(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
不動産物件の賃貸及び購入に関する情報を提供するサーバと、ネットワークを介して当該サーバにつながるとともに当該サーバから提供される情報を利用者に提示する端末とを備える不動産物件情報提供システムであって、
前記端末は、
不動産物件の住所に関する住所情報と、利用者に関する個人情報とを入力する情報入力手段を備え、
前記サーバは、
不動産物件の住所を含む物件情報と、不動産物件の住所及び不動産物件の居住者に応じた公共サービス情報とを記憶する情報記憶手段と、
前記住所情報及び前記個人情報を受信する受信手段と、
受信した前記住所情報及び前記個人情報に対応する前記物件情報及び前記公共サービス情報を前記情報記憶手段から選び出す抽出手段と、
前記抽出手段によって選び出した前記物件情報及び前記公共サービス情報を前記端末に送信する送信手段と、を備え、
前記情報入力手段は、不動産物件に居住する間に予定される期間に関する居住期間情報を入力可能とするものであり、
前記物件情報は、家賃、売買代金、及び不動産物件に関する諸経費の少なくとも一つを含む物件費用情報を含み、前記公共サービス情報は、サービスの享受に要するサービス費用に関するサービス費用情報と、補助金、助成金、給付金、住民税の少なくとも一つを含む公的金銭情報とを含むものであって、前記サービス費用情報におけるサービス費用に対して、前記公的金銭情報における補助金、助成金、給付金、住民税の少なくとも一つを減算或いは加算して得られる実質的サービス費用情報を導く費用算出手段と、
前記公共サービス情報は、所定の基準に基づいて入所の可否が決定される施設の選考に関する施設選考情報を含むものであって、前記施設への入所の可能性を示す入所指標情報を、前記住所情報及び/又は前記個人情報に基づいて前記施設選考情報から導く指標算出手段と、
前記情報入力手段は、一の前記個人情報に対して複数の前記住所情報を入力可能とするものであり、前記抽出手段は、複数の前記住所情報のそれぞれに対応する複数の前記物件情報及び前記公共サービス情報を抽出するものであり、前記物件費用情報、前記実質的サービス費用情報、及び前記入所指標情報の少なくとも一つに基づいて、抽出した複数の前記物件情報及び前記公共サービス情報に順位を与えるランキング情報を算出するとともに当該ランキング情報に基づいてこれらを所定の順に並び替えるランキング算出手段と、に関し、
前記サーバは、前記費用算出手段、前記指標算出手段、及び前記ランキング算出手段の少なくとも一つを有していて、
前記費用算出手段、前記指標算出手段、及び前記ランキング算出手段の少なくとも一つは、前記居住期間情報に基づいて、前記実質的サービス費用情報、前記入所指標情報、及び前記ランキング情報の少なくとも一つを複数年に亘って算出するものであり、
前記送信手段は、複数年に亘る前記実質的サービス費用情報、前記入所指標情報、及び前記ランキング情報に基づいて並び替えた前記物件情報及び前記公共サービス情報の少なくとも一つを前記端末に送信するものである不動産物件情報提供システム。
コンピュータに、ネットワークにつながる利用者の端末に対して不動産物件の賃貸及び購入に関する情報の提供を実行させるための不動産物件情報提供プログラムであって、
不動産物件の住所を含む物件情報と、不動産物件の住所及び不動産物件の居住者に応じた公共サービス情報とを記憶する情報記憶ステップと、
前記端末から送信された不動産物件の住所に関する住所情報と、利用者に関する個人情報とを受信する受信ステップと、
受信した前記住所情報及び前記個人情報に対応する前記物件情報及び前記公共サービス情報を選び出す抽出ステップと、
選び出した前記物件情報及び前記公共サービス情報を前記端末に送信する送信ステップと、を備え、
前記受信ステップは、前記端末から送信された不動産物件に居住する間に予定される期間に関する居住期間情報を受信するものであり、
前記物件情報は、家賃、売買代金、及び不動産物件に関する諸経費の少なくとも一つを含む物件費用情報を含み、前記公共サービス情報は、サービスの享受に要するサービス費用に関するサービス費用情報と、補助金、助成金、給付金、住民税の少なくとも一つを含む公的金銭情報とを含むものであって、前記サービス費用情報におけるサービス費用に対して、前記公的金銭情報における補助金、助成金、給付金、住民税の少なくとも一つを減算或いは加算して得られる実質的サービス費用情報を導く費用算出ステップと、
前記公共サービス情報は、所定の基準に基づいて入所の可否が決定される施設の選考に関する施設選考情報を含むものであって、前記施設への入所の可能性を示す入所指標情報を、前記住所情報及び/又は前記個人情報に基づいて前記施設選考情報から導く指標算出ステップと、
前記受信ステップは、前記端末から送信された一の前記個人情報に対して複数の前記住所情報を受信するものであり、前記抽出ステップは、複数の前記住所情報のそれぞれに対応する複数の前記物件情報及び前記公共サービス情報を抽出するものであり、前記物件費用情報、前記実質的サービス費用情報、及び前記入所指標情報の少なくとも一つに基づいて、抽出した複数の前記物件情報及び前記公共サービス情報に順位を与えるランキング情報を算出するとともに当該ランキング情報に基づいてこれらを所定の順に並び替えるランキング算出ステップと、に関し、
前記費用算出ステップ、前記指標算出ステップ、及び前記ランキング算出ステップの少なくとも一つを有していて、
前記費用算出ステップ、前記指標算出ステップ、及び前記ランキング算出ステップの少なくとも一つは、前記居住期間情報に基づいて、前記実質的サービス費用情報、前記入所指標情報、及び前記ランキング情報の少なくとも一つを複数年に亘って算出するものであり、
前記送信ステップは、複数年に亘る前記実質的サービス費用情報、前記入所指標情報、及び前記ランキング情報に基づいて並び替えた前記物件情報及び前記公共サービス情報の少なくとも一つを前記端末に送信するものである不動産物件情報提供プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来のシステムは、利用者の希望する間取りや住所等のような不動産物件に関する内容に応じて検索が行われるように構成されていて、検索により抽出される情報は、利用者の属性(年齢、家族構成、年収など)によって変わることはない。例えば、不動産物件の家賃や敷金、売買代金等の費用は、そこに居住する者が誰であっても、基本的には同一の金額が提示されることになる。
【0005】
ところで国や地方公共団体、各種の公的機関等では、例えば子育て支援や高齢者支援として、各種の公共サービスを提供している。このような支援には、保育園や幼稚園を利用する際の保育料の補助や軽減、或いは高齢者のおむつ代の補助等や、乳幼児の一時預かり等が含まれている。また、起業家や個人事業主、中小企業等への支援(補助金等の支給)を実施している公的機関もある。一方、このような公共サービスは、居住地によって内容が大きく異なっている。例えば東京23区において、子育て支援として支給される保育料の補助金額は区によって違いがある。また区によっては、区外から区内へ転入することによって助成金が支給される制度が準備されている。更には、保育園や幼稚園への入園を希望する際の選考基準も区によって異なっている。
【0006】
このように、居住者及びその家族に提供される公共サービスは、居住する地域や居住者の属性によって大きく変わってくることから、不動産物件を検索する際には公共サービスの内容を加味しながら探すことができれば便利である。しかし、従来のシステムにおいては、不動産物件の間取りや家賃、付帯設備等の物件情報を提示するに留まっていて、利用者は、希望する住所等を基にして提供される公共サービスを別途検索し、それと照らし合わせながら不動産物件を探さなければならなかった。また、公共サービスの内容が居住する地域によって異なること自体が知られていないことも多く、不動産物件を決めた後に他の地域の公共サービスの方が有利であったことに気付く利用者も見受けられた。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、不動産物件の情報に加え、その不動産物件の所在する地域及び不動産物件に居住する者の属性に応じた公共サービスの情報を併せて提示することができる、不動産物件情報提供システム、不動産物件情報提供方法、及び不動産物件情報提供プログラムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、不動産物件の賃貸及び購入に関する情報を提供するサーバと、ネットワークを介して当該サーバにつながるとともに当該サーバから提供される情報を利用者に提示する端末とを備える不動産物件情報提供システムであって、前記端末は、不動産物件の住所に関する住所情報と、利用者に関する個人情報とを入力する情報入力手段を備え、前記サーバは、不動産物件の住所を含む物件情報と、不動産物件の住所及び不動産物件の居住者に応じた公共サービス情報とを記憶する情報記憶手段と、前記住所情報及び前記個人情報を受信する受信手段と、受信した前記住所情報及び前記個人情報に対応する前記物件情報及び前記公共サービス情報を前記情報記憶手段から選び出す抽出手段と、前記抽出手段によって選び出した前記物件情報及び前記公共サービス情報を前記端末に送信する送信手段と、を備える不動産物件情報提供システムである。
【0009】
そして前記物件情報は、家賃、売買代金、諸経費等の物件費用情報を含み、前記公共サービス情報は、サービスの享受に要するサービス費用に関するサービス費用情報と、補助金、助成金、給付金、住民税等の公的金銭情報とを含むものであって、前記サーバは、前記サービス費用情報におけるサービス費用に対して、前記公的金銭情報における補助金、助成金、給付金、住民税等を減算或いは加算して得られる実質的サービス費用情報を導く費用算出手段を更に有し、前記送信手段は、前記物件費用情報とともに前記実質的サービス費用情報を前記端末に送信するものであることが好ましい。
【0010】
また前記公共サービス情報は、所定の基準に基づいて入所の可否が決定される施設の選考に関する施設選考情報を含むものであって、前記サーバは、前記施設への入所の可能性を示す入所指標情報を、前記住所情報及び/又は前記個人情報に基づいて前記施設選考情報から導く指標算出手段を更に有し、前記送信手段は、前記入所指標情報を前記端末に送信するものであることが好ましい。
【0011】
また前記情報入力手段は、一の前記個人情報に対して複数の前記住所情報を入力可能とするものであり、前記抽出手段は、複数の前記住所情報のそれぞれに対応する複数の前記物件情報及び前記公共サービス情報を抽出するものであり、前記サーバは、前記物件費用情報、前記実質的サービス費用情報、及び前記入所指標情報の少なくとも一つに基づいて、抽出した複数の前記物件情報及び前記公共サービス情報に順位を与えるとともにこれらを順位に従って並び替えるランキング算出手段を更に有し、前記送信手段は、並び替えた前記物件情報及び前記公共サービス情報を前記端末に送信するものであることが好ましい。
【0012】
また前記情報入力手段は、不動産物件に居住する間に予定される期間に関する居住期間情報を入力可能とするものであり、前記費用算出手段、前記指標算出手段、及び前記ランキング算出手段の少なくとも一つは、前記居住期間情報に基づいて、前記実質的サービス費用情報、前記入所指標情報、及び前記ランキング情報の少なくとも一つを複数年に亘って算出するものであり、前記送信手段は、複数年に亘る前記実質的サービス費用情報、前記入所指標情報、及び前記ランキング情報に基づいて並び替えた前記物件情報及び前記公共サービス情報の少なくとも一つを前記端末に送信するものであることが好ましい。
【0013】
また本発明は、ネットワークにつながる利用者の端末に対して不動産物件の賃貸及び購入に関する情報を提供するための不動産物件情報提供方法であって、不動産物件の住所を含む物件情報と、不動産物件の住所及び不動産物件の居住者に応じた公共サービス情報とを記憶する情報記憶ステップと、前記端末から送信された不動産物件の住所に関する住所情報と、利用者に関する個人情報とを受信する受信ステップと、受信した前記住所情報及び前記個人情報に対応する前記物件情報及び前記公共サービス情報を選び出す抽出ステップと、選び出した前記物件情報及び前記公共サービス情報を前記端末に送信する送信ステップと、を備える不動産物件情報提供方法でもある。
【0014】
更に本発明は、コンピュータに、ネットワークにつながる利用者の端末に対して不動産物件の賃貸及び購入に関する情報の提供を実行させるための不動産物件情報提供プログラムであって、不動産物件の住所を含む物件情報と、不動産物件の住所及び不動産物件の居住者に応じた公共サービス情報とを記憶する情報記憶ステップと、前記端末から送信された不動産物件の住所に関する住所情報と、利用者に関する個人情報とを受信する受信ステップと、受信した前記住所情報及び前記個人情報に対応する前記物件情報及び前記公共サービス情報を選び出す抽出ステップと、選び出した前記物件情報及び前記公共サービス情報を前記端末に送信する送信ステップと、を備える不動産物件情報提供プログラムでもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の不動産物件情報提供システムにあっては、利用者の端末から不動産物件の住所に関する住所情報と利用者に関する個人情報を入力することによって、不動産物件の物件情報に加え、その不動産物件の所在する地域及び不動産物件に居住する者の属性に応じた公共サービス情報を利用者に提示することができる。すなわち利用者は、利用可能な公共サービスを考慮しながら不動産物件を探すことができるため、利用者の生活環境に適した有利な不動産物件を簡単に検索することができる。また、本発明の不動産物件情報提供方法、及び不動産物件情報提供プログラムにあっても、同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に従う不動産物件情報提供システム、不動産物件情報提供方法、及び不動産物件情報提供プログラムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1(a)は、本発明に従う不動産物件情報提供システムの一実施形態につき、その構成を示した図である。本不動産物件情報提供システムは、サーバ10と、利用者が使用する端末20とを有する。サーバ10と端末20は、有線や無線のネットワークNを介してつながっている。
【0019】
サーバ10は、ネットワークNを介して端末20と情報の送受信を行うための受信部11及び送信部12と、種々の情報を記憶する記憶部13を備えている。本実施形態の記憶部13には、不動産物件に関する各種の情報である物件情報131、及び国や地方公共団体、各種の公的機関等によって提供される各種の公共サービスに関する情報である公共サービス情報132が記憶されている。また記憶部13には、不動産物件に関する情報の提供をサーバ10に実行させるための不動産物件情報提供プログラムも記憶されている。更にサーバ10は、受信部11によって受信した情報、及び記憶部13に記憶した情報に基づいて各種の処理を行う管理部14を備えている。図示は省略するが、サーバ10はCPU(Central Processing Unit)とRAM(Random Access Memory)等で構成される主メモリを備えていて、記憶部13に格納した不動産物件情報提供プログラムを読み出して実行することで、受信部11、送信部12、記憶部13、及び管理部14における抽出部15、費用算出部16、指標算出部17、ランキング算出部18の機能が実現される。なおサーバ10は、1台或いは複数台のコンピュータで実現されるものであってもよいし、クラウドタイプであってもよい。
【0020】
端末20は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)や携帯情報端末等であって、利用者自身が所有するものの他、不動産物件を紹介する店舗等に置かれるものも含まれる。端末20は、ネットワークNを介してサーバ10と情報の送受信を行うための受信部21、及び送信部22と、受信した情報を利用者に提示するための表示部23と、利用者が各種の情報を入力するための入力部24とを備えている。表示部23は、例えばディスプレイ、プロジェクタ、プリンタ等で構成される。また入力部24は、例えばキーボードやマウス、タッチパネルのような入力機器、及びディスプレイ等に表示されるテキストボックス、コンボボックス、チェックボックス等やマウスをクリックすることによって所定の情報が入力されるアイコン等の画面情報入力部によって構成される。なお、端末20にも上述した如き主メモリが設けられていて、格納したプログラムを主メモリで実行することによって、受信部21、送信部22、表示部23、及び入力部24の機能が実現される。
【0021】
なお、本実施形態のサーバ10に設けた受信部11、送信部12、記憶部13、抽出部15、費用算出部16、指標算出部17、ランキング算出部18は、本発明のサーバが備える受信手段、送信手段、情報記憶手段、抽出手段、費用算出手段、指標算出手段、ランキング算出手段にそれぞれ対応する。また、端末20に設けた入力部24は、本発明の端末が備える情報入力手段に対応する。
【0022】
上述した端末20の入力部24では、
図2(a)に示す如き、利用者が希望する不動産物件の住所に関する住所情報241を入力する。ここで住所情報241とは、不動産物件の所在地が一に特定される住所のみを示すものではなく、例えば地番を含まない情報(都道府県名や市区町村名のみ)のように不動産物件が所在するエリアを示す情報も含まれる。また、住所を直接的に示す情報でなくてもよく、郵便番号や電話の市外局番、交通機関の最寄り駅、最寄り駅からの所要時間等、住所に関連する情報であってもよい。
【0023】
また入力部24では、不動産物件の住所情報241だけでなく、不動産物件に関するそれ以外の情報も入力することができる。例えば間取り、家賃、敷金や礼金のような諸経費等、築年数、建物構造、付帯設備等も入力することができる。
【0024】
更に入力部24では、
図2(b)に示す如き、利用者に関する個人情報242を入力する。ここで個人情報242とは、利用者本人に関する情報に限られず、利用者の家族に関する情報も含まれる。なお、利用者の家族に関する情報には、婚姻を伴わない同居者の情報を含めてもよく、また別居の家族に関する情報を含めてもよい。また個人情報242の具体例としては、例えば年齢、性別、家族構成、就学状態(保育園等も含む)、就業状態(一日あたりの就業時間、勤続年数、年収、世帯収入等を含む)、体の状態(妊娠の有無、疾病の有無、障がいの有無等)、現住所等が挙げられる。
【0025】
また入力部24では、
図2(c)に示すように、その不動産物件に居住する間に予定される期間に関する情報(居住期間情報243)を入力できるようにしてもよい。なお居住期間情報243には、その不動産物件にA〜B年まで居住するという情報に限られず、例えばC〜D年は仕事をするがD〜E年は子育てにより休職するという情報や、F〜G年の間子どもは一人だがG〜H年は二人になるという情報など、期間に関する種々の情報が含まれる。
【0026】
なお本実施形態の入力部24は、一つの個人情報242に対して複数の住所情報241が入力できるように構成されている。詳細については後述するが、このような構成によって、複数の不動産物件を比較検討することが可能である。
【0027】
上述したサーバ10において、記憶部13に記憶されている物件情報131は、
図3(a)に示す如き物件情報テーブル131Aとして記憶部13に格納されている。
図3(a)に示すように物件情報テーブル131Aには、不動産物件の住所に関する情報が含まれている。ここで物件情報131の住所に関する情報としては、不動産物件の所在地が一に特定される情報の他、郵便番号や電話の市外局番、交通機関の最寄り駅、最寄り駅からの所要時間等を含んでいてもよい。また物件情報テーブル131Aには、不動産物件に関する物件費用情報1311(賃貸物件における家賃や、敷金、礼金のような諸経費、或いは購入物件における売買代金等)やその他の情報(不動産物件の写真、間取り、築年数、建物構造、付帯設備等)も含まれている。
【0028】
また、記憶部13に記憶される公共サービス情報132は、国や地方公共団体、各種の公的機関等によって提供される公共サービスの内容に関する情報の他、公共サービスを受けることができる適用条件の情報を含むものであって、
図3(b)に示す如き公共サービス情報テーブル132Aとして記憶部13に格納されている。ここで公共サービスとしては、例えば、特定不妊治療助成、誕生準備手当、出産支援祝品、認可保育園料、認可外保育施設の援助、私立幼稚園就園奨励費補助金、学童クラブの育成料・おやつ代、子ども医療費助成、妊婦健診公費負担、子育てファミリー世帯居住支援、子どもショートステイ・トワイライトステイ、ベビーシッター助成制度、多子世帯支援制度等の子育て支援に関するもの、母子生活支援施設、ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金等の一人親への支援に関するもの、創業支援資金、ホームページ作成助成金等の個人事業主や中小企業への支援に関するもの、高齢者おむつ代等の高齢者支援に関するもの等が挙げられる。また本実施形態における公共サービスには、住民税のように居住者に課されるものであって、居住地によって内容(金額等)が異なるものも含まれるものとする。更に、居住地周辺の保育園のように、居住者が利用することのできる施設も含まれるものとする。また公共サービスの内容に関する情報としては、提供される物品・役務の情報に加え、
図3(b)に示すような公共サービスの享受に要するサービス費用(例えば保育園や幼稚園を利用する際の利用料金)に関するサービス費用情報1321や、公的機関等が関係する金銭(例えば補助金、助成金、給付金、住民税等)に関する公的金銭情報1322が挙げられる。なお、保育園等の利用料金は、住民税の額や子どもの年齢などに応じて変わってくるが、記憶部13は、
図3(c)に示すような料金表も記憶していて、利用者に応じた利用料金を算出することが可能である。また公共サービスを受けることができる適用条件の情報としては、居住者の住所に関する情報、居住者の属性(年齢、性別、家族構成、婚姻の有無、就学状態、就業状態、体の状態等)等に関する情報が含まれる。ところでこれらの適用条件には、例えば東京23区における保育園へ入所する際に考慮される条件(勤務時間や年収等)のように、施設への入所を希望する際にその可否を決める選考条件になるものがある。本実施形態における適用条件の情報には、このような所定の基準に基づいて入所の可否が決定される施設の選考に関する施設選考情報1323も含まれる。更に居住者の属性には、国籍に関する情報を含めることによって、外国人向けサービスの享受に利用することも可能である。
【0029】
そしてサーバ10における抽出部15は、受信部11で受信した不動産物件の住所情報241及び利用者の個人情報242に基づいて、記憶部13の物件情報テーブル131A及び公共サービス情報テーブル132Aを検索し、この住所情報241及び個人情報242に対応する物件情報131及び公共サービス情報132を選び出すものである。
【0030】
また費用算出部16は、
図3(b)に示すような保育園等を利用する際に要するサービス費用に対して、補助金、助成金、給付金、住民税等の金額を減算或いは加算して、
図4(a)に示すような実際に負担する費用(実質的サービス費用)の情報である実質的サービス費用情報161を導くものである。なお、実質的サービス費用情報161を導くに当たっては、公的金銭情報1322が補助金、助成金、給付金、等のように支給されるものにあっては、サービス費用情報1321におけるサービス費用からその金額を減額するものとし、公的金銭情報1322が住民税等のように負担するものにあっては、サービス費用情報1321におけるサービス費用にその金額を加算するものとする。なお、本システムを利用する時期や施設の種類(認可外保育園であるか私立幼稚園であるか等)によってはサービス費用が不明な場合もある。この場合、費用算出部16は、上述したようにサービス費用情報1321に対して減算或いは加算を行わずに、公的金銭情報1322の金銭が利用者に支給されるものであるか負担するものであるかを示すことができるように構成されている。
【0031】
そして指標算出部17は、保育園のような施設への入所の可能性を示す入所指標情報171を、受信部11で受信した不動産物件の住所情報241や利用者の個人情報242に基づいて、施設選考情報1323から導くものである。例えば保育園への入所は、居住者の就業状態や体の状態、入所させたい子どもの兄弟の有無、祖父母の有無、同居の状況、居住地等に応じて定められた点数が付与され、その点数が大きい順から決まるような選考基準がある。本実施形態の指標算出部17は、
図4(b)に示すように、不動産物件の住所情報241や利用者の個人情報242に基づいて、施設選考情報1323から選考基準に応じた点数を算出し、これらを合計して保育園への入所の可能性を示す点数である入所指標情報171を算出するように構成されている。なお入所指標情報171は、このような点数を示したものに限られず、例えば過去に入所可能であった点数を考慮して入所の確率を算出し、その確率を示したもの等、種々の指数が含まれる。
【0032】
またランキング算出部18は、不動産物件の住所情報241が複数ある場合において、物件費用情報1311、実質的サービス費用情報161、及び入所指標情報171の少なくとも一つに基づいて、抽出部15で選び出される複数の物件情報131及び公共サービス情報132に順位を与えるランキング情報181を算出するとともに、このランキング情報181に基づいて、物件情報131及び公共サービス情報132を所定の順に並べるものである。これにより抽出した物件情報131及び公共サービス情報132を、例えば実質的サービス費用情報161が安い順に並べたり、入所指標情報171が高い(施設へ入所しやすい)順に並べたりすることが可能である。
【0033】
なお、費用算出部16、指標算出部17、及びランキング算出部18は、入力した時点(単年)での実質的サービス費用情報161、入所指標情報171、及びランキング情報181を算出することも可能であるが、居住期間情報243に基づいて、実質的サービス費用情報161、入所指標情報171、及びランキング情報181を、その不動産物件に居住する期間の様々な変化を含めて複数年に亘って算出することも可能である。すなわち、C〜D年は仕事をするがD〜E年は子育てにより休職するという情報や、F〜G年の間子どもは一人だがG〜H年は二人になるという情報といった、将来想定される変動を加味することができるため、例えば保育園への入所の可能性をより正確に算出することができる。
【0034】
このような不動産物件情報提供システムによって、不動産物件の物件情報とこの不動産物件に居住した際に得られる公共サービス情報を提示するにあたっては、まず利用者は、端末20の入力部24によって、希望する不動産物件の住所に関する住所情報241、及び利用者に関する個人情報242を入力する(情報入力ステップ)。なお、必要に応じて不動産物件の住所情報241以外の情報(間取り等)を入力してもよい。このような情報を入力するにあたっては、例えばキーボードやマウスの他、
図5(a)のようなディスプレイ等に表示される情報入力部(図示の例では、「沿線・駅から検索」等のボタンをマウスでクリックすることによって、より細かい選択が可能な画面に遷移し、それとともに住所情報241がより細かく特定されるように構成している)が使用される。次いで端末20は、送信部22によって入力した住所情報241及び個人情報242等を送信する(端末20による送信ステップ)。そしてサーバ10は、受信部11によって、ネットワークNを介して住所情報241及び個人情報242等を受信する(サーバ10による受信ステップ)。なおサーバ10は、記憶部13に、物件情報テーブル131A、公共サービス情報テーブル132A、及び料金表等を記憶している(情報記憶ステップ)。そしてサーバ10は、抽出部15によって、受信した住所情報241及び個人情報242に基づき、記憶部13に格納されている物件情報テーブル131A及び公共サービス情報テーブル132Aを検索し、住所情報241及び個人情報242に対応する物件情報131及び公共サービス情報132を選び出す(抽出ステップ)。しかる後サーバ10は、選び出した物件情報131及び公共サービス情報132を送信部12によって送信する(サーバ10による送信ステップ)。そして端末20は、選び出した物件情報131及び公共サービス情報132を、ネットワークNを介して受信部21によって受信し(端末20による受信ステップ)、表示部23によって利用者に提示する(表示ステップ)。すなわち利用者は、端末20によって、不動産物件の物件情報とこの不動産物件に居住した際に得られる公共サービス情報の両方を参照することができる。
【0035】
ところで本システムにおいて、物件情報131に家賃、売買代金、諸経費等の物件費用情報1311が含まれる場合は、その不動産物件に居住した際の家賃等を提示することが可能である。また公共サービス情報132に公共サービスの享受に要するサービス費用(例えば保育園や幼稚園を利用する際の費用)に関するサービス費用情報1321、及び公的機関等が関係する金銭(例えば保育園や幼稚園を利用する際に支給される補助金等)に関する公的金銭情報1322が含まれる場合には、費用算出部16を機能させて、実質的サービス費用情報161も提示することが可能である。すなわち利用者は、その不動産物件に居住した際の家賃等に加え、例えばその不動産物件に居住した際に利用できる保育園等の実質的な負担金額も容易に認識することができる。
【0036】
また、利用者に関する個人情報242に、例えば保育園等の施設へ入所を予定する者の情報が含まれている場合には、指標算出部17を機能させて、施設への入所の可能性を示す入所指標情報171を提示することも可能である。これにより利用者は、提示される不動産物件に居住した際、その施設への入所の可能性を容易に認識することができる。
【0037】
また本実施形態の入力部24は、一つの個人情報242に対して複数の住所情報241が入力できるように構成され、抽出部15は、住所情報241のそれぞれに対応する物件情報131及び公共サービス情報132が抽出できるように構成されている。これにより利用者は、所在する地域が異なる不動産物件同士を検討する場合であっても、提供される公共サービスの内容の違いを踏まえつつ、これらの不動産物件を容易に比較検討することができる。例えば東京23区の場合、A区における不動産物件がB区における不動産物件よりも家賃が高くても、利用者の家族構成によってはA区から助成金の支給を受けることができ、この助成金を加味すると実質的にはA区の不動産物件の方が安い場合がある。本実施形態の不動産物件情報提供システムでは、例えば電車の路線を指定することによってその路線沿いにある不動産物件を複数選択し、これによって複数の不動産物件の住所情報241を特定することが可能である。このため利用者は、例えば通勤等で利用する路線を特定しつつ、実質的な費用負担の少ない不動産物件を簡単に探すことができる。特に本実施形態においては、ランキング算出部18が物件費用情報1311、実質的サービス費用情報161、及び入所指標情報171の少なくとも一つに基づいて、住所情報241のそれぞれに順位を与えるように構成されていて、送信部12が、住所情報241のそれぞれに対応する物件情報131及び公共サービス情報132を、ランキング算出部18で算出した順位に並び替えた状態で端末20に送信できるように構成されている。これにより利用者は、
図5(b)に示す如きランキングを参考にしながら不動産物件を検索することができるため、自己に最適な不動産物件をより簡単に検索することができる。
【0038】
更に本実施形態では、居住期間情報243に基づいて、実質的サービス費用情報161、入所指標情報171、及びランキング情報181を、その不動産物件に居住する期間の様々な変化を含めて複数年に亘って算出することも可能である。従って、例えば不動産物件を探す利用者が、現在は仕事に就いていて、将来子どもが生まれた時には休職するものの、その後は子どもを保育園にあずけて復職したいと希望する場合であっても、このような条件に即した形で保育園への入所の可能性を示すことができる。すなわち、利用者にとって将来想定される変動を加味しながら最適な不動産物件を探すことができる。
【0039】
なお、本発明はこれまでに説明した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に従う範疇で種々の変更を加えたものも含まれる。すなわち、設計上の都合やその他の要因によって必要となる種々の変更や組み合わせも本発明の範囲に含まれる。