特許第6945401号(P6945401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945401
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】スプリンクラーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/12 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   A62C37/12
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-181214(P2017-181214)
(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公開番号】特開2019-55027(P2019-55027A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2020年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000199186
【氏名又は名称】千住スプリンクラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】村上 匡史
(72)【発明者】
【氏名】菊池 正勝
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−144153(JP,A)
【文献】 特開平08−141106(JP,A)
【文献】 特開平08−308953(JP,A)
【文献】 特開2012−105952(JP,A)
【文献】 特開2015−085018(JP,A)
【文献】 実開昭52−083399(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時はノズルを閉止する弁体を支持して閉止位置に保持する一方、火災時はその熱を感知して分解し、前記弁体を解放して開放位置に移動させる感熱分解部を有するスプリンクラーヘッドにおいて、
前記感熱分解部は、上下方向に移動可能に設けられて、前記弁体の受圧部に下方から接触する押圧部が設けられる押圧体と、
上下方向の弾発力を有し、前記弁体に閉止位置への荷重を下方から与えるばね部材であって、前記押圧体に上方への荷重を与えて、その押圧部により前記弁体の受圧部を下方から押圧し、前記押圧体を介して前記弁体に閉止位置への荷重を下方から与えるばね部材とを備え、
前記弁体の受圧部と前記押圧体の押圧部は、一方が凸面で、他方が凹面をなすものとして形成されると共に、その凸面と凹面のいずれもが、中心側から外周側に面の高さを変化させる高さ変化面を有するものとして形成され、さらに、火災時、感熱分解部が分解する際、互いの接点を支点として前記押圧体の押圧部が傾くのに伴い、その接点が中心側から外周側に互いの高さ変化面に沿って移動するものとして形成されることを特徴とするスプリンクラーヘッド。
【請求項2】
常時はノズルを閉止する弁体を支持して閉止位置に保持する一方、火災時はその熱を感知して分解し、前記弁体を解放して開放位置に移動させる感熱分解部とを有するスプリンクラーヘッドにおいて、
前記感熱分解部は、上下方向に移動可能に設けられて、感熱分解部の組立状態を保持する保持部材側に位置して設けられる受圧部に、上方から接触する押圧部が設けられる押圧体と、
上下方向の弾発力を有し、前記弁体に閉止位置への荷重を下方から与えると共に、前記保持部材に保持位置への荷重を上方から与えるばね部材であって、前記押圧体に下方への荷重を与えて、その押圧部により前記保持部材側の受圧部を上方から押圧し、前記押圧体を介して前記保持部材に保持位置への荷重を上方から与えるばね部材とを備え、
前記保持部材側の受圧部と前記押圧体の押圧部は、一方が凸面で、他方が凹面をなすものとして形成されると共に、その凸面と凹面のいずれもが、中心側から外周側に面の高さを変化させる高さ変化面を有するものとして形成され、さらに、火災時、感熱分解部が分解する際、互いの接点を支点として前記保持部材の受圧部が傾くのに伴い、その接点が中心側から外周側に互いの高さ変化面に沿って移動するものとして形成されることを特徴とするスプリンクラーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火用のスプリンクラーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
消火用のスプリンクラーヘッドは、火災時、その火災による熱を感知して自動的に開作動し、ノズルから水を散布して消火を行うものである。
【0003】
このスプリンクラーヘッドには、常時はノズルを閉止する弁体を支持して閉止位置に保持する一方、火災時はその熱を感知して分解し、弁体を解放して開放位置に移動させる弁体支持機構(以下、この機構を「感熱分解部」という。)を有している。なお、火災の熱を感知するものとして、低融点合金が用いられており、感熱分解部は、低融点合金の溶融により分解する。
【0004】
感熱分解部において、火災時、低融点合金が溶融を開始すると、感熱分解部が分解に向けて変位を開始する。その際、分解に至る前に弁体が閉止位置から離れてしまうと、ノズルから水が漏出してしまい、その水により低融点合金が冷却されて、溶融が遅れたり、止まったりしてしまうことになる。
【0005】
感熱分解部には、弁体に閉止方向の強い荷重を与えるばね部材が設けられている。感熱分解部が変位を開始しても、その変位がばね部材のたわみ(変位)の範囲内にあれば、弁体に閉止方向の残存荷重を与えることができ、弁体を閉止位置に保持することができる。すなわち、ばね部材として、感熱分解部における分解途中の変位を吸収するたわみを有するものを使用していれば、ノズルから水が漏出するのを防ぐことができる。
【0006】
このばね部材としては、本件特許出願人が先に提案しているように、皿ばねを使用することができる(特許文献1参照)。皿ばねを使用すれば、弁体に閉止方向に強い荷重を与えることができつつも、取り付けスペースを小さくすることができる。
【0007】
ところで、感熱分解部は、ほとんどの場合、部品の寸法誤差や組み付け誤差や火源の位置により半田の溶融し始める部位が変わること等により傾きながら分解する。そのように傾きながら分解する場合でも、皿ばねは、弁体に閉止方向の荷重を均一に与えることができるのが好ましい。例えば、本件特許出願人が先に提案しているように、皿ばねの荷重を押圧部材の球面状とした頭部を介して与えるものとすれば、感熱分解部が傾きながら分解する場合でも、皿ばねの閉止方向の荷重を弁体に均一に与えることができる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−105952号公報
【特許文献2】特開2014−144153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
感熱分解部においては、前記の通り、弁体に閉止方向の強い荷重を与えるばね部材として、また、感熱分解部における分解途中の変位を吸収するたわみを有するばね部材として、皿ばねを使用することができ、その皿ばねを使用することにより、弁体に閉止方向に強い荷重を与えることができつつも、取り付けスペースを小さくすることができる。
【0010】
しかしながら、皿ばねに限らず、感熱分解部で使用されるばね部材の場合、強い荷重(例えば、80kgf)を与える弾発力を有するものとしつつ、たわみを大きくするのは、大きくする程度が1mm以下であったとしても、その設計は非常に困難である。
【0011】
この発明は、上記の事情に鑑み、感熱分解部で使用されるばね部材に必要なたわみを小さくすることができるスプリンクラーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、常時はノズルを閉止する弁体を支持して閉止位置に保持する一方、火災時はその熱を感知して分解し、前記弁体を解放して開放位置に移動させる感熱分解部を有するスプリンクラーヘッドにおいて、前記感熱分解部は、上下方向に移動可能に設けられて、前記弁体の受圧部に下方から接触する押圧部が設けられる押圧体と、上下方向の弾発力を有し、前記弁体に閉止位置への荷重を下方から与えるばね部材であって、前記押圧体に上方への荷重を与えて、その押圧部により前記弁体の受圧部を下方から押圧し、前記押圧体を介して前記弁体に閉止位置への荷重を下方から与えるばね部材とを備え、前記弁体の受圧部と前記押圧体の押圧部は、一方が凸面で、他方が凹面をなすものとして形成されると共に、その凸面と凹面のいずれもが、中心側から外周側に面の高さを変化させる高さ変化面を有するものとして形成され、さらに、火災時、感熱分解部が分解する際、互いの接点を支点として前記押圧体の押圧部が傾くのに伴い、その接点が中心側から外周側に互いの高さ変化面に沿って移動するものとして形成されることを特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0013】
ここで、この発明を説明するのに使用している「上」、「下」等の位置関係を示す語は、スプリンクラーヘッドが下向き(ノズルが下向き)のときの位置関係に対応している。すなわち、スプリンクラーヘッドの向きが変われば、その位置関係に対応して変わることになる。例えば、スプリンクラーヘッドが上向きになれば、「上」は「下」に変わり、「下」は「上」に変わることになる。
【0014】
また、この発明は、前記弁体の受圧部と前記押圧体の押圧部は、いずれも前記変化面が曲面及び/又は傾斜面として形成されることを特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0015】
また、この発明は、前記弁体の受圧部と前記押圧体の押圧部は、いずれも前記変化面を含めて全体が曲面として形成され、また、その曲率半径は、凸面側よりも凹面側の方が大きいことを特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0016】
また、この発明は、前記弁体の受圧部が凸面であり、前記押圧体の押圧部が凹面であることを特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0017】
また、この発明は、常時はノズルを閉止する弁体を支持して閉止位置に保持する一方、火災時はその熱を感知して分解し、前記弁体を解放して開放位置に移動させる感熱分解部とを有するスプリンクラーヘッドにおいて、前記感熱分解部は、上下方向に移動可能に設けられて、感熱分解部を組立状態に保持する保持部材側に位置して設けられる受圧部に、上方から接触する押圧部が設けられる押圧体と、上下方向の弾発力を有し、前記弁体に閉止位置への荷重を下方から与えると共に、前記保持部材に保持位置への荷重を上方から与えるばね部材であって、前記押圧体に下方への荷重を与えて、その押圧部により前記保持部材側の受圧部を上方から押圧し、前記押圧体を介して前記保持部材に保持位置への荷重を上方から与えるばね部材とを備え、前記保持部材側の受圧部と前記押圧体の押圧部は、一方が凸面で、他方が凹面をなすものとして形成されると共に、その凸面と凹面のいずれもが、中心側から外周側に面の高さを変化させる高さ変化面を有するものとして形成され、さらに、火災時、感熱分解部が分解する際、互いの接点を支点として前記保持部材側の受圧部が傾くのに伴い、その接点が中心側から外周側に互いの高さ変化面に沿って移動するものとして形成されることを特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0018】
また、この発明は、前記保持部材側の受圧部と前記押圧体の押圧部は、いずれも前記変化面が曲面及び/又は傾斜面として形成されることを特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0019】
また、この発明は、前記保持部材側の受圧部と前記押圧体の押圧部は、いずれも前記変化面を含めて全体が曲面として形成され、その曲率半径は、凸面側よりも凹面側の方が大きいことを特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【0020】
また、この発明は、前記保持部材側の受圧部が凹面であり、前記支持体の押圧部が凸面であることを特徴とするスプリンクラーヘッドである。
【発明の効果】
【0021】
この発明においては、弁体の受圧部と押圧体の押圧部が、一方が凸面で、他方が凹面をなすものとして形成されると共に、その凸面と凹面のいずれもが、中心側から外周側に面の高さを変化させる高さ変化面を有するものとして形成され、さらに、火災時、感熱分解部が分解する際、互いの接点を支点として前記押圧体が傾くのに伴い、その接点が中心側から外周側に互いの高さ変化面に沿って移動するものとして形成されるものであることにより、火災時、感熱分解部が傾く際に、その傾きの支点となる弁体の受圧部と押圧体の押圧部との接点が中心側から外周側に互いの高さ変化面に沿って移動することになる。それにより、押圧体を弁体に対して下方に移動させることができ、ばね部材のたわみを小さくする方向に移動させることができる。
【0022】
また、この発明においては、保持部材側の受圧部と押圧体の押圧部が、一方が凸面で、他方が凹面をなすものとして形成されると共に、その凸面と凹面のいずれもが、中心側から外周側に面の高さを変化させる高さ変化面を有するものとして形成され、さらに、火災時、感熱分解部が分解する際、互いの接点を支点として傾くのに伴い、その接点が中心側から外周側に互いの高さ変化面に沿って移動するものとして形成されるものであることにより、前記と同様、火災時、感熱分解部が傾く際に、その傾きの支点となる保持部材側の受圧部と押圧体の押圧部との接点が中心側から外周側に互いの高さ変化面に沿って移動することになる。それにより、押圧体を保持部材側に対して上方に移動させることができ、ばね部材のたわみを小さくする方向に移動させることができる。
【0023】
したがって、この発明によれば、弁体の受圧部と押圧体の押圧部又は保持部材側の受圧部と押圧体の押圧部が凸面と凹面として形成されていることで、感熱分解部で使用されるばね部材に必要なたわみを小さくすることができるスプリンクラーヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明のスプリンクラーヘッドの第1の実施形態を示したものであり、常時の状態における(a)が全体の縦断面図であり、(b)が一部拡大図である。
図2】同上の実施形態を示したものであり、火災時、感熱分解部の分解途中の状態における(a)が全体の縦断面図であり、(b)が一部拡大図である。
図3】同上の実施形態におけるセットピン(支持体の一例)の押圧部である凹面上を接点が移動する様子を示した説明図である。
図4】同上の実施形態を示したものであり、感熱分解部が分解して落下して、弁体が解放されて開放位置に移動し、ノズルから水を放出している状態における縦断面図である。
図5】第2の実施形態を示したものであり、(a)が図1(a)に相当する図であり、(b)が図1(b)に相当する図である。
図6】第3の実施形態を示したものであり、(a)が図1(a)に相当する図であり、(b)が図1(b)に相当する図である。
図7】同上の実施形態を示したものであり、(a)が図2(a)に相当する図であり、(b)が図2(b)に相当する図である。
図8】同上の弁体の受圧部とセットピンの押圧部のさらに他の4つの例を示したものであり、(a)乃至(d)いずれも弁体とセットピンのみの拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明のスプリンクラーヘッドの実施形態について、ばね部材に皿ばねを使用する場合を例として、図1乃至図8に基づいて説明する。なお、この発明においては、ばね部材として、皿ばね以外のものも使用することができ、例えば、板ばねを使用することができる。
【0026】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態のスプリンクラーヘッド1−1について、図1乃至図4に基づいて説明する。
【0027】
[基本構成]
スプリンクラーヘッド1−1は、ノズル2を有するヘッド本体3と、ノズル2を開閉する弁体4と、常時は弁体4の下方に位置しつつ、弁体4を支持して閉止位置に保持する一方、火災時はその熱を感知して分解し、弁体4を解放して開放位置に移動させる感熱分解部5を有している(図1参照)。なお、詳細は後記で説明するが、感熱分解部5には、火災の熱を感知するものとして、低融点合金11(例えば半田)が用いられており、感熱分解部5は、その低融点合金11の溶融により分解する。
【0028】
[ヘッド本体]
ヘッド本体3は、上部側には外周に消火水供給用の配管との螺合部3aを有しており、下部側には感熱分解部5を支持する円筒状のフレーム6を有している(図1参照)。
【0029】
[弁体]
弁体4は、上下方向に移動可能に設けられており、常時は、感熱分解部5によって支持されて、閉止位置である上方に位置して、ノズル2の放水口2aの周縁に設けられている弁座部2bに着座している状態を保持する一方(図1参照)、火災時は、感熱分解部5が分解し、それによる支持が解かれると、開放位置である下方に移動して、ノズル2の放水口2aを開放し、ノズル2から消火水Wを放出可能な状態にする(図4参照)。詳細は後述するが、弁体4の下面には、感熱分解部5と接触する受圧部4aを備えている。
【0030】
[感熱分解部]
感熱分解部5は、本実施形態の場合、その組立状態を保持する部材として、環状に配置される複数のボール10(保持部材の一例)を備えるものとしている。常時は、それら複数のボール10が所定位置に保持されることにより、組立状態が保持され、弁体4を閉止位置に保持する状態が保持される一方、火災時は、感熱分解部5の下部に設けられる低融点合金11が溶融することにより分解する。
【0031】
感熱分解部5は、具体的には、中央部に凹部12aを有する集熱部12と、その凹部12aの中央開口部に下方から挿通され、凹部12aと共に低融点合金11が充填される充填部を環状に形成するフランジ部13aを有するプランジャ13とを下部に備えている。また、集熱部12の上方に、ヘッド本体3のフレーム6に設けられるフランジ6aとの間でボール10を上方から支持するスライダ14と、下方から支持するバランサ15とを備えている。さらに、上下方向の弾発力を有し、スライダ14上に載置される皿ばね16と、その皿ばね16の中央開口部に上方から挿通されて、皿ばね16の上方への弾発力を受けるフランジ17bを有し、上下方向に移動可能なセットピン17(押圧体の一例)とを備えている。プランジャ13は、下方から集熱部12の凹部12aの中央開口部に挿通された上で、バランサ15の中央開口部に挿通され、その上部がスライダ14の中央開口部内に至り、そこでスライダ14と螺合される。また、セットピン17は、上方から皿ばね16の中央開口部に挿通された上で、プランジャ13の上部開口から内部に挿通されて、上下方向に移動可能に設けられている。
【0032】
感熱分解部5において、セットピン17は、皿ばね16の中央開口部から上方に突出する頭部17aに前記の皿ばね16の上方への弾発力を受けるフランジ17bを有すると共に、その頭部17aの上面に弁体4の下面に設けられる受圧部4aと接触する押圧部17cを有する。常時の組立状態が保持されていれば、セットピン17は、皿ばね16の上方への弾発力により押圧部17cが弁体4の受圧部4aを押圧し、弁体4に閉止方向に荷重を伝達し、弁体4を閉止位置に保持する。本実施形態では、押圧部17cは断面視略円弧を形成しているものとして説明するが、後述するように形状はそれだけに限られない。
【0033】
ここで、スライダ14は、下面に、ボール10に上方から接触する支持部14aを有する。バランサ15は、常時の低融点合金11が溶融していないときに、フレーム6のフランジ部6aに下方から当接する段部15aを有する。ボール10は、フレーム6のフランジ部6aと、バランサ15の段部15aと、スライダ14の支持部14aの3点で保持される。これにより、感熱分解部5は、常時の組立状態が保持される(図1参照)。一方、火災時、低融点合金11が溶融すると、バランサ15が下方の集熱部12と共にプランジャ13の外周面に沿って下方に移動し、バランサ15とスライダ14との間が開いてくる。それにより、ボール10は、バランサ15が降下するに従い、内側へ移動していき、フレーム6のフランジ部6aとバランサ15の段部15aとスライダ14の押圧部14aの3点で保持される状態から徐々に解放され、感熱分解部5は組立状態を保持している状態を徐々に解除する(図2参照)。そして、ボール10は、フレーム6のフランジ部6aより内側に入ると、フランジ部6aを乗り越えて下方に落下し、それと共に感熱分解部5は、分解して下方に落下する。それにより、弁体4は、感熱分解部5により閉止位置に保持されている状態が解かれ、前記の通り、開放位置である下方に移動して、ノズル2の放水口2aを開放し、ノズル2から消火水Wを放出可能な状態にすることになる(図4参照)。
【0034】
そして、スプリンクラーヘッド1−1において、図1(b)及び図2(b)の拡大図に詳細を示した通り、弁体4の受圧部4aとセットピン17の押圧部17cは、一方が凸面で、他方が凹面をなすものとして形成されていると共に、その凸面と凹面のいずれもが、中心側から外周側に面の高さを変化させる高さ変化面4b、17dを有するものとして形成されている。さらに、互いの接点Pを支点としてセットピン17が傾くのに伴い、その接点Pが中心側から外周側に互いの高さ変化面14b、17dに沿って移動するものとして形成されている。
【0035】
感熱分解部5は、火災時、傾きながら分解する際、図2(a)及び(b)に示したように、弁体4の受圧部4aとセットピン17の押圧部17cとの接点Pを支点として、セットピン17以下の部分が傾くことになる。その際、弁体4の受圧部4aとセットピン17の押圧部17cが前記のような凸面と凹面として形成されていることにより、接点Pは、セットピン17の押圧部17cが傾くのに伴い、中心側から外周側に互いの高さ変化面4b、17dに沿って移動することになり、凹面上の上下方向の寸法が大きくなる側に移動することになる。具体的には、セットピン17の押圧部17cを凹面とする本実施形態においては、接点Pは、図3の説明図に詳細を示したように、例えば、凹面上を中心側の位置P1から外周側の位置P2に移動することにより、上下方向の寸法がX分、大きい側に移動することになる。
【0036】
この接点Pの凹面上における上下方向の寸法が大きい側への移動があることにより、セットピン17は、接点Pを支点として傾く際に、上方の弁体4に対して下方に移動することになり、皿ばね16のたわみhを小さくする方向に移動することになる。
【0037】
したがって、スプリンクラーヘッド1−1においては、弁体4の受圧部4aとセットピン17の押圧部17cが前記のような凹面と凸面として形成されていることにより、感熱分解部5で使用される皿ばね16に必要なたわみhを小さくすることができる。すなわち、その皿ばね16の設計を容易にすることができる。
【0038】
なお、前記の接点Pは弁体4の凸面である受圧部4aの高さ変化面に沿っても移動するので、セットピン17は図3に示した高低差Xと全く同じだけ下方に移動するわけではない。しかしながら、そのXをより大きくすることにより、皿ばね16のたわみhを小さくする方向により大きく移動させることができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、弁体4の受圧部4aが凸面として形成されており、セットピン17の押圧部17cが凹面として形成されている。また、凸面として形成される弁体4の受圧部4aも、凹面として形成されるセットピン17の押圧部17cも、高さ変化面4b、17dを含めて全体が断面円弧状の曲面として形成されるものとしており、常時においては、互いの中心部である凸面側の頂部4cと凹面側の底部17eとが接触し、そこに接点Pが形成されるものとしている。さらに、凸面として形成される弁体4の受圧部4aよりも、凹面として形成されるセットピン17の押圧部17cの方が曲率半径の大きい曲面として形成されるものとしている。これらの面形状については、後記で詳細に説明する通り、適宜変更することができる。
【0040】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態のスプリンクラーヘッド1−2について、図5に基づいて説明する。
【0041】
本実施形態のスプリンクラーヘッド1−2は、弁体4の受圧部4aとセットピン17の押圧部17cについて、第1の実施形態におけるものと凸面と凹面とを逆にしたものである。すなわち、図5(a)及び(b)に示したように、弁体4の受圧部4aを凹面として形成されているものとする一方、セットピン17の押圧部17cを凸面として形成されているものとしたものである。その他の構成は、スプリンクラーヘッド1−1におけるものと同様である。
【0042】
このスプリンクラーヘッド1−2においても、第1の実施形態と同様、皿ばね16に必要なたわみhを小さくすることができる。ただし、感熱分解部5が傾いた際の弁体4に作用する閉止方向の残存荷重の均一性については、第1の実施形態の方が、凸面として形成される弁体4の受圧部4aを凹面として形成されるセットピン17の押圧部17dにより外周側から中心側に向けて押圧することになるので、弁体4に閉止方向の残存荷重をより均一に与えることができ、有利である。
【0043】
なお、本実施形態においても、凹面として形成される弁体4の受圧部4aも、凸面として形成されるセットピン17の押圧部17cも、高さ変化面4b、17dを含めて全体が断面円弧状の曲面として形成されるものとしており、常時においては、互いの中心部である凸面側の頂部17fと凹面側の底部4dとが接触し、そこに接点Pが形成されるものとしている。さらに、凸面として形成されるセットピン17の押圧部17cよりも、凹面として形成される弁体4の受圧部4aの方が曲率半径の大きい曲面として形成されるものとしている。
【0044】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態のスプリンクラーヘッド1−3について、図6及び図7に基づいて説明する。
【0045】
本実施形態のスプリンクラーヘッド1−3は、前記の実施形態のように感熱分解部5が傾く際の支点となる部分を弁体4とセットピン17の間に設けるのに代えて、セットピン17とプランジャ13との間に設けたものである。以下、前記の実施形態と異なる部分について説明するが、説明の便宜上、各部分の図面符号については、追加の部分を除き、前記の実施形態と同じものを使用する。
【0046】
スプリンクラーヘッド1−3においては、図6(a)及び(b)に示したように、皿ばね16は、弁体4の受圧部4aとセットピン17のフランジ17bの間にワッシャー18を介して設けられており、セットピン17は、頭部17aを下方に向けて設けられている。また、プランジャ13は、上部がスライダ14の中央開口部と螺合しつつ、貫通しており、上方に突出する上端部13bの上面に、セットピン17の頭部17aの下面に設けられる押圧部17cが上方から接触する受圧部13c(保持部材側の受圧部の一例)が設けられている。
【0047】
つまり、スプリンクラーヘッド1−3において、感熱分解部5は、皿ばね16を弁体4の受圧部4aとセットピン17のフランジ17bとの間に位置するものとして、その皿ばね16により、上方の弁体4に対し、ワッシャー18を介して下方から閉止位置に荷重を与えると共に、下方のボール10に対し、セットピン17、プランジャ13及びスライダ14を介して上方から保持位置に荷重を与えるものとしている。また、図7(a)及び(b)に示したように、感熱分解部5が傾く際に、セットピン17の押圧部17cとプランジャ13の受圧部13cの接点Pを支点として、プランジャ13以下の部分が傾くものとしている。
【0048】
そして、感熱分解部5は、セットピン17の押圧部17cとプランジャ13の受圧部13cを、前記の実施形態と同様、一方が凸面で、他方が凹面をなすものとしていると共に、凸面と凹面のいずれもが中心側から外周側に面の高さを変化させる高さ変化面17d、13dを有するものとしている。
【0049】
このスプリンクラーヘッド1−3においても、前記の実施形態と同様、感熱分解部5で使用される皿ばね16に必要なたわみhを小さくすることができる。
【0050】
すなわち、本実施形態の場合、前記の通り、セットピン17の押圧部17cとプランジャ13の受圧部13cとの接点Pを支点として、プランジャ13以下の構成部分が傾くことになる。その際、セットピン17の押圧部17cとプランジャ13の受圧部13cが前記のような凸面と凹面として形成されていることにより、プランジャ13の受圧部13cが傾くのに伴って、その支点である接点Pが中心側の位置から外周側の位置に互いの高さ変化面17d、13dに沿って移動する。そして、プランジャ13の受圧部13c側を凹面とする本実施形態においては、接点Pは、その凹面上を中心側の位置から外周側の位置に移動して、上下方向の寸法が大きい方へ移動する。これにより、セットピン17は、接点Pを支点として傾く際に、プランジャ13に対して上方に移動し、皿ばね16のたわみhを小さくする方向に移動することになり、その皿ばね16に必要なたわみhを小さくすることができる。
【0051】
なお、本実施形態においても、凹面として形成されるプランジャ13の受圧部13cも、凸面として形成されるセットピン17の押圧部17cも、高さ変化面13d、17dを含めて全体が断面円弧状の曲面として形成されるものとしており、常時においては、互いの中心部である凸面側の頂部17fと凹面側の底部13eとが接触し、そこに接点Pが形成されるものとしている。さらに、凸面として形成されるセットピン17の押圧部17cよりも、凹面として形成されるプランジャ13の受圧部13cの方が曲率半径の大きい曲面として形成されるものとしている。
【0052】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、第1の実施形態における弁体4の受圧部4aとセットピン17の押圧部17cの凸面・凹面の面形状については、それぞれの高さ変化面4b、17dとして、曲面に代えて、傾斜面を有するものとすることができる。また、中心部の頂部4c又は底部17eとして、平面又は曲面を有するものとすることができる。具体的には、第1の実施形態における凹面側であるセットピン17の押圧部17cについて例示すれば、図8(a)に示したように、高さ変化面17dとして傾斜面を有すると共に、底部17eとして平面を有するものとすることができる。すなわち、径方向に一方の側から他方の側に傾斜面・平面・傾斜面として連続するものとすることができる。また、図8(b)に示したように、高さ変化面17dとしてそれが中心部まで至る傾斜面を有するものとすることができる。すなわち、径方向に一方の側から他方の側に傾斜面・傾斜面として連続するものとすることができる。また、図8(c)に示したように、高さ変化面17dとして斜面を有すると共に、底部17eとして曲面を有するものとすることができる。すなわち、径方向に一方の側から他方の側に傾斜面・曲面・傾斜面として連続するものとすることができる。また、図8(d)に示したように、高さ変化面17dとして曲面を有すると共に、底部17eとして平面を有するものとすることができる。すなわち、径方向に一方の側から他方の側に曲面・平面・曲面として連続するものとすることができる。
【0054】
なお、弁体4の受圧部4aとセットピン17の押圧部17cの凸面・凹面の面形状を傾斜面や平面を有するものとする場合、互いの曲率半径としては、凸面側は外接円の曲率半径として、凹面側は内接円の曲率半径として、互いを比較し、凹面側の方が大きくなるものとすることができる。
【0055】
また、前記の第1の実施形態における凸面・凹面の変形例については、第2の実施形態及び第3の実施形態における凸面・凹面にも適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1−1:スプリンクラーヘッド 1−2:スプリンクラーヘッド
1−3:スプリンクラーヘッド
2:ノズル 2a:放水口2b:弁座部 3:ヘッド本体 3a:螺合部
4:弁体 4a:受圧部 4b:高さ変化面 4c:頂部 4d:底部
5:感熱分解部 6:フレーム 6a:フランジ 10:ボール
11:低融点合金 12:集熱部 12a:凹部 13:プランジャ
13a:フランジ 13b:上端部 13c:受圧部 13d:高さ変化面
13e:底部 14:スライダ 14a:押圧部 15:バランサ
15a:段部 16:皿ばね 17:セットピン 17a:頭部
17b:フランジ 17c:押圧部 17d:高さ変化面 17e:底部
17f:頂部 18:ワッシャー P:接点 h:たわみ W:消火水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8