【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る発電プラントは、
プラント機器と、
前記プラント機器を始動させるための交流電動機と、
少なくとも一つの直流電源と、
前記少なくとも一つの直流電源と前記交流電動機との間、かつ、前記少なくとも一つの直流電源と電力系統との間に設けられた第1インバータと、を備え、
前記第1インバータは、前記少なくとも一つの直流電源からの直流電力を交流電力に変換するとともに、該交流電力を前記交流電動機又は前記電力系統に選択的に供給可能に構成される。
【0007】
上記(1)の構成によれば、直流電源からの直流電力を第1インバータで交流電力に変換し、該交流電力を交流電動機又は電力系統に選択的に供給可能であるので、第1インバータからの直流電力を、プラント機器の始動時には交流電動機に、プラント機器の始動時以外のときには電力系統にそれぞれ供給可能である。このように、プラント機器始動用の電動機へ電力を供給するためのインバータと、該電動機に供給する電力とは異なる規定周波数にて電力系統に送電するためのインバータとを共通化することで、インバータの設備コストを低減可能である。よって、プラント機器の始動用の電動機に低コストで電力を供給することができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記第1インバータと前記電力系統との接続状態を切り替えるための第1開閉器と、
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータ及び前記第1開閉器に対して並列に設けられ、前記電力系統からの交流電力を直流電力に変換するための整流器と、
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータ及び前記第1開閉器に対して並列に設けられ、前記整流器と前記電力系統との接続状態を切り替えるための第2開閉器と、
をさらに備え、
前記少なくとも一つの直流電源は、前記整流器からの直流電流を受け取るように構成された二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含む。
【0009】
上記(2)の構成によれば、第1インバータを介して直流電源からの電力を電力系統に供給可能であるとともに、例えば電力需要が大きくない時間帯等、直流電源からの電力を電力系統に供給しないときに、電力系統からの電力を整流器を介して二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置に供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記プラント機器としての原動機によって駆動されるように構成され、前記電力系統に連系可能に構成された交流発電機と、
前記直流電源と前記交流発電機との間に設けられ、前記交流発電機からの交流電力を直流電力に変換するための整流器と、を備え、
前記少なくとも一つの直流電源は、前記整流器からの直流電力を受け取るように構成された二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含む。
【0011】
上記(3)の構成によれば、プラント機器によって駆動される交流発電機によって生成される電力を電力系統に供給可能である。一方、交流発電機の電力系統からの解列時には、交流発電機からの電力を整流器を介して二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置に供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。例えば、プラント機器(原動機)の停止時における回生エネルギーを利用して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータに対して並列に設けられた第2インバータを備え、
前記第2インバータは、前記第1インバータが前記交流電動機に交流電流を供給している間、前記直流電源からの直流電力を交流電力に変換して前記交流電動機とは別の電力需要部に供給するように構成される。
【0013】
上記(4)の構成によれば、例えば停電等のため、電力系統からの電力が供給されない場合であっても、互いに並列に設けられた第1インバータ及び第2インバータを介して、プラント機器始動用の交流電動機及び発電プラントの運転に必要な電力需要部(例えば制御機器等)に、それぞれ異なる周波数の交流電力を供給することができる。よって、電力系統からの電力が供給されない場合であっても、交流電動機及び電力需要部に適切に電力を供給して、プラント機器を適切に始動させることができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記プラント機器としての原動機によって駆動されるように構成され、前記電力系統に連系される交流発電機を備え、
前記交流発電機は、前記原動機を始動させるための前記交流電動機として機能するように構成される。
【0015】
上記(5)の構成によれば、プラント機器(原動機)によって駆動される交流発電機を、該プラント機器(原動機)を始動させるための交流電動機としても使用可能であるので、設備コスト及び設置面積を低減することができる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記プラント機器としての原動機によって駆動されるように構成され、前記電力系統に連系される交流発電機を備え、
前記交流発電機は、該交流発電機の励磁電力として前記直流電源からの直流電力が供給されるように構成される。
【0017】
上記(6)の構成によれば、直流電源からの直流電力の電力系統又は交流電動機(プラント機器の始動時に限る。)への供給が可能であることに加えて、プラント機器の運転時においてプラント機器(原動機)によって駆動される交流発電機に直流電源からの直流電力を励磁電力として供給可能である。よって、発電プラントの設備コスト及び設置面積を低減することができる。
【0018】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、前記交流電動機として、前記交流発電機を兼用する。
【0019】
上記(7)の構成によれば、プラント機器(原動機)によって駆動される交流発電機を、該プラント機器(原動機)を始動させるための交流電動機として兼用するので、設備コスト及び設置面積を低減することができる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの構成において、
前記プラント機器はガスタービンを含み、
前記交流電動機は、前記ガスタービンを駆動するように構成される。
【0021】
ガスタービンを適切に始動させるためには、ガスタービンを始動させるための交流電動機の回転数を、ゼロから徐々に増加させる必要がある。
この点、上記(8)の構成によれば、ガスタービンの始動時には、第1インバータを介して、交流電流の周波数をゼロから徐々に増加させながら交流電流を電動機に供給するとともに、ガスタービンの始動時以外には、第1インバータを介して、規定周波数にて交流電流を電力系統に供給することができる。よって、設備コストを低減しながら、プラント機器始動用の電動機及び電力系統に対して効率的に電力を供給することができる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、
前記少なくとも1つの直流電源は、アノードと、二酸化炭素を含むガスが供給されるように構成されたカソードと、前記二酸化炭素由来の炭酸イオンを前記カソードから前記アノードに移動させるように構成された電解質と、を含む燃料電池を含み、
前記カソードは、前記二酸化炭素を含むガスとして、前記ガスタービンからの排ガスが供給されるように構成される。
【0023】
上記(9)の構成によれば、燃料電池で生成した直流電力を用いてガスタービンの始動及び電力系統への電力供給ができるとともに、ガスタービンからの排ガスに含まれる二酸化炭素を、燃料電池を用いて回収することができる。よって、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0024】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかの構成において、
前記少なくとも一つの直流電源に対して並列に設けられた電気化学式燃料生成装置をさらに備える。
【0025】
上記(10)の構成によれば、直流電源に対して並列に設けられた電気化学式燃料生成装置に直流電力を供給することで、該電気化学式燃料生成装置によって燃料を生成することができる。よって、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0026】
(11)本発明の一実施形態に係る発電プラントの運転方法は、
プラント機器と、交流電動機と、少なくとも1つの直流電源と、前記直流電源と前記交流電動機との間、かつ、前記直流電源と電力系統との間に設けられた第1インバータと、を含む発電プラントの運転方法であって、
前記少なくとも1つの直流電源で直流電力を生成するステップと、
前記第1インバータにより前記直流電力を交流電力に変換するステップと、
前記第1インバータから交流電力を前記交流電動機に供給して、前記プラント機器を始動させるステップと、
前記プラント機器の始動後、前記プラント機器の稼働中に、前記第1インバータから交流電力を前記電力系統に供給するステップと、
を備える。
【0027】
上記(11)の方法によれば、直流電源からの直流電力を第1インバータで交流電力に変換し、第1インバータからの直流電力を、プラント機器の始動時には交流電動機に、プラント機器の始動時以外のときには電力系統にそれぞれ供給する。このように、プラント機器始動用の電動機へ電力を供給するためのインバータと、該電動機に供給する電力とは異なる規定周波数にて電力系統に送電するためのインバータとを共通化することで、インバータの設備コストを低減可能である。よって、プラント機器の始動用の電動機に低コストで電力を供給することができる。
【0028】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の方法において、
前記発電プラントは、前記直流電源と前記電力系統との間において前記第1インバータに対して並列に設けられた整流器をさらに含み、
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含み、
前記プラント機器の稼働中に、前記少なくとも一つの直流電源からの直流電力を前記第1インバータによって交流電力に変換し、該交流電力を前記電力系統に供給するステップと、
前記電力系統において電力需要が規定値以下に低下したときに、前記電力系統からの交流電力を前記整流器によって直流電力に変換し、該直流電力を前記二次電池又は前記電気化学式燃料生成発電装置に供給するステップと、
を備える。
【0029】
上記(12)の方法によれば、第1インバータを介して直流電源からの電力を電力系統に供給可能であるとともに、例えば電力需要が大きくない時間帯等、直流電源からの電力を電力系統に供給しないときに、電力系統からの電力を整流器を介して二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置に供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0030】
(13)幾つかの実施形態では、上記(11)又は(12)の方法において、
前記発電プラントは、前記プラント機器としての原動機によって駆動されるとともに前記電力系統に連系される交流発電機と、前記直流電源と前記交流発電機との間に設けられた整流器と、を備え、
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置を含み、
前記交流発電機を前記電力系統から解列させるステップと、
前記交流発電機を解列させた後、前記原動機が停止するまでの間、前記交流発電機からの回生電力を、前記整流器を介して前記二次電池又は前記電気化学式燃料生成発電装置に供給するステップと、
を備える。
【0031】
上記(13)の方法によれば、プラント機器によって駆動される交流発電機によって生成される電力を電力系統に供給可能である。一方、交流発電機の電力系統からの解列時には、交流発電機からの電力を整流器を介して二次電池又は電気化学式燃料生成発電装置に供給して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。例えば、プラント機器(原動機)の停止時における回生エネルギーを利用して、蓄電又は燃料生成を行うことができる。よって、電力需要等に応じて、発電プラントを効率的に運転することができる。
【0032】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の方法において、
前記少なくとも1つの直流電源は二次電池を含み、
前記プラント機器の稼働中、前記二次電池において前記回生電力分の空き容量を維持するステップをさらに備える。
【0033】
上記(14)の方法によれば、プラント機器の稼働中に、二次電池において回生電力分の空き容量を維持するので、プラント機器が停止する場合に、プラント機器の回生電力を二次電池に回収することができる。
【0034】
(15)幾つかの実施形態では、上記(11)乃至(14)の何れかの方法において、
前記発電プラントは、前記直流電源と前記電力系統との間において、前記第1インバータに対して並列に設けられた第2インバータを含み、
前記第1インバータが前記プラント機器の始動のために前記交流電動機に交流電流を供給している間、前記直流電源からの直流電力を前記第2インバータによって交流電力に変換して前記交流電動機とは別の電力需要部に供給するステップをさらに備える。
【0035】
上記(15)の方法によれば、例えば停電等のため、電力系統からの電力が供給されない場合であっても、互いに並列に設けられた第1インバータ及び第2インバータを介して、プラント機器始動用の交流電動機及び発電プラントの運転に必要な電力需要部(例えば制御機器等)に、それぞれ異なる周波数の交流電力を供給することができる。よって、電力系統からの電力が供給されない場合であっても、交流電動機及び電力需要部に適切に電力を供給して、プラント機器を適切に始動させることができる。
【0036】
(16)幾つかの実施形態では、上記(11)乃至(15)の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの直流電源は二次電池を含み、
前記プラント機器の稼働中、前記プラント機器の始動に必要な量の電力が前記二次電池に蓄電された状態を維持するステップをさらに備える。
【0037】
上記(16)の方法によれば、プラント機器の稼働中、プラント機器の始動に必要な量の電力が二次電池に蓄電された状態を維持するので、停電等により電力系統からの電力供給が受けられない場合であっても、プラント機器を再始動することができる。
【0038】
(17)幾つかの実施形態では、上記(16)の方法において、
前記少なくとも1つの直流電源は、前記二次電池とは別の1以上の電源をさらに含み、
前記維持するステップでは、前記プラント機器の始動に必要な量の電力が前記二次電池に蓄電された状態とするために、前記1以上の電源から前記二次電池に電力を供給する。
【0039】
上記(17)の方法によれば、1以上の電源から二次電池に電力を供給することにより、プラント機器の始動に必要な量の電力が二次電池に蓄電された状態を維持することができる。このため、停電等により電力系統からの電力供給が受けられない場合であっても、プラント機器を再始動することができる。
【0040】
(18)幾つかの実施形態では、上記(17)の方法において、
前記1以上の電源は太陽電池を含み、
前記太陽電池の発電電力を予測するステップと、
前記予測するステップでの予測結果に基づいて、前記維持するステップにおける前記太陽電池から前記二次電池への電力供給量を決定するステップと、をさらに備える。
【0041】
上記(18)の方法によれば、太陽電池の発電電力の予測結果に基づいて決定された量の電力を太陽電池から二次電池に供給して二次電池における蓄電量を維持する。これにより、停電等により電力系統からの電力供給が受けられない場合であっても、より確実にプラント機器を再始動することができる。
【0042】
(19)幾つかの実施形態では、上記(11)乃至(16)の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの直流電源は、二次電池と、前記二次電池とは別の1以上の電源と、を含み、
前記プラント機器を始動させるステップでは、前記二次電池に蓄電された直流電力よりも、前記1以上の電源からの直流電力を優先して前記第1インバータを介して前記交流電動機に供給する。
【0043】
上記(19)の方法によれば、二次電池に蓄電された直流電力よりも、二次電池とは別の電源からの直流電力を優先して交流電動機に供給するので、より低容量の二次電池を用いて、プラント機器を始動させることができる。