特許第6945448号(P6945448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6945448
(24)【登録日】2021年9月16日
(45)【発行日】2021年10月6日
(54)【発明の名称】発光装置、表示装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20210927BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20210927BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210927BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20210927BHJP
【FI】
   F21S2/00 484
   F21S2/00 480
   G02F1/13357
   F21Y115:10
   F21Y115:30
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-525291(P2017-525291)
(86)(22)【出願日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】JP2016067927
(87)【国際公開番号】WO2016208484
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-128409(P2015-128409)
(32)【優先日】2015年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 光弘
(72)【発明者】
【氏名】高桑 洋平
(72)【発明者】
【氏名】コーン ロジャー
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−270144(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0316402(US,A1)
【文献】 特開2004−235092(JP,A)
【文献】 特開2012−216762(JP,A)
【文献】 特開2012−216763(JP,A)
【文献】 特開2012−212509(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/158555(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/033895(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/13357
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する基体と、
前記基体の表面に設けられ、光軸を有する1以上の光源と、
前記基体との間に前記光源を挟むように設けられた反射型レンズと、
前記基体の表面に沿って前記光源を取り囲むように設けられ、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して第1の角度をなす第1の面を含む反射部材と、
前記基体との間に前記光源、前記反射型レンズおよび前記反射部材を挟むように設けられた光拡散部材と
を備え、
前記反射部材は、前記光源を取り囲む第1の領域部分と、前記光源と前記第1の領域部分との間において前記光源を取り囲む第2の領域部分とを有し、
前記第1の領域部分が前記第1の面を含み、
前記第2の領域部分は、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸 と実質的に直交する平面に対して前記第1の角度よりも小さい第2の角度をなす第2の面を含み、
前記反射部材は、前記光源からの光を反射し、拡散し、および散乱する機能を有する
発光装置。
【請求項2】
前記反射部材は、前記光源と前記第2の領域部分との間に、前記基体と直接的にまたは間接的に固定された第3の領域部分をさらに有する
請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1の領域部分と前記第2の領域部分との間に、前記第1の面と前記第2の面とを繋ぐ曲面からなる第4の面を含む第4の領域部分をさらに有する
請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1の領域部分は、前記反射部材のうち最も前記基体から離れた位置にある最外縁を含む
請求項1記載の発光装置。
【請求項5】
前記反射型レンズは、前記基体の表面から第1の高さの位置にある上端縁を有し、
前記第1の領域部分の最外縁は、前記基体の表面から前記第1の高さよりも低い第2の高さの位置にある
請求項4記載の発光装置。
【請求項6】
液晶パネルと、前記液晶パネルの背面側の発光装置とを備え、
前記発光装置は、
表面を有する基体と、
前記基体の表面に設けられ、光軸を有する1以上の光源と、
前記基体との間に前記光源を挟むように設けられた反射型レンズと、
前記基体の表面に沿って前記光源を取り囲むように設けられ、前記光源から離れるほど 前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して第1の角度をなす 第1の面を含む反射部材と、
前記基体との間に前記光源、前記反射型レンズおよび前記反射部材を挟むように設けられた光拡散部材と
を有し、
前記反射部材は、前記光源を取り囲む第1の領域部分と、前記光源と前記第1の領域部分との間において前記光源を取り囲む第2の領域部分とを有し、
前記第1の領域部分が前記第1の面を含み、
前記第2の領域部分は、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して前記第1の角度よりも小さい第2の角度をなす第2の面を含み、
前記反射部材は、前記光源からの光を反射し、拡散し、および散乱する機能を有する
表示装置。
【請求項7】
発光装置を備え、
前記発光装置は、
表面を有する基体と、
前記基体の表面に設けられ、光軸を有する1以上の光源と、
前記基体との間に前記光源を挟むように設けられた反射型レンズと、
前記基体の表面に沿って前記光源を取り囲むように設けられ、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して第1の角度をなす第1の面を含む反射部材と、
前記基体との間に前記光源、前記反射型レンズおよび前記反射部材を挟むように設けられた光拡散部材と
を有し、
前記反射部材は、前記光源を取り囲む第1の領域部分と、前記光源と前記第1の領域部分との間において前記光源を取り囲む第2の領域部分とを有し、
前記第1の領域部分が前記第1の面を含み、
前記第2の領域部分は、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して前記第1の角度よりも小さい第2の角度をなす第2の面を含み、
前記反射部材は、前記光源からの光を反射し、拡散し、および散乱する機能を有する
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置、ならびにこれを備えた表示装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶表示装置などの表示装置に搭載される直下型のバックライトとして、基板上に配列された複数の光源と、各々の光源の直上に配置され、各々の光源からの光を広範囲に広げる複数のレンズとを備えたものが知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−247038号公報
【特許文献2】特開2013−247039号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、各光源からの光が広範囲に広がると、輝度の均質性は向上するものの、例えば複数の光源のうちの一部を点灯させる部分駆動を行った際、点灯領域と消灯領域とのコントラスト比が十分に得られないことがある。点灯領域の周辺の消灯領域に、点灯領域における光源からの光が漏れてしまう場合があるからである。
【0005】
したがって、薄型でありながら優れた発光性能を有する発光装置、ならびにこれを備えた表示装置および照明装置を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施形態としての発光装置は、表面を有する基板と、その基板の表面に設けられ、光軸を有する1以上の光源と、基板との間に光源を挟むように設けられた反射型レンズと、基板の表面において光源を取り囲むように設けられ、光源から離れるほど基板からも離れるように光軸と実質的に直交する平面に対して第1の角度をなす第1の面を含む反射シートと、基板との間に光源、反射型レンズおよび反射シートを挟むように設けられた光拡散部材とを備える。また、本開示の一実施形態としての表示装置および照明装置は、上記発光装置を備えたものである。
【0007】
本開示の一実施形態としての発光装置、表示装置および照明装置では、光源と、反射型レンズと、光軸と実質的に直交する平面に対して傾斜した第1の面を含む反射シートと、光拡散部材とを備えるようにした。このため、光源からの光が反射型レンズにより広く拡散しつつ、反射型レンズからの光は反射シートによって例えば光軸方向へ反射される。よって、例えば隣り合う他の光源が支配する発光領域への無用な光漏れが抑制される。
【0008】
本開示の一実施形態としての発光装置によれば、薄型化した場合であっても例えば輝度分布の緩和とコントラスト比の向上との両立などの優れた発光性能を実現することができる。このため、この発光装置を用いた表示装置によれば、優れた映像表現を発揮することができる。また、この発光装置を用いた照明装置によれば、対象物に対し、選択的に、より均質な照明を行うことができる。なお、本開示の効果はこれに限定されるものではなく、以下に記載のいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示における第1の実施の形態に係る発光装置の全体構成例を表す概略断面図である。
図1B図1Aに示した発光装置の要部の構成を拡大して表す断面図である。
図2図1Aに示した発光装置の平面構成を拡大して表す平面図である。
図3図2に示した発光装置の要部の一部をさらに拡大して表す断面図である。
図4A図1Aに示した発光装置における一の光源の輝度分布を表す特性図である。
図4B図1Aに示した発光装置における一の光源の輝度分布を表す特性図である。
図5図1Aに示した発光装置の第1変形例を表す概略断面図である。
図6図1Aに示した発光装置の第2変形例を表す概略断面図である。
図7図1Aに示した発光装置の第3変形例を表す概略断面図である。
図8図1Aに示した発光装置の第4変形例を表す概略断面図である。
図9】本開示の第2の実施の形態に係る表示装置の外観を表す斜視図である。
図10図9に示した本体部を分解して表す斜視図である。
図11図10に示したパネルモジュールを分解して表す斜視図である。
図12A】本開示の表示装置を搭載したタブレット型端末装置の外観を表す斜視図である。
図12B】本開示の表示装置を搭載した他のタブレット型端末装置の外観を表す斜視図である。
図13】本開示の発光装置を備えた第1の照明装置の外観を表す斜視図である。
図14】本開示の発光装置を備えた第2の照明装置の外観を表す斜視図である。
図15】本開示の発光装置を備えた第3の照明装置の外観を表す斜視図である。
図16図1Aに示した発光装置の第5変形例を表す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
傾斜角度の異なる2種類の傾斜面を有する反射部材を備えた発光装置。
2.第1の実施の形態の第1変形例
平坦面と、その外縁に立設する傾斜面とを有する反射部材を備えた発光装置。
3.第1の実施の形態の第2変形例
光源基板を2以上の光源が共有するようにした発光装置。
4.第1の実施の形態の第3変形例
光源基板と反射部材とを一体化した発光装置。
5.第1の実施の形態の第4変形例
反射部材が曲面のみからなる反射面を有するようにした発光装置。
6.第2の実施の形態(表示装置;液晶表示装置)
7.表示装置の適用例
8.照明装置の適用例
【0011】
<1.第1の実施の形態>
[発光装置10の構成]
図1Aは、本開示の第1の実施の形態としての発光装置10の全体構成を模式的に表す断面図である。図1Bは、発光装置10の要部を拡大して表す断面図である。図2は、発光装置10における反射シート3の平面構成を拡大して表す平面図である。また、図3は、図1Bに示した発光装置10の要部(破線で囲んだ符号IIIを付した部分)の構成を拡大して表す断面図である。なお、図1Aは、図2に示したI−I線に沿った矢視方向の断面に相当する。発光装置10は、例えば、透過型の液晶パネルを背後から照明するバックライトとして、あるいは室内等において照明装置として用いられるものである。
【0012】
発光装置10は、基体としての基体100の内面100Sに設けられた光源1と、基体100との間に光源1を挟むように設けられた反射型レンズ2と、反射シート3と、拡散板4と、光学シート群5とを有している。
【0013】
本明細書では、基体100と拡散板4とを結ぶ距離方向をZ方向(前後方向)とし、基体100および拡散板4の主面(最も広い面)における左右方向をX方向、上下方向をY方向とする。
【0014】
(光源1)
光源1は複数設けられ、基体100の内面100Sに、例えばマトリクス状に配列されている。複数の光源1はそれぞれ例えば内面100Sと直交する方向(Z方向)の光軸CLを有する点光源であり、具体的には白色光を発振するLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)により構成されている。複数の光源1は、例えば反射シート3に形成された複数の開口3Kに対応した位置に1つずつ配置されている。各光源1は、例えば駆動回路6が形成された複数の光源基板7の上に設けられている。駆動回路6は、例えば光源1の駆動を行うものである。複数の光源基板7は、それぞれ基体100の内面100Sに固定されている。
【0015】
(反射シート3)
反射シート3は、入射光に対して反射、拡散、散乱など(以下、反射等という。)の光学的作用を及ぼす機能を有する。反射シート3は、基体100の内面100Sに沿って光源1を取り囲むように設けられ、光源1から離れるほど基体100からも離れるように光軸CLと実質的に直交する平面(XY平面)に対して傾斜した上面を有している。より具体的には、反射シート3は、光源1を取り囲む第1の領域R1に設けられた第1の領域部分31と、光源1と第1の領域部分31との間において光源1を取り囲む第2の領域R2に設けられた第2の領域部分32とを有している(図1B参照)。第1の領域部分31はXY平面に対して第1の角度θ1をなす第1の面31Sを含み、第2の領域部分32はXY平面に対して第1の角度θ1よりも小さい第2の角度θ2をなす第2の面32Sを含んでいる。第1の面31Sおよび第2の面32Sは、いずれも光源1から離れるほど基体100からも離れるように傾斜している。なお、第1の面31Sおよび第2の面32Sは、いずれも、例えば反射型レンズ2を経由して到達する光源1からの光に対して反射等の光学的作用を及ぼすものであり、それぞれ平面であってもよいし曲面であってもよい。
【0016】
反射シート3は、光源1と第2の領域部分32との間の第3の領域R3に設けられた第3の領域部分33をさらに有するとよい。第3の領域部分33は上面として第3の面33Sを有している。第3の面33Sもまた、例えば反射型レンズ2を経由して到達する光源1からの光に対して反射等の光学的作用を及ぼすものである。第3の領域部分33の下面(第3の面33Sと反対側の面)は、光源基板7の上面に固定されている。すなわち、反射シート3(第3の領域部分33)は、光源基板7を介して基体100の内面100Sと間接的に固定されている。このように第3の領域部分33が光源基板7の上面に固定されることで、反射型レンズ2からの光が第3の領域部分33と光源基板7との間に生じる隙間から反射シート3の下方へ漏れるのを防止することができる。なお、反射シート3(第3の領域部分33)は、基体100の内面100Sと直接的に固定されるようにしてもよい。その場合であっても、反射型レンズ2からの光が反射シート3の下方へ漏れるのを防止することができる。
【0017】
また反射シート3は、図3に示したように、第1の領域部分31と第2の領域部分32との間に第4の領域部分34をさらに有するようにすることが望ましい。第4の領域部分34は、第1の面31Sと第2の面32Sとを繋ぐ曲面からなる第4の面34Sを含んでいる。第4の面34Sもまた、反射型レンズ2を経由して到達する光源1からの光に対して反射等の光学的作用を及ぼすものである。曲面からなる第4の面34Sの存在により、光源1から発せられた光の輝度分布において強い輝度ピークが出現するのを抑えることができる。この理由については後述する。
【0018】
第1の領域部分31は、反射シート3のうち例えばZ方向において後部筐体124や光源基板7から最も離れた位置にある最外縁31Tを含んでいる。すなわち最外縁31Tは、反射シート3においてZ方向に突出する凸部を形成している。また、最外縁31Tは、XY平面において光源1および反射型レンズ2から最も離れた位置にある。また、最外縁31Tは、XY平面において格子状に設けられている(図2参照)。したがって、X方向に伸びる最外縁31TとY方向に伸びる最外縁31Tとにより囲まれた1つの区画であるセル領域CRに1つの光源1が配置されるようになっている。すなわち、隣り合うセル領域CR同士の境界Kに沿って最外縁31Tは延びている。
【0019】
反射シート3は、例えば射出成型や熱プレス成型などにより、第1〜第4の領域部分31〜34が一体に成型されたものであるとよい。反射シート3の構成材料としては、例えばポリカーボネート樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、MS(メチルメタクリレートとスチレンの共重合体)などの非晶性共重合ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
【0020】
(反射型レンズ2)
反射型レンズ2は反射面2Sを有しており、光源1からの光をその反射面2Sにおいて側方へ反射するように機能する。すなわち、反射型レンズ2は、XY平面において広範囲に光を広げることができる。さらに図1Bなどに示したように、反射型レンズ2は、例えば基体100の内面100Sから第1の高さH1の位置にある上端縁2Tを有する。第1の領域部分31の最外縁31Tは、第2の高さH2の位置にある。第2の高さH2は、第1の高さH1よりも低くなっているとよい。
【0021】
(拡散板4)
拡散板4は、例えばX方向に伸びる複数のレンチキュラーレンズがY方向に並ぶように形成された第1の拡散板41と、Y方向に伸びる複数のレンチキュラーレンズがX方向に並ぶように形成された第2の拡散板42とがZ方向に積層されたものである。
【0022】
(光学シート群5)
光学シート群5は、例えば、拡散シート,レンズフィルム,偏光分離シートなどの複数のシート状部材が積層されたものである。但し、図1Aでは、それらを1つにまとめて図示している。
【0023】
[発光装置10の作用および効果]
光源1は点光源であるので、光源1から発せられた光は光源1の発光点から全方向に広がりつつ反射型レンズ2へ向かう。その光は、反射型レンズ2の反射面2Sで反射されたのち、反射シート3の第1〜第4の面31S〜34Sにおいて反射等の光学的作用を受ける。そののち、その光は拡散板4および光学シート群5へ向かう。また、一旦拡散板4へ到達した光の一部は拡散板4を透過せずに戻る戻り光となり、再度反射シート3により反射等されたのち、再度拡散板4へ向かうこととなる。最終的には拡散板4と光学シート群5とを通過し、光学シート群5の外側(光源1と反対側)において発光として観測される。ここで、本実施の形態の発光装置10では、光源1を取り囲むように設けられた反射シート3が、光源1から離れるほど基体からも離れるように第1の角度θ1をなす第1の面31Sを含むようにした。このため、光源1から発せられた光の一部は、例えば図4Aに示したように反射面2Sにおいて反射したのち第1の面31Sに到達し、第1の面21Sにおいて反射等されてその光源1の直上方向へ進行する光L1となる。一方、光源1から発せられた光の他の一部は、反射面2Sにおいて反射したのち例えば第2の面32Sに到達し、第2の面32Sにおいて反射等されて適度に広がる光L2となる。ここで、発光装置10では第2の面32Sが第2の角度θ2をなすようにしたので、隣のセル領域CRの直上へ広がる光を適度に抑えることができる。
【0024】
発光装置10では、このような反射シート3に起因する作用により、例えば図4Bに示した曲線C1のような輝度分布が得られる。図4Bでは、横軸がXY平面における位置、すなわち光源1の発光点からの距離を表し、縦軸が輝度を表している。また、図4Bにおいて、曲線C2は発光装置10から反射シート3を除去した構成の発光装置における輝度分布を表し、曲線C3は発光装置10から反射シート3を除去すると共に反射型レンズ2を屈折型レンズに置き換えた構成の発光装置における輝度分布を表す。なお、図4Bの曲線C1〜C3は、いずれも拡散板4を透過する前の段階での輝度分布を表す。曲線C1で示したように、発光装置10では、セル領域CRに対応する比較的広い範囲において高い輝度が得られ、光源1からある程度離れた位置になると急激に輝度が低下する。これに対し、曲線C2では、輝度の変化が緩やかであり、高輝度の領域と低輝度の領域との境界が不明瞭となっている。さらに曲線C3では、輝度のピーク値は高いものの、高輝度の領域が極めて狭い。
【0025】
このような作用により、反射シート3を搭載した発光装置10では、光源1からの光を効率的に利用して正面輝度を高めつつ、点灯したい領域に光を集光できるので、エリアコントラスト性能の向上が実現できる。
【0026】
なお、最外縁31TがXY平面において格子状に設けられていることにより、最外縁31Tの近傍における輝度の低下により輝度むら(格子状の暗線)が発生するおそれがある。しかしながら、発光装置10では、反射シート3の上方に第1の拡散板41と第2の拡散板42とが積層されてなる拡散板4が設けられている。これにより拡散板4への入射光がXY平面内において拡散させるので、最外縁31Tに起因する輝度むらを解消することができる。よって、隣り合う他のセル領域CRの光源1からの光との境界が明確に現れないように、発光装置10全体におけるXY面内での輝度分布の平坦化が実現される。
【0027】
また反射シート3において、第1の面31Sと第2の面32Sとを曲面からなる第4の面34Sにより繋ぐようにしたので、光源1から発せられた光の輝度分布において強い輝度ピークが出現するのを抑えることができる。これは、第1の面31Sにおいて反射等された光L1の輝度分布と、第2の面32Sにおいて反射等された光L2の輝度分布との重なり部分における輝度ピークを弱めることができるからである。
【0028】
このような発光装置10によれば、全体を薄型化した場合であっても例えば輝度分布の緩和(輝度均質化)と部分駆動時のコントラスト比の向上との両立などの優れた発光性能を実現することができる。このため、この発光装置10を用いた表示装置によれば、優れた映像表現を発揮することができる。また、この発光装置を用いた照明装置によれば、対象物に対し、選択的に、より均質な照明を行うことができる。
【0029】
<2.第1の実施の形態の第1変形例>
[反射シート3Aを備えた発光装置10Aの構成および作用効果]
本実施の形態では、例えば図5に示した第1変形例としての反射シート3Aのように、第2の領域R2においてXY平面に沿って広がる第2の領域部分32Aを含むものとしてもよい。この場合であっても、第1の領域部分31の存在により、光源1の直上方向へ進行する光L1を形成することができる。よって、反射シート3Aを備えた発光装置10Aにおいても、輝度分布の緩和(輝度均質化)と部分駆動時のコントラスト比の向上との両立を図ることができる。
【0030】
<3.第1の実施の形態の第2変形例>
[共通の光源基板71を備えた発光装置10Bの構成および作用効果]
本実施の形態では、図6に示した発光装置10Bのように、光源基板7の代わりに2以上の光源1が共有する共通の光源基板71を設けるようにしてもよい。例えば帯状の光源基板71に、その長手方向に沿って所定の間隔で並ぶように複数の光源1を固定し、光源ユニットを予め複数作製しておき、それらの光源ユニットを基体100に並べるようにすれば、組立作業の効率化を図ることができる。
【0031】
<4.第1の実施の形態の第3変形例>
[光源基板と反射部材とを一体化した光学基板8を備えた発光装置10Cの構成および作用効果]
本実施の形態では、図7に示した発光装置10Cのように、光源基板7および反射シート3の代わりにそれらを一体化した光学基板8を設けるようにしてもよい。光学基板8は、境界Kの近傍に傾斜面81Aを含む凸部が形成されている。この傾斜面81Aが図1Bなどに示した第1の領域部分31における第1の面31Sと同様の作用をもたらす。よって、発光装置10Cにおいても、輝度分布の緩和(輝度均質化)と部分駆動時のコントラスト比の向上との両立を図ることができる。
【0032】
<5.第1の実施の形態の第4変形例>
[発光装置10Dの構成および作用効果]
本変形例の発光装置10Dは、図8に示したように、曲面のみからなる反射面3Sを有する反射シート3Bを備えたものである。この場合であっても、所望の輝度分布が得られるように反射面3Sの湾曲形状を適宜設定することにより、輝度分布の緩和(輝度均質化)と部分駆動時のコントラスト比の向上との両立を図ることができる。
【0033】
<6.第2の実施の形態>
図9は、本技術の第2の実施の形態に係る表示装置101の外観を表したものである。この表示装置101は、発光装置10を備え、例えば薄型テレビジョン装置として用いられるものであり、画像表示のための平板状の本体部102をスタンド103により支持した構成を有している。なお、表示装置101は、スタンド103を本体部102に取付けた状態で、床,棚または台などの水平面に載置して据置型として用いられるが、スタンド103を本体部102から取り外した状態で壁掛型として用いることも可能である。
【0034】
図10は、図9に示した本体部102を分解して表したものである。本体部102は、例えば、前面側(視聴者側)から、前部外装部材(ベゼル)111,パネルモジュール112および後部外装部材(リアカバー)113をこの順に有している。前部外装部材111は、パネルモジュール112の前面周縁部を覆う額縁状の部材であり、下方には一対のスピーカー114が配置されている。パネルモジュール112は前部外装部材111に固定され、その背面には電源基板115および信号基板116が実装されると共に取付金具117が固定されている。取付金具117は、壁掛けブラケットの取付、基板等の取付およびスタンド103の取付のためのものである。後部外装部材113は、パネルモジュール112の背面および側面を被覆している。
【0035】
図11は、図10に示したパネルモジュール112を分解して表したものである。パネルモジュール112は、例えば、前面側(視聴者側)から、前部筐体(トップシャーシ)121,液晶パネル122,枠状部材(ミドルシャーシ)80,光学シート群5,拡散板4,反射シート3,光源1および反射型レンズ2が設けられた基体100,後部筐体(バックシャーシ)124およびタイミングコントローラ基板127をこの順に有している。但し、図11では、光源1および反射型レンズ2の図示を省略している。
【0036】
前部筐体121は、液晶パネル122の前面周縁部を覆う枠状の金属部品である。液晶パネル122は、例えば、液晶セル122Aと、ソース基板122Bと、これらを接続するCOF(Chip On Film)などの可撓性基板122Cとを有している。枠状部材80は、液晶パネル122および光学シート群5を保持する枠状の樹脂部品である。後部筐体124は、液晶パネル122,枠状部材80および発光装置10を収容する、鉄(Fe)等よりなる金属部品である。タイミングコントローラ基板127もまた、後部筐体124の背面に実装されている。
【0037】
この表示装置101では、発光装置10からの光が液晶パネル122により選択的に透過されることにより、画像表示が行われる。ここでは、第1の実施の形態で説明したように、面内の輝度分布の均質性が向上した発光装置10を備えているので、表示装置101の表示品質が向上する。
【0038】
<7.表示装置の適用例>
以下、上記のような表示装置101の電子機器への適用例について説明する。電子機器としては、例えばテレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラ等が挙げられる。言い換えると、上記表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0039】
図12Aは、上記実施の形態の表示装置101が適用されるタブレット型端末装置の外観を表したものである。図12Bは、上記実施の形態の表示装置101が適用される他のタブレット型端末装置の外観を表したものである。これらのタブレット型端末装置は、いずれも、例えば表示部210および非表示部220を有しており、この表示部210が上記実施の形態の表示装置101により構成されている。
【0040】
<8.照明装置の適用例>
図13および図14は、上記実施の形態等で説明した発光装置10、10A〜10Dが適用される卓上用の照明装置の外観を表したものである。この照明装置は、例えば、基台841に設けられた支柱842に、照明部843を取り付けたものであり、この照明部843は、上記実施の形態等で説明した発光装置10、10A〜10Dのいずれかにより構成されている。照明部843は、基体100や反射シート3、拡散板4、および光学シート群5などを湾曲形状とすることにより、図13に示した筒状、または図14に示した曲面状など、任意の形状とすることが可能である。
【0041】
図15は、上記実施の形態等で説明した発光装置10、10A〜10Dが適用される室内用の照明装置の外観を表したものである。この照明装置は、例えば、上記実施の形態等で説明した発光装置10、10A〜10Dのいずれかにより構成された照明部844を有している。照明部844は、建造物の天井850Aに適宜の個数および間隔で配置されている。なお、照明部844は、用途に応じて、天井850Aに限らず、壁850Bまたは床(図示せず)など任意の場所に設置することが可能である。
【0042】
これらの照明装置では、発光装置10からの光により、照明が行われる。ここでは面内の輝度分布の均質性が向上した発光装置10を備えているので、照明品質が向上する。
【0043】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば図2では、複数のセルCRがマトリックス状に配置された例を示しているが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、図16に示した発光装置10Eのように、一方の並び方向(X方向)に対して他方の並び方向が斜め方向(X方向に対して直交する方向以外の方向)となっていてもよい。また、各セル領域CRの形状は正方形に限定されるものではなく、略円形や略六角形であってもよい。
【0044】
また、各図に示した各構成要素の寸法および寸法比や形状は一例であって本開示がこれに限定されるものではない。
【0045】
また、例えば、上記実施の形態では、光源1がLEDである場合について説明したが、光源1は半導体レーザ等により構成されていてもよい。
【0046】
さらに、例えば、上記実施の形態等において発光装置10および表示装置101(テレビジョン装置)の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【0047】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
表面を有する基体と、
前記基体の表面に設けられ、光軸を有する1以上の光源と、
前記基体との間に前記光源を挟むように設けられた反射型レンズと、
前記基体の表面に沿って前記光源を取り囲むように設けられ、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して第1の角度をなす第1の面を含む反射部材と、
前記基体との間に前記光源、前記反射型レンズおよび前記反射部材を挟むように設けられた光拡散部材と
を備えた発光装置。
(2)
前記反射部材は、前記光源を取り囲む第1の領域部分と、前記光源と前記第1の領域部分との間において前記光源を取り囲む第2の領域部分とを有し、
前記第1の領域部分が前記第1の面を含み、
前記第2の領域部分は、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して前記第1の角度よりも小さい第2の角度をなす第2の面を含む
上記(1)に記載の発光装置。
(3)
前記反射部材は、前記光源と前記第2の領域部分との間に、前記基体と直接的にまたは間接的に固定された第3の領域部分をさらに有する
上記(2)に記載の発光装置。
(4)
前記第1の領域部分と前記第2の領域部分との間に、前記第1の面と前記第2の面とを繋ぐ曲面からなる第4の面を含む第4の領域部分をさらに有する
上記(2)または(3)に記載の発光装置。
(5)
前記第1の領域部分は、前記反射部材のうち最も前記基体から離れた位置にある最外縁を含む
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の発光装置。
(6)
前記反射型レンズは、前記基体の表面から第1の高さの位置にある上端縁を有し、
前記第1の領域部分の最外縁は、前記基体の表面から前記第1の高さよりも低い第2の高さの位置にある
上記(5)記載の発光装置。
(7)
液晶パネルと、前記液晶パネルの背面側の発光装置とを備え、
前記発光装置は、
表面を有する基体と、
前記基体の表面に設けられ、光軸を有する1以上の光源と、
前記基体との間に前記光源を挟むように設けられた反射型レンズと、
前記基体の表面に沿って前記光源を取り囲むように設けられ、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して第1の角度をなす第1の面を含む反射部材と、
前記基体との間に前記光源、前記反射型レンズおよび前記反射部材を挟むように設けられた光拡散部材と
を有する表示装置。
(8)
発光装置を備え、
前記発光装置は、
表面を有する基体と、
前記基体の表面に設けられ、光軸を有する1以上の光源と、
前記基体との間に前記光源を挟むように設けられた反射型レンズと、
前記基体の表面に沿って前記光源を取り囲むように設けられ、前記光源から離れるほど前記基体からも離れるように前記光軸と実質的に直交する平面に対して第1の角度をなす第1の面を含む反射部材と、
前記基体との間に前記光源、前記反射型レンズおよび前記反射部材を挟むように設けられた光拡散部材と
を有する照明装置。
【0048】
本出願は、日本国特許庁において2015年6月26日に出願された日本特許出願番号2015−128409号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0049】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16