特許第6945315号(P6945315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6945315発電プラント及び発電プラントの運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945315
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】発電プラント及び発電プラントの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20210927BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   H02J3/38 110
   H02J3/38 170
   H02J3/38 130
   H02J3/38 180
   H02J3/00 170
【請求項の数】21
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-59285(P2017-59285)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-164334(P2018-164334A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2019年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】上地 英之
(72)【発明者】
【氏名】四條 利久磨
(72)【発明者】
【氏名】堀添 浩司
(72)【発明者】
【氏名】篠田 尚信
(72)【発明者】
【氏名】後藤 満文
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−046982(JP,A)
【文献】 特開2000−358329(JP,A)
【文献】 特開2016−031932(JP,A)
【文献】 特開2013−140805(JP,A)
【文献】 特開2013−110956(JP,A)
【文献】 特開2016−220348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00− 8/0297
8/08− 8/2495
12/00−16/00
H02J 3/00− 7/12
7/34−11/00
H02P 9/00− 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転シャフトを有するプラント機器と、
前記回転シャフトに連結され、前記回転シャフトを回転駆動することにより前記プラント機器を始動させるための交流電動機と、
前記プラント機器としての原動機によって駆動されるように構成され、電力系統に連系可能に構成された交流発電機と、
少なくとも一つの直流電源と、
前記少なくとも一つの直流電源と前記交流電動機との間、かつ、前記少なくとも一つの直流電源と前記電力系統との間に設けられた第1インバータと、を備え、
前記第1インバータは、前記少なくとも一つの直流電源からの直流電力を交流電力に変換するとともに、該交流電力を前記交流電動機又は前記電力系統に選択的に供給可能に構成された
ことを特徴とする発電プラント。
【請求項2】
前記第1インバータと前記電力系統との接続状態を切り替えるための第1開閉器と、
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータ及び前記第1開閉器に対して並列に設けられ、前記電力系統からの交流電力を直流電力に変換するための整流器と、
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータ及び前記第1開閉器に対して並列に設けられ、前記整流器と前記電力系統との接続状態を切り替えるための第2開閉器と、
をさらに備え、
前記少なくとも一つの直流電源は、前記整流器からの直流電流を受け取るように構成された二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の発電プラント。
【請求項3】
前記直流電源と前記交流発電機との間に設けられ、前記交流発電機からの交流電力を直流電力に変換するための整流器を備え、
前記少なくとも一つの直流電源は、前記整流器からの直流電力を受け取るように構成された二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発電プラント。
【請求項4】
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータに対して並列に設けられた第2インバータを備え、
前記第2インバータは、前記第1インバータが前記交流電動機に交流電流を供給している間、前記直流電源からの直流電力を交流電力に変換して前記交流電動機とは別の電力需要部に供給するように構成された
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の発電プラント。
【請求項5】
前記交流発電機は、前記原動機を始動させるための前記交流電動機として機能するように構成された
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の発電プラント。
【請求項6】
前記交流発電機は、該交流発電機の励磁電力として前記直流電源からの直流電力が供給されるように構成された
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の発電プラント。
【請求項7】
前記交流電動機として、前記交流発電機を兼用することを特徴とする請求項5又は6に記載の発電プラント。
【請求項8】
前記プラント機器はガスタービンを含み、
前記交流電動機は、前記ガスタービンを駆動するように構成された
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の発電プラント。
【請求項9】
前記少なくとも1つの直流電源は、アノードと、二酸化炭素を含むガスが供給されるように構成されたカソードと、前記二酸化炭素由来の炭酸イオンを前記カソードから前記アノードに移動させるように構成された電解質と、を含む燃料電池を含み、
前記カソードは、前記二酸化炭素を含むガスとして、前記ガスタービンからの排ガスが供給されるように構成された
ことを特徴とする請求項8に記載の発電プラント。
【請求項10】
前記少なくとも一つの直流電源に対して並列に設けられた電気化学式燃料生成装置をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の発電プラント。
【請求項11】
回転シャフトを有するプラント機器と、前記回転シャフトに連結される交流電動機と、少なくとも1つの直流電源と、電力系統に連系可能に構成された交流発電機と、前記直流電源と前記交流電動機との間、かつ、前記直流電源と前記電力系統との間に設けられた第1インバータと、を含む発電プラントの運転方法であって、
前記少なくとも1つの直流電源で直流電力を生成するステップと、
前記第1インバータにより前記直流電力を交流電力に変換するステップと、
前記第1インバータから交流電力を前記交流電動機に供給して、前記交流電動機により前記回転シャフトを回転駆動することにより前記プラント機器を始動させるステップと、
前記プラント機器の始動後、前記プラント機器としての原動機によって前記交流発電機を駆動し、前記交流発電機により生成される交流電力を前記電力系統に供給するとともに、前記第1インバータから交流電力を前記電力系統に供給するステップと、
を備えることを特徴とする発電プラントの運転方法。
【請求項12】
前記発電プラントは、前記直流電源と前記電力系統との間において前記第1インバータに対して並列に設けられた整流器をさらに含み、
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含み、
前記プラント機器の稼働中に、前記少なくとも一つの直流電源からの直流電力を前記第1インバータによって交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に供給するステップと、
前記電力系統において電力需要が規定値以下に低下したときに、前記電力系統からの交流電力を前記整流器によって直流電力に変換し、該直流電力を前記二次電池又は前記電気化学式燃料生成発電装置に供給するステップと、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項13】
前記発電プラントは、前記直流電源と前記交流発電機との間に設けられた整流器と、を備え、
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含み、
前記交流発電機を前記電力系統から解列させるステップと、
前記交流発電機を解列させた後、前記原動機が停止するまでの間、前記交流発電機からの回生電力を、前記整流器を介して前記二次電池又は前記電気化学式燃料生成発電装置に供給するステップと、
を備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの直流電源は二次電池を含み、
前記プラント機器の稼働中、前記二次電池において前記回生電力分の空き容量を維持するステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項13に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項15】
前記発電プラントは、前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータに対して並列に設けられた第2インバータを含み、
前記第1インバータが前記プラント機器の始動のために前記交流電動機に交流電流を供給している間、前記直流電源からの直流電力を前記第2インバータによって交流電力に変換して前記交流電動機とは別の電力需要部に供給するステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項11乃至14の何れか一項に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの直流電源は二次電池を含み、
前記プラント機器の稼働中、前記プラント機器の始動に必要な量の電力が前記二次電池に蓄電された状態を維持するステップをさらに備える
ことを特徴とする請求項11乃至15の何れか一項に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの直流電源は、前記二次電池とは別の1以上の電源をさらに含み、
前記維持するステップでは、前記プラント機器の始動に必要な量の電力が前記二次電池に蓄電された状態とするために、前記1以上の電源から前記二次電池に電力を供給する
ことを特徴とする請求項16に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項18】
前記1以上の電源は太陽電池を含み、
前記太陽電池の発電電力を予測するステップと、
前記予測するステップでの予測結果に基づいて、前記維持するステップにおける前記太陽電池から前記二次電池への電力供給量を決定するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池と、前記二次電池とは別の1以上の電源と、を含み、
前記プラント機器を始動させるステップでは、前記二次電池に蓄電された直流電力よりも、前記1以上の電源からの直流電力を優先して前記第1インバータを介して前記交流電動機に供給する
ことを特徴する請求項11乃至16の何れか一項に記載の発電プラントの運転方法。
【請求項20】
前記第1インバータは、前記プラント機器の始動時には、前記交流電力の周波数を増加させながら前記交流電力を前記交流電動機に供給するように、かつ、前記プラント機器の始動時以外には、規定周波数にて前記交流電力を前記電力系統に供給するように構成された
請求項1乃至10の何れか一項に記載の発電プラント。
【請求項21】
前記プラント機器を始動させるステップでは、前記第1インバータを介して、前記交流電力の周波数を増加させながら前記交流電力を前記交流電動機に供給し、
前記電力系統に供給するステップでは、前記第1インバータを介して、規定周波数にて前記交流電力を前記電力系統に供給する
請求項11乃至19の何れか一項に記載の発電プラントの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電プラント及び発電プラントの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の電源として、直流電源が用いられる場合がある。
例えば、特許文献1には、太陽光発電パネル及びバッテリーを含む直流電源が、接続点の集合であるDC結合で束ねられるとともに、インバータを介して商用電力系統に接続された電力供給システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/114422号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発電プラントのプラント機器の一部(例えば、ガスタービン、エンジン、ボイラ給水ポンプ等)は、始動時に交流電動機によって駆動される。こうしたプラント機器の始動を目的とした交流電動機は、インバータを介して任意の周波数の交流電力の供給を受けて回転数が調整可能になっている。
しかしながら、プラント機器の通常運転時において、始動用の交流電動機への電力供給が不要であるため、始動用の交流電動機に電力を供給するために用いられるインバータの稼働率が低いため、インバータの設置コストを回収することが難しいという問題があった。
この点、特許文献1には、そもそも発電プラントのプラント機器を始動させるための交流電動機への電力供給を低コストで実現可能な構成は開示されていない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、プラント機器の始動用の電動機に低コストで電力を供給可能な発電プラント及び発電プラントの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る発電プラントは、
プラント機器と、
前記プラント機器を始動させるための交流電動機と、
少なくとも一つの直流電源と、
前記少なくとも一つの直流電源と前記交流電動機との間、かつ、前記少なくとも一つの直流電源と電力系統との間に設けられた第1インバータと、を備え、
前記第1インバータは、前記少なくとも一つの直流電源からの直流電力を交流電力に変換するとともに、該交流電力を前記交流電動機又は前記電力系統に選択的に供給可能に構成される。
【0007】
上記(1)の構成によれば、直流電源からの直流電力を第1インバータで交流電力に変換し、該交流電力を交流電動機又は電力系統に選択的に供給可能であるので、第1インバータからの直流電力を、プラント機器の始動時には交流電動機に、プラント機器の始動時以外のときには電力系統にそれぞれ供給可能である。このように、プラント機器始動用の電動機へ電力を供給するためのインバータと、該電動機に供給する電力とは異なる規定周波数にて電力系統に送電するためのインバータとを共通化することで、インバータの設備コストを低減可能である。よって、プラント機器の始動用の電動機に低コストで電力を供給することができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1インバータと前記電力系統との接続状態を切り替えるための第1開閉器と、
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータ及び前記第1開閉器に対して並列に設けられ、前記電力系統からの交流電力を直流電力に変換するための整流器と、
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータ及び前記第1開閉器に対して並列に設けられ、前記整流器と前記電力系統との接続状態を切り替えるための第2開閉器と、
をさらに備え、
前記少なくとも一つの直流電源は、前記整流器からの直流電流を受け取るように構成された二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含む。
【0009】
上記(2)の構成によれば、第1インバータを介して直流電源からの電力を電力系統に供給可能であるとともに、例えば電力需要が大きくない時間帯等、直流電源からの電力を電力系統に供給しないときに、電力系統からの電力を整流器を介して二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置に供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記プラント機器としての原動機によって駆動されるように構成され、前記電力系統に連系可能に構成された交流発電機と、
前記直流電源と前記交流発電機との間に設けられ、前記交流発電機からの交流電力を直流電力に変換するための整流器と、を備え、
前記少なくとも一つの直流電源は、前記整流器からの直流電力を受け取るように構成された二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含む。
【0011】
上記(3)の構成によれば、プラント機器によって駆動される交流発電機によって生成される電力を電力系統に供給可能である。一方、交流発電機の電力系統からの解列時には、交流発電機からの電力を整流器を介して二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置に供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。例えば、プラント機器(原動機)の停止時における回生エネルギーを利用して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータに対して並列に設けられた第2インバータを備え、
前記第2インバータは、前記第1インバータが前記交流電動機に交流電流を供給している間、前記直流電源からの直流電力を交流電力に変換して前記交流電動機とは別の電力需要部に供給するように構成される。
【0013】
上記(4)の構成によれば、例えば停電等のため、電力系統からの電力が供給されない場合であっても、互いに並列に設けられた第1インバータ及び第2インバータを介して、プラント機器始動用の交流電動機及び発電プラントの運転に必要な電力需要部(例えば制御機器等)に、それぞれ異なる周波数の交流電力を供給することができる。よって、電力系統からの電力が供給されない場合であっても、交流電動機及び電力需要部に適切に電力を供給して、プラント機器を適切に始動させることができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記プラント機器としての原動機によって駆動されるように構成され、前記電力系統に連系される交流発電機を備え、
前記交流発電機は、前記原動機を始動させるための前記交流電動機として機能するように構成される。
【0015】
上記(5)の構成によれば、プラント機器(原動機)によって駆動される交流発電機を、該プラント機器(原動機)を始動させるための交流電動機としても使用可能であるので、設備コスト及び設置面積を低減することができる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記プラント機器としての原動機によって駆動されるように構成され、前記電力系統に連系される交流発電機を備え、
前記交流発電機は、該交流発電機の励磁電力として前記直流電源からの直流電力が供給されるように構成される。
【0017】
上記(6)の構成によれば、直流電源からの直流電力の電力系統又は交流電動機(プラント機器の始動時に限る。)への供給が可能であることに加えて、プラント機器の運転時においてプラント機器(原動機)によって駆動される交流発電機に直流電源からの直流電力を励磁電力として供給可能である。よって、発電プラントの設備コスト及び設置面積を低減することができる。
【0018】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、前記交流電動機として、前記交流発電機を兼用する。
【0019】
上記(7)の構成によれば、プラント機器(原動機)によって駆動される交流発電機を、該プラント機器(原動機)を始動させるための交流電動機として兼用するので、設備コスト及び設置面積を低減することができる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、
前記プラント機器はガスタービンを含み、
前記交流電動機は、前記ガスタービンを駆動するように構成される。
【0021】
ガスタービンを適切に始動させるためには、ガスタービンを始動させるための交流電動機の回転数を、ゼロから徐々に増加させる必要がある。
この点、上記(8)の構成によれば、ガスタービンの始動時には、第1インバータを介して、交流電流の周波数をゼロから徐々に増加させながら交流電流を電動機に供給するとともに、ガスタービンの始動時以外には、第1インバータを介して、規定周波数にて交流電流を電力系統に供給することができる。よって、設備コストを低減しながら、プラント機器始動用の電動機及び電力系統に対して効率的に電力を供給することができる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、
前記少なくとも1つの直流電源は、アノードと、二酸化炭素を含むガスが供給されるように構成されたカソードと、前記二酸化炭素由来の炭酸イオンを前記カソードから前記アノードに移動させるように構成された電解質と、を含む燃料電池を含み、
前記カソードは、前記二酸化炭素を含むガスとして、前記ガスタービンからの排ガスが供給されるように構成される。
【0023】
上記(9)の構成によれば、燃料電池で生成した直流電力を用いてガスタービンの始動及び電力系統への電力供給ができるとともに、ガスタービンからの排ガスに含まれる二酸化炭素を、燃料電池を用いて回収することができる。よって、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0024】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記少なくとも一つの直流電源に対して並列に設けられた電気化学式燃料生成装置をさらに備える。
【0025】
上記(10)の構成によれば、直流電源に対して並列に設けられた電気化学式燃料生成装置に直流電力を供給することで、該電気化学式燃料生成装置によって燃料を生成することができる。よって、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0026】
(11)本発明の一実施形態に係る発電プラントの運転方法は、
プラント機器と、交流電動機と、少なくとも1つの直流電源と、前記直流電源と前記交流電動機との間、かつ、前記直流電源と電力系統との間に設けられた第1インバータと、を含む発電プラントの運転方法であって、
前記少なくとも1つの直流電源で直流電力を生成するステップと、
前記第1インバータにより前記直流電力を交流電力に変換するステップと、
前記第1インバータから交流電力を前記交流電動機に供給して、前記プラント機器を始動させるステップと、
前記プラント機器の始動後、前記プラント機器の稼働中に、前記第1インバータから交流電力を前記電力系統に供給するステップと、
を備える。
【0027】
上記(11)の方法によれば、直流電源からの直流電力を第1インバータで交流電力に変換し、第1インバータからの直流電力を、プラント機器の始動時には交流電動機に、プラント機器の始動時以外のときには電力系統にそれぞれ供給する。このように、プラント機器始動用の電動機へ電力を供給するためのインバータと、該電動機に供給する電力とは異なる規定周波数にて電力系統に送電するためのインバータとを共通化することで、インバータの設備コストを低減可能である。よって、プラント機器の始動用の電動機に低コストで電力を供給することができる。
【0028】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の方法において、
前記発電プラントは、前記直流電源と前記電力系統との間において前記第1インバータに対して並列に設けられた整流器をさらに含み、
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含み、
前記プラント機器の稼働中に、前記少なくとも一つの直流電源からの直流電力を前記第1インバータによって交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に供給するステップと、
前記電力系統において電力需要が規定値以下に低下したときに、前記電力系統からの交流電力を前記整流器によって直流電力に変換し、該直流電力を前記二次電池又は前記電気化学式燃料生成発電装置に供給するステップと、
を備える。
【0029】
上記(12)の方法によれば、第1インバータを介して直流電源からの電力を電力系統に供給可能であるとともに、例えば電力需要が大きくない時間帯等、直流電源からの電力を電力系統に供給しないときに、電力系統からの電力を整流器を介して二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置に供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0030】
(13)幾つかの実施形態では、上記(11)又は(12)の方法において、
前記発電プラントは、前記プラント機器としての原動機によって駆動されるとともに前記電力系統に連系される交流発電機と、前記直流電源と前記交流発電機との間に設けられた整流器と、を備え、
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含み、
前記交流発電機を前記電力系統から解列させるステップと、
前記交流発電機を解列させた後、前記原動機が停止するまでの間、前記交流発電機からの回生電力を、前記整流器を介して前記二次電池又は前記電気化学式燃料生成発電装置に供給するステップと、
を備える。
【0031】
上記(13)の方法によれば、プラント機器によって駆動される交流発電機によって生成される電力を電力系統に供給可能である。一方、交流発電機の電力系統からの解列時には、交流発電機からの電力を整流器を介して二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置に供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。例えば、プラント機器(原動機)の停止時における回生エネルギーを利用して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0032】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の方法において、
前記少なくとも1つの直流電源は二次電池を含み、
前記プラント機器の稼働中、前記二次電池において前記回生電力分の空き容量を維持するステップをさらに備える。
【0033】
上記(14)の方法によれば、プラント機器の稼働中に、二次電池において回生電力分の空き容量を維持するので、プラント機器が停止する場合に、プラント機器の回生電力を二次電池に回収することができる。
【0034】
(15)幾つかの実施形態では、上記(11)乃至(14)の何れかの方法において、
前記発電プラントは、前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータに対して並列に設けられた第2インバータを含み、
前記第1インバータが前記プラント機器の始動のために前記交流電動機に交流電流を供給している間、前記直流電源からの直流電力を前記第2インバータによって交流電力に変換して前記交流電動機とは別の電力需要部に供給するステップをさらに備える。
【0035】
上記(15)の方法によれば、例えば停電等のため、電力系統からの電力が供給されない場合であっても、互いに並列に設けられた第1インバータ及び第2インバータを介して、プラント機器始動用の交流電動機及び発電プラントの運転に必要な電力需要部(例えば制御機器等)に、それぞれ異なる周波数の交流電力を供給することができる。よって、電力系統からの電力が供給されない場合であっても、交流電動機及び電力需要部に適切に電力を供給して、プラント機器を適切に始動させることができる。
【0036】
(16)幾つかの実施形態では、上記(11)乃至(15)の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの直流電源は二次電池を含み、
前記プラント機器の稼働中、前記プラント機器の始動に必要な量の電力が前記二次電池に蓄電された状態を維持するステップをさらに備える。
【0037】
上記(16)の方法によれば、プラント機器の稼働中、プラント機器の始動に必要な量の電力が二次電池に蓄電された状態を維持するので、停電等により電力系統からの電力供給が受けられない場合であっても、プラント機器を再始動することができる。
【0038】
(17)幾つかの実施形態では、上記(16)の方法において、
前記少なくとも1つの直流電源は、前記二次電池とは別の1以上の電源をさらに含み、
前記維持するステップでは、前記プラント機器の始動に必要な量の電力が前記二次電池に蓄電された状態とするために、前記1以上の電源から前記二次電池に電力を供給する。
【0039】
上記(17)の方法によれば、1以上の電源から二次電池に電力を供給することにより、プラント機器の始動に必要な量の電力が二次電池に蓄電された状態を維持することができる。このため、停電等により電力系統からの電力供給が受けられない場合であっても、プラント機器を再始動することができる。
【0040】
(18)幾つかの実施形態では、上記(17)の方法において、
前記1以上の電源は太陽電池を含み、
前記太陽電池の発電電力を予測するステップと、
前記予測するステップでの予測結果に基づいて、前記維持するステップにおける前記太陽電池から前記二次電池への電力供給量を決定するステップと、をさらに備える。
【0041】
上記(18)の方法によれば、太陽電池の発電電力の予測結果に基づいて決定された量の電力を太陽電池から二次電池に供給して二次電池における蓄電量を維持する。これにより、停電等により電力系統からの電力供給が受けられない場合であっても、より確実にプラント機器を再始動することができる。
【0042】
(19)幾つかの実施形態では、上記(11)乃至(16)の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池と、前記二次電池とは別の1以上の電源と、を含み、
前記プラント機器を始動させるステップでは、前記二次電池に蓄電された直流電力よりも、前記1以上の電源からの直流電力を優先して前記第1インバータを介して前記交流電動機に供給する。
【0043】
上記(19)の方法によれば、二次電池に蓄電された直流電力よりも、二次電池とは別の電源からの直流電力を優先して交流電動機に供給するので、より低容量の二次電池を用いて、プラント機器を始動させることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、プラント機器の始動用の電動機に低コストで電力を供給可能な発電プラント及び発電プラントの運転方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】一実施形態に係る発電プラントの概略構成図である。
図2】一実施形態に係る発電プラントの概略構成図である。
図3】一実施形態に係る発電プラントの概略構成図である。
図4】一実施形態に係る発電プラントの概略構成図である。
図5】一実施形態に係る発電プラントの運転方法を説明するための図である。
図6】一実施形態に係る発電プラントの運転方法を説明するための図である。
図7】一実施形態に係る発電プラントの運転方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0047】
以下、本発明の幾つかの実施形態として、プラント機器としてガスタービンを備える発電プラントについて説明する。ただし、本発明に係る発電プラントのプラント機器は、交流電動機によって始動されるものであれば特に限定されず、例えば、エンジン又はボイラ給水ポンプ等であってもよい。
【0048】
図1図3は、一実施形態に係る発電プラントの概略構成図である。図1図3に示すように、発電プラント1は、プラント機器としてのガスタービン2と、ガスタービン2(プラント機器)を始動させるための交流電動機4と、少なくとも1つの直流電源6(直流電源6a〜6d;以降、まとめて直流電源6と称することがある。)と、第1インバータ8と、を備える。
【0049】
発電プラント1と電力系統12とは接続可能になっており、発電プラント1に含まれる発電設備から電力系統12に電力を供給し、又は、電力系統12から発電プラント1に電力を受給することができるようになっている。発電プラント1と電力系統12との間には、開閉器13及び変圧器14が設けられており、開閉器13によって発電プラント1と電力系統12との接続状態が切り替えられるとともに、変圧器14によって、発電プラント1と電力系統12との間で電力を供給又は受給する際の電圧を調整するようになっている。
【0050】
プラント機器は、回転シャフト3を介して始動用の交流電動機4に連結され、交流電動機4によって回転シャフトが回転駆動されることによって始動するように構成される。プラント機器は、図1図3に示すガスタービン2の他、エンジン又はボイラ給水ポンプ等であってもよい。
【0051】
プラント機器は、発電機を駆動する原動機として機能するようになっていてもよい。
図1図3に示す例示的な実施形態では、ガスタービン2(プラント機器)に交流発電機5が連結されており、原動機としてのガスタービン2によって交流発電機5が駆動されるようになっている。交流発電機5は、電力系統12に連系可能になっており、交流発電機5と電力系統12との間に設けられた開閉器34によって、交流発電機5と電力系統12との接続状態が切り替えられるようになっている。
【0052】
図2に示す例示的な実施形態では、ガスタービン2に連結された交流発電機5は、ガスタービン2(交流発電機5を駆動する原動機)を始動させるための交流電動機4としても機能するように構成される。
【0053】
交流発電機5は、例えば、ガスタービン2の回転シャフト3と連動して回転する回転子巻線(界磁巻線;不図示)と、変圧器14に接続される固定子巻線(電機子巻線;不図示)と、を有していてもよい。この交流発電機5が交流電力を生成するための発電機として機能する場合、回転子巻線(界磁巻線)に励磁電流が供給されると、ガスタービン2の回転シャフト3の回転に伴い固定子巻線(電機子巻線)に交流電力が生じる。一方、交流発電機5が交流電動機4として機能する場合、固定子巻線に交流電流が供給されると、この交流電流に応じて回転子巻線に作用する力が発生して回転子巻線が回転し、これに伴い交流発電機5に連結されるガスタービン2の回転シャフト3が回転する。このように、交流発電機5は、交流電動機4としても機能し得る。
【0054】
直流電源6は、直流電力を送出可能な装置であり、例えば、一次電池、二次電池(蓄電池)、燃料電池又は太陽電池等の各種電池を含んでいてもよい。
【0055】
直流電源6は、直流電力を受け取って蓄電する機能を有していてもよい。このような直流電源6の例として、二次電池(蓄電池)が挙げられる。
あるいは、直流電源6は、直流電力を受け取って燃料を生成する機能を有する電気化学式燃料生成発電装置であってもよい。このような電気化学式燃料生成発電装置の例として、水を電気分解することにより水素(燃料)を生成可能であるとともに、水素(燃料)を消費して電力を生成可能なSOEC/SOFC(Solid Oxide Electrolysis Cell/Solid Oxide Fuel Cell)が挙げられる。
【0056】
図1及び図3に示す例示的な実施形態では、発電プラント1は、二次電池6a、電気化学式燃料生成発電装置6b、燃料電池6c、及び太陽電池6dを備える。また、図2に示す例示的な実施形態では、発電プラント1は、二次電池6aと、太陽電池6dと、を備える。
【0057】
図1及び図3に示すように、電気化学式燃料生成発電装置6bには、電気化学式燃料生成発電装置6bにて生成された燃料を貯留するための燃料貯留部7が設けられていてもよい。
電気化学式燃料生成発電装置6bで生成された燃料は、例えば、直流電源6としての燃料電池6cに供給されてもよく、あるいは、ガスタービン2等の発電プラント1を構成する機器に供給されてもよい。
【0058】
なお、発電プラント1は、直流電源6と並列に、直流電力を受け取って燃料を生成するように構成された電気化学式燃料生成装置16が設けられていてもよい。電気化学式燃料生成装置16には、電気化学式燃料生成装置16にて生成された燃料を貯留するための燃料貯留部17が設けられていてもよい。
電気化学式燃料生成装置16で生成された燃料は、例えば、直流電源6としての燃料電池6cに供給されてもよく、あるいは、ガスタービン2等の発電プラント1を構成する機器に供給されてもよい。
【0059】
第1インバータ8は、直流電源6と交流電動機4との間、かつ、直流電源6と電力系統12との間に設けられている。そして、第1インバータ8は、直流電源6からの直流電力を交流電力に変換するとともに、該交流電力を交流電動機4又は電力系統12に選択的に供給可能に構成されている。
【0060】
すなわち、第1インバータ8と交流電動機4との間、及び、第1インバータ8と電力系統12との間には、開閉器32及び開閉器36(第1開閉器)がそれぞれ設けられており、これらの開閉器32,36によって電路を開閉することにより、第1インバータ8と交流電動機4との接続状態、及び、第1インバータ8と電力系統12との接続状態を切り替え可能になっている。
【0061】
このように、幾つかの実施形態に係る発電プラント1では、直流電源6からの直流電力を第1インバータ8で交流電力に変換し、該交流電力を交流電動機4又は電力系統12に選択的に供給可能である。よって、第1インバータ8からの直流電力を、ガスタービン2(プラント機器)の始動時には交流電動機に、ガスタービン2(プラント機器)の始動時以外のときには電力系統12にそれぞれ供給可能である。
【0062】
例えば、プラント機器としてのガスタービン2を停止状態から始動させるとき、第1インバータ8を介してプラント機器始動用の交流電動機4に交流電力を供給する。ここで、ガスタービン2の始動時には、ガスタービン2に慣性エネルギーを与えるため、ガスタービン2の回転数をゼロから徐々に増加させる必要がある。このため、交流電動機4の回転数がゼロから徐々に増加するように、交流電動機4に供給する交流電力の周波数を制御するする必要がある。このように、ガスタービン2の始動に適した周波数の交流電力が適切に交流電動機4供給されるように、第1インバータ8では、交流電動機4に供給される交流電力の周波数が調整される。
【0063】
そして、ガスタービン2の回転数がある程度上昇したところで、ガスタービン2に燃料が供給され、燃料を燃焼させて生成される燃焼ガスによりタービンに回転力を与え、ガスタービン2の回転数をさらに上昇させる。そして、ガスタービン2の回転数が、電力系統12の規定周波数(例えば50Hz又は60Hz)に対応する回転数(例えば3000rpm又は3600rpm)になれば(即ち系統周波数に同期したら)、第1インバータ8と交流電動機4との接続を切断し、第1インバータ8から交流電動機4への電力の供給を停止させる。すなわち、ガスタービン2の始動後、通常運転時(稼働時)には、燃料の燃焼ガスによりガスタービン2が駆動されるので、第1インバータ8を介しての交流電力の供給は通常不要である。
【0064】
また、ガスタービン2の始動時以外(例えば、ガスタービン2の稼働中)には、第1インバータ8からの交流電力を、プラント機器始動用の交流電動機4に供給する必要はない。そこで、第1インバータ8において、例えば、交流電力を電力系統12の規定周波数(例えば50Hz又は60Hz)に調節して、電力系統12に供給することができる。
【0065】
このように、上述した実施形態に係る発電プラント1では、プラント機器始動用の交流電動機4へ電力を供給するためのインバータ(第1インバータ8)と、該交流電動機4に供給する電力とは異なる規定周波数にて電力系統12に送電するためのインバータ(第1インバータ8)とを共通化することで、インバータの設備コストを低減可能である。よって、ガスタービン2(プラント機器)の始動用の交流電動機4に低コストで電力を供給することができる。
【0066】
また、従来、プラント機器始動用の電動機を駆動するための電力として、電力系統からの電力を使用することが通常であった。この点、上述の実施形態に係る発電プラント1では、プラント機器始動用の交流電動機4を駆動するための電力を、直流電源6から供給するようにしたので、電力需要が大きいときであっても、電力系統12からの電力を消費せずに、プラント機器を始動させることができる。
【0067】
なお、図1図3に示すように、第1インバータ8と各直流電源6との間には、各直流電源6と、第1インバータ8との接続状態を切り替えるための開閉器42a〜42d(以降、まとめて開閉器42と称することがある。)が設けられていてもよい。また、第1インバータ8と電気化学式燃料生成装置16との間には、電気化学式燃料生成装置16と第1インバータ8との接続状態を切り替えるための開閉器44が設けられていてもよい。
【0068】
また、図2に示すように、第1インバータ8と各直流電源6との間には、直流電力の電圧を変換するためのDC/DCコンバータ18a、18d等(図2参照)が設けられていてもよい。また、図示しないが、第1インバータ8と電気化学式燃料生成装置16(図1及び図3参照)との間には、直流電力の電圧を変換するためのDC/DCコンバータが設けられていてもよい。
【0069】
幾つかの実施形態では、発電プラント1は、図1図3に示すように、整流器10及び開閉器38(第2開閉器)を備える。整流器10及び開閉器38(第2開閉器)は、直流電源6と電力系統12との間において、第1インバータ8及び開閉器36(第1開閉器)に対して並列に設けられる。整流器10は、電力系統12からの交流電力を直流電力に変換するように構成されている。また、開閉器38は、整流器10と電力系統12との接続状態を切り替えるように構成されている。そして、少なくとも1つの直流電源6は、整流器10からの直流電力を受け取るように構成された二次電池6a又は電気化学式燃料生成発電装置6bを含む。
【0070】
開閉器36(第1開閉器)及び開閉器38(第2開閉器)を操作して、第1インバータ8と電力系統12とを接続させることにより、二次電池6a又は電気化学式燃料生成発電装置6bを含む直流電源6からの直流電力を、第1インバータ8を介して電力系統12に供給することができる。
【0071】
また、開閉器36(第1開閉器)及び開閉器38(第2開閉器)を操作して、整流器10と電力系統12とを接続させることにより、電力系統12からの交流電力を、整流器10で直流電力に変換して、二次電池6a又は電気化学式燃料生成発電装置6bを含む直流電源6に供給することができる。
例えば、二次電池6aが整流器10からの直流電力を受け取る場合、二次電池6aに電力が蓄電される。また、電気化学式燃料生成発電装置6bが整流器10からの直流電力を受け取る場合、電気化学式燃料生成発電装置6bにて電気分解により燃料が生成される。
【0072】
このように、整流器10及び開閉器38(第2開閉器)を備える発電プラント1では、例えば電力需要が大きい時間帯には、第1インバータ8を介して直流電源6からの電力を電力系統12に供給可能であるとともに、電力需要が大きくない時間帯等、直流電源6からの電力を電力系統12に供給しないときに、電力系統12からの電力を整流器10を介して二次電池6a又は電気化学式燃料生成発電装置6bに供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラント1を効率的に運転することができる。
【0073】
幾つかの実施形態では、発電プラント1は、図1図3に示すように、直流電源6と交流発電機5との間に設けられた整流器11を備えている。整流器11は、交流発電機5からの交流電力を直流電力に変換するように構成されている。そして、少なくとも1つの直流電源6は、整流器10からの直流電力を受け取るように構成された二次電池6a又は電気化学式燃料生成発電装置6bを含む。
なお、図1図3に示す例示的な実施形態では、交流発電機5からの交流電力は、開閉器34及び開閉器38を介して、整流器11に流れるようになっている。
また、図1図3に示す例示的な実施形態において、整流器11は、上述した整流器10と同一のものである。
【0074】
このように、整流器11を備える発電プラント1では、交流発電機5の電力系統12への連系時には、原動機としてのガスタービン2(プラント機器)によって駆動される交流発電機5によって生成される電力を電力系統12に供給可能である。一方、交流発電機5の電力系統12からの解列時には、交流発電機5からの電力を整流器11を介して二次電池6a又は電気化学式燃料生成発電装置6bに供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。例えば、原動機としてのガスタービン2(プラント機器)を停止又は減速させるときに、交流発電機5のロータの慣性エネルギーを用いて生成される電力(回生エネルギー)を利用して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラント1を効率的に運転することができる。
【0075】
幾つかの実施形態では、発電プラント1は、図3に示すように、直流電源6と電力系統12との間において、第1インバータ8に対して並列に設けられた第2インバータ20を備える。第2インバータ20は、第1インバータ8が交流電動機4に交流電流を供給している間、直流電源6からの直流電力を交流電力に変換して交流電動機4とは別の電力需要部22に供給するように構成される。ここで、電力需要部22は、例えば、発電プラント1における制御装置又はポンプ(潤滑油ポンプ又は冷却水ポンプ等)等を含む補機であってもよい。
第2インバータ20と電力需要部22との間には、第2インバータ20と電力需要部22の接続状態を切り替えるための開閉器40、及び、電力需要部22に供給される電力の電圧を調節するための変圧器24が設けられていてもよい。
【0076】
このように、第1インバータ8及び第2インバータ20を備える発電プラント1では、例えば停電等のため、電力系統12からの電力が供給されない場合であっても、互いに並列に設けられた第1インバータ8及び第2インバータ20を介して、ガスタービン2(プラント機器)始動用の交流電動機4、及び、発電プラント1の運転に必要な電力需要部22に、それぞれ異なる周波数の交流電力を同時に供給することができる。よって、電力系統12からの電力が供給されない場合であっても、交流電動機4及び電力需要部22に適切に電力を供給して、ガスタービン2(プラント機器)を適切に始動させることができる。
【0077】
また、ガスタービン2の始動時以外(例えば、ガスタービン2の稼働中)には、第1インバータ8及び第2インバータ20をともに規定の系統周波数で運転することにより、直流電源6からの電力を、第1インバータ8及び第2インバータ20を介して、電力系統12に供給することができる。よって、発電プラント1から電力系統12への電力供給量を増大させることができる。
【0078】
幾つかの実施形態では、原動機としてのガスタービン2(プラント機器)によって駆動される交流発電機5は、同期発電機であってもよい。この場合、交流発電機5には、励磁電力として直流電源6からの直流電力が供給されるようになっていてもよい。
例えば、図1図3に示す例示的な実施形態において、交流発電機5の界磁巻線(不図示)に、励磁電力として、直流電源6からの直流電力が開閉器46を介して供給されるようになっていてもよい。
【0079】
この場合、直流電源6からの直流電力の電力系統12又は交流電動機4(プラント機器の始動時に限る。)への供給が可能であることに加えて、ガスタービン2(プラント機器)の運転時において原動機としてのガスタービン2(プラント機器)によって駆動される交流発電機5に直流電源6からの直流電力を励磁電力として供給可能である。よって、発電プラント1の設備コスト及び設置面積を低減することができる。
【0080】
図4は、一実施形態に係る発電プラントの概略構成図である。図4に示す発電プラント1は、プラント機器としてガスタービン2を含み、ガスタービン2に連結される交流発電機5は、原動機としてのガスタービン2に駆動されるようになっている。また、交流発電機5は、ガスタービン2を始動させるための交流電動機4としても機能する。図2に示す発電プラント1における各構成機器の接続形態は、図2に示すものと同様である。ただし、図4においては、直流電源として、二次電池6a、電気化学式燃料生成発電装置6b、及び、燃料電池6cが示されているが、他の直流電源6(例えば太陽電池6d等)を含んでいてもよく、また、上述した電気化学式燃料生成装置16(図1及び図3参照)をさらに含んでいてもよい。
【0081】
図4に示す発電プラント1において、燃料電池6cは、アノード116と、二酸化炭素を含むガスが供給されるように構成されたカソード112と、前記二酸化炭素由来の炭酸イオンをカソード112からアノード116に移動させるように構成された電解質114と、を含む。そして、燃料電池6cのカソード112には、二酸化炭素を含むガスとして、ガスタービン2からの排ガスが供給されるようになっている。
【0082】
以下、図4に示す発電プラント1について、より具体的に説明する。
図4に示すように、発電プラント1は、ガスタービン2を含む火力発電装置102と、二酸化炭素回収システム103と、を備えた火力発電プラントである。二酸化炭素回収システム103は、火力発電装置102からの排ガスに含まれる二酸化炭素(CO)を回収するように構成される。
【0083】
図4に示す例示的な実施形態では、火力発電装置102は、ガスタービン2の燃焼ガスを用いて発電を行う発電装置である。他の幾つかの実施形態では、火力発電装置102は、燃料の燃焼により生成する燃焼ガス又は燃焼熱を用いて発電を行うガスタービン以外の装置であってもよい。火力発電装置102は、例えば、ボイラ又はガスタービンを含む発電装置、又は、ガスタービン複合発電(GTCC)又は石炭ガス化複合発電(IGCC)等の発電装置であってもよい。
【0084】
二酸化炭素回収システム103は、火力発電装置102における燃焼生成ガスを含む排ガスに含まれるCOを回収するように構成されている。例えば、火力発電装置102が燃焼器を含むボイラ又はガスタービンを備える場合、二酸化炭素回収システム103は、該ボイラ又はガスタービンからの排ガスに含まれるCOを回収するように構成されていてもよい。あるいは、火力発電装置102が、ガスタービン等からの排ガスの熱を回収するための排熱回収ボイラ(HRSG)を備える場合、二酸化炭素回収システム103は、該排熱回収ボイラからの排ガスに含まれるCOを回収するように構成されていてもよい。
【0085】
図4に示す例示的な実施形態では、火力発電装置102は、ガスタービン2を含む火力発電装置である。図4に示す実施形態において、二酸化炭素回収システム103は、ガスタービン2からの排ガスに含まれるCOを回収するように構成される。
【0086】
図4に示すガスタービン2は、空気を圧縮するための圧縮機202と、燃料(例えば天然ガス等)を燃焼させて燃焼ガスを発生させるための燃焼器204と、燃焼ガスにより回転駆動されるように構成されたタービン206と、を備える。
燃焼器204には、燃料貯留部122から燃料(例えば天然ガス)が供給されるようになっている。また、燃焼器204には圧縮機202で圧縮された空気が送り込まれるようになっており、この圧縮空気は、燃焼器204において燃料が燃焼する際の酸化剤としての役割を有する。
タービン206には回転シャフト3を介して交流発電機5が連結されており、タービン206の回転エネルギーによって交流発電機5が駆動されて電力が生成されるようになっている。タービン206で仕事を終えた燃焼ガスは、排ガスとしてタービン206から排出されるようになっている。
【0087】
図4に示す例示的な実施形態では、二酸化炭素回収システム103は、燃料電池6cを介して、火力発電装置102からの排ガスに含まれるCOを回収するように構成されている。
【0088】
燃料電池6cは、カソード112と、アノード116と、カソード112とアノード116の間に配置される電解質114と、を含む。燃料電池6cのカソード112には、COを含む排ガスが供給されるようになっている。また、電解質114は、排ガス中に含まれるCO由来の炭酸イオン(CO2−)をカソード112からアノード116に移動させるように構成されている。
【0089】
燃料電池6cは、電解質114として炭酸塩を用いた溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC: Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。電解質114として用いられる炭酸塩は、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウム等であってもよく、又は、これらの混合物であってもよい。
【0090】
カソード112には、カソード入口側流路170を介して火力発電装置102からのCOを含む排ガスが供給される。
【0091】
アノード116には、アノード入口側流路176及び燃料供給ライン130を介して、燃料(天然ガス等)が貯留される燃料貯留部122が接続されている。燃料貯留部122内の燃料は、燃料供給ライン130に設けられた予備改質器124及び燃料電池6cに設けられた改質部118等において水素(H)に改質されて、アノード入口側流路176を介してアノード116に供給されるようになっている。
【0092】
燃料電池6cのカソード112では、火力発電装置102からの排ガスに含まれるCO及び酸素(O)と電子とが反応して炭酸イオン(CO2−)が生成される。カソード112で生成した炭酸イオンは、電解質114をアノード116に向かって移動する。
一方、燃料電池6cのアノード116では、アノード入口側流路176を介して供給された水素(H)と、電解質114を移動してきた炭酸イオン(CO2−)とが反応して、水(HO)、CO及び電子が生成される。
このようにして、カソード112に供給されたCOは、炭酸イオンの形で電解質114をカソード112からアノード116に移動し、アノード116での反応によりCOとなる。
【0093】
アノード116で生成されたCOは、HO及び燃料ガスの未燃成分(例えばCOやH)とともに混合ガス(アノード116の出口ガス)としてアノード出口側流路128に流出する。アノード出口側流路128に流出したアノード出口ガスは、処理対象である排ガスよりもCO濃度が高いCOリッチガスである。アノード116から排出されたCOリッチガスに含まれるCOは、アノード出口側流路128を介して回収される。このようにしてアノード出口側流路128を介して回収されるCOは、圧縮機150によって圧縮されるようになっていてもよい。
【0094】
ところで、燃料の改質反応は吸熱反応であり、通常、外部から熱を加える必要がある。そこで、図4に示すように、改質部118の上流側に、燃料供給ライン130を介して改質部118に供給する燃料を昇温させるための熱交換器126を設けてもよい。燃料を熱交換器126により昇温させてから改質部118に供給することで、燃料の改質反応を効率良く行うことができる。
【0095】
なお、図4に示す実施形態では、熱交換器126は、燃料供給ライン130から改質部118に供給する燃料を、アノード116の出口ガス(COリッチガス)との熱交換により昇温させるように構成される。
溶融炭酸塩型燃料電池は、約600℃〜700℃程度の高温で動作し、アノード116から流出するガスも同程度の高温を有する。よって、上述の熱交換器126によれば、燃料電池6cで生じる反応熱を有効利用しながら燃料の改質反応を行うことができる。
【0096】
また、図4に示す実施形態では、カソード入口側流路170には、燃料(例えば燃料貯留部122からの燃料)を燃焼させるための燃焼器119が設けられている。
燃料電池6cの適切な動作のためには、供給される排ガス温度がある程度の高温を有していることが望ましい場合がある。このような場合、燃焼器119において燃料を燃焼させて、燃焼熱によってカソード112の入口側の排ガスを昇温させることにより、燃料電池6cを適切に作動させやすくなる。
【0097】
図4に示す例示的な実施形態では、アノード出口側流路128には、COリッチガスに含まれるCOを変性させるためのCOシフト反応器120が設けられる。COシフト反応器120は、COリッチガスに含まれるCOを、例えば水(HO)との反応により、COに変換するように構成される。
COシフト反応器120によってCOを変成させることにより、COシフト反応器120よりも下流側のアノード出口側流路128のCO濃度を、COシフト反応器120の上流側に比べて高めることができる。これにより、より高純度の二酸化炭素を回収することができる。
【0098】
また、図4に示す例示的な実施形態では、アノード出口側流路128には、COリッチガスからCOを分離するためのCO分離器122が設けられている。CO分離器122によってCOリッチガスからCOを分離することにより、CO分離器122の下流側におけるCO濃度をより高めることができ、より高純度の二酸化炭素を回収することができる。
なお、CO分離器122によってCOリッチガスからCOを分離された残部ガスに含まれるH又はCO等の可燃成分は、アノード入口側流路176を介して燃料電池6cのアノード116に供給されるようになっていてもよい。
【0099】
幾つかの実施形態では、図4に示すように、火力発電装置102からの排ガスは、燃料電池6cのカソード112に供給されるとともに、カソード入口側流路170から分岐するバイパス流路178を介して、排熱回収ボイラ140に供給されるようになっていてもよい。
【0100】
図4に示す排熱回収ボイラ140は、火力発電装置102からの排ガスが導かれるダクト(不図示)と、ダクトに設けられた熱交換器(不図示)と、を備える。熱交換器は、ダクトを流れる排ガスとの熱交換により蒸気を生成するように構成されている。排熱回収ボイラ140で生成された蒸気は蒸気タービン142に導かれ、蒸気タービン142を回転駆動するようになっている。また、蒸気タービン142には発電機144が接続されており、発電機144は、蒸気タービン142によって回転駆動されて、電力を生成するようになっている。
図4に示す例示的な実施形態では、排熱回収ボイラ140のダクト内を流れて熱交換器を通過した排ガスは、煙突146から排出されるようになっている。
【0101】
上述の実施形態に係る発電プラント1では、燃料電池6cで生成した直流電力を用いてガスタービン2の始動及び電力系統12への電力供給ができるとともに、ガスタービン2からの排ガスに含まれる二酸化炭素を、燃料電池6cを用いて回収することができる。よって、発電プラント1を効率的に運転することができる。
【0102】
なお、図4に示すように、電気化学式燃料生成発電装置6b(又は、不図示の電気化学式燃料生成装置16)で生成した燃料(水素等)を、燃料供給ライン130及びアノード入口側流路176を介して燃料電池6cのアノード116に供給してもよく、あるいは、図示しない流路を介して、ガスタービン2の燃焼器204、又は、カソード入口側流路170に設けられた燃焼器119に供給してもよい。
【0103】
図5図7は、それぞれ、上述した幾つかの実施形態に係る発電プラント1(例えば図1図3参照)の運転方法を説明するための図である。なお、図5図7には、発電プラント1を省略して示しており、発電プラント1のうち一部の構成機器のみ(ガスタービン2、交流電動機4、交流発電機5、二次電池6a等)を示している。
また、以下において、幾つかの実施形態に係る発電プラント1の運転方法を、少なくとも二次電池6aを含む発電プラント1に適用した場合について説明するが、同様の運転方法を、電気化学式燃料生成発電装置6bを含む発電プラント1に適用してもよい。なお、図5図7において、二次電池6aの中の斜線部は、二次電池6aに蓄電された電力を示す。
【0104】
図5は、原動機としてのガスタービン2(プラント機器)の停止時に、回生エネルギーを回収する場合の発電プラント1の運転方法を示す図である。
【0105】
ガスタービン2の停止時に回生エネルギーを回収する場合、まず、ガスタービン2(原動機)によって駆動される交流発電機5を電力系統12から解列させる。そして、交流発電機5を電力系統12から解列させた後、ガスタービン2(原動機)が停止するまでの間、交流発電機5からの回生電力を、整流器10を介して二次電池6aに供給する。
これにより、原動機としてのガスタービン2(プラント機器)を停止又は減速させるときに、交流発電機5のロータの慣性エネルギーを用いて生成される電力(回生エネルギー)を利用して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。
【0106】
幾つかの実施形態では、上述のようにガスタービン2を停止させる前、ガスタービン2の稼働中、二次電池6aにおいて回生電力分の空き容量を維持する。
図5を参照して説明すると、ガスタービン2の稼働中、二次電池6aにおいて、回生電力分の空き容量T1を確保するため、例えば、空き容量T1が回生電力分よりも過小の場合には、二次電池6aに蓄電された電力を電力系統12に供給する等して、二次電池6aに回生電力分の空き容量T1を確保する(S1)。そして、交流発電機5を電力系統12から解列させた後、ガスタービン2が停止するまでの間、交流発電機5からの回生電力を、整流器10を介して二次電池6aに供給する(S2)。
【0107】
このように、ガスタービン2(プラント機器)の稼働中に、二次電池6aにおいて回生電力分の空き容量T1を維持することにより、ガスタービン2(プラント機器)が停止する場合に、交流発電機5で生じる回生電力を二次電池に回収することができる。
【0108】
なお、ガスタービン2が停止するまでの間、二次電池6aの空き容量が回生電力分を下回る事態となった場合には、二次電池6aから電力系統12に電力を供給するようにしてもよい(S3)。
【0109】
図6は、停電等によって電力系統12からの電力が供給されない場合等において、ガスタービン2(プラント機器)を始動する際の発電プラント1の運転方法を示す図である。図6を参照して説明する運転方法は、図3に示すように、二次電池6aを含む直流電源6と電力系統12との間において、第1インバータ8に対して並列に設けられた第2インバータ20を含む発電プラント1を対象とする。
【0110】
停電等によって電力系統12からの電力が供給されない場合等、直流電源6からの直流電力を第1インバータ8を介してプラント機器始動用の交流電動機4に供給する。直流電源6からの直流電力を第1インバータ8を介してプラント機器始動用の交流電動機4に供給している間、直流電源6からの直流電力を、第2インバータ20を介して、上述した電力需要部22(制御装置又はポンプ等;図3参照)に供給する。
これにより、電力系統12からの電力が供給されない場合であっても、互いに並列に設けられた第1インバータ8及び第2インバータ20を介して、ガスタービン2(プラント機器)始動用の交流電動機4、及び、発電プラント1の運転に必要な電力需要部22に、それぞれ異なる周波数の交流電力を同時に供給することができる。よって、電力系統12からの電力が供給されない場合であっても、交流電動機4及び電力需要部22に適切に電力を供給して、ガスタービン2(プラント機器)を適切に始動させることができる。
【0111】
幾つかの実施形態では、ガスタービン2(プラント機器)の稼働中、ガスタービン2の始動に必要な量の電力が二次電池6aに蓄電された状態を維持する。
図6を参照して説明すると、停電等によって電力系統12からの電力が供給されない事態となる前、即ち、電力系統12からの電力が供給可能な状態において、ガスタービン2の始動に必要な量の電力T2が二次電池6aに蓄電された状態とするため、必要に応じて、二次電池6aとは別の1以上の電源(図6に示す例では太陽電池6d)からの電力を二次電池6aに供給する(S12)。なお、ガスタービン2の始動に必要な量の電力T2が二次電池6aに蓄電された状態とするため、二次電池6aとは別の1以上の電源から二次電池6aに電力を供給するのに加えて、電力系統12からの電力を整流器10を介して二次電池6aに供給するようにしてもよい(S12’)。
【0112】
これにより、ガスタービン2(プラント機器)の始動に必要な量の電力が二次電池6aに蓄電された状態が維持されるので、停電等により電力系統12からの電力供給が受けられない場合であっても、二次電池6aに蓄電された電力を第1インバータ8を介して交流電動機4に供給して、ガスタービン2(プラント機器)を再始動することができる(S13)。
【0113】
幾つかの実施形態では、図6に示すように、上述した「二次電池6aとは別の1以上の電源」は太陽電池6dである。そして、太陽電池6dの発電電力を予測し、この予測結果に基づいて、上述のステップS12において太陽電池6dから二次電池6aへの電力供給量を決定する。そして、ステップS12では、このように決定された供給量の電力を、太陽電池6dから二次電池6aに供給する。
【0114】
太陽電池6dの発電電力は、季節、時間、天候等によって異なる。そこで、予測される発電電力に基づいて、太陽電池6dから二次電池6aへの電力供給量を決定するとともに、他の電源(例えば、電力系統12や、二次電池6a及び太陽電池6d以外の直流電源6等)から二次電池6aへの電力供給量を決定することにより、二次電池6aにおける蓄電量を、適切に維持することができる。
【0115】
例えば、太陽電池6dによる発電電力が、ガスタービン2(プラント機器)の始動に必要な量T2に達すると予測される時間帯においては、太陽電池6dから二次電池6aへ電力を供給する。
また、太陽電池6dによる発電電力が、ガスタービン2(プラント機器)の始動に必要な量T2に達しないと予測される時間帯においては、太陽電池6dから二次電池6aへ電力を供給するとともに、必要量T2に不足する分の電力を、例えば、電力系統12からの電力を、整流器10を介して二次電池6aに供給する。
【0116】
これにより、停電等により電力系統からの電力供給が受けられない場合であっても、より確実にプラント機器を再始動することができる。
【0117】
なお、太陽電池6dの発電電力を予測する手法は、例えば、「太陽光発電出力予測技術開発実証事業事後評価報告書」(2015年11月発行、経済産業省 産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会)の記載内容を参照することにより知得可能である。
【0118】
図7は、直流電源6として二次電池6aと、二次電池とは別の1以上の電源(図7に示す例では太陽電池6d)とを含む発電プラント1(図1図3参照)の運転方法を示す図である。
【0119】
幾つかの実施形態では、ガスタービン2を交流電動機4によって始動させるときに、二次電池6aに蓄電された直流電力よりも、太陽電池6d(二次電池6aとは別の1以上の電源)からの直流電力を優先して、第1インバータ8を介して交流電動機4に供給する。
図7を参照して説明すると、ガスタービン2を交流電動機4によって始動させるときに、二次電池6aよりも優先して、太陽電池6dからの直流電力を、第1インバータ8を介して交流電動機4に供給する(S21)。そして、二次電池6aからの電力では、交流電動機4の始動に必要な電力の全量を賄えない場合には、不足分の電力を、二次電池6aから第1インバータ8を介して交流電動機4に供給する(S22)。
【0120】
このように、二次電池6aに蓄電された直流電力よりも、二次電池6aとは別の電源(上述の例では太陽電池6d)からの直流電力を優先して交流電動機4に供給することにより、より低容量の二次電池6aを用いて、ガスタービン2(プラント機器)を始動させることができる。
【0121】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0122】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0123】
また、本明細書において、電圧を変換する必要がある場合には、適宜、交流回路に変圧器、直流回路にDC/DCコンバータを加えることができる。また、本明細書に記載の変圧器、DC/DCコンバータが不要な場合には除去することができる。本発明の技術的範囲はこれらの変圧器やDC/DCコンバータの有無や位置関係とは無関係である。
【符号の説明】
【0124】
1 発電プラント
2 ガスタービン
3 回転シャフト
4 交流電動機
5 交流発電機
6 直流電源
6a 二次電池
6b 電気化学式燃料生成発電装置
6c 燃料電池
6d 太陽電池
7 燃料貯留部
8 第1インバータ
10 整流器
11 整流器
12 電力系統
13 開閉器
14 変圧器
16 電気化学式燃料生成装置
17 燃料貯留部
18a,18d DC/DCコンバータ
20 第2インバータ
22 電力需要部
24 変圧器
32,34,36,38,40,42(42a〜42d),44,46 開閉器
102 火力発電装置
103 二酸化炭素回収システム
112 カソード
114 電解質
116 アノード
118 改質部
119 燃焼器
120 COシフト反応器
122 燃料貯留部
124 予備改質器
126 熱交換器
128 アノード出口側流路
130 燃料供給ライン
140 排熱回収ボイラ
142 蒸気タービン
144 発電機
146 煙突
150 圧縮機
170 カソード入口側流路
176 アノード入口側流路
178 バイパス流路
202 圧縮機
204 燃焼器
206 タービン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7