給油ガン100に圧力センサが設けられている場合、当該圧力センサが燃料タンク11の内圧の上昇を検知すると、給油ガン100からの給油が自動停止される。
【0059】
また、(7)本実施形態では、電気制御弁80は、タンク通路21における開度を変更可能な弁体81、および、通電により作動し開度が変化するよう弁体81を駆動することが可能なモータ82を有している。そのため、制御部51は、モータ82への通電を停止することにより、弁体81を軸方向の任意の位置で停止させることができる。よって、電気制御弁80を上記「所定の開度」となるよう高精度に制御するのが容易である。また、電気制御弁80を上記「所定の開度」で停止させるとき、電気制御弁80への通電を停止できる。そのため、電気制御弁80の消費電力を低減することができる。
【0060】
(第5実施形態)
第5実施形態による燃料タンクシステムについて図6に基づき説明する。第5実施形態は、電気制御弁の制御の仕方等が第4実施形態と異なる。
第5実施形態は、物理的な構成は第4実施形態と同様である。
第5実施形態では、制御部51は、モータ82への通電を制御することにより、弁体81の軸方向への移動速度を制御することができる。
【0061】
次に、第5実施形態の燃料タンクシステム10の作動例を説明する。
図6に実線で示すように、制御部51は、給油検知部53により給油が開始されることを検知したとき(時刻t1)、開度が大きくなる方向である開方向に作動するよう電気制御弁80を制御する。これにより、時刻t2で電気制御弁80の開度が1になる。その結果、燃料タンク11の内圧、すなわち、タンク内圧が低下する。これにより、時刻t3でタンク内圧は大気圧程度になる。
【0062】
例えば時刻t1以降に給油が開始され、時刻t3と時刻t4との間で給油が継続され、時刻t4で満タン検出部52により燃料が満タンになったことを検出すると、制御部51は、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう電気制御弁80を制御する。本実施形態では、このとき、制御部51は、開度が徐々に小さくなるよう電気制御弁80を制御する。これにより、時刻t4から時刻t7にかけて電気制御弁80の開度が徐々に小さくなり、時刻t7で開度が0になる。本実施形態では、時刻t4から時刻t7までの期間は、約50msである。すなわち、制御部51は、約50msかけて電気制御弁80の開度を1から0に変化させる。
【0063】
制御部51が電気制御弁80を上述のように制御することにより、タンク内圧は、時刻t5から時刻t7にかけて緩やかに上昇し、時刻t7以降一定となる。給油ガン100に圧力センサが設けられている場合、当該圧力センサが時刻t5と時刻t7との間で燃料タンク11の内圧の上昇を検知すると、給油ガン100からの給油が自動停止される。
【0064】
次に、比較例による燃料タンクシステムの作動例を図6に破線で示し、比較例に対する第5実施形態の優位な効果を説明する。
比較例による燃料タンクシステムは、物理的な構成は第5実施形態と同じであるものの、制御部51による電気制御弁80の制御の仕方が第5実施形態と異なる。比較例による燃料タンクシステムでは、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき(時刻t4)、電気制御弁80を閉方向に作動するよう制御し、「所定時間」内で電気制御弁80の開度を0にする(時刻t5)。ここで、「所定時間」とは、例えば約30〜40msである。そのため、時刻t5の後、タンク内圧は急激に上昇し、時刻t6でオーバーシュートする。これにより、燃料が給油管12の給油口121から吹き返すおそれがある。
【0065】
上述のように、第5実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき(時刻t4)、開度が徐々に小さくなるよう電気制御弁80を制御する。そのため、時刻t5以降、タンク内圧は、緩やかに上昇する。これにより、比較例で示したタンク内圧のオーバーシュートを抑制し、燃料が給油管12の給油口121から吹き返すのを抑制することができる。
【0066】
以上説明したように、(5)本実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出し電気制御弁80を閉方向に作動するよう制御するとき、開度が徐々に小さくなるよう電気制御弁80を制御する。そのため、給油中、燃料が満タンになった後も燃料の供給が継続された場合、タンク内圧は、緩やかに上昇する。これにより、給油口121からの燃料の吹き返しを抑制しつつ、タンク内圧を上昇させることができる。そのため、給油ガン100に圧力センサが設けられている場合、当該圧力センサが燃料タンク11の内圧の上昇を検知すると、給油ガン100からの給油が自動停止される。
【0067】
(第6実施形態)
第6実施形態による燃料タンクシステムの一部を図7、8に示す。第6実施形態は、電気制御弁の構成等が第1実施形態と異なる。
第6実施形態は、電気制御弁90を備えている。電気制御弁90は、タンク通路21に設けられている。本実施形態では、電気制御弁90は、燃料タンク11およびキャニスタ30から所定距離離れた位置に設けられている。電気制御弁90は、主室91、背圧室92、圧力弁93、スプリング94、電磁弁95、絞り部96等を有している。
【0068】
主室91は、タンク側通路211のキャニスタ側通路212側の端部に形成されている。主室91は、キャニスタ側通路212のタンク側通路211側の端部の周囲に環状に形成されている(図7参照)。なお、キャニスタ側通路212のタンク側通路211側の端部には弁座251が形成されている。
背圧室92は、主室91に隣接するよう形成されている。背圧室92とタンク側通路211とは、第1バイパス通路201により接続されている。また、背圧室92とキャニスタ側通路212とは、第2バイパス通路202により接続されている。なお、第2バイパス通路202の途中には、弁座252が形成されている。
【0069】
圧力弁93は、主室91と背圧室92との間に設けられている。圧力弁93は、弁体931、ダイヤフラム932を有している。弁体931は、例えばゴム等の弾性部材により板状に形成されている。ダイヤフラム932は、例えばゴム等の弾性部材により薄い板状に形成されている。ダイヤフラム932は、主室91と背圧室92とを区画するよう設けられている。弁体931は、ダイヤフラム932の主室91側の面に設けられている。弁体931のダイヤフラム932とは反対側の面は、弁座251に当接および弁座251から離間可能である。
【0070】
スプリング94は、背圧室92に設けられている。スプリング94は、所謂コイルスプリングであり、弁体931が弁座251に押し付けられるよう圧力弁93を付勢している。主室91の圧力が背圧室92の圧力より高くなると、ダイヤフラム932がスプリング94の付勢力に抗して弁座251から離れる方向に変形する。これにより、弁体931は弁座251から離間する。
【0071】
弁体931が弁座251に当接しているとき、タンク通路21における電気制御弁90(圧力弁93)の開度は、0である。このとき、タンク通路21のタンク側通路211とキャニスタ側通路212との間は、閉鎖される。また、弁体931が弁座251から離間するほど、タンク通路21における電気制御弁90(圧力弁93)の開度は大きくなる。
【0072】
電磁弁95は、弁体951、軸部952、電磁駆動部953、スプリング954を有している。弁体951は、例えばゴム等の弾性部材により板状に形成されている。弁体951は、一方の面が弁座252に当接または弁座252から離間可能である。軸部952は、弁体951から弁座252とは反対側へ向かって延びるよう棒状に形成されている。軸部952は、弁体951と一体に軸方向へ往復移動可能である。電磁駆動部953は、例えばコイルを有しており、通電により磁力を生じ、弁体951および軸部952を軸方向に往復移動させることができる。これにより、電磁駆動部953は、第2バイパス通路202における弁体951の開度を変更することができる。本実施形態では、電磁弁95は、所謂ソレノイド弁である。スプリング954は、所謂コイルスプリングであり、弁体951が弁座252に押し付けられるよう弁体951および軸部952を付勢している。
【0073】
電磁駆動部953への通電により弁体951および軸部952は、スプリング954の付勢力に抗して弁座252とは反対側へ移動する。これにより、弁体951は弁座252から離間する。このように、電磁弁95は、通電により作動し背圧室92とキャニスタ30との間を開閉可能である。電磁弁95への非通電時、弁体951は、弁座252に当接し、背圧室92とキャニスタ30との間を閉じている。なお、スプリング954の付勢力は、比較的小さく設定してある。そのため、電磁弁95へ供給する電力が比較的小さくても弁体951を弁座252から離間させることができる。
【0074】
絞り部96は、第1バイパス通路201に設けられている。絞り部96は、内径が第1バイパス通路201の内径より小さくなるよう環状に形成されている。つまり、絞り部96は、第1バイパス通路201における流体の流れを制限可能である。そのため、第1バイパス通路201においてタンク側通路211側と背圧室92側との間に圧力差が生じると、流体が所定時間をかけて絞り部96を流れる。これにより、第1バイパス通路201においてタンク側通路211側と背圧室92側との間の圧力差が所定時間をかけて解消する。
【0075】
制御部51は、電磁弁95への通電を制御し圧力弁93の開度を制御することができる。例えば、電磁弁95が背圧室92とキャニスタ30との間を閉じているとき、燃料タンク11内に蒸発燃料が発生すると、タンク通路21のタンク側通路211、主室91、第1バイパス通路201、背圧室92の圧力は、大気圧よりも高くなる。このとき、制御部51が電磁弁95への通電を制御し弁体951を弁座252から離間させると(図8参照)、背圧室92の圧力は、タンク通路21のキャニスタ側通路212の圧力と同じく、大気圧と同等になる。これにより、主室91に対し背圧室92の圧力が負圧になり、弁体931が弁座251から離れるようダイヤフラム932が変形する。その結果、タンク側通路211の流体が弁座251、キャニスタ側通路212、キャニスタ30、大気通路23を経由して大気側へ流れる。これにより、タンク内圧が低下する。なお、絞り部96により第1バイパス通路201における流体の流れが制限されることにより、弁体931が弁座251から離間した状態を所定時間継続させることができる。
【0076】
本実施形態では、制御部51は、リッド13が閉状態から開状態に変わったとき、すなわち、給油検知部53により給油が開始されることを検知したとき、電磁弁95により第2バイパス通路202を開け、開度が大きくなる方向である開方向に圧力弁93が作動するよう電気制御弁90を制御する。そのため、燃料タンク11への給油中は、電気制御弁90の圧力弁93は開いた状態となる(図8参照)。これにより、燃料タンク11内の流体はタンク通路21を経由してキャニスタ30側へ流れることができる。よって、給油ガン100から燃料タンク11に燃料を円滑に供給することができる。
【0077】
制御部51は、給油検知部53により給油中であることを検知している状態において、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、電磁弁95により第2バイパス通路202を閉じ、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう電気制御弁90を制御する。これにより、圧力弁93の弁体931が弁座251に当接し、タンク通路21のタンク側通路211とキャニスタ側通路212との間が閉鎖される(図7参照)。
【0078】
以上説明したように、(8)本実施形態では、電気制御弁90は、タンク通路21に形成され燃料タンク11に連通する主室91、タンク通路21に形成され燃料タンク11およびキャニスタ30に連通する背圧室92、主室91と背圧室92との差圧に応じてタンク通路21における開度が変化する圧力弁93、および、通電により作動し背圧室92とキャニスタ30との間を開閉可能な電磁弁95を有している。そのため、主室91および背圧室92が大気圧より高い状態で、電磁弁95により背圧室92とキャニスタ30との間を開くと、主室91に対し背圧室92側の圧力が低くなり圧力弁93を開くことができる。ここで、電磁弁95は、供給される電力が比較的小さくても弁体951を弁座252から離間させることができる。そのため、電気制御弁90の消費電力を低減することができる。また、電磁弁95を小型にでき、電気制御弁90を小型にすることができる。
【0079】
(他の実施形態)
上述の第1実施形態では、制御部51は、給油検知部53により給油中であることを検知している状態において、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、開度が小さくなる方向である閉方向に作動するよう電気制御弁70を制御し、電気制御弁70の開度を0にする例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、例えば電気制御弁70の電磁駆動部72へ供給する電力のデューティー比を制御し、電気制御弁70の開度を前記「所定の開度」にすることとしてもよい。これにより、第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、同様に、第6実施形態において、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、例えば電気制御弁90の電磁駆動部953へ供給する電力のデューティー比を制御し、電気制御弁90の圧力弁93の開度を前記「所定の開度」にすることとしてもよい。
【0080】
また、本発明の他の実施形態では、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出し電気制御弁70を閉方向に作動するよう制御するとき、例えば電気制御弁70の電磁駆動部72へ供給する電力のデューティー比を制御し、開度が徐々に小さくなるよう電気制御弁70を制御することとしてもよい。これにより、第5実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、同様に、第6実施形態において、制御部51は、満タン検出部52により燃料が満タンであることを検出したとき、例えば電気制御弁90の電磁駆動部953へ供給する電力のデューティー比を制御し、圧力弁93の開度が徐々に小さくなるよう電気制御弁90を制御することとしてもよい。
【0081】
また、上述の第2実施形態では、破過検知予測部54が、キャニスタ30内における蒸発燃料の濃度を検出する濃度センサ502からの信号に基づき、キャニスタ30が破過したことを検知、または、キャニスタ30の破過時期を予測可能であることを示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、破過検知予測部54は、例えばキャニスタ30内の圧力を検出する圧力センサからの信号に基づき、キャニスタ30が破過したことを検知、または、キャニスタ30の破過時期を予測することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、満タン検出部52は、燃料タンク11に設けられた液面センサ60からの信号に基づき、燃料タンク11内の燃料が満タンであることを検出可能であることを示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、例えば燃料ポンプ6に設けられた液面センサ60(センダゲージ)からの信号に基づき、燃料タンク11内の燃料が満タンであることを検出することとしてもよい。
また、本発明の他の実施形態では、満タン検出部52は、燃料タンク11内の燃料の液面の位置を検出可能であれば、アーム62およびフロート63を有する上述の液面センサ60に限らず、例えば光を燃料の液面に照射し反射率または屈折率の変化を検出することにより燃料の液面の位置を検出可能なセンサ、電気抵抗の変化を検出することにより燃料の液面の位置を検出可能なセンサ、燃料中で浮力を生じるフロートの位置を検出することにより燃料の液面の位置を検出可能なセンサ等からの信号に基づき、燃料タンク11内の燃料が満タンであることを検出することとしてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 燃料タンクシステム、11 燃料タンク、21 タンク通路、30 キャニスタ、51 制御部、52 満タン検出部、70、80、90 電気制御弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8