特許第6945340号(P6945340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945340
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】自動分析装置、及び洗浄液量の調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   G01N35/10 E
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-95334(P2017-95334)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2018-194301(P2018-194301A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年3月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆広
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲史
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−202945(JP,A)
【文献】 特開2007−315969(JP,A)
【文献】 特開2010−071897(JP,A)
【文献】 特開2008−058163(JP,A)
【文献】 特開2016−003967(JP,A)
【文献】 特開2016−121923(JP,A)
【文献】 特開平06−010392(JP,A)
【文献】 特表2013−511721(JP,A)
【文献】 特開2014−194351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブの洗浄に用いられる洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記供給された洗浄液を貯留する洗浄プールと、
前記洗浄プールに貯留された洗浄液の液面を検知する液面検知部と、
前記液面検知部により前記洗浄液の液面が検知された結果に基づいて当該洗浄液の洗浄液量を算出する洗浄液量算出部と、
前記算出された洗浄液量が、所定の範囲に収まるか否かを判定する洗浄液量判定部と、 前記算出された洗浄液量が、前記洗浄液量判定部により所定の範囲に収まらないと判定された場合に、前記洗浄液供給部から供給される洗浄液の洗浄液量を前記所定の範囲に収まるように調整する洗浄液量調整部と
を具備し、
前記洗浄液供給部は、入力される電気信号に応じて開口度、及び/又は、開口時間が調整される電磁弁を有し、
前記洗浄液量調整部は、前記電磁弁の開口度、及び/又は、開口時間を調整
前記液面検知部は、前記プローブが前記洗浄プールに貯留された前記洗浄液に接触したときの静電容量の変化に基づいて前記洗浄液の液面を検知し、
前記静電容量の変化に関する変化量と、予め設定される閾値とを比較することにより前記洗浄プールが汚染されているか否かを判定する汚染判定部をさらに具備する自動分析装置。
【請求項2】
前記洗浄プールは、所定量の前記洗浄液を予め貯留しており、
前記洗浄液供給部は、前記洗浄プールにさらに前記プローブの洗浄に用いられる量の前記洗浄液を供給し、
前記洗浄液量算出部は、前記供給された洗浄液の増加量に基づいて前記洗浄液量を算出する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記洗浄プールは、前記洗浄液を貯留するための開閉弁を有し、
定期メンテナンス時、又は初期設定時において、前記開閉弁を閉制御するシステム制御部をさらに具備し、
前記洗浄液供給部は、前記システム制御部の制御により前記開閉弁が閉鎖された後に、前記洗浄プールに前記洗浄液を供給し、
前記洗浄プールは、前記供給された洗浄液を貯留する、
請求項1又は2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記汚染判定部は、前記閾値を複数設定することにより、前記洗浄プールの汚染度を判定する請求項1乃至3のうちいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記洗浄液供給部は、前記洗浄液を前記プローブの接触外面に向けて吐出する、
請求項1乃至のうちいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記洗浄液供給部は、前記洗浄液を前記プローブ内に供給する、
請求項1乃至請求項のうちいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項7】
自動分析装置が備えるプローブの洗浄に用いられる洗浄液を供給し、
前記供給された洗浄液を前記自動分析装置が備える洗浄プールに貯留し、
前記プローブが前記洗浄プールに貯留された洗浄液に接触したときの静電容量に変化に基づいて前記洗浄プールに貯留された洗浄液の液面を検知し、
前記洗浄液の液面が検知された結果に基づいて当該洗浄液の洗浄液量を算出し、
前記算出された洗浄液量が、所定の範囲に収まるか否かを判定し、
前記算出された洗浄液量が所定の範囲に収まらないと判定された場合に、入力される電気信号に応じて開口度、及び/又は、開口時間が調整される電磁弁の開口度、及び/又は、開口時間を調整することによって、前記洗浄プールに供給される洗浄液の洗浄液量を前記所定の範囲に収まるように調整
前記静電容量の変化に関する変化量と、予め設定される閾値とを比較することにより前記洗浄プールが汚染されているか否かを判定する、
洗浄液量の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動分析装置、及び洗浄液量の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、試料容器に収容される試料に含まれる、生化学検査項目、及び免疫検査項目等の検査項目に関する成分を測定するための装置である。自動分析装置では、試料容器に収容される試料は、サンプル分注プローブにより、反応管へ分注される。また、反応管へは、試薬分注プローブにより、試薬庫に収容される試薬が分注される。反応管において試料と試薬とは混合され、試料と試薬との混合液における所定の成分が光学的に測定される。
【0003】
ところで、自動分析装置では、試料等を分注した後、例えばプローブの内外壁に付着した試料等を洗浄プールにおいて洗浄することにより、キャリーオーバー等の発生を防止している。このとき、例えばプローブの洗浄に用いられる洗浄水の量(以下、洗浄水量と称する)は、ポンプ及び流路上の弁によって調整される。
【0004】
洗浄水量は、測定データの精度を保つ上で重要な要素であるが、ポンプの経年劣化による性能低下、単一故障、及び流路詰まり等で変化する。プローブの内外壁を洗浄する洗浄水量が所定の基準値より少ない場合、例えば、プローブを十分洗浄できず、キャリーオーバー等が発生する可能性がある。また、プローブの外壁を洗浄する洗浄水量が所定の基準値より多い場合、プローブの先端に水滴が残留してしまう可能性がある。このため、測定データの精度を維持することが困難となる。
【0005】
また、洗浄水量の変化を検知することは難しく、装置管理者等による定期的な洗浄水量の確認、及び洗浄水量を調整するバルブの調整等のメンテナンスが必要なる。洗浄水量のメンテナンスは、通常、装置管理者等により手動で行われる。このとき、洗浄水量は非常に狭いレンジ内で調整する必要がある。このため、装置管理者等の作業負担が大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−58163号公報
【特許文献2】特開2007−315949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態の目的は、測定データの精度維持、及び装置管理者等の負担軽減を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、自動分析装置は、洗浄液供給部、洗浄プール、液面検知部、洗浄液量算出部、洗浄液量判定部、及び洗浄液量調整部を具備する。洗浄液供給部は、プローブの洗浄に用いられる洗浄液を供給する。洗浄プールは、前記供給された洗浄液を貯留する。液面検知部は、前記洗浄プールに貯留された洗浄液の液面を検知する。洗浄液量算出部は、前記液面検知部により前記洗浄液の液面が検知された結果に基づいて当該洗浄液の洗浄液量を算出する。洗浄液量判定部は、前記算出された洗浄液量が、所定の範囲に収まるか否かを判定する。洗浄液量調整部は、前記算出された洗浄液量が、前記洗浄液量判定部により所定の範囲に収まらないと判定された場合に、前記洗浄液供給部から供給される洗浄液の洗浄液量を前記所定の範囲に収まるように調整する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る自動分析装置の機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示される分析機構の構成を示す図である。
図3図3は、図1に示される分析機構の構成を示す図である。
図4図4は、図2に示される分析機構が備える洗浄機構の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る制御回路が洗浄プールに供給される洗浄液量が所定の範囲に収まらない場合に、電磁弁を制御して洗浄液量を調整する流れを示すフローチャートである。
図6図6は、変形例に係る自動分析装置の機能構成を示すブロック図である。
図7図7は、変形例に係る制御回路が、洗浄プールは汚染されていると判定した場合に、外部に当該洗浄プールが汚染されている旨を報知する流れを示すフローチャートである。
図8図8は、変形例に係る制御回路が洗浄プールが汚染されているか否か判定する方法の例を説明するための図である。
図9図9は、変形例に係る表示回路に表示される洗浄プールが汚染されている旨を通知するための通知画面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の機能構成を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、表示回路6、記憶回路7、及び制御回路8を具備する。
【0012】
分析機構2は、標準試料又は被検試料等の試料と、この試料に設定された各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ、及び被検データを生成する。
【0013】
解析回路3は、分析機構2により生成された標準データ、被検データに基づいて検量データ及び分析データ等を解析するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路7から動作プログラムを読み出し、動作プログラムに従って検量データ及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、標準データと、標準試料に予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づいて、濃度値及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ及び分析データ等を制御回路8へ出力する。
【0014】
駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。駆動機構4は、制御回路8の制御に従い、分析機構2を駆動させる。
【0015】
入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース5は、例えば、操作者から検査を行う検査対象の試料を識別する試料ID、この試料IDに対する検査項目、及び各検査項目の分析パラメータを受け付ける。入力インタフェース5は、制御回路8に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路8へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース5はマウス及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路8へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース5の例に含まれる。
【0016】
表示回路6は、例えばCRT(Cathdode-Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等を有する。また、表示回路6は、制御回路8に接続され、制御回路8から供給される信号を外部へ表示する。表示回路6は、例えば制御回路8から供給される検量データ及び分析データを表示する。
【0017】
記憶回路7は、磁気的若しくは光学的記録媒体又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。記憶回路7は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路8で実行される動作プログラムを記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路7は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。自動分析装置1が備える洗浄プールの形状に関する情報を記憶している。洗浄プールの形状に関する情報は、例えば、洗浄プールの断面積である。
【0018】
制御回路8は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路8は、記憶回路7に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。
【0019】
図2及び図3は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図2及び図3に示される分析機構2は、反応ディスク201、及び試薬庫202を備える。
【0020】
反応ディスク201内には、恒温水で満たされた恒温槽2012が設けられている。恒温槽2012は円周形状を有している。反応ディスク201は、恒温槽2012により、複数の反応管2011を保持する。反応ディスク201は、駆動機構4によって既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応管2011は、例えば、ガラスにより形成される。
【0021】
試薬庫202は、試薬が収容されている試薬容器を複数保持する試薬庫の一例であり、この実施形態では、反応ディスク201の内側に配置される。試薬庫202は、試薬容器ラックにより、円周状に複数の試薬容器を保持する。図2及び図3に示される試薬庫202内の外円2021は、試薬庫202内で円周状に配列される試薬容器のうち、外側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。試薬庫202内の内円2022は、試薬庫202内で円周状に配列される試薬容器のうち、内側の円周に配列される試薬容器の開口部の位置を表す。試薬庫202に保持されている試薬容器は、反応管2011に分注される試薬を収容している。開口部が外円2021に沿って配置される試薬容器101は、各検査項目に対応する第1試薬を収容している。第1試薬は、検査項目毎に使われるものが決められている。開口部が内円2022に沿って配置される試薬容器101は、各検査項目に対応する第2試薬を収容している。第2試薬は、第1試薬同様に検査項目毎に使われるものが決められている。試薬容器ラックは、駆動機構4によって試薬庫202の中心を回転中心として回動される。
【0022】
また、図2及び図3に示される分析機構2は、ラック投入ユニット230、ラック移動ユニット240、ラック回収ユニット250、及びSTATラック投入レーン260を備える。
ラック投入ユニット230は、投入レーン231を備える。投入レーン231には、サンプルラック102が投入される。サンプルラック102は、試料を収容する試料容器100を複数保持している。サンプルラック102の両端の側面には、ラック移動ユニット240に設けられる搬送アーム241によりピックアップ可能な形状、例えば1対の溝が形成される。また、サンプルラック102には、サンプルラック102の有無を識別するためのRFID(Radio Frequency IDentification)チップ(無線タグ)が取り付けられている。
【0023】
試料容器100には、標準試料又は被検試料等の試料が収容される。試料容器100には、試料容器100に収容される試料の識別情報等が記載される光学式マークが印刷されたラベルが貼付されている。光学式マークは、試料容器100に関する情報、及び試料の識別情報等を符号化したマーク、例えば、バーコード、1次元コード、及び2次元コード等である。
【0024】
サンプルラック102は、投入レーン231へ投入される。投入レーン231へ投入されるサンプルラック102は、駆動機構4により駆動され、ラック移動ユニット240へ移動可能な投入位置へ移動される。このとき、投入レーン231におけるサンプルラック102の移動は、例えば、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0025】
ラック移動ユニット240は、搬送アーム241、搬送レール242、サンプリングレーン243、バッファレーン244、及びリーダ245を備える。
【0026】
搬送アーム241は、例えば、1対の爪を上下動自在に有する。搬送アーム241は、サンプルラック102に形成される1対の溝に爪を差し込んだ状態で、フォークリフトがそのフォークで荷物を抱えて運ぶように、サンプルラック102を搬送する。
【0027】
搬送アーム241は、駆動機構4によって駆動され、サンプルラック102を搬送する。例えば、搬送アーム241は、投入レーン231における投入位置に載置されているサンプルラック102を抱えた後、搬送レール242上を移動する。これにより、搬送アーム241は、抱えたサンプルラック102をサンプリングレーン243へ搬送する。搬送レール242は、サンプリングレーン243と、バッファレーン244との間に設けられ、搬送アーム241が移動する際のガイドの役割を担う。また、搬送アーム241は、サンプリングレーン243における、ラック回収ユニット250へ移動可能な搬出位置に位置するサンプルラック102を抱えた後、搬送レール242上を移動する。これにより、搬送アーム241は、抱えたサンプルラック102をバッファレーン244又はラック回収ユニット250へ搬送する。また、搬送アーム241は、バッファレーン244上に載置されたサンプルラック102を、ラック回収ユニット250へ搬送する。また、搬送アーム241は、バッファレーン244上に載置されたサンプルラック102を、STATラック投入レーン260へ搬送する。
【0028】
サンプリングレーン243は、分注対象となる試料容器100が保持される複数のサンプルラックを、サンプル分注プローブ205が試料を吸引する位置であるサンプル吸引位置2432の下へ搬送するためのレーンである。サンプリングレーン243は、駆動機構4により、投入レーン231における投入位置から搬入されたサンプルラック102を移動させる。例えば、サンプリングレーン243は、サンプルラック102に保持される試料容器100各々の開口を、サンプル吸引位置2432の下へ移動させる。また、サンプリングレーン243は、サンプルラック102に保持される全ての試料容器100に収容される試料の分注が正常に終了すると、サンプルラック102を、サンプル吸引位置2432の下から、ラック回収ユニット250へ移動可能な搬出位置へ移動させる。サンプリングレーン243におけるサンプルラック102の移動は、例えば、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0029】
バッファレーン244は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102を一時的に滞留させるための滞留エリアである。
【0030】
リーダ245は、例えばサンプル吸引位置2432の近傍に設けられる。リーダ245は、制御回路8からのID読取開始の指示を契機として、読取りを開始する。リーダ245は、分注対象となる試料容器100が光学式マークを読取り可能な位置に到達すると、当該試料容器100に付された光学式マークから試料の識別情報を読み取る。リーダ245は、読取った試料の識別情報を制御回路8に供給する。なお、リーダ245は、RFID等を利用した他のセンサで代替してもよい。
【0031】
ラック回収ユニット250は、第1回収レーン251、及び第2回収レーン252を有する。第1回収レーン251及び第2回収レーン252は、測定が正常に終了した試料容器100が保持されるサンプルラック102の回収先の役割を有する。また、第1回収レーン251及び第2回収レーン252は、所定のエラーを発生させた試料を収容する試料容器100を保持するサンプルラック102の排出先の役割も有する。第1回収レーン251及び第2回収レーン252は、駆動機構4により駆動され、ラック移動ユニット240から搬送アーム241により搬送されたサンプルラック102を、取り出し位置へ移動させる。
【0032】
STATラック投入レーン260は、緊急で測定する必要のある試料を収容する試料容器100が保持されるサンプルラック102を投入するためのレーンである。
【0033】
また、図2及び図3に示される分析機構2は、サンプル分注アーム204、サンプル分注プローブ205、液面検知器207、洗浄プール208、第1試薬分注アーム210、第1試薬分注プローブ211、液面検知器213、洗浄プール214、第2試薬分注アーム216、第2試薬分注プローブ217、液面検知器219、洗浄プール220、第1撹拌ユニット222、及び第2撹拌ユニット223を備える。
【0034】
サンプル分注アーム204は、反応ディスク201とサンプリングレーン243との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。サンプル分注アーム204は、一端にサンプル分注プローブ205を保持する。サンプル分注アーム204は、駆動機構4によって回動される。サンプル分注アーム204が回動に伴って、サンプル分注プローブ205は、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル分注プローブ205が試料容器100から試料を吸引する位置である、サンプル吸引位置P1が設定されている。サンプル吸引位置P1は、サンプリングレーン243上に位置するように予め設定されている。また、当該回動軌道上のサンプル吸引位置とは異なった位置には、サンプル分注プローブ205が吸引した試料を反応管2011へ吐出するサンプル吐出位置P2が設定されている。サンプル分注プローブ205の回動軌跡は、サンプリングレーン243上に載置されるサンプルラック102に保持されている試料容器100の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、サンプル吸引位置P1、サンプル吐出位置P2である。
【0035】
サンプル分注プローブ205は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置P1、及びサンプル吐出位置P2において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ205は、制御回路8の制御に従い、サンプル吸引位置P1に位置する試料容器100から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ205は、制御回路8の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置P2に位置する反応管2011へ吐出する。
【0036】
液面検知器207は、一端が電気的にサンプル分注プローブ205に接続される。液面検知器207は、発振回路、ブリッジ回路、差動アンプ、同期検波回路、積分回路、及び増幅回路等を備える。液面検知器207は、例えばサンプル分注プローブ205が洗浄プール208内の洗浄液に接触したときの例えば静電容量の変化(電位の変化)により、洗浄液へのサンプル分注プローブ205の接触を検出する。液面検知器207は、サンプル分注プローブ205の接触に関する検出信号を制御回路8へ出力する。
【0037】
洗浄プール208は、サンプルプローブ洗浄位置P3に配置されている。洗浄プール208は、洗浄プール208内に吐出される洗浄液を一時的に貯留する。
【0038】
図4は、本実施形態に係る分析機構2が備える洗浄機構の構成例を示す模式図である。図4に示される洗浄機構は、一端がサンプル分注プローブ205に接続されるチューブ281、チューブ281の他端部に接続されるシリンジ282、及びシリンジ282の下端部に設けられる開口に勘合するプランジャ283を備える。また、洗浄機構は、サンプル分注プローブ205、チューブ281、及びシリンジ282の各内部に充填される圧力伝達媒体を貯留するタンク289を備える。タンク289に充填される圧力伝達媒体は、例えば純水である。
【0039】
また、図4に示される洗浄機構は、タンク289に貯留された圧力伝達媒体を吸引し、吸引した圧力伝達媒体を洗浄液としてシリンジ282、及びチューブ281を経由してサンプル分注プローブ205内に供給する洗浄ポンプ284を備える。また、洗浄機構は、シリンジ282と洗浄ポンプ284との間を連通する流路を開閉する電磁弁285を備える。電磁弁285では、例えば、入力される電気信号に応じて弁の開口度、及び/又は、開口時間を調整可能である。電磁弁285には、例えば、当該弁の開口度を調整するリニアソレノイド弁、及び、弁の開口時間を調整するデューティーソレノイド弁が含まれる。
【0040】
具体的には、例えば電磁弁285がリニアソレノイド弁である場合、電磁弁285に印加される電流の大きさに応じて、当該弁の開口度が調整される。また、電磁弁285がデューティーソレノイド弁である場合、電磁弁285に印加されるパルス電圧の繰返し周期に対するパルス幅の比率を示すデューディー比の変化に応じて、当該弁の開口時間が調整される。これにより、洗浄ポンプ284からサンプル分注プローブ205内に供給される洗浄液の量(以下、洗浄液量と称する)の調整が可能となる。なお、電磁弁285は、開閉のみが制御されるものであってもよい。
【0041】
試料を分注する際、シリンジ282と洗浄ポンプ284との間の流路は、制御回路8により制御される電磁弁285により閉鎖される。駆動機構4がプランジャ283を矢印L1方向へ吸引駆動することにより、サンプル分注プローブ205は、サンプル吸引位置2432で試料容器100内の試料を吸引する。また、駆動機構4がプランジャ283を矢印L2方向へ吐出駆動することにより、サンプル分注プローブ205は、サンプル吐出位置P2に位置する反応管2011内へ試料を吐出する。
【0042】
同一試料の分注が終了したとき、定期メンテナンス時、又は自動分析装置1の初期設定時、シリンジ282と洗浄ポンプ284との間の流路は、制御回路8により制御される電磁弁285により所定の開口度で開放される。洗浄ポンプ284は、駆動機構4により駆動され、サンプル分注プローブ205内へ洗浄液を供給する。
【0043】
また、図4に示される洗浄プール208には、洗浄液を洗浄プール208内に洗浄液を受け入れるための吐出するための吐出口2081、及び吐出口2082、並びに洗浄プール208内に貯留された洗浄液を排液するための排液口2083が設けられている。
【0044】
図4に示される洗浄機構は、タンク289に貯留された圧力伝達媒体を吸引し、吸引した圧力伝達媒体を洗浄液としてチューブ286を経由して洗浄プール208に供給する洗浄ポンプ287を備える。洗浄ポンプ287から供給された洗浄液は、途中で二手に分かれ、吐出口2081及び吐出口2082からサンプル分注プローブ205の接触外面に向けて吐出される。
【0045】
また、図4に示される洗浄機構は、分岐管290と洗浄ポンプ287との間を連通する流路を開閉する電磁弁288を備える。電磁弁288は、例えば、入力される電気信号に応じて弁の開口度、及び/又は、開口時間を調整可能である。電磁弁288には、例えば、リニアソレノイド弁、及び、デューティーソレノイド弁が含まれる。
【0046】
具体的には、例えば電磁弁288がリニアソレノイド弁である場合、電磁弁288に印加される電流の大きさに応じて、当該弁の開口度が調整される。また、電磁弁288がデューティーソレノイド弁である場合、電磁弁288に印加されるパルス電圧の繰返し周期に対するパルス幅の比率を示すデューディー比の変化に応じて、当該弁の開口時間が調整される。これにより、洗浄ポンプ287からサンプル分注プローブ205の接触外面に供給される洗浄液量の調整が可能となる。なお、電磁弁288は、開口度、及び、開口時間を調整可能なものであってもよく、洗浄液の流量を無段階に調整できるものであればどのようなものを用いてもよい。
【0047】
図4に示される洗浄機構は、一端が洗浄プール208に設けられた排液口2083に接続されるチューブ293、洗浄プール208に供給された洗浄液を貯留する電磁弁294を備える。電磁弁294は、洗浄プール208内に供給された洗浄液を貯留する場合は、制御回路8の制御により閉鎖される。また、洗浄プール208内に貯留された洗浄液を排出する場合は、制御回路8の制御により開放される。
【0048】
同一試料の分注が終了したとき、定期メンテナンス時、又は自動分析装置1の初期設定時、分岐管290と洗浄ポンプ287との間の流路は、制御回路8により制御される電磁弁288により所定の開口度で開放される。洗浄ポンプ287は、駆動機構4により駆動され、サンプル分注プローブ205の接触外面へ向けて洗浄液を供給する。
【0049】
第1試薬分注アーム210は、反応ディスク201とサンプリングレーン243との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム210は、一端に第1試薬分注プローブ211を保持する。第1試薬分注アーム210は、駆動機構4によって回動される。第1試薬分注アーム210が回動されることにより、第1試薬分注プローブ211は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第1試薬分注プローブ211が、試薬庫202の外円2021上に配置される試薬容器から各検査項目に対応する第1試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第1試薬を反応管2011へ吐出する第1試薬吐出位置P4とが設定されている。第1試薬分注プローブ211の回動軌跡は、試薬庫202の外円2021上に配置される試薬容器(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、試薬吸引位置、第1試薬吐出位置P4である。
【0050】
第1試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第1試薬吐出位置P4において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ211は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第1試薬を吸引する。また、第1試薬分注プローブ211は、制御回路8の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置P4に位置する反応管2011へ吐出する。
【0051】
液面検知器213の構成及び機能については、液面検知器207と同様である。
【0052】
洗浄プール214は、第1試薬プローブ洗浄位置P5に配置されている。洗浄プール214の構成及び機能は、図4に示される洗浄プール208の構成及び機能と同様である。
【0053】
第1試薬分注プローブ211を洗浄する洗浄機構の構成及び機能については、図4に示されるサンプル分注プローブ205を洗浄する洗浄機構の構成及び機能と同様である。
【0054】
第2試薬分注アーム216は、試薬庫202とラック投入ユニット230との間に、鉛直方向には上下動自在に水平方向には回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム216は、一端に第2試薬分注プローブ217を保持する。第2試薬分注アーム216は、駆動機構4によって回動される。第2試薬分注アーム216が回動されることにより、第2試薬分注プローブ217は、円弧状の回動軌道に沿って回動される。この回動軌道上には、第2試薬分注プローブ217が、試薬庫202の内円2022上に配置される試薬容器101から各検査項目に対応する第2試薬を吸引する試薬吸引位置と、吸引した第2試薬を反応管2011へ吐出する第2試薬吐出位置P6とが設定されている。第2試薬分注プローブ217の回動軌跡は、試薬庫202の内円2022上に配置される試薬容器(の試薬吸引口)の移動軌跡、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌跡それぞれと交差している。それぞれの移動軌跡との交差点が、試薬吸引位置、第2試薬吐出位置P6である。
【0055】
第2試薬分注プローブ217は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び第2試薬吐出位置P6において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ217は、制御回路8の制御に従い、回動軌道上の試薬吸引位置に位置する試薬容器101から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ217は、制御回路8の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置P6に位置する反応管2011へ吐出する。
【0056】
液面検知器219の構成及び機能については、液面検知器207と同様である。
【0057】
洗浄プール220は、第2試薬プローブ洗浄位置P7に配置されている。洗浄プール220の構成及び機能は、図4に示される洗浄プール208の構成及び機能と同様である。
【0058】
第2試薬分注プローブ217を洗浄する洗浄機構の構成及び機能については、図4に示されるサンプル分注プローブ205を洗浄する洗浄機構の構成及び機能と同様である。
【0059】
第1撹拌ユニット222、及び第2撹拌ユニット223は、撹拌アーム、及び撹拌子をそれぞれ有する。撹拌アームは、先端近傍に、回動可能、且つ、上下動可能に撹拌子を支持する。第1撹拌ユニット222は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201における撹拌位置に位置する反応管2011へ撹拌子を移動させ、撹拌子により反応管2011内で試料及び第1試薬を混合した混合液、すなわち第1薬分注後の反応管2011内の混合液を撹拌する。第2撹拌ユニット223は、制御回路8の制御に従い、反応ディスク201における撹拌位置に位置する反応管2011へ撹拌子を移動させ、撹拌子により反応管2011内で試料、第1試薬、及び第2試薬を混合した混合液、すなわち第2試薬分注後の反応管2011内の混合液を撹拌する。
【0060】
また、図2及び図3に示される分析機構2は、測光ユニット224、洗浄ユニット225、及び電解質測定ユニット226を備える。
測光ユニット224は、反応管2011内に吐出された試料及び試薬の混合液等に光を照射し、当該混合液等を通過した光を光学的に測定する。測光ユニット224は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット224は、制御回路8の制御に従い、光源から反応管2011へ光を照射する。光検出器は、反応管2011内の標準試料と試薬との混合液、又は被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出する。光検出器は、検出した光の強度に基づいて例えば吸光度で表される標準データ又は被検データを生成する。測光ユニット224は、生成した標準データ及び被検データを、解析回路3へ出力する。
【0061】
洗浄ユニット225は、廃液ノズル、洗浄ノズル、及び乾燥ノズルを備える。洗浄ユニット225は、廃液ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011内の混合液を廃液として吸引する。洗浄ユニット225は、洗浄ノズルにより、反応管洗浄位置に位置する反応管2011へ洗浄液を吐出し、反応管2011を洗浄する。洗浄ユニット225は、乾燥ノズルにより、反応管2011へ乾燥空気を供給することで、洗浄液により洗浄された反応管2011を乾燥させる。
【0062】
電解質測定ユニット226は、反応管2011内の混合液中に存在する特定電解質の測定を行う。電解質測定ユニット226は、例えば特定電解質から発生するイオン濃度を測定する。
【0063】
本実施形態に係る制御回路8は、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図1に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8は、システム制御機能81、洗浄液量算出機能82、洗浄液量判定機能83、及び洗浄液量調整機能84を備える。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能81、洗浄液量算出機能82、洗浄液量判定機能83、及び洗浄液量調整機能84が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能81、洗浄液量算出機能82、洗浄液量判定機能83、及び洗浄液量調整機能84を実現しても構わない。
【0064】
システム制御機能81は、入力インタフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。システム制御機能81が実行されると、制御回路8は、入力情報に基づき、駆動機構4を制御し、駆動パルスをステッピングモータに供給することで、サンプル分注プローブ205、第1試薬分注プローブ211、及び第2試薬分注プローブ217の上下移動を制御する。また、制御回路8は、入力情報に基づき、例えば電磁弁294の開閉を制御する。
【0065】
洗浄液量算出機能82は、自動分析装置1が備える洗浄プールに吐出される洗浄液量を算出する機能である。洗浄液量算出機能82が実行されると、制御回路8は、例えば2回の液面検知の結果に基づいて洗浄液量を算出する。
【0066】
具体的には、制御回路8は、液面検知器207から1回目のサンプル分注プローブ205の接触に関する検出信号を受信するまで待機する。制御回路8は、1回目の液面検知における検出信号を受信すると、例えばサンプル分注プローブ205の先端が上下動の初期位置(待機位置)から下降を開始し、洗浄プールに貯留された洗浄液に接触するまでに供給された駆動パルスの数に基づいて、第1の下降量を算出する。
【0067】
制御回路8は、第1の下降量を算出した後、液面検知器207から2回目のサンプル分注プローブ205の接触に関する検出信号を受信するまで待機する。また、制御回路8は、2回目の液面検知における検出信号を受信すると、例えばサンプル分注プローブ205の先端が上下動の初期位置から下降を開始し、洗浄プールに貯留された洗浄液に接触するまでに供給された駆動パルスの数に基づいて、第2の下降量を算出する。制御回路8は、算出された第2の下降量と第1の下降量との差分値を算出する。これにより、制御回路8は、1回目の液面検知の後に洗浄プールに供給された洗浄液量を認識する。
【0068】
洗浄液量判定機能83は、洗浄プールに供給された洗浄液量が所定の範囲に収まるか否か判定する機能である。洗浄液量判定機能83が実行されると、制御回路8は、洗浄液量算出機能82により算出された下降量の差分値に基づいて、例えば洗浄プール208に吐出された洗浄液量が所定の範囲に収まるか否か判定する。
【0069】
洗浄液量調整機能84は、洗浄プールに吐出される洗浄液量を調整する機能である。洗浄液量調整機能84が実行されると、制御回路8は、洗浄液量判定機能83の判定結果に基づき、例えば電磁弁288を制御し、電磁弁288に印加される電流の大きさを変化させることにより、電磁弁288の開口度を調整する。また、制御回路8は、電磁弁288に印加されるパルス電圧の繰返し周期に対するパルス幅の比率を示すデューディー比を変化させることにより、電磁弁288の開口時間を調整する。また、制御回路8は、洗浄液量判定機能83の判定結果に基づき、例えば電磁弁285を制御し、電磁弁285に印加される電流の大きさを変化させることにより、電磁弁285の開口度を調整する。また、制御回路8は、電磁弁285に印加されるパルス電圧の繰返し周期に対するパルス幅の比率を示すデューディー比を変化させることにより、電磁弁285の開口時間を調整する。
【0070】
次に、本実施形態に係る自動分析装置1の動作について説明する。図5は、本実施形態に係る制御回路8が洗浄プール208に供給される洗浄液量が所定の範囲に収まらない場合に、電磁弁288を制御して洗浄液量を調整する流れの例を示すフローチャートである。以下では、定期メンテナンス時に、入力インタフェース5を介し、洗浄ポンプ287から洗浄プール208内に向けて供給される洗浄液量をチェックし、調整するための所定の指示が入力された場合を例に説明する。このとき、図4に示される洗浄機構が備える電磁弁294は、開放されているものとする。また、電磁弁288は、リニアソレノイド弁であるものとする。また、予め設定されている電磁弁288の開口度によって調整される洗浄液量は、許容される所定の範囲に収まらないものとする。なお、電磁弁288は、デューティーソレノイド弁であってもよいし、弁の開口度、及び、開口時間を同時に制御可能な弁であってもよい。
【0071】
制御回路8は、所定の指示が入力されると、システム制御機能81を実行し、電磁弁294を閉鎖する(ステップSA1)。これにより、洗浄プール208は、洗浄プール208内に吐出された洗浄液を貯留可能となる。
【0072】
制御回路8は、駆動機構4及び電磁弁288を制御し、洗浄ポンプ287から洗浄プール208内に向けて洗浄液を供給する(ステップSA2)。吐出された洗浄液は、洗浄プール208内に貯留される。このとき、供給される洗浄液の量は、例えば洗浄プール208内を断面の形状が一定となる高さまで貯留可能な量である。
【0073】
制御回路8は、システム制御機能81を実行し、サンプル分注プローブ205の先端を上下動の初期位置から洗浄液の液面が検知されるまで下降させる(ステップSA3)。
【0074】
制御回路8は、液面検知器207からのサンプル分注プローブ205の接触に関する検出信号を受信すると、洗浄液量算出機能82を実行し、ステップSA3においてサンプル分注プローブ205の先端が上下動の初期位置から下降を開始し、洗浄プールに貯留された洗浄液に接触するまでに供給された駆動パルスの数に基づいて、第1の下降量を算出する(ステップSA4)。
【0075】
制御回路8は、システム制御機能81を実行し、サンプル分注プローブ205の先端を洗浄液の液面から上下動の初期位置まで上昇させる。そして、制御回路8は、駆動機構4及び電磁弁288を制御し、洗浄ポンプ287から洗浄プール208内に向けて所定量の洗浄液を供給する(ステップSA5)。
【0076】
制御回路8は、システム制御機能81を実行し、サンプル分注プローブ205の先端を上下動の初期位置から洗浄液の液面が検知されるまで下降させる(ステップSA6)。
【0077】
制御回路8は、液面検知器207からのサンプル分注プローブ205の接触に関する検出信号を受信すると、洗浄液量算出機能82により、ステップSA3においてサンプル分注プローブ205の先端が上下動の初期位置から下降を開始し、洗浄プール208に貯留された洗浄液に接触するまでに供給された駆動パルスの数に基づいて、第2の下降量を算出する。そして、制御回路8は、算出された第2の下降量とステップSA4において算出された第1の下降量との差分値を算出する(ステップSA7)。制御回路8は、例えば、算出された下降量の差分値と、記憶回路7に記憶された洗浄プール208の断面積とに基づいて、ステップSA5において供給された洗浄液量を認識する。
【0078】
制御回路8は、算出した下降量の差分値に基づいて、洗浄プール208に供給された洗浄液量が所定の範囲に収まるか否か判定する(ステップSA8)。具体的には、制御回路8は、算出した下降量の差分値と、予め設定された閾値D1及びD1より小さい閾値D2とを比較することにより、洗浄プール208に供給された洗浄液量が所定の範囲に収まるか否か判定する。本実施形態では、算出された下降量の差分値が閾値D1より大きい、又は閾値D2より小さいため、制御回路8は、洗浄プール208に供給された洗浄液量は所定の範囲に収まらないと判定し(ステップSA8のNo)、洗浄液量が過剰であるか否か、すなわち算出された下降量の差分値が閾値D1より大きいか否か判定する(ステップSA9)。
【0079】
制御回路8は、洗浄液量が過剰であると判定した場合(ステップSA69Yes)、電磁弁288を制御し、洗浄ポンプ287から供給される洗浄液量が正常範囲になるように、すなわち算出される下降量の差分値が閾値D1以下になるように電磁弁288の開口度を小さくする(ステップSA10)。
【0080】
制御回路8は、洗浄液量が過剰でない、すなわち算出された下降量の差分値が閾値D2より小さいと判定した場合(ステップSA9のNo)、電磁弁288を制御し、洗浄ポンプ287から供給される洗浄液量が正常範囲になるように、すなわち算出される下降量の差分値が閾値D2以上になるように電磁弁288の開口度を大きくする(ステップSA11)。
【0081】
ステップSA10又はステップSA11の後、制御回路8は、電磁弁294を制御し、電磁弁294を開放することにより、洗浄プール208から洗浄液を排出する(ステップSA12)。その後、制御回路8は、再びステップSA1からステップSA8までを実行し、ステップSA10又はステップSA11において調整した結果が適切であることを検証する。
【0082】
なお、ステップSA5において、制御回路8は、算出された下降量の差分値がD2以上D1以下である、すなわち所定の範囲に収まると判定した場合(ステップSA9のYes)、一連の洗浄液量をチェックする処理を終了する。
【0083】
上記実施形態によれば、制御回路8は、駆動機構4を制御し、例えば洗浄プール208に所定量の洗浄液を供給し、洗浄プール208に洗浄液を貯留する。制御回路8は、サンプル分注プローブ205が洗浄プール208内に貯留された洗浄液に接触する際に取得される検出信号を液面検知器207から受信する。制御回路8は、液面検知器207から受信した検出信号に基づいて、洗浄プール208に吐出された洗浄液の洗浄液量を示すサンプル分注プローブ205の下降量の差分値を算出する。制御回路8は、算出されたサンプル分注プローブ205の下降量の差分値と、予め設定された閾値D1及び閾値D2を比較することにより、洗浄ポンプ287から供給された洗浄液量が所定の範囲に収まるか否かを判定する。制御回路8は、洗浄ポンプ287から供給された洗浄液量が所定の範囲に収まらないと判定した場合、電磁弁288を制御し、洗浄ポンプ287から供給される洗浄液量が適正範囲になるように洗浄プール208に供給される洗浄液量を調整する。
【0084】
これにより、ポンプの経年劣化による性能低下、単一故障、及び流路詰まり等により、洗浄プールに供給される洗浄液量が変化してしまった場合でも自動的に洗浄液量を調整することができる。また、洗浄プール内に洗浄液が貯留されるため、溜め洗いにより洗浄プール内が洗浄されることが期待できる。
【0085】
したがって、本実施形態に係る自動分析装置によれば、測定データの精度維持、及び装置管理者等の負担軽減を実現することが可能となる。
【0086】
[変形例]
上記実施形態では、自動分析装置が、例えば液面検知器207から出力されるサンプル分注プローブ205の接触に関する検出信号を利用して洗浄プールに貯留された洗浄液量が所定の範囲に収まるか否か判定する場合について説明した。通常、液面検知器207により検出される検出信号には、サンプル分注プローブ205が液面に接触する際に取得される電位に関する情報が含まれる。変形例では、自動分析装置が、上記洗浄液量が所定の範囲に収まるか否かの判定に加え、洗浄液量が所定の範囲に収まる場合には、液面検知器207により検出される検出信号に含まれる電位の値に基づいて汚染度を認識し、認識した汚染度に応じて洗浄プールが汚染されているか否か判定する場合について説明する。
【0087】
図6は、変形例に係る自動分析装置1Aの機能構成を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1Aは、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、表示回路6、記憶回路7、及び制御回路8Aを具備する。
【0088】
変形例に係る制御回路8Aは、記憶回路7から読み出した動作プログラムを実行することで、図6に示される各種機能を実現する。すなわち、制御回路8Aは、システム制御機能81、洗浄液量算出機能82、洗浄液量判定機能83、洗浄液量調整機能84、汚染判定機能85、及び出力制御機能86を備える。
【0089】
汚染判定機能85は、自動分析装置1Aが備える洗浄プールに貯留されている洗浄液の汚染度に応じて洗浄プールが汚染されているか否かを判定する機能である。汚染判定機能85が実行されると、制御回路8Aは、液面検知器207から出力される検出信号から電位の値を取得する。制御回路8Aは、取得した電位の値と、予め設定された閾値とを比較することにより、汚染度を認識する。制御回路8Aは、認識した汚染度に応じて、洗浄プール208が汚染されているか否か判定する。
【0090】
出力制御機能86は、装置管理者等に自動分析装置1Aが備える洗浄プールが汚染されている旨を報知する機能である。出力制御機能86が実行されると、制御回路8Aは、表示回路6を制御し、例えば汚染判定機能85により洗浄プール208が汚染されていると判定された場合、洗浄プール208が汚染されている旨を表示する。
【0091】
次に、本実施形態に係る自動分析装置1Aの動作について説明する。図7は、変形例に係る制御回路8Aが、洗浄プール208は汚染されていると判定した場合に、外部に当該洗浄プール208が汚染されている旨を報知する流れを示すフローチャートである。以下では、定期メンテナンス時に、入力インタフェース5を介し、洗浄ポンプ287から洗浄プール208内に供給される洗浄液量をチェックし、調整するための所定の指示が入力された場合を例に説明する。このとき、図4に示される洗浄機構が備える電磁弁294は、開放されているものとする。また、電磁弁288は、リニアソレノイド弁であるものとする。また、予め設定されている電磁弁288の開口度によって調整される洗浄液量は、許容される範囲内の量であるものとする。なお、電磁弁288は、デューティーソレノイド弁であってもよいし、弁の開口度、及び、開口時間を同時に制御可能な弁であってもよい。
【0092】
図7に示されるステップSB1からステップSB12までの動作は、図5に示されるステップSA1からステップSA12までと同様である。
【0093】
制御回路8Aは、ステップSB8において洗浄プール208に吐出された洗浄液量が所定の範囲に収まると判定すると(ステップSB8のYes)、汚染判定機能85を実行する(ステップSB13)。汚染判定機能85の実行により制御回路8Aは、例えばステップSB7において液面検知器207から受信した検出信号から電位の値を取得する。制御回路8Aは、取得した電位の値と、予め設定された閾値とを比較することにより、汚染度を認識する。制御回路8Aは、認識した汚染度に応じて、洗浄プール208が汚染されているか否か判定する。
【0094】
図8は、変形例に係る制御回路8Aが洗浄プール208が汚染されているか否か判定する方法の例を説明するための図である。図8に示されるグラフの縦軸は電位の変化量を表す。図8では、2つの閾値T0及びThが予め設定されている。制御回路8Aは、取得した電位の値が閾値T0と等しい場合、「汚染なし」と認識する。このとき、制御回路8Aは、洗浄プール208は汚染されていないと判定する。制御回路8Aは、取得した電位の値が閾値Thを超える場合、「汚染度大」と認識する。このとき、制御回路8Aは、洗浄プール208は汚染されていると判定する。なお、制御回路8Aは、取得した電位の値がT0以上Th以下である場合、「汚染度小」と認識する。このとき、制御回路8Aは、洗浄プール208は汚染されていないと判定する。本フローチャートでは、取得した電位の値が閾値Thを超える場合について説明する。
【0095】
ステップSB13において、取得された電位の値は予め設定される閾値Thより大きいため、制御回路8Aは、洗浄プール208は汚染されていると判定する(ステップSB13のYes)。洗浄プール208は汚染されていると判定すると(ステップSB13のYes)、制御回路8Aは、表示回路6を制御し、洗浄プール208が汚染されている旨を表示する(ステップSB14)。
【0096】
図9は、変形例に係る表示回路6に表示される洗浄プール208が汚染されている旨を通知するための通知画面の例である。図9に示されるように、表示回路6には、洗浄プール208の清掃を促すメンテナンスを支援する情報として、通知番号「95」、通知日時「2017/2/19 15:30:55」、及び内容「洗浄プール208の汚染度が閾値を超過しました。洗浄プール208を清掃して下さい」が表示されている。これにより、装置管理者等は、洗浄プール208を清掃しなければならないことを認識できる。
【0097】
変形例によれば、制御回路8Aは、液面検知器207から受信した検出信号から電位の値を取得する。制御回路8Aは、取得した電位の値と、予め設定された閾値とを比較することにより、汚染度を認識する。制御回路8Aは、認識した汚染度に応じて、洗浄プール208が汚染されているか否か判定する。これにより、例えば洗浄プール208における試料等の汚れによる流路詰まり等の問題に適切なタイミングで対応することが可能となる。
【0098】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、変形例に係る制御回路8Aは、図7に示されるフローチャートのステップSB8において洗浄液量が所定の範囲に収まるか否かを判定した後に、ステップSB13において洗浄プール208が汚染されているか否かを判定していたがこれに限定されない。例えば、制御回路8Aは、洗浄プール208内に洗浄液を貯留した直後に、図7に示されるステップSB13及びステップSB14を実行するようにしてもよい。
【0099】
また、制御回路8Aは、例えば洗浄プール208の汚染度について、液面検知器207から受信した検出信号に含まれる電位の値が閾値Th以下になるまで、洗浄プール208内への洗浄液の供給及び洗浄液の貯留、洗浄プール208が汚染されているか否かの判定、並びに、洗浄プール208内からの洗浄液の排出を繰り返してもよい。これにより、洗浄プール208を自動的に清掃することが可能となる。
【0100】
また、変形例において、制御回路8Aは、表示回路6を制御し、例えば汚染判定機能85により洗浄プール208が汚染されていると判定された場合、洗浄プール208が汚染されている旨を表示していたがこれに限定されない。例えば、制御回路8Aは、スピーカー等を用いて音声等により洗浄プール208が汚染されている旨を通知してもよい。
【0101】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1、及び図6における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1、1A…自動分析装置、2…分析機構、3…解析回路、4…駆動機構、5…入力インタフェース、6…表示回路、7…記憶回路、8、8A…制御回路、81…システム制御機能、82…洗浄液量算出機能、83…洗浄液量判定機能、84…洗浄液量調整機能、85…汚染判定機能、86…出力制御機能、100…試料容器、101…試薬容器、102…サンプルラック、201…反応ディスク、202…試薬庫、204…サンプル分注アーム、205…サンプル分注プローブ、207…液面検知器、208…洗浄プール、210…第1試薬分注アーム、211…第1試薬分注プローブ、213…液面検知器、214…洗浄プール、216…第2試薬分注アーム、217…第2試薬分注プローブ、219…液面検知器、220…洗浄プール、222…第1撹拌ユニット、223…第2撹拌ユニット、224…測光ユニット、225…洗浄ユニット、226…電解質測定ユニット、230…ラック投入ユニット、231…投入レーン、240…ラック移動ユニット、241…搬送アーム、242…搬送レール、243…サンプリングレーン、244…バッファレーン、245…リーダ、250…ラック回収ユニット、251…第1回収レーン、252…第2回収レーン、260…STATラック投入レーン、281…チューブ、282…シリンジ、283…プランジャ、284…洗浄ポンプ、285…電磁弁、286…チューブ、287…洗浄ポンプ、288…電磁弁、289…タンク、293…チューブ、294…電磁弁、2011…反応管、2012…恒温槽、2021…外円、2022…内円、2081…吐出口、2082…吐出口、2083…排液口、2432…サンプル吸引位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9