【文献】
Expert Opinion on Drug Delivery,2013, Vol.10, No.1,pp.131-149,特にp.144
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医薬錠剤において有効成分の溶出性は、有効成分が効果を十分に発揮するために重要なことである。有効成分の初期溶出を抑え、急激な有効成分の溶出を回避することのできるエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分として含有する医薬錠剤が望ましい。
【0008】
本発明の目的は、水中での有効成分の初期溶出を抑え、急激な有効成分の溶出を回避することのできるエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分として含有する医薬錠剤及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題である水中での有効成分の初期溶出の抑制を解決するための手段として、崩壊剤を種々変えることが検討されることが一般的である。崩壊剤にはデンプングリコール酸ナトリウムやクロスカルメロースナトリウムのような膨脹型崩壊剤やクロスポビドンのような導水型崩壊剤があり目的とする溶出性を得るために種々選択される。しかしエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分として含有する医薬錠剤において、崩壊剤の変更では水中での有効成分の初期溶出を抑えることはできず、すなわち、水中での急激な有効成分の溶出を回避することのできる医薬錠剤を得ることはできなかった。
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、有効成分としてエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤とすることで水中での有効成分の初期溶出の抑制を可能とすることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]〜[6]を要旨とする。
【0011】
[1]エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾高分子添加剤を含む医薬錠剤。
[2]アミノ基修飾高分子添加剤が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマーからなる群より選択される1種類以上である[1]に記載の医薬錠剤。
[3]アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散している[1]又は[2]に記載の医薬錠剤。
[4]アミノ基修飾高分子添加剤が0.1質量%以上7質量%以下含まれている、[1]〜[3]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
[5]エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩がエルロチニブ塩酸塩である[1]〜[4]の何れか一項に記載の医薬錠剤。
【0012】
[6][1]〜[5]の何れかに記載の医薬錠剤の製造方法であって、(A)エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩、アミノ基修飾高分子添加剤及びその他の添加剤を混合する工程、(B)工程(A)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程を含む[1]〜[5]の何れか一項に記載の医薬錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分とする医薬錠剤は、水中での有効成分の初期溶出の抑制できる医薬錠剤を提供することができる。より具体的には、水中での有効成分の初期溶出を抑え、急激な有効成分の溶出を回避することのできるエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分とする医薬錠剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分とする医薬錠剤であって、アミノ基修飾添加剤を含む医薬錠剤であることを特徴とする。以下にその詳細について説明する。
【0015】
本発明は、有効成分としてエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を用いる。エルロチニブの化学名はN−3−(エチニル−フェニル)−6,7−ビス−(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミンである。当該化合物は、特開2016−104717に記載の方法により合成することができる。エルロチニブは医薬品として容認できる品質であることが好ましい。
【0016】
本発明の有効成分には、エルロチニブの医薬的に許容な塩も含まれる。エルロチニブは、弱塩基性化合物であることから、適当な酸との付加塩の様態であっても良い。例えば、特に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸、メタンスルホン酸または4−トルエンスルホン酸等が挙げられる。本発明においてエルロチニブ塩酸塩を用いることが好ましく、医薬品として容認できる品質であることが好ましい。該化合物は、特許第4689916号においてA型結晶及びB型結晶が、特許第4456079号においてE型結晶開示されている。特許第4456079号においてA型結晶、B型結晶、E型結晶の溶解度が開示されており、A型結晶は水中での溶解度がA型結晶、B型結晶、E型結晶の中で一番高いことが示されている。本発明の医薬錠剤は、水中での有効成分が徐放される医薬錠剤であり、溶解度が高いA型結晶を含んでいるエルロチニブ塩酸塩を使用することで発明の効果が発揮できることが考えられる。そのため、本発明において、使用するエルロチニブ塩酸塩はA型結晶のエルロチニブ塩酸塩を含んでいることが好ましい。
【0017】
本発明の医薬錠剤は、アミノ基修飾高分子添加剤を含むことを特徴とする。本発明は、アミノ基修飾高分子添加剤であれば特に限定されずに適用することができる。アミノ基修飾高分子添加剤は、医薬品として容認できる品質であることが好ましい。
【0018】
本明細書におけるアミノ基修飾高分子添加剤としては、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられ、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを用いることが好ましく、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEを用いることがより好ましい。
アミノ基修飾高分子添加剤であるアミノアルキルメタクリレートコポリマーEは市販品を用いても良い。例えば商品名オイドラギット(登録商標)E100、オイドラギット(登録商標)EPO(株式会社樋口商会)等のアミノアルキルメタクリレートコポリマー等を挙げることができ、オイドラギット(登録商標)EPOを用いることが好ましい。また、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートは市販品を用いても良い。例えば商品名AEA(三菱ケミカルフーズ)を挙げることができる。
【0019】
本発明は医薬錠剤の様態である。医薬錠剤の形状は、経口的な服用に適する通常の形状及び大きさであれば特に限定されない。
【0020】
本発明の医薬錠剤は、エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩及びアミノ基修飾高分子添加剤の他に本発明の効果を妨げない範囲で医薬錠剤を調製するために通常用いられる他の添加剤を含んでいても良い。例えば、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、可溶化剤、賦形剤、隠蔽剤や着色剤等の、医薬錠剤を調製するための通常の医薬錠剤用添加剤を用いても良い。
これらの添加剤は、医薬品製剤用途で許容される純度であれば特に制限されることなく用いることができる。これらの添加剤は1種のみを用いても良く、これらの混合物として用いても良い。当該医薬錠剤を調製する際に、任意に使用される。
【0021】
本発明において崩壊剤としては、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。
【0022】
本発明において結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプンポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0023】
本発明において滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ等が挙げられる。
【0024】
本発明において可溶化剤としては界面活性剤が用いられ、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、精製大豆レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウロマクロゴール等が挙げられる。
【0025】
本発明において賦形剤としては、乳糖無水物、乳糖水和物、マルトース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール等、上記の結合剤、崩壊剤、可溶化剤、滑沢剤に該当しない添加剤が含まれる。
【0026】
本発明において隠蔽剤や着色剤としては、酸化チタン、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、褐色酸化鉄、タルク、食用黄色素類、食用青色素類、食用赤色素類等が挙げられる。
【0027】
本明細書に記載されているアミノ基修飾高分子添加剤は、通常コーティング基剤として使用され得る添加剤である。本発明の医薬錠剤は、アミノ基修飾高分子添加剤が「医薬錠剤内部」に分散していることが好ましい。
【0028】
本明細書における「医薬錠剤内部」とは、素錠部分のことである。アミノ基修飾高分子添加剤は素錠の部分に分散した状態で含まれていることが好ましい。
【0029】
本発明の医薬錠剤はフィルムコーティングされていても良い。フィルムコーティングされる場合、本発明の効果を妨げない範囲で医薬錠剤外部にあたるフィルムコート部分にアミノ基修飾高分子添加剤が含まれていてもよい。
【0030】
本明細書における「アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散している」とは、例えば、素錠に含まれるアミノ基修飾高分子添加剤以外の、例えば、有効成分や他の添加剤と混合されている状態のことである。素錠の構成成分として混合されていればよく、有効成分や他の添加剤を含む造粒物にアミノ基修飾高分子添加剤を含むコーティング層としてアミノ基修飾高分子添加剤を含んでいてもよい。
【0031】
本発明は、医薬錠剤内部に前述したアミノ基修飾高分子添加剤を含むことが好ましい。錠剤内部に含まれるアミノ基修飾高分子添加剤の含有率が0.1質量%以上7質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。
【0032】
また、フィルムコート部分にはコーティング基剤、隠蔽剤や着色剤、分散剤等の医薬製剤のコーティング剤に用いられる任意の添加剤が含まれていても良い。コーティング剤に用いる隠蔽剤や着色剤、分散剤は、前述と同義である。
【0033】
本発明においてフィルムコーティング基剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー等が挙げられる。
【0034】
本発明における医薬錠剤は、エルロチニブ又はその医薬的に許容される塩として30〜90質量部、アミノ基修飾高分子添加剤を0.1〜7質量部、結合剤を1〜50質量部、崩壊剤を1〜20質量部、滑沢剤を0.1〜5質量部、可溶化剤を0.1〜30質量部、賦形剤を5〜50質量部で含有する処方による医薬組成物を混合し、造粒して顆粒体を調製し、その造粒時に水、エタノール、メタノール等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒を添加してもしなくてもよく、これを圧縮成型することで医薬錠剤を調製することができる。その後、この医薬錠剤をフィルムコーティングしてもよい。好ましくは、エルロチニブ又はその医薬的に許容される塩として30〜70質量部、アミノ基修飾高分子添加剤を0.1〜5質量部、結合剤を1〜40質量部、崩壊剤を1〜10質量部、滑沢剤を0.1〜5質量部、可溶化剤を1〜15質量部、賦形剤を5〜30質量部を含有する医薬錠剤である。
【0035】
本発明における医薬錠剤は、アミノ基修飾高分子添加剤を0.1〜2質量部、結合剤を25〜35質量部、崩壊剤を5〜10質量部含有する医薬錠剤であることが好ましい。
【0036】
本発明は、エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩を有効成分とする医薬錠剤の製造方法を含む。
【0037】
本発明の医薬錠剤の製造方法は、(A)エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩、アミノ基修飾高分子添加剤及びその他の添加剤を混合する工程を含む。
【0038】
本発明の医薬錠剤の製造方法は、アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散していることが好ましい。(A)エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩、アミノ基修飾高分子添加剤及びその他の添加剤を混合する工程を経ることで、アミノ基修飾高分子添加剤が医薬錠剤内部に分散することが可能となる。そのため、本工程は本発明において重要である。
【0039】
本発明の医薬錠剤の製造方法において、アミノ基修飾高分子添加剤は粉末のままエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩及びその他の添加剤と混合してもよく、アミノ基修飾高分子添加剤を水、エタノール、メタノール等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒等の水性媒体に溶解しエルロチニブ又はその医薬的に許容な塩及びその他の添加剤と混合してもよい。また、エルロチニブ又はその医薬的に許容な塩及びその他の添加剤の混合後にアミノ基修飾高分子添加剤を上記水性媒体に溶解し、スプレー等することで混合物としてもよい。
【0040】
本発明の医薬錠剤の製造方法は、(B)工程(A)で得られた混合物を圧縮成型し錠剤にする工程を含む。本発明は医薬錠剤である。医薬錠剤を得るための本圧縮成型工程は重要である。
【0041】
本発明の医薬錠剤の製造方法において、医薬錠剤を圧縮成型する前に、造粒化操作を行い、造粒体を調製することが好ましい。造粒体とは、有効成分と種々の添加剤含有する混合物同士が付着して成形された一定の粒子径を有する顆粒状物であり、後の工程において圧縮成型能を向上させるために調製する粒状物である。該造粒体を調製する造粒化操作は、乾式造粒でも湿式造粒でもよい。乾式造粒とは、造粒時に水を添加しない造粒方法であり、湿式造粒とは前記混合物に水、エタノール、メタノール等の有機溶媒及びこれらの混合溶媒等の水性媒体を適当量添加して、混合操作等の機械的圧力を付加して該混合物同士を付着させ、顆粒状物として造粒する操作である。造粒化操作としては、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法、圧縮造粒法等が挙げられる。本発明に係る造粒化操作としては、これらの操作方法から、適宜選択して当該造粒体を調製することができる。
この造粒物を、打錠成型等により錠剤形に成型することにより、医薬錠剤内部である素錠を調製することができる。
【0042】
本発明の医薬錠剤の製造方法において、圧縮成型後、素錠をフィルムコーティングする工程を経てもよい。フィルムコーティングを行う場合、前記医薬錠剤外部であるフィルムコート部分は、水又は水と任意の割合で混合し得る有機溶剤を含む水溶性溶剤に前記コーティング剤に用いられる任意の添加剤を溶解し、錠剤内部である素錠が入ったコーティングパンの中へ注入またはスプレーし、錠剤表面に熱風を送り錠剤表面から溶媒を除去乾燥させる方法により、フィルムコーティングを行うことができる。乾燥工程は、室温〜80℃程度で行うことが好ましい。減圧下で行うことで水性溶剤を揮発させて乾燥しても良い。
【0043】
本発明の医薬錠剤は、水中での有効成分の初期溶出を抑制した医薬錠剤である。本明細書において、溶出性を評価する溶出試験は、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験である。
【0044】
日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験法により、本発明の医薬錠剤から有効成分であるエルロチニブ又はその医薬的に許容される塩を試験溶液中へ溶出させ、紫外可視吸光度計もしくは液体クロマトグラフィーを用いて試験液へのエルロチニブの溶出率を評価することで、本発明の医薬錠剤が水中での有効成分の初期溶出を抑え、急激な有効成分の溶出を回避することのできる特性を有する医薬錠剤であることを確認することができる。
【0045】
本発明の医薬錠剤は、水中での有効成分の初期溶出を抑制した医薬錠剤である。より具体的には、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)による溶出試験において、試験溶液が900mLの水である時、試験開始から15分で70%以下の溶出率であり、より好ましくは5分で35%以下、且つ15分で60%以下の溶出率である。
【0046】
また、本発明の医薬錠剤は、溶出性試験を1%SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)を含む0.1M塩酸水溶液試験溶液で試験した時、試験開始から15分で60%以上の溶出率であり、より好ましくは70%以上90%以下の溶出率である。
【0047】
本発明の医薬錠剤を用いた医薬品の用途は、エルロチニブにより治療効果を奏する疾病であれば特に限定されるものではない。例えば、悪性腫瘍の治療に適用することができる。より具体的には、非小細胞肺癌、膵癌、グリオーマ、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、肝細胞癌、腎癌、頭頸部癌、骨髄異形成症候群、食道癌、を挙げることができる。これらの疾患に限定されるものではないが、適用する好ましい疾患として挙げることができる。
【0048】
本発明の医薬製剤を用いた医薬品の投与量は、患者の性別、年齢、生理的状態、病態等により当然変更されうるが、例えば成人1日当たり、エルロチニブとして10mg〜1gの範囲の薬剤を投与する。この投与量に限定されるものではないが、適用する好ましい投与量として挙げることができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
[実施例1]オイドラギット(登録商標)EPO添加錠剤の調製
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶)365g、乳糖水和物(フロイント産業社製)230g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)290g、オイドラギット(登録商標)EPO(エボニック社製)5g、デンプングリコール酸ナトリウム(JRSファルマ社製)80g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)10gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)20gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
表1に実施例1の錠剤の調製の処方をまとめた。
【表1】
【0051】
[実施例2]オイドラギット(登録商標)EPO添加錠剤の調製
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶)365g、乳糖水和物(フロイント産業社製)230g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)288g、オイドラギット(登録商標)EPO(エボニック社製)7g、デンプングリコール酸ナトリウム(JRSファルマ社製)80g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)10gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)20gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
表2に実施例2の錠剤の調製の処方をまとめた。
【表2】
【0052】
[実施例3]オイドラギット(登録商標)EPO添加錠剤の調製
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶)365g、乳糖水和物(フロイント産業社製)230g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)279g、オイドラギット(登録商標)EPO(エボニック社製)16g、デンプングリコール酸ナトリウム(JRSファルマ社製)80g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)10gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)20gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
表3に実施例3の錠剤の調製の処方をまとめた。
【表3】
【0053】
[比較例1]オイドラギット(登録商標)EPO無添加錠剤の調製
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶)365g、乳糖水和物(フロイント産業社製)230g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)295g、デンプングリコール酸ナトリウム(JRSファルマ社製)80g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)10gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)20gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
表4に比較例1の錠剤の調製の処方をまとめた。
【表4】
【0054】
[比較例2]オイドラギット(登録商標)EPO無添加錠剤の調製
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶)365g、乳糖水和物(フロイント産業社製)230g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)295g、クロスカルメロースナトリウム(伏見製薬社製)80g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)10gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)20gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
表5に比較例2の錠剤の調製の処方をまとめた。
【表5】
【0055】
[比較例3]オイドラギット(登録商標)EPO無添加錠剤の調製
エルロチニブ塩酸塩(A型結晶)365g、乳糖水和物(フロイント産業社製)230g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製)295g、クロスポビドン(BASF社製)80g、ラウリル硫酸ナトリウム(国産化学社製)10gを混合した後、圧縮造粒法で造粒を行った。造粒した顆粒にステアリン酸マグネシウム(日本薬局方 ステアリン酸マグネシウム)20gを混和し、打錠用粉末を得た。
この打錠用粉末を打錠機にて錠剤径10.5mm、錠剤曲率12.0mm、厚み約5.10mm、質量約450mg、硬度60N以上のエルロチニブ塩酸塩の錠剤を製造した。
表6に比較例3の錠剤の調製の処方をまとめた。
【表6】
【0056】
[試験例1]溶出試験
実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例3で得られた錠剤を、日本薬局方に記載される方法で調製した水の試験溶液を用いて、日本薬局方溶出試験第2法(パドル法)により溶出率を評価した。
溶出試験条件詳細は以下のように設定した。
・溶出試験器 :NTR−6200A、富山産業株式会社製
・試験液量 :900mL
・試験液温 :37±0.5℃
・パドル回転数:100rpm
・分析機器 :紫外可視分光度計(UV−1700、島津製作所製)
・測定波長 :250nm
定量分析用の標準溶液試料として、試験溶液である水を使用してエルロチニブ塩酸塩溶液を任意の濃度で調製し、波長250nmでの吸光度を測定、これを試験溶液における標準値とした。溶出試験においては、各経時点の溶液の吸光度を測定することで、各経時点における溶液中のエルロチニブ塩酸塩濃度を計算し溶出率を算出した。得られた結果を表5に示す。
【表7】
【0057】
表5の結果より、水試験液において実施例1〜実施例3の錠剤は比較例1の錠剤と比較して溶出試験開始から30分後のエルロチニブ塩酸塩の溶出率が大きく異なることが分かった。実施例1〜実施例3の錠剤は水中での初期溶出を抑え有効成分であるエルロチニブ塩酸塩を溶出させることができる。これに対し、比較例1の錠剤は溶出試験開始直後より有効成分が急激に溶出し、水中での初期溶出の抑制を実現できない。従って、オイドラギット(登録商標)EPOを錠剤内に添加することで、錠剤に顕著な水中での初期溶出の抑制をもたらすことができることが確認された。
また、デンプングリコール酸ナトリウムを用いた比較例1とクロスカルメロースナトリウムを用いた比較例2及びクロスポビドンを用いた比較例3を比較し、溶出の傾向に違い見られなかった。よって、膨脹型崩壊剤の種類を変えても、膨張型崩壊剤を導水型崩壊剤に変えても、オイドラギットEPO無添加の条件下では錠剤への水中での初期溶出の抑制を付与できないことが示唆された。