特許第6945402号(P6945402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945402
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20210927BHJP
【FI】
   B65D5/54 301D
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-183649(P2017-183649)
(22)【出願日】2017年9月25日
(65)【公開番号】特開2019-59491(P2019-59491A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰明
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−129718(JP,U)
【文献】 特開2016−098027(JP,A)
【文献】 特開2017−137122(JP,A)
【文献】 特開2017−013856(JP,A)
【文献】 特開平09−095358(JP,A)
【文献】 特開2010−013123(JP,A)
【文献】 特開2008−222242(JP,A)
【文献】 実開平06−087221(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を包装する包装箱(1)であって、
軸方向両端面を開口した筒状に形成される周壁(8)の底面を形成する底壁(10)と、
前記底壁に対向して前記周壁の天面を形成する天壁(11)と、
前記周壁の軸方向に平面上で直交する幅方向一方の側面を形成する第1側壁(12)と、
前記第1側壁に対向して前記周壁の幅方向他方の側面を形成する第2側壁(13)と、
前記第1側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1内フラップ(15)と、
前記第2側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2内フラップ(16)と、
前記底壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1外フラップ(17)と、
前記天壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2外フラップ(18)と、
前記天壁の軸方向中央で幅方向に延びる中心線(C)で反転したときに完全に重なることのない非対称となるように軸方向一方にずれた位置に形成されている一対の第1補助罫線(20)と、
前記第1側壁側となる前記周壁の幅方向一方に形成され、前記天壁を前記周壁から分離する開封線(23,26)と、
前記一対の第2内フラップに形成され、前記一対の第2内フラップを切断して上下方向に二分割する一対の切断線(30)と、を備え、
前記一対の第1内フラップおよび前記一対の第2内フラップが前記周壁の軸方向両端面を閉じるように折り曲げられた後、前記一対の第1外フラップおよび前記一対の第2外フラップが前記一対の第1内フラップおよび前記一対の第2内フラップに重なるように折り曲げられ、
前記第1外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの下側に折り重ねられた状態で第1接着部(G1)を介して接着され、
前記第2外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの上側に折り重ねられた状態で少なくとも前記第2内フラップに第2接着部(G2)を介して接着され、
前記切断線は、前記第1接着部と前記第2接着部とを仕切るように前記第2内フラップに形成され、
前記開封線で分離された前記天壁を引っ張り上げる過程で前記天壁が前記一対の第1補助罫線で山折りされることによって、軸方向一方の前記第2内フラップが前記切断線で切断され始めた後、軸方向他方の前記第2内フラップが前記切断線で切断され始めることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
内容物を包装する包装箱(2,3)であって、
軸方向両端面を開口した筒状に形成される周壁(8)の底面を形成する底壁(10)と、
前記底壁に対向して前記周壁の天面を形成する天壁(11)と、
前記周壁の軸方向に平面上で直交する幅方向一方の側面を形成する第1側壁(12)と、
前記第1側壁に対向して前記周壁の幅方向他方の側面を形成する第2側壁(13)と、
前記第1側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1内フラップ(15)と、
前記第2側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2内フラップ(16)と、
前記底壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1外フラップ(17)と、
前記天壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2外フラップ(18)と、
前記天壁の軸方向中央で幅方向に延びる中心線(C)で反転したときに完全に重なることのない非対称となるように軸方向一方にずれた位置に形成されている一対の第1補助罫線(20)と、
前記第1側壁側となる前記周壁の幅方向一方に形成され、前記天壁を前記周壁から分離する開封線(23,26)と、
前記一対の第1外フラップまたは前記一対の第2外フラップにて幅方向他方に形成され、前記一対の第1外フラップまたは前記一対の第2外フラップを切断して幅方向に二分割する一対の切断線(31,32)と、を備え、
前記一対の第1内フラップおよび前記一対の第2内フラップが前記周壁の軸方向両端面を閉じるように折り曲げられた後、前記一対の第1外フラップおよび前記一対の第2外フラップが前記一対の第1内フラップおよび前記一対の第2内フラップに重なるように折り曲げられ、
前記第1外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの下側に折り重ねられた状態で第1接着部(G1)を介して接着され、
前記第2外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの上側に折り重ねられた状態で少なくとも前記第2内フラップに第2接着部(G2)を介して接着され、
前記切断線は、前記第2内フラップに設けられた前記第1接着部と前記第2接着部のうち何れか一方を区画するように、前記第1外フラップまたは前記第2外フラップに形成され、
前記開封線で分離された前記天壁を引っ張り上げる過程で前記天壁が前記一対の第1補助罫線で山折りされることによって、軸方向一方の前記第1外フラップまたは軸方向一方の前記第2外フラップが前記切断線で切断され始めた後、軸方向他方の前記第1外フラップまたは軸方向他方の前記第2外フラップが前記切断線で切断され始めることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
内容物を包装する包装箱(4)であって、
軸方向両端面を開口した筒状に形成される周壁(8)の底面を形成する底壁(10)と、
前記底壁に対向して前記周壁の天面を形成する天壁(11)と、
前記周壁の軸方向に平面上で直交する幅方向一方の側面を形成する第1側壁(12)と、
前記第1側壁に対向して前記周壁の幅方向他方の側面を形成する第2側壁(13)と、
前記第1側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1内フラップ(15)と、
前記第2側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2内フラップ(16)と、
前記底壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1外フラップ(17)と、
前記天壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2外フラップ(18)と、
前記天壁の軸方向中央で幅方向に延びる中心線(C)で反転したときに完全に重なることのない非対称となるように軸方向一方にずれた位置に形成されている一対の第1補助罫線(20)と、
前記第1側壁側となる前記周壁の幅方向一方に形成され、前記天壁を前記周壁から分離する開封線(23,26)と、を備え、
前記一対の第1内フラップおよび前記一対の第2内フラップが前記周壁の軸方向両端面を閉じるように折り曲げられた後、前記一対の第1外フラップおよび前記一対の第2外フラップが前記一対の第1内フラップおよび前記一対の第2内フラップに重なるように折り曲げられ、
前記第1外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの下側に折り重ねられた状態で第1接着部(G1)を介して接着され、
前記第2外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの上側に折り重ねられた状態で少なくとも前記第2内フラップに第2接着部(G2)を介して接着され、
前記開封線で分離された前記天壁を引っ張り上げる過程で前記天壁が前記一対の第1補助罫線で山折りされることによって、軸方向一方の前記第2外フラップが前記第2接着部から剥がれ始めた後、軸方向他方の前記第2外フラップが前記第2接着部から剥がれ始めることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
前記天壁の幅方向他方に位置し、前記中心線で反転したときに完全に重なることのない非対称となるように形成され、幅方向一方から他方に向かって互いに前記中心線に近づくように斜めに延びている一対の第2補助罫線(21)を更に備え、
前記天壁を前記一対の第1補助罫線で山折りさせながら引っ張り上げる過程において、前記天壁は前記一対の第2補助罫線で谷折りされることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記第2外フラップは、第1内フラップの上側に接着されることなく折り重なることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
前記第1外フラップの先端部は、前記第2外フラップの外側先端部に重なった状態で前記第1内フラップと前記第2内フラップとに接着されることを特徴とする請求項5に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を包装する包装箱が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の段ボール板製包装箱は、底板と、この底板の対向側辺に連設された一組の対向側板と、一方の側板の上端に連設された上板と、底板と一組の対向側板と上板との両端に夫々連設されたフラップと、を備えていた。上板に連接されたフラップ(上外フラップ)は、各側板に連接されたフラップ(内フラップ)に重ねられ、底板に連接されたフラップは、上外フラップの下端に重なるようにして内フラップに固着されていた。また、上外フラップは、カット線で切離可能な糊付け用板部を内フラップに固着させていた。この段ボール板製包装箱では、上板を持ち上げて一対の糊付け用板部を一対の上外フラップから切り離すことで、上板が開かれるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−129718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した段ボール板製包装箱では、一対の糊付け用板部を略同時に一対の上外フラップから切り離さなければならず、上板を持ち上げるために大きな力が必要であった。つまり、小さな力で容易に包装箱を開封することができなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、小さな力で容易に開封することができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明は、内容物を包装する包装箱であって、互に対向する底壁および天壁と、互に対向する第1側壁および第2側壁とを含み、軸方向両端面を開口した筒状に形成される周壁と、前記第1側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1内フラップと、前記第2側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2内フラップと、前記底壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1外フラップと、前記天壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2外フラップと、前記天壁の軸方向中央で軸方向に直交する幅方向に延びる中心線で反転したときに完全に重なることのない非対称となるように軸方向一方にずれた位置に形成されている一対の第1補助罫線と、前記第1側壁側となる前記周壁の幅方向一方に形成され、前記天壁を前記周壁から分離する開封線と、前記一対の第2内フラップに形成され、前記一対の第2内フラップを切断して上下方向に二分割する一対の切断線と、を備え、前記第1外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの下側に折り重ねられた状態で第1接着部を介して接着され、前記第2外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの上側に折り重ねられた状態で少なくとも前記第2内フラップに第2接着部を介して接着され、前記切断線は、前記第1接着部と前記第2接着部とを仕切るように前記第2内フラップに形成され、前記開封線で分離された前記天壁を引っ張り上げる過程で前記天壁が前記一対の第1補助罫線で山折りされることによって、軸方向一方の前記第2内フラップが前記切断線で切断され始めた後、軸方向他方の前記第2内フラップが前記切断線で切断され始める。
【0008】
また、上記した目的を達成するため、本発明は、内容物を包装する包装箱であって、互に対向する底壁および天壁と、互に対向する第1側壁および第2側壁とを含み、軸方向両端面を開口した筒状に形成される周壁と、前記第1側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1内フラップと、前記第2側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2内フラップと、前記底壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1外フラップと、前記天壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2外フラップと、前記天壁の軸方向中央で軸方向に直交する幅方向に延びる中心線で反転したときに完全に重なることのない非対称となるように軸方向一方にずれた位置に形成されている一対の第1補助罫線と、前記第1側壁側となる前記周壁の幅方向一方に形成され、前記天壁を前記周壁から分離する開封線と、前記一対の第1外フラップまたは前記一対の第2外フラップに形成され、前記一対の第1外フラップまたは前記一対の第2外フラップを切断して幅方向に二分割する一対の切断線と、を備え、前記第1外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの下側に折り重ねられた状態で第1接着部を介して接着され、前記第2外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの上側に折り重ねられた状態で少なくとも前記第2内フラップに第2接着部を介して接着され、前記切断線は、前記第2内フラップに設けられた前記第1接着部と前記第2接着部のうち何れか一方を区画するように、前記第1外フラップまたは前記第2外フラップに形成され、前記開封線で分離された前記天壁を引っ張り上げる過程で前記天壁が前記一対の第1補助罫線で山折りされることによって、軸方向一方の前記第1外フラップまたは軸方向一方の前記第2外フラップが前記切断線で切断され始めた後、軸方向他方の前記第1外フラップまたは軸方向他方の前記第2外フラップが前記切断線で切断され始める。
【0009】
また、上記した目的を達成するため、本発明は、内容物を包装する包装箱であって、互に対向する底壁および天壁と、互に対向する第1側壁および第2側壁とを含み、軸方向両端面を開口した筒状に形成される周壁と、前記第1側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1内フラップと、前記第2側壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2内フラップと、前記底壁の軸方向両端部に連接されている一対の第1外フラップと、前記天壁の軸方向両端部に連接されている一対の第2外フラップと、前記天壁の軸方向中央で軸方向に直交する幅方向に延びる中心線で反転したときに完全に重なることのない非対称となるように軸方向一方にずれた位置に形成されている一対の第1補助罫線と、前記第1側壁側となる前記周壁の幅方向一方に形成され、前記天壁を前記周壁から分離する開封線と、を備え、前記第1外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの下側に折り重ねられた状態で第1接着部を介して接着され、前記第2外フラップは、前記第1内フラップと前記第2内フラップとの上側に折り重ねられた状態で少なくとも前記第2内フラップに第2接着部を介して接着され、前記開封線で分離された前記天壁を引っ張り上げる過程で前記天壁が前記一対の第1補助罫線で山折りされることによって、軸方向一方の前記第2外フラップが前記第2接着部から剥がれ始めた後、軸方向他方の前記第2外フラップが前記第2接着部から剥がれ始める。
【0010】
この場合、前記天壁の幅方向他方に位置し、前記中心線で反転したときに完全に重なることのない非対称となるように形成され、幅方向一方から他方に向かって互いに前記中心線に近づくように斜めに延びている一対の第2補助罫線を更に備え、前記天壁を前記一対の第1補助罫線で山折りさせながら引っ張り上げる過程において、前記天壁は前記一対の第2補助罫線で谷折りされることが好ましい。
【0011】
この場合、前記第2外フラップは、第1内フラップの上側に接着されることなく折り重なることが好ましい。
【0012】
この場合、前記第1外フラップの先端部は、前記第2外フラップの外側先端部に重なった状態で前記第1内フラップと前記第2内フラップとに接着されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、包装箱を小さな力で容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係るラップアラウンドケースを示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るラップアラウンドケースのブランクを示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るラップアラウンドケースの開封過程を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るラップアラウンドケースを開封した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態の変形例に係るラップアラウンドケースのブランクを示す平面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るラップアラウンドケースを示す斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るラップアラウンドケースを示す斜視図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るラップアラウンドケースのブランクを示す平面図である。
図9】本発明の第1実施形態等の他の変形例に係るラップアラウンドケースのブランク(第1補助罫線)を示す平面図である。
図10】本発明の第1実施形態等の他の変形例に係るラップアラウンドケースのブランク(開封部)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。また、本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
[第1実施形態:ラップアラウンドケースの概要]
図1および図2を参照して、第1実施形態に係る包装箱の一例としてのラップアラウンドケース1について説明する。図1はラップアラウンドケース1を示す斜視図である。図2はラップアラウンドケース1のブランク1Aを示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、ラップアラウンドケース1は、左右方向に長い略直方体状に形成されている。ラップアラウンドケース1は、内容物(図示せず)を巻き込むように包装し、左右両端面を閉じることで封緘される箱である。
【0018】
ラップアラウンドケース1は、図2に示すブランク1Aを組み立てることで形成される。ブランク1Aは、例えば、一枚の紙製の段ボールシートをダイカッタ等で打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(図4参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、図2は、表ライナ9B側(ラップアラウンドケース1の外側)を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0019】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク1Aは、底壁10と、天壁11と、第1側壁12と、第2側壁13と、開封部14と、一対の第1内フラップ15と、一対の第2内フラップ16と、一対の第1外フラップ17と、一対の第2外フラップ18と、を含んでいる。
【0020】
開封部14、天壁11、第2側壁13、底壁10および第1側壁12は、この順番で段方向一方から他方に向かって一列に並んで連接されている。これらの壁等10〜14の境界には、第1の罫線L1が形成されている。一対の第1内フラップ15は、第1側壁12の流れ方向(軸方向)両端部に第2の罫線L2を介して連接されている。一対の第2内フラップ16は、第2側壁13の流れ方向両端部に第2の罫線L2を介して連接されている。一対の第1外フラップ17は、底壁10の流れ方向両端部に第2の罫線L2を介して連接されている。一対の第2外フラップ18は、天壁11の流れ方向両端部に第2の罫線L2を介して連接されている。なお、第1および第2の罫線L1,L2は、それぞれ、段ボールシートの裏ライナ9Cから厚み方向に押し入れられた汎用罫線である。
【0021】
底壁10と天壁11とは、流れ方向に長く、互いに同一寸法となる略長方形状に形成されている。天壁11には、一対の第1補助罫線20と、一対の第2補助罫線21と、が形成されている。なお、第1補助罫線20は汎用罫線であり、第2補助罫線21は段ボールシートの表ライナ9Bから厚み方向に押し入れられた逆罫線である。
【0022】
一対の第1補助罫線20は、段方向に沿って直線状に延びた状態に形成されている。一対の第1補助罫線20は、互いに同一の長さで略平行に配置されている。一対の第1補助罫線20は、天壁11の段方向一端部近傍から他端部近傍までの間に形成されている。一対の第1補助罫線20は、天壁11の流れ方向(左右方向)中央で段方向(軸方向(左右方向)に直交する幅方向(前後方向))に延びる中心線Cで反転したときに完全に重なることのない非対称となるように流れ方向一方(右側)にずれた位置に形成されている。つまり、一対の第1補助罫線20は、中心線Cを挟むと共に、中心線Cからの距離を異にするように配置されている。
【0023】
一対の第2補助罫線21は、一対の第1補助罫線20よりも流れ方向外側に形成されている。また、一対の第2補助罫線21は、天壁11の段方向他方側(幅方向他方(第2側壁13側))に位置し、中心線Cで反転したときに完全に重なることのない非対称となる形状(位置)に形成されている。一対の第2補助罫線21は、段方向一方から他方に(前方から後方に)向かって互いに中心線Cに近づくように斜めに延びた状態に形成されている。流れ方向一方(右側)に形成された第2補助罫線21は、流れ方向他方(左側)に形成された第2補助罫線21よりも短く形成されている。一対の第2補助罫線21の段方向他端部は、一対の第1補助罫線20の段方向他端部と揃った位置に形成されている。
【0024】
なお、一対の第2補助罫線21の傾斜角度は、自由に設定してもよいが、例えば、以下のような基準で設定することが好ましい。第1実施形態に係るラップアラウンドケース1では、第1補助罫線20を段方向他方(後方)に延長した線と、この第1補助罫線20に隣り合う第2補助罫線21を段方向他方(後方)に延長した線とが第2側壁13との間の第1の罫線L1上で交わるように、一対の第2補助罫線21の傾斜角度が設定されている。
【0025】
第1側壁12と第2側壁13とは、流れ方向に長く、互いに同一寸法となる略長方形状に形成されている。第1および第2側壁12,13の段方向の寸法は底壁10等の段方向の寸法よりも短く設定され、第1および第2側壁12,13の流れ方向の寸法は底壁10等の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。第1側壁12の段方向他端部、且つ流れ方向中央部には、略台形状の切欠き部22が凹む状態に形成されている。
【0026】
開封部14は、流れ方向に細長い略長方形状に形成されている。開封部14の段方向の寸法は第1側壁12等の段方向の寸法よりも短く設定され、開封部14の流れ方向の寸法は底壁10等の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。開封部14は、天壁11の段方向一端部(封緘状態で第1側壁12側となる幅方向一端部)に第1の罫線L1を介して連接されている。開封部14の第1の罫線L1上には、開封線23が形成されている。開封線23は、略L字状を成す複数の切目を所定間隔に並べたジッパーである。開封線23は、開封部14を流れ方向他方(左側)から一方(右側)に向かって切断する機能を有している。
【0027】
一対の第1内フラップ15は、それぞれ、やや段方向に長い略長方形状に形成されている。各第1内フラップ15の段方向の寸法は第1側壁12の段方向の寸法と略同一に設定され、各第1内フラップ15の流れ方向の寸法(延出寸法)は第1側壁12の段方向の寸法の半分よりも若干長く設定されている。
【0028】
一対の第2内フラップ16は、それぞれ、第1内フラップ15と略同一寸法となる略長方形状に形成されている。一対の第2内フラップ16には、一対の切断線30が形成されている。各切断線30は、第2内フラップ16の段方向他方(下方)の角部付近を略扇状に区画するように形成されている。詳細には、各切断線30は、底壁10と第2側壁13との間の第1の罫線L1と、第2側壁13と第2内フラップ16との間の第2の罫線L2との交点付近から第2内フラップ16の流れ方向外端(先端)までの間において略円弧状に形成されている。一対の切断線30は、ジッパーであって、一対の第2内フラップ16を切断して段方向(上下方向)に二分割する機能を有している。
【0029】
一対の第1外フラップ17は、それぞれ、段方向に長い略長方形状に形成されている。正確には、各第1外フラップ17の流れ方向先端部が略台形状に突出するように形成されているため、各第1外フラップ17は略六角形状に形成されている。各第1外フラップ17の段方向の寸法は底壁10の段方向の寸法と略同一に設定され、各第1外フラップ17の流れ方向の寸法(延出寸法)は第1内フラップ15(第2内フラップ16)の延出寸法と略同一(正確には僅かに短く)設定されている。
【0030】
一対の第2外フラップ18は、それぞれ、第1外フラップ17と略同一寸法となる略長方形状に形成されている。
【0031】
[包装箱の封緘]
次に、ラップアラウンドケース1の封緘工程(組立工程)について説明する。
【0032】
ラップアラウンドケース1は、裏ライナ9Cを上方に向けたブランク1Aを適宜折り曲げることで組み立てられる。ラップアラウンドケース1は、ユーザによって手作業で組み立てられてもよいし、包装装置(ラップアラウンドケーサー)によって全自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、一例として、包装装置(図示せず)が全自動でラップアラウンドケース1を組み立てる場合について説明する。
【0033】
包装装置は、第1側壁12を第1の罫線L1に沿って略直角に折り曲げ、集積された複数の内容物を底壁10に載置する。続いて、包装装置は、第1側壁12の上側外面に接着剤を付着させる。次に、包装装置は、第2側壁13、天壁11および開封部14を第1の罫線L1に沿って略直角に折り曲げる。すると、開封部14は、接着剤を介して第1側壁12の上側外面に接着される。この状態で、互に対向する底壁10および天壁11と、互に対向する第1側壁12および第2側壁13とを含む周壁8が形成される(図1参照)。周壁8は、左右方向(軸方向)両端面を開口した略角筒状に形成される。そして、底壁10に置かれた内容物は、周壁8に包み込まれた状態になる。なお、接着剤として、例えば、ホットメルト接着剤、合成樹脂系エマルジョン接着剤または両面テープ等を用いることができる。
【0034】
次に、包装装置は、一対の第1内フラップ15および一対の第2内フラップ16を第2の罫線L2に沿って内側に折り曲げる。また、包装装置は、各第1内フラップ15の表面下側に接着剤を付着させ、各第1内フラップ15の表面上側に接着剤を付着させない。包装装置は、各第2内フラップ16の表面において切断線30を挟んだ上下2箇所に接着剤を付着させる。なお、本明細書では、第1内フラップ15と第2内フラップ16との下側に付着させる接着剤を第1接着部G1と呼び、第2内フラップ16の上側に付着させる接着剤を第2接着部G2と呼ぶこととする。
【0035】
次に、図1に示すように、包装装置は、一対の第2外フラップ18を第2の罫線L2に沿って内側(下方)に折り曲げる。すると、各第2外フラップ18は、第1内フラップ15と第2内フラップ16との上側に折り重ねられた状態で第2内フラップ16に第2接着部G2を介して接着される。つまり、各第2外フラップ18は、第1内フラップ15の上側に接着されることなく折り重なる。
【0036】
続いて、包装装置は、一対の第1外フラップ17を第2の罫線L2に沿って内側(上方)に折り曲げる。すると、各第1外フラップ17は、第1内フラップ15と第2内フラップ16との下側に折り重ねられた状態で第1接着部G1を介して接着される。各第1外フラップ17の先端部は、第2外フラップ18の外側先端部に重なった状態で第1内フラップ15と第2内フラップ16とに接着される。
【0037】
以上によって、周壁8の左右両端面が閉塞され、ラップアラウンドケース1が封緘された状態になる。各切断線30は、第1接着部G1と第2接着部G2とを仕切るように第2内フラップ16に形成された状態になる。
【0038】
[ラップアラウンドケースの開封]
次に、図1図3および図4を参照して、ラップアラウンドケース1の開封工程(開封手順)について説明する。図3はラップアラウンドケース1の開封過程を示す斜視図である。図4はラップアラウンドケース1を開封した状態を示す斜視図である。
【0039】
ラップアラウンドケース1は、天壁11と一対の第2外フラップ18とを持ち上げて開くことで開封される。
【0040】
図1に示すように、ユーザは、開封部14の左端部を把持して左側から右側に向かって引っ張る。すると、開封部14は、第1側壁12から剥がれながら開封線23に沿って切断される。開封部14が天壁11から切り離されて除去されると、天壁11の前端部が第1側壁12の上端部から分離された状態になる。このように、開封線23は、天壁11の前端部(幅方向一端部)を周壁8から分離する機能を有している。
【0041】
次に、図3に示すように、ユーザは、第1側壁12の切欠き部22に指を入れて天壁11の前端部を把持し、把持した天壁11を引っ張り上げる(図3の白抜き矢印参照)。すると、一対の第2外フラップ18も天壁11と一体となって持ち上がり始める。この際、各第2外フラップ18は第1内フラップ15に接着されていないため、ユーザは天壁11等の先端部を小さな力で引上げ始めることができる。
【0042】
天壁11は、引き上げに伴って、一対の第1補助罫線20で山折りされ始めると共に、一対の第2補助罫線21で谷折りされ始める。また、一対の第1補助罫線20は中心線Cよりも右寄りに形成されているため、右側の第2外フラップ18が、左側の第2外フラップ18よりも先に持ち上がり始める(図3の破線矢印参照)。その結果、まずは、右側の第2外フラップ18に接着された第2内フラップ16が切断線30に沿って切断され始める。右側の第2内フラップ16の切断開始に遅れて、左側の第2外フラップ18に接着された第2内フラップ16が切断線30に沿って切断され始める。天壁11等の引き上げが進むと、第2外フラップ18に接着された第2内フラップ16の上側は、第1外フラップ17に接着された各第2内フラップ16の下側から切り離される(図4参照)。
【0043】
図4に示すように、ユーザは、各第2内フラップ16を切断線30で切断して二分割にした後、天壁11等を後方に回動させる。この際、天壁11、一対の第2外フラップ18および第2側壁13は、一体となって底壁10と第2側壁13との間の第1の罫線L1を中心に後方に回動する。
【0044】
以上によって、ラップアラウンドケース1の上面、左右両端面および後面が開放され、ラップアラウンドケース1が開封された状態になる。このように、ラップアラウンドケース1の略上側半分が開かれるため、ユーザは内容物を容易に取り出すことができる。また、全ての内容物を取り出さずに残す場合、天壁11、一対の第2外フラップ18および第2側壁13を前方に回動させることによって、ラップアラウンドケース1を簡易的に再封緘することができる。
【0045】
以上説明した第1実施形態に係るラップアラウンドケース1では、開封線23で分離された天壁11を引っ張り上げる過程で天壁11が一対の第1補助罫線20で山折りされることによって、右側(軸方向一方)の第2内フラップ16が切断線30で切断され始めた後、左側(軸方向他方)の第2内フラップ16が切断線30で切断され始める構成とした。この構成によれば、右側の第2内フラップ16と左側の第2内フラップ16とを切断するタイミングをずらすことができるため、一対の第2内フラップ16を略同時に切断する場合に比べて、一対の第2内フラップ16の切断に必要な力を低減することができる。これにより、ラップアラウンドケース1を小さな力で容易に開封することができる。
【0046】
また、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1では、天壁11を一対の第1補助罫線20で山折りさせながら引っ張り上げる過程において、天壁11は一対の第2補助罫線21で谷折りされる構成とした。この構成によれば、天壁11を第1補助罫線20と第2補助罫線21とで互いに逆向きに折り曲げることで、天壁11を持ち上げる力を第2内フラップ16に適切に伝達することができる。これにより、ラップアラウンドケース1の開封作業を更に容易に行うことができる。
【0047】
また、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1によれば、第2外フラップ18が第1内フラップ15に接着されていないため、天壁11とこれに連接された一対の第2外フラップ18とを小さな力で持ち上げることができる。
【0048】
また、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1によれば、第1外フラップ17の先端部が第2外フラップ18の外側先端部にオーバーラップすることで、第1内フラップ15に接着されていない第2外フラップ18を押えることができる。これにより、第1内フラップ15に接着されていない第2外フラップ18の浮き上がりを予防することができ、ラップアラウンドケース1の封緘状態を適切に保持することができる。
【0049】
[第1実施形態の変形例]
なお、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1では、各切断線30が、第2内フラップ16の下角部付近を略扇状に区画するように形成されていたが、本発明はこれに限定されない。図5に示すように、例えば、第1実施形態の変形例に係るラップアラウンドケース1(ブランク1A)として、各切断線30は、第2内フラップ16の上角部付近を略扇状に区画するように形成されてもよい。詳細には、各切断線30は、天壁11と第2側壁13との間の第1の罫線L1と、第2側壁13と第2内フラップ16との間の第2の罫線L2との交点付近から第2内フラップ16の流れ方向外端(先端)までの間において略円弧状に形成されてもよい。この変形例に係るラップアラウンドケース1を開封する場合、天壁11および一対の第2外フラップ18は、一体となって天壁11と第2側壁13との間の第1の罫線L1を中心に後方に回動する。
【0050】
[第2実施形態]
次に、図6を参照して、第2実施形態に係るラップアラウンドケース2について説明する。図6はラップアラウンドケース2を示す斜視図である。なお、以降説明する他の実施形態や変形例等の説明では、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1と同様または対応する構成については同一の符号を付し、ラップアラウンドケース1と同様または対応する説明は省略する。
【0051】
第2実施形態に係るラップアラウンドケース2では、一対の切断線31が、それぞれ、第2内フラップ16に設けられた第1接着部G1を区画するように第1外フラップ17に形成されている点で、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1と相違する。各切断線31は、第1外フラップ17の後角部付近を略扇状に区画するように形成されている。詳細には、各切断線31は、ラップアラウンドケース2の後方下角部から第1外フラップ17の先端までの間において略円弧状に形成されている。一対の切断線31は、一対の第1外フラップ17を切断して前後方向(幅方向)に二分割する機能を有している。
【0052】
以上説明した第2実施形態に係るラップアラウンドケース2を開封する場合、開封部14で分離された天壁11を引っ張り上げる過程で天壁11が一対の第1補助罫線20で山折りされることによって、右側(軸方向一方)の第1外フラップ17が切断線31で切断され始めた後、左側(軸方向他方)の第1外フラップ17が切断線31で切断され始める。また、天壁11、一対の第2外フラップ18、第2側壁13および一対の第1外フラップ17の切断された部分(第1接着部G1で接着された部分)は、一体となって底壁10と第2側壁13との間の第1の罫線L1を中心に後方に回動する。この構成によれば、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1と略同様の作用、効果を得ることができる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、図7を参照して、第3実施形態に係るラップアラウンドケース3について説明する。図7はラップアラウンドケース3を示す斜視図である。
【0054】
第3実施形態に係るラップアラウンドケース3では、一対の切断線32が、それぞれ、第2内フラップ16に設けられた第2接着部G2を区画するように第2外フラップ18に形成されている点で、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1と相違する。各切断線32は、第2外フラップ18の後角部付近を略扇状に区画するように形成されている。詳細には、各切断線32は、ラップアラウンドケース2の後方上角部から第2外フラップ18の先端までの間において略円弧状に形成されている。一対の切断線32は、一対の第2外フラップ18を切断して前後方向(幅方向)に二分割する機能を有している。
【0055】
以上説明した第3実施形態に係るラップアラウンドケース3を開封する場合、開封部14で分離された天壁11を引っ張り上げる過程で天壁11が一対の第1補助罫線20で山折りされることによって、右側の第2外フラップ18が切断線32で切断され始めた後、左側の第2外フラップ18が切断線32で切断され始める。また、天壁11および一対の第2外フラップ18は、一体となって天壁11と第2側壁13との間の第1の罫線L1を中心に後方に回動する。この構成によれば、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1と略同様の作用、効果を得ることができる。
【0056】
[第4実施形態]
次に、図8を参照して、第4実施形態に係るラップアラウンドケース4(ブランク4A)について説明する。図8はラップアラウンドケース4のブランク4Aを示す平面図である。
【0057】
第4実施形態に係るラップアラウンドケース4(ブランク4A)では、一対の切断線30が省略されている点で、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1と相違する。ラップアラウンドケース4は、第2内フラップ16と第2外フラップ18との接着を解除することによって開封される。すなわち、ラップアラウンドケース3を開封する場合、開封部14で分離された天壁11を引っ張り上げる過程で天壁11が一対の第1補助罫線20で山折りされることによって、右側(軸方向一方)の第2外フラップ18が第2接着部G2から剥がれ始めた後、左側(軸方向他方)の第2外フラップ18が第2接着部G2から剥がれ始める(図3等を参照)。また、天壁11および一対の第2外フラップ18は、一体となって天壁11と第2側壁13との間の第1の罫線L1を中心に後方に回動する。この構成によれば、第1実施形態に係るラップアラウンドケース1と略同様の作用、効果を得ることができる。
【0058】
なお、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4(変形例も含む。以下同じ。)では、一対の第1補助罫線20が、中心線Cから右寄りに形成されていたが、これに限らず、中心線Cから左寄りに形成されていてもよい。この場合、左側の切断線30〜32が切断され始めた後(左側の第2接着部G2が剥がれ始めた後)、右側の切断線30〜32が切断され始める(右側の第2接着部G2が剥がれ始める)。また、一対の第1補助罫線20は中心線Cを挟んで非対称となることに限らず、例えば、一対の第1補助罫線20が中心線Cよりも左側または右側に位置していてもよい。
【0059】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4では、一対の第1補助罫線20が互いに略平行となるように前後方向(段方向)に延びていたが、本発明はこれに限定されない。図9に示すように、例えば、一対の第1補助罫線20は、前方から後方に向かって互いに中心線Cから離れるように斜めに延びていてもよい。また、第1補助罫線20は、汎用罫線に限らず、天壁11を山折りするための線であれば如何なるものでもよい。
【0060】
また、第1〜第3実施形態に係るラップアラウンドケース1〜3では、切断線30〜32が円弧状に延びたジッパーであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、切断線30〜32は、直線状に形成されていてもよい。また、切断線30〜32は、ジッパーに限らず、直線状を成す複数の切目を所定間隔に並べたミシン線等、段ボールシートを切断するために形成された線であれば如何なるものでもよい。
【0061】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4では、開封を容易にするために、第2外フラップ18が第1内フラップ15に対して非接着であったが、本発明はこれに限定されない。第2外フラップ18は、第1内フラップ15と第2内フラップ16との上側に折り重ねられた状態で少なくとも第2内フラップ16に第2接着部G2を介して接着されていればよい。例えば、第2外フラップ18は、第2接着部G2を介して第1内フラップ15および第2内フラップ16に接着されてもよい。この場合でも、開封を容易にするために、例えば、第1内フラップ15に付着させる第2接着部G2を、第2内フラップ16に付着させる第2接着部G2よりも、少なく(小さく)することが好ましい。
【0062】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4では、開封部14(開封線23)が左側から右側に切断されるように構成されていたが、これに限らず、右側から左側に切断されるように構成されてもよい。また、図10に示すように、開封部19が第1の罫線L1を介して天壁11に連接され、開封部19に一対の縦開封線25と一対の横開封線26とが形成されていてもよい。一対の縦開封線25は、左右方向(流れ方向)に離間して配置され、開封部19の下端から上端に向かって互いに離れるように斜めに延びたジッパーである。一対の横開封線26は、第1の罫線L1に沿って、一対の縦開封線25の上端から左右方向両側に延びたジッパーである。この場合、第1側壁12の切欠き部24は、開封部19の高さよりも若干短い深さに形成されている。なお、切欠き部24に対応する位置には接着剤は付着されないようになっている。この開封部19は、左右両側を除いて、一対の縦開封線25と一対の横開封線26とに沿って切断されて、天壁11の前端部を周壁8から分離する。また、開封線23、縦開封線25および横開封線26は、ジッパーに限らず、ミシン線等の段ボールシートを切断するために形成された線であれば如何なるものでもよい。
【0063】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4(変形例を含む。以下同じ。)では、開封部14,19が、第1側壁12の外面に接着されていたが、これに限らず、第1側壁12の内面に接着されてもよい。また、開封線23,26は、天壁11と開封部14,19との境界に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開封部14,19を省略し、開封線23,26が天壁11と第1側壁12との境界に形成されてもよい。この場合、例えば、開封部14,19に代えて継代片(図示せず)が、底壁10に連接され、第1側壁12の外面または内面に接着されて周壁8を構成してもよい。また、開封線23,26は、天壁11と開封部14,19等との境界に形成されていたが、これに限らず、天壁11側にずれた位置に形成されてもよいし、開封部14,19(または第1側壁12)側にずれた位置に形成されてもよい。つまり、開封線23,26は、周壁8の前方(幅方向一方)で周壁8の角辺と略平行に形成されていればよい。また、開封線23等は、1本のジッパーで構成されていたが、これに限らず、2本の並行するジッパー等で構成されてもよい。
【0064】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4では、一対の第2補助罫線21が天壁11に形成されていたが、これに限らず、一対の第2補助罫線21は省略されてもよい。また、各々の第2補助罫線21が、1本の逆罫線で形成されていたが、これに限らず、狭い間隔で平行に配置した2本の逆罫線で構成されていてもよい(図示せず)。また、第2補助罫線21は、逆罫線に限らず、天壁11を谷折りするための線であれば如何なるものでもよい。
【0065】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4では、第1外フラップ17の先端部が第2外フラップ18の先端部にオーバーラップしていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1外フラップ17と第2外フラップ18とは、その先端部を突き合わせるように形成されてもよいし、その先端部を離間させるように形成されてもよい。
【0066】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4では、周壁8が略四角形断面を有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開封部14と天壁11との間や天壁11と第2側壁13との間に面取り壁(図示せず)を連接して、略六角形断面を有する周壁(図示せず)を形成するようにしてもよい。また、他にも、底壁10と各側壁12,13との間に面取り壁(図示せず)を連接して、略六角形断面を有する周壁(図示せず)を形成してもよいし、4つの面取り壁を設けて、略八角形断面を有する周壁(図示せず)を形成してもよい。また、以上説明した各壁等10〜18の形状や大きさは、一例であって、内容物の形状や大きさに応じて変更することができる。
【0067】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4は、天壁11を上方に向けた姿勢で開封されていたが、これに限らず、天壁11を側方に向けた姿勢で開封されてもよい。また、第1〜第4実施形態では、包装箱の一例としてラップアラウンドケース1〜4に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、所謂A式の包装箱に本発明を適用し、側壁を開封するようにしてもよい。
【0068】
また、第1〜第4実施形態に係るラップアラウンドケース1〜4は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、段ボールシートは、中しん9Aの片面にライナを貼り付けた片面段ボールシートであってもよいし、片面段ボールシートを両面段ボールシートに貼り合せた複両面段ボールシートであってもよい。また、例えば、ラップアラウンドケース1〜4は、紙製の段ボールシートに代えて、厚紙や樹脂製の板等で形成されていてもよい。
【0069】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1〜4 ラップアラウンドケース(包装箱)
8 周壁
10 底壁
11 天壁
12 第1側壁
13 第2側壁
15 第1内フラップ
16 第2内フラップ
17 第1外フラップ
18 第2外フラップ
20 第1補助罫線
21 第2補助罫線
23,26 開封線
30〜32 切断線
C 中心線
G1 第1接着部
G2 第2接着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10