特許第6945354号(P6945354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945354
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/1623 20200101AFI20210927BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20210927BHJP
【FI】
   G01L5/1623
   G01L5/00 101Z
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-106023(P2017-106023)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-200280(P2018-200280A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】市川 勉
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−130530(JP,A)
【文献】 特開2013−068562(JP,A)
【文献】 特開2016−004940(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0059997(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00
G01L 5/16−5/173
G01L 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の電極と、前記3つ以上の電極上に形成され、感圧材料からなるセンサ層とを有する力センサと、
前記力センサの前記3つ以上の電極のうちの2組以上の電極の間の電気抵抗値を検出する検出部と
を有し、
複数のセンサセルのそれぞれが、複数のアクティブ素子を含み、
前記3つ以上の電極が、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第4電極とを含み、
前記アクティブ素子が、前記第1電極に接続された第1アクティブ素子と、前記第4電極に接続された第2アクティブ素子とを含むことを特徴とする力検出装置。
【請求項2】
前記複数のセンサセルは、前記力センサをそれぞれが含み、2次元状に配される
ことを特徴とする請求項1記載の力検出装置。
【請求項3】
前記アクティブ素子が、薄膜トランジスタである
ことを特徴とする請求項記載の力検出装置。
【請求項4】
前記第1アクティブ素子に接続され、前記第1アクティブ素子を駆動するための第1駆動信号線と、
前記第2アクティブ素子に接続され、前記第2アクティブ素子を駆動するための第2駆動信号線とを有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の力検出装置。
【請求項5】
前記第2電極に接続され、電源電圧を供給するための第1電源線と、
前記第3電極に接続され、電源電圧を供給するための第2電源線とを有する
ことを特徴とする請求項に記載の力検出装置。
【請求項6】
前記第1アクティブ素子及び第2アクティブ素子に接続された出力信号線を有する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の力検出装置。
【請求項7】
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第4電極が、前記センサ層の四隅に位置するように配置され、
前記検出部が、前記第1電極と前記第2電極との間、前記第1電極と前記第3電極との間、前記第2電極と前記第4電極との間、及び前記第3電極と前記第4電極との間の電気抵抗値を検出する
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の力検出装置。
【請求項8】
前記3つ以上の電極は、互いに同一の平面形状を有する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の力検出装置。
【請求項9】
前記3つ以上の電極は、2次元的に等間隔に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧材料からなるセンサ層を有する力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の圧力センサ素子を2次元アレイ状に配置して圧力分布の測定を可能にした圧力検出装置が知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。このような圧力検出装置では、圧力センサ素子は、外部から加わる圧力に応じた信号電圧を出力する。また、圧力検出装置では、多くの場合に画像表示用パネルにおける画素の駆動と同様、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を用いて圧力センサ素子をアクティブマトリックス制御することが想定されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
アクティブマトリックス型2次元圧力センサでは、例えばシフトレジスタを用いてアクティブなゲート配線を切り換えて読み出す圧力センサ素子を順次変更することにより、2次元の圧力分布データを取得する。この動作を常時継続することで、時間変化する圧力の2次元データを取得することができる。
【0004】
一方、接触圧力及びせん断力を測定するセンサ装置として、接触圧力測定部とせん断力測定部とを備えた4ゲージ法ブリッジ回路を構成したものが知られている(特許文献2参照)。特許文献2に記載されたセンサ装置において、せん断力測定部は、片面側電極における櫛型電極と対面側電極における櫛形電極との櫛部分を揃わせて対面させ、両電極の間に圧力変換素子を挟み込んで構成されている。
【0005】
また、光ファイバブラッググレーティングによる歪みセンサにより圧力を測定する技術が知られている(特許文献3参照)。また、ピエゾ抵抗カンチレバーからなるX軸センサ、Y軸センサ及びZ軸センサを組み合わせて用いることにより、せん断力や圧力を測定する技術が知られている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−070278号公報
【特許文献2】特許第5688792号公報
【特許文献3】特開2007−263937公報
【特許文献4】特許第5561674号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】NanotechJapan Bulletin Vol.6, No.3, 2013, pp.6-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような2次元圧力センサは、例えば、人間を模したロボットの指先等における触覚情報等を検出するセンサとしての応用が期待されている。しかしながら、従来の2次元圧力センサでは、力が作用する接触面であるセンサ面に対して作用する力のうち、センサ面に垂直な力である圧力を検出することはできるが、センサ面に平行な力を検出することができなかった。
【0009】
例えば、センサ面に接触した物体を横に引いたり、滑らせたりした場合には、センサ面に対しては、せん断力や摩擦力等のセンサ面に平行な力が作用する。従来の2次元圧力センサでは、かかるセンサ面に平行な力を検出することができなかった。このため、従来の2次元圧力センサを用いて触覚センサを構築したとしても、センサ面に接触した物体を横に引いたり、滑らせたりする動作を検出することは困難であると考えられる。
【0010】
せん断力等の接触面に平行な力の方向や大きさに関する情報は、例えばロボットの指先が物体を把持する場面等において重要な情報である。例えば、ロボットの指先が把持する物体がずれようとしている場合に、ずれの方向が重力方向若しくはその逆方向、又は重力方向と直交する方向であるかが分かれば、把持する力を強めるのか、弱めるのか、又は維持するのかを判定して制御することができる。
【0011】
一方、特許文献1に記載されたセンサ装置では、対向する2層の櫛形電極の位置を精度よく合わせて形成することは必ずしも容易ではないと考えられる。また、一方、特許文献3に記載された技術のようにセンサデバイスとして光ファイバを用いるものは、デバイスの小型化に適さないと考えられる。さらに、特許文献4に記載された技術のように、X軸センサ、Y軸センサ及びZ軸センサの直交3軸方向に対応するセンサを用いるものは、構成が複雑で製造コストも高くなると考えられる。
【0012】
本発明は、複雑な構成を必要とすることなく、センサ面に対して作用するセンサ面に平行な力を検出することができる力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、3つ以上の電極と、前記3つ以上の電極上に形成され、感圧材料からなるセンサ層とを有する力センサと、前記力センサの前記3つ以上の電極のうちの2組以上の電極の間の電気抵抗値を検出する検出部とを有することを特徴とする力検出装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複雑な構成を必要とすることなく、センサ面に対して作用するセンサ面に平行な力を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1実施形態による力検出装置の全体構造を示す概略図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態による力検出装置におけるセンサセルを含むセルアレイの構造を示す平面図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態による力検出装置におけるセンサセルの電気抵抗値を説明する平面図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態による力検出装置におけるセンサセルの各電気抵抗値の大小関係と力の方向との対応関係を示す図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態による力検出装置におけるセンサセルを含むセルアレイの構造を示す平面図である。
図6図6は、背景技術による2次元圧力センサのセンサセルを含むセルアレイの構造を示す平面図である。
図7図7は、背景技術による2次元圧力センサのセンサセルの電気抵抗値を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による力検出装置について図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本実施形態による力検出装置の全体構造を示す概略図である。図2は、本実施形態による力検出装置におけるセンサセルを含むセルアレイの構造を示す平面図である。図3は、本実施形態による力検出装置におけるセンサセルの電気抵抗値を説明する平面図である。図4は、本実施形態による力検出装置におけるセンサセルの各電気抵抗値の大小関係と力の方向との対応関係を示す図である。
【0017】
本実施形態による力検出装置は、例えば、液晶表示装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)表示装置等のタッチパネルや、ロボットの指に組み込まれて、センサ面に対して作用するセンサ面に平行な力を検出するものである。
【0018】
本実施形態による力検出装置100は、図1及び図2に示すように、センサアレイ10と、ゲート線駆動回路20と、検出回路30と、電源線駆動回路40と、制御部50とを有している。
【0019】
センサアレイ10は、複数行(例えばm行)及び複数列(例えばn列)に渡って2次元状に配された複数のセンサセル60を含む。なお、m、nは、それぞれ2以上の整数である。センサアレイ10において、複数のセンサセル60は、例えば正方格子状等の矩形格子状に配置されている。
【0020】
それぞれのセンサセル60は、それぞれ第1アクティブ素子及び第2アクティブ素子である2つの選択トランジスタM1、M2と、感圧材料を用いた力センサSとを含む。選択トランジスタM1、M2は、例えば、それぞれ薄膜トランジスタからなる。本実施形態による力検出装置100は、選択トランジスタM1、M2をアクティブ素子とするアクティブマトリクス駆動方式のセンサ装置である。
【0021】
力センサSは、4つの電極62A、62B、62C、62Dと、4つの電極62A、62B、62C、62D上に形成された感圧材料からなるセンサ層64とを有している。
【0022】
電極62A、62B、62C、62Dは、互いに別個独立の第1電極、第2電極、第3電極及び第4電極を構成している。電極62A、62B、62C、62Dは、それぞれ基板上に絶縁層を介して形成されている。センサ層64は、それぞれ電極62A、62B、62C、62Dを露出する開口部66A、66B、66C、66Dが形成された絶縁層上に形成されており、開口部66A、66B、66C、66Dを介して電極62A、62B、62C、62Dに接触している。基板は、基板状部材のほか、シート状部材、フィルム状部材をも含むものであり、その材料としてはあらゆる材料を採用することができる。また、基板は、柔軟性を有するフレキシブルなものであってもよいし、柔軟性を有しない硬質なものであってもよい。
【0023】
センサ層64は、例えば、圧力変化に伴い電気抵抗値が変化する感圧材料から構成されている。より具体的には、センサ層64を構成する感圧材料としては、絶縁性樹脂と、絶縁性樹脂に分散された導電性フィラーとを含む感圧導電性材料が例示される。このような感圧導電性材料では、加わる圧力の大きさに応じて導電性フィラーの接点数が変化することで、加わる圧力の大きさに応じて電気抵抗値が変化する。また、センサ層64を構成する感圧材料として、微細な凹凸が形成された電極に対して、その電極との接触面に微細な凹凸が形成された感圧導電性材料を用いることもできる。このような感圧導電性材料では、加わる圧力の大きさに応じて微細な凹凸により電極との接触面積が変化することで、加わる圧力の大きさに応じて電気抵抗値が変化する。
【0024】
センサ層64は、例えば、行方向及び列方向に沿った2組の辺を有するほぼ矩形状の平面形状を有している。なお、センサ層64の平面形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状を採ることができる。
【0025】
一方、電極62A、62B、62C、62Dは、互いに同一の平面形状であって、センサ層64よりも小さい平面形状を有している。電極62A、62B、62C、62Dは、例えば、行方向及び列方向に沿った2組の辺を有するほぼ矩形状の平面形状を有している。なお、電極62A、62B、62C、62Dの平面形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状を採ることができる。
【0026】
電極62A、62B、62C、62Dは、2次元的に等間隔に配置されている。
【0027】
電極62A、62B、62C、62Dは、センサ層64の四隅に位置するように配置されている。図2では、電極62A、62B、62C、62Dが、それぞれセンサ層64の紙面左上隅、紙面右上隅、紙面左下隅及び紙面右下隅に配置されている場合を示している。
【0028】
こうして、電極62A、62B、62C、62D上にセンサ層64が形成されている側の面が、接触した物体により作用する力を検出する力検出面であるセンサ面70になっている。センサ面70には、複数のセンサ層64が露出していてもよいし、複数のセンサ層64を含むセンサ面70を保護する樹脂材料等からなる保護層(図示せず)が形成されていてもよい。
【0029】
センサアレイ10の各行には、行方向に延在して、第1アクティブ素子である選択トランジスタM1を駆動するための第1駆動信号線である複数の第1ゲート線GL1a、GL2a、…、GLmaが配されている。また、センサアレイ10の各行には、行方向に延在して、第2アクティブ素子である選択トランジスタM2を駆動するための第2駆動信号線である複数の第2ゲート線GL1b、GL2b、…、GLmbが配されている。第2ゲート線GL1b、GL2b、…、GLmbは、それぞれ第1ゲート線GL1a、GL2a、…、GLmaに対応して配されている。第1ゲート線GL1a、GL2a、…、GLma、及び第2ゲート線GL1b、GL2b、…、GLmbは、ゲート線駆動回路20に接続されている。なお、以下では、第1ゲート線を「第1ゲート線GLia」と適宜表記し、第2ゲート線を「第2ゲート線GLib」と適宜表記する。ただし、iは1≦i≦mを満たす整数である。
【0030】
センサアレイ10の各列には、列方向に延在して、出力信号線であるデータ線DL1、DL2、…、DLnが配されている。データ線DL1、DL2、…、DLnは、それぞれ検出回路30に含まれる抵抗Rの一端に接続されている。抵抗Rの他端は、接地電圧VSの接地電圧線に接続されている。データ線DL1、DL2、…、DLnと抵抗Rの一端との間の接続ノードには、検出回路30に含まれるA/Dコンバータ68の入力端子側が接続されている。なお、データ線DL1、DL2、…、DLnをA/Dコンバータに接続する構成は、図2に示す構成に限定されるものではなく、種々の構成を採用することができる。例えば、データ線DL1、DL2、…、DLnを、マルチプレクサを介して単一のA/Dコンバータの入力に接続する構成を採用することができる。以下では、データ線を「データ線DLj」と適宜表記する。ただし、jは1≦j≦nを満たす整数である。
【0031】
また、センサアレイ10の各列には、列方向に延在して、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaが配されている。また、センサアレイ10の各列には、列方向に延在して、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaに対応して、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbが配されている。第1電源線VL1a、VL2a、…、VLna、及び第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbは、電源線駆動回路40に接続されている。なお、以下では、第1電源線を「第1電源線VLja」と適宜表記し、第2電源線を「第2電源線VLjb」と適宜表記する。ただし、jは1≦j≦nを満たす整数である。
【0032】
第i行、第j列に位置するセンサセル60における力センサSの電極62A、62B、62C、62D、選択トランジスタM1、M2は、それぞれ次のように接続されている。
【0033】
すなわち、選択トランジスタM1のゲート電極は、対応する第i行の第1ゲート線GLiaに接続されている。選択トランジスタM1のソース電極は、対応する第j列のデータ線DLjに接続されている。選択トランジスタM1のドレイン電極は、電極62Aに接続されている。
【0034】
また、選択トランジスタM2のゲート電極は、対応する第i行の第2ゲート線GLibに接続されている。選択トランジスタM2のソース電極は、対応する第j列のデータ線DLjに接続されている。選択トランジスタM2のドレイン電極は、電極62Dに接続されている。
【0035】
また、電極62Cは、対応する第j列の第1電源線VLjaに接続されている。電極62Bは、対応する第j列の第2電源線VLjbに接続されている。
【0036】
ゲート線駆動回路20は、デコーダやシフトレジスタで構成される。ゲート線駆動回路20は、第1ゲート線GLiaに駆動信号Piaを供給する。また、ゲート線駆動回路20は、第2ゲート線GLibに駆動信号Pibを供給する。駆動信号Piaは、第1ゲート線GLiaに接続された選択トランジスタM1の駆動信号である。また、駆動信号Pibは、第2ゲート線GLibに接続された選択トランジスタM2の駆動信号である。このように、ゲート線駆動回路20は、選択トランジスタM1、M2を駆動する駆動回路である。例えば、選択トランジスタM1、M2がN型トランジスタの場合、駆動信号Pia、Pibがハイレベルのとき、対応する第i行の選択トランジスタM1、M2はオン状態になる。また、駆動信号Pia、Pibがローレベルのとき、対応する第i行の選択トランジスタM1、M2がオフ状態になる。
【0037】
検出回路30は、データ線DLjの電圧を検出して、後述するように力センサSにおける電極間の電気抵抗値の出力を検出するための検出部として機能する回路であり、上述のように抵抗R、A/Dコンバータ68等を含むものである。検出回路30により検出された力センサSにおける電極間の電気抵抗値の出力に基づき、力センサSにより検出される力の方向及び大きさを求めることが可能となる。
【0038】
電源線駆動回路40は、第1電源線VLjaに電源電圧VDを供給して第1電源線VLjaをオン状態とし、また、第1電源線VLjaをハイインピーダンスにしてオフ状態とする。また、電源線駆動回路40は、第2電源線VLjbに電源電圧VDを供給して第2電源線VLjbをオン状態とし、また、第2電源線VLjbをハイインピーダンスにしてオフ状態とする。
【0039】
制御部50は、ゲート線駆動回路20、検出回路30及び電源線駆動回路40に接続されている。制御部50は、種々の演算、制御、判別等の処理を実行するCPU(Central Processing Unit)を有している。また、制御部50は、CPUによって実行される様々なプログラム、CPUが参照するデータベース等を格納するROM(Read Only Memory)を有している。また、制御部50は、CPUが処理中のデータや入力データ等を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)を有している。なお、制御部50は、力検出装置100に一体的に内蔵されたものであってもよいし、別個独立のコンピュータ装置によりその機能が実現されるものであってもよい。
【0040】
制御部50は、CPUがプログラムを実行することにより、不図示の制御回路等を介してゲート線駆動回路20、検出回路30及び電源線駆動回路40の動作やそのタイミングを制御する。また、制御部50は、CPUがプログラムを実行することにより、検出回路30により検出された力センサSの電気抵抗値の出力に基づき、力検出装置100のセンサ面に加わる力の方向及び大きさを求める処理部として機能する。
【0041】
力検出装置100のセンサ面70に対しては、物体が接触して、センサ面70に平行な力が作用する場合がある。センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力には、センサ面70に対して傾斜した方向に作用する力のうちのセンサ面70に平行な成分が含まれる。具体的には、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力には、例えば、せん断力、摩擦力等が含まれる。
【0042】
このようにセンサ面70に平行な力が作用する場合、共通のセンサ層64に接触する複数の電極62A、62B、62C、62Dを有する力センサSにおいて、センサ面70に平行な力の方向によってセンサ層64に作用する圧力に分布が生じうる。このため、複数の電極62A、62B、62C、62Dの間の電気抵抗値には、相対的な大小関係が生じうる。力センサSにおける電気抵抗値の大小関係は、センサ面70に平行な力の方向と対応付けることができる。また、さらには、電極62A、62B、62C、62Dの間の電気抵抗値に基づき、センサ面70に平行な力の大きさを求めることができる。
【0043】
図3に示すように、力センサSでは、電極62Aと電極62Bとの間の電気抵抗値RAB、電極62Aと電極62Cとの間の電気抵抗値RAC、電極62Bと電極62Dとの間の電気抵抗値RBD及び電極62Cと電極62Dとの間の電気抵抗値RCDが規定される。これら電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの値には、センサ面70に平行な力の方向によって相対的な大小関係が生じる。
【0044】
図3に示す力センサSの紙面に平行なセンサ面70に対して、センサ面70に平行な力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、図4に示すようにとおりになる。なお、記号「〜」は、両側の電気抵抗値がほぼ等しいことを示している。
【0045】
すなわち、センサ面70に対して紙面の上から下に垂直に向かう力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、RCD<RAC〜RBD<RABとなる。
【0046】
また、センサ面70に対して紙面の下から上に垂直に向かう力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、RAB<RAC〜RBD<RCDとなる。
【0047】
また、センサ面70に対して紙面の左から右に平行に向かう力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、RBD<RAB〜RCD<RACとなる。
【0048】
また、センサ面70に対して紙面の右から左に平行に向かう力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、RAC<RAB〜RCD<RBDとなる。
【0049】
また、センサ面70に対して紙面の左上から右下に斜め45°に向かう力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、RBD〜RCD<RAB〜RACとなる。
【0050】
また、センサ面70に対して紙面の右下から左上に斜め45°に向かう力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、RAB〜RAC<RBD〜RCDとなる。
【0051】
また、センサ面70に対して紙面の右上から左下に斜め45°に向かう力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、RAC〜RCD<RAB〜RBDとなる。
【0052】
また、センサ面70に対して紙面の左下から右上に斜め45°に向かう力が作用した場合、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係は、RAB〜RBD<RAC〜RCDとなる。
【0053】
このように、各力センサSにおける電極62A、62B、62C、62Dの間の電気抵抗値に基づき、センサ面70に平行な力の方向を求めることができ、さらにはセンサ面70に平行な力の大きさをも求めることができる。なお、電極間の電気抵抗値の相対的な大小関係は、センサ層64を構成する感圧材料や、センサ層64の構造、形状によって異なるため、予め実験やシミュレーションにより取得しておくことができる。
【0054】
本実施形態による力検出装置100は、次のようにして電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDを取得してこれらの相対的な大小関係を取得することができる。以下、本実施形態による力検出装置100の動作シーケンスについて説明する。
【0055】
本実施形態による力検出装置100のセンサ面70に対しては、物体が接触して、センサ面70に平行な力が作用している。
【0056】
まず、ゲート線駆動回路20から駆動信号Piaを第i行の第1ゲート線GLiaに供給して、第i行の第1ゲート線GLiaをオン状態とする。これにより、第i行の第1ゲート線GLiaに接続された選択トランジスタM1を、行単位でオン状態とする。一方、他の第1ゲート線及び第2ゲート線は、駆動信号が供給されていないオフ状態とする。
【0057】
上記のように第i行の第1ゲート線GLiaをオン状態とするとともに、電源線駆動回路40により、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaに電源電圧VDを供給して、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをオン状態とする。一方、電源線駆動回路40により、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをハイインピーダンスとして、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをオフ状態とする。
【0058】
上記のようにして、第i行の第1ゲート線GLiaをオン状態、他の第1ゲート線及び第2ゲート線をオフ状態、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをオン状態、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをオフ状態とする。これにより、データ線DL1、DL2、……、DLnには、それぞれ第i行の対応するセンサセル60における力センサSの電極62Aと電極62Cとの間の電気抵抗値RACに応じた電圧が出力される。検出回路30は、データ線DL1、DL2、……、DLnに出力された電気抵抗値RACに応じた電圧を検出する。こうして、検出部として機能する検出回路30は、第i行の各センサセル60について、電気抵抗値RACを検出することができる。
【0059】
次いで、第i行の第1ゲート線GLiaのオン状態、他の第1ゲート線及び第2ゲート線のオフ状態を維持しつつ、第1電源線及び第2電源線のオンオフ状態を切り替える。すなわち、電源線駆動回路40により、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをハイインピーダンスとして、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをオフ状態とする。一方、電源線駆動回路40により、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbに電源電圧VDを供給して、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをオン状態とする。
【0060】
上記のようにして、第i行の第1ゲート線GLiaをオン状態、他の第1ゲート線及び第2ゲート線をオフ状態、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをオフ状態、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをオン状態とする。これにより、データ線DL1、DL2、……、DLnには、それぞれ第i行の対応するセンサセル60における力センサSの電極62Aと電極62Bとの間の電気抵抗値RABに応じた電圧が出力される。検出回路30は、データ線DL1、DL2、……、DLnに出力された電気抵抗値RABに応じた電圧を検出する。こうして、検出部として機能する検出回路30は、第i行の各センサセル60について、電気抵抗値RABを検出することができる。
【0061】
次いで、ゲート線駆動回路20から駆動信号Pibを第i行の第2ゲート線GLibに供給して、第i行の第2ゲート線GLibをオン状態とする。これにより、第i行の第2ゲート線GLibに接続された選択トランジスタM2を、行単位でオン状態とする。一方、他の第1ゲート線及び第2ゲート線は、駆動信号が供給されていないオフ状態とする。
【0062】
上記のように第i行の第2ゲート線GLibをオン状態とするとともに、電源線駆動回路40により、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaに電源電圧VDを供給して、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをオン状態とする。一方、電源線駆動回路40により、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをハイインピーダンスとして、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをオフ状態とする。
【0063】
上記のようにして、第i行の第2ゲート線GLibをオン状態、他の第1ゲート線及び第2ゲート線をオフ状態、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをオン状態、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをオフ状態とする。これにより、データ線DL1、DL2、……、DLnには、それぞれ第i行の対応するセンサセル60における力センサSの電極62Cと電極62Dとの間の電気抵抗値RCDに応じた電圧が出力される。検出回路30は、データ線DL1、DL2、……、DLnに出力された電気抵抗値RCDに応じた電圧を検出する。こうして、検出部として機能する検出回路30は、第i行の各センサセル60について、電気抵抗値RCDを検出することができる。
【0064】
次いで、第i行の第2ゲート線GLibのオン状態、他の第1ゲート線及び第2ゲート線のオフ状態を維持しつつ、第1電源線及び第2電源線のオンオフ状態を切り替える。すなわち、電源線駆動回路40により、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをハイインピーダンスとして、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをオフ状態とする。一方、電源線駆動回路40により、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbに電源電圧VDを供給して、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをオン状態とする。
【0065】
上記のようにして、第i行の第2ゲート線GLibをオン状態、他の第1ゲート線及び第2ゲート線をオフ状態、第1電源線VL1a、VL2a、…、VLnaをオフ状態、第2電源線VL1b、VL2b、…、VLnbをオン状態とする。これにより、データ線DL1、DL2、……、DLnには、それぞれ第i行の対応するセンサセル60における力センサSの電極62Bと電極62Dとの間の電気抵抗値RBDに応じた電圧が出力される。検出回路30は、データ線DL1、DL2、……、DLnに出力された電気抵抗値RBDに応じた電圧を検出する。こうして、検出部として機能する検出回路30は、第i行の各センサセル60について、電気抵抗値RBDを検出することができる。
【0066】
上述した動作を第1行から第m行について順次行うことにより、センサアレイ10における各センサセル60について、検出部として機能する検出回路30が、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDを個別に検出して取得する。制御部50は、各センサセル60について、取得された電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDに基づき、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の方向及び大きさを求める。すなわち、制御部50は、各センサセル60について、取得された電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係に基づき、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の方向を求める。また、制御部50は、各センサセル60について、取得された電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDに基づき、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の大きさを求める。
【0067】
例えば、制御部50は、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDの相対的な大小関係と、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の方向との関係に関するデータベースを記憶装置に保持している。制御部50は、このようなデータベースを参照して、各センサセル60について、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の方向を求めることができる。
【0068】
また、制御部50は、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDと、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の大きさとの関係に関するデータベースを記憶装置に保持している。制御部50は、このようなデータベースを参照して、各センサセル60について、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の大きさをも求めることができる。
【0069】
さらに、制御部50は、近傍の複数のセンサセル60について、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の方向及び大きさの検出結果を用いて統計的な処理を行うこともできる。これにより、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力の検出結果における誤差を低減することができる。例えば、行方向及び列方向における2×2、3×3等の複数のセンサセル60について、センサ面70に平行な力の方向及び大きさの検出結果を平均化して誤差を低減することができる。
【0070】
このように、本実施形態によれば、複数の電極62A、62B、62C、62Dと、感圧材料からセンサ層64とを有する力センサSにより、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力を検出する。したがって、本実施形態によれば、複雑な構成を必要とすることなく、センサ面70に対して作用するセンサ面70に平行な力を検出することができる。
【0071】
一方、背景技術による2次元圧力センサでは、上述した本実施形態による力検出装置100とは異なり、センサ面に対して作用するセンサ面に平行な力を検出することはできない。以下、この点について図6及び図7を用いて説明する。図6は、背景技術による2次元圧力センサのセンサセルを含むセルアレイの構造を示す平面図である。図7は、背景技術による2次元圧力センサのセンサセルの電気抵抗値を説明する平面図である。
【0072】
2次元圧力センサ300におけるセンサアレイ310は、図6に示すように、複数行(例えばm行)及び複数列(例えばn列)に渡って2次元状に配された複数のセンサセル360を含む。
【0073】
それぞれのセンサセル360は、1つの選択トランジスタMと、感圧材料を用いた圧力センサSbとを含む。圧力センサSbは、2つの電極362A、362Bと、2つの電極362A、362B上に形成された感圧材料からなるセンサ層364とを有している。センサ層364は、センサ層64と同様の感圧導電性材料から構成される。
【0074】
電極362A、362Bは、それぞれ基板上に絶縁層を介して形成されている。センサ層364は、電極362A、362Bを露出する開口部366が形成された絶縁層上に形成されており、開口部366を介して電極362A、362Bに接触している。こうして、こうして、電極362A、362B上にセンサ層64が形成されている側の面が、接触した物体により作用する圧力を検出する圧力検出面であるセンサ面370になっている。
【0075】
センサアレイ310の各行には、行方向に延在して、駆動信号線である複数のゲート線GL1、GL2、…、GLmが配されている。また、センサアレイ310の各列には、列方向に延在して、出力信号線であるデータ線DL1、DL2、…、DLnが配されている。データ線DL1、DL2、…、DLnは、それぞれ検出回路に含まれる抵抗Rbの一端に接続されている。抵抗Rbの他端は、接地電圧VSの接地電圧線に接続されている。データ線DL1、DL2、…、DLnと抵抗Rbの一端との間の接続ノードには、検出回路に含まれるA/Dコンバータ368の入力端子が接続されている。
【0076】
第i行、第j列に位置するセンサセル360の電極362A、362B、選択トランジスタMは、それぞれ次のように接続されている。すなわち、選択トランジスタMのゲート電極は、対応する第i行のゲート線GLiに接続されている。選択トランジスタMのソース電極は、対応する第j列のデータ線DLjに接続されている。選択トランジスタMのドレイン電極は、電極362Aに接続されている。また、電極362Bは、電源電圧VDが供給される共通電源線に接続されている。
【0077】
上記のように構成される2次元圧力センサ300の場合、圧力センサSbは、2つの電極362A、362Bを有するのみである。このため、2次元圧力センサ300では、図7に示すように、電極362Aと電極362Bとの間の電気抵抗値RACのみしか検出することができない。この結果、2次元圧力センサ300では、センサ面370に対して垂直に作用する力、すなわち圧力を検出することはできても、本実施形態による力検出装置100とは異なり、センサ面370に対してセンサ面370に平行に作用する力を検出することができない。
【0078】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による力検出装置について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態による力検出装置におけるセンサセルを含むセルアレイの構造を示す平面図である。なお、上記第1実施形態による力検出装置と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
【0079】
本実施形態による力検出装置の基本的構成は、図1及び図2に示す第1実施形態による力検出装置100の構成とほぼ同様である。本実施形態による力検出装置は、センサセル60において、選択トランジスタM1、M2の第1及び第2ゲート線への接続、及び電極の第1及び第2電源線への接続が第1実施形態とは一部異なっている。
【0080】
本実施形態による力検出装置200では、センサアレイ10において、第1実施形態のセンサセル60と同様のセンサセル60aと、第1実施形態のセンサセル60とは接続が異なるセンサセル60bとが、行方向及び列方向に交互に配置されている。
【0081】
第1実施形態のセンサセル60とは接続が異なるセンサセル60bが第x行、第y列に位置する場合、そのセンサセル60bにおける力センサSの電極62A、62B、62C、62D、選択トランジスタM1、M2は、それぞれ次のように接続されている。なお、xは1≦×≦mを満たす整数であり、yは1≦y≦nを満たす整数である。
【0082】
すなわち、選択トランジスタM1のゲート電極は、対応する第x行の第1ゲート線GLxaに接続されている。選択トランジスタM1のソース電極は、対応する第y列のデータ線DLyに接続されている。選択トランジスタM1のドレイン電極は、電極62Bに接続されている。
【0083】
また、選択トランジスタM2のゲート電極は、対応する第x行の第2ゲート線GLxbに接続されている。選択トランジスタM2のソース電極は、対応する第y列のデータ線DLyに接続されている。選択トランジスタM2のドレイン電極は、電極62Cに接続されている。
【0084】
また、電極62Aは、対応する第y列の第1電源線VLyaに接続されている。電極62Dは、対応する第y列の第2電源線VLybに接続されている。
【0085】
本実施形態でも、第1及び第2ゲート線のオンオフ状態の切り替え、並びに第1及び第2電源線のオンオフ状態の切り替えを第1実施形態と同様に行うことができる。これにより、センサアレイ10における各センサセル60について、電気抵抗値RAB、RAC、RBD、RCDを個別に取得することができる。なお、本実施形態では、動作シーケンスと、取得される電気抵抗値との対応関係が、上述した第1実施形態における対応関係とは異なることになる。
【0086】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
【0087】
例えば、上記実施形態では、各力センサSが、4つの電極62A、62B、62C、62Dを有する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。力センサSは、3つ以上の複数の電極を有するものであればよい。この場合において、各センサセル60は、2つ以上の複数の選択トランジスタ等のアクティブ素子を有していればよい。3つ以上の電極を有することにより、2組以上の電極間の電気抵抗値を取得することができ、これらの電気抵抗値の相対的な大小関係に基づき、センサ面に対して作用するセンサ面に平行な力の方向を求めることができる。
【0088】
また、上記実施形態では、薄膜トランジスタ等の選択トランジスタM1、M2をアクティブ素子とする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。選択トランジスタMに代えて、例えばMIM(Metal Insulator Metal)ダイオード等の他のアクティブ素子を用いることができる。各センサセルが、メモリ性を有する素子を備えていてもよい。検出回路30は、例えば電流などの電圧以外の方法で、データ線DL1、DL2、…、DLnの出力を得てもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、選択トランジスタM1、M2にN型の薄膜トランジスタを適用したものであったが、これに限定されるものではない。選択トランジスタM1、M2にP型の薄膜トランジスタを適用したものであってもよい。P型の薄膜トランジスタを適用した場合、上記実施形態とは、ゲート駆動信号の論理が逆であり、センサセルに供給する電源電位と接地電位とが逆であるなどする。
【0090】
また、上記実施形態では、センサアレイ10において複数のセンサセル60が矩形格子状に配置されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。複数のセンサセル60は、規則的又は不規則的に2次元に配置することができる。
【符号の説明】
【0091】
10…センサアレイ
20…ゲート線駆動回路
30…検出回路
40…電源線駆動回路
50…制御部
60、60a、60b…センサセル
62A、62B、62C、62D…電極
64…センサ層
70…センサ面
100、200…力検出装置
S…力センサ
M1、M2…選択トランジスタ
GLia…第1ゲート線
GLib…第2ゲート線
VLja…第1電源線
VLjb…第2電源線
DLj…データ線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7